JP3653783B2 - 車載用画像処理装置及び画像表示システム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、車載用画像処理装置に係り、特に、車載用画像処理装置の撮像手段の撮像方向の補正量を算出する車載用画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車載用画像処理装置50では、車両52に撮像手段54を搭載し、この撮像手段54が撮像した画像データ54aに対して種々のデータ処理を行うことで車両50前方の障害物の検出や後方監視処理を行っていた。これらは、例えば特開平4−193641号公報や、実開昭60−34700号公報に記載されている。
【0003】
このような従来例では、図14に示すように、撮像手段54としてのCCDカメラ54と、このCCDカメラ54からのビデオ信号をA/D変換して画像データ54aとしたのち当該画像データ54aに対してデータ処理を行う画像処理部56と、この画像処理部56の処理結果等を表示する表示部58とから構成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような車載用画像処理装置50では、CCDカメラ54の設置を精密に行わなければ、画像処理による判定結果の精度が低下する、という不都合があった。従って、従来例では、CCDカメラ54の車両52への設置は、CCDカメラ54の撮像方向が画像処理の手法が求める精度となるよう精密に行われている。
【0005】
車両52の生産工場において車両52にCCDカメラ54を設置するとき、所定の位置に正確に設置するのは困難であり、また、正確に設置しようとする場合には、調整等で非常に時間がかかってしまう。一方、このCCDカメラ54を用いた画像処理装置50が後付けタイプのもので、ユーザが設置するような場合では正しく設置するのはほとんど不可能に近い。従って、取付位置の不具合により撮像方向のズレが生じてしまう。
【0006】
次に、この撮像方向59のズレ量と画像処理の関係について図面を参照して説明する。図15はCCDカメラ54が所定の位置から横にズレた場合の影響を説明するための図であり、先行車60の認識処理を行う場合を例として示している。図15(a)に示す場合を正しい設置例とすると、図15(b)に示す例では、CCDカメラ54の位置は左にズレを生じている。すると、それぞれの画像データは図16に示す如くとなる。
【0007】
図16(a)はCCDカメラ54の位置が正常の場合の画像データである。画像処理では、処理速度の点から画像処理の対象を限定しているため、この場合、先行車の認識処理に必要な部分を画像処理の対象範囲62としている。図中点線内がこの画像処理の対象範囲62である。図示する例では、先行車60は画像処理範囲62に入っており、画像処理装置50が正常に動作することができる。しかし、カメラ位置が左にズレた場合、図16(b)に示すように、正常の場合よりも左側を撮像してしまい、先行車は画面中の右側にズレてしまう。すると、点線で示す画像処理の対象範囲50から外れてしまう。この場合には、先行車60を認識する処理が正常に動作しなくなる可能性が生じる。
【0008】
図17はCCDカメラ54が所定の位置から上下にズレた場合の影響を説明するための図であり、画像データ中での先行車の上下の位置によって対象までの距離を簡易表示するため、距離のスケール64を表示部58上に表示する処理を行う例を示している。図17(a)に示す場合を正しい設置例とすると、図17(b)に示す例では、CCDカメラ54の位置は下向きにズレを生じている。図18(a)を正しい設置での画像データとすると、CCDカメラ54が下向きにズレた場合には図18(b)に示すものとなる。ここでは、先行車60の映像が画像の上方向にずれてしまい、本来の距離である20[m]から30[m]にズレて表示されてしまう。
【0009】
例えば、1/2[インチ]CCDカメラ54で焦点距離f=20[mm]のレンズを使用した場合、画角は13.5度(縦)×18.2度(横)で、カメラの撮像方向が1度ズレると、撮像される画面全体に対して縦は約7%、横は約5%ズレることになる。これは、30[m]先の対象物が0.5[m]ズレることに相当する。
【0010】
また、従来のCCDカメラ54の取付調整方法としては、例えば、ヘッドライトの光軸調整のように、調整用ネジ等で調整するのと同様に、微調整用のネジ等でカメラから移る画像をモニタ等で見ながら調整する方法が取られていた。そのため、カメラ設置の工程も増加し、さらには微調整できる機構も必要であり、コストが高いものになっていた。
