JP3651695B2 - 放射線治療計画装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は放射線治療計画装置に係り、とくに、X線CT装置、MRI装置などから得られる断層像を用いて放射線治療の計画を行う放射線治療計画装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、癌などの病変部に放射線を照射する放射線治療が臨床の場で行われており、その有効性が認められている。
【0003】
この放射線治療を行う放射線治療装置としては一般に、リニアアクセラレータが使われている。このリニアアクセラレータは、治療台に横たわった患者の患部に、加速電子線をターゲットに当てることにより発生する放射線(X線)を照射したり、加速電子線を直接照射したりするものである。
【0004】
このような放射線治療装置を利用して治療するには、事前の種々の準備作業が必要になる。その第1段階は、例えばX線CTスキャナにより疾患部の画像を取得することである。第2段階では、その画像を用いて患部の位置,大きさ,形状,数などを正確に把握し、どのようなアイソセンタの位置及び線量分布,照射法(視野,角度,門数など)を選択したら患部のみに的確に放射線を照射できるかを決める。さらに第3段階では、X線シミュレータにより決定したアイソセンタ,線量分布及び照射条件を使ってアイソセンタの設定,透視による患者位置決め,体表マーキング(アイソセンタ,照射野),及び決定した照射法によるシミュレーションが行われる。
【0005】
このようにしてシミュレーションまでが完了すると、その後、通常、適宜な期間を置いて、放射線治療装置による治療に至る。この治療に先立ち、照合用透視画像で照射野を最終的に照合するとともに、患者に付いている体表マークの内、アイソセンタマークにより患者が位置決めされ、照射野マークによりコリメータの照射範囲が設定される。この後、実際の放射線治療が決められた照射法に従って行われる。
【0006】
近年、癌治療に対する種々のアプローチがなされている中で根治療法、姑息療法として、放射線治療の意義が見直されてきており、より正確な患部の位置決め、より綿密な治療計画及びより高精度な治療が要求されつつある。
【0007】
かかる現状において、治療計画を立てる場合、一般に、被検体のスキャノ像(X線画像又はCT画像から再構成された透過像)と再構成されたアキシャル像(CT像)とを用いていた。つまり、スキャノ像又はそれと等価な像で病変部(ターゲット)に対する照射野を決め、治療線錐をアキシャル像で確認するというものであった。このアキシャル像はまた、スライス面のエネルギ分布表示にも使用されることもあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の技術は、より高精度な治療計画が求められる近年にあって、下記の如く、その要請に応え難いという状況にあった。
【0009】
例えば、アキシャル像を用いて治療線錐を表示する場合、図10に示すように、線源Sの真下では放射線パスPAがアキシャル面PLAX(すなわちアキシャル像)を上側から下側に通っているものの、アイソセンタI/Cから離れた体軸方向の位置では放射線パスPAがアキシャル面(アキシャル像)PLAXを表裏に突き抜ける状態となることから、アキシャル面の位置によっては、線錐が表示されないことがある。また、表示されても、アキシャル像はビームと平行でないため、その表示の正確性に問題が残る。
【0010】
さらに、従来の治療計画では、照射野の形状の修正は透過像(スキャノ像,X線像など)上で行うか、または、アキシャル面で線錐の微調整を行うことができるが、透過像上では、深さ方向の情報が不十分であるため、修正後線錐で確認を行う必要がある。これは、不便であり、操作能率を低下させていた。また、アキシャル像上の線錐の微調整では、その正確性に問題が残るし、アキシャル像上の修正がダイレクトにコリメータのリーフの修正として反映できるとは限らないという問題があった。
【0011】
本発明は、上述した従来の種々の問題点に鑑みてなされたもので、治療線錐を正確に且つ見易く表示して、より高精度な治療計画を立てることができるようにすることを、第1の目的とする。
【0012】
