JP3648720B2 - ハイブリッド車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンとモータとを併用するハイブリッド車に関し、より詳しくは比較的低出力の2つのモータを用いて駆動力の確保と動力エネルギーの回収効率を向上するハイブリッド車に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車等の車両においては、低公害、省資源の観点からエンジンとモータとを併用するハイブリッド車が開発されており、このハイブリッド車では、発電用と動力源用との2つのモータを搭載することで動力エネルギーの回収効率向上と走行性能の確保とを図る技術が多く採用されている。
【0003】
例えば、特開平9−46821号公報には、ディファレンシャルギヤ等の差動分配機構による動力分配機構を用いてエンジンの動力を発電機とモータ(駆動用モータ)とに分配し、エンジンの動力の一部で発電しながらモータを駆動して走行するハイブリッド車が開示されており、また、特開平9−100853号公報には、プラネタリギヤによってエンジンの動力を発電機とモータ(駆動用モータ)とに分配するハイブリッド車が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した各先行技術においては、低速時の駆動力の大半を駆動用モータに依存するため、駆動用に大容量の大型のモータが必要となるばかりでなく、駆動輪で必要とするトルクに対する増幅機能を電力に依存するため、バッテリー容量が十分でない場合にも一定の走行性能を維持することのできる発電容量をもった発電機が要求されることになり、コスト増の要因となる。
【0005】
また、車両においてはモータ(発電機)の回転制御範囲を超えるような出力軸回転数の変化があるため、エンジン出力を発電機と駆動用モータとに分配するだけでは、駆動輪からの要求駆動力に対し、必ずしもエンジン及びモータの制御を十分に最適化できるとは限らない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、比較的低出力の2つのモータを用いて駆動力の確保と動力エネルギーの回収効率向上を達成するとともに、駆動輪からの要求駆動力に対してエンジン及びモータ制御の最適化を実現することのできるハイブリッド車を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、エンジンの出力とモータの出力とを併用して走行駆動源とするハイブリッド車において、サンギヤと、このサンギヤに噛合するピニオンを回転自在に支持するキャリアと、上記ピニオンに噛合するリングギヤとを有するプラネタリギヤと、上記エンジンの出力軸と上記プラネタリギヤのサンギヤとの間に連結され、駆動源あるいは発電機として切換え使用可能な第1のモータと、上記プラネタリギヤのリングギヤに連結され、駆動源あるいは発電機として切換え使用可能な第2のモータと、上記プラネタリギヤのキャリアに連結され、複数段あるいは無段階に切り換え可能なギヤ比に応じて上記プラネタリギヤと駆動輪との間で変速及びトルク増幅を行なう動力変換機構とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記動力変換機構を、入力軸に軸支されるプライマリプーリと出力軸に軸支されるセカンダリプーリとの間に駆動ベルトを巻装してなるベルト式無段変速機とすることを特徴とする。すなわち、請求項1記載の発明では、エンジンの出力軸とプラネタリギヤのサンギヤとの間に第1のモータを連結するとともに、プラネタリギヤのリングギヤに第2のモータを連結し、プラネタリギヤのキャリアに複数段あるいは無段階にギヤ比を切り換え可能な動力変換機構を連結してプラネタリギヤと駆動輪との間で変速及びトルク増幅を行なう。
【0009】
第1,第2のモータは、走行条件により、同時に駆動源あるいは発電機として、または、一方を駆動源、他方を発電機として使用することができる。
【0010】
例えば、エンジン及び第1のモータのいずれか一方あるいは両方からプラネタリギヤのサンギヤに駆動力を供給し、第2のモータからプラネタリギヤのリングギヤに駆動力を供給する場合、プラネタリギヤで各駆動力が合成されてキャリアから出力され、動力変換機構を介して駆動輪に伝達される。
【0011】
また、減速時や制動時等には、駆動輪側から動力変換機構を介してプラネタリギヤのキャリアに返還される駆動力が、サンギヤに連結される第1のモータ及びエンジン側と、リングギヤに連結される第2のモータ側とに分配され、第1,第2のモータを発電機として動力エネルギーを回収する、あるいは、第2のモータを発電機とし、第1のモータに電力を供給してエンジン及び第1のモータで駆動力を発生させることができる。