【0011】
【発明の目的】
本発明は、係る従来例の有する課題を改善し、特に、撮像手段の設置位置に誤差があったとしても正確に画像処理を行うことのできる車載用画像処理装置及び画像表示システムを提供することを、その目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、特定の手段として、車両前方を撮像すると共に所定の補正用マークを撮像する撮像手段と、所定の設定情報に基づいて撮像手段により撮像された画像データに対して各種画像処理を行う画像処理手段と、この画像処理手段からの処理結果を表示出力する表示手段とを備えている。
このうち、画像処理手段が、撮像手段を車両に設置する際に機能する、補正用マークが撮像された画像データから当該補正用マークの当該画像データ上の位置を検出する位置データ検出部と、補正用マークの画像データ上の基準位置データを記憶した基準位置記憶部と、この基準位置記憶部に格納された当該基準位置データと位置データ検出からの位置データとに基づいて撮像手段の撮像方向のズレ量を算出する撮像方向ズレ量算出部と、この撮像方向のズレ量データに基づいて画像処理の設定情報を補正する設定情報補正部と、設定情報を記憶する設定情報記憶部とを備え、通常の画像処理では、画像処理手段が、設定情報記憶部から設定情報を読み出して、この設定情報に従って撮像した画像データを補正しつつ画像処理する機能を備えた、という構成を採っている。
【0013】
特定の手段と主要部を同一とする手段として、撮像方向ズレ量算出部が、撮像された補正用マークについて予め定められた基準位置からの位置ズレ量を算出する機能と、当該位置ズレ量に基づいて撮像手段の撮像方向の角度のズレ量を算出する機能とを備えた、という構成を採っている。
【0014】
特定の手段と解決しようとする課題が同一である手段として、車両前方を撮像する撮像手段と、この撮像手段により撮像された画像データを所定の設定情報に基づいて表示制御するコントローラと、当該画像データを表示する表示手段を有する画像表示装置と、設定情報の補正量を算出する補正量算出制御手段を有する補正量算出装置とを備えている。
このうち、コントローラが、撮像手段を車両に設置する際に機能する、所定の補正用マークを撮像した画像データを補正量算出装置に出力する補正用マークデータ出力部と、所定の撮像方向のズレ量データを受信したときに当該ズレ量に基づいて設定情報を補正する設定情報補正部と、設定情報を記憶する設定情報記憶部とを備えている。
しかも、補正量算出制御手段が、撮像手段を車両に設置する際に機能する、コントローラから補正用マークデータを受信して当該撮像した補正用マークの画像データ上の位置を検出する位置データ検出部と、補正用マークの画像データ上の基準位置を予め記憶した基準位置記憶部と、この基準位置記憶部に格納された当該基準位置データと補正用マークデータによる位置データとに基づいて撮像手段の撮像方向のズレ量を算出して設定情報補正部に出力する撮像方向ズレ量算出部とを備え、通常の画像処理では、コントローラが、設定情報記憶部から設定情報を読み出して、この設定情報に従って撮像した画像データを補正しつ画像処理する機能を備えた、という構成を採っている。
【0015】
本発明では、これらの産業上の利用分野が同一である各手段によって、前述した目的を達成しようとするものである。
【0016】
【作用】
車載用画像処理装置では、まず、画像処理を行う際の基準となる設定情報の補正処理を行う。これは、まず、所定の補正用マークが付された衝立等の前に車両を位置付ける。次いで、撮像手段は、この補正用マークを撮像する。この補正用マークが撮像された画像データは画像処理部に送られ、画像処理部では、まず、位置データ検出部が、所定の補正用マークを撮像した画像データから当該補正用マークの位置データを検出する。次いで、撮像方向ズレ量算出部は、基準位置記憶部からの基準位置データと補正用マークの位置データに基づいて撮像手段の撮像方向のズレ量を算出する。さらに、設定情報補正部は、この撮像方向のズレ量に基づいて画像処理の設定情報を補正する。
【0017】
さらに、通常の画像処理を行う。まず、撮像手段は、車両前方を撮像する。さらに、画像処理手段は、この撮像方向のズレ量が考慮された設定情報に基づいてこの画像データに対して各種画像処理を行い、処理結果を表示手段に出力する。表示手段は、この画像処理手段からの処理結果を表示出力する。
