JP3648394B2 - 消波及び海水浄化機能を備えたケーソン - Google Patents

消波及び海水浄化機能を備えたケーソン Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、海岸部に設置するケーソンに係り、特に消波機能の向上と海水の浄化機能を付加した消波及び海水浄化機能を備えたケーソンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、海岸部には、例えばコンクリート製のブロック、テトラポットなどを配置して、消波又は防波並びに陸地の浸食防止を図っている。また、港湾では、湾内と外海とを区画するための岸壁を設けている。これら海に面した箇所に配置又は埋設される構造物は、狭義の意味での潜函(=ケーソン)とは異なるが、広義の意味で一般的にケーソンと呼ばれている。従って、以下、本願においてケーソンとは、海に面した箇所に配置又は埋設されたコンクリート製のブロック、テトラポット、及び岸壁等の構造物の総称を意味することとする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、海洋を取り巻く環境は、地球温暖化に伴う海水面の上昇や、人間の経済活動等による海水の汚濁現象等によって一段と厳しい状況にある。しかしながら、従来のケーソンは、こうした状況を軽減したり防止したりするといったものではなく、基本的に消波性や防波性に重点が置かれたものであり、例えば外海に臨んだ面にスリットや開口等を形成して消波性や防波性の向上を図るといった工夫は見られるものの、海水の汚濁現象などに対処する構造とはなっていない。
【0004】
本発明は、上記した不具合を解消するためになされたものであり、海水の浄化機能を備えると共に消波性及び防波性を向上させることができる消波及び海水浄化機能を備えたケーソンを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明は、港内と外海とで海水が流通する岸壁に設置するケーソンとして、内部を空洞とした筐体の前側と後側を隔壁面で区画して前側を消波部、後側を浄化部とし、消波部は、前側の多数の柱の外面から隔壁面までの距離Sとしたとき、前側の多数の柱の外面から後側の多数の柱における前後方向の中央位置までの距離S1をS/4とすると共に、前後の多数の柱の配置ピッチを1/3〜1/2として、前側の多数の柱の隙間に後側の多数の柱が位置するように配置し、さらに、床面に前部から隔壁面に向かって上り勾配で表面に凸部を形成した傾斜面を設け、また、浄化部は、隔壁面と後部壁面とに多数の貫通孔を設けると共に、隔壁面と後部壁面との間に浄化部材を充填したのである。
【0006】
また、本発明は、海岸部の岸壁に設置するケーソンとして、内部を空洞とした筐体の前側と後側を隔壁面で区画して前側を消波部、後側を浄化部とし、消波部は、前側の多数の柱の外面から隔壁面までの距離Sとしたとき、前側の多数の柱の外面から後側の多数の柱における前後方向の中央位置までの距離S1をS/4とすると共に、前後の多数の柱の配置ピッチを1/3〜1/2として、前側の多数の柱の隙間に後側の多数の柱が位置するように配置し、さらに、床面に前部から隔壁面に向かって上り勾配の傾斜面を設け、この傾斜面には、表面に複数の凸部が形成される共に表裏面を貫通する複数の貫通孔が形成され、かつ裏面側内部に浄化部材が充填された構造とされ、また、浄化部は、隔壁面に多数の貫通孔を設けると共に、隔壁面と後部壁面との間に浄化部材を充填したのである。
【0007】
本発明は、いずれにおいても、上記構成としたことにより、筐体に寄せられた波は筐体内に流入する際に消波され、また筐体内においても波が発生することがなく、さらには筐体内で海水を浄化することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の消波及び海水浄化機能を備えたケーソンは、海岸部に設置するケーソンであって、内部を空洞とした筐体の前側と後側を隔壁面で区画して前側を消波部、後側を浄化部とし、消波部は、前側の多数の柱の外面から隔壁面までの距離Sとしたとき、前側の多数の柱の外面から後側の多数の柱における前後方向の中央位置までの距離S1をS/4とすると共に、前後の多数の柱の配置ピッチを1/3〜1/2として、前側の多数の柱の隙間に後側の多数の柱が位置するように配置し、さらに、床面に筐体の前部から隔壁面に向かって上り勾配で表面に凸部を形成した傾斜面を設けた構造とし、また、浄化部は、隔壁面と筐体の後部壁面とに多数の貫通孔を設けると共に、該隔壁面と該筐体の後部壁面との間に浄化部材を充填したものである。また、本発明は、上記構成において、複数の柱に代えて、前後に所定間隔を存して設けた壁面に、多数の貫通孔を設けたものである。
