JP3649519B2 - 排泄物処理材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペットなどからの排泄物(主に尿)を処理するために用いられる粒状の排泄物処理材に係り、特に尿などを吸収したときに塊を形成できるようにした排泄物処理材に関する。
【0002】
【従来の技術】
室内で飼われているネコなどのペットの排泄物を処理するために、いわゆる猫砂と称される粒状の排泄物処理材がトイレ用容器に敷かれて使用されている。従来、この猫砂の材料としてはゼオライトや川の砂、またはベントナイトなどで形成された粒子が使用されていた。しかし、ゼオライトや川の砂は尿などの排泄物の水分により固まらないため、トイレ用容器の掃除をするときに排泄物により汚れた部分のみを取り除くことができずに、トイレ用容器に敷かれた猫砂を全て捨てなくてはならなくなって不経済であった。また、排泄物により汚れた部分をペットがかき混ぜるなどして排泄物がペットの体に付着してしまい、衛生的にも問題があった。
【0003】
これに対して、ベントナイトの粒子は水分により膨潤して粘着性を呈し、これにより粒子どうしが結合して固まるため、排泄物により汚れた部分を塊として取り除くことができる。
【0004】
しかし、ベントナイトで形成された排泄物処理材は、嵩比重(例えば1リットルの容器に入れたときの内容物の全重量を容器の容積で除算して求めた比重)が約1.0g/cm3程度と重いため、この粒子を製品として袋詰めにしたときにこの袋の重量が重くなり、製品の運搬などのときに扱いにくく、また購買者にとっても運びにくいという問題がある。またベントナイトで排泄物処理材を形成するとき、粒径を大きくすると1個ずつの粒子が重くなりすぎて尿によって個々の粒子が粘着しても個々の粒子の自重によりばらばらになりやすく、少量の尿によって塊を形成できない。したがって、粒子の外形寸法をせいぜい2mm程度以下の大きさにしかできない。しかし、粒子が2mm程度以下の大きさであると、例えば猫の爪の間に挟まりやすく、猫が室内を動き回るたびに粒子が室内に散乱する問題点がある。
【0005】
そこで、吸水性があり、粒径を大きくでき、しかも比重が小さい材料としてパルプを造粒し処理材として使用する方法が考えられている。比重の小さいパルプを使用して造粒しこれを排泄物処理材として使用すると、粒の寸法を大きくしても全体の重量が軽くなって取り扱いが容易であり、また個々の粒の寸法を大きくできるために、猫の爪の間に入りにくくなるという利点がある。しかし、パルプは吸水しても粘性を持たないため、排泄物で汚れた部分を固まらせて取り出すことはできない。
【0006】
そこで、パルプ材などで造粒された粒子の表面に、吸水して膨潤し且つ粘着性を呈する吸水性のポリマーをコーティングすることが考えられている。このような排泄物処理材としては、例えば特開平7−184502号公報に記載されたものがある。この公報に記載されたものでは、内殻部がパルプ、高吸水性ポリマーなどで形成され、外殻部がCMC、PVA、高吸水性ポリマーなどから成る粘着材で構成されている。この排泄物処理材では、主に内殻部により尿を吸収し、また外殻部により粒子どうしを粘着させ、尿を吸収したときに塊が形成されやすく、排泄物で汚れた部分を塊として取り除くことができる。しかも全体の嵩比重を低下できるものとなっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記特開平7−184502号公報に記載されたものでは、外殻部が水分を吸収しやすく、またわずかな水分でも粘着性を呈するものとなっているため、高温多湿となる季節や、または密閉度の高い室内で使用されていると、外殻部が空気中の水分を吸収し、尿を吸収していない状態でも粒子どうしが互いに粘着し合い、ブロッキングする問題点がある。
【0008】
そこで、前記外殻部を吸水性ポリマーとパルプの混合物で構成することも考えられている。外殻部にパルプを混入することにより、粘着性物質の密度が低くなり、粘着性を下げ空気中の水分によるブロッキングを防止できる。しかしこの場合には、逆に外殻部の粘着性が低下しすぎて、尿によって粒子どうしが塊を形成しにくくなり、また猫が触れたり、除去しようとしたときに塊がすぐに崩れてしまい、排泄物を塊として取り除きにくくなる。
【0009】
すなわち、この種の排泄物処理材では、外殻部に水分を吸収しやすく且つ粘着性を呈しやすい材料を使用すると、ブロッキングが発生しやすく、またブロッキングを発生させないためには、粘着性を低下させるかまたは吸水性を低下させる必要があり、その結果、尿により塊を形成できずあるいは尿の吸収が低下するものとなる欠点がある。
