JP3654293B2 - 電子ドラム装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被打撃面を有するパッド表皮体に打撃を感知するセンシングユニットを結合してパッド体を形成し、パッド体へ打撃が加えられたときのセンシングユニットのセンサ出力に応じて楽音制御信号を発生する電子ドラム装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の装置として例えば特開平6−175651号公報あるいは特開平9−297576号公報に開示されたものがある。特開平6−175651号公報のものは、パッドラバー(パッド表皮体)に填め込まれたパッドプレートにピエゾ型圧電センサを固着するとともに、パッドプレートとベースプレートとをその各プレート周縁においてクッション材を介して接合した構造になっている。そして、パッドラバーに打撃が加えられたときのパッドプレートの振動を圧電センサで検出するようにしている。
【0003】
また、特開平9−297576号公報のものは、パッド表皮体にパッド板を固着し、パッド表皮体をその周縁の弾性保持体によりケースに固定するとともに、パッド板の周縁に溶接されたスタッドでセンサ板を保持し、このセンサ板にピエゾ型圧電センサを固着した構造になっている。そして、パッド表皮体に加えられた打撃を、パッド板およびスタッドを介してセンサ板に伝え、このセンサ板の振動を圧電センサで検出するようにしている。
【0004】
なお、一般にこの種の装置では、音量の表現力(ダイナミックレンジ)の点を考慮して、上記2つの公報のもののようにピエゾ型圧電センサを用いるのが主流となっている。その理由は、ピエゾ型圧電センサは、フォルティッシモの打撃に対してサチュレートする(出力の飽和状態の現象が現れる)ことがなく、フォルテとフォルティッシモの打撃に対して音量に差を付けることができる。これがピエゾ型圧電センサが主流であるゆえんである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特開平6−175651号公報の装置では、パッドプレートとベースプレートをその周縁においてクッション材を介して接合した構造になっているので、叩く部分に応じて感度が不均一になってしまう。例えば、クッション材の直上近辺では感度が鈍く、パッドラバーの周縁よりも中央部の方が感度良好となっている。また、特開平9−297576号公報の装置は、なるべく感度不均一にならないように改善したものであるが、ケース(固定部)に対するパッド体の保持構造が、パッド表皮体と一体に形成された弾性保持体にて周縁部でケースに固着される構造になっている。さらに、センサ板を保持する3つのスタッド(1a,1b,1c)とパッド表皮体を固定する4つの弾性保持体(5a,5b,5c,5d)との相互の位置関係が均等になっていない。このため、どこを叩いても略均一感度を得るためには不十分である。
【0006】
そこで、パッド面に対して打撃を加える位置がどこであっても、同じ打撃力なら同程度の出力が得られるような装置が要求されている。
【0007】
一方、電子ドラム等においてパッド面に発光手段を設け、パッド面の打撃位置や打撃強さ等に応じて発光位置や発光強度を制御することを、本発明者は提案している(特願平10−66090号)。このようにすると、打撃に対する視覚情報を確認でき、自分や先生による打撃位置や打撃強さ等の確認が容易にでき、練習に役に立ち速やかな上達にも寄与する。さらに、ライブ(生)演奏時には自己の演奏形態、特に打撃態様を視認することができるので、聴衆を感動させるような演奏が容易になる。
【0008】
しかし、前述のようにピエゾ型圧電センサは打撃レベルを検出するのには適しているが、パッドに対する打撃位置などを検出するのには適しておらず、従来の装置ではセンサで検出される打撃レベルに応じて音量を制御する程度に止まっている。
【0009】
また、この場合に前記従来の打楽器型楽音制御装置のようなパッド体の構造を採用すると、打撃レベルの検出は可能であってもパッド面への打撃の態様に応じた情報を得るのが困難であり、理想に近い発音形態を維持しつつ発光等の制御をうまく行なうという観点からの開発は、まだ立ち後れていた。
【0010】
また、圧電センサの出力は、一般的には楽音の基本要素の一つである例えば音量を制御するのに用いられるが、打撃の態様に応じて他の楽音要素を制御することができると、楽音のバリエーションが豊かになる。
【0011】
また、特開平6−175651号公報の装置はパッドプレートの周縁においてクッション材を介して接合した構造になっており、特開平9−297576号公報の装置はパッド表皮体をその周縁の弾性保持体によりケースに固定する構造になっている。このため、何れもパッド表皮体に対する打撃位置や打撃態様を検出したり、楽音要素を制御するための情報を得るには不向きな構造になっている。
【0012】
