JP3645936B2 - 表面保護化粧シート - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、住宅などの玄関等の出入口、廊下、台所、浴室などの壁面、家具などの表面を化粧し、外部からの汚染、さらに水、湿気、熱、カビなどから表面を保護するために貼着して用いる化粧シートであってなおかつ、該化粧シート表面への重ね貼りが可能であるシート構成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に化粧シートは、背面に印刷した軟質ポリ塩化ビニルシートまたは他の印刷プラスチックシートとの積層物に粘着剤層を設けて壁面などに固着して用いるのが普通である。こうしたシートの表面を湿気や熱、汚れなどから保護するための手段の一つとして、該表面にフッ化ビニル樹脂やフッ化ビニリデン樹脂などの表面エネルギーの小さいプラスチックフィルム層を設けることが行われてきた。
【0003】
一方、台所や浴室など水まわりの表面保護などとして、アルミニウム箔など金属箔に粘着剤層を設けて固定して用いることが行われているが、金属面が表面に出てしまい著しく美観を損ねるため単なる目止め材としてしか用いることができないものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
化粧シート表面にフッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂を設けた複合シートは、塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン(ABS)樹脂など通常の化粧シートと比べ防水などの性能面ではかなり優れているが、防汚性、耐熱性や長期の耐久性の点では十分満足のいくものではなく、さらに前述の性能向上が求められていた。また、フッ素樹脂系フィルムは帯電性が高く、塵芥の付着が目立つといった欠点も有している。
【0005】
4フッ化エチレン樹脂(パーフロロエチレン樹脂)は、かかる性能では最も優れており、耐薬品性の容器、パッキン、各種電子機器部品などに成形されて用いられているが、樹脂の溶融粘度が著しく高いため押出成形によってフィルム化することが不可能で、丸棒を成形して、切削加工するスカイビング法に依らざるを得ず、然して得た4フッ化エチレン樹脂フィルムは不透明であり、化粧シートの表面などの積層材として用いることが困難であって、またこれを良好に接着する好ましい接着剤がないのが現状である。
【0006】
また、前記粘着剤付アルミニウム箔など金属箔は、耐熱性、防水性は良好であるが、防汚性は良好とは言えず、むしろ経時で表面が酸化していくために汚れが目立ち、かつ酸化による表面汚れは洗剤や有機溶剤による拭取など一般的手段では全く除去できないという欠点を有している。
【0007】
さらに、金属箔は表面が平滑であり、軟質、硬質共に、下地への追従性が良すぎて下地の凹凸を拾うため、それが陰になってしまい表面の凹凸が必要以上に強調されるという欠点も有している。
それ以前において、金属箔面がむき出しになった表面材は美観の面で非常に好ましくなく、一般に表面化粧というより、水もれ防止などどうしてもやむを得ない部位にしか用いられていない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは検討の結果、シート基材の表面にエチレン−4フッ化エチレン共重合体、4フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体のいずれかより選ばれてなる4フッ化エチレン系樹脂フィルム層を設け、他方の面に厚さ20〜100μmの金属箔層と粘着剤層を順次積層してなることを特徴とする表面保護化粧シートにおいて、該化粧シートの粘着剤が(1)アルコキシシリル基を有する化合物を付加または混合してなるアクリル酸エステル共重合体と、液状粘着付与剤を必須成分としてなる組成物、または該粘着剤が(2)アクリル酸エステルポリマー(A)と、フッ化ビニリデン系共重合体(B)と、ジメチルポリシロキサン骨格を有するシリコン粘着剤(C)とを混合してなる組成物により4フッ化エチレン系樹脂フィルム表面への接着性を付与できるものであり、該化粧シートの構成材により、前記課題を解決し得ることを見いだした。
【0010】
本発明は、美観性を有する化粧シートであって、従来からの表面材の防水性、耐熱性、防汚性、防カビ性といった諸特性を4フッ化エチレン系樹脂層を設けることで格段に向上させることができ、金属箔層を設けることにより防湿性、帯電防止性、難燃性およびシート剛性が向上し、また必要に応じて下地材への追従性を付与することも可能となる。