【0018】
画像処理システムでは、まず、撮像した画像の表示を行う際の基準となる設定情報の補正処理を行う。これは、まず、所定の補正用マークが付された衝立等の前に車両を位置付ける。次いで、車両に搭載された画像表示装置の撮像手段は、この補正用マークを撮像する。この補正用マークが撮像された画像データはコントローラに送られ、コントローラでは、補正用マークデータ出力部が、この補正用マークを撮像した画像データを補正量算出装置に出力する。
【0019】
さらに、補正量算出装置では、位置データ検出部が、コントローラから補正用マークデータを受信して当該撮像した補正用マークの画像データ上の位置を検出する。次いで、撮像方向ズレ量算出部が、基準位置記憶部に格納された当該基準位置データと補正用マークデータとに基づいて撮像手段の撮像方向のズレ量を算出して設定情報補正部に出力する。すると、設定情報補正部は、この撮像方向のズレ量データを受信したときに当該ズレ量に基づいて設定情報を補正する。
【0020】
次に、コントローラは、この撮像方向のズレ量データに基づいて補正された設定情報に従って画像表示制御を行う。即ち、コントローラは、撮像手段が撮像した画像データの表示制御に際して当該撮像方向のズレ量を考慮した表示出力を行う。
【0021】
【実施例】
次に本発明の一実施例について図面を参照して説明する。
【0022】
図1は本実施例による車載用画像処理装置の特徴部分の構成を示すブロック図である。車載用画像処理装置2は、車両52前方を撮像すると共に所定の補正用マーク10を撮像する撮像手段54と、所定の設定情報37aに基づいて撮像手段54により撮像された画像データ54aに対して各種画像処理を行う画像処理手段30と、この画像処理手段30からの処理結果を表示出力する表示手段58とを備えている。
【0023】
このうち、画像処理手段30が、補正用マーク10が撮像された画像データ54aから当該補正用マーク10の当該画像データ54a上の位置を検出する位置データ検出部32と、補正用マーク10の画像データ54a上の基準位置データ14を記憶した基準位置記憶部34と、この基準位置記憶部34に格納された当該基準位置データ14と位置データ検出部32からの位置データ12とに基づいて撮像手段54の撮像方向のズレ量18を算出する撮像方向ズレ量算出部36と、この撮像方向のズレ量データに基づいて画像処理の設定情報37aを補正する設定情報補正部37とを備えている。
【0024】
これを詳細に説明する。
【0025】
撮像手段54は、本実施例ではCCDカメラ54を用いている。また、表示手段58としては、画像を表示するLCD表示部や、また、音声により警報等を出力する音声表示部を必要に応じて用いている。
【0026】
画像処理手段30は、図示しない本来の画像処理機能を有している。これは、例えば先行車の認識処理であり、また、白線の認識処理である。通常、これらの画像処理では、撮像した画像の適切なしきい値により二値化処理や、画像データ上の特定部分の抽出処理等を用いている。
【0027】
本実施例による車載用画像処理装置2の一般的な構成を図2に示す。図2に示す例では、画像処理手段30が、本来の目的の画像処理を行う画像処理機能38と、CCDカメラ54のズレ量を測定するズレ量測定機能40と、このズレ量測定機能40によって測定された撮像方向のズレ量18を記憶するズレ量記憶メモリ22と、所定の補正用マーク10の基準位置データ14を記憶した基準位置記憶部34とを備えている。ズレ量記憶メモリ22は、例えば、EEPROMで構成される。このズレ量18は、目的とする画像処理機能に設定情報37aとして扱われ、この実施例では、ズレ量記憶メモリ22は設定情報記憶部35として機能する。
【0028】
さらに、ズレ量測定機能40は、前述した位置データ検出部32と、撮像方向ズレ量算出部36とから構成される。さらに、ズレ量測定機能40は補正マーク10の基準位置14をその処理に必要とするため、画像処理手段30は、この基準位置データ14を記憶する基準位置記憶部34を備えている。
【0029】
また、画像処理機能38は、起動時に、ズレ量記憶メモリ22から設定情報37aを読み出して、撮像した画像データ54aを逐次補正しつつ目的の画像処理を行う。
【0030】
このような画像処理において、処理の開始に先だって当該画像処理に必要な各種情報(設定情報)を読み込むことにより、画像処理の精度を高めることが行われている。本実施例の特徴的な処理は、次に示す撮像手段の設置方向のズレを検出して、この撮像方向のズレ量により当該設定情報を補正する点にある。