【0010】
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、排泄物の水分を吸収しやすく且つこの水分によって塊が形成されやすく、さらに空気中の水分などではブロッキングを発生しにくく、さらに全体の重量を低減できるようにした排泄物処理材を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の排泄物処理材は、コアと、コアの表面を覆う外殻層とを有し、前記外殻層は水分を吸収すると粘着性を呈する材料により形成され、且つこの外殻層の表面には、外殻層どうしの粘着を防止し且つ尿によって外殻層の表面から流れる繊維状または粉状のブロッキング防止材が付着していることを特徴とするものである。
【0012】
この排泄物処理材は、嵩比重が0.5g/cm3以下であることが好ましく、このように比重を低下させるために、例えばコアは、パルプおよび木屑を主体として造粒されている。
【0013】
また、外殻層の表面に対するブロッキング防止材の目付が、8g/m2以上で40g/m2以下であることが好ましい。
【0014】
さらに、外殻層の外径寸法または長さが4mm以上であることが好ましい。
【0015】
なお本明細書中での嵩比重とは、一定の容積(例えば1リットル)の容器内に内容物を入れたときのこの内容物の全重量を前記容積(例えば1リットル)で除算した値をg/cm3の単位で表わしたものである。
【0016】
本発明の排泄物処理材の粒子は、例えばパルプや木屑とこれらを付着させる糊剤として機能するスターチとの混合物により形成されたコア(内殻部または内殻粒)と、このコアの表面を覆う高吸水性ポリマーやベントナイトやスターチなどで形成された水分を吸収すると粘着性を呈する外殻層と、この外殻層の表面に付着する粉砕パルプ繊維などのセルロース繊維あるいはカオリンなどの無機物の粒子または粉体などのブロッキング防止材の3層構造から成る。
【0017】
前記コアを形成しているパルプや木屑は主にセルロース繊維で形成されており、吸水性が良く、しかも体積に比して重さが軽い。特に木屑を含ませることにより、比重を小さくできる。よって、処理材の粒子の径を大きくでき、しかも比重を軽くすることができる。猫の爪の隙間は一般に4mmよりも小さいため、猫の爪の間に粒子が入り込まないようにするためには、粒子の粒径または長さを4mm以上にすることが望ましい。また4mm以上の大きさにしても、全体の重量が低いため、取り扱いが容易であり、また尿により処理材どうしが粘着したときに自重でばらばらになりにくく、よって尿により塊を形成しやすい。
【0018】
そして運搬などの取り扱いを容易にするためには、処理材の粒子の嵩比重は0.5g/cm3以下、すなわち従来のベントナイトの処理材の1/2以下であることが望ましい。本発明では、前述のように、粒子のコアを主にパルプや木屑により形成しているため、粒径および粒長の最小寸法値を4mm以上または5mm以上、嵩比重を0.5g/cm3以下さらには0.4g/cm3以下にすることが容易である。なお、猫などのペットのための排泄物処理材としては、粒径または粒長の最大寸法値が20mm以下であることが好ましい。
【0019】
また、このコアの外側表面を覆う外殻層は、ポリアクリル酸塩などの高吸水性ポリマー(SAP)や、スターチ、ベントナイトなどのうちのいずれか1つ、または2つ以上を混合したものにより形成されている。これらの材料は水分を吸収することによって膨潤し、粘りを生じる性質がある。したがって、このような材料により形成された外殻層は、動物の排泄物に含まれる水分を吸収して粘りを生じて粒子どうしを結合させて塊を形成できるので、排泄物により汚れた部分を塊として取り除くことができる。
【0020】
そして前記外殻層の表面に、ブロッキング防止材として長さ1mm以下のセルロース繊維、またはカオリンの粉末などが付着している。ブロッキング防止材は、セルロース繊維のように水分を吸収するもの、または水分を吸収しにくいパウダー状のいずれのものであっても効果があるが、濡れやすい親水性のものが適している。このブロッキング防止材は外殻層の表面にまぶしたものであってもよいが、例えば外殻層を乾燥させる前の状態で、外殻層に含まれる水分により付着させ、その後に全体を乾燥させ、セルロース繊維やカオリンなどの粉末が外殻層の表面に固着している構造とすることが好ましい。セルロース繊維やカオリンは水と濡れやすく、排泄物の多量の水分が与えられると外殻層から取れて尿などの水分により流されやすい。また外殻層が排泄物の多量の水分を吸収して膨潤することによりセルロース繊維やカオリンが外殻層から離れやすくなる。したがって、排泄物処理材に尿などの水分が与えられると、セルロース繊維やカオリンが水に濡れて流れ、外殻層の吸水による粘着性により排泄物処理材どうしが粘着しやすくなる。ただし、空気中の水分をセルロース繊維やカオリンが吸収した程度ではこれらは外殻層の表面から取れることがない。