本発明は、発光体を発光させることにより、打撃態様を視覚表示することが可能な電子ドラム装置とするにあたり、発光体等の配設を容易にした電子ドラム装置を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の電子ドラム装置は、ケースに配設されたパッド体の被打撃面に対する打撃検出に応じて楽音信号を発生する電子ドラム装置であって、前記ケース内の基板に該パッド体に対応して配設された複数のLED光源と、前記パッド体の形状に沿って複数配置されるとともに、前記複数のLED光源各々を覆うように配設された弾性体からなる複数の発光体とを備え、前記発光体は前記LED光源から発する光を演奏者が視認可能な発光体表面に導出する導光発光手段を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項2の電子ドラム装置は、ケースに配設されたパッド体の被打撃面に対する打撃検出に応じて楽音信号を発生する電子ドラム装置であって、前記ケース内の基板に該パッド体に対応して配設されたLED光源と、前記パッド体の形状に沿って複数配置されるとともに、前記LED光源に対応して共通に設けられた弾性体からなる複数の発光体と、前記LED光源から発する光を前記複数の発光体に供給する光ファイバとを備え、前記発光体は前記光ファイバから供給された光を演奏者が視認可能な発光体表面に導出する導光発光手段を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項3の電子ドラム装置は、請求項の構成を備えるとともに、前記発光体は前記光ファイバの発光体側端部を覆うように配設されていることを特徴とする
【0018】
本発明の請求項4の電子ドラム装置は、請求項1〜3のいずれか一項の構成を備え、さらに、前記パッド体の被打撃面への打撃位置に応じて、前記複数の発光体のうち少なくともいずれかの発光体表面の輝度を変化させる変化手段を設けたことを特徴とする
【0021】
本発明の請求項5の電子ドラム装置は、ケースに配設されたパッド体の被打撃面に対する打撃検出に応じて楽音信号を発生する電子ドラム装置であって、前記ケース内の基板に該パッド体に対応して配設された複数のLED光源と、前記複数のLED光源各々に対して設けられ、前記パッド体の周縁に配設された弾性体からなる複数の発光体とを備え、前記発光体は前記LED光源から発する光を演奏者が視認可能な発光体表面に導出する導光発光手段を有し、前記パッド体の被打撃面への打撃位置に応じて、前記複数の発光体表面の輝度を変化させる変化手段を設けたことを特徴とする
【0022】
本発明の請求項6の電子ドラム装置は、請求項1、4、5のいずれか一項の構成を備え、前記LED光源は前記パッド体の下部に設けたことを特徴とする
【0024】
本発明の請求項7の電子ドラム装置は、請求項1、4、5のいずれか一項の構成を備え、前記パッド体の下部に基板を設け、該基板のパッド体対向面側に前記LED光源を配設したことを特徴とする。
【0025】
本発明の請求項8の電子ドラム装置は、請求項1〜5のいずれか一項の構成を備え、さらに、前記発光体は光反射材を有し、前記LED光源から発する光を前記光反射材により集光して前記導光発光手段に導出することを特徴とする
本発明の請求項9の電子ドラム装置は、請求項1〜5のいずれか一項の構成を備え、前記LED光源は、前記パッド体への打撃検出に応じて発光することを特徴とする。
【0026】
請求項1〜の電子ドラム装置によれば、発光体が弾性体であるので、発光体や該発光体を収容する箇所のサイズがラフでもよく、また、発光体を所定の位置に無理なく配設することが可能となる。また、パッド体に対する打撃態様を視覚的に把握することができ、例えばマンツーマンでのドラムの教習効果も高まる。また、発光をパッド体表面から視認できるので、演奏中であっても容易に視認することができる。
【0028】
なお、請求項の電子ドラム装置によれば、2つの基板ではなく1つの共通の基板にLED光源の他に固定接点などを配設することができるので、部品点数を減少させることができ、さらに基板の取り付け作業も簡単になる。さらに、LED光源と固定接点などとの位置関係が一義的に決まるので、センシングの精度や発光体の発光精度がともに向上する。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図5は、実施の形態の電子ドラム装置の上面図であり、固定部としての上面ケース10には、4つの大きな被打撃面を構成するパッド体20と、それよりも小さな被打撃面を構成する3つのパッド体20′が配設されている。上面ケース10の左右にはスピーカの放音溝30が形成され、ステレオ音を発生することができる。また、上面ケース10の演奏者側には、スイッチ類、ダイヤル、表示器等を備えた操作パネル40が配されている。さらに、本体の下方は破線で示すように凹部50が設けられており、外部のサウンドシステム等にリード線等を接続するための接続端子が設けられている。なお、以下の説明では、パッド体20を例にして打楽器型楽音制御装置の各実施例を説明するが、複数のパッド体20,20′は、同種の構造とすることもできるし、後述の各実施例のものを適宜組み合わせてもよい。
【0030】
(第1実施例)
図1は打楽器型楽音制御装置の側断面図および一部拡大断面図、図2は上面ケース10の一部平面図、図3は同打楽器型楽音制御装置におけるセンシングユニット3の平面図である。なお、図1は図5のA−A矢視断面図であり、図2および図3におけるA−A矢視断面に対応している。また、図1および図2は第1実施例と第2実施例を兼ねて図示しており、図1(B) の可動接点41および固定接点42、図2の固定接点42はそれぞれ第2実施例の場合に形成されており、第1実施例ではこの可動接点41および固定接点42はないものとする。
【0031】
上面ケース10はABS樹脂等で成形したものであり、パッド体20を収容するための円形の浅い凹部のパッド収容部1が形成されている。このパッド収容部1内には、中央に薄板円盤状に形成されたセンサ対向部11、このセンサ対向部11の外周に環状に突出された環状突部12、この環状突部12の外周に広がる環状平面部13がそれぞれ形成されている。センサ対向部11と環状突部12の間には、後述のセンサ固着体31を固定するためのネジ孔14が3カ所に形成され、さらに、センサ対向部11の一部には圧電センサ33のリード線33aを引き出すための開孔15が形成されている。