【0031】
図3は、本実施例による撮像方向のズレ量を算出する工程を示すフローチャートである。
【0032】
まず、補正用マーク10と車両52とが垂直で且つ一定距離になるよう当該車両52又は補正用マーク10を位置付ける(ステップS1)。次いで、車両52に設置された撮像手段54により補正用マーク10を撮像する(ステップS2)。さらに、位置データ検出部32は、当該撮像した画像データ54aに基づいて補正用マーク10の位置データ12を検出する(ステップS3)。
【0033】
次いで、撮像方向ズレ量算出部36は、まず、この補正用マーク10の位置データ12に基づいて当該補正用マーク10が予め定められた基準位置14からのズレ量16を算出する(ステップS4)。次いで、このズレ量16に基づいて撮像手段54の撮像方向59のズレ量18を算出する(ステップS5)。
【0034】
この撮像方向のズレ量18を設定情報37aとして画像処理を行うことで、本実施例では、CCDカメラ54を設置する精度をある程度簡単にして、設計上とのズレを画像処理により計測し、そのズレを補正した上で本来の処理を行うものである。
【0035】
ステップS1では、図4及び図5に示すように、車両52の生産工場において、CCDカメラ54をある程度の位置に設置した後、補正用マーク10のついた衝立11が設けてある場所に、衝立11に対して車両52の進行方向が垂直でかつある決められた距離dとなるように車両52を停車する。
【0036】
本実施例では、車両がレール上を走行することで、この垂直且つ一定距離についての必要な精度を保っている。しかし、これについてはCCDカメラ54の位置をどの段階でチェックするかによって種々の手法が採れる。例えば、車両52の製造工程の一段階で行うのであれば、タイヤの付いていない車体が工場のラインを流れている段階で本実施例による補正量算出を行うと、特に問題なくこの垂直且つ一定距離の位置付けを行うことができる。
【0037】
また、ユーザが取り付けるような場合で、その画像処理が特に精度を必要とするものであれば、車両を所定位置に停車したのち、CCDカメラに水平な車両側面にそれぞれレーザ等の発信器を取り付け、この発信器からの信号によって衝立11上の補正マーク10を回転又は移動させるようにしても良い。この場合には、ヘッドランプの光軸のチェック方法等の技術が応用される。
【0038】
補正用マーク10としては、図6に示すように、十字マーク10を用いている。この十字マーク10は、設計上のCCDカメラ54の位置から車両の進行方向に所定距離延ばした位置に来るようにする。即ち、CCDカメラ54が設計通りの位置に設置されているとするならば、十字マークが画像の中央に映ることとなる。従って、補正用マーク10の基準位置14は画像の中央の位置となる。
【0039】
この補正用マーク10は、十字に限らず、計測するズレに対して適したマークをそれぞれ変えて計測するようにしても良い。
【0040】
ステップS2では、この車両に設置された撮像手段により十字マークを撮像する。ここでは、CCDカメラ54からのビデオ信号をA/D変換して画像データ54としている。さらに、十字マーク10部分のエッジを抽出している。
【0041】
ステップS3では、位置データ検出部32が、画像データ54a上の十字マーク10の位置を算出する。本実施例では、画像データ54aのドットを単位として位置を特定している。従って、この十字マークの位置データ12の精度は、画像データ54aの解像度に依存する。
【0042】
ステップS4では、図7に示すように、撮像方向ズレ量算出部36が、設計上想定される十字マーク10の基準位置データ14と、撮像した十字マークの位置データ12とを比較して補正用マークの位置のズレ量を算出する。このズレ量16は、x軸方向のズレΔxと、y軸方向のズレΔyとである。
【0043】
ステップS5では、撮像方向ズレ量算出部36が、十字マーク10のズレ量16から撮像方向59のズレ量18を算出する。図8に示すように、水平方向のズレ角度θxと、鉛直方向のズレ角度θyは、次式(1)により求めることができる。
【0044】
θx≒Δx/d, θy≒Δy/d .............. 式(1)
【0045】
本実施例では、この撮像方向のズレ角度18を設定情報37aとして設定情報記憶部35に格納する。また、設定情報37aが種々の条件についての情報を具備するものであれば、当該設定情報37aを補正する。
