JP3649522B2 - 揺動散水防除機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、果樹園において、防除や散水を行ったり、ゴルフ場や畑等の圃場で円形或いは扇形状に水平面方向に散水したり、防除を行える可搬式の揺動散水防除機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、果樹園での防除作業は、噴霧ホースを引き回して手作業で行うか、走行機体上に薬液タンクと動力噴霧機とエンジンとノズル等を配置したスピードスプレヤーを果樹の間に走行させて、ノズルより薬剤を噴霧して防除を行うようにしていた。また、ゴルフ場や畑等の広い圃場で散水を行うにはスプリンクラーが利用され、防除を行うにはブームスプレヤー等が用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のように、果樹園での防除はスピードスプレヤーを用い、畑での防除はブームスプレヤーを用い、畑での散水はスプリンクラーを用いるような、用途別に応じた機械を所有することになると、コストが高くなるばかりでなく、格納場所等も必要となっていた。また、スピードスプレヤーやブームスプレヤーで防除を行うには走行可能な圃場に限られ、スプリンクラーで散水する場合には、スプリンクラーを予め設置しておく必要があり、設置後の移動は大変な手間がかかっていた。そこで、防除も散水も行え、持ち運びも容易な防除散水装置がのぞまれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上のような課題を解決するために、次のような手段を用いる。
請求項1においては、左右両側に軸受ケース10L・10Rを配置し、該軸受ケース10L・10Rはスタンド13によって支持され、該軸受ケース10L・10Rの間に、揺動ケースDが左右方向の第一の軸心Pを中心に揺動自在に支持され、該揺動ケースDはスプリンクラケース11とギヤケース12により構成され、該スプリンクラケース11上にスプリンクラー14を配設し、該スプリンクラー14の回転中心である第二の軸心Qは、 前記第一の軸心Pに対して直角方向に配設し、該スプリンクラー14への水流により揺動ケースDを揺動し、スプリンクラー14も水流により同時に往復揺動する構成において、該揺動ケースDを、左右方向の第一の軸心Pを中心に、スプリンクラー14が真上を向いた位置から、真下を向く前までの設定角度(θ1)だけ揺動可能とし、前記スプリンクラー14は第二の軸心Qを中心に、左右方向に第一の軸心Pの線を越えない180度以内の設定角度(θ2)だけ、前記揺動ケースDの設定角度(θ1)とは逆の側の方向で揺動可能に構成したものである。
請求項2においては、請求項1記載の揺動散水防除機において、揺動ケースDの揺動を停止して、スプリンクラー14の回転のみで散水作業を行う場合に、該揺動ケースDの上死点において、スプリンクラー14の回転軸心である略垂直の第二の軸心Qを中心として、水平方向に連続的に360°回動させて水平面円形状に散水可能に構成したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例を、添付の図面を基に説明する。
図1は可搬式揺動散水防除機を用いて防除作業を行っている状態を示す図、図2は可搬式揺動散水防除機の正面断面図、図3は同じく平面図、図4は同じく側面図、図5は図2におけるU−U矢視断面図、図6は図2におけるV−V矢視断面図、図7は図2におけるW−W矢視断面図、図8は図2におけるX−X矢視断面図、図9は図2におけるY−Y矢視断面図、図10はリリーフ弁の解除ツマミ部分を示す底面図、図11は同じく底面断面図、図12は図11に於けるZ矢視図、図13はスプリンクラーの正面図、図14は同じく平面図である。
【0006】
まず、本発明の可搬式揺動散水防除機1は、果樹園等の防除作業や散水作業に利用できるものであり、図1に示すように、動力噴霧機2またはポンプ等の給水口と連通したホース3を薬剤タンク6または川や井戸等に接続して、吐出口と連通したホース4を分岐管5を介して可搬式揺動散水防除機1の吸入口に連通している。本発明の可搬式揺動散水防除機1は後述する揺動ケースDの前後方向の揺動(前後往復回動)と、揺動ケースD上に設けたスプリンクラー14の水平往復回動によって、薬液または水を半球状に吐出して、前後左右及び上方の作物に防除や散水ができるようにしている。
