JP3648333B2 - 回転電機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁物と導体とからなる絶縁コイルを、鉄心のスロット内に収納して構成される回転電機に係り、特に熱伝導性を高めて絶縁コイルの温度上昇を抑制すると共に、絶縁コイルの固定力を維持・向上できるようにした回転電機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電動機や発電機等の回転電機は、絶縁物と導体とからなる絶縁コイルを、鉄心のスロット内に収納して構成されている。そして、かかる回転電機の絶縁コイルは、運転中に主として、半径方向に電磁力、また長手方向に熱伸縮力等を始めとする各種の力が作用する。
【0003】
そのため、通常は、これらの各種力に耐えて、絶縁コイルの変形を防止する目的で、電動機や小容量の発電機では、絶縁コイルを鉄心のスロット内に収納した後に、樹脂の含浸・硬化処理を行なうようにしている。
【0004】
一方、サイズの大きな発電機では、樹脂のコイル収納後の含浸が困難であるため、樹脂の含浸・硬化等の処理をあらかじめ行なった絶縁コイルを、鉄心のスロット内に収納するようにしている。
【0005】
図7は、この種の従来の回転電機のステータの一例を示す部分断面斜視図である。
図7において、あらかじめ樹脂の含浸・硬化等の処理を行なった、絶縁物と導体とからなる絶縁コイル1を、複数の鋼板6を積層してなる鉄心7のスロット2内に収納している。
【0006】
また、絶縁コイル1を、図示上下面に位置するFRPからなるスペーサ4と、これらのスペーサ4に図示上下方向の圧縮力を与える楔5とによって固定している。
【0007】
さらに、絶縁コイル1には、成形寸法のばらつき、含浸レジンの硬化に伴なう変形があり、また鉄心7のスロット2の寸法長手方向も一様ではない。このため、一般にスロット2寸法には、絶縁コイル1寸法に対して余裕を持たせている。そして、この結果生じた絶縁コイル1の側面片側に位置する間隙3には、図7に示すように、充填部材であるFRPシート8を、間隙3の大きさに応じて挿入して、絶縁コイル1を固定している。
【0008】
一方、上記FRPシート8の代わり、図8に示すように、波状の断面を有するFRP板9を間隙3に挿入して、FRP板9の回復力、およびその摩擦力によって、絶縁コイル1を固定している場合もある。
【0009】
また、その他の例として、図9に示すように、あらかじめ絶縁コイル1の側面に、無機物を充填した弾性体層10、および充填しない弾性体層11からなる充填部材12を形成し、その後絶縁コイル1をスロット2内に挿入して、二つの弾性体層10,11からなる充填部材12の反発力、および鉄心7との摩擦力によって、絶縁コイル1を固定している場合もある(文献名:PROCEEDINGSOFTHE15THEIC,p35 〜401 )。
【0010】
さらに、図10に示すように、上記と同様な方法で、かつ片面を波状に成形した弾性体のシート13を絶縁コイル1に貼り付けて、見かけ上の弾性率を低下させて、挿入を容易にしている場合もある。
【0011】
すなわち、絶縁コイル1とスロット2との間に介在する間隙3は、高い熱抵抗を有し、運転中に導体内で発生したジュール熱を鉄心7側に伝え難くするので、絶縁コイル1の温度上昇をもたらし、絶縁を構成する有機物の電気的、機械的特性の劣化を促進するため、上述のように間隙3を低減することは、回転電機の性能の向上につながることになる。
【0012】
しかしながら、図7のような方法を用いた場合には、FRPシート8の剛性が高く、積層した薄い鋼板6から構成されることによって生じる鉄心7のスロット2内面の凹凸に追従することができない。このため、微小な空隙が生じて、鉄心7への熱伝導を阻害することがある。
【0013】
また、実使用上、FRPシート8は、異なる厚さを連続的に用意するのは不可能であるため、用意した限定された厚さを有するFRPシート8で調整できない時には、挿入できないこともある。このため、広い範囲で空隙を生じて、熱伝導を阻害するばかりでなく、絶縁コイル1の固定力を低下させることにもなる。
