JP3652005B2 - ブッシュの取り付け方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ピストンポンプ、ピストンモーター等のボディボア内にブッシュを取り付ける方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シリンダブロックに形成されたボディボア内には、ピストンの往復摺動面の耐焼き付き性、および耐磨耗性を得るために、銅合金製の薄肉円筒であるブッシュを備えている。
そして、ブッシュをボディボアに設置する方法として、ボディボアの内径よりも若干(数十μm)大きな外径のブッシュを押し込む圧入方式がある。
この方式では、圧入後のブッシュの残存弾性力が、ボディボアとブッシュ間に作用し、両部材間の摩擦力によりブッシュが固定されるのである。そして、ブッシュのボディボアへの固着力、耐抜け性を確保するためには、圧入圧力が高くなければならない。
【0003】
しかし、圧入圧力を高くすればするほど、ブッシュ外径とボディボアとの圧接力が強くなるので、圧入時に、ブッシュ外周に軸方向の傷が発生する。このようにブッシュに軸方向の傷ができると、その傷を伝って油が漏れたりすることがあった。また、この軸方向の傷は、ブッシュがボディボアから抜けるのを阻止する力を減殺させてしまう。
したがって、このブッシュの圧入に関しては、その圧入圧力をそれほど高くできないという制約があった。
【0004】
上記の制約を克服しながら、ブッシュの耐抜け性を向上させる方法として、図7、図8に示すものが従来から知られている。
この従来のものは、シリンダブロック1に形成されたボディボア2に、環状の凹部5を形成し、ブッシュ4は、均一肉厚t4の円筒形をしている。
このようにしたブッシュ4の取付け方法を、図8を用いて説明する。
ボディボア2の内壁に環状凹部5を形成し(図8(a))、図7に示す取り付け前の単体の銅合金製のブッシュ4を、段部9に当接するまで圧入する(図8(b))。なお、このときの圧入圧力は、ブッシュに傷を付けてしまうほどのものでないこと当然である。
【0005】
次に、ローラー等を用いて、ブッシュ4の内側から拡管を行う。ブッシュ4の外周は、ボディボア2の内部形状に沿って、塑性変形する。これによって、ボディボア2の環状凹部5には、ブッシュ4の外周が埋没して固着する(図8(c))。
この時の拡管により、ブッシュ4は、肉厚がt4からt5へと変化し、環状凹部5に埋没した分だけ、全体の肉厚が薄くなる。
ブッシュ4の外周の一部が、環状凹部5に埋没しているので、残存圧力だけに頼る場合に比べて、圧入圧力を小さくしても耐抜け性を満足できるので、ブッシュ外周の軸方向の傷は、発生し難い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ピストンの運転時には、ピストンとの摺動部になるブッシュ4の内壁に摩擦熱が発生する。特に、高速運転時には、ピストンの摺動により発生する摩擦熱が大きく、この摩擦熱により、ブッシュ4が熱膨張する。
ところが、上記のような従来例では、ブッシュ4の外周の一部が環状凹部5に埋没し、先端が段部9に当接しているため、軸方向の自由度が制限されている。また、ブッシュ外周とボディボア2との間には、空隙が無いので、外径方向への変形の自由度も小さい。
このため、摩擦熱が高くなると、ブッシュ4は内径方向に膨張し、縮径する。このようにブッシュ4が縮径すると、ピストンの摺動が困難となる。つまり、高速運転ができなくなる。
【0007】
また、ブッシュ4の取り付け時に、ブッシュ4の外周の一部を環状凹部5に埋没させながら、ブッシュ4全体の肉厚t4がt5になるように、均一に拡径することは難しかった。
もし、取り付け後のブッシュ4の肉厚が不均一、つまり、内径が不均一になると、ピストンが滑らかに動かないという問題も起こる。
そこで、この発明の目的は、ボディボアからの耐抜け性を確保すると共に、熱膨張の影響を受けずに、高速運転可能なブッシュの取り付け方法を提供することである。
【0008】
この発明のブッシュ取り付け方法は、ボディボアの内径よりも、ブッシュ外径をわずかに大きくして、そのブッシュをボディボアに圧入するブッシュ取り付け方法を前提にするものである。
上記の取り付け方法を前提にしつつ、第1の発明は、ブッシュに、その挿入方向先頭側に厚肉部を形成し、その後方側に薄肉部を形成するとともに、上記厚肉部内径に対して薄肉部内径を大きくしている。
また、上記ボディボア内には、上記薄肉部に対応する部分に形成した逃げ凹部と、上記厚肉部に対応する部分に形成した環状凹部とを備えている。
【0009】
このようにしたボディボアに、上記ブッシュを圧入した後、ブッシュの内側からの圧力により上記厚肉部を塑性変形させて、ボディボアの環状凹部に埋没させる。
第2の発明は、ボディボアのブッシュ挿入方向前方に段部を形成し、ブッシュ圧入時、ブッシュ先端と、段部との間に空間を形成した点に特徴を有する。
上記のようにして取り付けたブッシュは、外周の一部を環状凹部に埋没させるとともに、逃げ凹部は、空間として残る。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1〜図4に示す第1実施例は、ブッシュ6をボディボア2内に取り付ける方法である。
ブッシュ6には、ボディボア2に対する圧入方向後方に薄肉部7を形成するとともに、その圧入方向前方に厚肉部8を形成している。そして、薄肉部7の内径をD3、厚肉部8の内径をD4とし、D3>D4としているが、外径D2は均一にしている。