また、上述の目的を達成するとともに、治療線錐の確認時に照射野の形状を容易に且つ簡単に修正でき、操作能率良く、高精度な治療計画を迅速に立てられるようにすることを、第2の目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、被検体の治療部位にX線を曝射することにより得られた画像データを用い、放射線を制限して照射野を形成するための複数対のリーフを有するマルチリーフ形コリメータを搭載した放射線治療装置で実行される放射線治療の計画を立てる放射線治療計画装置において、前記診断部位の3次元画像データを前記画像データから作成する画像データ作成手段と、治療用の仮想放射線源の位置を定める位置設定手段と、前記仮想放射線源の位置を通って当該仮想放射線源から延びる治療線錐に平行なBP面の画像データを前記3次元画像データから複数対のリーフの対毎に作成する画像作成手段と、モニタを有し且つ前記リーフの対毎のBP面の画像データに前記治療線錐を表すデータを重畳して当該リーフの対毎に当該モニタに表示する表示手段と、を備える。
【0014】
好適には、記照射野の形状データを作成する照射野作成手段と、前記モニタに表示された前記リーフ対毎のBP面上で前記治療線錐の位置を修正可能な線錐位置修正手段と、前記線錐の修正に応答して前記照射野の形状データを自動的に修正する照射野修正手段と、をさらに備えた。
【0016】
【作用】
本発明では、X線ヘリカルスキャンなどによって得た画像データから診断部位の3次元画像データが作成されるとともに、治療用の放射線源の位置が定められる。仮想放射線源の位置を通って当該放射線から延びる治療線錐に平行なBP面の画像データが3次元画像データから作成される。このBP面は、放射線治療装置に搭載されるマルチリーフ形コリメータの複数対のリーフ中のリーフ対毎に対応したBP面である。このBP面の画像データに治療線錐を表すデータが重畳してモニタ上に表示される。
【0017】
好適には、照射野の形状データが作成されるとともに、モニタ上で治療線錐の位置が手動修正されると、この線錐の修正に応答して照射野の形状データが自動的に修正される。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の一実施例に係る放射線治療計画装置を備えた放射線治療システムの全体を図1〜図9に基づいて説明する。
【0019】
この放射線治療システムは図1に示すように、放射線治療に際し、画像取得から治療計画及び位置合わせ(シミュレーション)までを一貫して行うための放射線治療計画装置としての放射線治療計画用CTシステム1と、この放射線治療計画用CTシステム1で計画及びシミュレートされた治療計画データに従って放射線治療を行う放射線治療装置2とを備えるとともに、放射線治療装置2に内蔵された、後述するコリメータを自動制御するため、放射線治療計画用CTシステム1と放射線治療装置2との間を信号伝送線としての信号線3により接続している。この信号線3の途中には、上記コリメータの開度をオペレータが実際の放射線治療時に微調整可能な照合記録装置4が介挿されている。さらに、放射線治療計画用CTシステム1には、放射線の線量分布計算などの専門の演算処理を行う治療計画用専用処理装置5及び計画データを出力するレーザプリンタ6が伝送ライン7及び8を介して各々、接続されている。
【0020】
これらの各構成要素の内、最初に、放射線治療計画用CTシステム1(以下、単に「CTシステム」という)から説明する。
【0021】
このCTシステム1は、通常のX線CTスキャナを応用して構成したものであって、図1に示す如く、ガントリ11,寝台12及び制御用のコンソール13を備え、例えばR−R方式で駆動する装置である。寝台12の上面には、その長手方向(Z軸(体軸)方向)にスライド可能に支持された状態で天板12aが配設されており、その天板12aの上面に被検体Pが載せられる。天板12aは、電動モータ13により代表されるスライド機構の駆動によって、ガントリ11の診断用開口部OPに進退可能に挿入される。
【0022】
ガントリ11は、図2に示すように、その開口部OPに挿入された被検体Pを挟んだ対向するX線管20及びX線検出器21を内蔵している。X線検出器21で検出された透過X線に相当する微弱な電流信号は、データ収集部22にてデジタル量に変換され、コンソール13に送られる。図2中、符号23はガントリ11内のコリメータやフィルタを示し、符号24はX線ファンを示している。