【0046】
実際に車載用画像処理装置2を起動するときには、この設定情報記憶部35から設定情報37aを読み出して、この設定情報37aで示される値だけCCDカメラ54がズレているものとして画像処理を行う。
【0047】
例えば、図16に示したような場合、画像処理手段30は、図9(a)に示すように画像処理の対象となる範囲を設定情報37aに応じて移動させることにより、従来の不都合を回避している。即ち、画像処理手段30は、起動時に設定情報37aを読み込んで当該設定情報37aに示される角度分画像処理の対象領域を変更する。また、図18で示した例では、図9(b)に示すように、この設定情報37aに従って距離スケールを変更することにより、画像データ54aに対応した正しい距離スケールを表示することができる。
【0048】
また、図10に示すように、十字マークの大きさ、例えば、図示するように縦方向の長さL2を設計上の値L1と比較することにより、CCDカメラ54の車両の進行方向の軸に対するズレ量Δdを求めることができる。つまり、図10のように設計上の長さL1に対して計測された長さがL2である場合には、カメラ位置のズレ量Δdは、次式(2)で求めることができる。
【0049】
Δd=d(1−L1/L2) .............. 式(2)
【0050】
以上のような方法により各種ズレ量を計測して、このズレ量に基づいて目的の制御を行うようにすることによって、CCDカメラの設置精度が高くないものであっても、制御が正しく行われることとなる。
【0051】
図11はこの各種ズレ量を用いて画像処理を行う処理工程を示すフローチャートである。まず、この各種ズレ量を記憶した設定情報記憶部35から設定情報37aを読み出す(ステップS11)。次いで、読み出した設定情報に基づいて目的の制御を補正する(ステップS12)。さらに、本来の目的の制御を行う(ステップS13)。
【0052】
上述したように本実施例によると、車載用画像処理装置では、十字マークの位置のズレ量に基づいてCCDカメラの撮像方向のズレ量を算出し、これを画像処理の設定情報とするため、撮像方向に多少のズレがあったとしても当該補正量を用いることで正確な画像処理が可能となる。従って、CCDカメラの車両への設置を精密に行う必要がなくなる。このように、カメラを取り付けるときに、取付精度を低くしても良くなるため、簡単に取付ができる。また、カメラの取付位置が設計値とズレても、目的の制御に影響を与えない。しかも、ズレ量の測定が短時間ででき、ズレ量データも自動的に記憶することができる。さらに、工場においてカメラ位置の微調整をする必要がなくなり、工程が減り、しかもその取付微調整機構も必要なくなり、製造コストが安くなる。
【0053】
また、この手法であれば、目的とする画像処理装置が後付けタイプのものであっても、販売店又はユーザが先に述べて多様な十字マークを壁等に付け、車両を正確に停止位置に停止すれば、撮像方向のズレ量18は測定できるので、後付けタイプのシステムの提供が可能となる。
【0054】
次に、画像表示システムの実施例を説明する。
【0055】
図16に示した簡易的に距離スケールだけを表示するような車載用画像処理装置2では、画像データ54a中の高輝度部分の抽出処理や、当該部分の位置特定処理などの画像処理機能がないものもある。この場合は、車両52内にズレ量記憶用メモリ22だけ付加して、撮像方向のズレ量18の測定は図12のように外部の補正量算出装置2によりオフラインで行う。
【0056】
図13はこの画像表示システム3の構成を示すブロック図である。画像表示システム3は、車載用画像表示装置4と、補正量算出装置5とを備えている。
【0057】
このうち、車載用画像表示装置4が、車両前方を撮像する撮像手段としてCCDカメラ54と、このCCDカメラ54により撮像された画像データ54aを所定の設定情報37aに基づいて表示制御するコントローラ44と、当該画像データを表示する図示しない表示手段58とを備えている。
【0058】
このうち、コントローラ44が、所定の補正用マークを撮像した画像データ54aを補正量算出装置5に出力する補正用マークデータ出力部46と、所定の撮像方向のズレ量データ18を受信したときに当該ズレ量18に基づいて設定情報37aを補正する設定情報補正部48とを備えている。
【0059】
一方、補正量算出装置5は、設定情報37aの補正量を算出する補正量算出制御手段43を備えている。
【0060】