【0009】
上記の構成によれば、前部に寄せられた波は、前部に前後に立設した複数の柱、又は多数の貫通孔が形成され前後に所定間隔を存して設けた壁面によって消波され、さらに床面に前部から隔壁面に向かって上り勾配で表面に凸部を形成した傾斜面によって消波される。そして、消波部において消波されここに貯留した海水は、隔壁面の多数の孔から浄化部に流入し、ここで浄化部材によって浄化され、順次筐体の後部壁面に多数設けられた孔から流出される。
【0010】
また、本発明の消波及び海水浄化機能を備えたケーソンは、上記構成において、消波部に、筐体の前部と隔壁面との中途箇所で、底面から上方中途位置まで伸びた仕切面を設ければ、仕切面と隔壁面との間で消波部を通過した海水が貯留され、この貯留箇所から浄化部に海水が流入するので、浄化効率が向上する。
【0011】
また、本発明の消波及び海水浄化機能を備えたケーソンは、上記したいずれかの構成において、浄化部には、筐体上面に複数の孔を形成すれば、この上面の孔から空気が流通して浄化部の海水浄化性が向上する。
【0012】
また、本発明の消波及び海水浄化機能を備えたケーソンは、上記したいずれかの構成において、筐体の前部頂上部に、前方上方に傾斜した波返り部を形成すれば、前部に衝突した波が筐体の上部を越えることを防止できる。
【0013】
また、本発明の消波及び海水浄化機能を備えたケーソンは、岸壁部に設置するケーソンであって、内部を空洞とした筐体の前側と後側を隔壁面で区画して前側を消波部、後側を浄化部とし、消波部は、前側の多数の柱の外面から隔壁面までの距離Sとしたとき、前側の多数の柱の外面から後側の多数の柱における前後方向の中央位置までの距離S1をS/4とすると共に、前後の多数の柱の配置ピッチを1/3〜1/2として、前側の多数の柱の隙間に後側の多数の柱が位置するように配置し、さらに、床面に筐体の前部から隔壁面に向かって上り勾配の傾斜面を設け、この傾斜面には表面に複数の凸部が形成されると共に、該傾斜面の表裏面を貫通する複数の貫通孔が形成され、かつ該傾斜面の裏面側内部に浄化部材を充填した構造とし、また、浄化部は、隔壁面に多数の貫通孔を設けると共に、該隔壁面と該筐体の後部壁面との間に浄化部材を充填した構造としたものである。また、本発明は、上記構成において、複数の柱に代えて、前後に所定間隔を存して設けた壁面に、多数の貫通孔を設けたものである。
【0014】
上記の構成によれば、本発明の消波及び海水浄化機能を備えたケーソンは岸壁の海側に面して設けられており、前部に寄せられた波は、前部に前後に立設した複数の柱、又は多数の貫通孔が形成され前後に所定間隔を存して設けた壁面によって消波され、さらに床面に前部から隔壁面に向かって上り勾配で形成した傾斜面表面の複数の凸部によって消波されつつ、海水が傾斜面の複数の貫通孔から該傾斜面の裏面側内部に流入し、ここで浄化される。また、傾斜面の裏面側内部に流入しなかった海水は、隔壁面の多数の孔から浄化部に流入し、ここで浄化部材によって浄化され、順次前部に戻される。このときにも傾斜面の裏面側内部に海水が流入して浄化部材で浄化されるので、海水は確実に浄化される。
【0015】
また、本発明の消波及び海水浄化機能を備えたケーソンは、上記したいずれかの構成において、筐体の前部頂上部に、前方上方に傾斜した波返り部を形成すれば、前部に衝突した波が筐体の上部を越えることを防止できる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の消波及び海水浄化機能を備えたケーソンの実施例について、図1〜図4を参照して説明する。
図1は、本発明の消波及び海水浄化機能を備えたケーソン(以下、ケーソンと略す。)の構成を示す。図2は、本発明のケーソンの前部、隔壁面、及び後部壁面の詳細を示す。図3は、本発明のケーソンの他の構成を示す。図4は、本発明のケーソンのさらに他の構成を示す。
