JP3654340B2 - 2周波用アンテナ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2つの周波数帯域で動作する2周波用アンテナに関するものであり、特に2つの周波数帯域を使い分ける移動電話システムのアンテナに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
移動電話システムに用いられる周波数帯には、一般に複数の周波数帯が割り当てられている。例えば、日本におけるPDC方式(Personal Digital Cellular telecommunication system)では、800MHz帯(810MHz〜956MHz)と1.4GHz帯(1429MHz〜1501MHz)が割り当てられており、欧州においては900MHz帯(870MHz〜960MHz)のGSM(Global System for Mobile communications)方式と、1.8GHz帯(1710MHz〜1880MHz)のDCS(Digital Cellular System)方式とが採用されている。このように、2つの周波数帯域が割り当てられているのは、加入者の増加により利用周波数が不足しているからである。例えば、欧州においては900MHz帯のGSM方式の携帯電話機は欧州全域で使用することができるが、都市部においては利用周波数不足を補うため1.8GHz帯のDCS方式の携帯電話機を使用することができる。
【0003】
しかし、DCS方式の携帯電話機は、郊外においては使用することができない。こうした背景から、GSM方式とDCS方式とで使用することのできるデュアルバンドの携帯電話機が開発されている。このようなデュアルバンドの携帯電話機には、当然のことながら900MHz帯と1.8GHz帯とで動作可能な2周波用アンテナが搭載されている。このような2周波用アンテナは、一般に、それぞれの周波数帯で動作するアンテナから構成されており、互いの動作に影響を与えないように2つのアンテナがチョークコイル等のアイソレーション手段を介して接続されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アイソレーション手段をチョークコイルとすると、広い周波数帯域にわたり信号を分離することは困難である。すなわち、それぞれの周波数帯で動作するアンテナ間にチョークコイルを設けても、移動電話帯のように広い周波数帯域の場合には、その周波数帯域にわたりそれぞれのアンテナを独立して動作させることができず、互いに影響を与えて良好に動作させることができないという問題点があった。
【0005】
また、移動電話が車両に搭載される場合は、車体にアンテナが取り付けられる。このアンテナとしては種々のアンテナがあるが、車体では最も高い位置にあるルーフにアンテナを取り付けるようにすると受信感度を高めることができるため、ルーフに取り付けるルーフアンテナが従来から好まれている。
しかしながら、トラップコイル等のチョークコイルを使用する2周波用アンテナでは、その長さが長くなり車体のルーフから長く突出してしまい、デザインを損ねるおそれがあるという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、2つの異なる周波数帯域において良好に動作する低姿勢の2周波用アンテナを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の2周波用アンテナは、線状のエレメント部と、該エレメント部の先端に設けられていると共に、下方に傾斜されて傘状とされている頂冠部と、前記エレメント部の中間部をアースに短絡する整合用スタブと、前記エレメントの給電点と、前記頂冠部の先端とを接続する折り返し素子とを備え、2つの周波数帯域において動作するようになされている。
【0008】
また、上記本発明の2周波用アンテナにおいて、前記頂冠部の先端が下方へ屈曲されて円筒状とされていてもよい。
さらに、上記本発明の2周波用アンテナにおいて、前記2つの周波数帯域の周波数比が、約1:2とされていてもよい。
さらにまた、上記本発明の2周波用アンテナにおいて、車体に取り付け可能な取付部が下面に形成されている金属ベースと、該金属ベースに嵌合されているカバーとからなるケース内に収納されていてもよい。
さらにまた、上記本発明の2周波用アンテナにおいて、前記ケース内にナビゲーション用アンテナが収納されていてもよい。
【0009】
このような本発明によれば、線状のエレメントの先端に設けられた頂冠部における先端と、線状のエレメントの給電点とを接続する折り返し素子を設けるようにしている。このような折り返し素子を設けることにより、2つの周波数帯域で動作するアンテナとすることができる。そして、動作する2つの周波数帯域の周波数比は、約1:2となる。
