JP3649925B2 - 気筒休止エンジンのegr制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、すべての気筒を運転する全筒運転と、一部の気筒の運転を休止する休筒運転とに切り換えて運転可能な気筒休止エンジンにおいて、排気ガス再循環(EGR:exhaust gas recirculation) 動作を制御する気筒休止エンジンのEGR制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の気筒休止エンジンのEGR制御装置として、例えば特開昭60−45767号公報に記載されたものが知られている。この気筒休止エンジンは4気筒エンジンであり、エンジンの冷却水温、回転数および加減速状態などに応じて、4気筒のうちの2気筒への燃料供給を休止するとともに、これら2気筒の吸排気弁をともに閉鎖状態に保持する休筒運転と、4気筒すべてを通常に運転する全筒運転とに切り換えて運転される。特に、冷却水温がしきい値To(60℃)以下の場合には、全筒運転が無条件に実行され、冷却水温がしきい値Toより高くなければ、休筒運転は実行されず、このしきい値Toが休筒運転と全筒運転の切換条件の1つになっている。また、EGR制御装置は、排気ガスを吸気側に再循環し、気筒休止エンジンの燃焼温度を下げることによって排気ガス中のNOxを低減させるEGR動作を制御するものであり、エンジンの運転状態が休筒運転か全筒運転かに応じて異なるEGR率でEGR動作を制御している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
気筒休止エンジンでは一般に、冷却水温が上記しきい値Toよりも低い低温域、例えば40℃で全筒運転を行うと、同じ冷却水温で休筒運転を行う場合と比べて、ポンピングロスが大きくなり、充填効率が低下することによって、燃焼温度が低くなるので、運転中のNOxの発生は少なくなる一方、燃焼室の壁に付着する燃料の量が大きくなり、未燃ガスが発生しやすい。このため、全筒運転では、休筒運転と比べて燃費および排気ガスなどが悪化しやすい。さらに、上記従来のEGR制御装置では、上記のような低温域でも、全筒運転時の気筒休止エンジンに対してEGR動作を実行しているので、燃焼温度がさらに低下し、上記のような問題が顕著になってしまう。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、エンジン温度が低いときにEGR動作を適切に行うことにより、燃費および排気ガスを向上させることができる気筒休止エンジンのEGR制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の気筒休止エンジン3のEGR制御装置1は、すべての気筒3aを運転する全筒運転と、一部の気筒3aの運転を休止する休筒運転との間で運転状態を切換可能な気筒休止エンジン3の排気ガスをEGR通路(EGR管13)を介して吸気側に再循環させるEGR動作を制御する気筒休止エンジン3のEGR制御装置1であって、EGR通路(EGR管13)を開閉する開閉手段(例えば、実施形態における(以下、この項において同じ)EGR制御弁6)と、気筒休止エンジン3のエンジン温度(冷却水温TW)を検出する検出手段(水温センサ5)と、この検出手段(水温センサ5)により検出されたエンジン温度(冷却水温TW)を、第1所定温度(上限値TWE1H)およびこの第1所定温度(上限値TWE1H)よりも低い第2所定温度(下限値TWE1L)と比較する比較手段(ECU2、図2のステップ3〜4、ステップ9〜10)と、気筒休止エンジン3が全筒運転および休筒運転のいずれの運転状態で運転されているかを判別する判別手段(ECU2、図2のステップ2)と、比較手段の比較結果および判別手段の判別結果に応じて、開閉手段(EGR制御弁6)を開閉駆動することにより、全筒運転時(図2のステップ2の判別がNoのとき)にはエンジン温度(冷却水温TW)が第1所定温度(上限値TWE1H)より高いとき(図2のステップ10の判別がYesのとき)に、休筒運転時(図2のステップ2の判別がYesのとき)にはエンジン温度(冷却水温TW)が第2所定温度(下限値TWE1L)より高いとき(図2のステップ3の判別がYesのとき)に、EGR動作を実行する(ステップ6〜8)ように制御する制御手段(ECU2)と、を備えることを特徴とする。