【0014】
一方、図8のような方法を用いた場合には、間隙3寸法の変化に対しても十分に対応することができるが、その波状断面によって、絶縁コイル1と鉄心7との間に空隙が残り、熱伝導を阻害することがある。
【0015】
また、図9のような方法を用いた場合には、無機物を配合する弾性体層10、および配合しない弾性体層11を用いて、スロット2内の凹凸に追従して空隙を生じない構造となっているが、無機物や金属に比較して、熱伝導性の劣る有機物のみの弾性体層11があるため、この弾性体層11で熱伝導を阻害することがある。
【0016】
さらに、図10のような方法を用いた場合には、表面を波状に成形した弾性体のシート13を絶縁コイル1上に形成して、これを挿入するため、絶縁コイル1と鉄心7との間に空隙を生じて、熱伝導を阻害することがある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の回転電機においては、絶縁コイルの温度上昇をもたらすという問題があった。
本発明の目的は、絶縁コイルの固定力を維持しつつ、熱伝導性を高めて絶縁コイルの温度上昇を抑制することが可能な回転電機を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、
まず、請求項1に対応する発明では、絶縁物と導体とからなる絶縁コイルを、鉄心のスロット内に収納して構成される回転電機において、シート状もしくはテープ状の弾性体に、有機物に比較して熱伝導性に優れた無機物および金属の少なくともいずれか一方の短繊維もしくはウィスカーを、その軸方向を弾性体の面垂直方向に揃えて配合してなる複合弾性体を、絶縁コイルと鉄心のスロットとの間に充填している。
【0019】
従って、請求項1に対応する発明の回転電機においては、有機物に比較して熱伝導性に優れた無機物および金属の少なくともいずれか一方を配合した複合弾性体を、回転電機の絶縁コイルと鉄心のスロットとの間に充填することにより、有機弾性体単独の場合に比べて熱伝導性が向上し、また複合弾性体が鉄心の凹凸に追従して熱伝導を阻害する空隙が生じ難いため、絶縁コイルに発生した熱を鉄心に効率良く伝導して、絶縁コイルの温度上昇を抑制することができると共に、複合弾性体の反発力によって、絶縁コイルを確実に固定することができる。
【0021】
また、請求項に対応する発明の回転電機においては、無機物および金属の少なくともいずれか一方の短繊維もしくはウィスカーを、その軸方向を面垂直方向に揃えて配合した複合弾性体を、回転電機の絶縁コイルと鉄心のスロットとの間に充填することにより熱を伝導し易い経路を最短にすることができるため、有機弾性体単独あるいはこれを無方向に金属や無機物を配合する場合に比べて、より一層熱伝導性が向上する
【0022】
さらに、請求項に対応する発明では、絶縁物と導体とからなる絶縁コイルを、鉄心のスロット内に収納して構成される回転電機において、シート状もしくはテープ状の弾性体に、有機物に比較して熱伝導性に優れた無機物および金属の少なくともいずれか一方の短繊維もしくはウィスカーを、その軸方向を弾性体の面垂直方向を除く方向に揃えて配合してなる複合弾性体を、絶縁コイルと鉄心のスロットとの間に充填している。
【0023】
従って、請求項に対応する発明の回転電機においては、無機物および金属の少なくともいずれか一方の短繊維もしくはウィスカーを、その軸方向を面垂直方向を除く方向に揃えて配合した複合弾性体を、回転電機の絶縁コイルと鉄心のスロットとの間に充填することにより熱を伝導し易い経路を、単なる粒子充填もしくは短繊維等の無方向充填に比べて短縮することができるため、より一層熱伝導性が向上し、また複合弾性体が鉄心の凹凸に追従して熱伝導を阻害する空隙が生じ難いため、垂直方向に配合する場合に比べて短繊維等の剛性の影響を低減することができると共に、複合弾性体の反発力によって、絶縁コイルを確実に固定することができる。
