JP3647667B2 - 銀を担持したヨウ素除去フィルタ及びヨウ素除去装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気中のヨウ素又は液中のヨウ素を除去するヨウ素除去フィルタ及びヨウ素除去装置に関し、特に、原子力発電所及び使用済み核燃料再処理設備等の原子力施設から放出される129Iや131Iを効果的に除去するのに好適なヨウ素除去フィルタ及びヨウ素除去装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電所、特に原子炉の排気系において、核燃料棒にピンホール等の破損があると、129Iや131Iの核分裂生成物が排出される。このうち、129Iは半減期が107年と極めて長いが、排出量が少量で且つエネルギーも低いという特徴がある。一方、131Iは半減期が8日と短いが、排出量が多く、エネルギーが高いという特徴を有している。したがって、原子炉の排気系において最も危険な核分裂生成物核種は、131Iで、原子力施設における測定評価の対象となっている。
【0003】
また、使用済み核燃料再処理設備においては、原子炉施設から使用済みの核燃料が運び込まれるまでには長い日時が経過しており、半減期の短い131Iは減衰して殆ど存在しないが、半減期の長い129Iは多量に存在する。
【0004】
従来、原子炉施設から排出される131Iを除去するためには、ヨウ化カリウム(KI)を添着した添着活性炭を大量に使用して、放射性ヨウ素である131Iを非放射性のヨウ素と同位体交換することによって捕集している。また、核燃料再処理設備においては、多量に発生する放射性ヨウ素である129Iを捕集するために、銀ゼオライト(AgX,AgZ)を使用している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記に示すヨウ化カリウムを添着した添着活性炭を使用する方法は、大量の活性炭を必要とするためにコストが高くなると同時に、使用した後の活性炭の処理が問題となる。また、銀ゼオライトを使用する方法は、銀ゼオライトが高価であると同時に、脱水や150℃での加熱が必要なことなど、プロセスが複雑で、且つ放射性ヨウ素の除去率が満足できるものではなかった。
【0006】
本発明は上記の問題点を解決すべく完成されたもので、原子力発電所や使用済み核燃料再処理設備等において発生する放射性ヨウ素(129I、131I)を、確実に捕集することができるヨウ素除去フィルタ及び該ヨウ素除去フィルタを用いたヨウ素除去装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ヨウ素を吸着除去する高分子素材を具備するヨウ素除去フィルタであって、前記高分子素材は、高分子基材の主鎖上に、銀を担持させることのできる官能基を有する重合体側鎖を有し、該官能基に銀が担持されていることを特徴とする、ヨウ素除去フィルタに関する。
【0008】
銀がヨウ素を容易に吸着することは当該技術において周知であり、上記のように、銀ゼオライトをヨウ素吸着剤として用いる手法などに応用されている。しかしながら、銀を高分子基材に担持させて、ヨウ素吸着材料を提供するという考えは、本発明者らの知る限りにおいてこれまで存在しなかった。
【0009】
一般に、有機高分子よりなる吸着剤は、高分子主鎖に吸着機能を有する官能基を導入して吸着機能を持たせると共に、この官能基の導入によって生じる物理的強度の劣化を補うために主鎖同士を架橋している。この代表的なものはイオン交換樹脂である。イオン交換樹脂においては、一般にスチレンモノマーを重合したポリスチレン主鎖に、スルホン基や4級アンモニウム基などのイオン交換基が導入されている。しかしながら、これらのイオン交換基は親水基であり、周辺に水分子を数個配位して嵩張っているために、このままでは樹脂の物理的強度が十分でなく、水にも溶解してしまう。イオン交換樹脂においては、この問題を解決するために、ジビニルベンゼンなどの架橋剤を加えてポリスチレン主鎖同士を架橋させている。これによって、樹脂の物理的強度が増し、水への溶解もなくなるが、その反面、架橋構造が形成されることによって、吸着速度や拡散速度等の吸着分離機能が低下するという問題が生じる。
【0010】