【0006】
この気筒休止エンジンのEGR制御装置によれば、EGR動作は、全筒運転時にはエンジン温度が第1所定温度より高いときに、休筒運転時にはエンジン温度が第2所定温度より高いときに実行される。この第1所定温度を従来の運転状態の切換条件の1つであるしきい値に相当する温度に設定すれば、第1所定温度以下で第2所定温度より高い低温域、すなわち従来はEGR動作を実行しながら全筒運転を行う低温域において、本発明ではEGR動作を実行しながら休筒運転を行うことができる。このように従来の全筒運転の低温域において休筒運転を行うことにより、運転中の気筒におけるポンピングロスを減少させ、充填効率を高めることができる。これによって、燃焼温度を上昇させることができるので、燃焼室の壁に付着する燃料の量を減少させることができ、燃費を向上させることができるとともに排気ガス中の未燃ガスを減少させることができる。さらに、燃焼温度の上昇に伴って増加傾向になる排気ガス中のNOxは、EGR動作を実行することによって従来と同様に抑制することができる。以上のように、未燃ガスの減少とNOxの抑制とを両立させることができ、排気ガスを向上させることができる。したがって、燃費および排気ガスを向上させることができる。また、第2所定温度は、これ以下の温度において休筒運転時にEGR動作を実行すると、上記とは逆に燃焼温度が低くなり過ぎて、燃焼室の壁に付着する燃料の量が増加し、燃費が低下するとともに排気ガス中の未燃ガスが増加してしまうような温度に設定される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る気筒休止エンジンのEGR制御装置について説明する。図1は、気筒休止エンジン(以下「エンジン」という)およびそのEGR制御装置の概略構成を示している。同図に示すように、EGR制御装置1は、ECU(比較手段、判別手段、制御手段)2を備えており、このECU2には、EGR制御弁(開閉手段)6および油圧制御機構8などが接続されているとともに、エンジン3の冷却水温(エンジン温度)TWを検出する水温センサ(検出手段)5や、EGR制御弁6のバルブリフト量を検出するリフトセンサ7などから検出信号が入力される。そして、ECU2は、後述するように、これらの入力信号に応じてEGR制御弁6の開閉駆動することによりEGR動作を制御するとともに、下記の所定の運転パラメータに応じて油圧制御機構8を駆動することにより、エンジン3の運転状態を全筒運転と休筒運転の間で切り換える。
【0008】
エンジン3は、V型6気筒のSOHCエンジンであり、所定の運転パラメータ(例えばスロットル開度、エンジン回転数、運転速度、冷却水温TW、加減速状態およびギア段数など)に応じて、6気筒すべてを通常に運転する全筒運転と、6気筒のうちの右バンクの3気筒への燃料供給を休止するとともに、これら3気筒の吸排気弁4a,4bをともに休止状態に保持する休筒運転と、に切り換えて運転される。
【0009】
図1には、エンジン3の右バンクの要部の断面構成が示されており、以下、右バンクについて説明する。同図に示すように、エンジン3は、気筒3a毎にピストン3bおよび動弁機構4を備えており、各動弁機構4は、2つの吸気弁4a,4aおよび2つの排気弁4b,4b(ともに1つのみ図示)と、各吸気弁4aおよび各排気弁4bをそれぞれ駆動するための吸排気ロッカアーム4c,4dと、これらのロッカアーム4c,4dを駆動するためのカムシャフト4eと、カムシャフト4eによるロッカアーム4c,4dの駆動を実行または解除させるように切換可能な図示しない排気弁休止機構などを備えている。
【0010】
各吸気弁4aは、エンジン3の燃焼室3cの吸気ポート3dを開閉するようにシリンダヘッド3eに取り付けられており、図示しないコイルばねによって、常時、吸気ポート3dを閉鎖する閉弁位置(図1に示す位置)側に付勢されている。排気弁4bも吸気弁4aと同様に、燃焼室3cの排気ポート3fを開閉するようにシリンダヘッド3eに取り付けられており、図示しないコイルばねによって、排気ポート3fを閉鎖する閉弁位置(図1に示す位置)側に常時、付勢されている。
【0011】