【0032】
図1に示したように、パッド体20は、パッド表皮体2とセンシングユニット3から構成され、センシングユニット3は、センサ固着体31、放射状加圧部32および圧電センサ33で構成されている。
【0033】
パッド表皮体2はゴム等の弾性部材で形成されており、略円盤形状で、その表面の被打撃面21は中央にかけて僅かに盛り上がった形状にされている。また、周縁には裏側に延びる環状のリム部22が形成されており、このリム部22の外側表面全周には、突条23(図1(B) 参照)が形成されている。リム部22の外周を図2に一点鎖線で示したように、このリム部22の直径はパッド収容部1の内法より僅かに小さな寸法であり、このパッド表皮体2をパッド収容部1内に収容でき、かつ、突条23の先端がパッド収容部1の内側面1a(図1(B) 参照)に接触するようになっている。これにより、突条23は、パッド表皮体2とパッド収容部1との隙間から塵等が進入するのを防ぐ役割をしている。さらに、パッド表皮体2の裏面には、多数の小突起24が形成されるとともに、リム部22の内側近傍で円周8等分の8箇所に弾性突起25が形成されている。弾性突起25は、側面の径を縮小した括れ部25aとこの括れ部25aより径の大きな鉤部25bを有している。
【0034】
図3に示したように、センシングユニット3のセンサ固着体31と放射状加圧部32は、高いバネ性を有するステンレス等により肉薄の円盤形状に成形されている。センサ固着体31には前記パッド収容部1のネジ孔14に対応する三箇所にネジ止め孔31aが形成されるとともに、中心に位置出し用突起31bが形成されている。放射状加圧部32には、センサ固着体31のネジ止め孔31aに対応する三箇所に、このネジ止め孔31aおよびネジ17(図1)の頭より径の大きな抜け穴32aが形成されている。また、パッド表皮体2の弾性突起25に対応する8箇所に、パッド表皮体2に固着するための孔32bが形成されている。さらに、放射状加圧部32の中央部には、薄型円錐台状に膨出させた膨出部32cが形成されており、その中心に位置決め用孔32dが形成されている。
【0035】
センサ固着体31と放射状加圧部32は、放射状加圧部32の膨出部32cをセンサ固着体31に接触させて、位置決め用突起31bを位置決め用孔32dに嵌合し、膨出部32cの部分で円周3等分の3カ所(図3の二点鎖線の部分)をスポット溶接することにより互いに固着されている。なお、センサ固着体31の中央表面には、スポット溶接後、圧電センサ33が固着される。
【0036】
ここで、この装置の組み立てについて説明する。まず、センサ固着体31のネジ止め孔31aと放射状加圧部32の抜け孔32aの位置を合わせて、このセンサ固着体31と放射状加圧部32を対向面を合わせてスポット溶接して一体に形成し、これに圧電センサ33をその金属面側とセンサ固着体31とを対向貼着させる。これにて圧電センサ33、センサ固着体31および放射状加圧部32が一体成形される。そして、これに圧電センサ33のリード線33aを付着させる。
【0037】
次に、リード線33aを開孔15から本体内部側に引き出し、センサ固着体31をパッド収容部1の環状突部12の内側に嵌合するとともに、放射状加圧部32の抜け穴32aおよびセンサ固着体31のネジ止め孔31aを介してネジ17(図1)をパッド収容部1のネジ孔14に螺合し(3箇所)、センサ固着体31をパッド収容部1内に取り付ける。次に、パッド表皮体2の弾性突起25を放射状加圧部32の孔32bの位置に合わせてパッド表皮体2を放射状加圧部32に被せる。そして、パッド表皮体2の被打撃面21側から押圧し、弾性突起25を孔32b内に圧入する。これにより、弾性突起25の先端の鉤部25bが孔32bを通って環状平面部13側で再び拡張することにより、放射状加圧部32がその周縁部32Aでパッド表皮体2に固着される。
【0038】
なお、パッド表皮体2の裏面に形成された多数の小突起24は次のような役目をする。各小突起24は、放射状加圧部32への弾性突起25の圧入にて放射状加圧部32とパッド表皮体2とが固着されたとき、この小突起24が放射状加圧部32の上面に常に圧接するように設けられている。すなわち、この小突起24の弾性力によりパッド表皮体2と放射状加圧部32との一体化が確実になるとともに、強打時に放射状加圧部32が多少変形してもその変形が小突起24で吸収される。これにより、パッド表皮体2への打撃力が放射状加圧部32に忠実に伝えられる。
【0039】
以上のように、被打撃面21を有するパッド表皮体2にセンシングユニット3を結合してパッド体20が形成され、このパッド体20をセンシングユニット3側にて固定部である上面ケース10に取り付けられた構造になっている。また、センシングユニット3は、放射状加圧部32の放射方向中心部に圧電センサ33が設けられ、該圧電センサ33が上面ケース10(固定部)に対しセンサ固着体31(弾性体)にて浮設され、放射状加圧部32がその周縁部32Aでパッド表皮体2に固着された構造になっている。
【0040】
図4は実施の形態の作用図であり、同図に基づいて実施の形態の作用を説明する。なお、図4は図2および図3におけるB−B矢視に対応する側断面を示しており、同図は解りやすくするために厚み等を誇張するとともに細部を省略して図示してある。図4(A) は打撃が加えられていない状態である。図4(B) はパッド表皮体2の周縁の一部に打撃(矢印)が加えられた状態であり、放射状加圧部32は、その膨出部32c自体も変形しつつこの膨出部32cによってセンサ固着体31の中央部に加圧力を加える(変位量A)。そして、センサ固着体31が圧電センサ33側が膨らむように弾性変形する。
