JP3653680B2 - リバ−ス工法及びリバ−ス掘削機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔壁を保持するための泥水と共に掘削土砂を掘削機のロッドを通じて孔外に排出して行う、リバ−ス工法及びリバ−ス掘削機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
代表的な場所打ち杭工法の一つに、リバ−スサ−キュレ−ションドリル工法(以下リバ−ス工法という)と呼ばれる工法が存在する。この工法は、泥水により孔壁の崩壊を保持しながら、掘削土砂を泥水と共に掘削機のロッドを介して孔外に排出し、沈殿池に導き土砂を沈殿させた後、その表面水を再び孔内に供給して掘削を行う工法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のリバ−ス工法で粘性土等を掘削する場合、孔壁の安定を確保するために泥水濃度を上げることがある。この場合、掘削した泥片がロッドの排出流路に詰まり易くなるため、掘削不能になる事がある。従って、孔壁の安定を図りつつ、掘削に支障を及ぼさないようにするためには、常に厳密な泥水濃度の管理が必要であり、作業の煩雑化を招いていた。
【0004】
また、一度掘削不能になると、掘削中のロッドを全て引き上げなければならず、著しい作業能率の低下を招いていた。さらに、ロッドの吊り上げ時には、クレ−ンの倒壊や泥水の飛散等の危険も伴っていた。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、容易な泥水濃度管理により、ロッドの排出流路の詰まりを防止し、掘削作業の迅速性、確実性、安全性の向上を図ることができるリバ−ス工法及びリバ−ス掘削機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、孔内に泥水を供給して孔壁を保持しながら掘削を行い、泥水と共に掘削土砂を掘削機のロッドを通じて孔外に排出するリバ−ス工法において、孔内底部には低濃度泥水を供給し、かつ前記低濃度泥水供給範囲の上部には高濃度泥水を供給して行うことを特徴とする、リバ−ス工法を提供する。また、前記低濃度泥水供給範囲と高濃度泥水供給範囲との間に、孔内の仕切部材を設けて行うことを特徴とするリバ−ス工法を提供する

【0007】
また、ロッドの先端にビットを有し、孔壁を保持するための泥水と共に掘削土砂をロッドを通じて孔外に排出するリバ−ス掘削機において、ロッドの先端部に低濃度泥水の吹き出し口を設け、かつ前記低濃度泥水吹き出し口のロッドの基端部側に高濃度泥水の吹き出し口を設けたことを特徴とする、リバ−ス掘削機を提供する。
【0008】
さらに、前記低濃度泥水吹き出し口と高濃度泥水吹き出し口との間に孔内の仕切部材を設ける点、その仕切部材を、前記ロッドの周囲にロッドと直交方向に張り出させた仕切板と、その仕切板の周縁部にロッドと平行方向に設けた保護板とより構成した点、前記低濃度泥水吹き出し口への低濃度泥水の供給を、内管と外管よりなる前記ロッドの内外管の間隙に形成した流路を介して行う点、前記高濃度泥水吹き出し口への高濃度泥水の供給を、前記ロッドの外周面に軸方向に付設した管体を介して行う点を特徴としたリバ−ス掘削機も併せて提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図1、2を参照しながら、本発明の一実施の形態について説明する。
<イ>掘削機の構造
(1)ロッド
ロッド1は、内管11と外管12とよりなり、その先端にドリルビット13を有する。基端部に配備したモ−タの回転を、先端のドリルビット13に伝達する。また、内管11内は、泥水と共に掘削土砂を孔外に排出するための排出流路14とし、この排出流路14の先端は、ロッド1の先端に吸引口15として開口している。この吸引口15から吸引された掘削土砂は、排出流路14を介して孔外に排出され、沈殿池で土砂を沈殿させた後、その表面水が再び孔内に供給される

