JP3651915B2 - シグナル配列ペプチドをコードするdna断片の探索法及びそのためのベクター - Google Patents

シグナル配列ペプチドをコードするdna断片の探索法及びそのためのベクター Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、シグナル配列ペプチドをコードする遺伝子を探索する方法とそのために用いられるプラスミドベクターに関する。この方法により、医薬として有用な分泌蛋白質や膜蛋白質をコードする遺伝子を容易に得ることが出来る。
【0002】
【従来の技術】
細胞が生産している生理活性蛋白質は、医薬、診断薬、バイオセンサー、バイオリアクターなど、産業界で広く利用されている。中でも分泌蛋白質や膜蛋白質は医薬品として有望なものが多い。たとえば、インターフェロン、インターロイキン、エリスロポイエチン、血栓溶解剤など現在市販されている蛋白質医薬の多くは分泌蛋白質である。また膜蛋白質である、これらのレセプターも医薬としての可能性を秘めている。したがってこれらの分泌蛋白質や膜蛋白質をコードする遺伝子を選択的にクローニングする技術ができれば、未知の生理活性蛋白質の探索が非常に容易になると期待される。
【0003】
分泌蛋白質や膜蛋白質はそのアミノ末端にシグナル配列と呼ばれる約20アミノ酸残基からなる配列を有している。したがってこのシグナル配列をコードする遺伝子をクローニングできれば、分泌蛋白質や膜蛋白質をクローニングできることになる。しかしシグナル配列をコードする遺伝子を選択的にクローニングする方法は、まだ知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、シグナル配列ペプチドを有する蛋白質をコードする遺伝子を探索する方法とそのために必要なプラスミドベクターを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、任意のシグナル配列ペプチドをコードするDNA 断片を、マーカー蛋白質としてのプラスミノーゲンアクチベーター(シグナル配列ペプチド部分は含まない)の遺伝子と融合させたのち、動物細胞に導入すると、プラスミノーゲンアクチベーターが培養液に分泌されることを見いだし、これを利用することによって、シグナル配列ペプチドを有する蛋白質をコードする遺伝子を選択的に探索する方法を構築し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、任意のDNA 断片を、マーカー蛋白質としての、シグナル配列ペプチド部分を含まないプラスミノーゲンアクチベーターをコードする遺伝子の上流に挿入したのち、該遺伝子を動物細胞に導入して前記DNA断片によりコードされる蛋白質と前記プラスミノーゲンアクチベーターとの該融合蛋白質を発現させ、プラスミノーゲンアクチベーターが培養液に分泌されることを指標にしてシグナル配列ペプチドをコードするDNA 断片を探索する方法を提供する。また、本発明は、大腸菌用複製オリジン、動物細胞用複製オリジンとプロモーター、その下流に存在するクローニング部位、その下流に、クローニング部位に挿入された遺伝子のコーディング領域とフレームが合い、しかも分泌された場合、その検出が可能なマーカー蛋白質としての、シグナル配列ペプチド部分を含まないプラスミノーゲンアクチベーターをコードする領域を含む、上記本発明の方法を実施するためのプラスミドベクターを提供する。
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
本発明は、動物細胞用プロモーター、シグナル配列ペプチドをコードするDNA 断片、マーカー蛋白質としてのプラスミノーゲンアクチベーター(シグナル配列ペプチド部分は含まない)をコードする遺伝子を含むベクター(図1)を作製し、これを動物細胞に導入してやれば、プラスミノーゲンアクチベーターのN 末端に任意のシグナル配列ペプチドが付加した融合蛋白質が細胞内で合成され、プラスミノーゲンアクチベーターが分泌されてくるであろうという予想に基づいている。ここで、シグナル配列ペプチドをコードするDNA 断片が、スクリーニングの対象である。
