JP3654269B2 - α−オレフィンの低重合方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、クロム−ピロリル結合を含むクロム化合物とアルキルアルミニウム化合物からなる触媒を用いて、α−オレフィン、特にエチレンを低重合させ、選択的に三量体を主体とした生成物を高収率で得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、特定のクロム化合物と特定の有機アルミニウム化合物の組み合わせからなる触媒を用い、エチレン等のα−オレフィンを低重合することは知られている。例えば、公告特許公報昭43−18707では、一般式MXn で表されるCrを含むVIA族の遷移金属化合物とポリヒドロカルビルアルミニウムオキシドからなる触媒系により、エチレンから1−ヘキセンとポリエチレンを得る方法が記載されており、また、公開特許公報平3−128904ではクロム塩、金属アミド及び電子対供与性溶媒の混合物から得られるクロム含有化合物と、金属アルキル又はルイス酸との組み合わせにより得られた触媒を用いて、α−オレフィンを三量化する方法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のうち、前者では、1−ヘキセンと同時に生成するポリエチレンの量が多く、ポリエチレンの量を少なくしようとすると、全体の活性が低下するという問題があり、一方、後者では、高分子量重合体の生成量は少ないが、触媒活性が低いという問題がある。
【0004】
本発明は、上記のような従来方法の持つ問題を解決し得る、新規なα−オレフィンの低重合方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも一つのクロム−ピロリル結合を持つクロム化合物とアルキルアルミニウム化合物を触媒として用いてα−オレフィンを低重合する方法において、クロム化合物1gに対してアルキルアルミニウム化合物の使用量を20mmol以上とすることを特徴とする、α−オレフィンの低重合方法に関するものである。
【0006】
本発明において使用されるクロム−ピロリル結合を含むクロム化合物とは、少なくとも一つのクロム−ピロリル結合を持つ化合物であり、他の有機基、無機基を有していて良く、更に、他の金属を含んでいてもよい。また、本発明においては、以下に述べるようなクロム−ピロリル結合を持つクロム化合物を製造する方法により、IA族、IIA族、 IIIB族、及びIVB族の金属の化合物との混合物としてクロム化合物が得られる場合があるが、本発明においてはこのような混合物も含めてクロム化合物と総称する。
【0007】
クロム−ピロリル結合を含むクロム化合物は、例えば、クロム塩及び金属ピロリドを電子供与性溶媒中で反応させることにより得られる。ここで、クロム塩は一般式CrXn (式中、Xは同一、又は、相互に異なる任意の有機又は無機の基であり、nは1ないし6の整数である。)で表される。nの数としては2,3が好ましい。有機基としては、炭化水素基、アルコキシ基、カルボキシル基、β−ジケトナート基及びアミド基等が挙げられる。有機基の炭素数は通常1〜30であり、炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基等が挙げられる。無機基としては、ハロゲン、硝酸基、硫酸基、または酸素が挙げられる。好ましくは、クロム塩はハロゲン化物であり、塩化第一クロム、塩化第二クロム、臭化第一クロム、臭化第二クロム、ヨウ化第一クロム、ヨウ化第二クロム、フッ化第一クロム、フッ化第二クロム等が挙げられ、特に塩化第一クロム、塩化第二クロムが好ましい。また、これらのクロム塩と後述の電子供与体からなる錯体も用いることができる。
【0008】
金属ピロリドはピロール、及びピロールの誘導体から誘導されるものを指し、ピロール誘導体としては2,5−ジメチルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジクロロピロール、2,3,4,5−テトラクロロピロール、2−アシルピロール等が挙げられ、金属としては水素を含むIA族、IIA族、IIIB族、及びIVB族から選択される。好ましい金属ピロリドとしては、リチウムピロリド、ナトリウムピロリド、カリウムピロリド、セシウムピロリド等が挙げられる。また、金属ピロリドの代わりに、ピロール、およびピロール誘導体そのものを用いてもよい。
【0009】