なお、薬剤タンク6を高所に配置することで、動力噴霧機2を用いずに散布することもできる。また、ホース4の代わりに棚の上に配管したり、地中に配管したりすることもできる。
【0007】
本発明に係る可搬式揺動散水防除機1の全体構成から説明する。
図2、図3、図4に示すように、左右両側に軸受ケース10L・10Rを配置し、該軸受ケース10L・10Rはスタンド13によって一体的に支持され、該軸受ケース10L・10Rの間に揺動ケースDが左右方向の第一の軸心Pを中心に揺動自在に支持されている。該揺動ケースDはスプリンクラケース11とギヤケース12からなり、該軸受ケース10L・10R及びスプリンクラケース11とギヤケース12は組み立てた状態で、円筒状或いは玉子形に構成している。該軸受ケース10Rの軸心P位置の外側にはプラグ17が連通されて、前記分岐管5に連通するホースを接続できるようにして、水又は薬液を送れるようにしている。
【0008】
前記揺動ケースD内はギヤケース12内に圧力室Aとギヤ室Bを配置し、スプリンクラケース11内に送水室Cを配置している。該圧力室A内に水流管22F・22Rと弁機構を収納し、ギヤ室B内に減速機構9を収納し、送水室C内に水車23を収納している。前記スプリンクラケース11上にスプリンクラー14が配設されており、該スプリンクラー14の基部パイプ15はその軸心(第二の軸心)Qが前記第一の軸心Pに対して直角方向に配設されており、該スプリンクラー14のノズル16は第一の軸心Pに対して直角方向の前記第二の軸心Qを中心に回動可能に配置されている。このようにして、プラグ17にホースを接続し、プラグ17に送水することによって、その水流を利用して、スプリンクラケース11とギヤケース12を揺動し、スプリンクラー14も同時に往復回動して、半球状に散布、または、第一の軸心Pを中心とした揺動を止めて、手動操作によって揺動ケースDを回して第二の軸心Qを鉛直方向に向けて、該第二の軸心Qを中心として水平方向に連続的に360°回動させて水平面円形状に散水または防除するようにしている。
【0009】
次に具体的な構成を説明する。
前記スタンド13は、図4に示すように、鋼管または合成樹脂製のパイプを側面視コ字状に曲げ、上端を軸受ケース10L・10Rにそれぞれ固定し、下部水平部で地面に設置して支持するようにし、前後一側、つまり、揺動ケースDが回動してくる側の散布方向側を開放して構成され、スプリンクラー14を左右回動させたときにスタンド13に当たって噴霧が妨げられないようにしている。
【0010】
前記軸受ケース10Lは図2に示すように、左右方向の軸心(第一の軸心P)位置に貫通孔10aを開口して、スプリンクラケース11の左側の軸心位置に側方へ突出した支持軸11aを回転自在に支持し、ネジ18によって抜け止めしている。軸受ケース10Rは軸心位置に貫通孔10bを開口し、ギヤケース12の右側面の軸心位置には連通孔を開口して雌ネジ部12aを形成して、パイプ状の連結管19を前記貫通孔10aより挿入して、雌ネジ部12aで締め付けて、軸受ケース10Lとギヤケース12を抜け止めしている。そして、貫通孔10aにストレイナー20を挿入してプラグ17を螺装している。
【0011】
前記ギヤケース12の左側は開放されて、その開放部分をギヤケース蓋21によって閉じられ、図6に示すように、ギヤケース12の内部には直径方向に仕切り壁12bが設けられ、該仕切り壁12bによってギヤケース12内を圧力室Aとギヤ室Bに分割している。そして、スプリンクラケース11をギヤケース12にネジで固定することによってギヤケース蓋21を同時に固定し、スプリンクラケース11とギヤケース蓋21によって送水室Cを形成している。前記圧力室Aはギヤケース12の右側面軸心位置に開口した連通孔12cによって前記連結管19と連通され、該圧力室A内には水流管22F・22Rが第一の軸心Pと平行に一対配置されている。
【0012】
該水流管22F・22Rの左端はギヤケース蓋21に固設して、図9に示すように、水流管22F・22Rの左面には吐出口22Fa・22Raが設けられ、該吐出口22Faは後述する水車23の羽根の一側(前)面に向かって、吐出口22Raは羽根の他側(後)面に向かって吐出するように構成されて、何れか一方より吐出することにより水車23を回転できるようにしている。該水流管22F・22Rの右端には吸入口22Fb・22Rbが設けられ、該吸入口22Fb・22Rbの右側には切換弁24が配置されて、該切換弁24はシーソー状に構成されて前後中央を吸入口22Fb・22Rbの側部でピン24aにて枢支し、切換弁24を傾倒させて吸入口22Fb・22Rbの何れか一方を閉じ、他方を開ける構成としている。
