JP3674406B2 - 回転電機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は回転電機に係り、特に絶縁物の熱伝導率向上による機器のコンパクト化に好適な回転電機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、回転電機に用いられる絶縁物、例えば固定子巻線の主絶縁の熱伝導率の向上を図ったものとしては、CIGTE,1994 Session,28-Aug-3 Sep.,11,101,「An Improved Insulation System for the Newest Generation of Stator Windings of Rotating Machines」に記載のものがある。上述のものは、酸化アルミニウムなどの高い熱伝導率を有する微少粒子状の絶縁物を主絶縁に充填し、固定子巻線全体の熱抵抗を低減させている。また、特開昭63−110929号公報及び特許第127364号公報(1987)にはマイカ接着層に高熱伝導性粒子又は粒子とガラス繊維を複合して添加した主絶縁材が記載されている。
【0003】
更に、マイカ製テープとガラス繊維とを張り合わせた絶縁材が特許第411834号公報に記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のように固定子巻線の熱抵抗を低減させても、発電容量の増加に伴って熱負荷が増加した場合、固定子巻線の熱抵抗を低減させることができなかった。発電容量が増加すると一般的には固定子巻線に発生する電圧が高くなり、所望の電気絶縁特性が得られるように主絶縁の厚みを大きくする必要がある。特に主絶縁の単位厚み当たりの絶縁破壊電圧が低い場合には、主絶縁の厚みを大きくする。従って、同一のマシンサイズで発電容量を増加させようとしても、上述のように主絶縁の厚みを大きくしなければならず、必然的に機器の大型化が避けられなかった。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みなされたものであり、主絶縁及び他の絶縁材を構成する絶縁材の絶縁破壊電圧と熱伝導率とを調整して、必要な絶縁材の厚さあるいは容積を小さくして、回転電機のコンパクト化及び低コスト化を図ることを目的とするものである。また、導体に絶縁物が施された状態で絶縁物の熱伝導率の測定が行える熱伝導率測定方法の提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の基本的な特徴は、固定子巻線を構成する主絶縁が実質的に粒状の充填材を含まない薄片状の無期絶縁材を熱硬化性樹脂で接着した第1の絶縁層と、繊維状のクロス絶縁材と粒状の高熱伝導性充填材を樹脂に分散,硬化した第2絶縁層との積層体を有し、その初期絶縁破壊電圧Vが20kV/mm以上で、積層体の厚さ方向の熱伝導率λが0.35−1W/m・K、好ましくは0.5−1W/m・Kとの積Vλが7≦Vλ≦20(MVW/m2・K)となるように設定したものである。上記の熱伝導率λを得るため、5W/m・K以上の熱伝導率を有する高熱伝導性の微粒子を繊維クロスとともに、樹脂に充填又は混合し、上記Vλの値を満足する絶縁材を得る。第1の絶縁層は、マイカなどの絶縁耐力を確保する高絶縁の薄片状絶縁物例えば、マイカ片を熱硬化性樹脂で接着したものである。この第1絶縁層には、薄片状絶縁物が層状に整列して接着されるように、また薄片状絶縁物の破壊を防ぐため、粒状の硬い絶縁物を実質的に添加しない。この点は前記公知例と全く異なった思想に基づいている。
【0007】
第2の絶縁層は、ガラス繊維等の繊維クロスを含む。繊維クロスは絶縁に機械強度を与え、かつ主絶縁を構成する複合積層体をテープにするために必要である。クロスは織布でも不織布でも良い。粒状の高熱伝導性絶縁材は主絶縁テープに高熱伝導性を与えるために不可欠で、5W/mK以上、特に30Wm・K以上の材料が選ばれる。このクロスと粒状填材を熱硬化性樹脂に分散,硬化する。第1と第2の絶縁層は必要に応じ、それぞれ1層以上積層する。この積層体の厚さ方向の熱伝導率を0.3W/mK以上、特に0.35−1W/m・K、より好ましくは0.5 −1W/mKとなるように、樹脂の量を選択する。樹脂の量は、積層体の初期絶縁破壊電圧を左右する。樹脂量を少なくし過ぎると、選られたテープの初期絶縁破壊電圧が不十分となり、樹脂が多すぎると絶縁テープの熱伝導率が不十分となる。絶縁テープ中の樹脂量はおおよそ20ないし50重量%がよい。
【0008】
第2の絶縁層を構成する絶縁材はスペーサ絶縁としても用いることができる。第2の絶縁層の熱伝導率が0.35−1W/m・Kで、初期絶縁破壊電圧が20kV以上となるように樹脂量と充填材の量を調整する。
【0009】