【0010】
(2)低濃度泥水吹き出し口
低濃度泥水吹き出し口2は、ロッド1の先端部、即ちドリルビット13の近傍に設けられる。例えば、ロッド外管12の周面に開口したり、ノズル状のものを突設したりして形成する。そしてこの低濃度泥水吹き出し口2には、ロッド内外管11、12の間に形成される低濃度泥水供給流路21を介して、低濃度泥水が供給される。
【0011】
(3)高濃度泥水吹き出し口
高濃度泥水吹き出し口3は、低濃度泥水吹き出し口2のロッド1のやや基端部側に設けられる。例えば、ロッド外管12の外周面に軸方向に付設した高濃度泥水供給管31の先端開口を、高濃度泥水吹き出し口3とすることができる。なお、低濃度泥水吹き出し口2と高濃度泥水吹き出し口3の構造を逆にしてもよいし、またその他の種々の構造が考えられる。
【0012】
(4)仕切部材
仕切部材4は、低濃度泥水吹き出し口2と高濃度泥水吹き出し口3との間に設け、孔内を、孔底部の掘削室5と、それより上部の止水壁形成室6とに仕切るためのものである。例えば、ロッド外管12の周囲にロッド1と直交方向に張り出させた円盤状の仕切板41と、その仕切板41の周縁部にロッド1と平行方向に設けた保護板42とより構成する。
【0013】
保護板42は、仕切板41の周縁部が孔壁を崩さないよう保護するためのものであり、一つの筒体を用いても、複数の湾曲板を用いてもよい。なお、保護板42のロッド1の軸方向の両端部は、孔壁を削らないように内側に曲折させておくと良い。そのほか仕切部材4には種々の形状が採用できる。
【0014】
<ロ>掘削方法
先ず、地表面付近での孔壁防止のため、スタンドパイプ7を打設する。スタンドパイプ7内は従来工法と同様に掘削を行う。孔壁崩壊の心配がないため、低濃度泥水のみで掘削してもよい。スタンドパイプ7の下端より掘り下がる前には、止水壁形成室6内の泥水は、予め濃度(泥と水の比重)を設定した高濃度泥水に調整しておく。なお、ここでいう高濃度泥水と低濃度泥水の濃度の高低は相対的な意味である。
【0015】
低濃度泥水吹き出し口2から掘削室5内に低濃度泥水を供給し、高濃度泥水吹き出し口3から高濃度泥水を止水壁形成室6内に供給して、両泥水の濃度管理をしながら、スタンドパイプ7の下方の掘削を行う。このとき、掘削室5内の泥水は低濃度であるため、ロッド1の排出流路14が詰まるのを防止できる。しかも、止水壁形成室6内の泥水は高濃度であるため、孔壁の崩壊も防止することができる。
【0016】
掘削した土砂は、吸引口15から吸引され、泥水と共に排出流路14を介して孔外に排出され、沈殿池で土砂を沈殿させた後、その表面水が再び孔内に供給される。掘削終了直前に低濃度泥水の供給を止め、掘削室5内も高濃度泥水に置き換える。以上で掘削を終了する。
【0017】
【発明の効果】
本発明は以上説明したようになるため、次のような効果を得ることができる。<イ>従来は、孔壁崩壊の防止と、排出路の詰まり防止という相反する2つの条件を、一度に同じ濃度の泥水で満たす必要があったため、厳密かつ煩雑な泥水の濃度管理が必要であった。しかし本発明は、孔底部とその上部とで泥水濃度を変えることができるため、上記の2つの条件を、孔底部とその上部とでそれぞれ個別に満たせばよく、濃度管理が非常に容易になった。従って、掘削作業の迅速性、確実性、安全性の向上を図ることができる。
【0018】
<ロ>仕切板がビットのガイドの役目も果たすため、掘削精度が向上する。従って、ビットの逃げにより孔壁が湾曲し、鉄筋篭が挿入できなくなるというトラブルを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 リ−バス掘削機全体の説明図
【図2】 リバ−ス掘削機の先端要部の説明図

Claims (7)

  1. 孔内に泥水を供給して孔壁を保持しながら掘削を行い、泥水と共に掘削土砂を掘削機のロッドを通じて孔外に排出するリバ−ス工法において、 孔内底部には低濃度泥水を供給し、
    かつ前記低濃度泥水供給範囲の上部には高濃度泥水を供給して行うことを特徴とする、
    リバ−ス工法。
  2. 請求項1に記載のリバ−ス工法において、前記低濃度泥水供給範囲と高濃度泥水供給範囲との間に、孔内の仕切部材を設けて行うことを特徴とする、リバ−ス工法。
  3. ロッドの先端にビットを有し、孔壁を保持するための泥水と共に掘削土砂をロッドを通じて孔外に排出するリバ−ス掘削機において、
    ロッドの先端部に低濃度泥水の吹き出し口を設け、
    かつ前記低濃度泥水吹き出し口のロッドの基端部側に高濃度泥水の吹き出し口を設けたことを特徴とする、
    リバ−ス掘削機。
  4. 請求項3に記載のリバ−ス掘削機において、前記低濃度泥水吹き出し口と高濃度泥水吹き出し口との間に孔内の仕切部材を設けたことを特徴とする、リバ−ス掘削機。
  5. 請求項4に記載のリバ−ス掘削機において、前記仕切部材を、前記ロッドの周囲にロッドと直交方向に張り出させた仕切板と、その仕切板の周縁部にロッドと平行方向に設けた保護板とより構成したことを特徴とする、リバ−ス掘削機。
  6. 請求項3乃至5のいずれかに記載のリバ−ス掘削機において、前記低濃度泥水吹き出し口への低濃度泥水の供給を、内管と外管よりなる前記ロッドの内外管の間隙に形成した流路を介して行うことを特徴とした、リバ−ス掘削機。
  7. 請求項3乃至6のいずれかに記載のリバ−ス掘削機において、前記高濃度泥水吹き出し口への高濃度泥水の供給を、前記ロッドの外周面に軸方向に付設した管体を介して行うことを特徴とした、リバ−ス掘削機。
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