また、本発明の2周波用アンテナは、線状のエレメントの先端にトップローディングとして機能する頂冠部を設けるようにしているので、2周波用アンテナの高さを低くすることができる。このため、小さなアンテナケース内に2周波用アンテナを収納することが可能となり、車体のルーフに取り付けた際にも大きく突出することがなく優れたデザインとすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の2周波用アンテナの実施の形態の第1の構成を図1に示し、本発明の2周波用アンテナの実施の形態の第2の構成を図2に示す。
図1に示す第1の構成の2周波用アンテナ5は、図示するように下方に折り曲げられた傘状の頂冠部5aと太い線状のエレメント部5bから構成されており、エレメント部5bの中途と回路基板6に形成されたアース部6bとの間を接続するように整合用スタブ5eが備えられている。頂冠部5aは、エレメント部5bのトップローディングとして機能し、エレメント部5bの長さを短くすることができる。この整合用スタブ5eは2周波用アンテナ5と、2周波用アンテナ5から導出される同軸ケーブルとの整合をとるためのものである。また、エレメント部5bの下端は回路基板6に形成された給電部6aに接続されている。この場合、エレメント部5bを金属パイプで形成し、回路基板6の裏面からエレメント部5b内にT字状ピンを挿通することにより、エレメント部5bを給電部6aに固着するようにしてもよい。本発明の実施の形態にかかる第1の構成の2周波用アンテナ5において特徴的な構成は、傘状の頂冠部5aの先端と給電部6aとの間を折り返し素子5cにより接続した構成である。このように、折り返し素子5cにより傘状の頂冠部5aの先端と給電部6aとを接続することにより、2周波用アンテナ5が2つの周波数帯域で動作するようになる。
【0011】
この2周波用アンテナ5の頂冠部5aは下方に傘状となるよう折り曲げられているため、アース部6bが接続されるグランドプレーンと頂冠部5aとの間に形成される容量は大きくなり、頂冠部5aの直径を小さくすることができる。例えば、この2周波用アンテナ5をディジタルセルラーシステムの900MHz帯(824MHz〜894MHz)のAMPS(Advanced Mobile Phone Service)方式と、1.8GHz帯(1850MHz〜1990MHz)のPCS(Presonal Communication Service)方式との2周波用アンテナに適用すると、頂冠部5aの直径は約30mmとなり、アンテナ高は約38mmと低姿勢とすることができる。この数値は、従来のアンテナ高を同じとする頂冠アンテナの頂冠部の直径を3割以上小さくした値に相当する。
【0012】
次に、図2に示す第2の構成の2周波用アンテナ15は、図示するように下方に折り曲げられた傘状の頂冠部15aと太い線状のエレメント部15bから構成されており、トップローディングとして機能する頂冠部15aの先端はさらに下方に折曲されて円筒状部15dが形成されている。これにより、エレメント部15bの長さをより短くすることができる。また、エレメント部15bの中途と回路基板6に形成されたアース部6bとの間を接続するように整合用スタブ15eが備えられている。この整合用スタブ15eは2周波用アンテナ15と、2周波用アンテナ15から導出される同軸ケーブルとの整合をとるためのものである。また、エレメント部15bの下端は回路基板6に形成された給電部6aに接続されている。この場合、エレメント部15bを金属パイプで形成し、回路基板6の裏面からエレメント部15b内にT字状ピンを挿通することにより、エレメント部15bを給電部6aに固着するようにしてもよい。本発明の実施の形態にかかる第2の構成の2周波用アンテナ15において特徴的な構成は、傘状の頂冠部15aにおける円筒状部15dの先端と給電部6aとの間を折り返し素子15cにより接続した構成である。このように、折り返し素子15cにより傘状の頂冠部15aの先端と給電部6aとを接続することにより、2周波用アンテナ15が2つの周波数帯域で動作するようになる。
【0013】
この2周波用アンテナ15の頂冠部15aは下方に傘状となるよう折り曲げられていると共に円筒状部15dを備えているため、アース部6bが接続されるグランドプレーンと頂冠部15aとの間に形成される容量は大きくなり、頂冠部15aの直径を小さくすることができる。例えば、この2周波用アンテナ15をディジタルセルラーシステムの900MHz帯(870MHz〜960MHz)のGSM(Global System for Mobile communications)方式と、1.8GHz帯(1710MHz〜1880MHz)のDCS(Digital Cellular System)方式のアンテナに適用すると、頂冠部15aの直径は約30mmとなり、アンテナ高は約29.5mmと低姿勢とすることができる。このように、アンテナ高をさらに低姿勢とすることができる。
【0014】
次に、上記説明した本発明の実施の形態にかかる第2の構成の2周波用アンテナ15を車載用アンテナに適用した際の構成を図3に示す。