電子供与性溶媒としては、窒素、酸素、リン、及び硫黄含有化合物の中から選択される。窒素含有化合物としては、ニトリル、アミン、アミドが挙げられ、具体的には、アセトニトリル、ピリジン、ジメチルピリジン、ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アニリン、ニトロベンゼン、テトラメチルジアミノメタン、ヘキサメチルジシラザン、ピロリドン等が挙げられる。酸素含有化合物としては、エステル、エーテル、ケトン、アルコール、アルデヒド等が挙げられ、具体的にはエチルアセテート、メチルアセテート、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、アセトアルデヒド等が挙げられる。リン化合物としては、ヘキサメチルフォスフォルアミド、ヘキサメチルフォスフォラストリアミド、トリエチルフォスファイト、トリブチルフォスフィンオキシド、トリエチルフォスフィン等が例示される。硫黄含有化合物としては、二硫化炭素、ジメチルスルフォキシド、テトラメチレンスルフォン、チオフェン、ジメチルスルフィド等が例示される。以上の電子供与体溶媒のなかでは、エーテル類が好ましく、中でも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタンが好ましい。
【0010】
クロム塩と金属ピロリドを電子供与性溶媒の中で反応させる方法としては、所望の比率でクロム塩と金属ピロリドを混合し、好ましくは酸素分子の不存在下、通常は常圧で反応させる。反応温度は任意の温度でよいが、溶媒の還流下で反応させることが好ましい。反応時間は、通常は30分から48時間の間である。反応終了後、ろ過により副生成物を除去した後、過剰の電子供与性溶媒を除去することが好ましい。電子供与性溶媒を除去する方法としては、高温または常温下、減圧または不活性ガスの流通により留去する方法、あるいはクロム化合物が不溶な電子供与性溶媒以外の溶媒を添加した後、生成したクロム化合物沈澱をろ別し、更に添加した溶媒で洗浄して電子供与性溶媒を除去する方法等が挙げられる。電子供与体性媒以外の溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の直鎖状または脂環式の飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン等の鎖状塩素化炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化芳香族炭化水素等が挙げられるが、直鎖状または脂環式の飽和炭化水素を用いることが好ましい。
【0011】
本発明において使用される少なくとも一つのクロム−ピロリル結合を含むクロム化合物を得る他の方法は、電子供与性溶媒以外の溶媒に可溶のクロム化合物と金属ピロリドを反応させる方法である。電子供与性溶媒以外の溶媒としては、上記で電子供与性溶媒を除去するのに用いられた溶媒が用いられる。電子供与性溶媒以外の溶媒に可溶のクロム化合物としては、上述のハロゲン化クロムと電子供与体の錯体、例えば、ハロゲン化クロムのエーテル錯体、エステル錯体、ケトン錯体、アルデヒド錯体、アルコール錯体、アミン錯体、ニトリル錯体、フォスフィン錯体、チオエーテル錯体等が挙げられ、具体的にはCrCl3・3THF,CrCl3 ・3dioxane,CrCl3 ・(CH3CO2n-C4H9 ),CrCl3 ・(CH3 COC2H5 ),CrCl3・3(i−C3H7 OH),CrCl3 ・3[CH3 (CH2 )3 CH(C2H5 )CH2 OH],CrCl3 ・3Pyridine,CrCl3・2(i−C3 H7 NH2 ),[CrCl3・3MeCN]・MeCN(MeCN=アセトニトリル),CrCl3・3PPh3 (PPh3 =トリフェニルフォスフィン),CrCl2・2THF,CrCl2 ・2Pyridine,CrCl2 ・2[(C2 H5 )2NH ],CrCl2 ・2MeCN(MeCN=アセトニトリル),CrCl2・2[P(CH3)2Ph](Ph=フェニル基)等が挙げられ、また、クロムのβ−ジケトナート塩、クロムのカルボン酸塩、クロムのカルボニル錯体、クロムの各種シクロペンタジエニル錯体、アルキル錯体、フェニル錯体、具体的には、Cr[CH3 COCH=C(O−)CH3 ]3 ,Cr[CH3 (CH2 )3CH(C2 H5 )CO5]3,Cr(CO)6 ,CpCrCl2 (Cp=シクロペンタジエニル基),(Cp*CrClCH3 )2 (Cp* =ペンタメチルシクロペンタジエニル基),(CH3 )2 CrCl,CrPhCl2 ・THF3 等が挙げられる。