【0024】
さらにまた、請求項に対応する発明では、絶縁物と導体とからなる絶縁コイルを、鉄心のスロット内に収納して構成される回転電機において、弾性体に、有機物に比較して熱伝導性に優れた無機物および金属の少なくともいずれか一方を配合してなる複合弾性体のコーティング層を、鉄心のスロット表面に形成している。
【0025】
従って、請求項に対応する発明の回転電機においては、無機物および金属の少なくともいずれか一方を配合してなる複合弾性体のコーティング層を、鉄心のスロット表面に形成することにより絶縁コイルに充填部材を形成し、これをスロット内に挿入する場合に比べて、鉄心の凹凸への追従を、複合弾性体の柔軟性に依存しないで、鉄心のスロットと絶縁コイルとの間隙をすき間なく充填できるため、絶縁コイルに発生した熱を鉄心により一層効率良く伝導して、絶縁コイルの温度上昇を抑制することができると共に、複合弾性体の反発力によって、絶縁コイルを確実に固定することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態による回転電機のステータの構成例を示す部分断面斜視図であり、図7乃至図10と同一部分には同一符号を付して示している。
【0027】
図1において、あらかじめ樹脂の含浸・硬化等の処理を行なった、絶縁物と導体とからなる絶縁コイル1を、複数の鋼板6を積層してなる鉄心7のスロット2内に収納している。
【0028】
また、絶縁物と導体とからなる絶縁コイル1は、図示上下面に位置するFRPからなるスペーサ4と、これらのスペーサ4に図示上下方向の圧縮力を与える楔5とによって固定している。
【0029】
さらに、絶縁コイル1と鉄心7のスロット2との間(絶縁コイル1の側面片側に位置する部分)には、充填部材14を充填し、この充填部材14によっても絶縁コイル1を固定している。
【0030】
ここで、充填部材14は、シート状もしくはテープ状の弾性体に、有機物に比較して熱伝導性に優れた無機物および金属の少なくともいずれか一方を配合してなる複合弾性体である。
【0031】
また、この場合、複合弾性体としては、
(a)シート状もしくはテープ状の弾性体に、有機物に比較して熱伝導性に優れた無機物および金属の少なくともいずれか一方の短繊維もしくはウィスカーを、その軸方向を弾性体の面垂直方向に揃えて配合してなる複合弾性体
(b)シート状もしくはテープ状の弾性体に、有機物に比較して熱伝導性に優れた無機物および金属の少なくともいずれか一方の短繊維もしくはウィスカーを、その軸方向を弾性体の面垂直方向を除く方向に揃えて配合してなる複合弾性体のいずれかを用いることが好ましい。
【0032】
本実施の形態では、シート状もしくはテープ状の弾性体に、有機物に比較して熱伝導性に優れた金属の短繊維を、その軸方向を弾性体の面垂直方向を除く方向に揃えて配合してなる複合弾性体を用いる。
【0033】
図2は、図1の回転電機における一部を拡大した部分拡大図である。
図2において、充填部材14は、ほぼ45度に傾斜させて、ほぼ一方向(弾性体の面垂直方向を除く方向)に配合された、直径20μm、長さ0.7mmの銅の短繊維15と、マトリックス(弾性体)であるシリコーンゴム16とから構成している。
【0034】
ここで、シリコーンゴム16中に、銅の短繊維15が占める割合は、15vo1%としている。
また、絶縁コイル1の幅と充填部材14の厚さの合計は、スロット2幅に対して15%程度大きくなるようにしている。
【0035】
この充填部材14を、実際に回転電機の絶縁コイル1と鉄心7のスロット2との間に充填する場合には、充填部材14を、順方向、すなわちスロット2挿入時に変形して短繊維15がさらに傾斜する方向に、絶縁コイル1の側面片側に貼り付けて、スロット2内に挿入する。
【0036】
