JP3650914B2 - 開き戸 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅、マンション、ビル等の建築物の開口部に設けられる開き戸の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
今日、開き戸のなかには、蝶番やピポットヒンジのように軸支部材が外部に露出するものでは外観性が損なわれる等の要求から、戸体の吊元側上下端面と該上下端面に対向する上下戸枠とのあいだに開閉用の枢軸を介装して軸支部材が露出ないようにしたものが知られている。そしてこのものにおいて、戸体を全閉姿勢から略90度揺動した状態を全開姿勢になるよう設定することがある。このような場合に、戸体を開放操作するにあたり、勢いよく開放したりすることがあり、このようなときにの戸体の回りすぎを防止するため、図7に示すように、吊元側の縦戸枠25に、全開姿勢で戸体26と並列状になる延長部25aを形成し、該延長部25aに全開姿勢を越えて開放しようとする戸体26が当たることで戸体26の回り止めをするようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところがこのものでは、前記縦戸枠25を、屋外側に延長部25aが突出した構成にしなければならないため、戸体26は、その分だけ屋内側に位置したものとなって室内空間が狭くならざるを得ず、居住性が損なわれるという問題があり、ここに本発明が解決しようとする課題があった。
さらには、前記従来の開き戸において、指詰めに対する配慮の観点から、図8に示すように、吊元側縦戸枠27の戸当り27aを略軸支位置までと突出量の小さいものにし、該短い戸当り27aの先端部に気密材28を設けることで指詰めを回避することが提唱される。しかるにこのものでは、気密材28と戸体29の吊元側端面29aとの弾圧状の摺接関係が戸体29の全開閉過程を通して行われ、この結果、指詰めは回避できるものの、気密材28が早期のうちに摩耗するという問題が生じる許りでなく、建付け時に気密材と戸体とのあいだのクリアランスに誤差が生じて、隙間が空きすぎて気密性が損なわれたり、逆に気密材と戸体とが近すぎて戸体の開閉作動が重くなったりするという問題がある。
これに対し、前記図7のように、戸体26を、戸体26の円弧状の曲面部26aの直径より平板面部26bの板厚を大きくして曲面部26aと平板面部26bとのあいだに段差面部26cが形成されたものとし、全閉時にのみ段差状に厚くなった平板面部26bの吊元側端部が気密材30に当接する構成として、気密材30の摩耗を防止することが考えられるが、このものは、戸体26が閉鎖する過程で、曲面部26aと戸当り25bの先端とのあいだにどうしても前記段差面部26cの厚さ分、僅かではあるが隙間が形成され、この隙間に指が入り込むと、該指は、閉鎖する間際に段差面部26cによって縦戸枠25の内方側に引き込まれることになって指詰め状態になる惧れがあり、何れのものにも問題があり、ここにも本発明が解決しようとする課題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の如き実情に鑑み、これらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、戸体の吊元側上下端面と、該上下端面に対向する上下戸枠とのあいだに開閉用の枢軸を介装して、戸体を全閉姿勢から全開姿勢に開閉するよう構成された開き戸において、前記吊元側縦戸枠の戸当り面の先端部に、戸体全閉時に戸体吊元側端部が当接して気密性を確保するための気密材を止着し、該気密材の先端面を、戸体の全開姿勢で該戸体の吊元側端面部に形成されるストッパ面部が前記気密材先端面に対して戸当り面と対向する方向から当接するストッパ面部に形成して、気密材を、戸体の全開姿勢を越える開放揺動を回避する回り止め部材に構成した開き戸である。
そして、このようにすることにより、戸当り面にストッパ面部が形成されて戸枠の見込寸法を小さくできる。
請求項2の発明は、請求項1において、戸体の吊元側端面部には、ストッパ面部の他に、戸体が全閉になる直前位置で間口幅方向内側から気密材に当接して該気密材を戸体全閉姿勢で間口幅方向外方に向けて弾性変形させるための当接面部が形成されている開き戸である。