吸排気ロッカアーム4c,4dはそれぞれ、吸排気ロッカアームシャフト4f,4gに回動自在に取り付けられており、吸排気ロッカアーム4c,4dの外端部はそれぞれ、吸排気弁4a,4bの上端部と当接している。また、吸排気ロッカアーム4c,4dはそれぞれ、カムシャフト4eの回転に伴って吸排気ロッカアームシャフト4f,4gの回りに回動するようになっており、このように回動することによって、上記コイルばねの付勢力に抗しながら吸排気弁4a,4bを開閉駆動する。一方、吸排気ロッカアームシャフト4f,4gの内部にはそれぞれ、吸排気油路8a,8bが形成されており、これらの吸排気油路8a,8bの上流側端は、前記油圧制御機構8に接続され、下流側端は、前記吸排気弁休止機構に接続されている。
【0012】
油圧制御機構8は、ともにECU2に接続された電磁弁および油圧アシストポンプを組み合わせたものであり、油圧制御機構8には、油圧源9からの低油圧が常時、加えられる。油圧アシストポンプは、ECU2からの信号で起動され、これによって、油圧源9からの油圧を低油圧から高油圧に上昇させるものである。電磁弁は、非励磁のときには、低油圧を吸排気油路8a,8bを介して吸排気弁休止機構に加え、ECU2からの信号で励磁されたときには、油圧アシストポンプからの高油圧を吸排気弁休止機構に選択的に加えるように動作する。このように油圧制御機構8は、吸排気弁休止機構に加える油圧を、常時は、低油圧に制御し、ECU2により駆動されたときに、高油圧に制御する。
【0013】
吸排気弁休止機構は、油圧制御機構8から高油圧が加えられた場合に、カムシャフト4eによる吸排気ロッカアーム4c,4dの回動を休止させるとともに、図1に示す位置に保持し、低油圧が加えられた場合に、吸排気ロッカアーム4c,4dを回動可能に復帰させるように構成されている。これによって、吸排気弁機構に油圧制御機構8から高油圧がそれぞれ加えられると、吸排気弁4a,4bは、図1に示す閉鎖位置に保持され、休止状態になる。これとは逆に、吸排気弁休止機構に油圧制御機構8から低油圧がそれぞれ加えられると、吸排気弁4a,4bが可動状態に復帰する。以上のように、ECU2による油圧制御機構8の駆動・停止によって、吸排気弁4a,4bが休止・可動状態に切り換えられる。
【0014】
以上のようにエンジン3の右バンクは構成されており、左バンクは、例えば吸排気弁4a,4bの吸排気弁休止機構や吸排気油路8a,8bなどがない点を除けば、右バンクとまったく同様に構成されている。
【0015】
一方、エンジン3には、吸気ポート3dに臨むように燃料噴射弁10がそれぞれ取り付けられており、この燃料噴射弁10の燃料噴射時間および噴射タイミングは、ECU2によって制御される。休筒運転時には、右バンクへの燃料供給を休止する、すなわちフューエル・カット(以下「F/C」という)制御を実行するために、右バンクの燃料噴射弁10が休止される。また、エンジン3には、サーミスタなどからなる前記水温センサ5が取り付けられており、水温センサ5は、エンジン3の冷却水温TWを検出して、その検出信号をECU2に送る。
【0016】
また、エンジン3は、吸気管11と排気管12を接続するEGR管(EGR通路)13を備えている。このEGR管13は、エンジン3の排気ガスを吸気側に再循環し、前記燃焼室3c内の燃焼温度を下げることによって排気ガス中のNOxを低減させるEGR動作を実行するためのものであり、その一端が吸気管11の図示しないスロットルバルブよりも下流側に接続され、他端が排気管12の図示しない3元触媒よりも上流側に接続されている。
【0017】
EGR管13には、前記EGR制御弁6が取り付けられている。EGR制御弁6は、リニア電磁弁であり、ECU2からの後述する駆動信号に応じてそのバルブリフト量がリニアに変化し、これによってEGR管13を開閉する。EGR制御弁6には、前記バルブリフトセンサ7が取り付けられており、ECU2は、バルブリフトセンサ7の検出信号によってEGR制御弁6の実際のバルブリフト量を検出するとともに、この検出値に応じてEGR制御弁6のバルブリフト量をフィードバック制御することにより、吸気側に再循環される排気ガスの量すなわちEGR率を制御する。
【0018】