しかも、補正量算出制御手段43が、図13に示すように、コントローラ44から補正用マークデータ46aを受信して当該撮像した補正用マーク10の画像データ上の位置を検出する位置データ検出部32と、補正用マーク10の画像データ37a上の基準位置を予め記憶した基準位置記憶部34と、この基準位置記憶部34に格納された当該基準位置データ14と補正用マークデータ46aによる位置データ12とに基づいてCCDカメラ54の撮像方向のズレ量18を算出して設定情報補正部37に出力する撮像方向ズレ量算出部36とを備えている。また、車載用画像表示装置4と補正量算出装置5間のデータ転送を制御するインタフェース部42を備えている。
【0061】
まず、車載のコントローラ44からCCDカメラ54から得るビデオ信号を入力して、この補正量算出装置で撮像方向のズレ量を算出した後、そのズレ量を車載のコントローラ44に送信する。車載のコントローラ44では、送り出されたズレ量データを受信し、ズレ量記憶メモリ22に書き込む。
【0062】
さらに、コントローラ44は、 CCDカメラ54からの画像データの表示処理に際して、ズレ量記憶メモリ22に記録されたズレ量データ18を設定情報37aとして、この設定情報37aに従って処理を行う。この場合であっても、図9(b)に示す如くとなる。
【0063】
このような画像表示システムでは、画像処理装置が、高度な画像処理機能を有さないものであっても、補正量算出装置が撮像方向のズレ量を算出するため、CCDカメラの設置位置に誤差があったとしても、コントローラが当該ズレ量に基づいて画像表示処理を行うため、撮像方向のズレ角度にかかわらず正確な画像表示処理を行うことができる。また、画像表示装置の製造工程において、ラインに補正量算出装置を設けておくことにより、このような画像表示装置の撮像手段の設置工程を簡略化することができる。
【0064】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成され機能するので、これによると、位置データ検出部が、補正用マークが撮像された画像データから当該補正用マークの位置データを検出し、撮像方向ズレ量算出部が、基準位置データとこの位置データとに基づいて撮像手段の撮像方向のズレ量を算出するため、撮像手段の設置位置の誤差を定量化することができる。さらに、設定情報補正部が、この撮像方向のズレ量に基づいて画像処理の設定情報を補正するため、画像処理手段は、撮像方向に多少のズレがあったとしても当該設定情報に従うことにより正確な画像処理を行うことができる。このように、撮像手段の設置位置に誤差があったとしても正確に画像処理を行うことのできる従来にない優れた車載用画像処理装置を提供することができる。
【0065】
また、この車載用画像処理装置では、撮像手段の設置位置に誤差があったとしても正確に画像処理を行うため、撮像手段の設置を精密に行う必要がなくなる。即ち、この車載用画像処理装置は、撮像手段の設置工程が簡略化されるため、製造が容易であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の特徴部分の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した実施例による車載用画像処理装置の一般的な構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示した実施例の処理工程を示すフローチャートである。
【図4】図3に示したステップS1での補正用マークと車両との位置関係を示す側面図である。
【図5】図4に示した補正用マークと車両との位置関係の上面図である。
【図6】図3に示した補正用マークの一例を示す説明図である。
【図7】図3に示したステップS3での補正用マークのズレ量の一例を示す説明図である。
【図8】図3に示したステップS4での撮像方向のズレ量の一例を示す説明図である。
【図9】図3に示した方法により算出した撮像方向の補正量を用いてカメラ向きの影響を補正した場合の画像処理例を示す説明図であり、図9(a)は先行車の認識処理の場合を示す図で、図9(b)は簡易距離表示の場合を示す図である。
【図10】カメラ設置位置の撮像方向の軸上の位置ズレ量を算出する例を示す説明図である。
【図11】設定情報に従った画像処理の処理工程を示すフローチャートである。
【図12】本発明による画像表示システムの構成を示すブロック図である。
【図13】図12に示した補正量算出装置の構成を示すブロック図である。