【0023】
さらに、ガントリ11の前面側、すなわち寝台12側に位置するフロントカバー11aの内側に、アイソセンタをマーキングするときに作動させる3台の位置決め用のレーザ投光器27a,27b,27cが配設されている。
【0024】
コンソール13は、このCTシステム全体を統括する主制御部40のほか、この主制御部40から指令を受けて作動する寝台制御部41,架台制御部42を有し、内部バスを介して相互に接続されている。主制御部40はまた、コンソール外部のX線制御器43に接続され、X線制御器43からの駆動信号に応じて作動する高電圧発生装置44が備えられている。この高電圧発生装置44で生成した高電圧がX線管20に供給され、X線曝射が行われる。さらに、コンソール13はデータ収集部22の収集信号を受けて画像データを再構成する画像再構成部45,画像データを記憶しておく画像メモリ46,再構成画像を表示する表示器47,及びオペレータが主制御部40に指令を与えるための入力器48を夫々備えている。各制御部及び制御器40〜43はコンピュータを搭載しており、予めそのメモリに格納されたプログラムに基づいて動作する。
【0025】
コンソール13の内部バスは更に、信号線の拡張ボード48に接続され、この拡張ボード48に前記投光器27a〜27cのマーカ照射位置を制御する投光器コントローラ49が信号線50を介して接続されるとともに、前記連続プリンタ6及び照合記録装置4が信号線8,3を介して接続されている。投光器コントローラ49には、被検体のアイソセンタの位置データが、主制御部40から供給されるようになっており、このデータ供給に応答して、投光器コントローラ49は3つの投光器27a〜27cの照光部の位置を各々、自動制御する。
【0026】
続いて放射線治療装置2を説明する。
【0027】
放射線治療装置2(以下、単に「治療装置」という)は、本実施例ではX線を使って治療するもので、図1に示す如く、被検体Pを載せる治療台50と、被検体Pの体軸(Z)方向を回転軸として回転可能な架台51と、この架台51を回転可能に支持する架台支持体52と、コンソール(図示せず)とを備える。
【0028】
治療台50は、その上側に天板50aを備えている。治療台50は内部の駆動機構により高さ調節可能であるから、これにより天板50aを上下動(Y軸方向)させることができる。また、治療台50は内部の別の駆動機構の駆動により、天板50aをその長手方向(Z方向)及び横方向(X方向)に所定範囲で各々移動させることができるほか、更に別の駆動機構を作動させることで、天板支柱回転及びアイソセンタを中心とした回転が可能になっている。これらの治療台50の動作は、被検体Pの天板50a上の位置決め及び放射線照射のときに必要であり、コンソールからの制御信号により制御される。
【0029】
一方、架台51はクライストロンからの加速電子を偏向してターゲットに当て、そこから発生するX線ビームを被検体Pに照射する照射ヘッド51aを備えている。この照射ヘッド51aには、そのターゲット、すなわち放射線源と照射口との間に、被検体Pの体表上の照射野を決めるコリメータ55が設置されている。このコリメータ55は、本実施例では、多分割原体絞りの構造を有したマルチ・リーフ・コリメータ(Multi-Leaf Collimator )である。すなわち、図3に示すように、複数枚の板状のタングステン製リーフ56…56から成る2組のリーフ群56A,56Bが放射線源SからのX線パスを挟んで立設状態で対向配置され、リーフ56…56の各々がリードスクリューを要部とする移動機構57…57によって各リーフの長さ方向(X方向)に独立して駆動可能になっている。この移動機構57…57はコンソールから供給される制御信号に応じて駆動し、2つのリーフ群56A,56Bで形成される照射開口の大きさ,形状(すなわち、体表上の照射野の大きさ,形状に相当)をリアルタイムに変更できるようになっている。
【0030】
更に、架台支持体52はその内蔵する駆動機構によって、架台51全体を時計回り、反時計回りの何れにも回転可能になっている。この駆動機構の動作はコンソールからの制御信号に基づいて行われる。
【0031】
治療装置2のコンソール(図示せず)は、治療装置2全体を管理する主制御部、コリメータ制御部などを有する。
【0032】