上記のVλを満足するように、樹脂中に添加する絶縁材の量を調節し、必要な熱伝導率を確保し、絶縁破壊電圧が低下しないようにする。このように、Vλを上述の範囲に設定した主絶縁により構成した固定子巻線を回転電機に用いると、水素により機内を冷却する回転電機の場合、回転数当たりの発電容量に対する回転子の直径の二乗と固定子の軸長との積の比は40m3・rpm/MVA以下となり、回転数当たりの発電容量に対する回転子の直径の二乗と回転軸の支持間の長さとの積の比は50m3・rpm/MVA以下となる。空気により機内を冷却する回転電機の場合、回転数当たりの発電容量に対する回転子の直径の二乗と固定子の軸長との積の比は70m3・rpm/MVA以下となり、回転数当たりの発電容量に対する回転子の直径の二乗と回転軸の支持間の長さとの積の比は85m3・rpm/
MVA以下となる。
【0010】
また、本発明は、5W/m・K以上の熱伝導率を有する絶縁物を固定子巻線のエンド部の巻線間に挟めるスペーサ,回転子を構成する絶縁物、例えばスロット絶縁や絶縁ブロック或いはリテニングリング絶縁に充填又は混合し、回転電機の熱伝導率の向上を図る。
【0011】
また、本発明は、無機材料又は有機材料繊維を織り込んだテープを基材とする絶縁被覆電線にも適用でき、5W/m・K以上の熱伝導率を有する絶縁物を絶縁樹脂中に充填又は混入することにより、絶縁被覆電線の熱伝導率の向上を図る。主絶縁は5W/m・K以上の熱伝導率を有する微粒子状,繊維状及び薄片状の絶縁物を単独でまたは組み合わせて熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂中に充填又は混入し、絶縁材としての初期絶縁破壊電圧が20kV/mm以上で、熱伝導率が0.35−1W/m・K となるように形成したものである。5W/m・K以上の熱伝導率を有する微粒子状又は繊維状の絶縁物を熱硬化性樹脂,熱可塑性樹脂又はゴムに充填又は混入し、熱伝導率が0.35−1W/m・K の絶縁材を形成し、これをスペーサとして固定子巻線のエンド部の巻線間に挟んでもよい。
【0012】
本発明では、回転電機等に形成された被測定物に断熱ブロック部材を当接し、断熱ブロック部材の一つの平面又は局面に熱線又は箔ヒータあるいはそれらを組み合わせた加熱部材を当接し、加熱部材によりブロック部材を加熱し、ブロック部材の温度変化を測定することにより被測定物の熱伝導率を測定する。
【0013】
本発明において用いられる熱伝導率が5W/m・K以上の高熱伝導性の絶縁材料としては、窒化ホウ素,窒化アルミニウム,窒化ケイ素,酸化アルミニウム,酸化マグネシウム,酸化ベリリウム,炭化ケイ素などがある。特に熱伝導率が30W/mK以上で、体積抵抗が1013Ωcm以上の酸化アルミニウム,窒化ホウ素,酸化マグネシウムなどが良い。これらは、平均粒径が20μm以下の粒子の形状で用いる。ガラス繊維あるいは他の有機,無機繊維を基材とする絶縁材が知られているが、これらの繊維を上記粒状絶縁材と共に樹脂中に混在させる。
【0014】
主絶縁には、高い絶縁破壊電圧が要求されるから、薄片状無機材料を接着樹脂で張り合わせた絶縁材(これは特に耐圧を分担する)と、上記繊維又は粒子の一方あるいは両者を樹脂中に分散した絶縁材とを積層した複合絶縁材が使用される。マイカのようにやや脆い無機絶縁材を薄片状絶縁物として使用する場合、この絶縁層中に上記粒子や繊維をなるべく混入しないようにする。混入すると、薄片状マイカを層状に配列できなくなり、絶縁耐力が低下し、またマイカを破壊して、絶縁耐力を低下する恐れがある。
【0015】
主絶縁に比べ、耐圧があまり要求されないスペーサなどの絶縁材としては、短繊維又は粒子を樹脂に分散して形成した絶縁材を使用する。繊維状の充填材は、ガラスクロスなどの織布,不織布あるいは短繊維の形で充填することができる。繊維クロスはスペーサの機械的強度を維持するために、必要な材料である。このような絶縁材は複数層積層しても用いることができる。特にガラスクロスなどの織布を用いた場合は、積層して必要な厚さの絶縁材にする。
【0016】
第1絶縁層及び第2絶縁層中の樹脂の量は、樹脂+充填材の合計量の10ないし25重量%が良い。樹脂の量が10重量%未満であると、絶縁材の熱伝導性は高くなるが、絶縁耐圧が不十分となる。大容量の回転電機の主絶縁としては、
20kV/mm以上の耐圧が必要とされるから、絶縁耐力を十分確保するため、樹脂量を10重量%以上とする。
【0017】
一方、樹脂量が25重量%を超えると、高熱伝導充填材の量が不足して、絶縁材の熱伝導性が不十分となり、主絶縁層を厚くする必要があり、機器が大型化する。第1,第2の絶縁層を有する積層型の絶縁材において、充填材+樹脂に対する樹脂の量は20ないし50重量%が好ましい。
【0018】
本発明において用いられる樹脂としては、主絶縁は主としてエポキシ樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,アルキッド樹脂,ポリアミド樹脂などの熱硬化性樹脂を用いる。スペーサとして本発明が提案する絶縁材を使用する時は、熱可塑性樹脂たとえば飽和ポリエステル樹脂、あるいはゴム性のアクリルブタジエン共重合体などを用いることができる。
【0019】
主絶縁を回転電機の導体に形成する方法は、従来公知の方法が利用できるが、詳細実施例の中で説明する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0021】