【0008】
本発明の方法は、次の3つの工程を含む。
工程1 任意のDNA 断片を、動物細胞用発現ベクターに組換える。
工程2 得られたベクターをトランスフェクション法を用いて動物細胞に導入する。
工程3 ベクターを導入した細胞を培養後、培養上澄中のマーカー蛋白質としてのプラスミノーゲンアクチベーターの有無を調べる。
【0009】
各工程について以下詳細に説明する。
【0010】
工程1
任意のDNA 断片を、動物細胞用発現ベクターに組換えるには、次の2つの方法がある(図2参照)。
【0011】
<方法1> 動物細胞用プロモーター、クローニング部位(制限酵素切断部位)、プラスミノーゲンアクチベーター(シグナル配列ペプチド部分は含まない)をコードする遺伝子が直列に接続されたベクターを用い、この中のクローニング部位に任意のDNA 断片を挿入する。
【0012】
<方法2> 動物細胞用プロモーターの下流に完全長cDNAを含むベクターを、cDNA中に存在する制限酵素部位で切断し、この部位にプラスミノーゲンアクチベーター(シグナル配列ペプチド部分は含まない)をコードする遺伝子を挿入する。
【0013】
本発明はまた、方法1で必要なプラスミドベクターを提供する。本ベクターは、大腸菌用複製オリジン、動物細胞用複製オリジンとプロモーター、その下流に存在するクローニング部位、その下流に、クローニング部位に挿入された遺伝子のコーディング領域とフレームが合い、しかも分泌された場合、その検出が可能なマーカー蛋白質としてのプラスミノーゲンアクチベーター(シグナル配列ペプチド部分は含まない)をコードする領域を含むプラスミドベクターである。
【0014】
大腸菌用複製オリジンとしては、pBR322やpUC 系プラスミドのオリジンが例示できる。動物細胞複製オリジンとしては、SV40の複製オリジン等が例示できる。目的遺伝子を発現するためのプロモーターとしては、SV40の初期プロモーターや後期プロモーター、アデノウイルスの後期プロモーター、レトロウイルスのLTR 、チミジンキナーゼのプロモーター、メタロチオネインのプロモーター、βーアクチンのプロモーター、延長因子のプロモーターなどが例示できる。クローニング部位として、ベクターの中に存在しない1個以上のユニークな制限酵素部位が存在する。
【0015】
マーカー蛋白質としては、シグナル配列を付加してやれば分泌でき、かつ分泌されたマーカー蛋白質の検出が容易なものが望ましく、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(単に「ウロキナーゼ」とも呼ばれる)又は組織プラスミノーゲンアクチベーターを用いる。この他に、スプライシング部位およびポリ(A) 付加シグナルをベクター上の適当な部位に含んでいる必要がある。
【0016】
図3に、本発明で作製したベクターpSSD1 の構造を示す。pSSD1 は、SV40の複製オリジンと初期プロモーター(SV40 ori & P. )、16S スプライシング部位(16S S.J.)、シーケンシング用ユニバーサルプライマー部位(U )、T7プロモーター、Bgl IIとEcoR V部位、ウロキナーゼの翻訳領域(137番目のPro から411番目のLeu までを含む)、SV40のポリ(A) 付加シグナル、pUC 系ベクターの複製オリジン、β- ラクタマーゼ遺伝子(AmpR)、f1ファージのオリジンを含んでいる。本ベクターを用いれば、一本鎖ファージDNA (cDNA のアンチセンス鎖を含む)を容易に調製でき、ユニバーサルプライマーを用いて、クローン化されたDNA 断片の塩基配列を容易に決定することができる。また、T7RNA ポリメラーゼを作用させると、センス鎖RNA を調製でき、これをプローブとしてcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、対応する完全長cDNAをクローン化することができる。