【0011】
【作用】
以下に本発明を図面を用いて説明する。
図1は、本発明に係る表面保護化粧シートの一実施態様を表す概略断面図である。図1より、本発明に係る表面保護化粧シート1は、シート基材4の片面に接着剤3を介してエチレン−4フッ化エチレン共重合体、4フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体のいずれかより選ばれてなる4フッ化エチレン系樹脂フィルム層2が設けられており、該シート基材4の他方の面に接着剤5を介して金属箔層6、さらに粘着剤層7が順次積層されて設けらたものである。なお、表面保護化粧シート1の粘着剤層7(図中の下面)には、通常、使用に際して取り除かれるものである離型紙8が塗付されている。
【0012】
次に、本発明に係る表面保護化粧シートの各構成要件に即して詳細に説明する。なお、文中に部とあるのは重量部を意味する。
まず、シート基材は、化粧シートの基材として意匠性を付与できるものであればよく、一般にはポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリルといったプラスチック類のシート、各種組織の織物、編物、不織布などの繊維基材、およびプリント紙、ツキ板のような木質材も用途に応じ使用可能である。
【0013】
こうしたシート基材は、印刷や捺染、塗装などを施して使用される場合が多いが、プラスチック材料では、使用部位によって単色で差しさえない場合は、顔料練り込みによる着色も可能である。
【0014】
次に、上記基材シートの表面に設けられる4フッ化エチレン系樹脂は、パーフロロエチレン樹脂(PTFE)では実用化困難な優れた加工性を有するものでなければならず、エチレン−4フッ化エチレン共重合体(ETFE)、4フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP)より選ばれてなるものであって、これらの樹脂は360℃以上の高温で溶融してフィルムに押出成形することが可能である。該4フッ化エチレン系樹脂は、延伸性も良好で、二軸延伸して用いることも可能である。
【0015】
こうして得たフィルムは、20〜100μm程度の厚みを有し、透明性も高く、ピンホールもほとんどないという特徴を有している。該フィルムと前記シート基材面の積層は、該フィルムにコロナ処理を施し、シート基材あるいはフィルムのコロナ処理面に、ガラス転移温度が低く高分子量のポリエステル樹脂などを用いた専用接着剤を塗布し、加熱ラミネートすることで可能である。
【0016】
フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂のような1フッ化または2フッ化樹脂では、ごく一般的な接着剤を用いてなんら問題なく積層可能であるが、本発明の4フッ化エチレン系樹脂においては、フィルムの表面処理および加熱条件などに注意して前述のような手法を採る必要がある。
【0017】
次に、金属箔は圧延によって得られる一般の金属箔であって、アルミニウム、銅、鉄、ステンレスなどが使用可能である。これらは軟質、硬質のいずれであっても使用可能であるが、本用途においては厚さ20〜100μmの範囲であることが好ましい。厚さが20μm未満では建築材料としては強度が弱すぎピンホールが発生し易くなると共に、下地に馴染ませる効果が乏しく、また厚さ100μmを越える場合ではシート全体が堅くなりすぎ、化粧シートとしての施工が困難となる。
【0018】
金属箔とシート基材の接着は、いわゆる一般のラミネート接着で可能であり、溶剤形やエマルジョン形のゴム系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、ポリエステル系接着剤、アクリル系接着剤、ポリアミド系接着剤などが任意に選択可能であって、場合によっては、ゴム系やアクリル系などの接着剤や、エチレン酢ビ共重合体などのホットメルト接着剤を使用することも可能である。該接着剤塗付はシート基材、金属箔のいずれに対して行っても支障なく、また溶液塗付、ドライラミネートなどどのようなラミネート方式でも差しさえなく、繊維材、木質基材などを用いる場合にはウエットラミネート方式でも可能である。
【0019】
金属箔の裏面には粘着剤層が設けられている。この際に、金属箔の粘着剤塗付面に、例えば、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂薄層が設けられていてもなんら問題はない。金属箔は伸びがないために食品包装などにおいては殆どの場合、少なくとも片面にポリオレフィン樹脂をエクストルージョンラミネートにより設けるが、これは箔の補強と加工性の向上を目的として行われている。