【0013】
そして、この切換弁24に対向して(右側に)、ギヤケース12の右面に弁アーム25を配置して、切換弁24を切り換えられるようにしている。即ち、該弁アーム25は平面視T字状に構成されて、前後方向の当接部25aの両端部が切換弁24に当接する部分とし、当接部25aの中央部から後方に突出した当接部25b先端が後述するカム26への当接部分とし、当接部25bの基部(当接部25aの前後中央)に枢支ピン25cを設けて、該枢支ピン25cがギヤケース12の右面に前後方向に揺動自在に支持されている。該支持孔12dは平面視扇形の孔として当接部25bの揺動をガイドしている。
【0014】
そして、図7に示すように、軸受ケース10Rの左側面にはリング状の凹部10cが設けられ、該凹部10cにカム26・26が設定間隔を開けて固定されている。この間隔は第一の軸心Pを中心とした上下方向の揺動角度θ1となり、図4に示すように本実施例ではθ1を約160°として揺動するように設定している。よって、このカム26・26の取付位置を同一円周上で変更するか、或いは、カム26の円周方向の幅を変更することによって、揺動角度を変更することができる。
また、前記弁アーム25と点対称の位置、即ち180°ズレた位置に突起を設けてストッパー27とし、該ストッパー27はギヤケース12の右側面より突設されて、弁アーム25により切換弁24を切り換えても反対方向に回転しなかったり、切換弁24を切り換えることができない場合等、ストッパー27がカム26に当接して揺動回動を停止して、弁アーム25等の破損を防止するようにしている。
【0015】
そして、前記ギヤケース蓋21の軸心部に軸受28を固定し、該軸受28とギヤケース蓋21に駆動軸29を回転自在に支持し、該駆動軸29の左端に水車23を固設し、送水室C内に配置している。駆動軸29右側には駆動歯車30を固設し、該駆動歯車30は減速機構9の左端の減速歯車31と噛合している。該減速機構9は図8に示すように、ギヤケース蓋21と軸受ケース10Rの左側面との間に伝動軸33F・33Rが平行に横架され、該伝動軸33F・33R上に交互に減速歯車31・31・・・と最終の減速歯車32が遊嵌されて、ギヤ室B内に収納されている。該減速歯車31・32は二連歯車で構成され、前後一方の大径歯車が、他方の小径歯車に噛合するように配設して、順次減速を行い減速歯車32に駆動力を伝えるようにしている。
【0016】
前記最終の減速歯車32の小径歯車は軸受ケース10Rの左側面の軸心部に固設した固設歯車34と噛合している。該固設歯車34はリング状に構成されて、右側面を軸受ケース10Rの左側面に固設して、上半分をギヤ室Bに露出させている。つまり、ギヤケース12は図6に示すように、ギヤ室Bの軸心部の仕切り壁12bの上部に開口部12eを設けて、ギヤケース12のギヤ室Bの右側面を、圧力室Aの右側面よりも右側へ張り出して構成し、固設歯車34の上半分をギヤ室B内に露出できるように構成している。
【0017】
このように構成することによって、プラグ17に水が送られてくると、ストレイナー20によって濾過されて、圧力室A内に水が入り、切換弁24によって選択された水流管22F・22Rのいずれか一方に水が入って、その側の吐出口22Fa(または22Ra)より水が水車23の羽根に向かって吹き出し、水車23を回転させる。この回転は駆動軸29より駆動歯車30、減速歯車31へと伝えて、減速歯車31・31・・・によって減速されて減速歯車32に伝える。この減速歯車32は固設歯車34と噛合しているので、固設歯車34に回動力を伝えようとするが、固設歯車34は軸受ケース10Rに固定されているので、その回動力は、固定側の軸受ケース10L・10Rに枢支された揺動ケースD(ギヤケース12とスプリンクラケース11)が第一の軸心Pを中心に回動するようになる。
【0018】
そして、上方向または下方向に回動して、設定範囲の端部(上死点または下死点)まで回動すると、弁アーム25の当接部25bがカム26に当接し、当接部25aが回動されて、切換弁24を回動して、水流管22F(22R)の空いている吸入口22Fb(21Rb)を閉じて、他方の吸入口21Rb(22Fb)を開いて、他方の吐出口21Ra(22Fa)から水を吐出して、水車23の羽根の反対面に向かって吹き出し、水車23を逆回転させる。この逆回転によって揺動ケースDを第一の軸心Pを中心に逆方向へ回動する。このようにして、上死点と下死点で弁を切り換えて回転方向を変更して往復揺動するようにしている。
