JP3645900B2 - 熱式流量計 - Google Patents

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Description

本発明は、熱線を用いて流量を計測する熱式流量計に関する。さらに詳細には、流路内に発生する流体の乱れを軽減することにより、計測出力の安定化を図った熱式流量計に関するものである。
従来から熱線を用いて流量を計測する熱式流量計の1つとして、半導体マイクロマシニングの加工技術で製造された測定チップをセンサ部として使用するものがある。この種の熱式流量計としては、例えば、図23に示すものが挙げられる。図23の熱式流量計101においては、入口ポート102に流入させた被測定流体を、整流機構103で整流させた後に、計測流路104を介して、出口ポート105から流出させており、被測定流体の流量を計測するために、電気回路106に接続された測定チップ111を計測流路104に露出させている。
ここで、測定チップ111は、図24に示すように、シリコンチップ116において、上流温度センサ112、ヒータ113、下流温度センサ114、周囲温度センサ115(上述したセンサ112〜115は、「熱線」に相当する)などに、半導体マイクロマシニングの加工技術を施したものである。
そして、熱式流量計101では、図24の測定チップ111において、6個の電極D1、D2、D3、D4、D5、D6をシリコンチップ116に設け、上流温度センサ112、ヒータ113、下流温度センサ114、周囲温度センサ115のそれぞれと電気回路106とを接続することを、6個の電極D1〜D6を使用したワイヤーボンディング(図23のW)により行っていた。
このような熱式流量計101においては、被測定流体が計測流路104に流れていないときは、図24の測定チップ111の温度分布がヒータ113を中心に対称となる。一方、被測定流体が計測流路104に流れているときは、上流温度センサ112の温度が低下し、下流温度センサ114の温度が上昇するので、図24の測定チップ111の温度分布の対称性は、被測定流体の流量に応じて崩壊することになる。このとき、この崩壊の程度は、上流温度センサ112と下流温度センサ114の抵抗値の差になって現れるので、電気回路106を介して、被測定流体の流量を計測することが可能となる。
ここで、半導体チップマウンティング時のハンドリングには真空吸着が用いられている。そして、吸着の確認は、従来、圧力センサにより行われていた。しかし近年、半導体チップがどんどん小さくなってきている。このため、例えば0.5mm角のチップでは、直径が0.5mmあるいは0.3mmの吸着オリフィス(ノズル)が用いられている。その結果、吸着時と非吸着時とでオリフィス内の圧力に差がでず、圧力センサでは吸着確認ができなくなっていた。このようなことから、オリフィスを流れる空気の流量を検出することにより、吸着確認を行うという提案がなされている。
しかしながら、上記した図23に示す熱式流量計101では、応答性(1〜2sec)が低いという問題があった。これは、整流機構103では計測流路104で発生する乱流をなくすことができず、その乱流の影響を出力信号に出さないようにするため、出力信号に対して積分処理を施しているからであると考えられる。また、図23に示す熱式流量計101を、吸着確認に利用するには大きすぎるという問題もあった。このため、熱式流量計101を吸着確認に利用することは難しかった。
このため本出願人は、応答性および大きさの問題を解決すべく、高速応答(50ms)でかつ小型の熱式流量計を特願2000−368801にて提案した。この熱式流量計は、小型かつ応答性に優れているため、吸着確認に用いるには好適なものであった。ところが、本出願人が特願2000−368801にて提案した熱式流量計では、測定流量が大きくなるにつれて流路内における流体の乱れの影響が大きくなるという問題があった。すなわち、測定流量が大きくなると、流路内における流体の乱れによって、測定出力が不安定になるという問題が新たに発生した。このため、特願2000−368801にて提案した熱式流量計によっても、吸着確認を正確に行うことは困難であった。
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、測定流量が大きい場合であっても、測定出力が安定して得られる小型の熱式流量計を提供することを課題とする。
上記問題点を解決するためになされた本発明に係る熱式流量計は、流量を計測するための熱線が架設されたセンサ流路の他に、前記センサ流路に対するバイパス流路を備える熱式流量計において、前記バイパス流路とセンサ流路との間に、厚さ0.5mm以下のメッシュ板が密着して積層された状態で設けられていることを特徴とするものである。
また、本発明に係る熱式流量計は、流量を計測するための熱線が架設されたセンサ流路の他に、前記センサ流路に対するバイパス流路を備える熱式流量計において、前記バイパス流路とセンサ流路との間に、エッチング加工により形成されたメッシュ板が密着して積層された状態で設けられていることを特徴とするものである。
本発明に係る熱式流量計においては、前記メッシュ板に備わるメッシュ部は、他の部分よりも薄く加工されていることが望ましい。
本発明の熱式流量計では、流量計に流れ込んだ被測定流体は、熱線が架設されたセンサ流路と、センサ流路に対するバイパス流路とに分流される。そして、熱線を用いた計測原理に基づき、センサ流路を流れる被測定流体の流量、ひいては熱式流量計の内部を流れる被測定流体の流量が測定される。なお、流量レンジは、センサ流路とバイパス流路とに分流する被測定流体の割合を変化させる、具体的にはバイパス流路の断面積を変化させることにより、変化させる。
そして、測定流量が大きくなると、バイパス流路を流れる被測定流体の流量が増える。そうすると、バイパス流路における被測定流体の流れが乱れる。そして、バイパス流路における被測定流体の流れの乱れの影響を受けて、センサ流路を流れる被測定流体の流れも乱される。その結果、計測出力が不安定となる。
しかし、本発明に係る熱式流量計には、バイパス流路とセンサ流路との間に厚さ0.5mm以下のメッシュ板が密着して積層された状態で設けられている。このため、被測定流体は、メッシュ板を通過した後にセンサ流路に流れ込む。これにより、センサ流路に流れ込む被測定流体の流れが整えられる。つまり、バイパス流路に流れ込む被測定流体の流れが乱れたとしても、バイパス流路とセンサ流路との間に設けられたメッシュ板により、センサ流路に流れ込む被測定流体の流れは整えられるのである。従って、測定出力が安定する。そして、メッシュ板の厚さが0.5mm以下と非常に薄いので小さな空間内により多くのメッシュ板を積層することができるので整流効果が大きい。