次に、以上のように構成した本実施の形態の回転電機においては、有機物に比較して熱伝導性に優れた金属(銅)を配合した複合弾性体である充填部材14を、回転電機の絶縁コイル1と鉄心7のスロット2との間に充填していることにより、前述した従来のような有機弾性体単独の場合に比べて熱伝導性が向上し、また複合弾性体である充填部材14が鉄心7の凹凸に追従して熱伝導を阻害する空隙が生じ難いため、絶縁コイル1に発生した熱を鉄心7に効率良く伝導して、絶縁コイル1の温度上昇を抑制することができる。
【0037】
この場合、本実施の形態では、金属(銅)の短繊維15を、その軸方向を面垂直方向を除く方向に揃えて配合した複合弾性体である充填部材14を、回転電機の絶縁コイル1と鉄心7のスロット2との間に充填していることにより、熱を伝導し易い経路を、単なる粒子充填もしくは短繊維等の無方向充填に比べて短縮することができるため、より一層熱伝導性が向上し、また複合弾性体である充填部材14が鉄心7の凹凸に追従して熱伝導を阻害する空隙が生じ難いため、垂直方向に配合する場合に比べて、短繊維等の剛性の影響を低減することができる。
【0038】
この熱的特性ついては、図2に示す充填部材14の厚さ方向に関する熱伝導率を定常法によって測定した。その結果、1.02w/ m・k となり、シリコーンゴム16の平均的熱伝導率である0.23w/ m・k の4倍以上の熱伝導率であることを確認することができた。
【0039】
一方、本実施の形態の回転電機においては、複合弾性体である充填部材14の反発力によって、絶縁コイル1を確実に固定することができる。
すなわち、絶縁コイル1の幅と充填部材14の厚さの合計は、スロット幅に対して15%程度大きくなるようにしている。このため、スロット2の幅方向に対して反発力が作用し、これを垂直抗力としたシリコーンゴム16の摩擦力による固定力、および積層した鋼板6からなる鉄心7の凹凸によるエッジ効果によって発生するスロット2長手方向の固定力が生じる。
【0040】
さらに、銅の短繊維15の傾斜方向を、挿入時に順方向となるようにしていることにより、絶縁コイル1が抜ける方向に力が作用した場合には、銅の短繊維15の傾斜が減少し、厚さ方向に対して、さらなる反発力を生じ、固定力が増加する。
【0041】
以上の結果、熱伝導性に優れた金属(銅)の短繊維15の軸方向を面垂直方向を除く方向に揃えて配合した充填部材14を用いることにより、絶縁コイル1の温度上昇を低減することができる。
【0042】
また、スロット2の挿入方向に対して、金属(銅)の短繊維15軸を順方向とすることにより、絶縁コイル1の固定力を増加することができる。
上述したように、本実施の形態による回転電機においては、シート状もしくはテープ状の弾性体(シリコーンゴム16)に、有機物に比較して熱伝導性に優れた金属(銅)の短繊維15を、その軸方向を弾性体の面垂直方向を除く方向に揃えて配合してなる複合弾性体である充填部材14を、絶縁コイル1と鉄心7のスロット2との間に充填するようにしたものである。
【0043】
従って、有機弾性体単独の場合に比べて熱伝導性が向上し、また複合弾性体である充填部材14が鉄心7の凹凸に追従して熱伝導を阻害する空隙が生じ難いため、絶縁コイル1に発生した熱を鉄心7に効率良く伝導して、絶縁コイル1の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0044】
特に、この場合、金属(銅)の短繊維15を、その軸方向を面垂直方向を除く方向に揃えて配合した複合弾性体を充填するようにしているので、熱を伝導し易い経路を、単なる粒子充填もしくは短繊維等の無方向充填に比べて短縮することができるため、より一層熱伝導性が向上し、また複合弾性体である充填部材14が鉄心7の凹凸に追従して熱伝導を阻害する空隙が生じ難いため、垂直方向に配合する場合に比べて金属(銅)の短繊維15等の剛性の影響を低減することが可能となる。
【0045】
また、複合弾性体である充填部材14の反発力によって、絶縁コイル1を確実に固定することが可能となる。
(第2の実施の形態)
図3は、本実施の形態による回転電機のステータの構成例を示す部分断面斜視図であり、図1と同一部分には同一符号を付して示している。
【0046】