【0020】
該金属箔面に設けられる粘着剤は、天然ゴム系、ブチルゴム系、ポリイソブチレン系、スチレンブロックポリマー系、アクリル酸エステルポリマー、ポリオルガノシロキサン系など種々のものが挙げられる。
【0021】
表面保護化粧シートは、その低エネルギー表面により粘着剤も接着しづらいものであって、一般的には重ね貼りが不可能である。表面保護化粧に用いる本発明品は、その性質上汚染や、擦過などをうけやすい箇所に貼られて用いられるため補修を必要とする場合が発生する。または本化粧シートの端末処理として化粧シートどうしの重ね継ぎを行う場合もあり、当該表面上に重ね貼り可能な粘着剤を用いることが好ましい。
【0022】
4フッ化エチレン系樹脂表面への接着良好な粘着剤としては、アルコキシシリル基を有する化合物と、液状接着付与剤を含有してなるアクリル酸エステルポリマー系が有効である。アルコキシシリル基を有する化合物として、ビニルシラン、アミノシラン、メルカプトシラン、エポキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられ、これを常法で合成されたアクリル酸エステル共重合体の溶液中でグラフト重合するか、あるいは混合分散する。アルコキシシリル基を含有する粘着剤は、水分との反応により硬化するため、グラフト重合や混合を行うに際し十分な脱水を行う必要がある。
【0023】
該粘着剤に混合添加される液状粘着付与剤は、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、キシレン系樹脂、イソプレン樹脂、石油樹脂などの低軟化点樹脂であって、軟化点が30℃以下、分子量が500〜3000の範囲のものをいう。常温で液状の接着付与樹脂は、低エネルギー表面を有する4フッ化エチレン系樹脂に対する初期のぬれ性を得るために必須の成分であり、その軟化点が30℃を越えた場合および分子量が3000より大きいとぬれ性付与の効果が得られず、分子量が500より小さいと粘着剤配合物の凝集力を著しく低下させるという問題を生じる。
【0024】
アルコキシシリル基を含有するアクリル酸エステル粘着剤溶液に、液状粘着付与樹脂を溶解混合して所定の粘着剤組成物が得られるが、これにさらに高軟化点の接着付与剤、老化防止剤、架橋剤、顔料、難燃剤など任意に添加することができる。架橋剤は、当該粘着剤の安定した凝集力を得るために添加することが好ましい。
【0025】
また、アクリル酸エステルポリマーに混合されるフッ化ビニリデン共重合体は、一般に知られているコモノマーとしてトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレンと、ヘキサフルオロアセトンなどのコモノマーとフッ化ビニリデンとの共重合物であって、フッ化ビニリデンの含有率が60〜95モル%の範囲にあるものが好ましい。
【0026】
フッ化ビニリデンの含有率が60モル%より少ないと、低エネルギーの4フッ化エチレン系樹脂表面への接着力が低く、95モル%を越えると樹脂の結晶性が高くなりすぎ粘着剤との相溶性が著しく悪化する。また、該フッ化ビニリデン共重合体樹脂の混合比は、接着剤のアクリル酸エステルポリマー100部に対して5〜40部が好ましい。40部を越えると粘着剤との相溶性、分散性が悪化し、5部を下回ると接着性が低下するためである。
【0027】
また、ジメチルポリシロキサン骨格を有するシリコン粘着剤は、フッ化ビニリデン共重合体とアクリル酸エステルポリマーの混合物100部に対し、2〜20部の範囲が好ましい。
【0028】
シリコン粘着剤が2部より少ないと十分な粘着性が得られず、20部を越えるとやはり相溶性が低下するためである。
また、本粘着剤のアクリル酸エステルポリマーは、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、金属キレート化合物などの架橋剤によって架橋されるのが好ましい。シリコン粘着剤は架橋をしなくてもよい。
【0029】
粘着剤の厚みは、一般に30〜90μmの範囲であって、30μmより薄いと接着力が低くなりすぎ、90μmより厚いと粘着力が高すぎ作業性を損なう傾向が生じる。
【0030】
粘着剤は、有機溶剤に溶解した溶剤系、水を媒体としたエマルジョン、あるいはホットメルト形や無溶剤紫外線硬化型など種々の形態で用いられるが、塗付時に液状であって、乾燥または冷却あるいは硬化後に固化することで粘着剤被膜を形成する。こうした粘着剤は、金属箔側へ直接塗付するか、または離型処理されたはく離紙上に塗付し、金属箔面に転写するかのいずれであっても差しさえない。