【0021】
したがって、この排泄物処理材は、外殻層が空気中の湿気を吸水して粘着性を呈しても、その表面には粘着性を呈しないセルロース繊維やカオリンが付着しているため、処理材どうしが粘着することがなく、固まりにくくなってブロッキングを生じない。一方、尿などの排泄物が与えられ、処理材の粒子の表面にある程度の量の水分が与えられると、セルロース繊維やカオリンは外殻層の表面から取れて流れ、また外殻層は十分に水分を吸収して膨潤するとともに粘着性を呈し、セルロース繊維やカオリンに邪魔されることなく処理材の外殻層どうしが強固に粘着し、尿を含んで塊を形成する。
【0022】
このように、外殻層の表面にセルロース繊維やカオリンを付着させることにより、空気中の湿気によるブロッキングを防止でき、しかも排泄物により汚れた部分を固まらせて除去できる排泄物の処理材を実現できる。しかし、このブロッキング防止材の量が多すぎると排泄物に含まれる水分により、ブロッキング防止材が外殻層から完全に離れず、外殻層が水分を含んで粘着性を呈しても、外殻層どうしの粘着がブロッキング防止材により阻止されて、尿などにより処理材が十分に固まらなくなる。逆にブロッキング防止材の量が少なすぎると、空気中の湿気を外殻層が吸収して、外殻層が粘着性を呈したときに、粘着性を呈した外殻層どうしの粘着を少量のブロッキング防止材により十分に阻止することができず、排泄物処理材どうしが粘着してブロッキングを生じてしまう。よって、ブロッキング防止材の処理材表面における目付は8g/m2以上で40g/m2以下が好ましく、さらに好ましくは8.8g/m2以上で、33.2g/m2以下である。
【0023】
以上のように、本発明の排泄物処理材では、コアがパルプなどで形成されているため、粒子を大きくできるので猫の爪に粒子が入ることを防止でき、また嵩比重を軽くできるので製品が袋に詰められたときに袋の重量を軽くでき、運搬しやすくなるなど取扱いが容易になる。
【0024】
また、前記コアの表面に高吸水性樹脂をコーティングして外殻層を形成し、さらにこの外殻層の表面にセルロースやカオリンなどのブロッキング防止材を付着させているため、空気中の湿気によるブロッキングを防止でき、排泄物すなわち尿によってのみ固まらせることが可能となるので、外殻層の粘着材としての性質を十分に生かすことができるものとなる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の排泄物処理材の外観図である。排泄物処理材は円柱形状の粒状体であり、室内で飼われている動物、例えば猫のトイレの砂としてトイレ用の容器に敷かれて使用される。
【0026】
図2はこの粒子の断面図である。この粒子の中心部または内殻部(コア1)は例えばパルプや木屑などの吸水性物質とスターチの混合物により造粒される。スターチは水分を吸水して膨潤し粘着性を呈するので、パルプや木屑をつなげるバインダーとして使用されている。このように、コアをパルプや木屑で形成しているので、処理材の粒径および粒長を大きくでき、しかも比重を小さくできる。本発明では排泄物処理材の粒子の径dおよび粒子の長さLを4mm好ましくは5mm以上にすることが望ましい。粒子をこのように大きくすることにより、猫の爪に処理材が入ることを防止でき、処理材が室内に散らばるのを防止できる。また、処理材の嵩比重は0.5g/cm3以下さらには0.4g/cm3以下と小さくすることが好ましい。このように比重を小さくすることにより、この処理材が袋などに積められて製品となったときに、この製品の重量を軽くできる。このため、製品を運搬などするときに扱いやすくなる。
【0027】
このコア1の外側には、ポリアクリル酸塩などの高吸水性ポリマー(SAP)、スターチ、ベントナイトのうちのいずれか1つ、または2つ以上の混合物から成る外殻層2が形成されている。SAP、スターチ、ベントナイトは吸水性で、水を吸うことにより膨潤し粘着性を呈するものである。したがって、処理材に尿が与えられると、処理材の外殻層2がこれの水分を吸水し膨潤して粘りを生じ、処理材の粒子どうしが結合する。これにより、処理材が尿を含んで固まる。このため、尿により汚れた処理材を塊として取り出し廃棄できる。