【0012】
クロム化合物と金属ピロリドを電子供与性溶媒以外の溶媒中で反応させる方法としては、所望の比率でクロム化合物と金属ピロリドを混合し、好ましくは酸素分子の不存在下、通常は常圧で反応させる。反応温度はクロム化合物と金属ピロリドの種類に応じて、−100℃から溶媒の沸点までの温度を用いることができる。反応時間は、通常は30分から48時間の間である。
【0013】
反応終了後、副生成物を、ろ過により除去してもよいが、除去せずに反応生成物をそのままα−オレフィンの低重合反応に供することができる。また、溶媒も除去せずに、反応生成物をそのままα−オレフィンの低重合反応に供することができる。反応溶媒を除去する場合は、高温または常温下、減圧または不活性ガスの流通により留去するか、あるいは、生成したクロム化合物が不溶の溶媒を添加した後、クロム化合物を含む沈澱をろ別し、更に添加した溶媒で洗浄することにより、反応溶媒を除去することができる。
【0014】
本発明においては、クロム−ピロリル結合を持つクロム化合物は、高活性化のために無機酸化物等の担体に担持して用いることもできるが、その場合、ポリマーの生成量が増大する傾向にあるため、好ましくは、クロム化合物を担体に担持せずに、単にアルキルアルミニウム化合物と組み合わせるだけで用いるのがよい。即ち、本発明方法によれば、担体への担持という複雑な手法を用いなくとも、高い触媒活性が得られ、また、担体の使用による総触媒使用量(担体とクロム触媒、アルキルアルミニウムの合計量)の増大という問題も生じることがない。
【0015】
本発明におけるα−オフレィンの低重合は、通常、炭化水素溶媒中で行われるが、クロム化合物の濃度は、溶媒1リットルあたり0.1mg〜5g、好ましくは1mg〜2g、更に好ましくは1mg〜0.5gである。本発明においては、以上のようにして得られた、少なくとも一つのクロム−ピロリル結合を含むクロム化合物をアルキルアルミニウム化合物と組み合わせることにより、α−オレフィンの低重合を行う。アルキルアルミニウム化合物としては、下記一般式
【0016】
【化1】
R1 m Al(OR2 )n Hp Xq …(1)
(式中、R1 及びR2 は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数が通常1〜15、好ましくは1〜8の炭化水素基を表し、Xはハロゲン原子を表し、0<m≦3,0≦n<3,0≦p<3,0≦q<3,m+n+p+q=3である。)で示されるアルキルアルミニウム化合物が好ましく、例えば下記一般式(2)〜(7)で示されるアルキルアルミニウム化合物が挙げられる。
【0017】
【化2】
R1 3 Al …(2)
(式中、R1 は前記と同じ。)で示されるトリアルキルアルミニウム化合物、
【0018】
【化3】
R1 m AlX3-m …(3)
(式中、R1 は前記と同じ。Xはハロゲン原子を表し、1.5≦m<3である。)で示されるハロゲン化アルキルアルミニウム化合物、
【0019】
【化4】
R1 m Al(OR2 )3-m …(4)
(式中、R1 及びR2 は前記と同じ。0<m<3、好ましくは1.5≦m<3である。)で示されるアルコキシアルキルアルミニウム化合物、
【0020】
【化5】
R1 m AlH3-m …(5)
(式中、R1 は前記と同じ。0<m<3、好ましくは1.5≦m<3である。)
で示される水素化アルキルアルミニウム化合物、
【0021】
【化6】
R1 2 Al(OAl)m OAlR1 2 または …(6)
【0022】
【化7】
【0023】
(式(6),(7)中、R1 は前記と同じ。mは0〜30の整数であり特に10以上のものが好ましい。)で示されるアルミノキサン、具体的には、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムヒドリド、メチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン等が挙げられ、中でもトリアルキルアルミニウムが最も好ましい。
【0024】