図3において、あらかじめ樹脂の含浸・硬化等の処理を行なった、絶縁物と導体とからなる絶縁コイル1を、複数の鋼板6を積層してなる鉄心7のスロット2内に収納している。
【0047】
また、絶縁物と導体とからなる絶縁コイル1は、図示上下面に位置するFRPからなるスペーサ4と、これらのスペーサ4に図示上下方向の圧縮力を与える楔5とによって固定している。
【0048】
さらに、絶縁コイル1と鉄心7のスロット2との間(絶縁コイル1の側面片側に位置する部分)には、充填部材14を充填し、この充填部材14によっても絶縁コイル1を固定している。
【0049】
ここで、充填部材14は、弾性体に、有機物に比較して熱伝導性に優れた無機物および金属の少なくともいずれか一方を配合してなる複合弾性体である。
本実施の形態では、弾性体に、有機物に比較して熱伝導性に優れた金属の短繊維を無方向に配合してなる複合弾性体を用いる。
【0050】
図4は、図1の回転電機における絶縁コイル1、スペーサ4、楔5を取り外した状態を示す部分断面斜視図である。
図4において、充填部材14は、15vol%の割合で無方向に配合された直径20μm、長さ0.5mmの銅の短繊維15と、マトリックス(弾性体)である室温硬化型液状シリコーンゴム(TSE-382 、東芝シリコーン(株)製)16との混合物を、ほぼ均一な厚さとなるように塗布し、硬化させたものである。
【0051】
ここで、充填部材14の塗布厚さは、絶縁コイル1の幅と充填部材14の厚さの合計が、スロット2幅の15%程度増加した値となるようにしている。
この充填部材14を、実際に回転電機の絶縁コイル1と鉄心7のスロット2との間に充填する場合には、充填部材14を、図3に示すようにスロット2表面に塗布(コーティング)したスロット2に、絶縁コイル1を挿入する。
【0052】
次に、以上のように構成した本実施の形態の回転電機においては、金属(銅)を配合してなる複合弾性体のコーティング層である充填部材14を、鉄心7のスロット2表面に形成していることにより、前記第1の実施の形態のように、絶縁コイル1に充填部材14を形成し、これをスロット2内に挿入する場合に比べて、鉄心7の凹凸への追従を、複合弾性体のコーティング層である充填部材14の柔軟性に依存しないで、鉄心7のスロット2と絶縁コイル1との間隙3をすき間なく充填できるため、絶縁コイル1に発生した熱を鉄心7により一層効率良く伝導して、絶縁コイル1の温度上昇を抑制することができる。
【0053】
一方、本実施の形態の回転電機においては、複合弾性体である充填部材14の反発力によって、絶縁コイル1を確実に固定することができる。
すなわち、絶縁コイル1の幅と充填部材14の厚さの合計は、スロット2幅に対して15%程度大きくしている。このため、スロット2の幅方向に対して反発力が作用し、これを垂直抗力としたシリコーンゴム16の摩擦力による固定力を生じる。
【0054】
以上の結果、前記第1の実施の形態のように、複合弾性体である充填部材14を絶縁コイル1に形成し、スロット2内に挿入する場合に比較して、熱伝導性に優れた金属(銅)の短繊維15を配合した複合弾性体のコーティング層である充填部材14をスロット2表面に形成し、絶縁コイル1を挿入することにより、複合弾性体のコーティング層である充填部材14の熱伝導率が向上し、かつスロット2表面と充填部材14との間にできる空隙を低減することができるため、絶縁コイル1の固定の他、発生したジュール熱をより効率良く鉄心7に伝導して、絶縁コイル1の温度上昇を低減することができる。
【0055】
上述したように、本実施の形態による回転電機においては、弾性体(シリコーンゴム16)に、有機物に比較して熱伝導性に優れた金属(銅)の短繊維15を無方向に配合してなる複合弾性体のコーティング層である充填部材14を、鉄心7のスロット2表面に形成するようにしたものである。
【0056】