【0028】
そして、外殻層2の表面にはブロッキング防止材3がまんべんなく付着している。図3は、粒子表面の拡大断面図である。図3では、ブロッキング防止材3として長さ1mm以下のパルプなどのセルロース繊維が外殻層2の表面に付着しているものを示しているが、カオリンなどの無機塩の粉末が付着しているものであってもよい。パルプやカオリンは水に濡れ易く、多量の水分が与えられると、外殻層2の表面から流されやすくなる。あるいは外殻層2に多量の水分が含まれ膨潤することにより、パルプやカオリンが外殻層2から取れやすくなる。よって、処理材に排泄物の多量の水分が与えられると、ブロッキング防止材3が外殻層2から離れて流され、水分を含んで粘着性を呈した外殻層2どうしが互いに粘着し塊を形成できる。ただし、空気中の水分程度ではブロッキング防止材3が外殻層2の表面から取れることがなく、空気中の水分で外殻層2が粘着性を呈しても、外殻層2どうしの粘着がブロッキング防止材3で防止され、ブロッキングが生じなくなる。
【0029】
この排泄物処理材の製造方法を以下に説明する。
まず、パルプと木屑とスターチをナウターミキサー、リボンミキサー、コニカルブレンダー、モルタルミキサー、万能ミキサーなどの混合装置に入れ、撹拌しながらバインダーとして少量の水を均一に加える。この水の中には、必要に応じて無機塩、アルコール、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポパール界面活性材などをバインダー効果を上げるため添加してもよい。また、水は前記混合物に水をスプレーする方法、または水蒸気を吹き込む方法、機材を高湿度下に保持して空気中の水分を吸湿させる方法などにより混合物に添加されてもよい。また、添加される水の量が多すぎると、形成されるコア粒子が柔らかくなって崩れたり、粒子どうしが結合したりする。また反対に水の添加量が少ないと造粒できなくなる。よって水の添加量は、通常前記パルプなどの基材に対して1〜200重量%、好ましくは10〜100重量%とすることが好ましい。
【0030】
この混合物を適当な形、大きさの型の中でペレット状に加圧成形し、またはシート状、棒状、ブロック状に加圧成形した後に適当な大きさに砕くなどして粒子状のコア1を形成する。加圧成形する時の圧力は機材により異なるが、1〜3000kg/cm2、好ましくは10〜2000kg/cm2の条件下で形成する。また、このとき粒子の粒径または粒長を4mm以上または5mm以上に成形することが好ましい。
【0031】
そして、造粒されたコア1とSAP、スターチ、ベントナイトなどの粘着性物質を、コア1の材料を混合するときに使用した混合ミキサーなどの混合装置、またはパン型コーティング機、または振動造粒機の中で混合する。このように混合することにより、コア1に含まれる水分により粘着性物質は膨潤し、コア1に自己接着して外殻層2を形成するが、水をスプレーするとより強固に接着する。
次に、このようにコア1に外殻層2がコーテイングされた粒子、および長さ1mm以下のパルプなどのセルロース繊維、またはカオリン粉末などのブロッキング防止材3を、前記混合ミキサーなどの混合装置、またはパン型コーティング機、または振動造粒機の中で混合する。混合されるブロッキング防止材3の重量を、コア1の重量を100としたとき、約1.7以上で9.0以下とすると、前記粒子表面におけるブロッキング防止材の目付が約8g/m2以上で40g/m2以下となる。前記ブロッキング防止材3は粒子中に含まれている水分により、粒子表面にむらなく自己接着する。このブロッキング防止材3をより強力に接着させるために、水をスプレーして湿気を与えてもよい。
そして、ブロッキング防止材3をコーティングした後に乾燥させると、図1に示されているような排泄物処理材が形成される。
【0032】
【実施例】
次に、本発明の排泄物処理材の各実施例について以下に示す実験を行い、比較例と比較した。
表1はこの実験に使用した排泄物処理材のサンプルの成分配合表である。以下の検査では、排泄物処理材は猫のトイレ用の猫砂として使用されることを想定している。この表1では、コア1の重量を100としたときの重量比(重量部)で他の材料の重量を表している。
【0033】
【表1】
【0034】
この全サンプルにおいて、コア1は木屑、スターチ、パルプを混合比63:24:13(重量%)で混合したものである。この混合物は加圧成形などで円柱形状に成形されて、これによりコア1が形成される。前記スターチはパルプおよび木屑をつなげるための糊剤として機能する。