一方、エンジン3は、図示しないクランクシャフトの回転に伴い、パルス信号であるTDC信号をECU2に出力するクランク角センサ(図示せず)を備えている。TDC信号は、各気筒3aにおいてピストン3bが吸気行程開始時の上死点位置にあることを示す信号であり、クランクシャフトが2回転する毎に、6パルスが出力される。このTDC信号は、後述するようにECU2がEGR動作の制御処理を実行する際のトリガ信号として利用される。
【0019】
ECU2は、CPU、RAM、ROMおよび入出力インターフェースなどからなるマイクロコンピュータ(いずれも図示せず)で構成されている。前述した水温センサ5、リフトセンサ7およびクランク角センサからの検出信号はそれぞれ、入力インターフェースでA/D変換や整形が施された後、マイクロコンピュータに入力される。マイクロコンピュータは、これらの入力信号に応じ、ROMに記憶された制御プログラム、テーブルおよびマップ(いずれも図示せず)などに基づいて、駆動信号を出力インターフェースを介して油圧制御機構8およびEGR制御弁6に出力する。これによって、ECU2は、以下に述べるようにEGR動作の制御を実行するとともに、エンジン3の運転状態を全筒運転と休筒運転の間で切換制御する。
【0020】
以下、ECU2が実行するEGR動作の制御処理について、図2のフローチャートを参照しながら説明する。本処理は、TDC信号がECU2に入力される毎に、これに同期して実行される。
【0021】
本処理では、まず、ステップ1(図2ではS1と略す。以下同様)において、EGR動作を実行するための所定条件が成立しているか否かを判別する。この所定条件としては、例えば、空燃比のフィードバック制御を実行中であること、フューエル・カット運転を行っていないこと、スロットルバルブが全開でないことなどがある。
【0022】
ステップ1の答がYesの場合、すなわちEGR動作を実行するための所定条件が成立している場合には、ステップ2で気筒休止条件が成立しているか否かを判別する。この気筒休止条件の判別は、気筒休止フラグF_CYLSTPに基づいて実行される。気筒休止フラグF_CYLSTPは、図示しない気筒休止判別処理プログラムにおいて、所定の運転パラメータに基づいて設定されるものであり、気筒休止条件が成立し、休筒運転されるときには「1」にセットされ、気筒休止条件が成立せず、全筒運転されるときには「0」にリセットされる。この場合の所定の運転パラメータとしては、スロットルバルブの開度、エンジン回転数、車速、冷却水温TW、加減速状態およびギア段数などが用いられる。この気筒休止フラグF_CYLSTPが「1」と「0」の間で切り換わる場合には、エンジン3が全筒運転と休筒運転の間で切換制御される。
【0023】
ステップ2の答がYesの場合、すなわち気筒休止フラグF_CYLSTPが「1」にセットされ、休筒運転時のときには、ステップ3で冷却水温TWが第2所定温度としての下限値TWE1Lより高い(TW>TWE1L)か否かを判別する。下限値TWE1Lは、これよりも高い冷却水温TWで休筒運転時にEGR動作を実行した場合において、運転中の気筒3aにおける燃焼温度を下げ過ぎることなく、排気ガス中の未燃ガスの減少とNOxの抑制とを両立可能でかつ燃費の向上が可能なしきい値として設定される。具体的には、例えば25℃に設定される。
【0024】
ステップ3の答がYesのとき、すなわち冷却水温TWが下限値TWE1Lより高いときには、ステップ4で冷却水温TWが第2所定温度としての上限値TWE1Hより高い(TW>TWE1H)か否かを判別する。上限値TWE1Hは、休筒運転時だけでなく全筒運転時にEGR動作を実行した場合において、気筒3aにおける燃焼温度を下げ過ぎることなく、排気ガス中の未燃ガスの減少とNOxの抑制とを両立可能でかつ良好な運転性が得られるしきい値として設定される。具体的には、例えば50℃に設定される。
【0025】
ステップ4の答がYesのとき、すなわち冷却水温TWが上限値TWE1Hより高いときには、EGR動作を実行すると上記のような燃焼状態が得られる状態であるとして、ステップ6でEGRフラグF_EGRを「1」にセットする。このEGRフラグF_EGRは、EGR動作の実行・中止(または不実行)を示すフラグであり、値「1」は、EGR動作を実行していることを示し、これとは逆に値「0」は、EGR動作を中止する(実行しない)ことを示す。
【0026】