また、本発明に係る熱式流量計には、エッチング加工により形成されたメッシュ板が密着して積層された状態で設けられている。このため、被測定流体は、メッシュ板を通過した後にセンサ流路に流れ込む。これにより、センサ流路に流れ込む被測定流体の流れが整えられる。つまり、バイパス流路に流れ込む被測定流体の流れが乱れたとしても、バイパス流路とセンサ流路との間に設けられたメッシュ板により、センサ流路に流れ込む被測定流体の流れは整えられるのである。従って、測定出力が安定する。そして、エッチング加工によりメッシュ板を形成するので、非常に薄いメッシュ板を製作することができる。このため、小さな空間内により多くのメッシュ板を積層することができるので整流効果が大きい。
ここで、メッシュ板に備わるメッシュ部は、他の部分よりも薄く加工されているので、メッシュ部を直接密着して積層するより、非常に流れが整えられた被測定流体を、センサ流路に流し込むことができる。なぜなら、被測定流体は、複数のメッシュ部を通過するたびに、流れの乱れが減少していくためである。よって、より大きな整流効果を得るためには、各メッシュ板のメッシュ部を直接重ねるよりも、所定の間隔をとって重ねる方がよいと考えられる。なお、メッシュ板を所定厚さのスペーサを介して積層してもよい。
また、本発明に係る熱式流量計は、流量を計測するための熱線が架設されたセンサ流路の他に、センサ流路に対するバイパス流路を備える熱式流量計において、バイパス流路内に複数の流路を形成することにより流体の流れを整える整流機構を有することを特徴とするものである。
この熱式流量計は、バイパス流路内に複数の流路を形成することにより流体の流れを整える整流機構を有している。このため、バイパス流路における被測定流体の流れが整えられる。これにより、バイパス流路における被測定流体の流れが、センサ流路における被測定流体の流れに悪影響を及ぼさない。従って、センサ流路を流れる被測定流体の流れが安定するため、測定出力が安定する。
本発明に係る熱式流量計においては、整流機構は、溝を形成した薄板を積層したものであることが望ましい。そして、薄板に複数の溝が形成されていることが好ましい。なお、複数の溝を形成する場合には、薄板の片面のみだけに溝を形成してもよいし、薄板の両面に溝を形成してもよい。
このように溝を形成した薄板を積層することにより、バイパス流路内に複数の流路が形成される。つまり、バイパス流路が複数の小さい流路に分割されるのである。そして、パイパス流路に流れ込む被測定流体は、各溝を流れる。このため、バイパス流路を流れる被測定流体の流れが整えられる。また、1枚の薄板に複数の溝を形成することにより、積層体により多くの溝を備えることができ、より大きな整流効果が得られる。
また、整流機構は、複数のフィンが形成されたピンであってもよい。このようなピンをバイパス流路に設けることにより、バイパス流路内に複数の流路が形成される。これにより、バイパス流路を流れる被測定流体の流れが整えられるからである。
また、本発明に係る熱式流量計は、流量を計測するための熱線が架設されたセンサ流路の他に、センサ流路に対するバイパス流路を備える熱式流量計において、センサ流路から流出する流体とバイパス流路から流出する流体とを、ボディに形成された出口流路にて合流させる遮蔽壁を有することを特徴とするものである。
この熱式流量計では、遮蔽板が設けられていることにより、センサ流路から流出する被測定流体とバイパス流路から流出する被測定流体とが、ボディに形成された出口流路で合流する。つまり、センサ流路から被測定流出する流体とバイパス流路から流出する被測定流体とが、センサ流路の出口付近で合流することがない。これにより、センサ流路とバイパス流路との合流地点が、センサ流路に架設された熱線から遠ざけられている。従って、センサ流路とバイパス流路との合流地点に発生する流れの渦が、センサ流路における被測定流体の流れを乱さないため、計測出力が安定する。
なお、遮蔽壁は、センサ流路とバイパス流路との合流地点に発生する流れの渦が、センサ流路における被測定流体の流れに影響を与えないところまで合流地点を遠ざけられる大きさであればよい。従って、遮蔽壁の先端が、出口流路の上面に位置する場合もあれば、出口流路の中央に位置する場合もあり得る。
ここで、出口流路は、バイパス流路に対し同一直線上に形成されていないことが望ましい。このように出口流路が形成されていると、遮蔽壁を設けることにより得られる上記の効果がより大きくなるからである。
そして、遮蔽壁は、複数の遮蔽板を積層することにより形成されたものであることが望ましい。こうすることにより、遮蔽板に上記した溝を形成することができるからである。すなわち、遮蔽壁を形成するとともに、バイパス流路に整流機構をも設けることができる。これにより、測定流量が大きくなった際の測定出力に対するパイバス流路における被測定流体の乱流の影響をより効果的に抑制することができる。
また、上記したメッシュも薄板に形成していることから、上方にメッシュを配置し、下方に遮蔽板(溝つきも含む)を配置してそれぞれを積層することにより、上記した効果が相乗的に発揮される。すなわち、センサ流路における被測定流体の流れに乱れがほとんど生じない。このため、測定出力が非常に安定する。なお、ここで例示した組み合わせ以外でも、上記した発明を任意に組み合わせることにより相乗的な効果が得られる。
上記した本発明に係る熱式流量計においては、バイパス流路は、熱線を用いた計測原理を行うための電気回路に接続する電気回路用電極が表面に設けられた基板を、側面開口部を備える流体流路が形成されたボディに対し、側面開口部を塞ぐようにして密着させることにより形成され、センサ流路は、熱線とその熱線に接続する熱線用電極とが設けられた測定チップを、熱線用電極と電気回路用電極とを接着して基板に実装することにより、測定チップあるいは基板の少なくとも一方に設けられた溝によって形成されることが望ましい。