【0019】
また、図5、図10、図11、図12に示すように、前記ギヤケース蓋21にはリリーフ弁35が配設されており、該リリーフ弁35はギヤケース蓋21に貫通孔を開口して、該貫通孔の送水室C側の周囲をバルブシートに形成し、弁軸35aを挿入してバネ35cで付勢して弁体35bをバルブシートに着座させて閉じるようにしている。そして、ギヤケース12の側面より操作軸36を挿入し、該操作軸36先端の圧力室A内には押圧プレート37を固設し、前記弁軸35a先端に当接可能に配置し、ギヤケース12外側の操作軸36上にはツマミ38を固設し、該ツマミ38に突起38aを設け、ギヤケース12の操作軸36を支持するボス部39には、押圧プレート37が弁軸35aを押す解除位置と、押圧しない作動位置に凹部39aを構成して、それぞれの位置で前記突起38aが凹部39aに嵌入して、その位置を維持できるようにしている。
【0020】
このような構成において、押圧プレート37が弁軸35aから離れた作動位置にあるときは、リリーフ弁35は圧力室Aを設定圧力に維持して、圧水は吐出口22Faまたは22Raより吐出させて水車23を回転して、揺動ケースDを揺動するようにし、かつ、ポンプの異常やウォーターハンマー等で設定圧以上の水圧が発生したときには、その水圧で弁体35bを押し開いて圧力室Aから送水室Cへ直接流し、圧力がかかって破損したりすることを防止している。
【0021】
そして、揺動を停止して、散水作業を行う場合には、ツマミ38の突起38aが凹部39aに嵌入する解除位置まで回動して、押圧プレート37を弁軸35aに押し当てた位置に維持して、リリーフ弁35を強制的に開け、圧力室Aと送水室Cの間の圧力差をなくして、吐出口22Faまたは22Raより吐出させなくして水車23が回転しないようにする。
【0022】
そして、この散水時にはスプリンクラー14は360°回転させるので、垂直以外の傾斜した状態では、下側の散水位置では地面に向けて吐出してしまい、無駄となるので、揺動ケースDの上死点において、スプリンクラー14の回転軸心である第二の軸心Qが略垂直となるようにして、水平面方向に散水できるようにしており、前記リリーフ弁35を開放して揺動ケースDの揺動駆動を停止したときには、上死点で保持できるように、軸受けケース10と揺動ケースDの間にデテント機構40を設けている。つまり、図2に示すように、軸受けケース10L(10R)とスプリンクラケース11(ギヤケース12)の嵌合部において、軸受けケース10Lの内周面にボールを嵌入する凹部40aを形成し、スプリンクラケース11にバネ40bとボール40cを配置して、スプリンクラー14が上死点に位置した位置に合わせて凹部40aにボール40cが嵌入するように配置している。但し、このデテント力は水車23を回動させて、スプリンクラケース11を回動させるトルクよりも小さくしている。
【0023】
また、スプリンクラケース11上部は凹部11aを構成して、スプリンクラー14を取り付けるための平面を構成し、この凹部11aの中央に送水室Cに連通する挿入孔を開口し、該挿入孔に基部パイプ15を螺装している。このようにして、スプリンクラー14を出来るだけ第一の軸心Pに近づけて配置し、上下揺動時のモーメントが小さくなるようにしている。
【0024】
次に、スプリンクラー14の構成を図13、図14より説明する。
前記基部パイプ15上に本体41下部の軸部41aを回転自在に嵌合し、該軸部41a上にバネ42を介装して、このバネ圧によって本体41を回転しないように一定圧力で付勢している。前記本体41の中途部に水平面より上方へ設定角度傾斜して側方へ吐出するようにノズル16を配設している。
【0025】
また、前記本体41上部に門型の支持部41bを設け、該支持部41の中央に第二の軸心Qと一致する枢支軸41cを設け、該枢支軸41cに反動アーム43を回動自在に支持し、該反動アーム43はその外周に外嵌したバネ47によってノズル16側へ回動するように付勢され、支持部41bで止められている。該反動アーム43の一端はノズル16の出口まで延設され、吐水される液体の一部を取り込んで図14の矢印の如く導くガイド部43aを設け、他端は反対方向の規制体44まで延設され、重り43bを固定し、その下部に当接部43cを形成している。
