JP3650926B2 - 短繊維紡績糸からなる経編ビ−ムの作成方法、及び供給システム - Google Patents

短繊維紡績糸からなる経編ビ−ムの作成方法、及び供給システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、短繊維紡績糸を経編ビ−ムに巻き取る経編ビ−ムの作成方法、経編ビ−ムの供給方法及び経編ビ−ムの供給システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の短繊維紡績糸を経編ビ−ムに巻き取る場合は、先ず経編機において必要とする糸数を決定した後、必要本数と同数のチ−ズを整経機に仕掛けて経編ビームに巻き取り、使用していた。巻き取り途中では、短繊維紡績糸の走行を滑らかにするためワックスを付着させていた。ワックスを付着させた短繊維紡績糸は、編成時に風綿が発生しやすく、それを防止するため、予め糊付けした糸とする場合もあるが、その場合は、整経機に仕掛ける前に、チ−ズ毎に糊付けしながら再度チ−ズに巻き取っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記したような従来の短繊維紡績糸を経編ビ−ムに巻き取る方法にあっては、次のような問題点がある。
<イ>経編ビ−ムに必要となる短繊維紡績糸の糸数を決定しなければ、短繊維紡績糸の糊付け及び経編ビ−ムへの巻き取りができなかった。
<ロ>ワックスを付着した短繊維紡績糸は、編成時に風綿が発生し、編成トラブルが生じやすかった。
<ハ>各チ−ズごとに短繊維紡績糸を糊付けした場合は、均一な着糊を得られない上に手間が掛かっていた。
<ニ>各チーズごとに糊付けした短繊維紡績糸でも編成時に風綿が発生することがあり、特に細番手では編成トラブルが生じることがあった。
<ホ>上記<イ>〜<ニ>の理由により、経編ビームを受注した場合、その供給に時間がかかっていた。
【0004】
【本発明の目的】
<イ>本発明は、上記したような従来の問題を解決するためになされたもので、品質及び生産効率に優れた、短繊維紡績糸の経編ビ−ムの作成方法を提供することを目的とする。
<ロ>本発明は、品質及び生産効率に優れた、短繊維紡績糸の経編ビ−ムの供給システムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明の請求項1は、必要本数の糊付けされた短繊維紡績糸からなる経編ビ−ムの作成方法において、整経ビ−ムに巻かれた所定本数の短繊維紡績糸を糊付けしながらプレビ−ムに巻き取り、プレビ−ムに巻かれ、糊付けされた所定本数の短繊維紡績糸に対し、必要本数と所定本数の差だけ糊付けされた短繊維紡績糸を増減してプレビームを巻き返し、経編ビ−ムに巻き取ることを特徴とする、短繊維紡績糸からなる経編ビ−ムの作成方法にある。
【0006】
また、本発明の請求項2は、必要本数と所定本数の差が正の場合、プレビームを巻き返し、経編ビ−ムに巻き取る際に、その差の本数に相当する糊付けされた短繊維紡績糸を糸補給装置から補給して巻き取ることを特徴とする、請求項1に記載の短繊維紡績糸からなる経編ビ−ムの作成方法にある。
【0007】
また、本発明の請求項3は、必要本数と所定本数の差が負の場合、プレビームを巻き返し、経編ビ−ムに巻き取る際に、その差の本数に相当する糊付けされた短繊維紡績糸を糸巻取装置に巻き取ることを特徴とする、請求項1に記載の短繊維紡績糸からなる経編ビ−ムの作成方法にある。
【0008】
また、本発明の請求項4は、整経ビ−ムに巻かれた所定本数の短繊維紡績糸は、コ−ムに通して糊付けされることを特徴とする、請求項1に記載の短繊維紡績糸からなる経編ビ−ムの作成方法にある。
【0009】
また、本発明の請求項5は、コ−ムは、プレビームの幅取り数に応じて、コーム間隔を伸縮可能とすることを特徴とする、請求項4に記載の短繊維紡績糸からなる経編ビ−ムの作成方法にある。
【0010】
