JP3649382B2 - 浮上ろ材を用いたろ過装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、浮上ろ材を用いた大型のろ過装置に関し、特に、円筒状のろ過槽を横設して、製缶などで製作が可能とした大型のろ過機の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、浮上ろ材や比重の大きい粒状ろ材を用いた大型ろ過機は、コンクリート製で現地工事により製作されていた。また、製缶による大型ろ過機としては、横設した円筒状のろ過槽に浮上ろ材を収納し、ろ過槽の頂部に集水ノズルと、底部に原液の供給管をそれぞれ対向させて数個設け、さらに、円周方向に旋回流を起させる洗浄水の噴射管を設けた装置は、例えば、この発明の出願人が、実公平8−10353号公報において提案しているように公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来装置は、円筒状のろ過槽を横置きすることにより製缶で大型のろ過槽の製作が可能となり、上下方向の円筒内周面に沿って水流を供給することにより、水流を旋回させてろ材層の洗浄が可能となる利点があるが、集水が数ヶ所の小さい開口面積の集水ノズルに集中して、ろ材層の微細粒子の捕捉が均一化しない恐れがあった。そして、ろ材が軽量であるために固化したろ材が目詰まり物と一緒に供回りして完全に洗浄することが困難であった。この発明は、製缶によるろ過槽の大型化を実現して、原水の大容量処理を可能とし、汚染した浮上ろ材をろ過槽の上下方向の円筒内周面に沿って流動させて、大動力を必要としないろ材洗浄装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明の要旨は、横設した円筒状のろ過槽に浮上ろ材を充填し、原水をろ過槽の底部から供給して、ろ材層で分離したろ液をろ過槽の頂部から抜出すろ過装置において、上記ろ過槽の内部に、多数の小孔を有するろ材流出防止板と集水板を水平状に張設し、ろ材流出防止板の下方に原水室と、集水板の上方に集水室を配設し、ろ材流出防止板と集水板の間をろ過室とすると共に、このろ過室に浮上ろ材を収納してろ材層を形成させ、ろ過室下部の一方の槽壁近傍に散気管と、ろ材層中に撹拌羽根を配設したものである。ろ過槽に使用する浮上ろ材は、比重が0.7〜1.0で3〜50mm角の複合繊維を融着した繊維ろ材とすれば、空隙が確保され長時間の運転が可能となり、単位ろ材が大きいので流失の恐れもないものである。また、比重も水に近いので、洗浄再生が容易となるものである。なお、上記浮上ろ材は、浮上ろ材が、比重が0.7〜1.0で直径が0.5〜2.0mmφの球形の浮上ろ材としても、ろ材層の洗浄再生が容易となるものである。そして、集水板の下方近傍に配設した撹拌シャフトに撹拌羽根を止着して、撹拌シャフトの一端をろ過槽の側壁を貫通して撹拌モーターに連結したものである。この撹拌羽根は、集水板の下面に密着する浮上ろ材を撹拌するためのものであり、大動力を必要としないものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
この発明に係る装置は上記のように構成してあり、ろ過槽の原水室に供給した原液は、ろ材流失防止板の多数の小孔からろ過室全面に渡って流入し、ろ過層を形成する浮上ろ材の間を上昇して、原水中に含まれる微細粒子をろ過層で捕捉させ、分離したろ液をろ過槽の集水板の多数の小孔からろ過槽頂部の全面の集水室に均一に分散させて流入させる。そして、ろ材層が目詰まりした時には、原水の流入を停止して、ろ過室下部の一方の槽壁近傍の散気管から圧縮空気を供給し、ろ過室内の汚水を円筒槽の内周壁に沿って上昇させ、反対側の内周壁に沿って降下させる。同時に撹拌羽根を回転して、浮力により集水板に密着するろ材を分離させ、浮上ろ材を循環流動させてろ材層を分散させ、ろ材層に捕捉された微細粒子を取除くものである。次に、引続き散気管からエヤー洗浄と撹拌羽根で機械撹拌を行ないながら、原液をろ過室に供給すれば、ろ材層から分離された微細粒子がろ液室から洗浄排水とともに集水室に排出されてろ過槽外に抜き出すことができる。そして、所定時間後にエアー洗浄と機械撹拌を停止すれば、ろ過操作を開始して、再生されたろ材層から清澄なろ液を取出すことができる。