図3に示すように、本発明の車載用アンテナ1は、楕円形とされた導電性の金属ベース3と、この金属ベース3に嵌着された合成樹脂製のカバー2からなるアンテナケースを備えている。この金属ベース3の下面に柔軟なパッドが配置されて、車体に取り付けられる。そして、車載用アンテナ1はアンテナケースから外部へ突出するエレメント等の部分は一切有しておらず低姿勢とされている。さらに、金属ベース3の裏側には車体に形成された取付穴に嵌入され、固定用ネジが螺着されることにより車載用アンテナ1を車体に固着するベース取付部3aが突出されて形成されている。このベース取付部3aには軸に沿って切溝部3bが形成された貫通孔が設けられており、この貫通孔を利用してGPS用ケーブル10と電話用ケーブル11とが外部からアンテナケース内に導入されている。
【0015】
GPS用ケーブル10の先端にはGPS機器に接続されるコネクタ10aが設けられており、電話用ケーブル11の先端には車載電話機に接続されるコネクタ11aが設けられている。
図3に金属ベース3とカバー2とを破断して示すようにアンテナケース内には、GPS信号を受信するGPSアンテナ4と、車載電話用の2周波用アンテナ15が収納されている。このGPSアンテナ4は、金属ベース3に形成されたGPSアンテナ収納部内に収納されている。そして、2周波用アンテナ15は図2に示されているように回路基板6に電気的に接続されていると共に、機械的に固着されている。そして、この回路基板6は金属ベース3に固着されている。また、アンテナケース内に導入されたGPS用ケーブル10はGPSアンテナ4に接続されており、電話用ケーブル11は回路基板6の2周波用アンテナ15に接続されている。
【0016】
さらに、電話用ケーブル11とGPS用ケーブル10とはベース取付部3aの貫通孔から導出される際に、図3に示すように、ベース取付部3aの軸に沿って形成された切溝部3bを介して金属ベース3の裏面にほぼ平行に引き出すことができる。さらにまた、貫通孔の下端からGPS用ケーブル10と電話用ケーブル11とを導出すると、金属ベース3の裏面にほぼ直交して導出することができる。これにより、車載用アンテナ1を取り付ける車体の構造にあわせて電話用ケーブル11とGPS用ケーブル10とを引き出すことができる。
【0017】
2周波用アンテナ15は、図2に示すように線状のエレメント部15bと、このエレメント部15bの先端に設けられた下方に傘状となるよう折り曲げられていると共に円筒状部15dを備える円形の頂冠部15aとから構成されている。この頂冠部15aはエレメント部15bの先端にハンダ付け等により固着されている。また、エレメント部15bの下端には、鍔状の取付部が形成されて、この取付部が回路基板6に形成された給電部6aにハンダ付けにより固着されている。なお、回路基板6が金属ベース3に取り付けられた際に、回路基板6のアースパターンは金属ベース3に電気的に接続され、金属ベース3は2周波用アンテナ15のグランドプレーンとして作用するようになる。
【0018】
次に、図3に示す車載用アンテナ1のGSM/DCSの周波数帯域におけるインピーダンス特性を示すスミスチャートと電圧定在波比(VSWR)特性および水平面内指向性を示すグラフを図4ないし図19に示す。ただし、図4ないし図11はGPSアンテナ4がない場合のGSM/DCSの周波数帯域におけるスミスチャートとVSWR特性および水平面内指向性を示すグラフであり、図12ないし図19はGPSアンテナ4がある場合のGSM/DCSの周波数帯域におけるスミスチャートとVSWR特性および水平面内指向性を示すグラフである。
【0019】
図4はGPSアンテナ4がない場合のGSMの周波数帯域におけるスミスチャートであり、図5はそのVSWR特性を示すグラフである。図示するように、GSMの周波数帯域におけるVSWRは約2.3以下となる。
また、図6はGPSアンテナ4がない場合のDCSの周波数帯域におけるスミスチャートであり、図7はそのVSWR特性を示すグラフである。図示するように、DCSの周波数帯域におけるVSWRは約1.5以下となる。
これらのVSWR特性と、スミスチャートに示すインピーダンス特性から、2周波用アンテナ15が適用された車載用アンテナ1がGSMとDCSの2つの周波数帯域で動作することを理解することができる。
【0020】
図8(b)は、車載用アンテナ1を図8(a)に示すように配置した際のGPSアンテナ4がない場合のGSMの最低周波数である870MHzにおける水平面内指向性を示す図であり、この場合の1/4波長ホイップアンテナに対するアンテナゲインは約−1.04dBとなる。図9(a)はその場合のGSMの中央周波数である915MHzにおける水平面内指向性を示す図であり、この場合の1/4波長ホイップアンテナに対するアンテナゲインは約−0.81dBとなる。図9(b)はその場合のGSMの最高周波数である960MHzにおける水平面内指向性を示す図であり、この場合の1/4波長ホイップアンテナに対するアンテナゲインは約−1.53dBとなる。これらの水平面内指向性を示す図を参照すると、GSMの周波数帯域においてほぼ円形の良好な水平面内指向性とされていることがわかる。
【0021】