次に、本実施例の動作を図4〜図9に基づいて説明する。
【0033】
CTシステム1の主制御部40は治療計画に際し、図4及び図5に示す処理を行う。
【0034】
すなわち、最初のステップ70では入力器48からの指令に応答して診断対象部位の複数枚のX線CT像(アキシャル像)を得るべくスキャンを実施する。この場合、ヘリカルスキャンを用いると、複数枚の沢山のCT像を簡単に且つ早く得られる。
【0035】
次いでステップ71にて、複数枚のCT像を元に、ターゲット(腫瘍など)、重要臓器などを、セーフティマージンとともにROIで囲んで3次元的に指定する。
【0036】
次いでステップ72に移行し、指定したターゲット重要臓器を目印にしてI/C(アイソセンタ)を決定する。このI/Cの決定には以下の2通りの手法を採用できる。
【0037】
まず複数枚のCT像(アキシャル像)の中から任意のものを指定する(これにより、寝台の長手Z方向の座標が定まります)。そして、このアキシャル像上に、設定したターゲットなどを重ね合わせた形状を重畳表示し、この形状を目印にして残りのX、Y座標を決定する。別の手法として、複数のCT像(アキシャル像)の画像データを使ってMPR表示を行い、このMPR像上にターゲットなどの重ね合わせ形状を重畳表示し、クロスROIを用いてアイソセンタI/Cを決定する。
【0038】
次いでステップ73で、主制御部40はアイソセンタI/Cのマーキングを実施するか否かを入力器48からの指示に基づいて判断する。これによりマーキングを実施すると判断した場合、ステップ74にてアイソセンタI/Cの3次元座標(X、Y、Z)が投光器コントローラ49に送られる。これにより、3本のレーザ投光器27a〜27cが、計画したアイソセンタI/Cの3次元座標(X、Y、Z)を患者体表上に3点ポインティングする。そこで、ペンなどで体表上の光ビーム位置をマーキングする。マーキングが済むと、患者さんを解放することができる。なお、マーキングは、直接ダイレクトに指定する方法と、最初に仮マーキングを行い、この位置をシステムに取り込む事により、この基準位置からの相対位置で行う等の方法とがある。前者は、マーキングが済むまで患者さんを解放できないが、後者は仮マーキングをした時点で解放する事も可能である。
【0039】
さらに、ステップ75に移行し、I/Cに一番近いアキシャル像を用いて放射線の照射角度、照射回数、照射術式などの照射態様を決定する。この場合、主制御部40は、治療計画者が角度を指定すると、その角度に対応した仮想の治療線錐(治療線パスの外縁)をアキシャル像に重畳表示する。この治療線錐がターゲット形状に接するようにその線錐位置を調整することで、最適な照射角度を決定するための画像が得られる。この照射角度はアキシャル像を変更しながら治療線錐角度を確認したり、マルチフレーム表示などを用いて一度に確認したりすることができる。
【0040】
このようにしてアイソセンタI/Cの位置及び照射角度が決定したので、主制御部40はステップ76で、仮想線源の位置を決定するとともに、照射野形状を算出する。
【0041】
次いでステップ77で治療線錐及び照射野形状の確認及び微調整の作業に入る。この作業は具体的には図5の処理によって進められる。
【0042】
図5中のステップ771 〜778 まではBP(Beam's Path)面上での確認及び修正に関し、ステップ7710〜7716まではBEV(Beam's Eyes View) 面上での確認に関する。
【0043】
ここでBP面とは図6に示す如く、線源Sを通る面で作成したオブリーク像の面PBPであって、治療線に対して平行になる。このBP面PBPはコリメータ55の回転方向の角度と、I/C面(I/Cを通り且つ線源SとアイソセンタI/Cを結ぶ線に直行する面)でのアイソセンタI/Cからの距離とにより決定できる。また、BEV面とは図7に示す如く、線源SとアイソセンタI/Cを結ぶ線に垂直な面で作成したオブリーク像の面PBEV で、線源Sからの距離を決定することにより一意に決まる。
【0044】
図5において、最初、BP面PBP決定のためのコリメータ55の回転角度及びI/C面でのアイソセンタI/Cからの距離のデータが入力器48から読み込まれる(ステップ771 )。そして、これらのデータ及び既知データに基づいて、マルチ・リーフ・コリメータ55の各リーフ対56、56が担当する面毎にBP面PBPがMPR変換により作成される(ステップ772 )。例えば「1cmMLC」と呼ばれるマルチ・リーフ・コリメータ55では、I/C面上でアイソセンタI/Cから1cm間隔でBP面PBPが作成される。
