JP3652079B2 - 動力舵取装置及びそれに用いる管継手 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両の操舵に使用される動力舵取装置及びそれに用いる管継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用の舵取装置として、油圧によって操舵力を補助する動力舵取装置が多用されている。この動力舵取装置は、油圧ポンプから吐出される圧油を、油圧シリンダや油圧モータ等の油圧アクチュエータに供給することにより、操舵補助力を出力するものであり、上記油圧ポンプと油圧アクチュエータとの間には、操舵方向及び操舵抵抗に応じて油圧アクチュエータへの圧油の供給を制御する油圧コントロールバルブが介在されている。
この種の動力舵取装置においては、悪路走行時や縁石に乗り上げた際に車輪に加わる衝撃により、油圧アクチュエータに供給された圧油が油圧ポンプ側に逆流してハンドルを取られるいわゆるキックバック現象が生じる。そこで、油圧コントロールバルブに逆止弁を内蔵することにより、上記キックバック現象が生じるのを防止することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記逆止弁は、油圧コントロールバルブの入力ポート部分に内蔵されるので、その分、入力ポート部分の全長を長くする必要があり、バルブハウジングが大型化するという問題があった。また、上記逆止弁が設けられていない車種について、逆止弁を付加しようとすると、バルブハウジングに大幅な追加工を施す必要があるので、キックバック対策を簡易且つ迅速に施すことができないという問題があった。
この発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、バルブハウジングを大型化することなく、キックバック対策を簡易且つ迅速に施すことができる動力舵取装置及びそれに用いる管継手を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためのこの発明の動力舵取装置は、油圧ポンプと、この油圧ポンプから供給される圧油によって操舵補助力を出力する油圧アクチュエータと、上記油圧ポンプと油圧アクチュエータとの間に介在され、操舵に応じて上記油圧アクチュエータに対する圧油の給排をコントロールする油圧コントロールバルブと、油圧アクチュエータから油圧ポンプ側へ圧油が逆流するのを阻止する逆止弁とを備える動力舵取装置において、上記逆止弁を、油圧ポンプの出力ポートと油圧コントロールバルブの入力ポートとを接続する油圧配管の途中部に介在した管継手のハウジングの内奥部と、当該ハウジングに内蔵されたフレアナットとの間に介在しており、上記逆止弁が、両端が開口する筒体と、この筒体の一端部に嵌合された側板と、上記筒体の内部に軸方向に移動可能に挿入され、上記側板に密着可能な略椀型の可動栓と、この可動栓を上記側板側へ付勢するコイルばねとで構成されており、且つ上記可動栓の外周と筒体の内周との間には、圧油の流通を許容するための隙間が設けられていることを特徴とするものである(請求項1)。
【0005】
また、上記動力舵取装置に用いる管継手は、動力舵取装置の油圧ポンプの出力ポートから油圧コントロールバルブの入力ポートに至る油圧配管の途中部に介在される管継手であって、上記管継手のハウジングの内奥部と、当該ハウジングに内蔵されたフレアナットとの間に、油圧ポンプ側へ圧油が逆流するのを阻止する逆止弁を介在し、この逆止弁が、両端が開口する筒体と、この筒体の一端部に嵌合された側板と、上記筒体の内部に軸方向に移動可能に挿入され、上記側板に密着可能な略椀型の可動栓と、この可動栓を上記側板側へ付勢するコイルばねとで構成されており、且つ上記可動栓の外周と筒体の内周との間には、圧油の流通を許容するための隙間が設けられていることを特徴とするものである(請求項2)。
【0006】
上記の構成の動力舵取装置及び管継手によれば、油圧ポンプ側へ圧油が逆流するのを、管継手に内蔵した逆止弁によって阻止することができる。このため、バルブハウジングを大型化したり当該バルブハウジングに追加工を施したりすることなく、キックバック対策を採ることができる。
【0007】
また、上記逆止弁を管継手のハウジングの内奥部と、当該ハウジングに内蔵されたフレアナットとの間に介在しているので、上記管継手に逆止弁を挿入するための空間を追加工するだけで、当該管継手に逆止弁を内蔵することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1はこの発明の動力舵取装置の一つの実施の形態を示す概略図である。