【0012】
この場合、請求項2に記載したように、動力変換機構としては、入力軸に軸支されるプライマリプーリと出力軸に軸支されるセカンダリプーリとの間に駆動ベルトを巻装してなるベルト式無段変速機を用い、ギヤ比を無段階に切り換えて変速及びトルク増幅を行なうことが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図6は本発明の実施の一形態に係わり、図1は駆動系の基本構成を示す説明図、図2はエンジン及び第1,第2のモータによって走行する場合のトルク及び電気の流れを示す説明図、図3は第1のモータを発電機として使用する場合のトルク及び電気の流れを示す説明図、図4は第1,第2のモータを発電機として使用する場合のトルク及び電気の流れを示す説明図、図5は第2のモータを発電機として使用し、第1のモータで駆動力を発生させる場合のトルク及び電気の流れを示す説明図、図6は車両後退時のトルク及び電気の流れを示す説明図である。
【0014】
本発明によるハイブリッド車は、エンジンとモータとを併用するパラレルハイブリッド式の車両であり、図1に示すように、エンジン1と、エンジン1の起動及び発電・動力アシストを担う第1のモータ2(以下、単にモータ2と呼称)と、エンジン1の出力軸1aにモータ2を介して連結されるプラネタリギヤユニット3と、このプラネタリギヤユニット3の機能を制御し、発進・後進時の駆動力源になるとともに減速エネルギーの回収を担う第2のモータ4(以下、単にモータ4と呼称)と、変速及びトルク増幅を行なって走行時の動力変換機能を担う動力変換機構5とを基本構成とする駆動系を備えている。
【0015】
上記プラネタリギヤユニット3は、サンギヤ3a、このサンギヤ3aに噛合するピニオンを回転自在に支持するキャリア3b、ピニオンと噛合するリングギヤ3cを有するシングルピニオン式のプラネタリギヤである。また、上記動力変換機構5としては、歯車列を組み合わせた変速機や流体トルクコンバータを用いた変速機等を用いることが可能であるが、入力軸5aに軸支されるプライマリプーリ5bと出力軸5cに軸支されるセカンダリプーリ5dとの間に駆動ベルト5eを巻装してなるベルト式無段変速機(CVT)を採用することが望ましく、本形態においては、以下、上記動力変換機構5をCVT5として説明する。
【0016】
すなわち、本形態におけるハイブリッド車の駆動系では、エンジン1の出力軸1aとCVT5の入力軸5aとの間にプラネタリギヤユニット3が配置されており、このプラネタリギヤユニット3のサンギヤ3aがエンジン1の出力軸1aに一方のモータ2を介して結合されるとともに、キャリア3bがCVT5の入力軸5aに結合され、リングギヤ3cに他方のモータ4が連結されている。そして、CVT5の出力軸5cに減速歯車列6を介してデファレンシャル機構7が連設され、このデファレンシャル機構7に駆動軸8を介して前輪或いは後輪の駆動輪9が連設される。
【0017】
また、上記エンジン1、2つのモータ2,4、CVT5は、監視・制御システム10によって集中制御される。この監視・制御システム10には、アクセルペダルやブレーキペダルの踏み込み操作、ステアリングの操舵角等を検出してドライバの運転操作状況を判定するドライバ意志判定システム11、ブレーキ操作状態、エンジン1やABS(アンチスキッドブレーキシステム)等に対する各種制御量、灯火類やエアコン等の補機類の作動状態等から車両の制御状況を判定する車両制御状況判定システム12、車速、登坂や降坂、路面状態等の現在の車両の走行状態の変化を判定する走行状況判定システム13等が接続され、エンジン1、2つのモータ2,4、CVT5の作動状態やバッテリ14の状態を監視し、各システムからの情報に基づいて、エンジン1の制御、インバータ15,16を介してのモータ2,4の駆動及びバッテリの充電制御、CVT5の変速比や供給油圧の制御等を行う。
【0018】
以上の構成による駆動系では、前述したように、エンジン1及びモータ2をプラネタリギヤユニット3のサンギヤ3aへ結合するとともにリングギヤ3cにモータ4を結合してキャリア3bから出力を得るようにし、さらに、キャリア3bからの出力をCVT5によって変速及びトルク増幅して駆動輪9に伝達するようにしているため、2つのモータ2,4は発電と駆動力供給との両方に使用することができ、比較的小出力のモータを使用することができる。
【0019】