【0017】
1は、海岸部、本実施例では湾内と外海とを区画する岸壁として設置し、外海から港湾内に寄せる波を消波すると共に海水を浄化して湾内へ流出させる本発明のケーソンであり、以下のように構成されている。2は、ケーソン1の外形を構成する空洞の、例えばコンクリートで形成された筐体である。
【0018】
筐体2のうち、海に臨む部分2A(以下、前部2Aという)は、打ち寄せられる入射波と反射波のエネルギーを消散させ、海水を筐体2内に流入させるために、前後に所定間隔を存して、例えば千鳥状に、前側の多数の柱2a、後側の多数の柱2dが立設されている。また、筐体2の後部壁面2B(以下、後面2Bという)には、浄化した海水を流出させるための孔2Baが多数形成されている。
【0019】
さらに、筐体2の内部には、前部2Aと後面2Bとの間の所定位置に孔2Caが多数形成された隔壁面2Cが設けられており、この隔壁面2Cにより、筐体2内が、前側つまり前部2A側を消波部1Aに、後側つまり後面2B側を浄化部1Bに区画されている。なお、隔壁面2Cと後面2Bに形成された孔2Ca,2Baは、筐体2の上部から後述の傾斜面3の高さ位置までに多数形成されている。
【0020】
前後に千鳥状に立設した多数の柱2a,2dは、例えば以下のように設定されている。図2に示すように、前側の多数の柱2aの外面から隔壁面2までの距離Sは、入射波の波長Lとした場合L/4とされており、さらに、前側の多数の柱2aの外面から後側の多数の柱2dにおける前後方向の中央位置までの距離S1は、S/4とされている。
【0021】
また、前後の多数の柱2a,2dは、上記したように前側の多数の柱2aの隙間に後側の多数の柱2dが位置するように配置されており、前側の多数の柱2a及び後側の多数の柱2dの隙間間隔Bは、L/32〜L/16の大きさとされており、また、前後の多数の柱2a,2dの配置ピッチB/Dは、1/3〜1/2とされている。このように設定することにより、波を効率よく消波することができるのである。
【0022】
3は、消波部1Aの内底面に設けられ、波エネルギーの消散と反射波の低減を図るための凸部3aを有した傾斜面であり、この傾斜面3は、本実施例では前部2Aから隔壁面2Cに向かって次第に高くなるように設けている。
【0023】
4は、前部2Aの上部に、前方に向かって上方に傾斜して設けた波返り部であり、この波返り部4は、前側の多数の柱2aで受けた波が筐体2の上部を乗り越えることを防止するためのものである。
【0024】
一方、筐体2の浄化部1Bの上面には、孔1Baが多数形成されており、この孔1Baから空気が流通することにより、該浄化部1B内の海水は常に酸素が供給されて海水の浄化作用を促進することができるのである。
【0025】
5は、隔壁面2Cにより区画された浄化部1Bに充填された浄化部材であり、この浄化部材5は、本実施例では隔壁面2Cの孔2Ca、後面2Bの孔2Baを抜けたり詰まったりしない程度の大きさのポーラス状の石材が使用されている。
【0026】
浄化部材5を浄化部1Bに充填することにより、ケーソン1は、空洞の筐体2に適度の重量が加わることとなり安定して配置することができる。なお、浄化部材5は、筐体2における浄化部1Bの上部に設けられたマンホール(不図示)から取り替えられる。
【0027】
次に、上記構成のケーソン1の作用効果を説明する。外海から波が寄せられると、まず前部2Aの前側の多数の柱2aにて受けられ、ここで、前側の多数の柱2aの隙間から消波部1Aに流入せず該前側の多数の柱2aで跳ね返った波は、波返り部4に衝突して、外海側に返される。このようにしたことにより、少々の高い波が寄せられても、ケーソン1の筐体2上面を波が越えることを防止することができる。
【0028】
さらに、外海から寄せられた波のうち、前側の多数の柱2aの隙間から流入した波は、さらに、後側の多数の柱2dで受けられ、該後側の多数の柱2dにより消波される。そして、後側の多数の柱2dに衝突する波は、前側の多数の柱2aとの間で次第に小さくなる。
【0029】
また、後側の多数の柱2dの隙間からさらに内部に流入した海水は、続いて凸部3aを有した傾斜面3に接触することで、順次流入する海水による波の発生が抑制される。このように、前後の多数の柱2a,2d及び傾斜面3によって、消波部1A内に流入する波が消波されると共に、消波部1A内における波の発生が防止される。