請求項3の発明は、請求項において、戸体の吊元側端面部には、ストッパ面部と当接面部とのあいだに、中途開姿勢で気密材から離間するよう設定された中間面部が形成されている開き戸である。
請求項4の発明は、請求項において、戸体の吊元側端面部には、ストッパ面部と当接面部とのあいだに、戸体の中途開姿勢で略自然状態の気密材に当接するよう設定された中間面部が形成されている開き戸である。
請求項5の発明は、請求項1、2、3または4において、戸体に介装される枢軸は、戸体の板厚中心に対して偏芯している開き戸である。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、第一の実施の形態を図1〜図4に示すが、該図面において、1は躯体開口部に建付けられる開き戸であって、該開き戸1を構成する戸体2の上下端面の一側(吊元側であって、図1において右側)には、軸受凹部2a、2bがそれぞれ凹設されている。一方、躯体開口部には、上下戸枠3、4および左右戸枠(縦戸枠)5、6が止着されているが、前記上下戸枠3、4に開口部内方に向けて突設された揺動枢軸3a、4aが前記戸体2側の軸受凹部2a、2bにそれぞれ揺動自在に内嵌、軸支することによって、戸体2は各戸枠3、4、5、6に対して開閉して、開口部を閉鎖する全閉姿勢から屋外側(矢印A方向)に揺動して開口部を開放する開放姿勢に変姿するようになっており、これらの構成は何れも従来通りである。
【0006】
さて、前記戸体2の吊元側端面部には、屋内側面から直角状に折曲して形成された当接面部2cと、前記当接面部2cよりも間口方向(間口幅方向)外方に突出した屋外側面から直角状に折曲して形成されたストッパ面部2dと、これら当接面部2cとストッパ面部2dとのあいだに位置して湾曲状に形成された中間面部2eとで構成されている。さらに、吊元側端部に形成される軸受凹部2a、2bの凹部中心(本発明の枢軸中心に対応する)Oは、戸体板厚方向位置については、戸体2の板厚中心線Lよりも僅かに屋外側に偏芯した位置となっており、さらに間口方向位置については、前記ストッパ面部2dから戸体板厚の略1/2の距離の位置となっており、前記当接面部2cの形成位置と一致するように設定されている。
【0007】
一方、前記左右戸枠5、6のうち、右側の吊元側戸枠6には、戸体2の屋内側面と対向する戸当り面6aと、戸体2の吊元側端面部と対向する内側面6bとが略L字形に形成されている。そして、前記戸当り面6aの先端部は、全閉状態の戸体2屋内側面の吊元側端部に略対向する位置にまで伸長しており、該伸長した先端部に気密材7が上下方向全体に亘って止着されている。ここで、気密材7はゴム質弾性材で形成され弾性変形するものであり、本実施の形態の気密材7は、先端面(屋外側端面)7aが全閉姿勢の戸体2の屋内側面位置を僅かに越える位置にまで突出する寸法設定で設けられている。そして、気密材7は、戸体2の全閉姿勢で、戸体2の当接面部2cに当接することで、戸体2と吊元側戸枠6とのあいだの気密を計るものであるが、この状態において、当接面部2cと気密材7との位置関係は、戸体当接面部2cが気密材7に押圧されて、気密材7の先端部7a側の間口方向内端部7bが弾性変形する設定となっている。さらに気密材7は、戸体2の全開姿勢の状態において、戸体2の揺動中心(凹部中心O)が屋外側に偏芯しているため、略90度開放揺動することによって戸体ストッパ面2dが自然状態の気密材先端面7aに丁度当接するように設定されており、もって、戸体2は、ストッパ面部2dが気密材先端面7aにより回り止めされる状態となって、これ以上の開放揺動が規制される設定となっている。これによって、気密材7は、先端部7aは戸体2に対するストッパ面部として機能し、間口方向内端部7bは気密面部として機能するように設定されている。
【0008】
そうして、凹部中心Oを軸芯として全開姿勢から揺動する戸体2の中途開状態では、戸体中間面部2eが気密材先端面7aに対向することになるが、中間面部2eは気密材7に丁度当接するストッパ面部2dから間口方向内側に退避した当接面部2cに至る湾曲面となっているため、該中間面部2eが気密材7に当接することがないように設定されている。この中途開姿勢から戸体2は、全閉となる直前位置で、戸体当接面部2cが気密材7の間口方向内端部7bに対して間口方向内側から当接し、そして戸体2が全閉姿勢になることに伴い、前述したように、当接面部2cが気密材内端部7bを押圧して弾性変形させるように設定されている。