【0041】
図4(C) は図4(B) の状態よりも強い打撃が加えられた状態であり、センサ固着体31の弾性変形が大きくなる(変位量B、B>A)。しかし、弾性突起25の鉤部25bの下面およびリム部22の下面がパッド収容部1の環状平面部13に当接し、センサ固着体31はそれ以上変形しなくなる。すなわち、弾性突起25とリム部22が共動してストッパの役目を果たしている。これにより、圧電センサ33の過剰な変形が防止される。図4(D) は、パッド表皮体2の中央に打撃が加えられた場合を示しており、この場合はパッド表皮体2は全体的に一定となるように変位し(C1=C2)、主にセンサ固着体31が変形してその中央部を中心にして圧電センサ33側が膨らむように弾性変形する。
【0042】
このようにセンサ固着体31とともに圧電センサ33が変形し、圧電センサ33は圧電効果によりピエゾ電気が発生しリード線33aから出力される。なお、1回の打撃に対する時系列な動作は次のようになる。パッド表皮体2に対して打撃を加えた場合、パッド表皮体2の変位は、例えば図4(A) から図4(B) または図4(C) に移行し、すぐに図4(A) の方向に少し戻り、この過程により交番的な振動が繰り返される。すなわち、図4(A) と図4(B) の状態を繰り返しながら振動が減衰していき、その振動に応じた出力信号が圧電センサ33から得られる。打撃の仕方によっては、交番振動ではなく、1往復変位となり変位と振動がほぼ一致するパルス的信号が得られる。この場合、変位信号は、行きと帰りで極性が異なる信号となるが、「行き(図4(B) のとき)」のみ検出するものとする。そして、圧電センサ33の出力信号の処理として、例えば出力信号のエンベロープを検出し、そのエンベロープからトリガ信号やレベル信号を検出して楽音の発音制御等を行なう。
【0043】
以上のように、放射状加圧部32とセンサ固着体31は両者が放射状(上記の例では円形)で両者がその中央部で固着されているので、パッド表皮体2(および放射状加圧部32)に加えられる打撃力は、放射状加圧部32の中央部に集中し、そこからセンサ固着体31の中央部に力を伝えることになる。これにより、センサ固着体31はその中央部を中心に変形し、圧電センサ33も同様に変形する。したがって、打撃力のかけ方が同程度であれば、パッド表皮体2のどの部分に打撃力が加えられても圧電センサ33から同程度の出力信号が得られる。これにより、振動入力がパッド体20のパッド収容部1(取付部)を除く何れの方向から入力されてもその入力レベルに見合った感応がなされる。
【0044】
なお、圧電センサ33の出力がノイズ程度の場合には発音しないようにするために、この圧電センサ33の出力が所定のしきい値以上となった場合に発音を開始する。
【0045】
以上の第1実施例では、パッド表皮体2に形成された弾性突起25とリム部22とにより、下限のストッパを構成するようにしているが、弾性突起25だけまたはリム部22だけでストッパを構成してもよい。
【0046】
(第2実施例)
前述のように図1と図2は第2実施例をも示しており、第2実施例では図1(B)に示したように、弾性突起25の鉤部25aの下面に導電性部材の印刷等により可動接点41が形成され、パッド収容部1の環状平面部13には、8つの弾性突起25の各可動接点41にそれぞれ対応する位置に固定接点42が形成されている(図2参照)。この固定接点42と対応する可動接点41はそれぞれ接点スイッチを構成している。なお、ドーナツ盤状のフレキシブル基板に固定接点42を形成し、このフレキシブル基板を環状平面部13に配設することにより固定接点42を可動接点41に対応させて配置するようにしてもよい。
【0047】
なお、可動接点41および固定接点42は例えば図9のようになっている。固定接点42は、2つのフォーク型の固定接点パターン42a,42bをフォークの部分が互いに入れ違いになるように印刷配線したものであり、一方の固定接点パターン42aは他のスイッチとの共通ラインに接続され、他方の固定接点パターン42bは、このスイッチであることを示す固有のものとして検出回路等に接続されている。また、可動接点41は弾性突起25の鉤部25aの球面状の下面に円形に形成されたものであり、鉤部25aが環状平面部13に当接してストッパとして働くとき、この鉤部25aが弾性変形することにより、図9(B) に破線で示したように、可動接点41が固定接点42上に円形の接触面となって接触される。これにより、固定接点パターン42a,42bが導通され、スイッチがオンとなる。すなわち、打撃が小さいときは、例えば図4(B) のように弾性突起25が環状平面部13に当接しないので、スイッチはオンとならないが、打撃が大きくなると弾性突起25が環状平面部13に当接して、スイッチがオンとなる。そこで、このスイッチのオン状態を検出して楽音の制御を行なう。
【0048】
上記の実施例では可動接点41と固定接点42により1段のスイッチを構成する場合を示したが、例えば図10(A) のような可動接点43、同図(B) のような固定接点44を形成し、可動接点41と固定接点42を一組、可動接点43と固定接点44を一組とし、2段のスイッチを構成してもよい。なお、固定接点パターン44a,44bの交差する部分は、レジストをかけるか、スルーホールとブリッジにより形成することができる。この2段のスイッチの場合、ある程度の打撃で可動接点41が固定接点42に接触して1段目のスイッチがオンとなり、さらに強い打撃のとき鉤部25aが弾性変形して外側の可動接点43が固定接点44に接触し、2段目のスイッチがオンとなる。
【0049】