次いで、ステップ7でバルブリフト量LCMDの算出ルーチンを実行する。この算出ルーチンでは、所定の運転パラメータ(例えば、エンジン回転数と吸気管内負圧など)とEGR制御弁6のバルブリフト量LCMDとの関係を示すマップを検索することにより、算出バルブリフト量LCMDNを求める。次いで、ステップ8で、算出バルブリフト量LCMDNをバルブリフト量LCMDにセットして本処理を終了する。このようにセットされたバルブリフト量LCMDは、駆動信号としてEGR制御弁6に出力される。以上のように、ステップ6〜8において、EGR動作を実行する。
【0027】
一方、ステップ1の答がNoの場合、すなわちEGR動作を実行するための所定条件が成立していない場合には、ステップ11でダウンカウント式のタイマtmを所定値TEGRON(例えば200〜500msec)にセットしてスタートさせる。このタイマtmは、EGR動作の実行タイミングを設定するためのものであり、タイマtmのタイムアップに応じて、EGR動作が実行される。次に、EGR制御弁6のバルブリフト値LCMDを「0」にセットし、EGRフラグF_EGRを「0」にリセットして本処理を終了する(ステップ12〜13)。この場合、バルブリフト値LCMDを「0」にリセットすることは、EGR制御弁6を閉鎖する、すなわちEGR管13を閉鎖してEGR動作を実行しないことを意味する。以上のように、ステップ12〜13においては、EGR動作を実行しない。
【0028】
また、ステップ2の答がNoの場合、すなわち気筒休止条件が成立しておらず全筒運転の場合には、ステップ9でステップ7と同様に、冷却水温TWが下限値TWE1Lより高いか否かを判別する。冷却水温TWが下限値TWE1L以下のときには、上記と同様にステップ11〜13を実行し、高いときには、ステップ10でステップ4と同様に、冷却水温TWが上限値TWE1Hより高いか否かを判別する。そして、冷却水温TWが上限値TWE1Hより高いときには、上記と同様にステップ6〜8を実行することによって、全筒運転時にEGR動作が実行される。また、上限値TWE1H以下のときには、ステップ11〜13を実行する。
【0029】
さらに、ステップ4の判別がNoの場合、すなわち冷却水温TWがTWE1L<TW≦TWE1Hの場合には、ステップ5でタイマtmがタイムアップしている(tm=0)か否かを判別する。この答がYesの場合、すなわちタイマtmがタイムアップしている場合には、エンジン3の運転状態が全筒運転から休筒運転に移行した後、所定時間が経過することによって燃焼状態が安定しており、EGR動作を実行すると、前述したような効果が得られる状態であるとして、ステップ6〜8を実行する。また、タイムアップしていない場合にはステップ12〜13を実行することによりEGR動作を行わない。以上のようにECU2は、EGR動作の実行および中止(不実行)を制御する。
【0030】
以上詳述したように、本実施形態の気筒休止エンジンのEGR制御装置1によれば、全筒運転時には、冷却水温TWが上限値TWE1Hより高い(TW>TWE1H)ときにEGR動作を実行しており、この上限値TWE1Hは、前述したように全筒運転時にEGR動作を実行した場合に、燃焼温度を下げ過ぎないような適切なしきい値に設定されている。一方、休筒運転時には、冷却水温TWが下限値TWE1Lより高く上限値TWE1H以下(TWE1L<TW≦TWE1H)のときおよび上限値TWE1Hより高いときにEGR動作を実行しており、この下限値TWE1Lも、休筒運転時にEGR動作を実行した場合に、燃焼温度を下げ過ぎることがない適切なしきい値に設定されている。このように従来のEGR制御装置では、全筒運転しながらEGR動作を実行していた低温域(TWE1L<TW≦TWE1H)において、本実施形態のEGR制御装置1では、休筒運転をしながらEGR動作を実行しているので、従来と比べて、運転中の気筒3aにおけるポンピングロスを減少させ、燃焼温度を上昇させることができる。これによって、燃焼室3cの壁に付着する燃料の量を減少させ、燃費を向上させることができるとともに、排気ガス中の未燃ガスを減少させることができる。また、燃焼温度の上昇に伴って増加傾向にある排気ガス中のNOxは、EGR動作を実行することにより、従来と同様に抑制することができるので、未燃ガスの減少とNOxの抑制とを両立させることができ、排気ガスを向上させることができる。したがって、燃費および排気ガスを向上させることができる。