【0026】
前記規制体44は本体41側部より突出した枢支軸48に枢支され、規制体44の一端(図13紙面右側)の規制板44aは本体側部に突設した回動規制ピン50U・50Dの間に挿入し、他端は前記当接部43c下方へ延設している。前記枢支軸48上には更にレバーアーム49が枢支され、該レバーアーム49の一端の規制杆49aは前記回動規制ピン50U・50Dの間に挿入し、レバーアーム49の側部には切換レバー45が回動可能に取り付けられて下方へ突出され、レバーアーム49の他端にはロッド51を枢支し、該ロッド51の他側を前記規制体44に摺動自在に挿入し、該ロッド51上の規制体44の間にバネ52を外嵌している。
【0027】
そして、前記切換レバー45の第二の軸心Qを中心とした回動軌跡上の、前記スプリンクラケース11の凹部11a上面に回動角(θ2)を設定するカム46・46(図3)が配設されている。このカム46・46は軸心Qを中心とした同一円周上のスプリンクラケース11上の平面上で、切換レバー45が当接する位置に固定されており、スプリンクラー14の回動角度を設定している。このカム46には長孔46aが開口されてネジによって固定され、長孔の固定位置を変更することによって回動角を変更できるようにしている。このカム46をスプリンクラケース11側に設けることによって、スプリンクラー14の高さを低く抑えて第一の軸心Pに近づけることができ、スプリンクラー14自体の自重による慣性モーメントや吐出による反力を低減している。
【0028】
このような構成において、切換レバー45がJ位置(図13)のときは、ノズル16より吐出した液の一部がガイド部43aに当たり、その水圧によって反動アーム43はバネ47に抗して矢印M方向(43’)へ回動する。この位置ではノズル16からの吐水によって当たらない位置となるので、バネ47の力によって元の位置へ回動して戻し、反動アーム43は支持部41bに当たりその慣性力によって本体41はN方向へ回動する。このとき本体41は軸部41aに外嵌したバネ42によってブレーキがかけられて安定して回動させることができる。そして、ガイド部43aが元の位置戻ったので、再び吐水圧によってM方向へ回動される。この動作が繰り返されて本体41は徐々に右方向に回転される。
【0029】
このように回転されて、切換レバー45がカム46に当接して回動されると、レバーアーム49は回動規制ピン50Uに当接して切換レバー45はK位置で停止する。このとき、規制杆49bが下方へ回動されてロッド51が死点越えとなって、バネ52の付勢力によって規制体44は上方へ回動され、他端の規制板44aは下方へ回動されて回動規制ピン50Dに当接して停止する。このように規制体44が上方へ回動すると、反動アーム43の当接部43cは規制体44に当接するようになり、吐水によって反動アーム43はM方向へ回動することができず、そのM方向への回動力は本体41をM方向へ回動し、スプリンクラー14を逆方向へ回動することができる。そして、切換レバー45がカム46に当接してK位置からJ位置へ回動されると、規制体44は下方へ下げられて、スプリンクラー14はN方向へ回動するようになる。このようにして往復回動が繰り返されるのである。
【0030】
そして、切換レバー45をH位置まで回動すると、切換レバー45はカム46に当接できなくなり、反転することがないために、同一方向にのみ回転する。この状態は散水位置としており、前述したように360°回転しても地面側に吐水しないように、前記ツマミ38を回動してリリーフ弁35を開いて、スプリンクラー14の回転軸心である第二の軸心Qが垂直となる位置まで回動して、デテント機構40によって保持して、散水作業を行うようにしている。
【0031】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成したので、次のような効果を奏する。