次に、上記スイッチの作動に基づく楽音制御の例について説明する。なお、図2に各固定接点42に対して記号S1〜S8を付けたように、8つの各スイッチをS1〜S8で区別して説明する。演奏者側(手前)のスイッチがS5、右手のスイッチがS3、左手のスイッチがS7に対応している。また、以下の▲1▼〜▲5▼の各制御例において、楽音の基本要素の1つである基本的な楽音レベルは、従来同様に圧電センサ33の出力信号に対応して制御する。
【0050】
▲1▼S1,S3,S5,S7の4つスイッチのオン状態に応じて音色フィルタを制御して音色を制御する。例えばスイッチS7がオンのとき音色を一番暗い音色(高調波成分が少ない音色)にし、スイッチS3がオンのときは、一番明るい音色(高調波成分が多い音色)にする。また、スイッチS1がオンまたはスイッチS5がオンのときは、中間の明るさの音色にする。
【0051】
▲2▼スイッチS1〜S8の8つのスイッチのオン状態に応じて音色を制御する。発生する音色の明るさを段階的に予め設定しておき、スイッチS1〜S8の何れか1つがオンとなると、音色を1段階明るくする。2つ目のオンによりさらに1段階明るくし、8個オンされると一番明るくする。なお、この音色の明るさを段階的に変化させるためには、例えば音色フィルタのカットオフ周波数を段階的に切り換えるようにすればよい。また、操作パネル等の何らかのスイッチと併用して音色を明るくする方に制御するか暗くする方に制御するかを切り換えられるようにするとよい。
【0052】
▲3▼上記同様にスイッチS1〜S8の8つのスイッチのオンの数に応じて音量レベルを段階的に制御する。なお、この音量レベルの制御とは、圧電センサ33の出力に応じて決まる基本的な音量レベルに対してさらに音量の増分を与えるようにすることである。また、この場合も他のスイッチと併用して音量レベルを段階的に増加させるか段階的に減少させるかを切り換えられるようにするとよい。
【0053】
▲4▼実施形態の電子ドラム装置の前方、後方および左右にそれぞれスピーカを配置し、スイッチS1〜S8のオンに応じてこのスピーカでパンニングの制御を行なう。例えばスイッチS1のオンで、前方スピーカの音を強調するか前方スピーカのみ発音する。同様に、スイッチS7のオンで左スピーカ、スイッチS5のオンで手前スピーカ(本体のスピーカ)または後方スピーカ、スイッチS3のオンで右スピーカを、それぞれ強調するかそれだけ発音するかの制御を行なう。また、スイッチS2,S4,S6,S8については、オンされたスイッチの方向に音像定位を設定する。また、スイッチS1,S8,S7が3つともオンのときは、S8だけがオンのときよりもS8方向への指向性を強調するように制御するなど、複数のスイッチのオンの組み合わせに応じて制御してもよい。
【0054】
▲5▼発音時には圧電センサ33の出力が所定のしきい値を越えたときに発音するが、このしきい値を越えた時刻から所定時間後、再発音可能時刻までの間(30〜100ms以下)に各スイッチの何れかまたは複数がオンされた場合、重音とする。この重音とは、例えば、スネアドラムの発音では、通常は皮の振動による音のみを発音するが、この皮の音にドラム裏側の響き線(スナッピー)の音をミックスすることである。また、前記2段式のスイッチの場合、2段目のスイッチのオンにより重音のミックス度合を増すように制御することもできる。
【0055】
以上のように、スイッチS1〜S8のオフ/オンは、パッド表皮体2の被打撃面21と環状平面部13との距離(すなわち固定部としての上面ケース10との距離)の変化情報に対応しており、この変化情報に基づいて、音量レベル(楽音の基本要素の1つ)以外の楽音要素を制御している。さらに、2段式スイッチの場合、両段スイッチのオフ、1段目がオン、2段目もオンの各状態は、上記距離の変化情報に対応している。
【0056】
(第3実施例)
図6は第3実施例の打楽器型楽音制御装置の一部断面図、図7は第3実施例におけるパッド表皮体の平面図であり、図6,図7において第1実施例と同様な要素には同符号を付記してその詳細な説明は省略する。この第3実施例はパッド表皮体2の周縁部に配設した発光体5を発光させることにより、打撃態様を視覚表示するようにしたものであり、この発光体5の部分以外は第1実施例と同様な構造である。すなわち図6は図7のC−C矢視断面に対応しているが、図7に示したパッド表皮体2の弾性突起25を通るA−A矢視断面は図1に示した第1実施例と同様な構造である。また、この第3実施例のパッド表皮体2とセンシングユニットの構造も、パッド表皮体2および放射状加圧部32にそれぞれ発光体5を嵌める孔2a,32e(図6)が形成されている点以外は、第1実施例と同様な構造である。
【0057】
パッド収容部1の環状平面部13には、この環状平面部13に整合するドーナツ盤状のフレキシブル基板6が配設されており、このフレキシブル基板6の上面には第1、第2の固定接点62,64、およびLED光源65が設けられている。なお、LED光源65は図示しない駆動回路で発光輝度が制御され、所定の輝度レベルで発光する。
【0058】
発光体5はパッド表皮体2の周縁部の各弾性突起25の間に1個づつ計8個配設されており、この発光体5は、LED光源65の発した光を透過可能な程度に透明で且つ弾性を有するゴム等の材料でできている。発光体5の全体の形状は、図6の断面を発光体5の縦中心線を軸にして回転した略回転体(上端部を除く)の形状をしており、略円柱状の導光発光部51、導光発光部51より径の大きな集光部52および集光部52の下端周縁から広がる脚部53が一体に形成されている。そして、発光体5は、導光発光部51を放射状加圧部32の孔32eとパッド表皮体2の孔2aに貫通させ、接着等によりパッド表皮体2に取り付けられている。
【0059】