すなわち、サンギヤ3aがエンジン1及びモータ2のいずれか一方あるいは両方から駆動される場合、例えば、図2に示すように、エンジン1とモータ2とによってサンギヤ3aを駆動する場合について考えると、バッテリ14からインバータ15,16を介して電気エネルギーがモータ2,4に供給され、モータ2で駆動力に変換されてエンジン1からの駆動力と合算されてサンギヤ3aへの入力トルクTsとなり、モータ4で駆動力に変換されてリングギヤ3cへの入力トルクTrとなるわけであるが、プラネタリギヤの入出力特性から、サンギヤ3aへの入力トルクTs、リングギヤ3cへの入力トルクTr、キャリア3bの出力トルクTcは、以下の(1)式で示すような関係となる。
Tc=Ts+Tr …(1)
【0020】
従って、プラネタリギヤユニット3でサンギヤ3aへの入力トルクTsとリングギヤ3cへの入力トルクTrとが合成されてキャリア3bから出力され、エンジン1、モータ2,4のそれぞれの出力トルクが小さい場合であってもキャリア3bから大きなトルクを得ることができ、CVT5を介して駆動輪9に伝達されて大きな車両駆動力を得ることができる。尚、図2及び以下に説明する図3〜図6において、二点鎖線は電気の流れを模式的に示し、一点鎖線はトルク伝達の流れを模式的に示す。
【0021】
この場合、サンギヤ3aの入力トルクTsとリングギヤ3cの入力トルクTrとは、それぞれが合成されてキャリア3bの出力トルクTcとなるためには互いに反力を受けなくてはならず、各入力トルクTs,Trの関係は、サンギヤ3aの歯数Zs、リングギヤ3cの歯数Zrによって表されるギヤ比i(i=Zs/Zr)を用いて表わされる以下の(2),(3)式に示す関係から、以下の(4)式を満足しなけらばならない。
Tc・i/(1+i)=Ts …(2)
Tc・1/(1+i)=Tr …(3)
Ts=i・Tr …(4)
【0022】
一般的に、プラネタリギヤの構造上、Zs<Zrであるためギヤ比iはi<1であり、上記(4)式から明らかなように、リングギヤ3cへの入力トルクTrはサンギヤ3aへの入力トルクTsに対して1/i(>1)倍となる。従って、モータ2,4に電力を供給する場合、エンジン1の出力軸上のモータ2に比較してリングギヤ3cに結合されたモータ4の方が電力供給量が多くなるため、長時間の走行でバッテリ14の充電量が不足するような事態が予測される場合には、モータ2を発電機として使用する。
【0023】
すなわち、エンジン1の駆動力の一部でモータ2を発電機として駆動し、残りの駆動力をサンギヤ3aへの入力トルクとしてサンギヤ3aへの入力トルクを抑えることで、相対的にモータ4の必要電力を抑えることができ、図3に示すように、モータ2の発電により得られた電力でバッテリ14に充電された電気を使用することなくモータ4を駆動することができる。この場合、モータ4を主としてリングギヤ3cの反力分担に使用し、エンジン1の駆動力のみによる走行が可能である。
【0024】
このような状況で、バッテリ14への充電が必要になったときには、モータ4の必要電力に対してモータ2の発電量が多くなるように制御する。また、主としてエンジン1の駆動力で走行中に、登坂や急加速等によってエンジン1の出力に対して負荷が大きくなり、モータ4のアシスト力を大きくする必要が生じた場合には、モータ2の発電量を抑えてサンギヤ3aへのエンジン1からの入力トルクを大きくし、同時にモータ4の駆動力が大きくなるようにバッテリ14から電力を供給することで、必要な駆動力を確保することができる。
【0025】
一方、減速時や制動時等においては、駆動輪9からCVT5を介してプラネタリギヤユニット3のキャリア3bに伝達されるトルクTcが、図4に示すように、モータ2へのサンギヤ3aからのトルクTsと、モータ4へのリングギヤ3cからのトルクTrとに分配され、各モータ2,4で電気エネルギーに変換されてバッテリ14を充電する。このため、モータ2,4の発電でブレーキをかけるような状況において、モータ1つ当たりの発電量と、それによるブレーキ力が小さいにも拘らず、各モータ2,4の負担を少なくしつつ車両全体として大きな発電量とブレーキ力とが得られ、動力エネルギーの回収効率を大幅に向上することができる。
【0026】
この場合においても、バッテリ14に十分な充電が行われており、バッテリ14への充電が必要ない場合には、図5に示すように、エンジン1が吸収可能な駆動力をモータ2に発生させ、そのための発電をモータ4で行わせることにより、バッテリ14に充電することなしに十分なエンジンブレーキ力を得ることができる。また、バッテリ14への充電が必要になった場合には、モータ4の発電量をそのままにしてモータ2への供給電力を低くするように制御することで、エンジンブレーキ性能を低下させることなくバッテリ14への充電が可能となる。
【0027】