【0030】
そして、消波部1Aに、貯留した海水は、新たに消波部1A内に流入する海水によって順次、隔壁面2Cの孔2Caを介して浄化部1Bへ流出する。浄化部1Bでは、ここに充填された浄化部材5によって海水が濾過され、こうして浄化された海水が、後面2Bの孔2Baから順次港湾内に流出する。
【0031】
なお、ケーソン1は、上記実施例では、前部2Aに前後の多数の柱2a,2dを立設していたが、これに代えて、図示しないが、例えば筐体2の前部2Aに、前後に壁面を設け、これら前後の壁面のそれぞれに、前後で同一線上に並ばないように多数の貫通孔を形成した構造としてもよく、このようにすることによっても、上記と同等の作用効果を得ることができる。
【0032】
ところで、上記実施例では、消波部1Aと浄化部1Bとが連続した状態で構成されていたので、消波部1Aから隔壁面2Cの孔2Caを通って流出した海水は、順次消波部1Aから流出する海水によって十分な浄化がされぬまま、後面2Bから流出するといった可能性もある。
【0033】
そこで、図3に示す本発明のケーソン1の他の実施例では、消波部1Aにおいて、前部2Aと隔壁面2Cとの中途箇所に、底面から上方中途位置まで伸びた仕切面2Eを有している。また、この実施例では、隔壁面2C及び後面2Bの多数の孔2Ca及び2Baは、筐体2の上下に亘って全面的に形成されている。
【0034】
上記の構成とすることで、仕切面2Eと隔壁面2Cとの間の空間と消波部1Aとで水位の差を設けることができ、従って消波部1Aを通過した海水が仕切面2Eと隔壁面2Cとの間の空間で貯留され、この貯留箇所で一定量貯留された海水が孔2Caから順次浄化部1Bへ定量的に流入し、ここで浄化された海水が孔2Baから港湾内に流出するので、浄化作用が促進され、浄化効率が向上する。
【0035】
このように、本発明のケーソン1は、消波部1Aでは、前後の多数の柱2a,2dによって、入射波と反射波のエネルギーが消散され、また、傾斜面3によって、反射波のエネルギーが消散されるので、湾内の海面状態を安定させることができ、また、浄化部1Bでは、隔壁面2Cの孔2Caを介して、順次消波部1Aに流入する海水によって流出した海水を浄化部材5で浄化し、後面2Bの孔2Baから流出するので、特別で複雑な構造を要することなく簡易な構成により海水を浄化することができるのである。
【0036】
また、ケーソン1は、波返り部4を設けることで、高波が筐体2を越えることを防止することができ、さらに、浄化部1Bにおいて筐体2の上面に多数の孔1Baを形成することで、浄化効率が向上し、また、消波部1Aにおいて前部2Aと隔壁面2Cとの中途箇所に仕切面2Eを設けることで、消波部1Aにおいて仕切面2Eと隔壁面2Cで海水が貯留する空間を形成することができ、これによって浄化効率を向上させることができる。
【0037】
上記実施例では、ケーソン1は、湾内と外海とを区画する岸壁として設置していたが、一方が海に面しており、他方が陸に面しているといった海岸部の岸壁の海側の面に設置する場合は、図4のように構成する。図4に示すケーソン11は、傾斜面3の裏面側内部が中空とされ、この中空にも浄化部材5が充填され、該傾斜面3には複数の凸部3aの他に表裏面を貫通する複数の貫通孔3bが形成されている点、及び浄化部1Bに孔1Baを有していない点、さらには後面2Bに孔2Baを有していない点が上記実施例のケーソン1とは異なっている。
【0038】
ケーソン11は、波が寄せられると、前部2Aの前側の多数の柱2a、多数の柱2dで受けられ、消波する。そして、後側の多数の柱2dの隙間からさらに内部に流入した海水は、傾斜面3の凸部3aで該傾斜面3における波の発生が抑制されつつ、貫通孔3bから傾斜面3の裏面側内部に流入する。そして、傾斜面3の裏面側内部に流入した海水は、浄化部材5によって浄化される。
【0039】
一方、消波部1Aに貯留した海水は、新たに消波部1A内に流入する海水によって順次、隔壁面2Cの孔2Caを介して浄化部1Bへ流出する。浄化部1Bでは、ここに充填された浄化部材5によって海水が濾過され、こうして浄化された海水が、順次消波部1Aに戻される。このときにも、傾斜面3の貫通孔3b内から該傾斜面3の裏面側内部に海水が流入するので、海水はさらに浄化されることとなる。