集光部52の下面にはドーム状の凹面52aが形成されており、この凹面52aとLED光源65との間に中空部52bが形成され、凹面52aの下部には白色塗料52cが塗布されている。また、脚部53は、第1のスカート部53a、第2のスカート部53b、第3のスカート部53cおよびフランジ部53dからなり、発光体5は、フランジ部53dがフレキシブル基板6の上面に接触し、集光部52および脚部53が固定接点62,64およびLED光源65を覆うように配置される。
【0060】
また、第1のスカート部53aと第2のスカート部53bの間の裏面には、第1の可動接点61が第1の固定接点62に対向するように設けられている。また、第2のスカート部53bと第3のスカート部53cの間の裏面には、第2の可動接点63が第2の固定接点64に対向するように設けられている。そして、可動接点61と固定接点62により第1のスイッチSW1が構成され、可動接点63と固定接点64とにより第2のスイッチSW2が構成される。
【0061】
以上の構成により、脚部53のスカート部53a,53b,53cが弾性変形することにより、パッド表皮体2への打撃時に、導光発光部51および集光部52がパッド表皮体2と共に、打撃方向(上下方向)に移動可能になっている。これにより、パッド表皮体2の被打撃面21と環状平面部13との距離(すなわち、固定部としての上面ケース10との距離)の変化が、集光部52とLED光源65との距離の変化となる。この距離の変化は後述説明するように導光発光部51の発光強度の変化となって現れる。また、ある程度の強度の打撃に対しては、固定接点62に可動接点61が接触して第1のスイッチSW1がオンとなり、さらに強い強度の打撃に対しては、固定接点64に可動接点63が接触し、第1のスイッチSW1と共に第2のスイッチSW2もオンとなる。
【0062】
ここで、LED光源65からの光の一部は発光体5の集光部52の凹面52aに入射し、この入射光は導光発光部51で上方に導光され、この導光発光部51の上端面51aから出射するので、パッド表皮体2の周縁部の8カ所で発光体5が光って見える。また、パッド表皮体2の打撃時には、LED光源65が中空部52bにほぼすっぽり囲まれ、白色塗料52cの反射効果と相まって、LED光源65の発光した光が四方へ逃げず、集光部52による集光効率が高められる。これは、LED光源65を中心にして凹面52aがつくる立体角が大きくなり、LED光源65から凹面52aに入射する光束が増加するからである。これにより、パッド表皮体2に打撃を加えないときよりも打撃を加えたときの方が、導光発光部51の上端面51aの輝度が高くなる。また、打撃の強度に応じてこの上端面51aの輝度が変化するので、打撃の強度を視覚的に表示でき、演奏者等はそれを視認できる。このように、打撃時の輝度変化をメカニカルシステムのみで実現しており、その構成のシンプル化が計られている。
【0063】
この第3実施例は次のように作用する。先ず、音量レベルは第1、第2実施例と同様に圧電センサ33の出力に応じて制御する。また、第1、第2のスイッチSW1,SW2を不使用とし、LED光源65を常時発光状態とする。なお、常時点滅でもよい。この状態で、非打撃時には、パッド表皮体2の周縁部に設けられた8つの発光体5が常時ぼんやりと光っているが、打撃時には、打撃位置に応じて、かつ打撃強さによって発光体5の発光輝度の態様が変化する。これは、パッド表皮体2の全体をみた場合、演奏態様によって表示態様が変化することを示している。
【0064】
各発光体5の発光強度は、被打撃面21のその発光体5が配設されている位置とLED光源65との距離が近くなると強くなり、その距離が離れると弱くなる。また、パッド表皮体2は、前述のように上面ケース10に対して、放射状加圧部32およびセンサ固着体31により中央部で保持されているので、パッド表皮体2は片側縁部に打撃が加えられると、その打撃が加えられた部分は沈むがその反対側は僅かに浮き上がる傾向にある。
【0065】
したがって、例えば図11に示したように、パッド表皮体2の周縁部に打撃を加えた場合、打撃の瞬間、その打撃位置(スティック周辺の位置)の発光体5による発光表示H1が最も明るくなり、その発光表示H1と反対側の発光表示H2は暗くなる。また中間の発光表示H3は中程度の明るさとなる。また、パッド表皮体2の中央に打撃を加えた場合は全体の発光表示が打撃の瞬間だけ明るくなる。なお、打撃位置をずっと押していれば、上記の表示態様が持続する。さらに、2本のスティックで連打をした場合、各々のスティックの近くの発光表示が打撃の瞬間に明るくなり、2本のスティックの位置の発光表示の明暗が交互に繰り返され、連打のピッチ(発音間隔)等が明暗の発光態様によって視覚的にも把握することができる。したがって、例えばマンツーマンでのドラムの教習効果も高まる。
【0066】
次に、第1のスイッチSW1,第2のスイッチSW2も使用する場合に、例えば次の▲1▼〜▲4▼のような制御を行なう。なお、以下の▲1▼〜▲4▼の各制御例において、楽音の基本要素の1つである基本的な楽音レベルは、前記同様に圧電センサ33の出力信号に対応して制御する。また、図12に示した回路により、スイッチSW1,SW2に対応するLED光源65(スイッチSW1,SW2と同一の発光体5の位置にあるLED光源65)の明るさを、スイッチSW1,SW2のオン/オフにより制御する。すなわちスイッチSW1がオンの時LED光源65を点灯し、スイッチSW2がさらにオンになると明るく点灯する。また、スイッチSW1,SW2のオン/オフの信号はCPU等により検出されて、音色等の楽音を制御する。
【0067】