この動力舵取装置1は、図示しない操舵ハンドルに連結される入力軸2と、この入力軸2の回転に伴って回転するピニオン3と、このピニオン3に噛み合うラック4と、このラック4を覆うハウジング5と、このハウジング5の内部に設けられた油圧アクチュエータとしての油圧シリンダ6と、この油圧シリンダ6に圧油を供給する油圧ポンプ7と、上記操舵ハンドルに連動して油圧シリンダ6に対する圧油の給排を制御する油圧コントロールバルブ8とによって主要部が構成されている。
【0009】
上記ラック4の両端部は、ハウジング5の両端開口部5a,5bから突出しており、その突出端には、ボールジョイント10,11が一体化されている。各ボールジョイント10,11には、タイロッド12,13が取付けられており、このタイロッド12,13を介して上記ラック4の両端部が操舵輪に連結されている。したがって、上記操舵ハンドルの回転操作により、入力軸2を介してピニオン3を回転させ、ラック4を軸方向(車幅方向)へ移動させて、車両の操舵を行うことができる。
【0010】
上記油圧シリンダ6は、ハウジング5によって構成されたシリンダチューブ6aと、ラック4で構成されたピストンロッド6bと、ラック4に一体化されたピストン6cとからなり、このピストン6cを挟んだ両側空間が、第1油室6d及び第2油室6eとして構成されている。
油圧コントロールバルブ8は、ロータリーバルブによって構成されており、そのバルブハウジング8aには、入力ポート8b、リターンポート8c、第1出力ポート8d及び第2出力ポート8eがそれぞれ突出形成されている。上記入力ポート8bは、第1油圧配管P1を介して上記油圧ポンプ7の出力ポート7aに接続されており、リターンポート8cは、第2油圧配管P2を介してリザーブタンクTに接続されている。また、第1出力ポート8dは、第3油圧配管P3を介して油圧シリンダ6の第1油室6dに接続されており、第2出力ポート8eは、第4油圧配管P4を介して油圧シリンダ6の第2油室6eに接続されている。
この油圧コントロールバルブ8は、操舵方向と操舵抵抗に応じて、各油室6d,6eの何れか一方に操舵力補助用の圧油を供給すると同時に、他方の油室から作動油をリザーブタンクTに還流させる。
【0011】
上記第1油圧配管P1は、上流端が油圧ポンプ7の出力ポート7aに接続されたフレキシブルチューブP1aと、下流端が油圧コントロールバルブ8の入力ポート8bに接続された金属チューブP1bとによって構成されており、両チューブP1a,P1bは、管継手20を介して互いに接続されている。
図2を参照して、上記管継手20は、継手ハウジング21、締め付けナット25、及びかしめ用チューブ26からなり、上記継手ハウジング21は、フレキシブルチューブP1aを挿入する筒部21aと、金属チューブP1bを導入する六角筒状の本体部21bとを有している。この本体部21bの内部には、金属チューブP1bの上流端を密着させるフレアナット22が内蔵されており、このフレアナット22と上記継手ハウジング21の内奥部23との間には、油圧コントロールバルブ8側から油圧ポンプ7側へ圧油が逆流するのを阻止する逆止弁30が介在されている。
【0012】
上記逆止弁30は、両端が開口する筒体31と、この筒体31の内部に軸方向へ移動可能に挿入された可動栓32と、筒体31の一端部(管継手20の内奥部23側の端部)に嵌合された側板33と、上記可動栓32を側板33側へ付勢するコイルばね34とによって構成されている。上記可動栓32は、側板33に密着可能な略椀形のものであり、その外周と筒体31の内周との間には、圧油の流通を許容する隙間が設けられている。また、上記側板33には、圧油の流通を許容するための開口部33aが形成されている。この逆止弁30は、上記可動栓32を側板33から離反させた状態で、油圧ポンプ7から油圧コントロールバルブ8への圧油の供給を許容し、上記可動栓32を側板34に密着させた状態で、油圧コントロールバルブ8から油圧ポンプ7側へ圧油が逆流するのを阻止することができる。したがって、悪路走行時や縁石に乗り上げた際に車輪に加わる衝撃により、油圧コントロールバルブ8から油圧シリンダ6に供給された圧油が、油圧コントロールバルブ8を介して油圧ポンプ7側に逆流しようとすると、その圧力上昇によって逆止弁30の可動栓32を側板34に密着させて、当該圧油が逆流するのを阻止することができる。
【0013】
このように、上記動力舵取装置1は、第1油圧配管P1の途中部に介在された管継手20に逆止弁30を内蔵したものであるので、この逆止弁30を油圧コントロールバルブ8の入力ポート8bに内蔵する場合に比べて、当該入力ポート8bの全長を短くすることができる。このため、キックバック対策のためにバルブハウジング8aが大型化するのを防止することができ、狭いエンジンルーム内にも油圧コントロールバルブ8を容易に配置することができる。