図1乃至図3は本実施の形態のタービン発電機の構造を示す。図において1は固定子枠である。固定子枠1の内周側には固定子鉄心2を設けている。図2のように固定子鉄心2は、薄いリング状の珪素鋼板を複数枚積層し形成した鉄心ブロック14と、周方向に一定ピッチでスペーサ16を複数配置したものとを複数積層してなる円筒形状のものである。このようにスペーサ16を介して珪素鋼板を複数積層することにより、固定子鉄心2には半径方向に連通した通風ダクト17を周方向及び軸方向に複数形成することができる。
【0022】
固定子鉄心2の内周面側には軸方向に連続したスロット18を周方向に複数設けている。スロット18の各々には固定子巻線3を収納している。図2のようにスロット18の各々は径方向に縦長の長方形断面形状を有するものであり、固定子巻線3は絶縁物19を介して径方向に2段積層された状態でそこに収納されている。また、スロット18の各々は固定子鉄心2の内周面側が開放している。このため、スロット18の各々の固定子巻線3よりも固定子鉄心2の内周面側には収納した固定子巻線3がスロット18の各々から飛び出さないように、固定子巻線3の収納後、絶縁物19を介してウェッジ20を挿入している。固定子巻線3自体の構成については後述する。
【0023】
固定子鉄心2の内周側には空隙、いわゆるエアギャップを介して回転子鉄心4を回転可能なように設けている。回転子鉄心4は回転軸7を一体形成したものである。回転軸7は回転子鉄心4の両側端面の中心部から軸方向に延び、固定子枠1の両端を塞ぐエンドブラケット10の内周側に設けた軸受装置8によって回転自在に支承されている。回転軸7の回転子鉄心4の両端側にはファン9を設けている。ファン9は回転軸7と共に回転し、機内に封入した冷却媒体を機内循環するようになっている。
【0024】
回転子鉄心4の外周面側には軸方向に連続したスロット21を周方向に複数設けている。スロット21の各々の底部側には軸方向に連通したサブスロット27を設けている。スロット21の各間にはサブスロット27と回転子鉄心4の外周面とを連通する通風スロット28を複数設けている。スロット21の各々には回転子巻線5を収納している。図3のようにスロット21の各々は径方向に縦長の長方形断面形状を有するものである。回転子巻線5は長方形状の巻線導体22とターン絶縁23とを交互に径方向に複数積層したものである。
【0025】
回転子巻線5とスロット21の間にはスロット絶縁24を配置している。スロット21の各々は回転子鉄心4の外周面側が開放している。このため、収納した回転子巻線5がスロット21の各々から飛び出さないようにスロット21の各々の回転子巻線5よりも回転子鉄心4の外周面側には収納した回転子巻線5がスロット21の各々から飛び出さないように、回転子巻線5の収納後、絶縁ブロック25を介してウェッジ26を挿入している。回転子巻線5の両端は回転子鉄心4の両端においてリテニングリング絶縁を介してリテニングリング6によって強固に固定されている。
【0026】
固定子枠1と固定子鉄心2との間の空間には冷却器11を複数設けている。冷却器11は機内に封入されている冷却媒体、例えば空気や水素を冷却するために設けられている。回転軸7の一方端には回転子巻線5に電力を供給するための集電装置12を接続している。集電装置12は回転子巻線5に接続され回転軸7と共に回転するスリップリングの外周面上にカーボンブラシを押圧接触させて回転する回転子巻線5に電力を供給するものである。発電によって得られた電力は固定子枠1の外側に設けられたターミナル13から取り出される。
【0027】
次に、本実施の形態の冷却方法について説明する。本実施の形態では固定子巻線3の内部に冷却水を流通させたり、機内に封入された空気や水素などの冷却媒体をファン9によって機内循環させたりして機内を冷却している。具体的に前者のものは固定子巻線3の巻線導体を中空とし、固定子巻線3の両端にクリップと呼ばれる箱体を取り付け、一方側のクリップから冷却水を供給し、冷却水を固定子巻線3内部を流通させて冷却し、他方側のクリップから冷却し終えた冷却水を排出するというものである。
【0028】
後者のものは機内に封入されている空気や水素などの冷却媒体を冷却器11によって冷却し、冷却された冷却媒体をファン9によって機内流通し、各部分を冷却するというものである。さらに詳細に説明すると、冷却器11によって冷却された冷却媒体はファン9の排気側から回転子鉄心4端部の回転子巻線5と回転軸7との間、固定子鉄心2と回転子鉄心4との間のエアギャップ、固定子巻線3のコイルエンド部の空間に導かれて各部分を冷却する。尚、図2,図3の矢印は冷却媒体の流れを示す。
【0029】
回転子鉄心4端部の回転子巻線5と回転軸7との間に導かれた冷却媒体は回転子巻線5の端部を冷却する。回転子巻線5の端部を冷却した冷却媒体はサブスロット27,通風スロット28を流通し回転子鉄心4を内部から冷却する。回転子鉄心4を冷却した冷却媒体は固定子鉄心2と回転子鉄心4との間のエアギャップに導かれる。
【0030】
エアギャップに導かれた冷却媒体は固定子鉄心2の内周側及び回転子鉄心4の外周側を冷却する。これらを冷却した冷却媒体は上述の回転子鉄心4内部からエアギャップに導かれた冷却媒体と合流し、通風ダクト17を流通して固定子鉄心2を内部から冷却する。固定子鉄心2の内部を冷却した冷却媒体は固定子枠1と固定子鉄心2との間の空間を流通し、冷却器11によって冷却される。