このような熱式流量計では、測定チップに設けられた熱線は、測定チップを基板に実装した際に、測定チップに設けられた熱線用電極と基板の表面に設けられた電気回路用電極とが接着されることによって、熱線を用いた計測原理を行うための電気回路に接続されている。一方、基板がボディに対して密着されると、ボディの内部において、バイパス流路が形成される。このとき、基板又は基板に実装された測定チップに溝が設けられているので、ボディの内部において、バイパス流路に対するセンサ流路も形成される。これにより、熱式流量計の応答性の改善および小型化が図られる。
そして、ボディの内部を流れる被測定流体は、バイパス流路とセンサ流路の断面積比に応じて、バイパス流路とセンサ流路とに分流されることになる。この点、測定チップに設けられた熱線は、センサ流路に橋設された状態にあるので、熱線を用いた計測原理を行うための電気回路により、センサ流路を流れる被測定流体の流量、ひいては、ボディの内部を流れる被測定流体の流量を測定することができる。そして、上記したように、センサ流路における被測定流体の流れに乱れが発生しないため、非常に安定した計測出力が得られる。つまり、この熱式流量計は、高速応答で安定した計測結果を出力することができるのである。
また、本発明に係る熱式流量計は、熱線を用いた計測原理を行うための電気回路に接続する電気回路用電極が表面に設けられた基板を、側面開口部を備える流体流路と流体流路に対し同一直線上にない出口流路とが形成されたボディに対し、側面開口部を塞ぐようにして密着させることにより形成されたバイパス流路と、熱線とその熱線に接続する熱線用電極とが設けられた測定チップを、熱線用電極と電気回路用電極とを接着して基板に実装することにより、測定チップあるいは基板の少なくとも一方に設けられた溝によって形成されたセンサ流路と、を備えるとともに、バイパス流路とセンサ流路との間に、複数枚のメッシュを積層したフィルタと、センサ流路から流出する流体とバイパス流路から流出する流体とを、出口流路にて合流させる遮蔽壁と、を有することを特徴とするものである。特に、遮蔽壁が複数枚の遮蔽板から構成されており、フィルタと遮蔽壁とが1つの積層体に備わっていることが望ましい。
この熱式流量計では、熱線を用いた計測原理を行うための電気回路に接続する電気回路用電極が表面に設けられた基板を、側面開口部を備える流体流路が形成されたボディに対し、側面開口部を塞ぐようにして密着させることにより形成されたバイパス流路と、熱線とその熱線に接続する熱線用電極とが設けられた測定チップを、熱線用電極と電気回路用電極とを接着して基板に実装することにより、測定チップあるいは基板の少なくとも一方に設けられた溝によって形成されたセンサ流路とを備えているため、上記したように応答性の改善および小型化が図られる。
さらに、この熱式流量計は、バイパス流路とセンサ流路との間に、メッシュを複数枚積層したフィルタと、センサ流路から流出する被測定流体とバイパス流路から流出する被測定流体とを、流体流路にて合流させる遮蔽壁とを有している。これにより、上記したメッシュを設けたことによる効果と遮蔽壁を設けたことによる効果とが相乗的に得られる。つまり、センサ流路における被測定流体の流れがほとんど乱れることがない。従って、非常に安定した計測出力が得られる。すなわち、この熱式流量計は、高速応答で安定した計測結果を出力することができる。また、メッシュ(フィルタ)と遮蔽壁とが1つの積層体に備わっていることから、安定した計測出力を得るために熱式流量計が大きくなるようなこともない。
よって、本発明の熱式流量計によれば、測定流量が大きい場合であっても、測定出力が安定して得られる小型の熱式流量計が提供することができる。
以下、本発明の熱式流量計を具体化した最も好適な実施の形態について図面に基づき詳細に説明する。本実施の形態に係る熱式流量計は、高速応答性、高感度が要求される流量計測、例えば半導体チップマウンティング時のハンドリングにおける吸着確認などに好適なものである。
(第1の実施の形態)
まず、第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態に係る熱式流量計の概略構成を図1に示す。図1に示すように、本実施の形態に係る熱式流量計1は、ボディ41とセンサ基板21と積層フィルタ50とを有するものである。そして、積層フィルタ50がボディ41の流路空間44に装着された状態で、センサ基板21がシールパッキン48を介しボディ41にネジ固定で密着されている。これにより、センサ流路S、およびセンサ流路Sに対するバイパス流路である主流路Mが形成されている。すなわち、本実施の形態に係る熱式流量計1は、センサ流路とバイパス流路とを備える熱式流量計である。
ボディ41は、図2および図3に示すように、直方体形状のものである。なお、図2はボディ41の平面図であり、図3は図2におけるA−A断面図である。このボディ41には、両端面に入口ポート42と出口ポート46とが形成されている。そして、入口ポート42からボディ中央に向かって入口流路43が形成され、同様に出口ポート46からボディ中央に向かって出口流路45が形成されている。なお、出口流路45は、主流路Mの下方に形成されている。つまり、出口流路と主流路Mとは、同一直線上に配置されていない。
また、ボディ41の上部には、主流路Mおよびセンサ流路Sを形成するための流路空間44が形成されている。この流路空間44の横断面は、長方形の両短辺を円弧状(半円)にした形状になっており、その中央部に円弧状の凸部44Cが形成されている。凸部44Cは、積層フィルタ50あるいは後述するピン80(第4の実施の形態参照)の位置決めを行うためのものである。そして、流路空間44の下面の一部が入口流路43および出口流路45に連通している。すなわち、入口流路43と出口流路45とがそれぞれ90度に屈曲したエルボ部43Aと45Aを介して流路空間44に連通されている。さらに、流路空間44の外周に沿うようにボディ41の上面には、シールパッキン48を装着するための溝49が形成されている。
積層フィルタ50は、図4に示すように、4種類の薄板を合計11枚積層したものである。すなわち、下から順に、メッシュ板51、第1遮蔽板52,52,52,52、メッシュ板51、第2遮蔽板53、メッシュ板51、第2遮蔽板53、メッシュ板51、および第3遮蔽板54が積層されて接着されたものである。これらの各薄板51〜54は、すべて厚さが0.5mm以下であり、エッチングにより各形状の加工(マイクロマシニング加工)がなされたものである。そして、各薄板51〜54の投影形状は流路空間44の横断面形状と同じになっている。これにより、積層フィルタ50が流路空間44に隙間なく装着されるようになっている。