本発明においては、通常は溶媒を用いて低重合反応が実施され、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の直鎖状または脂環式の飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン等の鎖状塩素化炭化水素、及びクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化芳香族炭化水素等が溶媒として使用される。これらの溶媒のうち、直鎖状または脂環式の飽和炭化水素が好ましい。また、反応原料のα−オレフィンそのもの、あるいは反応の主原料以外のα−オレフィンを溶媒として用いることもできる。これらのα−オレフィンとしては、4から30の炭素数を有するものが使用されるが、常温で液状のものが特に好ましい。 これらの溶媒のうち、特に脂環式炭化水素を用いることが高活性が得られるという点で好ましい。
【0025】
本発明において用いられる原料のα−オレフィンは、置換または非置換の2〜30の炭素原子を有するものである。具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。特に、本発明はエチレンの低重合に好適であり、選択的に1−ヘキセンを高収率で得ることができる。
【0026】
低重合反応の温度は通常0〜250℃、好ましくは0〜150℃であり、圧力は常圧乃至250kg/cm2 であるが、100kg/cm2以下で十分である。反応は回分式、連続式いずれでも実施できる。滞留時間は、1分〜20時間の範囲であるが、好ましくは、0.5〜6時間である。本発明においては、クロム化合物をα−オレフィンおよびアルキルアルミニウム化合物のいずれとも前もって接触させることなく、α−オレフィンをクロム化合物およびアルキルアルミニウム化合物と接触させるか、あるいは、クロム化合物1gに対してアルキルアルミニウム化合物の使用量を20mmol以上とするかのいずれかを必要とするが、上記の条件をいずれも満足させた場合に最も大きな効果が得られる。
【0027】
前者の接触方法を用いる場合、前記のアルキルアルミニウム化合物のクロム化合物に対する使用量は5mmol/クロム化合物g以上であればよい。具体的な接触方法としては、回分型の反応形式の場合では、溶媒中にアルキルアルミニウム化合物を存在させておき、ここにクロム化合物をα−オレフィンと同時に圧入する方法、あるいは初めにα−オレフィンとアルキルアルミニウム化合物を接触させ、これにクロム化合物を圧入する方法が挙げられ、連続型の反応形式の場合では、各々の成分を反応槽へ直接独立に供給する方法等が挙げられる。本発明の条件下では、アルキルアルミニウム化合物とα−オレフィンの間の相互作用が小であるので、以上述べた接触方法は実質的には同一の方法ということができる。
【0028】
上記の接触法を採用することにより、活性の大幅な向上、高分子量重合体の生成抑制等の効果が発現する。本発明の触媒系においては、クロム化合物とアルキルアルミニウム化合物の反応の結果生成する溶媒可溶の成分が重合活性を持つと推定されるが、クロム化合物をα−オレフィンおよびアルキルアルミニウム化合物のいずれとも前もって接触させることなく、α−オレフィンをクロム化合物およびアルキルアルミニウム化合物と接触させると、存在するα−オレフィンの配位等により生成する活性種が安定化され、活性種の量が増大するものと考えられる。一方、α−オレフィンの不存在下でクロム化合物とアルキルアルミニウム化合物を接触した後、α−オレフィンを接触させた場合には、上記の理由で活性種の量が減少することや、α−オレフィンが接触され重合反応が開始される前に、クロム化合物の適切な還元度以上に還元が進行することが、活性を低下させる原因であると考えられる。また、クロム化合物とα−オレフィンを予め接触させておいた後、アルキルアルミニウム化合物を接触させる場合も活性が低下するが、この場合は、クロム化合物がα−オレフィンと前もって接触することにより、アルキルアルミニウム化合物と反応した際、可溶化し難くなるものと推定される。
【0029】
上記の接触法を採用しない場合であっても、アルキルアルミニウム化合物のクロム化合物に対する使用量を20mmol/クロム化合物g以上、好ましくは30mmol/クロム化合物g以上とすることにより、ある程度高い低重合活性と三量体選択性を得ることができる。アルキルアルミニウム化合物の使用量が20mmol/クロム化合物gより小さい場合には、三量体の選択性、および活性が低下する。
【0030】