さらに、車両が後退する場合には、一般にはエンジン回転は前進時と同一方向の回転であることから、エンジン1に直結しているモータ2をエンジン1が逆回転にならないように回転方向を制御し、モータ4の駆動力をキャリア3bに出力して後進する。この場合には、図6に示すように、バッテリ14の充電量に応じ、バッテリ14への充電なしの走行からモータ2の発電によるバッテリ14への充電を併用しながらの後進が可能である。
【0028】
すなわち、バッテリ14の充電量が十分である場合には、エンジン1の出力を吸収することでモータ2を発電機として作動させ、発電した電力をモータ4へ供給するよう制御する。一方、バッテリ14の充電量が不足した場合には、エンジン1の出力を上げる等してモータ4の必要電力に対してモータ2の発電量が多くなるように制御し、発電した電力でバッテリ14を充電する。
【0029】
尚、バッテリ14の充電量が十分である場合、エンジン停止状態でモータ2,4に電力を供給し、モータ2によってサンギヤ3aを固定するとともにモータ4からキャリア3bに駆動力を供給することで、車両を後退させることも可能である。
【0030】
以上のプラネタリギヤユニット3を介してのエンジン1及びモータ2,4の回転は、CVT5の使用によって適切に制御され、エンジン1及びモータ2,4の出力効率を最適化するとともに、駆動軸で必要とされる駆動力を確保することができる。
【0031】
すなわち、プラネタリギヤにおいては、サンギヤ3aの回転数をNs、リングギヤ3cの回転数をNr、キャリア3bの回転数をNcとすると、各回転数は以下の(5)式で示される関係となり、サンギヤ3aの回転数Ns及びリングギヤ3cの回転数Nrを制御することでキャリア3bの回転数Ncを自由に設定することができる。尚、Ns=Nrのときには、Nc=Nr=Nsとなり、全ての入出力回転数が一致する。
(1+i)・Nc=Nr+i・Ns …(5)
【0032】
従って、前述したようにプラネタリギヤの入出力トルクの関係はギヤ比iで決まるため、各ギヤのトルクの関係を維持した上でモータ2,4の回転数を制御することにより、出力回転数を制御することも可能であるが、モータ2,4のどちらか一方の回転数を一定として出力回転数を高くしようとすると、片方のモータの回転数を必要とする出力回転数よりも高くしなければならない。
【0033】
例えば、モータ2によって駆動されるサンギヤ3aの回転数を一定とし、サンギヤ3aを基準とするリングギヤ3c及びキャリア3bの回転数について考えると、この場合は、サンギヤ3aを固定した場合と同様であり、上記(5)式においてNs=0とおくことができることから、モータ4によって駆動されるリングギヤ3cの回転数(サンギヤ3aに対する回転数差)はキャリア3bの回転数(同じく、サンギヤ3aに対する回転数差)の(1+i)倍となる。
【0034】
また、モータ4によって駆動されるリングギヤ3cの回転数を一定とし、リングギヤ3cを基準とするサンギヤ3a及びキャリア3bの回転数について考えると、リングギヤ3cを固定した場合と同様であることから、上記(5)式においてNr=0とおくことができ、モータ2によって駆動されるサンギヤ3aの回転数(リングギヤ3cに対する回転数差)はキャリア3bの回転数(同じく、リングギヤ3cに対する回転数差)の(1+i)/i倍となる。
【0035】
結局、いずれの場合においても、サンギヤ3aを駆動するモータ2あるいはリングギヤ3cを駆動するモータ4のどちらか一方の回転数を一定として出力回転数(キャリア回転数)を高くしようとすると、モータ2,4のいずれか一方が出力回転数(キャリア回転数)よりも高くなってしまう。
【0036】
モータ回転数が高くなることは、効率及び信頼性の低下を招くことになるため、通常は、プラネタリギヤにおける各ギヤの回転差が小さくなるように使用し、モータ回転数を低く抑えることが望ましいが、車速が低い場合には、サンギヤ3aあるいはリングギヤ3cのどちらかの回転数を相対的に高くすることで、他方の回転を止めたり、また、エンジンを回転させたまま出力軸回転数を逆転して後進させることが可能であるものの、車速が高くなると、出力軸回転数が高くなるため、2つのモータ2,4の回転数差を小さくしようとしても、結果的にエンジン1及びモータ2,4の回転数が高くなってしまう。
【0037】
本来、エンジンは、燃焼効率の高い、排気ガスの清浄化を期待できる回転数域で使用されることが望ましく、一方、車両においては、モータの回転制御範囲を超えるような出力軸回転数の変化がある。従って、駆動輪9からの要求駆動力に対し、プラネタリギヤユニット3の出力軸に配置したCVT5のギヤ比を適切に制御することで、プラネタリギヤユニット3への入力トルクを低く抑えることが可能となり、プラネタリギヤユニット3の出力回転数を適切に制御することができる。