図10(a)は、車載用アンテナ1を図8(a)に示すように配置した際のGPSアンテナ4がない場合のDCSの最低周波数である1710MHzにおける水平面内指向性を示す図であり、この場合の1/4波長ホイップアンテナに対するアンテナゲインは約−1.33dBとなる。図10(b)はその場合のDCSの中央周波数である1795MHzにおける水平面内指向性を示す図であり、この場合の1/4波長ホイップアンテナに対するアンテナゲインは約−0.3dBとなる。図11(a)はその場合のDCSの最高周波数である1880MHzにおける水平面内指向性を示す図であり、この場合の1/4波長ホイップアンテナに対するアンテナゲインは約−1.17dBとなる。これらの水平面内指向性を示す図を参照すると、DCSの周波数帯域においてほぼ円形の良好な水平面内指向性とされていることがわかる。
これらの図に示す水平面内指向性から、2周波用アンテナ15が適用された車載用アンテナ1がGSMとDCSの2つの周波数帯域で良好に動作することを理解することができる。
【0022】
図12はGPSアンテナ4がある場合のGSMの周波数帯域におけるインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、図13はそのVSWR特性を示すグラフである。図示するように、GSMの周波数帯域におけるVSWRは約2.3以下となる。
また、図14はGPSアンテナ4がある場合のDCSの周波数帯域におけるインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、図15はそのVSWR特性を示すグラフである。図示するように、DCSの周波数帯域におけるVSWRは約1.8以下となる。
これらのVSWR特性とスミスチャートに示すインピーダンス特性から、GPSアンテナ4がある場合には若干特性が劣化するが、2周波用アンテナ15が適用された車載用アンテナ1がGSMとDCSの2つの周波数帯域で十分動作することを理解することができる。
【0023】
図16(b)は、車載用アンテナ1を図16(a)に示すように配置した際のGPSアンテナ4がある場合のGSMの最低周波数である870MHzにおける水平面内指向性を示す図であり、この場合の1/4波長ホイップアンテナに対するアンテナゲインは約−1.23dBとなる。図17(a)はその場合のGSMの中央周波数である915MHzにおける水平面内指向性を示す図であり、この場合の1/4波長ホイップアンテナに対するアンテナゲインは約−0.78dBとなる。図17(b)はその場合のGSMの最高周波数である960MHzにおける水平面内指向性を示す図であり、この場合の1/4波長ホイップアンテナに対するアンテナゲインは約−1.67dBとなる。これらの水平面内指向性を参照すると、GPSアンテナ4がある場合には若干特性が劣化するが、GSMの周波数帯域においてほぼ円形の良好な水平面内指向性とされていることがわかる。
【0024】
図18(a)は、車載用アンテナ1を図16(a)に示すように配置した際のGPSアンテナ4がある場合のDCSの最低周波数である1710MHzにおける水平面内指向性を示す図であり、この場合の1/4波長ホイップアンテナに対するアンテナゲインは約−1.81dBとなる。図18(b)はその場合のDCSの中央周波数である1795MHzにおける水平面内指向性を示す図であり、この場合の1/4波長ホイップアンテナに対するアンテナゲインは約−0.22dBとなる。図19(a)はその場合のDCSの最高周波数である1880MHzにおける水平面内指向性を示す図であり、この場合の1/4波長ホイップアンテナに対するアンテナゲインは約−0.04dBとなる。これらの水平面内指向性を参照すると、GPSアンテナ4がある場合には若干特性が劣化するが、DCSの周波数帯域においてほぼ円形の良好な水平面内指向性とされていることがわかる。
これらの水平面内指向性から、GPSアンテナ4がある場合には若干特性が劣化するが、2周波用アンテナ15が適用された車載用アンテナ1がGSMとDCSの2つの周波数帯域で良好に動作することを理解することができる。
【0025】
次に、車載用アンテナ1において2周波用アンテナを図1に示す第1の2周波用アンテナ5とした場合のAMPS/PCSの周波数帯域におけるインピーダンス特性を示すスミスチャートと、電圧定在波比(VSWR)特性および水平面内指向性を示すグラフを図20ないし図27に示す。
図20はAMPSの周波数帯域におけるインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、図21はそのVSWR特性を示すグラフである。図示するように、AMPSの周波数帯域におけるVSWRは約2.0以下となる。
また、図22はPCSの周波数帯域におけるインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、図23はそのVSWR特性を示すグラフである。図示するように、PCSの周波数帯域におけるVSWRは約1.7以下となる。
これらのVSWR特性と、スミスチャートに示すインピーダンス特性から、2周波用アンテナ5が適用された車載用アンテナ1がAMPSとPCSの2つの周波数帯域で動作することを理解することができる。
【0026】