【0035】
また、外殻層2は各サンプルごとに材料を変え、または材料の混合比を変えて形成した。比較例1では、外殻層2をSAP(高吸水性ポリマー)で形成し、その重量比はコアの重量を100としたとき31とした。また、比較例2および3では外殻層2をSAPとパルプの混合物で形成し、コアの重量を100としたときに、比較例2ではSAPの重量を31、パルプの重量を13とし、比較例3の外殻層2ではSAPの重量を66、パルプの重量を41の比で混合した。また、比較例4では、外殻層2としてSAPとパルプとスターチを同量づつ混合して形成し、その重量比はコアの重量を100としたときにそれぞれ30とした。
【0036】
また、本発明の実施例1ないし実施例3の外殻層2はSAPのみで形成し、その重量比は、コア1の重量を100としたときSAPを60とした。本発明の実施例4の外殻層2もSAPのみから成り、その重量比はコアの重量を100としたときにSAPを44とした。実施例5の外殻層2は、コアの重量100に対し、SAPが20、スターチが40の重量比で混合された混合物とした。実施例6では、SAPとスターチと粘着材および接着剤としてのベントナイトを、30,15,15の重量比で混合した混合物により外殻層2を形成した。
【0037】
また、実施例1ないし6では、外殻層2の表面にブロッキング防止材3としてパルプまたはカオリンを付着させた。実施例1と2では、ブロッキング防止材3としてパルプが使用されており、その重量比はコアの重量を100としたときそれぞれ2または7である。実施例4では外殻層2の表面にカオリンを付着させており、その重量比はコア100に対して7とした。また、実施例5および6ではコアの重量100に対して重量4のパルプを付着させた。
【0038】
また、実施例3は、実施例1および2と比較すると、ブロッキング防止材3としてのパルプの量を多くしており、重量比はコア1の100に対してパルプを14とした。
上記各比較例1ないし4および実施例1ないし6に対して、各種測定を行なった。その結果を表2に示している。
【0039】
前記比較例1ないし4および実施例1ないし6のそれぞれの排泄物処理材の粒子の嵩比重、粒径d、粒長L、1粒当たりの重量、またブロッキング防止材の重量を測定した。また、ブロッキング防止材の重量と粒子の表面積から、粒子の表面におけるブロッキング防止材の目付を算出した。これらの測定は、1リットルの容器に入れた比較例または実施例の排泄物処理材の全重量を測定し、また個々の排泄物処理材の重量を測定しその平均値から1粒あたりの重量を求め、前記全重量と1粒当りの重量とから1リットル内の処理材の個数を求めることにより行った。そして、1粒当りの寸法と個数とから、1リットルの容器内の排泄物処理材の全表面積を求めた。また1リットルの排泄物処理材に使用したブロッキング防止材3(パルプまたはカオリン)の総重量と、前記全表面積とからブロッキング防止材3の粒子表面積に対する目付を換算した。また、前述のように1リットルの容器内の排泄物処理材の全重量を1リットルで割った値を嵩比重とした。
【0040】
また、表2に示すように、前記比較例1ないし4および実施例1ないし6に対するさらに他の比較対照例としてゼオライトとベントナイトで粒子を形成し、これについても同様の測定を行った。
そして、上記各比較例1ないし4、実施例1ないし6、および比較対照例のそれぞれの粒子に対し、以下の検査を行った。
【0041】
(猫の爪に入るか否かの検査)
表2に記載されている粒子の径に基づいて、その粒子が猫の爪に入るか否かを評価した。粒子の径および長さのうちの最小寸法値が4mm以上であれば猫の爪に粒子が入らないことが確認された。表2では爪に入らないものを「○」で表し、爪に入ったものを「×」で表して評価した。
【0042】
(吸湿ブロッキングの検査)
(1)各比較例と各実施例、およびゼオライトとベントナイトの比較対照例をそれぞれ直径10cmのシャーレに擦り切り一杯入れる。
(2)気温25℃、相対湿度75%にて1週間放置する。
(3)処理材の粒子のブロッキングの状態を、目視および触感にて確認した。表2では、粒子全体がシャーレ形状になりブロッキングしている状態、または粒子どうしが結合して塊を形成している状態を「×」とし、粒子どうしが接着していない状態または粒子どうしが弱い力で粘着しており手で触るとぼろぼろと崩れる程度の状態をブロッキングしていないものとし「○」で表した。
【0043】
(固まり強度の検査)
(1)各比較例と各実施例、および比較対照例としてのゼオライトおよびベントナイトで形成された粒子(以下処理材と呼ぶ)をプラスチックトレーに10mmの厚さに敷く。