【0038】
すなわち、必要な駆動軸の回転数と車両駆動力の変化に対し、CVT5によってエンジン1とモータ2,4の使用条件を最適範囲に抑えることでエンジン性能を特化し、さらに、燃焼効率の高い、排気ガスエミッションの低い領域でエンジン1を使用する頻度を大幅に増やすことができ、走行性能を確保しつつ、燃費改善、低公害化を実現することができるのである。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、エンジンの出力軸とプラネタリギヤのサンギヤとの間に駆動源あるいは発電機として切換え使用可能な第1のモータを連結するとともに、プラネタリギヤのリングギヤに駆動源あるいは発電機として切換え使用可能な第2のモータを連結し、プラネタリギヤのキャリアに複数段あるいは無段階にギヤ比を切り換え可能な動力変換機構を連結してプラネタリギヤと駆動輪との間で変速及びトルク増幅を行なうため、エンジン及び第1のモータのいずれか一方あるいは両方から供給される駆動力と第2のモータから供給される駆動力とをプラネタリギヤで合成して出力し、また、駆動輪側から動力変換機構を介して逆に伝達される駆動力をプラネタリギヤで第1のモータ及び第2のモータに配分し、第1,第2のモータで動力エネルギーを電気エネルギーに変換して回収する、あるいは、第2のモータで発電し、第1のモータに電力を供給してエンジン及び第1のモータで制動力を発生させることができる。
【0040】
従って、駆動輪からの要求駆動力に対し、比較的低出力の小型の2つのモータで駆動力の確保と動力エネルギーの回収効率向上を達成することができ、システムコストの低減、コンパクト化、軽量化を図ることができる。また、プラネタリギヤの出力軸に配置した動力変換機構のギヤ比を適切に制御することで、エンジン及び第1,第2のモータを最適に制御することが可能となる。
【0041】
また、請求項2記載の発明では、請求項1記載の動力変換機構をベルト式無段変速機としてギヤ比を無段階で変化させて変速及びトルク増幅を行なうため、駆動輪からの要求駆動力に対してプラネタリギヤへの入出力トルク及び回転数を自由に制御することが可能となり、エンジン1及び第1,第2のモータの制御をより最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】駆動系の基本構成を示す説明図
【図2】エンジン及び第1,第2のモータによって走行する場合のトルク及び電気の流れを示す説明図
【図3】第1のモータを発電機として使用する場合のトルク及び電気の流れを示す説明図
【図4】第1,第2のモータを発電機として使用する場合のトルク及び電気の流れを示す説明図
【図5】第2のモータを発電機として使用し、第1のモータで駆動力を発生させる場合のトルク及び電気の流れを示す説明図
【図6】車両後進時のトルク及び電気の流れを示す説明図
【符号の説明】
1 …エンジン
2 …第1のモータ
3 …プラネタリギヤユニット
3a…サンギヤ
3b…キャリア
3c…リングギヤ
4 …第2のモータ
5 …ベルト式無段変速機(動力変換機構)
Claims (2)
- エンジンの出力とモータの出力とを併用して走行駆動源とするハイブリッド車において、
サンギヤと、このサンギヤに噛合するピニオンを回転自在に支持するキャリアと、上記ピニオンに噛合するリングギヤとを有するプラネタリギヤと、
上記エンジンの出力軸と上記プラネタリギヤのサンギヤとの間に連結され、駆動源あるいは発電機として切換え使用可能な第1のモータと、
上記プラネタリギヤのリングギヤに連結され、駆動源あるいは発電機として切換え使用可能な第2のモータと、
上記プラネタリギヤのキャリアに連結され、複数段あるいは無段階に切り換え可能なギヤ比に応じて上記プラネタリギヤと駆動輪との間で変速及びトルク増幅を行なう動力変換機構とを備えたことを特徴とするハイブリッド車。 - 上記動力変換機構を、入力軸に軸支されるプライマリプーリと出力軸に軸支されるセカンダリプーリとの間に駆動ベルトを巻装してなるベルト式無段変速機とすることを特徴とする請求項1記載のハイブリッド車。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP35990997A JP3648720B2 (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | ハイブリッド車 |
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