クロム化合物に対するアルキルアルミニウム化合物の使用量を多くすることにより、クロム化合物の可溶化が促進され活性種の量が増大するので、前述の接触法を用いない場合でも、ある程度の高い低重合活性と三量体選択性を得ることができるものと考えられる。アルキルアルミニウム化合物の使用量の上限については特に制限はないが、不必要に多量のアルキルアルミニウム化合物を用いても、アルキルアルミニウム化合物あたりの生成物の収量が低下するのみである。好ましくはアルキルアルミニウム化合物の使用量の上限は1,000mmol/クロム化合物g、更に好ましくは500mmol/クロム化合物gである。
【0031】
また、本発明のα−オレフィンの低重合においては、反応時に水素を共存させることにより、活性、三量体選択性の向上が認められ、その効果は本発明外の条件下で水素を共存させた場合よりも顕著である。特に、本発明において、低重合反応を脂環式炭化水素溶媒中で、かつ、水素の存在下で行うことで、活性、三量体選択性が著しく向上する。本発明における高分子重合体(常温で炭化水素溶媒に不溶のもの)の生成は、全生成物の25重量%以下であり、本発明の好ましい方法によれば、15重量%以下となり、更に適切な方法を用いることで、5重量%以下とすることができる。
【0032】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0033】
触媒製造例1(Cr化合物−1の製造)
NaH0.815g(20.3mmol)にTHF15mlを加え、THF5mlに溶解したピロール1.4ml(20mmol)を滴下した。室温で1時間攪拌した後、この溶液をTHF20mlに懸濁したCrCl2 1.23g(10mmol)に滴下した。滴下後THF5mlを加え、20時間加熱還流した。沈澱を濾別した後、濾液にペンタン100mlを加え、5℃で静置した。生成した沈澱を濾別、乾燥し、暗緑色の粉末0.506gを得た。この粉末の各元素含有量は以下の通りであった。
Cr:19.1%,C:52.3%,H:5.45%,N:11.6%。
【0034】
触媒製造例2(Cr化合物−2の製造)
−78℃でn−BuLi/ノルマルヘキサン溶液19ml(n−BuLi30mmol)にTHF20mlに溶解したピロール2.1ml(30mmol)を滴下し、15分間攪拌した。その後室温に戻し、室温で2時間攪拌を続けた。この溶液にCrCl3 1.58g(10mmol)を粉末で加えた後、5時間加熱還流を行った。放冷後生成した沈澱を濾別した後、濾液をドライアップして粉末を得た。この粉末中の各元素含有量は以下の通りであった。
Cr:6.6%,C:69.2%,H:7.3%,N:15.1%。
【0035】
触媒製造例3(Cr化合物ー3の製造)
NaH0.79g(16.5mmol)にTHF15mlを加えTHF5mlに溶解したピロール1.0ml(15mmol)を滴下した。室温で1時間攪拌した後、この溶液をTHF25mlに懸濁したCrCl3 0.79g(5mmol)に滴下した。滴下後、20時間加熱還流した。沈澱を濾別した後、溶媒を留去し、黒色の粉末1.65gを得た。この粉末の各元素含有量は以下の通りであった。
Cr:6.5%,C:58.0%,H:6.6%,N:10.5%。
【0036】
実施例1
150℃の乾燥機で加熱乾燥した300ccのオートクレーブを熱時に組立て、真空窒素置換した。このオートクレーブには、破裂板を備えた触媒フィード管を取り付けておいた。ヘプタン50cc、及び、トリエチルアルミニウム0.4mmolをオートクレーブ胴側に仕込み、一方触媒フィード管に、ヘプタン1ccにスラリー化したクロム化合物−1 10mgを仕込んだ。この時点ではクロム化合物とトリエチルアルミニウムは接触していない。オートクレーブを80℃に加熱し、80℃でエチレンを触媒フィード管より導入した。エチレン圧により破裂板が破裂し、エチレン、クロム触媒、トリエチルアルミニウムが同時に接触しエチレンの低重合が開始された。エチレンを全圧が40kg/cm2まで導入し、以後全圧40kg/cm2を維持して1時間エチレンの低重合を行った。重合熱によりオートクレーブ内温は90℃となったので、以後反応温度は90℃を維持した。1時間後、エタノール圧入により反応を停止し、生成物をガスクロマトグラフで定量した。結果を表−2に示す。
【0037】
実施例2