(2)前記プラスチックトレーの中心に人工尿50ccを処理材の表面から高さ30mmの位置より尿速10cc/sで滴下し、その後6時間静置する。
(3)人工尿により固まった部分を取り出し、開口寸法が40mmφの穴の開いた塩化ビニール製の箱の前記穴の上に載せる。
(4)デジタルフォースケージの先端に直径16mmの加圧板を取付け、前記の箱の上に置かれた固まりに向かって72cm/minの速さでデジタルフォースケージを下降させて、塊の人工尿滴下位置を加圧する。
(5)加圧板が人工尿吸収部を突き抜けるまで加圧し、突き抜けたときの最大圧力(単位gf)を測定した。最大圧力が大きいほど固まり強度が大きい。表2ではこの最大圧力が400gf以上のものを「○」で表し、最大圧力が400gf未満のものを「△」、固まらなかったものを「×」で表した。
【0044】
以上の測定結果および検査結果を以下の表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
表2に示されている測定結果及び検査結果について、各例ごとに説明する。
(ゼオライト)
表2に示されているように、ゼオライトで形成された粒子の嵩比重は0.8g/cm3であり、非常に重いものになる。また、粒径を2ないし5mmの大きさに形成でき、猫の爪の間には入りにくいことが確認できた。ただし、ゼオライトは吸水して粘性を帯びる性質を持たないため、吸湿ブロッキング検査ではブロッキングしないが、人工尿を用いた検査でも全く固まらなかった。
【0047】
(ベントナイト)
ベントナイトで形成された粒子の径は2mm程度であり、しかも嵩比重が1.0g/cm3以上と本発明で設定された値の2倍である。したがって、猫の爪の間に入り込みやすく、しかも比重が重くて取扱いにくいものであることが確認できた。また、人工尿により固まり、その固まり強度も607gfと大きいが、気温25℃、相対湿度75%の環境下では、尿が滴下されなくても空気中の水分を吸湿してブロッキングする。ブロッキング状態では粒子がシャーレ形状に固まってしまい、容易に崩すことができないことが確認できた。
【0048】
(比較例1)
コア1がパルプと木屑とスターチの混合物により形成されているため、嵩比重が0.268g/cm3と軽く、粒径も6mm以上と大きく形成できる。よって猫の爪の間に入りにくい。しかし、外殻層2の表面にブロッキング防止材が設けられていないため、吸湿ブロッキング検査で示されたように、高湿度下に置かれると外殻層が空気中の湿気を吸って粘性を帯び、ブロッキングしてしまう。また、固まり強度の検査では、人工尿により塊を形成することが確認されたが、この塊の固まり強度は215gfと余り大きくなく崩れ易いことが確認できた。すなわち、外殻層としてSAPを使用しているが、このSAPの重量比が31と比較的少ないために、人工尿による固まりが不十分であり、処理材を部分的に廃棄しようとしたときに、崩れやすく取扱上不便である。しかも、SAPの量が少ないのにもかかわらず、ブロッキング防止材が用いられていないために高温多湿時にブロッキングを起こしやすく、商品として好ましくないことが確認できた。
【0049】
(比較例2)
比較例2も比較例1と同様に嵩比重が0.243g/cm3と軽く、また粒径が6.5mm、粒長を13.3mmと大きくでき、猫の爪に挟まりにくい。しかし比較例2では、外殻層のSAPの量が重量比で31と少なく、さらに外殻層に粘着材として機能していないパルプが重量比で13だけ含まれているため、尿による固まりの強度が175gfときわめて弱くなり、排尿後に塊を持ち上げたときに崩れやすくなり取り扱いにくいものとなる。また尿による固まり強度が弱いのにもかかわらず、高温多湿環境下ではブロッキングを生じてしまい、使用に適さないことが確認できた。
【0050】
(比較例3)
比較例3は、比較例2よりも外殻層のSAPの量を多くしているが、これに伴いパルプの含有量も多くしている。外殻層にパルプを多く含むために、高温多湿時でのブロッキングが生じなくなるが、外殻層に含まれるパルプの量が多すぎるために、人工尿が滴下されたときの固まり強度が225gfと弱いものになり、排尿後に処理材を固めて捨てようとしたときに崩れやすくなり、固めて捨てる排泄物処理材としてはきわめて品質の劣るものとなることが確認できた。
【0051】
(比較例4)