【0017】
pSSD2 は、ウロキナーゼの翻訳領域の開始部分に、Arg-Ser という配列を導入してある。したがって、適当なセリンプロテアーゼを作用させることによって、N 末端に融合した蛋白質を除去できる。N 末端に融合した蛋白質が細胞外に分泌された後、立体障害のためにウロキナーゼ活性を阻害する場合には、このベクターを用いるとよい。なお、本発明のベクターのようにウロキナーゼの活性ドメインを用いる場合、ウロキナーゼ活性を有するものであれば、ウロキナーゼ自体のシグナル配列ペプチドを除く翻訳領域をコードするcDNAのどの部分から始まる断片を用いてもよい。
【0018】
方法1を用いる場合、スクリーニングの対象となるDNA 断片は、ゲノム由来、cDNA由来、合成DNA いずれでもかまわない。ゲノムやcDNAの場合、適当な制限酵素による切断片を用いても良いし、適当なプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR) 法により調製したDNA 断片を用いてもよい。もし、DNA 断片中に開始コドンから始まるオープンリーディングフレームが存在し、マーカー蛋白質としてのプラスミノーゲンアクチベーター(シグナル配列ペプチド部分は含まない)をコードする遺伝子のフレームが合っていると、これらの融合蛋白質を発現できるベクターが出来上がる。
【0019】
方法2を用いる場合、cDNAの供給源としては、動物細胞のプロモーターを含むベクターにクローン化されたcDNA発現ライブラリーを用いることができる。たとえば、pKA1(特開平4-117292に記載)、pcDV (H. Okayama and P. Berg, Mol.Cell.Biol. 3:280-289, 1983) 、pCDM8(B.Seed, Nature 329:840-842, 1987) をベクターとして作製されたcDNAライブラリーを用いることができる。pKA1で作製したcDNAライブラリーを用いる場合、ベクターの中に存在しない一種以上の制限酵素で切断後、平滑末端化し、次いでNot I で切断後、マーカー蛋白質としてのプラスミノーゲンアクチベーター(シグナル配列ペプチド部分は含まない)をコードするDNA 断片を挿入すれば良い。本実施例では、プラスミノーゲンアクチベーター(シグナル配列ペプチド部分は含まない)をコードするDNA 断片として、pSSD1 あるいはpSSD2 のEcoR V-Not I断片(ウロキナーゼ蛋白質のC 末端側をコードする)を用いた。
【0020】
工程2
工程1で、様々なDNA 断片が挿入されたベクターの混合物が得られる。これで大腸菌を形質転換したのち、単一コロニー化し、各々から調製したプラスミド、一本鎖DNA 、あるいは一本鎖ファージを用いて、動物細胞のトランスフェクションを行なう。
【0021】
発現ベクターを動物細胞に導入するには、リン酸カルシウム法、DEAE- デキストラン法、リポソーム法、エレクトロポレーション法等を用いることが出来る(例えば実験医学別冊「遺伝子工学ハンドブック」、羊土社、1991、参照)。あるいは、一本鎖ファージを調製した後、これを用いてトランスフェクションを行なえば、より容易に遺伝子を動物細胞に導入することができる(特願平4-332284)。
【0022】
動物細胞としては、ベクターに組み込まれた複製オリジンやプロモーターが働くものであれば何でもかまわない。実施例のようにSV40の複製オリジンやプロモーターを使用する場合には、T 抗原を発現しているCOS 細胞が適している。
【0023】
工程3
発現ベクターを導入した動物細胞を適当な条件下で培養した後、培養上澄を調製する。この中にプラスミノーゲンアクチベーターが分泌されているかどうかは、人工基質ペプチドを用いる方法やフィブリンプレート法により検出できる。大量のサンプルを手軽に、しかも微量のサンプルで検出できるという点で、実施例に例示したフィブリンプレート法が適している。
【0024】