また、本発明の請求項6は、必要本数の糊付けされた短繊維紡績糸からなる経編ビ−ムの受注先への供給システムにおいて、整経ビ−ムに巻かれた所定本数の短繊維紡績糸を糊付けしながらプレビ−ムに巻き取るプレビ−ム巻取手段と、該プレビームを保管する保管手段と、経編ビームを必要とする時、プレビ−ムに巻かれ、糊付けされた所定本数の短繊維紡績糸に対し、必要本数と所定本数の差だけ糊付けされた短繊維紡績糸を増減してプレビームを巻き返し、経編ビ−ムに巻き取って、必要本数の糊付けされた短繊維紡績糸からなる経編ビームを作成する経編ビーム巻取手段と、を備え、経編ビームを受注先に供給することを特徴とする、短繊維紡績糸からなる経編ビ−ムの供給システムにある。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら本発明の短繊維紡績糸からなる経編ビ−ムの作成に関する実施の形態について説明する。
【0012】
<イ>概要
本発明の短繊維紡績糸を経編ビ−ムに巻き取る方法は、所定本数の短繊維紡績糸1を、チ−ズから整経ビ−ム5へ巻き取る工程、プレビーム巻取装置6で糊付ける工程(図3)、及び経編ビ−ム巻取装置2を用いてプレビ−ム3から経編ビ−ム4へ巻き取る工程(図1、図2)から構成する。以下、各工程に別けて説明する。
【0013】
ここで、経編ビ−ム4とは、一個の経編ビ−ム4において、経編機で必要とされる必要本数の短繊維紡績糸1が巻き取られている部材であり、経編機に設置され、経編機に必要本数の短繊維紡績糸1を提供する部材である。
【0014】
チ−ズとは、一本の短繊維紡績糸1が巻き取られている部材である。
【0015】
整経ビ−ム5とは、所定本数の短繊維紡績糸1が糊付前に所定個数のチ−ズから巻き取られている部材である。
【0016】
プレビ−ム3とは、糊付けした所定本数の短繊維紡績糸1が巻き取られている部材である。
【0017】
経編ビ−ム巻取装置2とは、プレビ−ム3に巻かれた所定本数の短繊維紡績糸1のうち、必要本数の糸を経編ビ−ム4に巻き取ると共に、残った糸を各チ−ズに巻き取る装置である。
【0018】
<ロ>短繊維紡績糸をチ−ズから整経ビ−ムヘ巻き取る工程
先ず、所定本数の短繊維紡績糸1を、公知の整経機を使用して各チ−ズから整経ビ−ム5ヘ巻き取る。
【0019】
整経ビ−ム5に巻かれる所定本数は、経編機で必要とする経編ビ−ム4へ巻き取る必要本数の平均的本数とする。例えば、所定本数は600本である。
【0020】
<ハ>糊付け工程(図3)
先ず、所定本数の短繊維紡績糸1が巻き取られた整経ビ−ム5をプレビーム巻取装置6の送出部61に仕掛け、プレビ−ム3を巻取部62に仕掛ける。
【0021】
次に、所定本数の短繊維紡績糸1を糊浴槽63内の糊64に浸し、絞りロ−ラ−部65に通した後、乾燥部66を経てプレビ−ム3に巻き取る。これにより、所定本数の短繊維紡績糸1を一度に糊付けすることができる。
【0022】
この場合、糊浴槽中での互いの糸間隔は糸径に対して、2倍以上が好ましく、更には5〜20倍、更に好ましくは8〜12倍とすることが、均一な糊付けがされるとともに強力も向上し、後工程での生産効率の向上にも結びつくので好ましい。糸間隔が小さすぎると均一な糊付けがされにくく、毛羽伏せが充分でなくなる。一方、糸間隔が広すぎると、糸のローリングにより絡み合いが生じ、生産効率上好ましくない。
【0023】
又、糸張力は、40〜120番手程度、糸本数が400〜1200本程度の場合、0.098〜0.196N/本とするのが好ましい。糸張力が低すぎると、ビームの巻きが緩くなりすぎ、一方、高すぎると糸切れが生じて好ましくない。
【0024】
このプレビーム巻取装置6として例えば、公知の織物用糊付機(スラッシャ−糊付機)などを利用できる。糊付機の浴槽幅の広いものを使用すれば、巻取装置23にプレビームを二幅以上仕掛けて、巻き取ることができ生産効率上好ましい。
【0025】
ここで、コ−ム67に通した後に短繊維紡績糸1を糊付槽63内の糊64に浸すと、各糸が揺れて互いに絡み合う等による糸切れを防止することができる。
【0026】
このコ−ム67の櫛羽は、糊浴槽中での隣合う糸間隔を、前述の間隔に保つものを使用する。
【0027】
一幅、二幅、三幅取りなどのプレビームに応じて、適宜コーム羽間隔を調整できるように伸縮型コームを使用することが好ましい。
【0028】