実施例1で用いたものと同様のオートクレーブに、同様にクロム化合物10mg、トリエチルアルミニウム0.4mmolを仕込んだ。水素を3.5kg/cm2導入し、オートクレーブを90℃に加熱した。この時点ではクロム化合物とトリエチルアルミニウムは接触していない。次いで、90℃でエチレンを触媒フィード管より導入した。エチレン圧により破裂板が破裂し、エチレン、クロム化合物、トリエチルアルミニウムが同時に接触し、エチレンの重合が開始された。エチレンを全圧が40kg/cm2まで導入し、以後全圧40kg/cm2 を維持して0.5時間エチレンの重合を行った。重合熱によりオートクレーブ内温は110℃となったが冷却し、以後反応温度は100℃を維持した。0.5時間後、エタノール圧入により反応を停止し、生成物をガスクロマトグラフで定量した。結果を表−2に示す。
【0038】
実施例3〜6
反応条件を表−1に記載したように変更したこと以外は実施例1と同様に反応を行なった。結果を表−2に示す。
【0039】
実施例7
オートクレーブ中に初めに、実施例1で用いたクロム化合物10mg、次にヘプタン50mlを仕込み、次いで90℃に昇温後、エチレンを35kg/cm2まで導入した。エチレンの吸収は認められなかったので、ここへ、トリエチルアルミニウム0.4mmolを圧入した。エチレンの吸収が始まり、30分後エタノール圧入により反応を停止した。反応温度は90℃を維持した。結果を表−2に示す。
【0040】
実施例8
クロム化合物を製造例3で得られたものに変えたこと以外は、実施例4と同様にエチレンの低重合を行った。反応条件を表−1に、結果を表−2に示す。
【0041】
実施例9
反応溶媒をシクロヘキサンに変えたこと以外は実施例8と同様にエチレンの低重合を行った。反応条件を表−1に、結果を表−2に示す。
【0042】
実施例10
トリエチルアルミニウムの量を0.4mmolとし、水素を3.5kg/cm2導入したこと以外は実施例9と同様にエチレンの低重合を行った。反応条件を表−1に、結果を表−2に示す。
【0043】
比較例1トリエチルアルミニウムの量を0.12mmolに変更したこと以外は実施例7と同様に反応を行った。結果を表−2に示す。
【0044】
比較例2
トリエチルアルミニウムを圧入する前に、水素3.5kg/cm2 を導入し、全圧を40kg/cm2 としたこと以外は比較例1と同様に反応を行った。結果を表−2に示す。
【0045】
比較例3
オートクレーブにヘプタン溶媒中でトリエチルアルミニウムおよびクロム化合物を仕込み、90℃で30分間熱処理した後、エチレンを導入したこと、および反応温度を100℃としたこと以外は比較例1と同様に反応を行なった。結果を表−2に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】
本発明方法によれば、α−オレフィン、特にエチレンを低重合させて、選択的に三量体を主体とした生成物を高収率で得ることができ、かつ、高分子量重合体の生成を抑制することができるため、多大な工業的利益を提供する。
Claims (6)
- クロム−ピロリル結合を含むクロム化合物とアルキルアルミニウム化合物を触媒として用いてα−オレフィンを低重合する方法において、クロム化合物1gに対してアルキルアルミニウム化合物の使用量を20mmol以上とすることを特徴とするα−オレフィンの低重合方法。
- クロム化合物1gに対してアルキルアルミニウム化合物の使用量を1000mmol以下とすることを特徴とする請求項1に記載のα−オレフィンの低重合方法。
- 低重合反応を脂環式炭化水素溶媒中で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のαーオレフィンの低重合方法。
- 低重合反応を水素の存在下で行うことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のα−オレフィンの低重合方法。
- αーオレフィンがエチレンであり、主生成物が1−ヘキセンである請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のα−オレフィンの低重合方法。
- クロム化合物が担体に担持されていないことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のα−オレフィンの低重合方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002226732A JP3654269B2 (ja) | 1992-09-17 | 2002-08-02 | α−オレフィンの低重合方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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