ここで、個々の薄板について説明する。まず、メッシュ板51について、図5、図6を用いて説明する。なお、図5(a)はメッシュ板の平面図であり、図5(b)は図5(a)におけるA−A断面図であり、図6はメッシュ部の拡大図である。メッシュ板51は、図5に示すように、両端部にメッシュ部51Mが形成された厚さが0.3mmの薄板である。メッシュ部51Mは、直径4mmの円形状であり、図6に示すように、メッシュを構成する孔(直径0.2mm)の中心間距離がすべて0.27mmとなるように形成されている。すなわち、各孔の中心が正三角形の各頂点となるように孔が形成されている。なお、メッシュ部51Mの厚さは、図5(b)に示すように他の部分よりも薄くなっており、その厚さは、0.05〜0.1mmとなっている。また、出口側に配置されるメッシュ部51M(図5では右側)には、遮蔽部51Cが形成されている。
次に、第1遮蔽板52について、図7を用いて説明する。なお、図7(a)は第1遮蔽板の平面図であり、図7(b)は図7(a)におけるA−A断面図である。第1遮蔽板52は、図7に示すように、外周部52Bおよび遮蔽部52Cを残すようにエッチング加工されたものである。これにより、第1遮蔽板52には、第1開口部61と第2開口部62とが形成されている。なお、第1遮蔽板52の厚さは、0.5mmである。
続いて、第2遮蔽板53について、図8を用いて説明する。なお、図8(a)は第2遮蔽板の平面図であり、図8(b)は図8(a)におけるA−A断面図である。第2遮蔽板53は、図8に示すように、外周部53B、遮蔽部53C、および中央部53Dを残すようにエッチング加工されたものである。すなわち、第1遮蔽板52の中央にも未加工の部分を残したものである。これにより、第2遮蔽板53には、第3開口部63と第4開口部64、および第2開口部62が形成されている。なお、第2遮蔽板53の厚さも0.5mmである。
最後に、第3遮蔽板54について、図9を用いて説明する。なお、図9(a)は第3遮蔽板の平面図であり、図9(b)は図9(a)におけるA−A断面図である。第3遮蔽板54は、図9に示すように、外周部54B、および遮蔽部54Cを残すようにエッチング加工されたものである。すなわち、第2遮蔽板53において第4開口部64を形成しないことにより、遮蔽部53Cと中央部53Dとが一体となって遮蔽部54Cが構成されているものである。これにより、第3遮蔽板54には、第3開口部63と第2開口部62が形成されている。なお、第3遮蔽板54の厚さも0.5mmである。
ここで図1に戻って、上記したメッシュ板51、第1遮蔽板52、第2遮蔽板53、および第3遮蔽板54を組み合わせて、図4に示すように積層して接着した積層フィルタ50を流路空間44に装着することにより、第1遮蔽板52に設けられた第1開口部61によって主流路Mが形成されている。また、各薄板51〜54に設けられたメッシュ部51M、第1開口部61、および第3開口部63によって、入口流路43と主流路Mおよびセンサ流路Sとを連通させる第1連絡流路5が形成されている。そして、主流路Mとセンサ流路Sとの間にメッシュ部51Mが3層配置されている。各メッシュ部51Mの間隔は、メッシュ板51と第2遮蔽板53とがスペーサの役割を果たし、0.7mmとなっている。これにより、各メッシュ部51Mを通過するごとに流れが整えられた被測定流体を、センサ流路Sに流し込むことができる。さらに、エルボ部43Aと流路空間44(主流路M)との連通部にもメッシュ部51Mが配置されている。
また、積層フィルタ50を流路空間44に装着することにより、各薄板51〜54に設けられたメッシュ部51M、第1開口部61、および第4開口部64によって、主流路Mと出口流路45とを連通させる第2連絡流路6が形成されている。さらに、各薄板51〜54に設けられた第2開口部62によって、センサ流路Sと出口流路45とを連通させる第3連絡流路7が形成されている。これら第2連絡流路6と第3連絡流路7との間には、遮蔽壁47が形成されている。この遮蔽壁47は、各薄板51,52,53,54に設けられた各遮蔽部51C,52C,53C,54Cによって構成されたものである。そして、この遮蔽壁47により、センサ流路Sから流れ出す被測定流体と主流路Mから流れ出す被測定流体との合流地点が、エルボ部45Aと流路空間44との連通部となっている。また、前述したように、出口流路45が主流路Mの下方に配置されている。
従って、センサ流路Sから流出する被測定流体と主流路Mから流出する被測定流体とが、センサ流路Sの出口付近で合流することがない。すなわち、センサ流路Sと主流路Mとの合流地点が、後述する計測チップ11から遠ざけられている。従って、センサ流路Sと主流路Mとの合流地点に発生する流れの渦が、センサ流路Sにおける計測チップ11の部分を流れる被測定流体の流れを乱さない。
一方、センサ基板21は、測定流量を電気信号として出力するものである。このためセンサ基板21には、図10に示すように、ベースとなるプリント基板22の表面側(ボディ41への装着面側)において、その中央部に溝23が加工されている。そして、この溝23の両側に、電気回路用電極24,25,26,27が設けられている。一方、プリント基板22の裏面側には、電気素子31、32、33、34などで構成される電気回路が設けられている(図1参照)。そして、プリント基板22の中で、電気回路用電極24〜27が電気素子31〜34などで構成される電気回路と接続されている。さらに、プリント基板22の表面側には、後述するようにして、測定チップ11が実装されている。
ここで、測定チップ11について、図11を用いて説明する。なお、図11(a)は測定チップの平面図であり、図11(b)は測定チップの側面図である。測定チップ11は、図11に示すように、シリコンチップ12に対して、半導体マイクロマシニングの加工技術を実施したものであり、このとき、溝13が加工されるとともに、熱線用電極14、15、16、17が溝13の両側に設けられる。さらに、このとき、温度センサ用熱線18が、熱線用電極14、15から延設されるとともに溝13の上に架設され、また、流速センサ用熱線19が、熱線用電極16、17から延設されるとともに溝13の上に架設される。さらに、測定チップ11においては、センサ流路Sの下流側に流速センサ用熱線19を設け、センサ流路Sを流れる被測定流体F2の助走区間Lを長く設けている。センサ流路Sを流れる被測定流体F2の流れを整えるためである。