【0031】
固定子巻線3のコイルエンド部の空間に導かれた冷却媒体は固定子巻線3のコイルエンド部を冷却し、固定子鉄心2の外周側に至る通風路を流通して固定子鉄心2の外周側に導かれる。固定子鉄心2の外周側に導かれた冷却媒体は通風ダクト17を流通して固定子鉄心2を内部から冷却する。固定子鉄心2を内部から冷却した冷却媒体はエアギャップに導かれ、上述のエアギャップに導かれた冷却媒体と合流し、通風ダクト17,固定子枠1と固定子鉄心2との間の空間を流通し、冷却器11によって冷却される。
【0032】
尚、本実施の形態では機内に封入された冷却媒体を機内に設けた冷却器によって冷却する例について説明したが、機外に設けた冷却器によって冷却した冷却媒体を機内に送り込み、冷却後、その冷却媒体を回収し、冷却器によって冷却して再び機内に送り込む方式を用いても構わない。
【0033】
次に、固定子巻線3の構造をさらに詳細に説明する。図4は本実施の形態の固定子巻線3の構造を示す。固定子巻線3は素線絶縁を施した長方形断面形状の素線をm行n列(m,nは任意の整数)並べて形成した巻線導体29と、巻線導体29の外周側に施された主絶縁30から構成したものである。主絶縁30はテープ状又はシート状の絶縁材を巻線導体29の外周部に複数回巻き、樹脂を含浸させて加熱硬化させて形成したものである。テープ状又はシート状の絶縁材の巻く回数は主絶縁30の厚み、すなわち得られる耐電気絶縁特性をどの程度にするかによって決まる。主絶縁15の最外周にはコロナ放電を防ぐコロナシールドを巻いている。
【0034】
次に、主絶縁15を形成する絶縁材の構造について説明する。図5は本実施の形態の絶縁材の構造を示す。絶縁材はマイカ層31,基材層32及び樹脂層33の積層体である。マイカ層31は電気絶縁強度を確保するものであり、マイカ箔を有している。基材層32は機械的強度を確保するものであり、ガラス繊維を織り込んだものである。樹脂層33はマイカ層31と基材層32に含浸され硬化される樹脂からなるものであり、その中には充填材を充填又は混入している。
【0035】
充填材は5W/m・K以上の熱伝導率を有する酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどの電気絶縁物であって、高熱伝導微粒子状又は短繊維状又は薄片状のものである。尚、基材層32としては酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどの繊維をクロスに織り込んだ状態のものであってもよい。また、樹脂層33は基材層32側に積層されていても、マイカ層31側に積層されていてもよく、両側であってもよい。
【0036】
上述の絶縁材は次のように製造したものである。以下、その一実施例を説明する。まず、水中分散したマイカ粒子を抄紙機により抄造し製作した集成マイカ箔(重さ165g/m2),ガラスクロス(重さ35g/m2)を用意し、これらにノボラック型エポキシ樹脂100重量部に対しBF3 モノエチルアミン3重量部を加えてなる樹脂(含浸量85g/m2 )を含浸し、接着して集成マイカシート(マイカ層31と基材層32からなる積層体)を得る。
【0037】
この後、酸化アルミニウムの粒子体とノボラック型エポキシ樹脂100重量部に対しBF3 モノエチルアミン3重量部を加えてなる樹脂とを、酸化アルミニウムの粒子体と樹脂との重量比が2:1となるように混合し、これにメチルエチルケトン10重量%を加え、集成マイカシートの基材層32側面にロールコータで塗工量が256g/m2 となるように塗工する。
【0038】
この後、乾燥炉内でメチルエチルケトンを揮発,除去してシート状の絶縁材を得る。テープ状の絶縁材を得るためにはシート状の絶縁材を30mm幅にスリットすることにより得られる。上述のように得られたテープ状の絶縁材はプリプレグテープとも呼ばれ、その中に含まれている樹脂量は絶縁材全体の31.4 重量%、マイカ層31に含まれている樹脂量は絶縁材全体の12.9 重量%、基材層
32に含まれている樹脂量は絶縁材全体の15.0 重量%であり、次のように巻線導体29に施される。
【0039】
まず、巻線導体29の外周側に上述のように得られたテープ状の絶縁材を一部重ねて巻く。この後、絶縁材の外周側に離型テープを巻く。この後、周囲に成形治具を取り付け、成形治具を介して外表面より外力を与え、絶縁材中に含まれている樹脂の一部を排出しつつ所定の温度で加熱し、絶縁材中に含まれている樹脂を硬化する。これにより、巻線導体29の外周側には主絶縁30が形成され、固定子巻線3が得られる。
【0040】
次に、固定子巻線の主絶縁の絶縁破壊電圧Vと熱伝導率λとの積Vλに対するとマシンサイズの関係を説明する。図6は固定子巻線の主絶縁の絶縁破壊電圧Vと熱伝導率λとの積Vλ=5(MV/m2・K)を100%(基準)としたときの固定子巻線の主絶縁の絶縁破壊電圧Vと熱伝導率λとの積Vλに対するマシンサイズの関係を示す。図6において実線34は機内の冷却に水素を用いた場合、実線35は機内の冷却に空気を用いた場合である。ここで、絶縁破壊電圧Vと熱伝導率λとの積VλはV/(1/λ)=(絶縁抵抗)/(熱抵抗)を意味し、図6から明らかなように絶縁破壊電圧Vと熱伝導率λとの積Vλを大きくするとマシンサイズが小さくなる関係にある。