もしプラスミノーゲンアクチベーターが検出された場合には、任意のDNA 断片がシグナル配列ペプチドをコードしていることになる。その場合には、この断片をプローブとして用いて、もとのcDNAライブラリーをスクリーニングすれば、対応する完全長cDNAクローンが得られる。
【0025】
【実施例】
次に実施例により発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0026】
DNAの組換えに関する基本的な操作および酵素反応は、文献(”Molecular Cloning. A Laboratory Manual”、Cold Spring Harbor Laboratory、1989)に従った。制限酵素および各種修飾酵素は特に記載の無い場合宝酒造社製のものを用いた。各酵素反応の緩衝液組成、並びに反応条件は付属の説明書に従った。
【0027】
シグナル配列ペプチド探索用ベクターの作製
プラスミドpUC19 (ファルマシア社)10μgを100単位のSca I,ついで100単位のPst I で消化した後、0. 8%アガロースゲル電気泳動にかけ、ゲルからオリジンを含む大きい断片を単離精製した。プラスミドpKA1(特開平4-117292に記載)10μgを100単位のSca I,ついで100単位のPst I で消化した後、0. 8%アガロースゲル電気泳動にかけ、ゲルからf1オリジンを含む小さい断片を単離精製した。両者の断片をライゲーション後、大腸菌HB101 の形質転換を行なった。形質転換体から単離したプラスミド10μgを100単位のPvu II, ついで100単位のPst I で消化した後、0. 8%アガロースゲル電気泳動にかけ、ゲルからオリジンを含む大きい断片を単離精製した。
【0028】
プラスミドpKA1(特開平4-117292に記載)10μgを100単位のAcc I で消化した後、クレノウ断片処理によって平滑末端化し、ついで100単位のPstIで消化した後、0. 8%アガロースゲル電気泳動にかけ、ゲルからSV40オリジンを含む小さい断片を単離精製した。両者の断片をライゲーション後、大腸菌HB101 の形質転換を行なった。形質転換体からプラスミドを単離し、制限酵素地図から目的とするプラスミドpKA1U であることを確認した。すなわち、pKA1U は、pKA1が有していたpBBR322 由来のオリジンを、pUC 由来のオリジンに置き換えたものである。
【0029】
pKA1U 1μgをBstX I 10 単位で消化後、T4DNA ポリメラーゼによりその末端を平滑化し、T4DNA リガーゼによりリン酸化Bgl IIリンカーを接続した。このものをBgl II 20 単位で消化後、T4リガーゼにより環化し、pKA1UBを構築した。pKA1UB 1μgを、20単位のEcoRV 、20単位のKpn I で消化した後、大腸菌C75 由来アルカリフォスファターゼにより末端のリン酸基を除去した。
【0030】
ヒトフィブロサルコーマ細胞株HT-1080 のcDNAライブラリー(特開平4-117292に記載)から任意に選択したクローンの塩基配列決定の結果、ウロキナーゼの完全長cDNAを含むクローンpKA1-UPAが得られた。
【0031】
ヒトウロキナーゼ活性ドメインのN末端(137番目のPro から142番目のGlu )に相当するcDNAの配列及びウロキナーゼ3’非翻訳領域の配列を有する次の3種類の合成DNA オリゴマーをDNA 合成機(アプライドバイオシステム社)を用いて合成した。
SSD1 5'-GGCGATATCCCTCCTCTCCTCCAGAAG-3' (配列番号1)
SSD2 5'-GGCGATATCGATCCTCTCCTCCAGAAG-3' (配列番号2)
SSD3 5'-CGCGGTACCAGCAAGAAAGCGGGTGG-3' (配列番号3)
【0032】