【0045】
次いで、BP面P BP 毎に、治療線錐Tの位置が照射野形状に基づいて計算され(ステップ773)、BP面PBPに治療線錐Tが重畳して表示される(ステップ774)。これにより治療計画者が目視により線錐の位置を確認できる。
【0046】
この表示像上で治療計画者が線錐Tの微調の必要なし(ステップ775でNO)と判断する場合、次のBP面PBPに移って同じ表示及び確認が繰り返される(ステップ774、775)。
【0047】
ステップ775 でYES、すなわち微調の必要ありと判断される場合、次いで線錐Tの位置の変更値を入力し(ステップ776 )、確認対象となっているBP面PBPを担うリーフ対56、56の照射野形状RFを変更する(ステップ777 )。そして、ステップ778 でBP面での処理終了か否かを判断し、NOのときはステップ774 に戻る。
【0048】
次いでBEV面での確認作業に入る。BEV面PBEV を使った照射野形状の確認の場合、主制御部40は線源Sからの距離データを入力器48から読み込む(ステップ7710)。次いで、その距離に応じたBEV面PBEV をMPR変換によって作成する(ステップ7711)。次いで照射野RFの形状を、作成したBEV面PBEV までの距離に応じて拡大/縮小し(ステップ7712)、そのBEV面PBEV に照射野RFを重畳して表示する(ステップ7713)。
【0049】
これにより治療計画者は、任意に指定した深さのBEV面上で照射野RFの形状がターゲットに合っているか否かを視覚で確認できる(ステップ7714)。この確認でOKの場合、この確認作業を終了するか否かを判断し(ステップ7715)、NOのときはステップ7710に戻る。ステップ7714でNOの判断(すなわち照射野RFの形状がターゲトの形状に合っていない)のときは、例えば治療線錐Tを再調整すべき旨の指示を表示し(ステップ7716)、ステップ7715に進む。このため、線錐再調整の指令が出されたとき、治療計画者は再びステップ771 〜7710の処理を指令することになる。
【0050】
このように微調整及び確認が終了すると、主制御部40はその処理を図4のステップ78に戻し、複数のCT像(アキシャル像)の画像データに周知のMPR(Multi-Planer Reconstruction )変換を施して、線源Sから見た透過像を作成するとともに、この透過像上に照射野RFの形状などを重畳表示する。これにより、最終的な確認作業を行えるとともに、その透過像を治療時の照合画像として使える。この透過像をスキャノ像で代用することもできる。
【0051】
この透過像において、照射野RFの形状が未だ不備であると判断されると、ステップ75に戻って上述した一連の処理を繰り返す。ステップ79の判断でNO(透過像上での確認でOK)のとき、最終的に決定した照射野データを出力する(ステップ80)。照射野形状を放射線治療器2へ反映させるには、通信で行う方法と、OHPフィルムなどに照射野形状などを記述したものを使う方法(但し、フィルムを置くトレーの位置に応じた縮尺などを考慮する)とがある。
【0052】
最後に、最終的に確定した照射野RFの形状に基づいて、マルチ・リーフ・コリメータ55の全体の角度位置、各リーフ対56、56の位置データなどがMLCデータとして作成される(ステップ81)。
【0053】
このため、BP面PBPを使って治療線錐がターゲットに対して適当であるかどうかを確認するには、リーフ回転角度と共に、I/C面上でのアイソセンタI/Cからの距離Lを入力してやればよい。図8に例示するように、距離L=0(I/C位置)、L=+40mm,L=−40mmを各々指定することで各位置のリーフ幅(I/C面上で例えば1cm)に対応したBP面PBPが自動的に形成され、BP面PBP上にターゲットT及び治療線錐LNe,LNfが重畳表示される。「1cmMLC」では、I/Cから1cm間隔でBP面の像を作成することにより、実際の放射線パスに沿ったオブリーク面上で治療線錐位置LNe,LNfが適当かどうかをリーフ対毎に確認できるから、従来のようにアキシャル面で確認する場合に比べて、BP面自体の位置が適確であるから、より正確な確認作業が可能になる。同時に、各BP面PBPにおいて治療線錐LNe,LNfの位置を必要に応じて修正することができ、修正すると、これに連動して照射野RFの形状が自動的に修正される。したがって、操作が著しく簡単化され、治療検査者の労力も大幅に軽減される。