また、キックバック対策のために、バルブハウジング8aに追加工を施す必要がなく、キックバック対策を簡易且つ迅速に採ることができる。
しかも、上記逆止弁30が、継手ハウジング21の内奥部とフレアナット22との間に介在されているので、当該継手ハウジング21に上記逆止弁30を挿入するための空間を追加工するだけで、管継手20に逆止弁30を簡単に内蔵することができる。
【0014】
なお、上記実施の形態においては、管継手20として、フレキシブルチューブP1aと金属チューブP1bとを接続するタイプのものを例示したが、これに限定されるものでなく、例えば金属チューブどうしを接続するタイプのものや、口径の異なるチューブどうしを接続するタイプのものであってもよい。
【0015】
【発明の効果】
以上のように、この発明は、油圧ポンプ側へ圧油が逆流するのを阻止する逆止弁を、油圧ポンプと油圧コントロールバルブとの間の油圧配管の途中部に介在された管継手に内蔵しているので、キックバック対策のためにバルブハウジングが大型化するという不都合が生じるのを防止することができる。
また、キックバック対策のために、バルブハウジングに追加工を施する必要がないので、当該キックバック対策を簡易且つ迅速に施すことができる。
【0016】
また、上記逆止弁を、上記管継手のハウジングの内奥部と、当該ハウジングに内蔵されたフレアナットとの間に介在しているので、当該管継手に上記逆止弁を挿入するための空間を追加工するだけで、管継手に逆止弁を内蔵することができ、キックバック対策をさらに簡易且つ迅速に施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の動力舵取装置の一つの実施の形態を示す概略図である。
【図2】管継手を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 動力舵取装置
2 入力軸
3 ピニオン
4 ラック
5 ハウジング
6 油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)
7 油圧ポンプ
8 油圧コントロールバルブ
20 管継手
21 継手ハウジング
23 内奥部
30 逆止弁
P1 第1油圧配管
Claims (2)
- 油圧ポンプと、この油圧ポンプから供給される圧油によって操舵補助力を出力する油圧アクチュエータと、上記油圧ポンプと油圧アクチュエータとの間に介在され、操舵に応じて上記油圧アクチュエータに対する圧油の給排をコントロールする油圧コントロールバルブと、油圧アクチュエータから油圧ポンプ側へ圧油が逆流するのを阻止する逆止弁とを備える動力舵取装置において、
上記逆止弁を、油圧ポンプの出力ポートと油圧コントロールバルブの入力ポートとを接続する油圧配管の途中部に介在した管継手のハウジングの内奥部と、当該ハウジングに内蔵されたフレアナットとの間に介在しており、
上記逆止弁が、両端が開口する筒体と、この筒体の一端部に嵌合された側板と、上記筒体の内部に軸方向に移動可能に挿入され、上記側板に密着可能な略椀型の可動栓と、この可動栓を上記側板側へ付勢するコイルばねとで構成されており、且つ
上記可動栓の外周と筒体の内周との間には、圧油の流通を許容するための隙間が設けられていることを特徴とする動力舵取装置。 - 動力舵取装置の油圧ポンプの出力ポートから油圧コントロールバルブの入力ポートに至る油圧配管の途中部に介在される管継手であって、
上記管継手のハウジングの内奥部と、当該ハウジングに内蔵されたフレアナットとの間に、油圧ポンプ側へ圧油が逆流するのを阻止する逆止弁を介在し、
この逆止弁が、両端が開口する筒体と、この筒体の一端部に嵌合された側板と、上記筒体の内部に軸方向に移動可能に挿入され、上記側板に密着可能な略椀型の可動栓と、この可動栓を上記側板側へ付勢するコイルばねとで構成されており、且つ
上記可動栓の外周と筒体の内周との間には、圧油の流通を許容するための隙間が設けられていることを特徴とする動力舵取装置に用いる管継手。
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JP24942397A JP3652079B2 (ja) | 1997-08-29 | 1997-08-29 | 動力舵取装置及びそれに用いる管継手 |
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JPH1178926A JPH1178926A (ja) | 1999-03-23 |
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