本発明においては、高分子基材の高分子主鎖上に、銀を担持させることのできる官能基を有する重合体鎖の形態の側鎖を有しており、該官能基に銀が担持されているので、高分子主鎖の物理的強度をそのまま保持しながら、高いヨウ素吸着性能を基材に付与することが可能なことを見出した。また、本発明に係るフィルタ材料は、高分子主鎖において架橋構造を有していないので、吸着速度及び拡散速度がともに大きく保持される。本発明に係るフィルタを構成する高分子材料においては、主鎖が物理的強度の維持や形状の保持の役割を担う。
【0011】
本発明に係るフィルタを構成する高分子材料において、高分子主鎖上に、銀を担持させることのできる官能基を有する重合体鎖の形態の側鎖を導入する手段としては、グラフト重合法を用いることができる。中でも、放射線グラフト重合法は、ポリマー基材に放射線を照射してラジカルを生成させ、それにグラフトモノマーを反応させることによって、所望のグラフト重合体側鎖を基材に導入することのできる方法であり、グラフト鎖の数や長さを比較的自由にコントロールすることができ、また、各種形状の既存の高分子材料に重合体側鎖を導入することができるので、本発明の目的のために用いるのに最適である。
【0012】
本発明において、銀を担持させることのできる官能基を有する重合体鎖の形態の側鎖を導入する基材として用いることができる材料としては、高分子素材繊維やその集合体である織布や不織布を用いることができる。織布/不織布基材は、放射線グラフト重合用の基材として好適に用いることができ、既存のヨウ素除去装置において使用されている粒状の充填剤と比べて表面積が大きく、除去性能に優れている。また、軽量でフィルタ状に加工することが容易であり、有害なガス成分ばかりでなく、微粒子を除去することもできるので、フィルタの材料として好適である。また、織布/不織布から製造したフィルタは、従来用いられている活性炭や架橋構造を有するイオン交換樹脂が、焼却処理が容易でないのに比較して、使用済みのフィルタの取り扱いも簡単で、容易に焼却処理することができる。
【0013】
本発明の目的のために好適に用いることのできる放射線グラフト重合法において、用いることのできる放射線としては、α線、β線、γ線、電子線、紫外線などを挙げることができるが、本発明において用いるのにはγ線や電子線が適している。放射線グラフト重合法には、グラフト用基材に予め放射線を照射した後、重合性単量体(グラフトモノマー)と接触させて反応させる前照射グラフト重合法と、基材とモノマーの共存下に放射線を照射する同時照射グラフト重合法とがあるが、いずれの方法も本発明において用いることができる。また、モノマーと基材との接触方法により、モノマー溶液に基材を浸漬させたまま重合を行う液相グラフト重合法、モノマーの蒸気に基材を接触させて重合を行う気相グラフト重合法、基材をモノマー溶液に浸漬した後、モノマー溶液から取り出して気相中で反応を行わせる含浸気相グラフト重合法などが挙げられるが、いずれの方法も本発明において用いることができる。
【0014】
繊維や繊維の集合体である織布/不織布は本発明のフィルタ基材として用いるのに最も適した素材であるが、これはモノマー溶液を保持し易いので、含浸気相グラフト重合法において用いるのに適している。
【0015】
本発明において、銀を担持させることのできる官能基の例としては、まず、スルホン基、カルボキシル基、リン酸基などのカチオン交換基を挙げることができる。これらのイオン交換基は、カチオン交換基として代表的なものであり、銀イオンに対するイオン交換反応速度が大きく、銀担持型への調製が容易である。また、アミドキシム基、イミノジ酢酸基のようなキレート基も、銀を担持させることのできる官能基に含まれる。或いは、例えばメタクリル酸グリシジル(GMA)を高分子基材にグラフト重合したものにエチレンジアミンを反応させることによっても、銀を担持させることのできる官能基を形成することができる。
【0016】
本発明において、高分子基材の主鎖上に、銀を担持させることのできる官能基を有する重合体側鎖を導入する方法としては、かかる官能基を有する重合性単量体をグラフト重合によって高分子基材の主鎖上に導入するか、或いは、それ自体は銀を担持させることのできる官能基を有しないが、かかる官能基に変換させることのできる基を有する重合性単量体をグラフト重合によって高分子基材の主鎖上に導入した後、更に反応させて、銀を担持させることのできる官能基に変換することによって、重合体側鎖上に銀を担持させることのできる官能基を導入することができる。
【0017】