【図14】従来の車載用画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図15】図14に示したCCDカメラの取り付け位置により撮像方向が左右に変更される例を示す説明図で、図15(a)は正常な場合を示し、図15(b)は左側にズレた場合の例を示す説明図である。
【図16】図14に示したCCDカメラが撮像した画像データの例を示す説明図であり、図16(a)は撮像方向が正常な場合の例を示す図で、図16(b)は図15(b)に示した場合の例を示す図である。
【図17】図14に示したCCDカメラの取り付け位置により撮像方向が上下に変更される例を示す説明図で、図17(a)は正常な場合を示し、図17(b)は下方向にズレた場合の例を示す説明図である。
【図18】図14に示したCCDカメラが撮像した画像データの例を示す説明図であり、図18(a)は撮像方向が正常な場合の例を示す図で、図18(b)は図17(b)に示した場合の例を示す図である。
【符号の説明】
2 車載用画像処理装置
3 画像表示システム
4 車載用画像表示装置
5 補正量算出装置
10 補正用マーク(十字マーク)
12 補正用マークの位置データ
14 補正用マークの基準位置データ
16 補正用マークのズレ量
18 撮像方向のズレ量
20 撮像方向の補正量
30 画像処理手段
32 位置データ検出部
34 基準位置記憶部
36 撮像方向ズレ量算出部
52 車両
54 撮像手段(CCDカメラ)
54a 画像データ
Claims (3)
- 車両前方を撮像すると共に所定の補正用マークを撮像する撮像手段と、所定の設定情報に基づいて前記撮像手段により撮像された画像データに対して各種画像処理を行う画像処理手段と、この画像処理手段からの処理結果を表示出力する表示手段とを備え、
前記画像処理手段が、前記撮像手段を車両に設置する際に機能する、前記補正用マークが撮像された画像データから当該補正用マークの当該画像データ上の位置を検出する位置データ検出部と、前記補正用マークの画像データ上の基準位置データを記憶した基準位置記憶部と、この基準位置記憶部に格納された当該基準位置データと前記位置データ検出からの前記位置データとに基づいて前記撮像手段の撮像方向のズレ量を算出する撮像方向ズレ量算出部と、この撮像方向のズレ量データに基づいて前記画像処理の設定情報を補正する設定情報補正部と、前記設定情報を記憶する設定情報記憶部とを備え、
通常の画像処理では、前記画像処理手段が、前記設定情報記憶部から前記設定情報を読み出して、この設定情報に従って撮像した画像データを補正しつつ画像処理する機能を備えた、
ことを特徴とする車載用画像処理装置。 - 前記撮像方向ズレ量算出部が、前記撮像された補正用マークについて予め定められた基準位置からの位置ズレ量を算出する機能と、当該位置ズレ量に基づいて前記撮像手段の撮像方向の角度のズレ量を算出する機能とを備えた、
ことを特徴とする請求項1記載の車載用画像処理装置。 - 車両前方を撮像する撮像手段と、この撮像手段により撮像された画像データを所定の設定情報に基づいて表示制御するコントローラと、当該画像データを表示する表示手段とを有する画像表示装置と、前記設定情報の補正量を算出する補正量算出制御手段を有する補正量算出装置とを備えた画像表示システムにおいて、
前記コントローラが、前記撮像手段を車両に設置する際に機能する、所定の補正用マークを撮像した画像データを前記補正量算出装置に出力する補正用マークデータ出力部と、所定の撮像方向のズレ量データを受信したときに当該ズレ量に基づいて前記設定情報を補正する設定情報補正部と、前記設定情報を記憶する設定情報記憶部とを備え、
前記補正量算出制御手段が、前記撮像手段を車両に設置する際に機能する前記コントローラから前記補正用マークデータを受信して当該撮像した補正用マークの画像データ上の位置を検出する位置データ検出部と、前記補正用マークの前記画像データ上の基準位置を予め記憶した基準位置記憶部と、この基準位置記憶部に格納された当該基準位置データと前記補正用マークデータによる前記位置データとに基づいて前記撮像手段の撮像方向のズレ量を算出して前記設定情報補正部に出力する撮像方向ズレ量算出部とを備え、
通常の画像処理では、前記コントローラが、前記設定情報記憶部から前記設定情報を読み出して、この設定情報に従って撮像した画像データを補正しつ画像処理する機能を備えた、
ことを特徴とする画像表示システム。
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