比較例4の外殻層は、外殻層にSAPと共にパルプとスターチを含めたものである。粘着材として機能するものが重量部30のSAPと重量部30のスターチであり、粘着材そのものが多くなっている。しかし外殻層にパルプが30重量部含まれているために、外殻層の粘着性が低下し、高温多湿の環境下でブロッキングを起こしにくい反面、人工尿による固まり強度が125gfと非常に弱いものとなり、塊が崩れやすく、固めて捨てる排泄物処理材としては不適である。
【0052】
(実施例1)
本発明の実施例1では、嵩比重が0.314g/cm3、粒径は6.0mm、粒長が12.3mmと大きくなっているため、重量が軽く、また猫の爪に挟まれにくいものとなる。また、表2に示されているように、実施例1は吸湿によるブロッキングが発生せず、しかも人工尿により形成される塊の固まり強度が大きくなる。これは、外殻層2に重量比で60程度の多くのSAPが含まれているため、外殻層2自体は水分を吸収して粘着性を呈しやすくなっている。しかし、外殻層2の表面にはブロッキング防止材3としてパルプが2重量部だけ付着しているため、高温多湿の環境下で、外殻層が水分を吸収して粘着性を帯びても、外殻層どうしの粘着をブロッキング防止材としてのパルプが阻止することになり、その結果、ブロッキングが発生しなくなる。また外殻層の表面に付着しているパルプは2重量部程度であるため、固まり強度試験で50ccの人工尿が供給されると外殻層からパルプが簡単に流れ、外殻層どうしの粘着を妨げなくなり、塊を形成できるようになる。しかも、外殻層は60重量部のSAPを含んでいるために粘着性が高く、よって塊の固まり強度は760gfと非常に高い値になり、尿により固まった部分を捨てやすくなり、取り扱いが容易になることが確認できる。
【0053】
(実施例2)
実施例2は実施例1と同様、外殻層は60重量部のSAPのみで形成され、この外殻層の表面にはパルプがコーティングされている。ただしブロッキング防止材としてのパルプの量が、実施例1の3.5倍の7重量部となっている。このように外殻層の表面のパルプの量が多いために、実施例1よりもさらに高温多湿環境下でのブロッキングが生じにくくなる。しかし、実施例1に比べて人工尿による固まり強度は低下し447gfとなる。これは50ccの人工尿により、外殻層の表面のパルプが完全に流れずに若干残り、よって外殻層どうしの粘着を少し邪魔するようになるからである。しかしながら、固まり強度は比較例に比べて十分に高くなり、固めて捨てる排泄物処理材として十分な効果を発揮できる。
【0054】
(実施例3)
前記の実施例1および2と同様に外殻層に重量部60にて含んでいるが、外殻層の表面に実施例2の2倍となる14重量部のパルプが付着している。したがって、高温多湿環境下でのブロッキングは防止できるが、50ccの人工尿が滴下されたときに、外殻層の表面のパルプが完全に流れず、よって水分を含んで粘着性を呈した外殻層どうしの粘着をパルプが阻害し、よって尿による固まり強度が低下する。この固まり強度は205gfであり比較例1程度である。
すなわち、外殻層の表面にブロッキング防止材として付着するパルプの量は、コア1の重量100に対して2ないし7が好ましく、これを換算した目付が8.8ないし33.2g/m2の範囲であると、ブロッキング防止材を用いたときの効果が高いことが確認できた。
【0055】
(実施例4)
実施例4は、ブロッキング防止材3としてカオリンを使用したものである。また外殻層はSAPにより構成されその量は44重量部である。また、カオリンが7重量部である。この構造では高温多湿時の吸湿ブロッキングを防止でき、しかも20ccの人工尿により形成された塊の固まり強度は、1248gfときわめて大きくなる。この実施例4では外殻層のSAPの量が実施例2よりも少なく、またカオリンの重量が実施例2のパルプと同じであるが、人工尿による固まり強度は実施例2よりも高い値となっている。したがって、ブロッキング防止材としてパルプよりもカオリンの方が尿により外殻層の表面から流れやすく、外殻層どうしの粘着が起りやすいことが確認できる。
【0056】
(実施例5および6)
実施例5では外殻層2において水分を吸収したときに粘着材として作用するものとしてSAPとスターチが合計で60重量部用いられている。また実施例6では外殻層2において同じく粘着材として機能するものがSAPとスターチとベントナイトで合計60重量部含まれている。また、それぞれにブロッキング防止材としてパルプが4重量部付着している。この実施例5と6では、外殻層としてスターチまたはスターチとベントナイトを含むことにより外殻層が尿を吸収したときの粘着性が高くなり、固まり強度が1077gfまたは1130gfと非常に高い値になることが確認できた。しかもブロッキング防止材としてパルプが4重量部付着しているだけで、高温多湿環境下において、ブロッキングの発生を防止できることが確認できた。この実施例5と6とから、外殻層にはSAPのみならず、スターチおよび/またはベントナイトを含むことが、尿による塊を形成しやすくなる点で好ましいことが解る。