これらの合成オリゴマーをプライマーとしてPCR 反応を行ない、ウロキナーゼ活性ドメインcDNA を増幅した。すなわち、pKA1-UPAのPst I 消化物より単離した1.2 kbp の断片1ngを鋳型に、各々1.8 ナノモルのSSD1およびSSD3または各1.8 ナノモルのSSD2およびSSD3をプライマーとして30サイクルのPCR 反応を行なった。PCR 生成物を40単位のEcoR Vおよび30単位のKpn I により消化後、0.7%アガロースゲル電気泳動にかけ、約860bの断片を単離した。これらの断片を前項のベクター断片にT4DNA リガーゼを用いて連結し、pSSD1 、pSSD2 を構築した。
【0033】
シグナル配列ペプチド−ウロキナーゼ融合蛋白質の発現ベクター構築(方法1)
(1)ウロキナーゼ由来シグナルペプチドcDNAを有するpSSDの構築
pKA1-UPA 1μgのEcoR V、Nae I 消化物を1.5%アガロースゲル電気泳動にかけ、約300 bpのcDNA断片をゲルより単離した。pSSD1 またはpSSD2 0.5μgを10単位のEcoRV で消化後、大腸菌C75 アルカリフォスファターゼにより末端リン酸基を除去し、ベクター断片とした。このベクター断片にpKA1-UPA由来の約300bp のcDNA断片をT4リガーゼにより連結し、pSSD1-UPA 、pSSD2-UPA を構築した。
【0034】
(2)腫瘍壊死因子由来シグナルペプチドcDNAを有するpSSDの構築
pSSD1 またはpSSD2 1 μgを10単位のEcoR Vで完全に消化した後、2 単位のEcoR Iで37℃、45秒間の部分消化を行ない、大腸菌C75 アルカリフォスファターゼにより末端リン酸基を除去した。
【0035】
ヒト腫瘍壊死因子(TNF-α)完全長cDNAを含むプラスミドpKA1-TNF(特開平4-117292に記載)1 μgのBal I およびEcoR I消化物を1.5% アガロースゲル電気泳動にかけ、約500bp のcDNA断片をゲルより単離した。この断片とベクター断片のT4リガーゼ反応物を用いて大腸菌JM109 を形質転換した。得られた形質転換体の有するプラスミドを解析し、ウロキナーゼcDNA中の2ヵ所のEcoRI サイトが無傷であり、かつウロキナーゼcDNA5’側上流にTNF cDNA断片が挿入されているものを選択し、pSSD1-TNF 、pSSD2-TNF とした。
【0036】
(3)プラスミノーゲンアクチベーター阻害因子1由来シグナルペプチドcDNAを有するpSSDの構築
ヒトプラスミノーゲンアクチベーター阻害因子1(PAI-1 )完全長cDNAを含むプラスミドpKA1-PAI1 (加藤、蛋白質核酸酵素、38巻3号、458- 267頁)1 μg のEcoR I、Stu I 消化物を1.5%アガロースゲル電気泳動にかけ、約220bp のcDNA断片をゲルより単離精製し、前項記載のpSSD1 またはpSSD2 のベクター断片にT4リガーゼにより連結した。この反応物で大腸菌JM109 を形質転換し、得られた形質転換体の有するプラスミドの解析を行なった。ウロキナーゼcDNA中の2ヵ所のEcoRI サイトが無傷であり、かつウロキナーゼcDNA5’側上流にPAI-1 cDNA断片が挿入されているものを選択し、pSSD1-PAI1、pSSD2-PAI1とした。
【0037】
シグナル配列ペプチド - ウロキナーゼ融合蛋白質の発現ベクター構築(方法2)
pSSD1 、pSSD2 1 μg をEcoRV とNot I で消化後、0.7%アガロースゲル電気泳動を行ない、約900bp の断片を単離した。
【0038】
ヒト組織球リンホーマ細胞株U937由来mRNAからpKA1をベクタープライマーとして調製したcDNAライブラリー(特開平4-117292に記載)1.5 μg をEcoR V、AorH52、Spe I 、Sac I 、Pvu II、PmaC Iで消化した後、T4DNA ポリメラーゼにより平滑末端化した。さらにNot I で消化した後、大腸菌C75 アルカリフォスファターゼにより末端リン酸基を除去した。このcDNAライブラリー由来のベクター断片に上記のウロキナーゼ活性ドメインcDNAを含むEcoR V-Not I断片をT4 DNAリガーゼにより連結後、大腸菌JM109 を形質転換した。