請求項1においては、左右両側に軸受ケース10L・10Rを配置し、該軸受ケース10L・10Rはスタンド13によって支持され、該軸受ケース10L・10Rの間に、揺動ケースDが左右方向の第一の軸心Pを中心に揺動自在に支持され、該揺動ケースDはスプリンクラケース11とギヤケース12により構成され、該スプリンクラケース11上にスプリンクラー14を配設し、該スプリンクラー14の回転中心である第二の軸心Qは、前記第一の軸心Pに対して直角方向に配設し、該スプリンクラー14への水流により揺動ケースDを揺動し、スプリンクラー14も水流により同時に往復揺動する構成において、該揺動ケースDを、左右方向の第一の軸心Pを中心に、スプリンクラー14が真上を向いた位置から、真下を向く前までの設定角度(θ1)だけ揺動可能とし、前記スプリンクラー14は第二の軸心Qを中心に、左右方向に第一の軸心Pの線を越えない180度以内の設定角度(θ2)だけ、前記揺動ケースDの設定角度(θ1)とは逆の側の方向で揺動可能に構成したので、ノズル16は、図3の第二の軸心Qを中心に設定角度(θ2)の間で噴射し、この設定角度(θ2)の角度で揺動しながら、図4の設定角度(θ1)だけ第一の軸心Pを中心に回動するので、設定角度(θ1)の間で上支点の位置では、ノズル16は真上に向いて設定角度(θ2)の幅内で吐出しており、設定角度(θ1)の下死点の位置では、設定角度(θ2)の幅で、図4の左方向に水平方向に吐出していることとなり、それ以下の方向には、第一の軸心Pを中心の下側には回動しないので、地面に向かって吐出されることはなく、液の無駄がなくなり、散水位置に設定するときに、スプリンクラーの保持位置を明確にできる。
【0032】
請求項2においては、揺動ケースDの揺動を停止して、スプリンクラー14の回転のみで散水作業を行う場合に、該揺動ケースDの上死点において、スプリンクラー14の回転軸心である略垂直の第二の軸心Qを中心として、水平方向に連続的に360°回動させて水平面円形状に散水可能に構成し、該揺動ケースDを上死点の位置に、軸受けケース10と揺動ケースDの間にデテント機構40を設けたので、スプリンクラーを支持するスタンド等が邪魔にならず、従来のスプリンクラーを設置した使い方と同じように散水することができ、防除作業だけでなく散水作業もできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 可搬式揺動散水防除機を用いて防除作業を行っている状態を示す図である。
【図2】 可搬式揺動散水防除機の正面断面図である。
【図3】 同じく平面図である。
【図4】 同じく側面図である。
【図5】 図2におけるU−U矢視断面図である。
【図6】 図2におけるV−V矢視断面図である。
【図7】 図2におけるW−W矢視断面図である。
【図8】 図2におけるX−X矢視断面図である。
【図9】 図2におけるY−Y矢視断面図である。
【図10】 リリーフ弁の解除ツマミ部分を示す底面図である。
【図11】 同じく底面断面図である。
【図12】 図11に於けるZ矢視図である。
【図13】 スプリンクラーの正面図である。
【図14】 同じく平面図である。
【符号の説明】
D 揺動ケース
P 第一の軸心
Q 第二の軸心
14 スプリンクラー
Claims (2)
- 左右両側に軸受ケース10L・10Rを配置し、該軸受ケース10L・10Rはスタンド13によって支持され、該軸受ケース10L・10Rの間に、揺動ケースDが左右方向の第一の軸心Pを中心に揺動自在に支持され、
該揺動ケースDはスプリンクラケース11とギヤケース12により構成され、該スプリンクラケース11上にスプリンクラー14を配設し、該スプリンクラー14の回転中心である第二の軸心Qは、前記第一の軸心Pに対して直角方向に配設し、
該スプリンクラー14への水流により揺動ケースDを揺動し、スプリンクラー14も水流により同時に往復揺動する構成において、
該揺動ケースDを、左右方向の第一の軸心Pを中心に、スプリンクラー14が真上を向いた位置から、真下を向く前までの設定角度(θ1)だけ揺動可能とし、
前記スプリンクラー14は第二の軸心Qを中心に、左右方向に第一の軸心Pの線を越えない180度以内の設定角度(θ2)だけ、前記揺動ケースDの設定角度(θ1)とは逆の側の方向で揺動可能に構成したことを特徴とする揺動散水防除機。 - 請求項1記載の揺動散水防除機において、揺動ケースDの揺動を停止して、スプリンクラー14の回転のみで散水作業を行う場合に、該揺動ケースDの上死点において、スプリンクラー14の回転軸心である略垂直の第二の軸心Qを中心として、水平方向に連続的に360°回動させて水平面円形状に散水可能に構成したことを特徴とする揺動散水防除機。
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