【0057】
(まとめ)
以上述べたように、コアをパルプや木屑で形成すると、比重を小さくできる。したがって、猫などの爪に挟まりにくい4mm以上の大きさにしても、個々の排泄物処理材の重量が軽く、表面の外殻層どうしが粘着したときに、個々の処理材の粒子の重量により塊が崩れることがなくなる。
また比較例1のように、外殻層のSAPの量が少ないと、尿を吸収したときの外殻層の粘着性が十分高くならず、尿による塊の固まり強度が低くなる。また比較例2ないし4に示すように、外殻層にSAPなどと共にパルプが含まれると、外殻層の粘着性が低下し、その結果尿による塊の強度が低下する。
【0058】
一方本発明の実施例1ないし6では、コアの重量100に対して44ないし60のSAPまたはSAPとスターチまたはSAPとスターチとベントナイトで外殻層を形成し、尿による固まり強度を高くしても、外殻層の表面にブロッキング防止材を付着させることにより、高温多湿時でのブロッキングの発生を防止できる。ただし、実施例3のようにブロッキング防止材を余り多くしすぎると、尿による固まり強度が低下する。
【0059】
したがって、外殻層が、粘着材として機能するSAP、スターチ、ベントナイトのいずれか1種または2種以上で形成され、この粘着材の重量がコアの重量100に対して40ないし65、または44以上で60以下の場合に、ブロッキング防止材であるパルプまたはカオリンあるいはその混合体の重量が、2ないし7重量部あるいは約1.7ないし9.0重量部程度が好ましい。またこのブロッキング防止材の目付は、8g/m2以上、40g/m2以下または8.8g/m2以上で33.2g/m2以上であることが望ましい。
【0060】
なお、上記実施例では、コアとしてパルプと木屑がスターチにより粘着されたものを使用したが、コアがパルプとスターチのみにより構成されていてもよい。ただし、外殻層において粘着性を呈する材料としてSAPを使用した場合、尿をSAPにて十分に吸収することができるため、コアは必ずしも吸水性の高い材料で形成する必要はなく、全体の比重を低下できるものであれば、パルプや木屑以外の、低密度ポリマーや、発泡樹脂、またはコーヒかすなどで構成しても同様の効果を奏することができる。
ただし、コアをパルプや木屑で形成すると、可燃ごみとして処理でき、また木屑を入れることにより、パルプのみのものよりも比重を低下させることができる。
【0061】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、動物などの排泄物処理材の粒子を、パルプや木屑などで形成した中心部(コア)と、このコアを覆う高級水性ポリマーやベントナイトやスターチなどの粘性物質で形成された外殻層と、外殻層の表面に付着したパルプなどのセルロース繊維やカオリンなどのブロッキング防止材の3層構造とすることにより、粒子の径を大きくでき、また比重を軽くでき、空気中の湿気によっては固まらず、排泄物によってのみ塊を形成する処理材を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における排泄物処理材の粒子の外観図、
【図2】図1の粒子のII−II線での断面図、
【図3】排泄物処理材の粒子表面の拡大図、
【符号の説明】
1 コア
2 外殻層
3 ブロッキング防止材
Claims (5)
- コアと、コアの表面を覆う外殻層とを有し、前記外殻層は水分を吸収すると粘着性を呈する材料により形成され、且つこの外殻層の表面には、外殻層どうしの粘着を防止し且つ尿によって外殻層の表面から流れる繊維状または粉状のブロッキング防止材が付着していることを特徴とする排泄物処理材。
- 嵩比重が0.5g/cm3以下である請求項1記載の排泄物処理材。
- コアは、パルプおよび木屑を主体として造粒されている請求項2記載の排泄物処理材。
- 外殻層の表面に対するブロッキング防止材の目付が、8g/m2以上で40g/m2以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の排泄物処理材。
- 外殻層の外径寸法または長さが4mm以上である請求項1ないし4のいずれかに記載の排泄物処理材。
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