▲1▼例えば8組の各組のスイッチSW1,SW2のうち、スイッチSW1のオンにより前記第2実施例のように音色を1段階明るくする。また、8組の各組のスイッチSW1,SW2のうち、SW1またはSW2にかかわらず、単純にオンの数が増える毎に高調波成分を増やしていくなどの制御を行なう。また、この場合も他のスイッチと併用して音色を明るくする方に制御するか暗くする方に制御するかを切り換えられるようにするとよい。
【0068】
▲2▼8組の各組のスイッチSW1,SW2のうち、SW1またはSW2にかかわらず、単純にオンの数により、第2実施例の▲3▼と同様に音量レベルを段階的に制御する。また、この場合も他のスイッチと併用して音量レベルを段階的に増加させるか段階的に減少させるかを切り換えられるようにするとよい。
【0069】
▲3▼8組の各組のスイッチSW1,SW2のオン状態に応じて、第2実施例の▲4▼と同様にパンニングの制御を行なう。ただし、SW1,SW2がともにオンのときは、そのスイッチの組の方向への指向性をさらに強調する。
【0070】
▲4▼各組のスイッチSW1,SW2のうち、一組でもSW1,SW2がともにオンとなったとき、重音とする。
【0071】
以上のように、この実施例では、パッド表皮体2の被打撃面21とパッド収容部1の環状平面部13との距離の変化に基づいてパッド体20の打撃態様に応じた視覚情報を得るようにしている。また、各発光体5の位置において、スイッチSW1,SW2のオフ/オンは、上記被打撃面21と環状平面部13との距離の変化情報に対応しており、この変化情報に基づいて、楽音の基本要素の1つである音量レベル以外の楽音要素を制御している。
【0072】
(第4実施例)
図8は第4実施例の打楽器型楽音制御装置の一部断面図であり、図8において前記各実施例と同様な要素には同符号を付記してその詳細な説明は省略する。この第4実施例は、第3実施例のフレキシブル基板6、スイッチSW1,SW2を省くとともに、LED光源65の代わりに光ファイバ7により発光体8に光を照射するようにしたものである。なお、この第4実施例でも、発光体8と光ファイバ7に係る部分以外は前記各実施例と同様な構造であり、図8は図7のC−C矢視断面に対応し、また、パッド表皮体2とセンシングユニットの構造も第3実施例と同様な構造である。
【0073】
発光体8は第3実施例の発光体5に代えてパッド表皮体2の周縁部に8個配設したもので、発光体5と同様に透明で且つ弾性を有するゴム等の材料でできている。発光体8の全体の形状も発光体5と略同様な形状で、略円柱状の導光発光部81、集光部82および脚部83が一体に形成されており、導光発光部81を放射状加圧部の孔32eとパッド表皮体2の孔2aに貫通させ、接着等によりパッド表皮体2に取り付けられている。ただし、発光体5と異なるのは、脚部83はパッド表皮体2への打撃時に弾性変形する一つのスカート部83aと、フランジ部83bで構成されている点である。
【0074】
パッド収容部1の環状平面部13には、ファイバ取付孔16が形成されており、このファイバ取付孔16には、光ファイバ7の先端を保持するファイバ保持部材71が嵌合され接着等により取り付けられている。なお、ファイバ保持部材71の側面にスナップ手段を施し、ファイバ取付孔16(上面ケース10)に対して着脱自在となるようにしてもよい。光ファイバ7はファイバ取付孔16から表ケース10の裏側の本体内部に引き出されている。この光ファイバ7は環状片面部13の他の7カ所にも同様の構成で設けられており、合計8本の光ファイバ7が一束に纏められ、一つのLED光源72に導かれている。
【0075】
なお、ファイバ保持部材71への光ファイバ7の取付けは次のように行なう。図13に示したように、ファイバ保持部材71の孔71aに光ファイバ7の先端を挿入し、光ファイバ7の先端を孔71aの周縁よりも少し内側に引き込んでおく(図13(A) )。そして、光ファイバ7の先端に、光ファイバ7と同じ屈折率の液状接着剤を1、2滴たらす(図13(B) )。これにより、孔71aと光ファイバ7との隙間に接着剤が僅かに入って光ファイバ7とファイバ保持部材71が接着されるとともに、光ファイバ7の先端と孔71aの周縁内側に接着剤により半球状のレンズ部73(図13(C) )を形成することができる。なお、このレンズ部73は光ファイバ7で導かれた光を放射状に出射する。
【0076】
LED光源72は図示しない駆動回路で発光輝度が制御され、圧電センサ33の出力が所定のしきい値に達したとき、すなわち発音するとき、このLED光源72は一定の輝度レベルで発光する。そして、LED光源72から8本の光ファイバ7に光が照射され、光ファイバ7の発光体8側端部のレンズ部73から、発光体8の集光部82に光が照射される。これにより、導光発光部81の上端面81aが発光する。
【0077】
この第4実施例は次のように作用する。なお、音量レベルは圧電センサ33の出力に基づいて制御することは前記各実施例と同様である。この第4実施例では、圧電センサ33の出力がしきい値を越えるような所定レベルの打撃が加えられると8本の光ファイバ7の各レンズ部73が一定の輝度で発光する。しかし、前掲の図11に示した第3実施例の場合と同様に、打撃位置に近い発光表示が最も明るくなり、打撃位置から離れた発光表示は暗くなる。打撃の強度が高いと明るく、強度が低いと暗い発光表示となる。このように、打撃の態様を視覚的にも把握することができる。なお、この実施例の場合でも、常時発光する仕様にしてもよい。
【0078】
また、この第4実施例でも、発光体8の集光部82の下面に可動接点を、環状平面部13に固定接点を設けてスイッチを構成することにより、第2実施例の▲1▼〜▲5▼と同様な制御が可能である。
【0079】