この目的で用いることのできる銀を担持させることのできる官能基を有する重合性単量体としては、カチオン交換基であるスルホン基を有する重合性単量体として、スチレンスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウムなどが挙げられ、また、カルボキシル基を有する重合性単量体として、アクリル酸、メタクリル酸などを挙げることができる。
【0018】
また、本発明において用いることのできる、それ自体は銀を担持させることのできる官能基を有しないが、かかる官能基に変換させることのできる基を有する重合性単量体としては、メタクリル酸グリシジル、スチレン、アクリロニトリル、アクロレイン、クロロメチルスチレンなどを挙げることができる。例えば、メタクリル酸グリシジルをグラフト重合によって高分子基材上に重合体側鎖として導入した後、亜硫酸ナトリウムを反応させてスルホン化することによってカチオン交換基に転換させることができる。また、例えば、アクリトニトリルをグラフトモノマーとしてグラフト重合を行い、次に、ヒドロキシルアミンを反応させてニトリル基をアミドキシム基に変換させることによって、キレート基であるアミドキシム基を重合体側鎖上に導入することができる。また、メタクリル酸グリシジルをグラフト重合によって高分子基材上に重合体側鎖として導入した後、イミノジ酢酸ナトリウムを反応させることによって、キレート基であるイミノジ酢酸基を重合体側鎖上に導入することができる。更に、例えばメタクリル酸グリシジルをグラフト重合によって高分子基材上に重合体側鎖として導入した後、エチレンジアミンを反応させることによって、銀を担持させることのできる官能基を重合体側鎖上に導入することができる。但し、本発明において用いることのできる重合性単量体は、上記の例に限定される訳ではない。
【0019】
本発明に係る高分子素材においては、上記に説明した高分子基材の主鎖上に配置された重合体側鎖上に存在する官能基によって銀が担持される。この担持された銀によってヨウ素が吸着される。
【0020】
本発明に係る高分子素材においては、銀イオンをイオン交換的に又はキレート結合によって担持するので、銀イオンの担持量を容易に制御することができる。また、銀イオンはイオン結合又はキレート結合によって安定に結合しており、脱離しにくいので、銀イオンの流出等の環境汚染を少なくすることもできる。
【0021】
本発明の高分子素材において、銀を担持させることのできる官能基への銀の担持は、かかる官能基を重合体側鎖上に有する高分子素材に、硝酸銀、硫酸銀等の銀化合物の溶液を接触させて、イオン交換するか或いはキレート結合させることによって極めて容易に行うことができる。この目的で用いることのできる銀化合物は、可溶性のものであれば、任意の種類の化合物を用いることができる。
【0022】
また、素材をまずアルカリで処理した後に、銀の担持を行うこともできる。例えばカチオン交換基によって銀を担持させる場合、まずカチオン交換基を重合体側鎖上に有する高分子素材を水酸化ナトリウムなどのようなアルカリと反応させて、カチオン交換基をアルカリ金属で変換した後に、これを上記に示すような銀化合物と接触させてイオン交換することによって、銀を担持させることもできる。例えば、カチオン交換基がカルボキシル基などの場合には直接銀を担持させることができないが、この手法を採用することにより、銀を担持させることが可能になる。また、アルカリ処理を行うと、カルボキシル基などのように官能基同士が水素結合で引き合っている場合に、Na型に変換されることにより水素結合が切断されると共に、Naがその周囲に複数の水分子を配位して吸着するために、グラフト鎖が膨潤して、その結果、銀の担持量が増大し、ヨウ素吸着能力が高まることも効果として挙げられる。例えば、高分子素材にアミドキシム基を導入してウラン吸着材として用いる場合、アルカリ処理によって、ウランの吸着量が増加することが報告されている。
【0023】
本発明のフィルタの素材として用いられる高分子材料としては、ポリオレフィン系の有機高分子材料が好ましく用いられる。ポリオレフィン系の有機高分子材料は、放射線に対して崩壊性ではないので、放射線グラフト重合法によってグラフト側鎖を導入する目的に用いるのに適している。更に、フィルタ素材として用いる高分子材料の形態としては、繊維、又は繊維の集合体である織布又は不織布、或いはそれらの加工品が好ましく用いられる。
【0024】