【0009】
因みに、前記戸体2の吊元側端面部は次のように構成されている。つまり、戸体2の吊元側エッジ材8は、二段の段差面8a、8bが形成されることで三段の見込み面8c、8d、8eが形成されている。そして屋内側表面板9の端縁が一段目見込み面8cから一段目段差面8aに沿うように折曲され、屋外側表面板10の端縁が三段目見込み面8eに沿うように折曲されている。そして戸体2が開閉作動する場合に、開閉中途過程で気密材7との対向間隙を小さくするための前記中間面部2eの両端縁が各表面板9、10の端部にオーバーラップ状に積層され、リベット等の止め部材11によりエッジ材8に固定され、これによって戸体2の吊元側端面部を構成するようになっている。
【0010】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、戸体2は、上下端面に凹設した軸受凹部2a、2bに、上下戸枠3、4から突設される揺動支軸3a、4aを嵌合、軸支することで組込まれ、これによって開口部の開閉揺動を行うことになるが、この場合に、戸体2と吊元側戸枠6とのあいだの気密をするための気密材7は、その先端面7aがストッパ面となって、全開姿勢の戸体2のストッパ面部2dに丁度当接するように配設されている。この結果、気密材先端面7aが戸体2の全開姿勢を越える開放揺動を回避する回り止め部材として機能することになる。従って、従来のもののように、縦戸枠に、屋外側に延長する延長部を形成して戸体の回り止めを計るような必要がなく、戸枠6の見込み寸法を小さくして室内スペースを損なうことがない。
【0011】
しかもこのものでは、一つの気密材7が、戸体2の全閉時においては、その間口方向内端部7aが戸体当接面部2cと弾圧状に当接して戸体2との気密性を確保するものとして機能する一方、戸体2の全開時においては、その先端部7bがストッパ面部として戸体ストッパ面部2dと当接して戸体2の回り止め機能を果たすものとして機能することとなり、部材の兼用化が計れることになる。
【0012】
さらにこのものにおいて、戸体2と気密材7とは、戸体2の全閉時と全開時にのみ接触し、中途開状態では接触することがなく、もって気密材7の摩耗を低減させることができるものであるが、この場合に、戸体当接面部2cは戸体2の吊元側端面に段差状に形成されるものでありながら、当接面部2cと気密材7との当接は気密材7の屋外側先端部でなされ、しかも当接面部2cは間口幅方向内側から気密材7に当接することになるので当接面部2cにより戸枠6側に指が引き込まれたとしても、指は気密材7により保護されることになる。
【0013】
次に、第二の実施の形態を図5に示すが、該図面において、第一の実施の形態と共通するもの(同一のもの)については、同一の符号を付して引出すと共にその詳細については省略する。本第二の実施の形態の戸体12の吊元側端面部の形状としては、戸体12の屋内側エッジ部が傾斜状に切欠かれた傾斜面部12cに形成して、当接面部と中間面部とを連続的に形成したものとし、該傾斜面部12cの屋外側にストッパ面部12dが形成されているものであって、戸体12の偏芯した凹部中心Oにより前記第一の実施の形態と同様にして戸枠6に組込まれている。
一方、戸枠6側の気密材13は、前記第一の実施の形態と略同様の構成となっているが、このものは前記のものより屋外側に長く突出している。そして、このものでも前記第一の実施の形態のように、全開姿勢の戸体12の回り止めを、戸体ストッパ面部12bと気密材13の先端面部13aとのあいだで行うことができるが、このものでは、気密材13を長く突出させた分、戸体12の屋内側面と戸枠6とのあいだのクリアランスを大きく確保でき、この部位で指詰め防止を計れることになる。
因みに、この戸体12は、エッジ材14が一段の段差面14aにより二段の見込み面14b、14cを有したもので構成され、そうして屋内側表面板15が、テーパ状になって傾斜面部12cを構成して屋外側見込み面14cに至り、ここで屋外側表面板16の端縁と積層され、止め部材17によりエッジ材14に固定され、これによって戸体2の吊元側端面部を構成するようになっている。