【0054】
さらにBEV面PBEV を使って照射野RFの形状がターゲットTに対して適当か否かも容易に確認できる。例えば図9に示すように、線源Sからの距離dを、d=97cm,d=100cm,d=103cmと指定することで、各距離でのBEV面PBEV が自動的に演算される。このBEV面にはその距離に応じて拡大または縮小された照射野が自動的に重畳表示される。距離dを指定するだけでこれら一連の処理がなされるので、操作能率良く照射野形状を確認できる。しかも、照射野の形状が適当でない場合、再びリーフ毎の線錐位置の微調整に移行できる。
【0055】
なお、上記実施例では、放射線治療装置に装備するコリメータとしてマルチ・リーフ・コリメータを使うとしたが、鉛ブロックをマニュアルで配置する方式のコリメータであってもよい。
【0056】
また前記図4のステップ77の確認及び修正処理で実施する内容は、BP面上での治療線錐の位置確認、修正及びそれに連動した照射野の修正のみであってもよい。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る放射線治療装置の一態様によれば、仮想放射線源の位置を通って放射線から延びる治療線錐に平行な複数対のリーフの対毎のBP面夫々が治療線錐と共にモニタ画像上に表示されるし、また別に態様によれば、モニタ上で治療線錐の位置が手動修正されると、この線錐の修正に応答して照射野の形状データが自動的に修正されるので、線錐が放射線パスに沿って確実に且つ見易く表示されるとともに、照射野の形状を容易に且つ簡単に修正できることから、操作能率良く、より高精度な治療計画を迅速に立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放射線治療計画装置を適用した放射線治療システムの一実施例を示す全体構成図。
【図2】放射線治療計画装置としてのCTシステムのブロック図。
【図3】放射線治療装置に搭載されているマルチリーフ形コリメータの概略斜視図。
【図4】同実施例における主制御部による治療計画のフローチャート。
【図5】線錐及び照射野の確認・修正を表わすサブプログラムのフローチャート。
【図6】BP面(Beam's Path )面を説明する図。
【図7】BEV面(Beam's Eyes View)面を説明する図。
【図8】BP面を使った線錐の位置確認を説明する図。
【図9】BEV面を使った照射野の形状確認を説明する図。
【図10】従来の問題の一例を説明するための図。
【符号の説明】
1 CTシステム(放射線治療計画装置)
2 放射線治療装置
40 主制御部
41 寝台制御部
42 架台制御部
45 画像再構成部
46 画像メモリ
47 表示器
48 入力器
55 コリメータ
56 リーフ
P 被検体
Claims (2)
- 被検体の治療部位にX線を曝射することにより得られた画像データを用い、放射線を制限して照射野を形成するための複数対のリーフを有するマルチリーフ形コリメータを搭載した放射線治療装置で実行される放射線治療の計画を立てる放射線治療計画装置において、
前記診断部位の3次元画像データを前記画像データから作成する画像データ作成手段と、
治療用の仮想放射線源の位置を定める位置設定手段と、
前記仮想放射線源の位置を通って当該仮想放射線源から延びる治療線錐に平行なBP面の画像データを前記3次元画像データから複数対のリーフの対毎に作成する画像作成手段と、
モニタを有し且つ前記リーフの対毎のBP面の画像データに前記治療線錐を表すデータを重畳して当該リーフの対毎に当該モニタに表示する表示手段と、を備えた放射線治療計画装置。 - 前記照射野の形状データを作成する照射野作成手段と、
前記モニタに表示された前記リーフ対毎のBP面上で前記治療線錐の位置を修正可能な線錐位置修正手段と、
前記線錐の修正に応答して前記照射野の形状データを自動的に修正する照射野修正手段と、をさらに備えた請求項1記載の放射線治療装置。
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