【0041】
ところで、固定子巻線の主絶縁の厚みは発生電圧に対して絶縁破壊を起こさないように十分な厚みをもたせる必要があるが、上述のように得られた固定子巻線の主絶縁は初期絶縁破壊電圧Vを20kV/mm以上とすることができるので、例えば発生電圧20kVに対する最低限必要な主絶縁の厚みδは20kV/(20kV/mm)=1mmとなる。尚、主絶縁の絶縁破壊電圧は運転年月に応じて低くなるので、主絶縁の厚みは安全余裕度を考えて決める必要がある。
【0042】
また、上述のように得られた固定子巻線の主絶縁は5W/m・K以上の熱伝導率を有する酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどの高熱伝導微粒子状又は短繊維状又は薄片状の絶縁物が充填又は混入されており、その熱伝導率を0.3W/m・K以上とすることができる。尚、主絶縁の熱伝導率は冷却の面から大きい方がよいが、熱伝導率を高くするために酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどの絶縁物の充填量又は混入量を多くし過ぎるとマイカ層及び基材層を保護し強度を確保する樹脂層の割合が少なくなり、機械的強度が低下する。また、冷却媒体の熱伝達による熱抵抗が相対的に大きくなり、熱伝導率λを大きくしても固定子巻線の温度上昇の低減率は小さくなる。
【0043】
以上のことから本実施の形態においては、固定子巻線の主絶縁の絶縁破壊電圧Vと熱伝導率λとの積Vλが7≦Vλ≦20(MVW/m2・K),熱伝導率λが0.3W/m・K 以上となるように、5W/m・K以上の熱伝導率を有する酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどの高熱伝導微粒子状又は短繊維状又は薄片状の絶縁物の充填量又は混入量を調節する。
【0044】
また、上述のように得られた固定子巻線の主絶縁の初期絶縁破壊電圧Vが20kV/mm以上であり、その最低値の20kV/mmを考慮すると、固定子巻線の主絶縁の厚さ方向の熱伝導率λは0.35≦λ≦1(W/m・K)とすることが好ましい。さらに温度分布のバラツキによる安全余裕度を考えると、固定子巻線の主絶縁の熱伝導率λは0.5≦λ≦1(W/m・K)とすることが好ましい。
【0045】
次に、本実施例の電機巻線と比較例の電機巻線との交流絶縁破壊電圧試験結果を表1に基づいて説明する。比較例の電機巻線には、次のように製作した高熱伝導絶縁テープで形成した高熱伝導絶縁を有する電機巻線を用いた。その高熱伝導絶縁テープの製作は、次の通りである。
【0046】
まず、水中分散したマイカ粒子を抄紙機により抄造して製作した集成マイカ箔2(重さ165g/m2),ガラスクロス4(重さ35g/m2)を用意し、これらにノボラック型エポキシ樹脂100重量部に対しBF3 モノエチルアミン3重量部を加えてなる樹脂(含浸量40g/m2 )を含浸し、接着して集成マイカシート(マイカ層3と補強材層5との積層体)を得た。
【0047】
この後、アルミナ粒子,ノボラック型エポキシ樹脂100重量部に対しBF3 モノエチルアミン3重量部を加えてなる樹脂を、アルミナ粒子と樹脂との重量比が3.5:1 となるように混合し、これにメチルエチルケトン10重量%を加え、集成マイカシートの補強材層側面にロールコータで塗工量が230g/m2 となるよう塗工した。この後、乾燥炉内でメチルエチルケトンを揮発,除去して高熱伝導絶縁シートを得た。この後、高熱伝導絶縁シートをスリッタにて30mm幅にスリットし、高熱伝導絶縁テープ1を得た。
【0048】
このように製作した比較例の高熱伝導絶縁テープにおいては、その中の全樹脂量は、高熱伝導絶縁テープ全体の19.3 重量%であった。また、マイカ層中の樹脂量は、高熱伝導絶縁テープ全体の7.1 重量%、高熱伝導充填材層中の樹脂量は、高熱伝導絶縁テープ全体の10.4重量%であった。
【0049】
この後、上記のようにして製作した高熱伝導絶縁テープを用いて電機巻線を製作した。製作方法は、本実施例と同様であり、その説明は省略する。
【0050】
交流絶縁破壊電圧試験にあたっては、本実施例の電機巻線,比較例の電機巻線それぞれの外周にアルミニウム箔を巻き付けて電極とし、それぞれの電機巻線のアルミニウム電極と巻線導体の間に交流電圧を加え交流絶縁破壊電圧を測定した。この結果は、表1に示す通りになった。
【0051】
【表1】
Figure 0003674406
【0052】
表1から明らかなように、本実施例の電機巻線は、比較例の電機巻線よりも交流絶縁破壊電圧が高かった。これは、マイカが層状に欠陥なく成層され,高熱伝導充填材層中の樹脂量が材料全体の10〜25重量%の範囲内にある高熱伝導絶縁テープを用いて電機巻線の高熱伝導絶縁被覆を形成したためである。電機巻線の高熱伝導絶縁被覆の形成の際、その加圧過程において、高熱伝導絶縁テープ中に含まれている微小な気泡を、高熱伝導絶縁テープ中の樹脂の一部と共に充分に排出できたためであった。
【0053】