【0031】
なお、上記実施形態においては、エンジン温度として、冷却水温TWを用いたが、これに限らず、エンジンの燃焼温度を反映するものであればよく、例えば筒内圧を用いてもよい。また、上記実施形態では、第1および第2所定温度TWE1H,TWE1Lをそれぞれ50℃および25℃に設定したが、第1および第2所定温度TWE1H,TWE1Lはこれに限らず、エンジンの機種などに応じて燃費および排気ガスを向上させられるような温度に適宜、設定される。
【0032】
さらに、上記実施形態においては、下限値TWE1Lは一定(例えば25℃)としたが、これに限らず、燃料の霧化状態を検出する霧化状態検出手段を設け、この霧化状態検出手段が検出した霧化状態が、良好な霧化状態に相当するときには、下限値TWE1Lをより低い値に変更するすなわち下げるように補正してもよい。このようにすれば、燃費をさらに向上させることができる。この場合、霧化状態検出手段としては、燃料の温度、燃料の種類(霧化のしやすさ)、燃焼室内のスワール状態およびエアアシスト状態などを検出できるものであればよい。
【0033】
また、上記実施形態においては、エンジン水温TWがTWE1H<TWの場合には、エンジン3の運転状態の切換とは無関係に、EGR動作を継続して実行するようにしたが、このような場合にも、例えば前述したようなタイマtmを用いてステップ5およびステップ11の動作を実行することにより、運転状態の切換中はEGR動作を中止し、この切換タイミングよりも後にずれたタイミングでEGR動作を実行するようにしてもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明の気筒休止エンジンのEGR制御装置によれば、エンジン温度が低いときにEGR動作を適切に行うことにより、燃費および排気ガスを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る気筒休止エンジンのEGR制御装置と気筒休止エンジンの概略構成を示す図である。
【図2】EGR制御装置のEGR動作の制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 EGR制御装置
2 ECU(比較手段、判別手段、制御手段)
3 気筒休止エンジン
3a 気筒
5 水温センサ(検出手段)
6 EGR制御弁(開閉手段)
13 EGR管(EGR通路)
TW 冷却水温(エンジン温度)
TWE1L 下限値(第2所定温度)
TWE1H 上限値(第1所定温度)
S2 気筒休止条件の成立を判別するステップ(判別手段)
S3 冷却水温TWを下限値TWE1Lと比較するステップ(比較手段)
S6〜S8 EGR動作を実行するステップ
S10 冷却水温TWを上限値TWE1Hと比較するステップ(比較手段)
Claims (1)
- すべての気筒を運転する全筒運転と、一部の気筒の運転を休止する休筒運転との間で運転状態を切換可能な気筒休止エンジンの排気ガスをEGR通路を介して吸気側に再循環させるEGR動作を制御する気筒休止エンジンのEGR制御装置であって、
前記EGR通路を開閉する開閉手段と、
前記気筒休止エンジンのエンジン温度を検出する検出手段と、
この検出手段により検出された前記エンジン温度を、第1所定温度およびこの第1所定温度よりも低い第2所定温度と比較する比較手段と、
前記気筒休止エンジンが前記全筒運転および前記休筒運転のいずれの運転状態で運転されているかを判別する判別手段と、
前記比較手段の比較結果および前記判別手段の判別結果に応じて、前記開閉手段を開閉駆動することにより、前記全筒運転時には前記エンジン温度が前記第1所定温度より高いときに、前記休筒運転時には前記エンジン温度が前記第2所定温度より高いときに、前記EGR動作を実行するように制御する制御手段と、を備えることを特徴とする気筒休止エンジンのEGR制御装置。
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1998
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