図24(b)は、車載用アンテナ1を図24(a)に示すように配置した際のAMPSの最低周波数である824MHzにおける水平面内指向性を示す図であり、この場合の1/4波長ホイップアンテナに対するアンテナゲインは約−1.19dBとなる。図25(a)はその場合のAMPSの中央周波数である859MHzにおける水平面内指向性を示す図であり、この場合の1/4波長ホイップアンテナに対するアンテナゲインは約−0.64dBとなる。図25(b)はその場合のAMPSの最高周波数である894MHzにおける水平面内指向性を示す図であり、この場合の1/4波長ホイップアンテナに対するアンテナゲインは約−0.81Bとなる。これらの水平面内指向性を参照すると、AMPSの周波数帯域においてほぼ円形の良好な水平面内指向性とされていることがわかる。
【0027】
図26(a)は、車載用アンテナ1を図24(a)に示すように配置した際のPCSの最低周波数である1850MHzにおける水平面内指向性を示す図であり、この場合の1/4波長ホイップアンテナに対するアンテナゲインは約−1.39dBとなる。図26(b)はその場合のPCSの中央周波数である1920MHzにおける水平面内指向性を示す図であり、この場合の1/4波長ホイップアンテナに対するアンテナゲインは約1.28dBとなる。図27はその場合のPCSの最高周波数である1990MHzにおける水平面内指向性を示す図であり、この場合の1/4波長ホイップアンテナに対するアンテナゲインは約0.5dBとなる。これらの図に示す水平面内指向性を参照すると、PCSの周波数帯域においてほぼ円形の良好な水平面内指向性とされていることがわかる。
これらの水平面内指向性から、2周波用アンテナ5が適用された車載用アンテナ1がAMPSとPCSの2つの周波数帯域で良好に動作することを理解することができる。
【0028】
上記の説明では、本発明にかかる2周波用アンテナはGSM/DCSの2つの周波数帯域、あるいは、AMPS/PCSの2つの周波数帯域で動作させるようにしたが、本発明はこれに限らず、周波数比が約1:2とされる2つの周波数帯域における通信システムに適用することができる。
【0029】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されているので、線状のエレメントの先端に設けられた頂冠部における先端と、線状のエレメントの給電点とを接続する折り返し素子を設けるようにしている。このように折り返し素子を設けることにより、2つの周波数帯域で動作するアンテナとすることができる。そして、動作する2つの周波数帯域の周波数比は、約1:2となる。
また、本発明の2周波用アンテナは、線状のエレメントの先端にトップローディングとして機能する頂冠部を設けるようにしているので、2周波用アンテナの高さを低くすることができる。このため、小さなアンテナケース内に2周波用アンテナを収納することが可能となり、車体のルーフに取り付けた際にも大きく突出することがなく優れたデザインとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の2周波用アンテナの実施の形態の第1の構成を示す図である。
【図2】本発明の2周波用アンテナの実施の形態の第2の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態の2周波用アンテナを車載用アンテナに適用した構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態の2周波用アンテナを適用した車載用アンテナのGSMの周波数帯域におけるインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【図5】本発明の実施の形態の2周波用アンテナを適用した車載用アンテナのGSMの周波数帯域におけるVSWR特性を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態の2周波用アンテナを適用した車載用アンテナのDCSの周波数帯域におけるインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【図7】本発明の実施の形態の2周波用アンテナを適用した車載用アンテナのDCSの周波数帯域におけるVSWR特性を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態の2周波用アンテナを適用した車載用アンテナの870MHzにおける水平面内指向性を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態の2周波用アンテナを適用した車載用アンテナの915MHzおよび960MHzにおける水平面内指向性を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態の2周波用アンテナを適用した車載用アンテナの1710MHzおよび1795MHzにおける水平面内指向性を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態の2周波用アンテナを適用した車載用アンテナの1880MHzにおける水平面内指向性を