【0014】
次に、第三の実施の形態を図6に示すが、該図面において、第一の実施の形態と共通するもの(同一のもの)については、同一の符号を付して引出すと共にその詳細については省略する。本第三の実施の形態の戸体18の吊元側端面部の形状としては、前記第一の実施の形態と略同様に、当接面部18c、ストッパ面部18d、中間面部18eが形成されたものであって、戸体18の偏芯した凹部中心Oにより前記第一の実施の形態と同様にして戸枠6に組込まれている。
一方、戸枠6側の気密材19であるが、この気密材19は、戸体当接面部18cと当接する気密保持部19aと全開姿勢で戸体ストッパ面部18dと当接するストッパ面部19bとがそれぞれ形成されたものとなっている。このものでは、さらに、戸体18の中途開姿勢において、戸体中間面部18eは略自然状態の気密保持部19aと当接する設定となっている。そしてこのものでも、前記各実施の形態と同様に、互いのストッパ面部18d、19bとの当接により戸体10の回り止めができる。
この場合の戸体2は、エッジ材20としてクランク状に折曲形成されたものが用いられ、室内側表面板21を略冂字形に折り返し折曲して前記当接面部18cが形成されている。そして室内側表面板21の先端縁を、エッジ材20の見込み面20aの室内側部に沿わせるよう折曲する一方、中間面部18eの端縁を略L字形の補助材22と前記折り返された室内側表面板21とで挟み込むようにして組込み、そして補助材22を室内側表面板21先端と共に止め部材24によりエッジ材20に固定している。また、屋外側表面板23の端縁は、エッジ材20の室内側に折曲された屋外側端縁部20bに中間面部18eの屋外側端縁とオーバーラップするようにあてがわれた状態で止め部材24によりエッジ材20に固定され、これによって戸体2の吊元側端面部を構成するようになっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】開き戸の全体正面図である。
【図2】開き戸の側面断面図である。
【図3】開き戸の平面断面図である。
【図4】開き戸の開閉手順を示す説明断面図である。
【図5】第二の実施の形態の開き戸の開閉手順を示す説明断面図である。
【図6】第三の実施の形態の開き戸の開閉手順を示す説明断面図である。
【図7】従来の開き戸の平面断面図である。
【図8】従来の開き戸の開平手順を示す説明図である。
【符号の説明】
1 開き戸
2 戸体
2c 当接面部
2d ストッパ面部
2e 中間面部
6 吊元側縦戸枠
7 気密材
7a 先端面
7b 間口方向内端部
8 エッジ材
9 屋内側表面板
10 屋外側表面板
11 止め部材
O 凹部中心

Claims (5)

  1. 戸体の吊元側上下端面と、該上下端面に対向する上下戸枠とのあいだに開閉用の枢軸を介装して、戸体を全閉姿勢から全開姿勢に開閉するよう構成された開き戸において、前記吊元側縦戸枠の戸当り面の先端部に、戸体全閉時に戸体吊元側端部が当接して気密性を確保するための気密材を止着し、該気密材の先端面を、戸体の全開姿勢で該戸体の吊元側端面部に形成されるストッパ面部が前記気密材先端面に対して戸当り面と対向する方向から当接するストッパ面部に形成して、気密材を、戸体の全開姿勢を越える開放揺動を回避する回り止め部材に構成した開き戸。
  2. 請求項1において、戸体の吊元側端面部には、ストッパ面部の他に、戸体が全閉になる直前位置で間口幅方向内側から気密材に当接して該気密材を戸体全閉姿勢で間口幅方向外方に向けて弾性変形させるための当接面部が形成されている開き戸。
  3. 請求項において、戸体の吊元側端面部には、ストッパ面部と当接面部とのあいだに、中途開姿勢で気密材から離間するよう設定された中間面部が形成されている開き戸。
  4. 請求項において、戸体の吊元側端面部には、ストッパ面部と当接面部とのあいだに、戸体の中途開姿勢で略自然状態の気密材に当接するよう設定された中間面部が形成されている開き戸。
  5. 請求項1、2、3または4において、戸体に介装される枢軸は、戸体の板厚中心に対して偏芯している開き戸。
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