【0040】
なお、ケーソン11は、上記実施例と同様に、前後の多数の柱2a,2dに代えて、図示しないが、例えば筐体2の前部2Aに、前後に壁面を設け、これら前後の壁面のそれぞれに、前後で同一線上に並ばないように多数の貫通孔を形成した構造としてもよく、このようにすることによっても、上記と同等の作用効果を得ることができる。また、ケーソン11は、波返り部4を設けているので、高波が筐体2を越えることを防止することができる。
【0041】
なお、本発明は上記実施例に限定されず、種々の変形が可能であり、浄化部材5としては上記実施例ではポーラス状の石材を用いたが、これに限らず砂等を用いてもよく、また、傾斜面3の凸部の形状は問わず、また、外形形状は湾曲状であってもよい。
【0042】
さらには、前後の多数の柱2a,2dは、上記実施例では千鳥状に立設する構成としたが、例えば、前側の多数の柱2aの太さと、後側の多数の柱2dの太さを異ならせたり、前側の多数の柱2aの立設ピッチと、後側の多数の柱2dの立設ピッチを異ならせたりして、適宜最適に設定してもよい。さらに、前後の多数の柱2a,2dに代えて、前後に多数の貫通孔を形成した壁面を設けた場合は、同様に貫通孔のピッチや大きさを調整すればよい。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の消波及び海水浄化機能を備えたケーソンは、内部を空洞とした筐体の前側と後側を隔壁面により消波部と浄化部に区画し、消波部は、前側の多数の柱の外面から隔壁面までの距離Sとしたとき、前側の多数の柱の外面から後側の多数の柱における前後方向の中央位置までの距離S1をS/4とすると共に、前後の多数の柱の配置ピッチを1/3〜1/2として、前側の多数の柱の隙間に後側の多数の柱が位置するように配置し、さらに、床面に筐体の前部から隔壁面に向かって上り勾配で表面に凸部を形成した傾斜面を設け、また、浄化部は、隔壁面と筐体の後部壁面とに多数の貫通孔を設けると共に、該隔壁面と該筐体の後部壁面との間に浄化部材を充填したので、あるいは、筐体前部の前後に立設した複数の柱に代え、前後に所定間隔を存して設けた壁面に、多数の貫通孔を設けたので、消波部で筐体に寄せられた波を確実に消波することができ、また、浄化部で筐体内に流入した海水を浄化することができる。
【0044】
また、本発明の消波及び海水浄化機能を備えたケーソンは、上記構成において、消波部に、筐体の前部と隔壁面との中途箇所で、底面から上方中途位置まで伸びた仕切面を設ければ、仕切面と隔壁面との間の空間で海水が貯留され、この貯留箇所から浄化部に海水が安定して流入するので、浄化効率が向上する。
【0045】
また、本発明の消波及び海水浄化機能を備えたケーソンは、上記したいずれかの構成において、浄化部には、筐体上面に多数の孔を形成すれば、この上面の孔から空気が流通して浄化部の海水浄化性が向上する。
【0046】
また、本発明の消波及び海水浄化機能を備えたケーソンは、上記したいずれかの構成において、筐体の前部の頂上部に、前方上方に傾斜した波返り部を形成すれば、波が筐体の上部を越えることを防止できる。
【0047】
また、本発明の消波及び海水浄化機能を備えたケーソンは、内部を空洞とした筐体の前側と後側を隔壁面により消波部と浄化部に区画し、消波部は、前側の多数の柱の外面から隔壁面までの距離Sとしたとき、前側の多数の柱の外面から後側の多数の柱における前後方向の中央位置までの距離S1をS/4とすると共に、前後の多数の柱の配置ピッチを1/3〜1/2として、前側の多数の柱の隙間に後側の多数の柱が位置するように配置し、さらに、消波部の床面に筐体の前部から隔壁面に向かって上り勾配の傾斜面を設け、この傾斜面には表面に複数の凸部が形成されると共に、該傾斜面の表裏面を貫通する複数の貫通孔が形成され、かつ該傾斜面の裏面側内部に浄化部材を充填した構造とし、また、浄化部は、隔壁面に多数の貫通孔を設けると共に、該隔壁面と該筐体の後部壁面との間に浄化部材を充填し、また、この構成において、筐体前部の前後に立設した複数の柱に代え、前後に所定間隔を存して設けた壁面に、多数の貫通孔を設けたので、消海岸部の岸壁で、確実に消波を行うことができると共に海水を浄化することが可能となり、また、浄化部材によって自身を安定して配置させることができる。
【0048】