従って、本実施例の電機巻線は、電気的特性に優れた緻密な高熱伝導絶縁被覆を有しているので、高電圧で運転される回転電機に対して高い信頼性を提供できる。
【0054】
次に、上述のように主絶縁の絶縁破壊電圧Vと熱伝導率λとの積Vλを設定した本実施の形態の固定子巻線を用いた場合の温度上昇低減効果を説明する。図7はその温度上昇低減効果を示すグラフであり、従来技術と比較できるようになっている。図7において棒37は機内の冷却に水素を用いた場合であり、従来技術と比べて温度上昇が30%以上低減している。ここで、固定子巻線の発熱量は電流の二乗に比例するので、30%以上低減は固定子巻線の電機子電流を√1.3=1.15 倍にできることを意味し、通風冷却構造を変更すること無しに出力の増加を達成できる。従って、新設の設備はもちろん、従来の発電設備でも固定子巻線を本実施の形態の固定子巻線に巻き替えすことにより出力の増大を図ることができる。
【0055】
棒38は機内の冷却に空気を用いた場合であり、従来技術と比べて15%以上低減している。この場合も上述と同様に考えることができる。従って、15%以上低減は固定子巻線の電機子電流を√1.15=1.07倍にできることを意味し、上述と同様に通風冷却構造を変更すること無しに出力の増加を達成できる。
【0056】
次に、タービン発電機の発電容量に対するマシンサイズの関係を説明する。図8は回転数当たりの発電容量(横軸)に対する回転子の直径の二乗と固定子の軸長との積、すなわち発電に関わる部分の体積(縦軸)を示している。尚、機内の冷却に空気を用いた場合と水素を用いた場合では、水素を用いた方が熱伝導率及び比熱が大きいため冷却能力が高く、同一マシンサイズでも大きな発電容量を達成できる。また、マシンサイズは回転数当たりの発電容量に対して比例関係にある。
【0057】
機内の冷却に水素を用いた場合は実線41のようになり、回転数当たりの発電容量に対する回転子の直径の二乗と固定子の軸長との積の比を40m3・rpm/MVA以下とすることができる。機内の冷却に空気を用いた場合は実線40のようになり、回転数当たりの発電容量に対する回転子の直径の二乗と固定子の軸長との積の比を70m3・rpm/MVA以下とすることができる。
【0058】
以上のことから本実施の形態では、回転子表面における流体との摩擦損失を含む機械損失の増大を抑えながら150MVAを超え300MVAクラスの空気冷却発電機及び200MVAを超え500MVAクラスの水素冷却発電機が実現できる。尚、7m3 以上のマシンサイズは機械損失による冷却流体の温度上昇が大きくなるので、現実的なマシンサイズにおけるタービン発電機の実現が困難である。すなわち破線39が限界となる。
【0059】
また、図8に示す関係は回転数当たりの発電容量に対する回転子の直径の二乗と回転軸の支持間の長さ(軸受支持間の距離)との積の比の関係で示し、機内の冷却に水素を用いた場合は50m3・rpm/MVA以下、機内の冷却に空気を用いた場合は85m3・rpm/MVA以下となる。
【0060】
次に、上述の絶縁材の構成をタービン発電機内の他の絶縁物に適用した場合におけるその絶縁物の構成を説明する。図9はタービン発電機内の他の絶縁物の構成を示す。ここで、他の絶縁物とはスロット絶縁24,絶縁ブロック25,リテイニングリング絶縁,固定子巻線3のコイルエンド部の巻線間に挟まれるスペーサなどである。これらの絶縁物はガラス繊維を織り込んだ基材層32と、樹脂層33を複数積層してなる積層体であり、樹脂層33には5W/m・K以上の熱伝導率を有する酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムなどの高熱伝導微粒子状又は短繊維状又は薄片状の絶縁物を充填又は混入している。
【0061】
本実施の形態では上述のように5W/m・K以上の熱伝導率を有する酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムなどの高熱伝導微粒子状又は短繊維状又は薄片状の絶縁物を樹脂層33に充填又は混入しているので、スロット絶縁24,絶縁ブロック25,リテイニングリング絶縁,固定子巻線3のコイルエンド部の巻線間に挟まれるスペーサなどの熱伝導率を向上することができる。このように各絶縁物の熱伝導率を向上すると、例えばスロット絶縁24及び絶縁ブロック25の熱伝導率を向上すると回転子巻線5の温度を低減することができる。熱伝導率が従来の2倍程度になれば、温度上昇値を30%程度低減でき、タービン発電機の出力を√1.3=1.15倍増加することができる。
【0062】
また、固定子の温度上昇に余裕があるときは、タービン発電機の予防保全において回転子巻線を更新する際、上述のスロット絶縁を用いることにより、15%程度の出力増加を達成することができる。また、直接冷却の回転子に対して用いることもできるが、直接冷却の回転子ではスロット絶縁を介して冷却する割合が低いので、界磁巻線の温度低減効果は10%程度になる。尚、機内の冷却に空気を用いた場合は、スロット絶縁とスロット又はスロット絶縁と回転子巻線との間の隙間の空気の熱抵抗によりこの効果はさらに小さくなる。
【0063】