【0006】
【実施例】
この発明に係る浮上ろ材を用いたろ過装置について、図面に基づき詳述すると、先ず図1及び図2において、符号1は横設した円筒状のろ過槽であって、多数の小孔を有するろ材流出防止板2をろ過槽1の下部全面に張設してろ過槽1を区画してあり、ろ材流出防止板2と円弧状のろ過槽1の底部の間に細長い原水室3が形成してある。そして、原水ポンプPに流入弁V1を介して原水供給管4が連結してあり、図2に示すように、原水供給管4からろ過槽1の原水室3に原液を圧入するようにしてある。このろ材流出防止板2の全体に設けた多数の小孔2a…から原水を流入させるようにしてある。横設したろ過槽1の上部全面にも多数の小孔5a…を有する集水板5を張設してろ過槽1を区画してあり、集水板5と円弧状のろ過槽1の頂部の間に細長い集水室6が形成してある。この集水板5の全体に設けた多数の小孔5a…から集水室6に集水させるようにしてある。
【0007】
ろ過槽1の全面に張設したろ材流出防止板2と集水板5との間に、両側壁が円弧状となる長いろ過室7が形成してあり、ろ過室7に収納した浮上ろ材8が集水板5の下部にろ材層9を形成するようにしてある。ろ材流出防止板2の小孔2aからろ過室7に多数の並行流で上昇する原液は、原水中に含まれる微細粒子をろ材層9に捕捉させ、分離されたろ液を多数の並行流として集水室6に移送するようにしてある。ろ過室7のろ材層9の下方には、ろ過槽1の片側の槽壁に沿って、水平状にエアー洗浄用の散気管10が2本配設してある。そして、ろ材層9が目詰まりした時に、ろ過槽1の円弧状の側壁内周面に沿って圧縮空気を噴射して、気泡と一緒にろ過室7内の汚水を上昇させ、ろ材層9の浮上ろ材8を撹拌するようにしてある。上昇した気泡を集水板5の多数の小孔5a…を通過させ、集水室6からろ過槽1外部へ排出するようにしてある。圧縮空気の気泡とともに横設した円筒槽の内周壁に沿って上昇させた汚水は反対側の内周壁に沿って降下する。同時に浮上ろ材8を循環流動させてろ材層9に捕捉された微細粒子を分離させるようにしてある。
【0008】
また、集水板5の下方近傍のろ材層9中には、散気管10と並行に撹拌シャフト11が配設してあり、撹拌シャフト11に複数の撹拌羽根12…が止着してある。撹拌シャフト11の一端をろ過槽1の側壁を貫通して撹拌モーター13に連結してあり、浮上ろ材8のエアー洗浄時に撹拌羽根12を回転させて、浮上ろ材8がその浮力と水流により集水板5に付着するのを防止するもので、大動力を必要としないものである。ろ過槽1の頂部の集水室6には複数の集水管14…が連結してあり、その他端が処理水管15に連結してある。そして、集水室6に貯留したろ液を集水管14から処理水管15に排出させるようにしてある。分岐させた排水管16が排水弁V2を介して連結してあり、ろ材層9の目詰まり時に、処理水管15の後方の処理水弁V3を閉、排水弁V2を開として、洗浄排水を排水管16から排出するようにしてある。
【0009】
浮上ろ材8は空隙率の大きい繊維ろ材17が特にろ材として適するものであり、ろ過室7に比重が0.7〜1.0で3〜50mm角の複合繊維を融着したろ材を使用することが好ましい。この繊維ろ材17は、図3に示すように、合成樹脂性の繊度が18〜65デニールである第一フィラメント17aと、繊度が3〜10デニールである第二フィラメント17bと、繊度が1.5〜6デニールである第三フィラメント17cとを混綿したウエッブを熱融着したろ材であり、その空隙率は概略95%となっている。この繊維ろ材17をろ過室7に収納してろ材層9が形成してあり、ろ過運転時にろ材が目詰りしてきてもそのろ過圧力の上昇に対抗して細いフイラメントで形成される空隙を太いフイラメントが確保し、この作用も合せて長時間の運転を可能とするものである。また、目詰まりして洗浄するに当たっても、あるいは、ろ材層を形成した場合でも、その空隙が均一であり、細くした微細粒子の分離、即ち、洗浄再生を容易とするものである。また、単位ろ材片がアンスラサイト等の粒状ろ材と比較して格段に大きいのでろ過槽1からの流失の恐れもなく、洗浄再生を容易とするものである。