そして、測定チップ11の熱線用電極14、15、16、17を、センサ基板21の電気回路用電極24、25、26、27(図10参照)のそれぞれと、半田リフロー又は導電性接着剤などで接合することによって、測定チップ11をセンサ基板21に実装している。従って、測定チップ11がセンサ基板21に実装されると、測定チップ11に設けられた温度センサ用熱線18と流速センサ用熱線19は、測定チップ11の熱線用電極14〜17と、センサ基板21の電気回路用電極24〜27(図10参照)とを介して、センサ基板21の裏面側に設けられた電気回路に接続されることになる。
また、測定チップ11がセンサ基板21に実装されると、測定チップ11の溝13は、センサ基板21Aの溝23と重なり合う。よって、図1に示すように、測定チップ11が実装されたセンサ基板21をボディ41にシールパッキン48を介して密着すると、ボディ41の流路空間44において、センサ基板21と測定チップ11との間に、測定チップ11の溝13やセンサ基板21の溝23などからなる細長い形状のセンサ流路Sが形成される。そのため、センサ流路Sには、温度センサ用熱線18と流速センサ用熱線19とが橋を渡すように設けられる。
続いて、上記した構成を有する熱式流量計1の作用について説明する。熱式流量計1においては、図1に示すように、入口ポート42を介して入口流路43へ流れ込んだ被測定流体(図1のF)は、流路空間44にて、主流路Mへ流れ込むもの(図1のF1)と、センサ流路Sへ流れ込むもの(図1のF2)とに分流される。そして、主流路Mおよびセンサ流路Sから流れ出した被測定流体は、合流して、出口流路45を介して出口ポート46からボディ41の外部に流れ出す(図1のF)。
ここで、センサ流路Sへ流れ込む被測定流体(図1のF2)は、積層フィルタ50内における3層のメッシュ部51Mを通過した後に、センサ流路Sに流れ込む。また、主流路Mおよびセンサ流路Sから流れ出した被測定流体は、遮蔽壁47により、測定チップ11から離れた地点で合流する。このため、合流地点で発生する流れの渦が、センサ流路Sを流れる被測定流体(図1のF2)の流れに影響を及ぼすことがない。従って、非常に流れが整えられた状態の被測定流体が、センサ流路Sを流れる。
そして、センサ流路Sを流れる被測定流体(図1のF2)は、センサ流路Sに橋設された温度センサ用熱線18と流速センサ用熱線19とから熱を奪う。そうすると、センサ基板21の裏面側に設けられた電気回路が、温度センサ用熱線18と流速センサ用熱線19などの出力を検知しながら、温度センサ用熱線18と流速センサ用熱線19とが一定の温度差になるように制御する。
このときの出力の一例を図12、図13に示す。図12のグラフは、熱式流量計1からの出力(ブリッジ出力)を示したものである。図13のグラフは、熱式流量計1からの出力を電気的フィルター(ローパスフィルタ)に通した後の出力(アンプ出力)を示したものである。なお、図12、図13とも、熱式流量計1の入口ポート42へ流れ込む被測定流体(図1のF)の流量が10(l/min)のときの出力を示している。また、実線が第1の実施の形態に係る熱式流量計1の出力を示し、破線が改善前の熱式流量計の出力を示す。
図12、図13から明らかなように、第1の実施の形態に係る熱式流量計1は、改善前の熱式流量計(特願2000−368801のもの。以下同様)に比べ、出力の振動幅が小さいことがわかる。ここで、この振動幅の出力値に対する比率をノイズと定義すると、図12において、改善前の熱式流量計におけるノイズが「22.36(%FS)」であるのに対し、第1の実施の形態に係る熱式流量計1におけるノイズは「2.77(%FS)」である。また、図13において、改善前の熱式流量計におけるノイズが「4.96(%FS)」であるのに対し、第1の実施の形態に係る熱式流量計1におけるノイズは「0.43(%FS)」である。すなわち、第1の実施の形態に係る熱式流量計1によれば、ノイズを約1/10にすることができる。これは、上記したようにセンサ流路Sを流れる被測定流体の流れが非常に整ったものになっているからである。なお、ブリッジスパンは、第1の実施の形態に係る熱式流量計1が「0.415(V)」であり、改善前の熱式流量計が「0.405(V)」である。
このように熱式流量計1は、測定出力が非常に安定している。そして、応答性も約50msecであり、非常に高感度である。このため、熱式流量計1を半導体チップマウンティング時のハンドリングにおける真空吸着の吸着確認に用いた場合、吸着状況を正確に判断することができる。なぜなら、吸着時と非吸着時におけるオリフィス内の流量を瞬時に正確かつ安定して測定することができるからである。従って、吸着確認に熱式流量計1を利用することにより、実際には吸着しているにも関わらず、吸着していないと誤判断されることがなくなり吸着確認を正確に行うことができる。これにより、近年、小型化の進む半導体チップ(例えば0.5mm角)のマウンティング時におけるハンドリング作業を非常に効率よく行うことができる。
以上、詳細に説明したように第1の実施の形態に係る熱式流量計1によれば、ボディ41に形成された流路空間44に積層フィルタ50が装着されている。そして、積層フィルタ50には、主流路Mとセンサ流路Sとの間に配置される3層のメッシュ部51Mが備わっている。このため、被測定流体は、3層のメッシュ部51Mを通過した後にセンサ流路Sに流れ込む。これにより、センサ流路Sに流れ込む被測定流体の流れが整えられる。つまり、主流路Mに流れ込む被測定流体の流れが乱れたとして、主流路Mとセンサ流路Sとの間に設けられた3層のメッシュ部51Mにより、センサ流路Sに流れ込む被測定流体の流れは整えられるのである。また、メッシュ部51Mを3層設けているので、より大きな整流効果が得られる。
また、積層フィルタ50には、積層フィルタ50を構成する各薄板51,52,53,54に設けられた遮蔽部51C,52C,53C,54Cによって形成された遮蔽壁47が備わっている。このため、センサ流路Sから流出する被測定流体と主流路Mから流出する被測定流体とが、ボディ41に形成された出口流路45(エルボ部45A)で合流する。つまり、センサ流路Sから流出する被測定流体と主流路Mから流出する被測定流体とが、センサ流路Sの出口付近で合流することがない。これにより、センサ流路Sと主流路Mとの合流地点が、測定チップ11から遠ざけられている。従って、センサ流路Sと主流路Mとの合流地点に発生する流れの渦が、センサ流路Sにおける被測定流体の流れを乱さない。