次に、本発明に係る絶縁被覆電線の実施の形態を説明する。図10〜図14は本実施の形態の絶縁被覆電線の構造を示す。絶縁被覆電線はタービン発電機の主要構成要素の一つである回転子の励磁機や電動機の固定子巻線などに用いられるものであり、図12〜図14に示す絶縁材により形成した絶縁被覆を有する、図10のような丸形断面形状又は図11のような矩形断面形状のものである。
【0064】
図において42は単線又は撚り線からなる導体である。撚り線は使用目的に応じて素線単位に絶縁被覆が施されている。導体42の外周には絶縁被覆43を施している。絶縁被覆43は樹脂44,樹脂44に充填又は混入した基材45及び基材45の繊維同士の隙間に充填又は混入した充填剤からなるものである。基材45は絶縁材の機械強度を確保するものであり、無機材料又は有機材料の繊維を織り込んだテープ状のものである。充填剤は5W/m・K以上の熱伝導率を有する酸化アルミニウムなどの高熱伝導微粒子状又は薄片状の絶縁物である。尚、基材45は図13のようにロービング材(長繊維状のもの)、図14のように短繊維状のものであってもよい。
【0065】
本実施の形態によれば上述のように基材45の繊維同士の隙間に熱伝導率の高い絶縁物を充填又は混入しているので、絶縁被覆の熱伝導率を向上することができる。尚、基材45にはガラス繊維布が多く用いているが、初めから酸化アルミニウムなどの繊維布を用いれば、基材45にわざわざ高熱伝導の絶縁物を充填又は混入しなくとも簡単に絶縁被覆の熱伝導率を向上することができる。
【0066】
次に本発明に係る熱伝導率測定方法の実施の形態を説明する。図15は本実施の形態の熱伝導率測定方法を実施するための装置構成を示すものであり、具体的にはタービン発電機に用いられる固定子巻線の主絶縁の熱伝導率の測定様子を示している。本実施の形態の熱伝導率測定方法は非定常熱線法を応用したものであり、主絶縁30が巻線導体29に施された状態で測定できる。以下、本実施の形態の熱伝導率測定方法について詳細に説明する。
【0067】
まず、断熱ブロック46の片面に熱線又は箔ヒータなどの加熱部材47を2つ平行して貼り付ける。ここで、断熱ブロック46は等方性の熱伝導率を有する材料により形成したものである。また、断熱ブロック46の熱伝導率は予め定常熱流法により測定しておく。この後、加熱部材47の中央部に熱電対などの温度センサ48を配置する。本実施の形態では断熱ブロック46,加熱部材47,温度センサ48をまとめたものを熱伝導測定ヘッドと呼ぶことにする。
【0068】
熱伝導測定ヘッドの準備ができたならば、この熱伝導測定ヘッドを被測定物である固定子巻線3の側断面に押し当て当接させる。この後、パルス発生器49から発生し増幅器50によって増幅したパルス信号を一方の加熱部材47に加えて加熱部材47を過渡的に加熱する。そして、この時の温度変化を温度センサ48により検出し測定器51により測定する。測定器51は日本機学会論文集(B編),第48巻,433号(昭57−9),pp.1743−1749記載されている方法により、熱伝導測定ヘッドを押し付けた平面と、絶縁物の厚み方向の合成された熱伝導率が測定される。
【0069】
上述の測定が終了したならば今度は、両方の加熱部材47を加熱し、この時の温度変化を温度センサ48により検出し測定器51により測定する。この方法によれば2つ加熱部材47で挟まれた絶縁物の面方向の熱流は小さくなり、絶縁物の厚み方向の熱流が大きくなるので、絶縁物の厚み方向の支配的な熱伝導率が測定される。従って、主絶縁30が巻線導体29に施された状態で主絶縁30の熱伝導率の測定を行うことができる。
【0070】
また、測定前にさまざまな物質に対して加熱部材を発熱させた場合の過渡温度解析を行い、上述の両測定の温度分布を最もよく表す熱伝導率をパラメータサーベイにより求めてこの値を真値とするようにすれば、主絶縁の熱伝導率の測定の際、マシンサイズの低減を図ることができるかどうかの検証も合せて行うことができる。
【0071】
【発明の効果】
本発明に係る回転電機によれば、固定子巻線の主絶縁の高い初期絶縁破壊電圧を十分に維持しつつ熱伝導率が向上するので、主絶縁等の厚さを減らすことができ、かつ機器の温度上昇を押えることができる。従って、マシンサイズの低減及びコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態であるタービン発電機の構成を示す斜視図である。
【図2】図1の固定子側の構成を示す斜視図である。
【図3】図1の回転子側の構成を示す断面図である。
【図4】図2の固定子巻線の構造を示す斜視図である。
【図5】図4の主絶縁を形成するために用いられる絶縁材の構成を示す断面図である。
【図6】固定子巻線の主絶縁の絶縁破壊電圧Vと熱伝導率λとの積Vλに対するマシンサイズの関係を示す図である。
【図7】図5の絶縁材を用いて図4の固定子巻線の主絶縁を形成した場合における温度上昇低減効果を示す図である。
【図8】図5の絶縁材を用いて図4の固定子巻線の主絶縁を形成した場合におけるタービン発電機の発電容量とマシンサイズの関係を説明する図である。