従って、前記第1の実施の形態のように、絶縁コイル1に充填部材14を形成し、これをスロット2内に挿入する場合に比べて、鉄心7の凹凸への追従を、複合弾性体のコーティング層である充填部材14の柔軟性に依存しないで、鉄心7のスロット2と絶縁コイル1との間隙3をすき間なく充填できるため、絶縁コイル1に発生した熱を鉄心7により一層効率良く伝導して、絶縁コイル1の温度上昇を抑制することが可能となる。
また、複合弾性体のコーティング層である充填部材14の反発力によって、絶縁コイル1を確実に固定することが可能となる。
【0057】
【実施例】
前記第1の実施の形態のように、絶縁コイル1に充填部材14を形成し、スロット2内に挿入する場合と、前記第2の実施の形態のように、スロット2内にあらかじめ充填部材14を形成し、スロット2内に挿入する場合における、両者の熱伝導性を比較するため、それぞれ図5および図6に示すようなサンプルを作製した。
【0058】
図5に示すサンプルは、表面片側に1mm幅、1mm深さ、ピッチ1mmの溝加工を施した二つのアルミブロック(A1100) 17の間に、加工面に面するように、液状シリコーンゴム(TSE-382、東芝シリコーン(株))と上記の銅の短繊維より同様の配合比で作製した厚さ5mmの充填部材14を挟み込んだものである。
【0059】
また、図6に示すサンプルは、図5の場合と同様に溝加工を施し、加工面が対面するように配置した二つのアルミブロック17の間に、最小厚さが5mmとなるように隙間なく、図5と同様の液状シリコーンゴム(TSE-382 )および銅の短繊維の混合物14を充填し、硬化させたものである。
【0060】
これらの図5および図6に示すサンプルについて、定常法にて熱伝導率を測定したところ、図6に示すサンプルの方が30%以上高い値となった。
(他の実施の形態)
(a)上記第1の実施の形態では、シート状もしくはテープ状の弾性体に、有機物に比較して熱伝導性に優れた金属の短繊維を、その軸方向を弾性体の面垂直方向を除く方向に揃えて配合する場合について説明したが、これに限らず、有機物に比較して熱伝導性に優れた金属の短繊維を、その軸方向を弾性体の面垂直方向に揃えて配合するようにしてもよい。
【0061】
この場合には、金属の短繊維を、その軸方向を面垂直方向に揃えて配合した複合弾性体である充填部材を、絶縁コイルと鉄心のスロットとの間に充填することにより、熱を伝導し易い経路を最短にすることができるため、有機弾性体単独あるいはこれを無方向に金属を配合する場合に比べて、より一層熱伝導性が向上し、また複合弾性体が鉄心の凹凸に追従して熱伝導を阻害する空隙が生じ難いため、絶縁コイルに発生した熱を鉄心に効率良く伝導して、絶縁コイルの温度上昇を抑制することができると共に、複合弾性体の反発力によって、絶縁コイルを確実に固定することができる。
【0062】
(b)上記各実施の形態では、弾性体に、有機物に比較して熱伝導性に優れた金属を配合する場合について説明したが、これに限らず、弾性体に、有機物に比較して熱伝導性に優れた無機物を配合するようにしてもよい。
【0063】
(c)上記各実施の形態では、弾性体に、有機物に比較して熱伝導性に優れた金属あるいは無機物を配合する場合について説明したが、これに限らず、弾性体に、有機物に比較して熱伝導性に優れた無機物および金属の両方を配合するようにしてもよい。
【0064】
(d)上記各実施の形態では、弾性体に、有機物に比較して熱伝導性に優れた金属またはおよび無機物の短繊維を配合する場合について説明したが、これに限らず、弾性体に、有機物に比較して熱伝導性に優れた金属またはおよび無機物のウィスカーを配合するようにしてもよい。
【0065】
(e)上記各実施の形態では、弾性体に配合する金属として、銅を用いる場合について説明したが、これに限らず、その他の金属を弾性体に配合するようにしてもよい。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、絶縁物と導体とからなる絶縁コイルを、鉄心のスロット内に収納して構成される回転電機において、