【0039】
COS-7 細胞のトランスフェクション
形質転換用サンプルは以下のように調製した。各種pSSDプラスミドを有する大腸菌JM109 形質転換株のグリセロールストックから滅菌つまようじで少量を採取し、100 μg/ml アンピシリン含有2xYT2ml に植菌した。37℃で1時間30分培養後、ヘルパーファージM13K07懸濁液50μl を加え、さらに16時間培養した。この培養液について15,000回転、5 分間の遠心を2回繰返し、大腸菌体を完全に除去した上清を得た。この上清1.2ml に対して20% ポリエチレングリコール、2.5M NaCl 溶液0.3ml を添加し充分に混合し、室温にて10分間静置後、15,000回転、10分間の遠心を行ない、沈澱を回収した。得られた沈澱を120 μlのトリス-EDTA (pH8.0 )に懸濁し、この懸濁液を形質転換に用いた。または培養後の大腸菌体からアルカリリシス法によりプラスミドDNA を抽出し、これをサンプルとした。
【0040】
サル腎臓由来培養細胞COS7(ATCCより分譲)は、10% ウシ胎児血清を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中、5%CO2 存在下、37℃で培養した。0.7 〜0.8x105 個のCOS7細胞を6穴プレート(ヌンク社、穴の直径3cm )に植え、5%CO2 存在下、37℃で20〜22時間培養した。培地除去後、リン酸緩衝液で細胞表面を洗浄し、さらに50mMトリス塩酸(pH7.5 )を含むDMEM (TDMEM)で再度洗浄した。この細胞に各サンプル(ファージ懸濁液1 〜2 μlもしくは2本鎖DNA 1 〜2 μg)を含む0.4mg/ml DEAE デキストラン含有TDMEM 0.8ml を添加し、5%CO2 存在下、37℃で4時間培養した。サンプル液を除去後、TDMEM で細胞表面を洗浄し、100 μM クロロキン含有TDMEM 1ml を添加し、5%CO2 存在下、37℃で3時間培養した。この液を除去し、TDMEM にて細胞表面を洗浄後、10% ウシ胎児血清含有DMEMを1穴あたり2ml加え、5%CO2 存在下、37℃にて5日〜1週間培養した。
【0041】
培養上澄のアッセイ
2%ウシフィブリノーゲン(マイルス社)、0.5%アガロース、1mM 塩化カルシウムを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.4 )10mlに10単位のヒトトロンビン(持田製薬)を加え、直径9cm のプレート中で固化させ、フィブリンプレートを調製した。トランスフェクションしたCOS 細胞の培養上清10μlをフィブリンプレートに載せ、37℃、15時間インキュベートした。得られた溶解円の直径をウロキナーゼ活性の指標とした。
【0042】
pSSD1-UPA 、pSSD2-UPA 、pSSD1-TNF 、pSSD2-TNF 、pSSD1-PAI1、pSSD2-PAI1の一本鎖DNA を含むファージ懸濁液により形質転換したCOS7細胞の6日後の培養上清についてアッセイを行なったところ、表1に示すように、いずれのサンプルも溶解円を形成し、ウロキナーゼが培地中に分泌されたことが確認された。
【0043】
表1
─────────────────────
サンプル 溶解円の直径(cm)
─────────────────────
pKA1 0
pSSD1−UPA 1.3
pSSD1−UPA 1.3
pSSD1-TNF 1.45
pSSD2−TNF 1.25
pSSD1−PAI1 1.35
pSSD2−PAI1 1.3
pSSX−1 1.2
─────────────────────
【0044】