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態の2周波用アンテナを適用したGPSアンテナ付き車載用アンテナのGSMの周波数帯域におけるインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【図13】本発明の実施の形態の2周波用アンテナを適用したGPSアンテナ付き車載用アンテナのGSMの周波数帯域におけるVSWR特性を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態の2周波用アンテナを適用したGPSアンテナ付き車載用アンテナのDCSの周波数帯域におけるインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【図15】本発明の実施の形態の2周波用アンテナを適用したGPSアンテナ付き車載用アンテナのDCSの周波数帯域におけるVSWR特性を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態の2周波用アンテナを適用したGPSアンテナ付き車載用アンテナの870MHzにおける水平面内指向性を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態の2周波用アンテナを適用したGPSアンテナ付き車載用アンテナの915MHzおよび960MHzにおける水平面内指向性を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態の2周波用アンテナを適用したGPSアンテナ付き車載用アンテナの1710MHzおよび1795MHzにおける水平面内指向性を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態の2周波用アンテナを適用したGPSアンテナ付き車載用アンテナの1880MHzにおける水平面内指向性を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態の他の2周波用アンテナを適用した車載用アンテナのAMPSの周波数帯域におけるインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【図21】本発明の実施の形態の他の2周波用アンテナを適用した車載用アンテナのAMPSの周波数帯域におけるVSWR特性を示す図である。
【図22】本発明の実施の形態の他の2周波用アンテナ適用した車載用アンテナのPCSの周波数帯域におけるインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【図23】本発明の実施の形態の他の2周波用アンテナ適用した車載用アンテナのPCSの周波数帯域におけるVSWR特性を示す図である。
【図24】本発明の実施の形態の他の2周波用アンテナ適用した車載用アンテナの824MHzにおける水平面内指向性を示す図である。
【図25】本発明の実施の形態の他の2周波用アンテナ適用した車載用アンテナの859MHzおよび894MHzにおける水平面内指向性を示す図である。
【図26】本発明の実施の形態の他の2周波用アンテナ適用した車載用アンテナの1850MHzおよび1920MHzにおける水平面内指向性を示す図である。
【図27】本発明の実施の形態の他の2周波用アンテナ適用した車載用アンテナの1990MHzにおける水平面内指向性を示す図である。
【符号の説明】
1 車載用アンテナ、2 カバー、3 金属ベース、3a ベース取付部、3b切溝部、4 GPSアンテナ、5 2周波用アンテナ、5a 頂冠部、5b エレメント部、5c 折り返し素子、5e 整合用スタブ、6 回路基板、6a給電部、6b アース部、10 GPS用ケーブル、10a コネクタ、11電話用ケーブル、11a コネクタ、15 2周波用アンテナ、15a 頂冠部、15b エレメント部、15c 折り返し素子、15d 円筒状部、15e
整合用スタブ

Claims (5)

  1. 線状のエレメント部と、
    該エレメント部の先端に設けられていると共に、下方に傾斜されて傘状とされている頂冠部と、
    前記エレメント部の中間部をアースに短絡する整合用スタブと、
    前記エレメントの給電点と、前記頂冠部の先端とを接続する折り返し素子とを備え、
    2つの周波数帯域において動作することを特徴とする2周波用アンテナ。
  2. 前記頂冠部の先端が下方へ屈曲されて円筒状とされていることを特徴とする請求項1記載の2周波用アンテナ。
  3. 前記2つの周波数帯域の周波数比が、約1:2とされていることを特徴とする請求項1記載の2周波用アンテナ。
  4. 車体に取り付け可能な取付部が下面に形成されている金属ベースと、該金属ベースに嵌合されているカバーとからなるケース内に収納されていることを特徴とする請求項1記載の2周波用アンテナ。
  5. 前記ケース内にナビゲーション用アンテナも収納されていることを特徴とする請求項記載の2周波用アンテナ。
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