まず、請求項1に対応する発明によれば、シート状もしくはテープ状の弾性体に、有機物に比較して熱伝導性に優れた無機物および金属の少なくともいずれか一方の短繊維もしくはウィスカーを、その軸方向を弾性体の面垂直方向に揃えて配合してなる複合弾性体を、絶縁コイルと鉄心のスロットとの間に充填する
【0067】
これにより、絶縁コイルの固定力を維持しつつ、より一層熱伝導性を高めて絶縁コイルの温度上昇を抑制することが可能な回転電機が提供できる。
【0068】
さらに、請求項に対応する発明によれば、シート状もしくはテープ状の弾性体に、有機物に比較して熱伝導性に優れた無機物および金属の少なくともいずれか一方の短繊維もしくはウィスカーを、その軸方向を弾性体の面垂直方向を除く方向に揃えて配合してなる複合弾性体を、絶縁コイルと鉄心のスロットとの間に充填するようにしたので、絶縁コイルの固定力を維持しつつ、より一層熱伝導性を高めて絶縁コイルの温度上昇を抑制することが可能な回転電機が提供できる。
【0069】
さらにまた、請求項に対応する発明によれば、弾性体に、有機物に比例して熱伝導性に優れた無機物および金属の少なくともいずれか一方を配合してなる複合弾性体のコーティング層を、鉄心のスロット表面に形成するようにしたので、より一層熱伝導性を高めて絶縁コイルの温度上昇を抑制することができると共に、絶縁コイルの固定力を維持・向上することが可能な回転電機が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による回転電機の第1の実施の形態を示す部分断面斜視図。
【図2】同第1の実施の形態の回転電機における部分拡大図。
【図3】本発明による回転電機の第2の実施の形態を示す部分断面斜視図。
【図4】同第2の実施形態の回転電機における絶縁コイル、スペーサ、楔を取り外した状態を示す部分断面斜視図。
【図5】同第1の実施の形態による熱伝導率測定用サンプルの実施例を示す斜視図。
【図6】同第2の実施の形態による熱伝導率測定用サンプルの実施例を示す斜視図。
【図7】従来の回転電機のステータの一例を示す部分断面斜視図。
【図8】従来の回転電機のステータの他の例を示す部分断面斜視図。
【図9】従来の回転電機のステータの他の例を示す部分断面斜視図。
【図10】従来の回転電機のステータの他の例を示す部分断面斜視図。
【符号の説明】
1…絶縁コイル、
2…鉄心のスロット、
3…間隙、
4…スペーサ、
5…楔、
6…鋼板、
7…鉄心、
8…充填部材、
9…FRP板、
10…無機物を充填した弾性体層、
11…無機物を充填しない弾性体層、
12…充填部材、
13…波状成形弾性体、
14…充填部材、
15…短繊維、
16…シリコーンゴム、
17…アルミブロック。

Claims (3)

  1. 絶縁物と導体とからなる絶縁コイルを、鉄心のスロット内に収納して構成される回転電機において、
    シート状もしくはテープ状の弾性体に、有機物に比較して熱伝導性に優れた無機物および金属の少なくともいずれか一方の短繊維もしくはウィスカーを、その軸方向を前記弾性体の面垂直方向に揃えて配合してなる複合弾性体を、前記絶縁コイルと前記鉄心のスロットとの間に充填したことを特徴とする回転電機。
  2. 絶縁物と導体とからなる絶縁コイルを、鉄心のスロット内に収納して構成される回転電機において、
    シート状もしくはテープ状の弾性体に、有機物に比較して熱伝導性に優れた無機物および金属の少なくともいずれか一方の短繊維もしくはウィスカーを、その軸方向を前記弾性体の面垂直方向を除く方向に揃えて配合してなる複合弾性体を、前記絶縁コイルと前記鉄心のスロットとの間に充填したことを特徴とする回転電機。
  3. 絶縁物と導体とからなる絶縁コイルを、鉄心のスロット内に収納して構成される回転電機において、
    弾性体に、有機物に比較して熱伝導性に優れた無機物および金属の少なくともいずれか一方を配合してなる複合弾性体のコーティング層を、前記鉄心のスロット表面に形成したことを特徴とする回転電機。
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