【0031】
【実施例】
次に、実例を挙げ、本発明の内容を説明する。
【0032】
(製造例1)
シリンダー径100mmφ、シリンダー長さ2000mm倍、シリンダーの先端にクロスヘッド、アダプターを取付け、これにTダイを取り付けた押出機を用い、ホッパー部200℃、先端400℃の温度勾配をとってクロスヘッドおよびTダイを各400℃に加熱し、原料PFAペレットをホッパーより投入し、原料を加熱しシリンダー内をスクリューにより撹拌混練溶融して、Tダイのスリットを通しフィルム状の先端より吐出して下方に流下させ、これを冷却ロールで引き取りながら冷却し、40μmのフィルムに成形し、コロナ放電処理加工後に巻き取った。
【0033】
(製造例2)
押出機先端を360℃、クロスヘッドTダイを各360℃に加熱し、原料ETFEペレットを用いて製造例1と同様に40μm厚のETFEフィルムを成形した。
【0034】
(製造例3)
加工温度360℃で、原料FEPペレットを製造例2と同じ条件により成形加工し、80μm厚のFEPフィルムを得た。
【0035】
(製造例4)
酢酸エチル600部、アクリル酸2エチルヘキシル50部、アクリル酸ブチル220部、アクリル酸エチル60部、酢酸ビニル20部、アクリル酸15部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.5部をセパラブルフラスコに仕込み、85℃に加熱、撹拌しながらtert−ブチルパーオキサイドを滴下し、7時間85℃に保ち還流し重合を行い、反応を停止させ、粘着剤溶液(A−1)を得た。得られた粘着剤溶液は不揮発分38%、粘度3500cps/25℃であった。
粘着剤溶液(A−1)に、ビニルシラン(シランカップリング剤、A1100、信越化学株式会社製)30部を仕込み、ベンゾイルパーオキサイドを滴下し、50℃に保って2時間撹拌してグラフト重合を完了させた。反応停止後、得られた粘着剤(A−2)は不揮発分40%、粘度5400cps/25℃であった。A−2の粘着剤溶液100部に対し、液状粘着付与樹脂としてキシレン樹脂(商品名ニカノールH80、三菱化学株式会社製)10部を添加混合し、粘着剤(A−3)とした。
【0036】
(製造例5)
酢酸エチル600部、アクリル酸2エチルヘキシル200部、アクリル酸ブチル120部、酢酸ビニル30部、アクリル酸15部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.5部をセパラブルフラスコに仕込み、85℃に加熱、撹拌しながらtert−ブチルパーオキサイドを滴下し、9時間85℃に保ち還流し重合を行った。反応停止後、得られた粘着剤溶液(A−4)は、不揮発分40%、粘度7000cps/25℃であった。
【0037】
(製造例6)
フッ化ビニリデン300部、ヘキサフルオロプロピレン40部、ヘキサフルオロアセトン30部、酢酸エチル300部を耐圧オートクレーブに仕込み、キュメンパーオキサイドを添加して70℃で18時間重合した。得られた溶液(B−1)の不揮発分は55%、粘度は460cps/25℃であった。
【0038】
(製造例7)
製造例4で得られた粘着剤(A−2)の粘着剤溶液100部に対し、液状粘着付与樹脂としてロジン樹脂(商品名ハーコリンD、理化ハーキュレス社製)5部を添加混合し、粘着剤(A−5)とした。
【0039】
(製造例8)
製造例4で得られた粘着剤(A−2)の粘着剤溶液100部に対し、液状粘着付与樹脂として液状イソプレン樹脂(商品名クラプレンLIR290、クラレ株式会社製)10部を添加混合し、さらに固形接着付与剤としてロジン系樹脂(商品名スーパーエステルA115、荒川化学株式会社製)10部を添加混合して粘着剤(A−6)とした。
【0040】
実施例1
製造例1で得たPFAフィルムのコロナ放電処理面に、ポリエステル系接着剤(商品名ハイボン7040、日立化成ポリマー株式会社製)100部にイソシアネート化合物の架橋剤(商品名デスモジュールRE、住友バイエルウレタン株式会社製、以下、単にD−REとも称する)4部を添加混合したものをグラビアロールで塗付し、乾燥後にシート基材として厚さ0.2mmで可塑剤含有率18%の軟質塩化ビニルシートと90℃の熱ロールでラミネートし接着した。さらに、厚さ0.05mmの軟質アルミニウム(Al)箔に、ポリエステル系接着剤(商品名ハイボン7663、日立化成ポリマー株式会社製)100部に架橋剤D−RE(前出)3部を添加混合したものを塗付量80g/m2 で直接塗付し、乾燥後に前記軟質塩化ビニルシートの背面とを90℃の熱ロールでラミネートし接着した。