また、本発明の消波及び海水浄化機能を備えたケーソンは、筐体の前部頂上部に、前方上方に傾斜した波返り部を形成したので、上記と同等の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の消波及び海水浄化機能を備えたケーソンの概略構成を示す中央縦断面図である。
【図2】本発明の消波及び海水浄化機能を備えたケーソンの前部、隔壁面、周辺の詳細を示す部分横断面図である。
【図3】本発明の消波及び海水浄化機能を備えたケーソンの他の構成を示す中央縦断面図である。
【図4】本発明の消波及び海水浄化機能を備えたケーソンのさらに他の構成を示す中央縦断面図である。
【符号の説明】
1 (消波及び海水浄化機能を備えた)ケーソン
1A 消波部
1B 浄化部
2 筐体
2A 前部
2a (前側の)多数の柱
2B 後面(後部壁面)
2Ba 孔
2C 隔壁面
2Ca 孔
2d (後側の)多数の柱
2E 仕切面
3 傾斜面
3a 凸部
3b 貫通孔
4 波返り部
5 浄化部材
11 ケーソン

Claims (8)

  1. 海岸部に設置するケーソンであって、内部を空洞とした筐体の前側と後側を隔壁面で区画して前側を消波部、後側を浄化部とし、前記消波部は、前記筐体の前部に、前側の多数の柱の外面から前記隔壁面までの距離Sとしたとき、前側の多数の柱の外面から後側の多数の柱における前後方向の中央位置までの距離S1をS/4とすると共に、前後の多数の柱の配置ピッチを1/3〜1/2として、前側の多数の柱の隙間に後側の多数の柱が位置するように配置し、さらに、床面に前記筐体の前部から前記隔壁面に向かって上り勾配で表面に凸部を形成した傾斜面を設けた構造とし、また、前記浄化部は、前記隔壁面と前記筐体の後部壁面とに多数の貫通孔を設けると共に、該隔壁面と該筐体の後部壁面との間に浄化部材を充填した構造としたことを特徴とする消波及び海水浄化機能を備えたケーソン。
  2. 複数の柱に代えて、前後に所定間隔を存して設けた壁面に、多数の貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1記載の消波及び海水浄化機能を備えたケーソン。
  3. 消波部には、筐体の前部と隔壁面との中途箇所で、底面から上方中途位置まで伸びた仕切面を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の消波及び海水浄化機能を備えたケーソン。
  4. 浄化部には、筐体上面に複数の孔を形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の消波及び海水浄化機能を備えたケーソン。
  5. 筐体の前部頂上部に、前方上方に傾斜した波返り部を形成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の消波及び海水浄化機能を備えたケーソン。
  6. 岸壁部に設置するケーソンであって、内部を空洞とした筐体の前側と後側を隔壁面で区画して前側を消波部、後側を浄化部とし、前記消波部は、前記筐体の前部に、前側の多数の柱の外面から前記隔壁面までの距離Sとしたとき、前側の多数の柱の外面から後側の多数の柱における前後方向の中央位置までの距離S1をS/4とすると共に、前後の多数の柱の配置ピッチを1/3〜1/2として、前側の多数の柱の隙間に後側の多数の柱が位置するように配置し、さらに、床面に前記筐体の前部から前記隔壁面に向かって上り勾配の傾斜面を設け、この傾斜面には表面に複数の凸部が形成されると共に、該傾斜面の表裏面を貫通する複数の貫通孔が形成され、かつ該傾斜面の裏面側内部に浄化部材を充填した構造とし、また、前記浄化部は、前記隔壁面に多数の貫通孔を設けると共に、該隔壁面と該筐体の後部壁面との間に浄化部材を充填した構造としたことを特徴とする消波及び海水浄化機能を備えたケーソン。
  7. 複数の柱に代えて、前後に所定間隔を存して設けた壁面に、多数の貫通孔を設けたことを特徴とする請求項6記載の消波及び海水浄化機能を備えたケーソン。
  8. 筐体の前部頂上部に、前方上方に傾斜した波返り部を形成したことを特徴とする請求項6又は7に記載の消波及び海水浄化機能を備えたケーソン。
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