方法2で作製した形質転換体について、任意のクローンをひろい、それぞれから調製したプラスミドを用いてトランスフェクションを行なったところ、COS7の培養液中にフィブリン溶解活性を有するものがいくつか認められた。その中の一つ、pSSX-1について、その5’末端の塩基配列を決定したところ、分泌顆粒プロテオグリカンコア蛋白質の5’非翻訳領域と開始コドンから122番目のLeu までの翻訳領域(シグナル配列領域を含む)を含んでいた。この部分をプローブとして用い、もとのライブラリーをスクリーニングすることにより、分泌顆粒プロテオグリカンコア蛋白質の完全長cDNAをクローン化できた。
【0045】
図4にフィブリン溶解活性を示したクローンのcDNA部分の構造をまとめて示した。いずれも、5’非翻訳領域、開始コドンから始まる翻訳領域、これとフレームが一致するウロキナーゼの活性ドメインを有していた。開始コドンから始まる翻訳領域には、それぞれの蛋白質由来のシグナル配列領域が含まれていた。このことは、シグナル配列領域を含むDNA がウロキナーゼの活性ドメインとフレームが一致するように挿入されれば、シグナル配列の由来の如何に関わらず、ウロキナーゼが細胞外に分泌されることを意味する。したがって、この方法により、シグナル配列ペプチドをコードするDNA 断片をクローニングできることが示された。なお、図4に示される各領域は図1と同じ意味を表す。
【0046】
【発明の効果】
本発明により、シグナル配列ペプチドをコードするcDNA、すなわち医薬品としての利用価値が高い分泌蛋白質や膜蛋白質をコードするcDNAを選択的に、効率良く行なえるようになる。
【配列表】
Figure 0003651915

【図面の簡単な説明】
【図1】融合遺伝子の構造を示す図。
【図2】融合遺伝子を作製する工程を示す図。
【図3】本発明のプラスミドであるpSSD1 、pSSD2 の構造を示す図。
【図4】シグナル配列ペプチド−ウロキナーゼ融合蛋白質cDNAの構造を示す図。

Claims (5)

  1. 任意のDNA 断片を、マーカー蛋白質としての、シグナル配列ペプチド部分を含まないプラスミノーゲンアクチベーターをコードする遺伝子の上流に挿入したのち、該遺伝子を動物細胞に導入して前記DNA断片によりコードされる蛋白質と前記プラスミノーゲンアクチベーターとの該融合蛋白質を発現させ、プラスミノーゲンアクチベーターが培養液に分泌されることを指標にしてシグナル配列ペプチドをコードするDNA 断片を探索する方法。
  2. 動物細胞で発現可能なcDNAベクターを、cDNA中には存在するが、ベクター中には存在しない制限酵素で切断後、この部位に、cDNAのコーディング領域とフレームが合い、しかも分泌された場合、その検出が可能なマーカー蛋白質としての、シグナル配列ペプチド部分を含まないプラスミノーゲンアクチベーターをコードする領域を含むDNA 断片を挿入したベクターを作製し、該ベクターを動物細胞に導入し、該ベクターにコードされているプラスミノーゲンアクチベーターが培養液中に分泌されることを指標として、シグナル配列ペプチドをコードするDNA 断片を探索する方法。
  3. 大腸菌用複製オリジン、動物細胞用複製オリジンとプロモーター、その下流に存在するクローニング部位、その下流に、クローニング部位に挿入された遺伝子のコーディング領域とフレームが合い、しかも分泌された場合、その検出が可能なマーカー蛋白質としての、シグナル配列ペプチド部分を含まないプラスミノーゲンアクチベーターをコードする領域を含む、請求項1記載の方法を実施するためのプラスミドベクター。
  4. 下記図3に示す構造を有するpSSD1 あるいはpSSD2 である請求項記載のプラスミドベクター。
    【図3】
    Figure 0003651915
  5. 任意のDNA 断片を請求項3記載のプラスミドベクターのクローニング部位に挿入後、このベクターを動物細胞に導入し、プラスミドベクターにコードされているプラスミノーゲンアクチベーターが培養液中に分泌されることを指標として、シグナル配列ペプチドをコードするDNA 断片をクローニングする請求項1記載の方法。
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