製造例4で得られた粘着剤A−3の100部に、コロネートL(ポリイソシアネート、日本ポリウレタン製)2.0部を添加混合し、シリコン離型剤を塗付加工した離型紙EKR78(リンテック株式会社製)上に塗付し、90℃で2分乾燥して50μm厚の粘着剤塗膜を得た。これを前記PFA/軟質塩化ビニルシート/軟質アルミニウム箔の三層ラミネート品のアルミニウム箔面に転写し、表面保護化粧シートを得た。なお、以下のシート基材と、4フッ化エチレン系樹脂フィルムのラミネート接着方法と、シート基材と金属箔のラミネート接着方法は全て同様に行った。
【0041】
実施例2
製造例2で得たETFEフィルムを、実施例1と同様に軟質塩化ビニルシート基材にラミネート接着した。これを0.3mmのポリエチレンと押出ラミネートしてある厚さ0.02mmの軟質アルミニウム箔と、実施例1と同様にラミネート接着した。一方、製造例5で得られたアクリル粘着剤溶液(A−4)100部に、製造例6で得られたフッ化ビニリデン樹脂溶液10部を添加混合し、さらにシリコン粘着剤X40−3018(信越化学株式会社製)の溶液20部を添加混合した。架橋剤としてコロネートL(前出)1.0部を添加しよく撹拌して、これを離型紙EKR78に塗付乾燥して膜厚70μmの粘着剤層を形成した。この粘着剤層をアルミニウム箔面に転写することによって表面保護化粧シートを得た。
【0042】
実施例3
製造例2で得たFEPフィルムと、シート基材としてカレンダー加工により製造された厚さ0.3mmのABS樹脂シートを、実施例1と同様にしてラミネート接着した。これを厚さ0.05mmの軟質アルミニウム箔と、実施例1と同様にラミネート接着した。一方、製造例7で得られたアクリル粘着剤溶液(A−6)100部に、架橋剤としてコロネートL(前出)1.5部を添加しよく撹拌してこれを離型紙EKR78に塗付乾燥して膜厚60μmの粘着剤層を形成した。この粘着剤層をアルミニウム箔面に転写することによって表面保護化粧シートを得た。
【0043】
実施例4〜8
実施例1〜3と同様にして、表1に示すシート基材と4フッ化エチレン系樹脂フィルムをラミネート接着し、該シート基材のもう一方の面と表1に示す金属箔とをラミネート接着した。各粘着剤をドライ塗付厚50μmになるように同様に塗付乾燥し、粘着剤層を形成して金属箔面に転写して表面保護化粧シートを得た。ただし、実施例4、8については粘着剤は製造例8で得られたアクリル粘着剤A−6の100部にコロネートL(前出)1.5を添加混合したものを用い、実施例5については、製造例5で得られたA−4の100部にコロネートL(前出)1.0部を添加混合したものを用いた。さらに実施例6、7については粘着剤は、製造例4に示すA−1に製造例6で得られたフッ化ビニリデン樹脂溶液(B−1)20部を添加混合し、シリコン粘着剤X40−3004(信越化学株式会社製)の溶液10部、コロネートL2.0部を添加混合したものを用いた。また、表1中、シート基材に不織布・帝人ユニセルとあるのは帝人株式会社製のポリエステル不織布(商品名ユニセル)で目付80g/m2 のものである。アクリル樹脂含浸紙は坪量90g/m2 のグラシン紙にアクリル樹脂バインダーを含浸し、150g/m2 とした強化紙である。
【0044】
比較例1
実施例1の軟質塩化ビニルシートと、0.04mm厚のポリ塩化ビニリデンフィルムを同様の方法で接着した。0.05mm厚のアルミニウム箔と実施例1と同様にしてラミネート接着し、製造例4で得られた粘着剤A−1の100部に、コロネートL(前出)1.0部を添加混合し、シリコン離型剤を塗付加工した離型紙EKR78(リンテック社製)上に塗付し、90℃で2分乾燥して50μm厚の粘着剤塗膜を得た。これをアルミニウム箔面に転写し、表面保護化粧シートを得た。
【0045】
比較例2
実施例3のABS樹脂シートに、4フッ化エチレン系樹脂フィルムと金属箔をラミネート接着せずそのまま用いた。製造例4で得られた粘着剤A−1の100部に、コロネートL(前出)1.0部を添加混合し、シリコン離型剤を塗付加工した離型紙EKR78(リンテック社製)上に塗付し、90℃で2分乾燥して50μm厚の粘着剤塗膜を得、これをABS樹脂シート面に転写し、表面保護化粧シートを得た。
【0046】
比較例3
実施例5において、金属箔層を設けなかった他は同様にしてETFEフィルムと含浸紙をラミネート接着し、製造例4で得られた粘着剤A−1の100部に、コロネートL(前出)1.0部を添加混合し、シリコン離型剤を塗付加工した離型紙EKR78(リンテック社製)上に塗付し、90℃で2分乾燥して50μm厚の粘着剤塗膜を得た。これをアルミニウム箔面に転写し、表面保護化粧シートを得た。