このように作成したプレビームは、中間溜まりとして保管でき、生産の伸縮、納期の短縮が可能となる。
【0029】
<ニ>プレビ−ムから経編ビ−ムへ巻き取る工程(図1、図2)
本工程においては、経編ビ−ム巻取装置2を用いる。経編ビ−ム巻取装置2は、送出部22、巻取部23、糸巻取装置21及び糸補給装置25から構成される。
【0030】
この糸巻取装置21は、所定本数より必要本数が少ない場合、プレビ−ム3に巻かれた所定本数の短繊維紡績糸1のうち、経編ビ−ム4に必要とされない本数を巻き取る装置である。
【0031】
この糸巻取装置21として例えば、テ−クアップワインダ−等を利用できる。
【0032】
先ず、糊付けされた所定本数の短繊維紡績糸1が巻かれたプレビ−ム3を経編ビ−ム巻取装置2の送出部22に仕掛け、経編ビ−ム4を巻取部23に仕掛ける。
【0033】
この例では2幅のプレビーム3を仕掛けている。まず片側のプレビーム3について、経編機で必要とする必要本数の短繊維紡績糸1を経編ビ−ム4に巻き取るようにセットし、残った本数の糸を糸巻取装置21の各チ−ズに巻き取るようにセットする。
【0034】
そして、経編ビ−ム巻取装置2を起動する。この結果、所定本数の短繊維紡績糸1が巻かれたプレビ−ム3から経編機で必要とする本数の短繊維紡績糸1を経編ビ−ム4に巻き取ると共に、残りの本数を各チ−ズに巻き取ることが可能となる。
【0035】
なお、残りの本数を巻き取ったチ−ズは、別の経編ビーム用に使用したり、他に糊付糸として種々活用することができるため、省資源、環境性に優れている。
【0036】
また、この際にプレビ−ム3と経編ビ−ムとの間にコ−ム24を設置し、コ−ム24を経由して短繊維紡績糸1を巻き取る。
【0037】
また、糸補給装置25は、所定本数より必要本数が多い場合、経編ビーム4に必要とする本数を補給する装置である。例えば、クリールスタンドに糊付けしたチーズを仕掛け、そのチーズから糸を補給し、経編ビームに巻き取るようにする。なお、糸巻取装置21と糸補給装置25は、場合により、例えば、異種の短繊維紡績糸1が経編ビームに巻き取られる場合等には同時に稼動させてもよい。
【0038】
上記工程が終了したら、ビ−ムハンガ−221をスライドし、他のプレビ−ム3から同様に短繊維紡績糸1を経編ビ−ム4及び各チ−ズに巻き取る。
【0039】
<ホ>経編ビーム供給システム(図4)
経編ビーム供給システムは、受注の前に予め所定本数巻かれたプレビーム3をプレビーム巻取装置6で作成し、保管棚などの保管手段7で保管しておく。そして、必要本数の糸が巻かれた経編ビーム5について受注を受けると、保管手段7から所定本数巻かれたプレビーム3を取り出し、必要本数が所定本数より多い場合、糸補給装置25を稼働して、必要本数の経編ビーム4を作成して納品する。また、必要本数が所定本数より少ない場合、糸巻取装置21を稼働して、必要本数の経編ビーム4を作成して納品する。このように、予め、必要本数付近の糸本数を所定本数としてプレビーム3に巻いて保管しておくことにより、良質な経編ビーム4を短納期に提供することができる。
【0040】
以下に本発明の実施例と比較例を説明する。
【0041】
<イ>実施例
実施例として3幅取りのプレビームの例を説明する。縦列に並べて仕掛けた80番手の綿糸の整経ビーム(600本/1ビーム)3本づつから糸を引き出し、コーム67を通過させた。コーム間隔は、3.0mmとし、各間隔に3本づつの糸を互いに接触しないようにして通過させた。その後、ガイドロールを経て、糊浴槽63中を通過させた。その後、乾燥部66により乾燥させ、3本のプレビーム(600本/1ビーム)にそれぞれ巻き取ってプレビームを作成し、保管場所に保管した。
【0042】
その後、必要本数が576本の経編ビーム4を作成するため、保管しておいたプレビームの600本中の576本を巻き返して、経編ビーム4に巻き取り、同時に残り24本を糸巻取装置21でチーズに巻き取った。
【0043】
この経編ビーム4を使用して、ラッセル機で編成したところ、風綿はほとんど発生せず、糸切れもなかった。A反率は、99.5%と良好であった。
【0044】
<ロ>比較例