【0010】
また、ろ材として粒状の浮上ろ材8でも使用が可能であり、比重が0.7〜1.0で粒径が0.5〜2.0mmφの合成樹脂で構成した粒状の発泡ろ材を使用すれば、空隙率は少なくなるが、ろ過室7に流入する原水のゆるやかな上昇流でろ材層9が形成されるものである。また、ろ材層9を形成した粒状の浮上ろ材8はエアーによる撹拌洗浄により容易に拡散され、捕捉された微細粒子をろ材層9から分離できるものである。また、ろ過室7に収納する浮上ろ材8や繊維ろ材17は、比重が0.7以下となると撹拌洗浄時にその浮力と水流で集水板5にろ材が密着してろ材層9の洗浄が困難となるものである。また、ろ材の比重が1.0以上になると、ろ材層9が形成されにくく、原液中の微細粒子の捕捉が困難となるものである。なお、符号18はろ過室7の点検窓、符号19はろ過槽1の支持架台である。
【0011】
【発明の効果】
以上のように、この発明に係る浮上ろ材を用いたろ過装置は、円筒状のろ過槽を横設して、多数の小孔を有するろ材流出防止板と集水板でろ過槽を水平状に区画したので、製缶によるろ過槽の大型化を実現したものである。即ち、従来の浮上ろ材を用いた大型のろ過装置にあっては、数ヶ所の集水ノズルに集水が集中してろ材層の微細粒子の捕捉が均一化せず、固化した軽量のろ材が目詰まり物と供回りして大型化が不可能であったものであるが、この発明にあっては、原液をろ材流出防止板の多数の小孔からろ過室に流入させ、ろ液を集水板の多数の小孔から取出すので、多数の並行流として上昇する原液をろ材層で均質に処理できるものである。そして、ろ過室下部に散気管とろ材層中に撹拌羽根を配設し、微細粒子を捕捉したろ材層を円弧状の側壁内周面に沿って流動させるので、浮上ろ材の分散が容易となり、ろ材層の拡散に大動力を必要としない装置となるものである。また、浮上ろ材を繊維ろ材とすれば、空隙を確保して長時間の運転が可能となり、単位ろ材が大きくて流失の恐れもなく、比重も水に近いので洗浄再生が容易となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る浮上ろ材を用いたろ過装置の縦断側面図である。
【図2】図1のA−A線に沿って見たろ過装置の縦断正面図である。
【図3】この発明のろ過槽に用いる繊維ろ材の単位片を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ろ過槽
2 ろ材流出防止板
2a 小孔
3 原水室
5 集水板
5a 小孔
6 集水室
7 ろ過室
8 浮上ろ材
9 ろ材層
10 散気管
11 撹拌シャフト
12 撹拌羽根
13 撹拌モーター
17 繊維ろ材
Claims (4)
- 横設した円筒状のろ過槽(1)に浮上ろ材(8)を充填し、原水をろ過槽(1)の底部から供給して、ろ材層(9)で分離したろ液をろ過槽(1)の頂部から取出すろ過装置において、上記ろ過槽(1)の内部に、多数の小孔(2a…、5a…)を有するろ材流出防止板(2)と集水板(5)を水平状に張設し、ろ材流出防止板(2)の下方に原水室(3)と、集水板(5)の上方に集水室(6)を配設し、ろ材流出防止板(2)と集水板(5)の間をろ過室(7)とすると共に、このろ過室(7)に浮上ろ材(8)を収納してろ材層(9)を形成させ、ろ過室(7)下部の一方の槽壁近傍に散気管(10)と、ろ材層(9)中に撹拌羽根(12)を配設したことを特徴とする浮上ろ材を用いたろ過装置。
- 上記浮上ろ材が、比重が0.7〜1.0で3〜50mm角の複合繊維を融着した繊維ろ材(17)であることを特徴とする請求項1記載の浮上ろ材を用いたろ過装置。
- 上記浮上ろ材が、比重が0.7〜1.0で直径が0.5〜2.0mmφの球形の浮上ろ材(8)であることを特徴とする請求項1記載の浮上ろ材を用いたろ過装置。
- 上記集水板(5)の下方近傍に配設した撹拌シャフト(11)に撹拌羽根(12…)を止着して、撹拌シャフト(11)の一端をろ過槽(1)の側壁を貫通して撹拌モーター(13)に連結したことを特徴とする請求項1乃至3記載の浮上ろ材を用いたろ過装置。
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