【図9】図5の絶縁材に用いられる構成をタービン発電機内の他の絶縁物に適用した場合における絶縁物(例えば絶縁ブロック)の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態である丸形断面形状の絶縁被覆電線の構成を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態である矩形断面形状の絶縁被覆電線の構成を示す斜視図である。
【図12】図10又は図11の絶縁被覆の一構成を示す断面図である。
【図13】図10又は図11の絶縁被覆の一構成を示す断面図である。
【図14】図10又は図11の絶縁被覆の一構成を示す断面図である。
【図15】本発明の実施の形態である熱伝導率測定方法を説明するためのものであり、熱伝導率測定方法を実施するための装置構成を示す状態図である。
【符号の説明】
1…固定子枠、2…固定子鉄心、3…固定子巻線、4…回転子鉄心、5…回転子巻線、6…リテニングリング、7…回転軸、8…軸受装置、9…ファン、10…エンドブラケット、11…冷却器、12…集電装置、13…ターミナル、29…巻線導体、30…主絶縁、31…マイカ層、32…基材層、33…樹脂層、42…導体、43…絶縁被覆、44…樹脂、45…基材、46…断熱ブロック、47…加熱部材。

Claims (5)

  1. 固定子と、該固定子の内周側に空隙を介して回転可能に設けられた回転子とを備え、前記固定子、外側が主絶縁によって覆われた固定子巻線装着されてなり、機内を水素により冷却してなる回転電機において、
    前記主絶縁は、実質的に粒状の充填材を含まない薄片状の伝導絶縁材を熱硬化性樹脂で接着した第1の絶縁層と、繊維状絶縁材と粒状の高熱伝導性充填材とを樹脂に分散,硬化した第2の絶縁層との積層体からなり、その主絶縁の厚さ方向の初期絶縁破壊電圧Vが20kV/mm以上、前記積層体の厚さ方向の熱伝導率λが0.35−1W/m・K であって、初期絶縁破壊電圧と熱伝導率との積V・λが7≦Vλ≦20(MVW/m2・K) であり、かつ、回転数当たりの発電容量に対する前記回転子の直径の二乗と前記固定子の軸長との積の比が40m 3 rpm /MVA以下であることを特徴とする回転電機。
  2. 固定子と、該固定子の内周側に空隙を介して回転可能に設けられた回転子とを備え、前記固定子は、外側が主絶縁によって覆われた固定子巻線が装着されてなり、機内を空気により冷却してなる回転電機において、
    前記主絶縁は、実質的に粒状の充填材を含まない薄片状の伝導絶縁材を熱硬化性樹脂で接着した第1の絶縁層と、繊維状絶縁材と粒状の高熱伝導性充填材とを樹脂に分散,硬化した第2の絶縁層との積層体からなり、その主絶縁の厚さ方向の初期絶縁破壊電圧Vが20kV/mm以上、前記積層体の厚さ方向の熱伝導率λが0.35−1W/m・Kであって、初期絶縁破壊電圧と熱伝導率との積V・λが7≦Vλ≦20(MVW/m2・K) であり、かつ、回転数当たりの発電容量に対する前記回転子の直径の二乗と前記固定子の軸長との積の比が85m3・rpm/MVA以下であることを特徴とする回転電機。
  3. 5W/m・K以上の熱伝導率を有する粒子状及び短繊維状の絶縁物を単独又は組み合わせて熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂に充填又は混入して形成した絶縁材をスペーサとして前記固定子巻線のエンド部の巻線間に挟んだことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電機。
  4. 回転子の内周側に空隙を介して回転可能に設けられた回転子を備え、該回転子は、回転子鉄心に複数形成されたスロットに収納された回転子巻線と、該回転子巻線と前記スロットとの間に配置されたスロット絶縁と、前記スロットの前記回転子巻線よりも前記回転子鉄心の外周側に配置されたウエッジと、前記回転子巻線との間に配置された絶縁ブロックと、前記回転子鉄心の軸方向両側で前記回転子巻線を固定するリテニングリングと、前記回転子巻線との間に配置されたリテニングリング絶縁とを備えた回転電機において、
    前記スロット絶縁,絶縁ブロック及びリテニングリング絶縁は、5W/m・K以上の熱伝導率を有する微粒子状及び/又は短繊維状の絶縁物を樹脂に充填又は混入して形成され、厚さ方向の熱伝導率が0.35W/m・K 以上の絶縁材であることを特徴とする回転電機。
  5. 鉄心の外周側に設けられた複数のスロットに収納された導体と絶縁物が交互に前記鉄心の半径方向に積層された回転子巻線と、該回転子巻線と前記スロットとの間に介在するスロット絶縁と、前記回転子巻線を前記スロット内に固定するウエッジと、該ウエッジと前記回転子巻線との間に介在する絶縁ブロックと、前記鉄心の軸方向端部側で前記回転子巻線を固定するリテニングリングと、該リテニングリングと前記回転子巻線との間に介在するリテニングリング絶縁とを備えた回転電機の回転子において、
    前記スロット絶縁,絶縁ブロック及びリテニングリング絶縁は、5W/m・K以上の熱伝導率を有する粒子状絶縁物及び繊維クロスを樹脂中に分散,硬化して形成され、厚さ方向の熱伝導率が0.35W/m・K 以上の絶縁材であることを特徴とする回転電機の回転子。
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