【0047】
実施例1〜8および比較例1〜3の構成物と、評価結果を表1に示す。各評価方法は、以下の通りである。
(評価方法)
▲1▼表面汚染性:各表面保護化粧シートを150mm×150mm×1.0mmのアルミニウム板に接着し、サンシャインウェザーメーターで1000時間照射して耐候性試験を行った。取り出し後、表面をメチルアルコールで清浄にし、未照射の試験体と目視比較により汚染性を評価した。
▲2▼防湿性:JIS Z 0208の透湿度試験方法に準じて行った。ただし測定温度は30℃とし、粘着剤面をカップ側に固定して行った。表1に示す結果の単位は、g/m2 ・24hrs 90% である。
▲3▼帯電防止性:各シート表面を綿布で数回こすり、表面の静電気電圧を、静電気電圧測定機(スタチロンTH、シシド静電気株式会社製)により測定した。表1中の結果の値は、KVである。
▲4▼縁出し性:厚さ30mmのMDFボードからなる厨房システムキッチン扉に各シートを貼付け、コーナーの見切り線のシャープさを評価した。
▲5▼重ね貼接着性:各シートを25mm×150mmに2枚ずつ切断し、一方の粘着剤面をもう一方の4フッ化エチレン樹脂フィルム表面に接着した。20℃で24時間経過後に、Tはく離を200mm/分の速度で行い、接着強さを測定した。ただし、比較例1、2については実施例1のシートのPFAフィルム表面への接着を試験した。接着力の単位はkgf/25mmである。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】
本発明に係る化粧シートは、壁面などに対し、丁寧に空気抜きを行い貼着作業を行うことにより、下地への馴染みを任意に得ることが可能となる。例えば、家具などコーナー部の多い造作物に貼付けるにおいても、強くスクレーパーなどで押し付ければ金属箔の変形により、コーナーに沿って下地に馴染ませることができる。下地に欠点部があるような場合には、強い圧着を加えなければシート基材の有する柔軟性により、アルミニウム箔などを単独で貼り付けた時のように下地を強く拾わないという効果を奏する。
【0050】
さらに、化粧シートとして貼着された後は、4フッ化エチレン系樹脂層の効果により高い防水性、防汚性、耐熱性、防カビ性が得られるため、長期にわたり美観を保つことが可能である。さらに金属箔との相乗効果により、防湿性、帯電防止性が付与でき、ガスバリヤー性、難燃性も得られ、表面保護に優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る表面保護化粧シートの概略断面図を示す。
【符号の説明】
1…表面保護化粧シート、
2…4フッ化エチレン系樹脂フィルム、
3…接着剤、
4…シート基材、
5…接着剤、
6…金属箔、
7…粘着剤、
8…離型紙。
Claims (2)
- シート基材の表面にエチレン−4フッ化エチレン共重合体、4フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体および4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体のいずれかより選ばれてなる、4フッ化エチレン系樹脂フィルム層を設け、他方の面に厚さ20〜100μmの金属箔層と粘着剤層を順次積層してなることを特徴とする表面保護化粧シートであって、
粘着剤が、アルコキシシリル基を有する化合物を付加または混合してなるアクリル酸エステル共重合体と、液状粘着付与剤を必須成分としてなる組成物であることを特徴とする表面保護化粧シート。 - シート基材の表面にエチレン−4フッ化エチレン共重合体、4フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体および4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体のいずれかより選ばれてなる、4フッ化エチレン系樹脂フィルム層を設け、他方の面に厚さ20〜100μmの金属箔層と粘着剤層を順次積層してなることを特徴とする表面保護化粧シートであって、
粘着剤が、アクリル酸エステルポリマー(A)と、フッ化ビニリデン系共重合体(B)と、ジメチルポリシロキサン骨格を有するシリコン粘着剤(C)とを混合してなる組成物であることを特徴とする表面保護化粧シート。
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