本発明に係るヨウ素除去フィルタは、ヨウ素除去装置におけるヨウ素除去素材として用いることができる。即ち、本発明の更なる態様は、ヨウ素除去素材として、上記に記載の本発明に係るヨウ素除去フィルタを用いたヨウ素除去装置に関する。かかるヨウ素除去装置は、放射性ヨウ素である129Iや131Iが放出される可能性のある、原子力発電所又は核燃料再処理設備における排気ダクトに取り付けることができる。
【0025】
また、本発明に係るヨウ素除去装置は、図1に示すように、ヨウ素除去剤として、活性炭、活性炭素繊維、薬剤添着活性炭、薬剤添着活性炭素繊維、ゼオライト、薬剤添着ゼオライト、シリカゲル、薬剤添着シリカゲルなどを用いる従来のヨウ素除去装置11と組み合わせて用い、従来のヨウ素除去装置11を設置したダクト10の下流側に本発明に係るヨウ素除去装置12を配置することができる。このような複合装置を構成すると、1段目のヨウ素除去装置(従来のヨウ素除去装置)から流出するヨウ素を本発明に係るヨウ素除去フィルタで完全に除去することができ、従来のヨウ素除去剤の十分でない除去性能を補って、安全性を更に向上させることができる。
【0026】
また、本発明に係るヨウ素除去フィルタは、マスク又は防護装置の表面又は内部に組み込んで用いることもできる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るヨウ素除去フィルタは、フィルタ基材を構成する高分子主鎖上に、銀を担持させることのできる官能基を有し、該官能基に銀が担持されていることを特徴としており、物理的強度が高く、空気中のみならず水中においてもヨウ素及び次亜ヨウ素酸等のヨウ素化合物を同時に除去することが可能である。また、銀ゼオライト等に比べて安価に製造することができ、使用後のフィルタの処理も従来の樹脂形態のものと比べて容易である。したがって、本発明に係るヨウ素除去フィルタ及びヨウ素除去装置を用いれば、原子力発電所、核燃料再処理設備等の原子力関連施設から放出される可能性のある放射性ヨウ素を効率よく除去することができ、これらの施設内作業における放射性ヨウ素に起因する被爆の防止、及び施設外への放射性ヨウ素の放出を排除することができる。
【0028】
以下、本発明の実施の種々の形態例を説明する。これらの記載は、本発明を限定するものではない。
【0029】
【実施例】
実施例1
ヨウ素除去フィルタの製造
高分子基材として、繊維径約16μmのポリエチレン繊維よりなる目付56g/m2、厚さ0.2mmの不織布を用いた。この不織布基材に、ガンマ線を窒素雰囲気中で150kGy照射した後、アクリル酸の25%水溶液に浸漬し、溶液を加温して反応させて、グラフト率62%のアクリル酸グラフト不織布を得た。このグラフト不織布を、水酸化ナトリウムの2%水溶液中に室温で30分浸漬して、Na型に変換した。更にこの不織布を、硝酸銀の0.2%水溶液中に1時間浸漬して、銀をイオン交換させて担持させ、乾燥させることによって、本発明に係るヨウ素除去フィルタ材料を得た。
次亜ヨウ素酸の除去
次亜ヨウ素酸の水溶液を60℃に加温しながらバブリングして、次亜ヨウ素酸の蒸気を1.6ppm発生させた。上記で得られたヨウ素除去フィルタ材料を5cm×20cmの寸法に切断したものをのり巻き状にして、内径23mmのカラム中に装填した。発生させた次亜ヨウ素酸の蒸気を、流量200ml/分でカラムに通した。出口側での次亜ヨウ素酸の濃度は0.1ppm以下であった。この結果により、上記のヨウ素除去フィルタ材料は、空気中の次亜ヨウ素酸を有効に除去できることが分かった。
ヨウ素の除去
固体のヨウ素を試験官に入れて、50℃に加熱してヨウ素の気体を発生させた。これを空気で希釈して、ヨウ素濃度0.4ppmに調整した。このヨウ素含有空気を、上記で得られたカラムに、200ml/分で通した。出口側でのヨウ素の濃度は0.1ppm以下であった。これにより、上記のヨウ素除去フィルタ材料は、空気中のヨウ素ガスを有効に除去できることが分かった。
実施例2
ヨウ素除去フィルタの製造
実施例1で用いたものと同様のポリエチレン不織布を高分子基材として用いた。この不織布基材に、ガンマ線を窒素雰囲気中で150kGy照射した後、メタクリル酸グリシジル溶液中に浸漬し、溶液を加温して反応させて、グラフト率118%のメタクリル酸グリシジルグラフト不織布を得た。このグラフト不織布を、亜硫酸ナトリウムの8%水溶液中に浸漬し、80℃で10時間反応させた。中性塩分解容量が2.6meq/gのスルホン酸基を有する強酸性カチオン交換不織布が得られた。この不織布を、硝酸銀の0.2%水溶液中に1時間浸漬して、銀をイオン交換させて担持させ、乾燥させることによって、本発明に係るヨウ素除去フィルタ材料を得た。