60番手の綿糸を使用し、ワックスを付着させて巻き取った経編ビーム4を使用して実施例と同様に編成したところ、風綿が発生し、かつ糸切れが生じた。A反率は、75%であった。
【0045】
【発明の効果】
本発明の短繊維紡績糸を経編ビ−ムに巻き取る方法は、以上説明したようになるから、以下の効果を得ることができる。
<イ>従来では不可能であった、同時に多数本の短繊維紡績糸への均一な糊付けが容易に可能となり生産効率が飛躍的に向上する。
<ロ>また、プレビ−ムから経編ビ−ムへ巻き取る工程において必要数に揃えるので、経編ビ−ムに必要となる短繊維紡績糸の糸数に関係なく糊付けした短繊維紡績糸をプレビ−ム状態にして中間溜まりとして保管することができユーザーからの注文に短納期に対応できる。
<ハ>また、プレビームから経編ビームに巻き返すので、糊付けされた毛羽が編成時の糸の進行方向に対して剥がれない方向で使用されるので、毛羽による風綿などの編成トラブルが減少する。
<ニ>また、細番手の糸も使用することができる。
<ホ>また、糸巻取装置において巻き取ったチ−ズは、糊付糸として再利用でき、省資源、環境性に優れた生産が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】経編ビ−ム巻取装置の平面図
【図2】プレビームから経編ビームへ巻き取る工程の説明図
【図3】糊付け工程の説明図
【図4】経編ビームの供給システムの説明図
【符号の説明】
1・・・短繊維紡績糸
2・・・経編ビ−ム巻取装置
21・・糸巻取装置
22・・送出部
221・ビ−ムハンガ−
23・・巻取部
24・・コ−ム
25・・糸補給装置
3・・・プレビ−ム
4・・・経編ビ−ム
5・・・整経ビ−ム
6・・・プレビーム巻取装置
61・・送出部
62・・巻取部
63・・糊浴槽
64・・糊
65・・絞りロ−ラ−部
66・・乾燥部
67・・コ−ム
7・・・保管手段

Claims (6)

  1. 必要本数の糊付けされた短繊維紡績糸からなる経編ビ−ムの作成方法において、
    整経ビ−ムに巻かれた所定本数の短繊維紡績糸を糊付けしながらプレビ−ムに巻き取り、
    プレビ−ムに巻かれ、糊付けされた所定本数の短繊維紡績糸に対し、必要本数と所定本数の差だけ糊付けされた短繊維紡績糸を増減してプレビームを巻き返し、経編ビ−ムに巻き取ることを特徴とする、短繊維紡績糸からなる経編ビ−ムの作成方法。
  2. 必要本数と所定本数の差が正の場合、プレビームを巻き返し、経編ビ−ムに巻き取る際に、その差の本数に相当する糊付けされた短繊維紡績糸を糸補給装置から補給して巻き取ることを特徴とする、請求項1に記載の短繊維紡績糸からなる経編ビ−ムの作成方法。
  3. 必要本数と所定本数の差が負の場合、プレビームを巻き返し、経編ビ−ムに巻き取る際に、その差の本数に相当する糊付けされた短繊維紡績糸を糸巻取装置に巻き取ることを特徴とする、請求項1に記載の短繊維紡績糸からなる経編ビ−ムの作成方法。
  4. 整経ビ−ムに巻かれた所定本数の短繊維紡績糸は、コ−ムに通して糊付けされることを特徴とする、請求項1に記載の短繊維紡績糸からなる経編ビ−ムの作成方法。
  5. コ−ムは、プレビームの幅取り数に応じて、コーム間隔を伸縮可能とすることを特徴とする、請求項4に記載の短繊維紡績糸からなる経編ビ−ムの作成方法。
  6. 必要本数の糊付けされた短繊維紡績糸からなる経編ビ−ムの受注先への供給システムにおいて、
    整経ビ−ムに巻かれた所定本数の短繊維紡績糸を糊付けしながらプレビ−ムに巻き取るプレビ−ム巻取手段と、
    該プレビームを保管する保管手段と、
    経編ビームを必要とする時、プレビ−ムに巻かれ、糊付けされた所定本数の短繊維紡績糸に対し、必要本数と所定本数の差だけ糊付けされた短繊維紡績糸を増減してプレビームを巻き返し、経編ビ−ムに巻き取って、必要本数の糊付けされた短繊維紡績糸からなる経編ビームを作成する経編ビーム巻取手段と、を備え、経編ビームを受注先に供給することを特徴とする、短繊維紡績糸からなる経編ビ−ムの供給システム。
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