以上の各実施例では、センサ固着体と放射状加圧部が円形であるが、パッド表皮体2の裏面に例えば硬質な板材を配設してパッド表皮体2の裏面の略全面を補強するようにすれば、センサ固着体および放射状加圧部としては、三角、四角、…、多角形、円、Y型、星形等の略回転対称な形状であればよい。
【0080】
【発明の効果】
本発明の請求項1〜の電子ドラム装置によれば、発光体が弾性体であるので、発光体や該発光体を収容する箇所のサイズがラフでもよく、また、発光体を所定の位置に無理なく配設することが可能となる。パッド体に対する打撃態様を視覚的に把握することができ、例えばマンツーマンでのドラムの教習効果も高まる。また、発光をパッド体表面から視認できるので、演奏中であっても容易に視認することができる。
【0082】
また、本発明の請求項の電子ドラム装置によれば、2つの基板ではなく1つの共通の基板にLED光源の他に固定接点などを配設することができるので、部品点数を減少させることができ、さらに基板の取り付け作業も簡単になる。さらに、LED光源と固定接点などとの位置関係が一義的に決まるので、センシングの精度や発光体の発光精度がともに向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1および第2実施例の打楽器型楽音制御装置の側断面図および一部拡大断面図である。
【図2】第1および第2実施例の電子ドラム装置の上面ケースの一部平面図である。
【図3】第1および第2実施例の打楽器型楽音制御装置におけるセンシングユニットの平面図である。
【図4】各実施例の打楽器型楽音制御装置の作用図である。
【図5】各実施例の打楽器型楽音制御装置を適用した電子ドラム装置の上面図である。
【図6】第3実施例の打楽器型楽音制御装置の一部断面図である。
【図7】第3実施例におけるパッド表皮体の平面図である。
【図8】第4実施例の打楽器型楽音制御装置の一部断面図である。
【図9】第2実施例における1段スイッチの可動接点と固定接点の例を示す図である。
【図10】第2実施例における2段スイッチの可動接点と固定接点の例を示す図である。
【図11】第3実施例および第4実施例におけるパッド表皮体への打撃時の発光表示の例を示す図である。
【図12】第3実施例における第1および第2のスイッチによるLED光源の駆動回路の例を示す図である。
【図13】第4実施例におけるファイバ保持部材への光ファイバの取付け方法を説明する図である。
【符号の説明】
1…パッド収容部、2…パッド表皮体、3…センシングユニット、10…上面ケース、20,20′…パッド体、21…被打撃面、32A…周縁部、41…可動接点、42…固定接点、65,72…LED光源

Claims (9)

  1. ケースに配設されたパッド体の被打撃面に対する打撃検出に応じて楽音信号を発生する電子ドラム装置であって、
    前記ケース内の基板に該パッド体に対応して配設された複数のLED光源と、
    前記パッド体の形状に沿って複数配置されるとともに、前記複数のLED光源各々を覆うように配設された弾性体からなる複数の発光体とを備え、
    前記発光体は前記LED光源から発する光を演奏者が視認可能な発光体表面に導出する導光発光手段を有すること
    を特徴とする電子ドラム装置。
  2. ケースに配設されたパッド体の被打撃面に対する打撃検出に応じて楽音信号を発生する電子ドラム装置であって、
    前記ケース内の基板に該パッド体に対応して配設されたLED光源と、
    前記パッド体の形状に沿って複数配置されるとともに、前記LED光源に対応して共通に設けられた弾性体からなる複数の発光体と、
    前記LED光源から発する光を前記複数の発光体に供給する光ファイバとを備え、
    前記発光体は前記光ファイバから供給された光を演奏者が視認可能な発光体表面に導出する導光発光手段を有すること
    を特徴とする電子ドラム装置。
  3. 前記発光体は前記光ファイバの発光体側端部を覆うように配設されていること
    を特徴とする請求項2記載の電子ドラム装置。
  4. さらに、前記パッド体の被打撃面への打撃位置に応じて、前記複数の発光体のうち少なくともいずれかの発光体表面の輝度を変化させる変化手段を設けたこと
    を特徴とする請求項1〜3記載の電子ドラム装置。
  5. ケースに配設されたパッド体の被打撃面に対する打撃検出に応じて楽音信号を発生する電子ドラム装置であって、
    前記ケース内の基板に該パッド体に対応して配設された複数のLED光源と、
    前記複数のLED光源各々に対して設けられ、前記パッド体の周縁に配設された弾性体からなる複数の発光体とを備え、
    前記発光体は前記LED光源から発する光を演奏者が視認可能な発光体表面に導出する導光発光手段を有し、
    前記パッド体の被打撃面への打撃位置に応じて、前記複数の発光体表面の輝度を変化させる変化手段を設けたこと
    を特徴とする電子ドラム装置。
  6. 前記LED光源は前記パッド体の下部に設けたこと
    を特徴とする請求項1、4、5記載の電子ドラム装置。
  7. 前記パッド体の下部に基板を設け、
    該基板のパッド体対向面側に前記LED光源を配設したこと
    を特徴とする請求項1、4、5記載の電子ドラム装置。
  8. さらに、前記発光体は光反射材を有し、
    前記LED光源から発する光を前記光反射材により集光して前記導光発光手段に導出すること
    を特徴とする請求項1〜5記載の電子ドラム装置。
  9. 前記LED光源は、前記パッド体への打撃検出に応じて発光すること
    を特徴とする請求項1〜5記載の電子ドラム装置。
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