次亜ヨウ素酸及びヨウ素の除去
上記で得られたヨウ素除去フィルタを用いて、実施例1と同様の次亜ヨウ素酸除去実験及びヨウ素除去実験を行い、実施例1と同等の除去性能が確認された。
実施例3
ヨウ素除去フィルタの製造
実施例2において得られたグラフト率118%のメタクリル酸グリシジルグラフト不織布を、リン酸の80%水溶液中に浸漬し、80℃で10時間反応させた。中性塩分解容量が0.6meq/gで、弱酸性カチオン交換容量2.4meq/gの中酸性カチオン交換基であるリン酸基を有するカチオン交換不織布が得られた。この不織布を、水酸化ナトリウムの2%水溶液中に1時間浸漬して、Na型に変換した。次に、硝酸銀の0.2%水溶液中に1時間浸漬して、銀をイオン交換させて担持させ、乾燥させることによって、本発明に係るヨウ素除去フィルタ材料を得た。
次亜ヨウ素酸及びヨウ素の除去
上記で得られたヨウ素除去フィルタを用いて、実施例1と同様の次亜ヨウ素酸除去実験及びヨウ素除去実験を行い、実施例1と同等の除去性能が確認された。実施例4
ヨウ素除去フィルタの製造
実施例2において得られたグラフト率118%のメタクリル酸グリシジルグラフト不織布を、イミノジ酢酸ナトリウム/イソプロピルアルコール/水の20/20/60混合溶液中に浸漬し、80℃で8時間反応させた。イミノジ酢酸基3mmol/gのキレート基を有する不織布が得られた。この不織布を、硝酸銀の0.2%水溶液中に1時間浸漬して、銀をキレート基に担持させ、乾燥させることによって、本発明に係るヨウ素除去フィルタ材料を得た。
次亜ヨウ素酸及びヨウ素の除去
上記で得られたヨウ素除去フィルタを用いて、実施例1と同様の次亜ヨウ素酸除去実験及びヨウ素除去実験を行い、実施例1と同等の除去性能が確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヨウ素除去装置を従来のヨウ素除去装置と共にダクトに組み込む使用例を示す概念図である。
【符号の説明】
10 ダクト
11 従来のヨウ素除去装置
12 本発明に係るヨウ素除去装置

Claims (8)

  1. ヨウ素を吸着除去する高分子素材を具備するヨウ素除去フィルタであって、前記高分子素材は、高分子基材の主鎖上に、放射線グラフト重合法を用いて導入された銀を担持させることのできる官能基を有する重合体側鎖を有し、該官能基に銀が担持されていることを特徴とする、ヨウ素除去フィルタ。
  2. 重合体側鎖が、銀を担持させることのできる官能基を有するか、又は銀を担持させることのできる官能基に変換し得る基を有する重合性単量体を、高分子基材の主鎖上に放射線グラフト重合法を用いてグラフト重合することによって得られるものである請求項1に記載のヨウ素除去フィルタ。
  3. 銀を担持させることのできる官能基が、スルホン基、カルボキシル基、リン酸基より選択されるカチオン交換基、又はアミドキシム基、イミノジ酢酸基から選択されるキレート基である請求項1又は2に記載のヨウ素除去フィルタ。
  4. 高分子基材が、繊維、繊維の集合体である織布又は不織布、或いはそれらの加工品から選択される請求項1〜3のいずれかに記載のヨウ素除去フィルタ。
  5. 高分子基材が、ポリオレフィン系の有機高分子よりなる請求項1〜4のいずれかに記載のヨウ素除去フィルタ。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のヨウ素除去フィルタを組み込んだことを特徴とするヨウ素除去装置。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のヨウ素除去フィルタを、ヨウ素除去素材として、活性炭、活性炭素繊維、薬剤添着活性炭、薬剤添着活性炭素繊維、ゼオライト、薬剤添着ゼオライト、シリカゲル、薬剤添着シリカゲルなどを用いる従来のヨウ素除去装置の下流側のダクトに設置したことを特徴とするヨウ素除去装置。
  8. マスク又は防護装置の表面又は内部に請求項1〜5のいずれかに記載のヨウ素除去フィルタを組み込んだことを特徴とするヨウ素除去装置。
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