このように熱式流量計1は、ボディ41に形成された流路空間44に積層フィルタ50が装着されていることにより、測定流量が大きくなっても、センサ流路Sにおける被測定流体の流れが乱れない。よって、測定流量が大きい場合であっても、安定した測定出力を得ることができる。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。そこで、第2の実施の形態に係る熱式流量計の概略構成を図14に示す。図14に示すように、第2の実施の形態に係る熱式流量計201は、第1の実施の形態に係る熱式流量計1とほぼ同様の構成を有するものであるが、流路空間44に積層フィルタ50の代わりに積層フィルタ50Aが装着されている点が異なる。すなわち、本実施の形態に係る熱式流量計201には、積層フィルタ50と比べメッシュ部51M間の間隔を小さくした積層フィルタ50Aが流路空間44に装着されている。このため、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成のものについては、同じ符号を付してその説明を省略する。
そこで、積層フィルタ50Aについて、図15を用いて説明する。積層フィルタ50Aは、図15に示すように、4種類の薄板を合計11枚積層したものである。すなわち、下から順に、メッシュ板51、第1遮蔽板52,52,52,52、第2遮蔽板53,53、メッシュ板51,51,51、および第3遮蔽板54が積層されて接着されたものである。すなわち、積層フィルタ50Aは、積層フィルタ50(図4参照)において、メッシュ板51と第2遮蔽板53との配置を変更したものである。この配置の変更により、各メッシュ部51Mの間隔が0.2mmとなっている。
そして、上記構成を有する熱式流量計201で、第1の実施の形態と同様の条件下(流量:10(l/min))における出力を確認したところ、ブリッジ出力におけるノイズは「4.23(%FS)」であり、アンプ出力におけるノイズは「0.69(%FS)」であった。なお、ブリッジスパンは「0.426(V)」である。そして、改善前の熱式流量計のブリッジ出力におけるノイズが「22.36(%FS)」であり、アンプ出力におけるノイズが「4.96(%FS)」である。
従って、第2の実施の形態に係る熱式流量計201によれば、ノイズを約1/5にすることができる。すなわち、計測出力の安定化が図られている。ただし、第1の実施の形態に係る熱式流量計1のノイズと比べると、ノイズが悪化していることがわかる。このことから、メッシュ部51Mは、0.7mm程度の間隔をとって配置する方がより大きな効果が得られると言える。
以上、詳細に説明したように第2の実施の形態に係る熱式流量計201によれば、ボディ41に形成された流路空間44に積層フィルタ50Aが装着されている。そして、積層フィルタ50Aには、主流路Mとセンサ流路Sとの間に配置される3層のメッシュ部51Mが備わっている。このため、被測定流体は、3層のメッシュ部51Mを通過した後にセンサ流路Sに流れ込む。これにより、センサ流路Sに流れ込む被測定流体の流れが整えられる。つまり、主流路Mに流れ込む被測定流体の流れが乱れたとして、主流路Mとセンサ流路Sとの間に設けられた3層のメッシュ部51Mにより、センサ流路Sに流れ込む被測定流体の流れは整えられるのである。また、メッシュ部51Mを3層設けているので、より大きな整流効果が得られる。
また、積層フィルタ50Aには、積層フィルタ50Aを構成する各薄板51,52,53,54に設けられた遮蔽部51C,52C,53C,54Cによって形成された遮蔽壁47が備わっている。このため、センサ流路Sから流出する被測定流体と主流路Mから流出する被測定流体とが、ボディ41に形成された出口流路45(エルボ部45A)で合流する。つまり、センサ流路Sから流出する被測定流体と主流路Mから流出する被測定流体とが、センサ流路Sの出口付近で合流することがない。これにより、センサ流路Sと主流路Mとの合流地点が、測定チップ11から遠ざけられている。従って、センサ流路Sと主流路Mとの合流地点に発生する流れの渦が、センサ流路Sにおける被測定流体の流れを乱さない。
このように熱式流量計201は、ボディ41に形成された流路空間44に積層フィルタ50Aが装着されていることにより、測定流量が大きくなっても、センサ流路Sにおける被測定流体の流れが乱れない。よって、測定流量が大きい場合であっても、安定した測定出力を得ることができる。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。そこで、第3の実施の形態に係る熱式流量計の概略構成を図16に示す。図16に示すように、第3の実施の形態に係る熱式流量計301は、第1の実施の形態に係る熱式流量計1とほぼ同様の構成を有するものであるが、流路空間44に積層フィルタ50の代わりに積層フィルタ60が装着されている点が異なる。すなわち、本実施の形態に係る熱式流量計301には、複数の溝を備えた積層フィルタ60が流路空間44に装着されている。また、積層フィルタ60は、第1の実施の形態の積層フィルタ50に対し、メッシュ部51Mが備わっていない点でも相違する。このため、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成のものについては、同じ符号を付してその説明を省略する。
そこで、積層フィルタ60について、図17を用いて説明する。積層フィルタ60は、図17に示すように、3種類の薄板を合計10枚積層したものである。すなわち、下から順に、メッシュ板51、第1溝フィルタ55,55,55,55,55,55,55,55、および第3遮蔽板54が積層されて接着されたものである。
ここで、第1溝フィルタ55について、図18を用いて説明する。なお、図18(a)は第1溝フィルタの平面図であり、図18(b)は図18(a)におけるA−A断面図であり、図18(c)は図18(a)におけるB−B断面図である。第1溝フィルタ55は、図18に示すように、外周部55B、遮蔽部55C、および中央部55Dを残し、中央部55Dに溝55Eが形成されるようにエッチング加工されたものである。すなわち、第1溝フィルタ55は、第2遮蔽板53の中央部53D(図8参照)に溝55Eを設けたものとなっている。そして、第1溝フィルタ55の中央部55Dには、片面2本ずつ合計4本の溝55Eが形成されている。この溝55Eの深さは0.35mmであり、溝55Eの幅は0.9mmである。そして、隣り合う溝の間隔は1.05mmとなっている。なお、第1溝フィルタ55の厚さは、0.5mmである。