ボディボア2内には、ブッシュ6を圧入したとき薄肉部7に対応する環状の逃げ凹部3と、厚肉部8に対応する環状凹部5とを形成し、ボディボア2の内径D1を、ブッシュ6の外径D2より、わずかに小さくしている。
【0011】
上記のようにしたブッシュ6の取り付け方法を図3(a)、(b)に従って、説明する。
まず、ブッシュ6をボディボア2内に圧入する(図3(a))。次に、ブッシュ6の内側から、ローラーで、厚肉部8だけを押圧して、内径D4がD3となるまで拡径する。すると、厚肉部8は塑性変形し、その外周は、ボディボア2に形成した環状凹部5に埋没する。この時、薄肉部7の内周には、拡管用のローラーが作用しないので、逃げ凹部3の空間は、そのまま残る。
【0012】
上記のようにブッシュ6の外周の一部が塑性変形して、環状凹部5に埋没しているので、圧入圧力をそれ程大きくしなくても、耐抜け性は満足できる。したがって、従来のように圧入圧力を大きくした時の問題は、起こらない。
また、ピストン13の高速運転時に、高い摩擦熱が発生すれば、ブッシュも熱膨張する。しかし、図4に示すように、熱膨張によるブッシュの変形が、ボディボア2に形成した逃げ凹部3側で起こる。言い換えれば、ブッシュの変形分が逃げ凹部3内に突出するので、ブッシュ6の内径が縮径しない。
しかも、ブッシュ6が逃げ凹部3側に変形することにより、ブッシュ6とピストン13との間に窪み12ができる。この窪み12には油が溜り、この油が潤滑油の働きをするため、ピストン13は滑らかに摺動する。
【0013】
また、このブッシュの取り付け時には、厚肉部8だけを拡径する。このときには、厚肉部8の厚さt2を薄肉部7と同じ肉厚t1とするとともに、その内径D4も薄肉部7の内径D3と等しくする。
上記のことからも明らかなように、ローラーを作用させる範囲が、厚肉部8だけでよいので、例えば、従来のように、全体を拡径する場合に比べて、ブッシュ6の内径を均一にしやすくなる。
この第1実施例では、熱膨張によるブッシュ6の変形を逃がす逃げ凹部3を1個設けたが、環状凹部を複数設けてもかまわない。
【0014】
図5に示す第2実施例は、ボディボア2に形成した段部9と、ボディボア2に圧入したブッシュ6の先端10との間に、空間11を形成するようにした点が特徴である。
肉厚t3の厚肉部8を薄肉部7と同じ肉厚t1となるように拡管すると、厚肉部8は塑性変形し、一部分が環状凹部5に埋没するとともに、先端方向にも伸びて、空間11を埋める。この空間11は、微小なもので、ブッシュ先端10は、段部9に密着する。
【0015】
したがって、この第2実施例の場合には、上記空間11を埋めるの分だけ、厚肉部の厚さt3を、第1実施例の場合よりも少し厚くする必要がある。
このように設置したブッシュ6の作用は、第1実施例と同様である。
図6に示す第3実施例は、ボディボア2の内周に、環状の逃げ凹部3の代わりに楕円形状の逃げ凹部14を複数個形成したもので、それ以外は、第1実施例と同様である。
なお、逃げ凹部は、熱膨張によるブッシュの変形が外径方向に起こり、運転中にブッシュ6の内径が小さくなることがないようにするためのもので、その機能を果たす限り、形状や数は特に限定されない。
【0016】
【発明の効果】
この発明によれば、ボディボアに取り付けたブッシュは、圧入による残存弾性率による密着力と、環状凹部に埋没した外周部とによって、耐抜け性を確保している。
また、ピストンの高速運転中に高い摩擦熱が発生して、ブッシュが熱膨張しても、外周側に逃げ凹部があるので、内径が小さくなることが無い。
しかも、ブッシュ内周に生じた窪みとピストンの間にたまった油が、潤滑油となるため、熱膨張の影響を受けずに、高速運転が可能になった。
さらに、ブッシュ取り付け時に、拡径をする範囲が厚肉部だけに狭く限られているので、ブッシュ内径を均一に保持することが容易になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の加工前のブッシュの断面図である。
【図2】第1実施例のボディボアの断面図である。
【図3】第1実施例の取り付け方法の説明図であり、(a)、(b)の順に行う。
【図4】第1実施例の高速運転中の断面図である。
【図5】第2実施例の断面図である。
【図6】第3実施例の断面図である。
【図7】従来例の加工前のブッシュの断面図である。
【図8】従来例の取り付け方法の説明図であり、(a)、(b)、(c)の順に行う。
【符号の説明】
2 ボディボア
3 逃げ凹部
5 環状凹部
6 ブッシュ
7 薄肉部
8 厚肉部
9 段部
10 ブッシュ先端
11 空間
13 ピストン
14 逃げ凹部
Claims (2)
- ボディボアの内径よりも、ブッシュ外径をわずかに大きくして、そのブッシュをボディボアに圧入するブッシュ取り付け方法において、ブッシュには、その挿入方向先頭側に厚肉部を形成し、その後方側に薄肉部を形成するとともに、上記厚肉部内径に対して薄肉部内径を大きくし、上記ボディボア内には、上記薄肉部に対応する部分に形成した逃げ凹部と、上記厚肉部に対応する部分に形成した環状凹部とを備え、ブッシュをボディボアに圧入した後、ブッシュの内側からの圧力により上記厚肉部を塑性変形させ、ボディボアの環状凹部に埋没させるブッシュ取り付け方法。
- ボディボアのブッシュ挿入方向前方に段部を形成し、ブッシュ圧入時、ブッシュ先端と、段部との間に空間を形成することを特徴とする請求項2のブッシュ取り付け方法。
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