これらメッシュ板51、第1溝フィルタ55、および第3遮蔽板54を図17に示すように積層して接着した積層フィルタ60を、ボディ41に形成された流路空間44に装着することにより、図16に示すように、第1溝フィルタ55の中央部55Dに形成された溝55Eによって主流路Mに多数の細かい流路が形成されている。これにより、主流路Mに流れ込む被測定流体は、各溝55Eを流れる。このため、主流路Mを流れる被測定流体の流れが整えられる。また、第1溝フィルタ55では、両面に溝55Eを形成することにより、積層体フィルタ60により多くの溝55Eを備えることができ、より大きな整流効果が得られる。
なお、積層フィルタ60には、各薄板51,54,55に設けられた遮蔽部51C,54C,55Cによって形成された遮蔽壁47Aが備わっている。この遮蔽板47Aも、第1の実施の形態に係る熱式流量計1に備わる遮蔽板47と同様の効果を奏する。すなわち、センサ流路Sと主流路Mとの合流地点に発生する流れの渦が、センサ流路Sにおける被測定流体の流れを乱さない。
そして、上記構成を有する熱式流量計301で、第1の実施の形態と同様の条件下(流量:10(l/min))における出力を確認したところ、ブリッジ出力におけるノイズは「6.84(%FS)」であり、アンプ出力におけるノイズは「1.42(%FS)」であった。なお、ブリッジスパンは「0.679(V)」である。そして、改善前の熱式流量計のブリッジ出力におけるノイズが「22.36(%FS)」であり、アンプ出力におけるノイズが「4.96(%FS)」である。
従って、第3の実施の形態に係る熱式流量計301によれば、ノイズを約1/3にすることができる。すなわち、計測出力の安定化が図られている。ただし、第1の実施の形態に係る熱式流量計1のノイズと比べると、ノイズが悪化していることがわかる。このことから、主流路Mに整流機構(溝55E)を設けるよりも、主流路Mとセンサ流路Sとの間にメッシュ部51Mを設ける方がより大きな効果が得られると言える。
以上、詳細に説明したように第3の実施の形態に係る熱式流量計301によれば、ボディ41に形成された流路空間44に積層フィルタ60が装着されている。そして、積層フィルタ60には、主流路Mを複数の流路に分割する溝55Eが備わっている。このため、主流路Mに流れ込む被測定流体の流れが整えられる。これにより、主流路Mにおける被測定流体の流れが、センサ流路Sにおける被測定流体の流れに悪影響を及ぼさない。つまり、センサ流路Sにおける被測定流体の流れが常に安定する。
また、積層フィルタ60には、積層フィルタ60を構成する各薄板51,54,55に設けられた遮蔽部51C,54C,55Cによって形成された遮蔽壁47Aが備わっている。このため、センサ流路Sから流出する被測定流体と主流路Mから流出する被測定流体とが、ボディ41に形成された出口流路45(エルボ部45A)で合流する。つまり、センサ流路Sから流出する被測定流体と主流路Mから流出する被測定流体とが、センサ流路Sの出口付近で合流することがない。これにより、センサ流路Sと主流路Mとの合流地点が、測定チップ11から遠ざけられている。従って、センサ流路Sと主流路Mとの合流地点に発生する流れの渦が、センサ流路Sにおける被測定流体の流れを乱さない。
このように熱式流量計301は、ボディ41に形成された流路空間44に積層フィルタ60が装着されていることにより、主流路Mを複数の流路に分割する複数の溝55E(整流機構)が配置されるので、主流路Mを流れる被測定流体の流れが整えられる。さらに、センサ流路Sと主流路Mとの合流地点を、合流地点に発生する流れの渦がセンサ流路Sにおける被測定流体の流れを乱さない程度に、測定チップ11から遠ざける遮蔽板47Aが配置される。従って、主流路Mにおける被測定流体の流れが乱れず、また、センサ流路Sと主流路Mとの合流地点に発生する流れの渦がセンサ流路Sにおける被測定流体の流れを乱さない。このため、測定流量が大きい場合であっても、センサ流路Sにおける被測定流体の流れが乱れない。よって、測定流量が大きい場合であっても、安定した測定出力を得ることができる。
(第4の実施の形態)
最後に、第4の実施の形態について説明する。そこで、第4の実施の形態に係る熱式流量計の概略構成を図19に示す。図19に示すように、第4の実施の形態に係る熱式流量計401は、第1の実施の形態に係る熱式流量計1とほぼ同様の構成を有するものであるが、流路空間44に積層フィルタ50の代わりに積層フィルタ70が装着されている点が異なる。すなわち、本実施の形態に係る熱式流量計401も、第3の実施の形態と同様に、複数の溝を備えた積層フィルタ70が流路空間44に装着されている。ただし、積層フィルタ70は、第3の実施の形態の積層フィルタ60に対し、遮蔽壁47Aが備わっていない点、および溝の数が異なる点で相違する。このため、第1(および第3)の実施の形態と異なる点を中心に説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成のものについては、同じ符号を付してその説明を省略する。
そこで、積層フィルタ70について、図20を用いて説明する。積層フィルタ70は、図20に示すように、2種類の薄板を合計10枚積層したものである。すなわち、下から順に、メッシュ板51、第2溝フィルタ56,56,56,56,56,56,56,56,56が積層されて接着されたものである。
ここで、第2溝フィルタ56について、図21を用いて説明する。なお、図21(a)は第2溝フィルタの平面図であり、図21(b)は図21(a)におけるA−A断面図であり、図21(c)は図21(a)におけるB−B断面図である。第2溝フィルタ56は、図21に示すように、外周部56Bと中央部56Dとを残し、中央部56Dに溝56Eが形成されるようにエッチング加工されたものである。すなわち、第2溝フィルタ56は、第2遮蔽板53の中央部53D(図8参照)に溝56Eを設ける一方、遮蔽部53Cを設けないものとなっている。そして、中央部56Dには、片面に3本の溝56Eが形成されている。この溝56Eの深さは0.35mmであり、溝55Eの幅は1.1mmである。そして、隣り合う溝の間隔は0.2mmとなっている。なお、第2溝フィルタ56の厚さは、0.5mmである。
これらメッシュ板51と第2溝フィルタ56を図20に示すように積層して接着した積層フィルタ70をボディ41に形成された流路空間44に装着することにより、図19に示すように、第2溝フィルタ56の中央部56Dに形成された溝56Eによって主流路Mに多数の細かい流路が形成されている。これにより、主流路Mに流れ込む被測定流体は、各溝56Eを流れる。このため、主流路Mを流れる被測定流体の流れが整えられる。また、第2溝フィルタ56には、3本の溝56Eが形成されていることにより、積層フィルタ70により多くの溝56Eを備えることができ、より大きな整流効果が得られる。
そして、上記構成を有する熱式流量計401で、第1の実施の形態と同様の条件下(流量:10(l/min))における出力を確認したところ、ブリッジ出力におけるノイズは「13.47(%FS)」であり、アンプ出力におけるノイズは「1.76(%FS)」であった。なお、ブリッジスパンは「0.498(V)」である。そして、改善前の熱式流量計のブリッジ出力におけるノイズが「22.36(%FS)」であり、アンプ出力におけるノイズが「4.96(%FS)」である。
従って、第4の実施の形態に係る熱式流量計401によれば、ノイズを約3/5にすることができる。すなわち、計測出力の安定化が図られている。ただし、第3の実施の形態に係る熱式流量計1のノイズと比べると、ノイズが悪化していることがわかる。このことから、遮蔽壁47Aを設ける方がより大きな効果が得られると言える。
また、積層フィルタ70をボディ41の流路空間44に装着する代わりに、図22に示すような複数のフィン81が形成された円柱形状のピン80を主流路Mに配置してもよい。このようなピン80を主流路Mに設けることによっても、主流路M内に複数の流路が形成され、主流路Mを流れる被測定流体の流れが整えられるからである。
そして、このピン80を主流路Mに配置した場合における熱式流量計で、第1の実施の形態と同様の条件下(流量:10(l/min))における出力を確認したところ、ブリッジ出力におけるノイズは「16.22(%FS)」であり、アンプ出力におけるノイズは「3.26(%FS)」であった。なお、ブリッジスパンは「0.469(V)」である。そして、改善前の熱式流量計のブリッジ出力におけるノイズが「22.36(%FS)」であり、アンプ出力におけるノイズが「4.96(%FS)」である。従って、ピン80を主流路Mに配置するだけでも、ノイズを約3/4にすることができる。すなわち、計測出力の安定化が図られている。ただし、安定化の効果はさほど大きくない。
以上、詳細に説明したように第4の実施の形態に係る熱式流量計401によれば、ボディ41に形成された流路空間44に積層フィルタ70が装着されている。そして、積層フィルタ70には、主流路Mを複数の流路に分割する溝56Eが備わっている。このため、主流路Mに流れ込む被測定流体の流れが整えられる。これにより、主流路Mにおける被測定流体の流れが、センサ流路Sにおける被測定流体の流れに悪影響を及ぼさない。つまり、測定流量が大きくなっても、センサ流路Sにおける被測定流体の流れが安定する。よって、測定流量が大きい場合であっても、安定した測定出力を得ることができる。
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。例えば、上記した実施の形態においては、積層フィルタとして4種類のものを例示したが、これだけに限られず、各薄板51〜56を任意に組み合わせて積層フィルタを構成することができる。
第1の実施の形態に係る熱式流量計の概略構成図である。 ボディの平面図である。 図2のA−A断面図である。 積層フィルタの分解斜視図である。 メッシュ板を示す図であり、(a)が平面図、(b)がA−A断面図である。 図5のメッシュ部の拡大図である。 第1遮蔽板を示す図であり、(a)が平面図、(b)がA−A断面図である。 第2遮蔽板を示す図であり、(a)が平面図、(b)がA−A断面図である。 第3遮蔽板を示す図であり、(a)が平面図、(b)がA−A断面図である。 センサ基板の斜視図である。 測定チップを示す図であり、(a)が平面図であり、(b)が側面図である。 熱式流量計の出力(ブリッジ出力)の一例を示す図である。 同じく、熱式流量計の出力(アンプ出力)の一例を示す図である。 第2の実施の形態に係る熱式流量計の概略構成図である。 積層フィルタの分解斜視図である。 第3の実施の形態に係る熱式流量計の概略構成図である。 積層フィルタの分解斜視図である。 第1溝フィルタを示す図であり、(a)が平面図であり、(b)がA−A断面図であり、(c)がB−B断面図である。 第4の実施の形態に係る熱式流量計の概略構成図である。 積層フィルタの分解斜視図である。 第2溝フィルタを示す図であり、(a)が平面図であり、(b)がA−A断面図であり、(c)がB−B断面図である。 第5の実施の形態に係る熱式流量計における整流ピンの正面図である。 従来の熱式流量計の断面図である。 従来の熱流量計で使用された測定素子の斜視図である。
符号の説明
1 熱式流量計
41 ボディ
44 流路空間
47 遮蔽壁
50 積層フィルタ
51 メッシュ板
51M メッシュ部
52 第1遮蔽板
53 第2遮蔽板
54 第3遮蔽板
55 第1溝フィルタ
55E 溝
52C,53C,54C,55C 遮蔽部
56 第2溝フィルタ
56E 溝
M 主流路(バイパス流路)
S センサ流路

Claims (3)

  1. 流量を計測するための熱線が架設されたセンサ流路の他に、前記センサ流路に対するバイパス流路を備える熱式流量計において、
    前記バイパス流路とセンサ流路との間に、厚さ0.5mm以下のメッシュ板が密着して積層された状態で設けられていることを特徴とする熱式流量計。
  2. 流量を計測するための熱線が架設されたセンサ流路の他に、前記センサ流路に対するバイパス流路を備える熱式流量計において、
    前記バイパス流路とセンサ流路との間に、エッチング加工により形成されたメッシュ板が密着して積層された状態で設けられていることを特徴とする熱式流量計。
  3. 請求項1または請求項2に記載する熱式流量計において、
    前記メッシュ板に備わるメッシュ部は、他の部分よりも薄く加工されていることを特徴とする熱式流量計。
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