JP3645634B2 - ワイヤロープ電磁探傷装置の防振プローブ及び防振プローブによるワイヤロープ防振探傷方法。 - Google Patents

ワイヤロープ電磁探傷装置の防振プローブ及び防振プローブによるワイヤロープ防振探傷方法。 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、相互に小間隔をおき併設された動索のワイヤロープを連続して探傷するのに好適なワイヤロープ電磁探傷装置の防振プローブ及び防振プローブによるワイヤロープ防振探傷方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種のクレーンやエレベータ等で汎用されている各種のワイヤロープ(動索)は、曲げ変形や引っ張り荷重による疲労、摩擦等で生じる断線や局部的な磨耗等の損傷を定期的に検査して探傷する必要がある。このロープ探傷は、通常、目視点検されていたが、多くの手数、手間を要し目視では内部の損傷を検出できないため、最近、各種の電磁探傷装置が開発されている。
【0003】
前記の電磁探傷装置は、例えば把手を付設した永久磁石と、永久磁石に装着しワイヤロープのガイド孔及び漏洩磁束の検出センサーを備えたプローブ、及び検出コイルに連結した信号処理器等からなり、ワイヤロープにプローブを嵌装してハンドリングし、ガイド孔内で導通するワイヤロープを所定の長さにわたり強力に磁化して長手方向に磁束を通し、ワイヤロープの断線や局部的な磨耗等の損傷で生じる漏洩磁束を検出センサーで検出して、この検出信号に基づきワイヤロープを連続して探傷する小型で軽量なワイヤロープ電磁探傷装置を開発して提案した(例えば特開平7−198684号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のワイヤロープ電磁探傷装置は、前記のように動索のワイヤロープにプローブを嵌装して、ワイヤロープに近接した検出センサーでロープ内外部の損傷を高精度で連続して探傷できるなど優れた探傷性能を有しているが、クレーンやエレベータ等のように複数本のワイヤロープを近接させて配置している場合、このプローブをワイヤロープに嵌装して使用すると、近接したワイヤロープがプローブに吸引されてプローブ側端部に当接し、ワイヤロープの表面凹凸で起振され検出信号にノイズが生じて検出精度、信頼性が著しく低下される課題がある。
【0005】
本発明は、前記のような課題を解決するために開発されたものであつて、その目的とする処は、プローブの両側面の端部近くに、近接したワイヤロープを接触させて滑らかにガイドするガイド凸部を設けて、近接ワイヤロープによる起振を防止し検出信号のノイズ発生を効果的に低減して探傷性能、信頼性を向上したワイヤロープ電磁探傷装置の防振プローブを提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
磁石のN極とS極の下部間に、ワイヤロープ(a)のガイド孔(5a 15b とともに検出センサー( 6 を備えたプローブ 5 15 を装着したワイヤロープ電磁探傷装置において、
プローブ 5 15 の両側面の両端部の近くに小間隔をおき突設して探傷対象のワイヤロープ a の複数の表面凹凸を同時にガイドする滑らかなガイド面 11a を形成したガイド凸部 11 11 を設けるとともに、プローブの両側面のほぼ全長にわたり非磁性材の滑らかな薄板(13)を張設したワイヤロープ電磁探傷装置の防振プローブに特徴を有し、また、
磁石のN極とS極の下部間に、ワイヤロープ( a )のガイド孔( 5a 15b )とともに検出センサー( 6 )を備えたプローブ( 5 15 )を装近接位置にあっても着して、プローブ( 5 15 )の両側面の両端部の近くに小間隔をおき突設して探傷対象のワイヤロープ( a )の複数の表面凹凸を同時にガイドする滑らかなガイド面( 11a )を形成したガイド凸部( 11 11 )を設けるとともに、プローブの両側面のほぼ全長にわたりガイド凸部( 11 )の滑らかなガイド面( 11a )の滑らかなガイド面( 11 a)によって探傷対象のワイヤロープ( a )がガイドされてi9Zw命該と薄板( 13 )を張設して、前記の滑らかなガイド面 11a)の探傷対象のワイヤロープ a )をガイドして探傷するとともに、前記のワイヤロープ a に対し近接した近接ワイヤロープを前記の非磁性材の滑らかな薄板 13 を介して近接位置に分離せしめ、近接ワイヤロープの起振に基づくノイズ発生による探傷信号の誤差を防止する防振プローブによるワイヤロープ防振探傷方法に特徴を有し、前記のガイド凹部( 11 )のガイド面( 11 )によって探傷対象のワイヤロープ( a )が滑らかにガイドされて探傷されるとともに、前記のワイヤロープ( a )に対し近接ワイヤロープが前記の非磁性材の滑らかな薄板( 13 )を介し分離せしめられて、近接ワイヤロープの起振によるノイズ発生に基づく探傷信号の誤差が防止されて、薄板( 13 )により近接ワイヤロープが近接位置にあっても、前記のノイズ発生に基づく探傷信号の低減が効果的に是正される。即ちプローブ( 5 15 )による検出信号の精度が効果的に高められるなど、ワイヤロープ( a )の探傷性能、信頼性が著しく高められている。
【0007】削除
【0008】
【発明の実施の形態】
図1ないし図3に本発明の一実施例を示している。図中aはワイヤロープ、1は把手、2a,bは把手に付設した磁石(永久磁石)、5,15は磁石に着脱金具3で装着した第1実施例と第2実施例のプローブ、5d,15dはプローブに縦設したワイヤロープのガイド孔、6はガイド孔の中央部の内面側に埋設して検出信号線6aに連結した検出センサー、11はプローブの両側面5e,15eの端部近くにそれぞれ突設したガイド凸部、11aはガイド凸部に形成した滑らかなガイド面、12はプローブの両側面の両端部近くに突設したスペーサ、13はプローブの両側面に張設した非磁性材の滑らかな薄板、aはワイヤロープ、cはプローブの端面とガイド凸部(ガイド面)との小間隔である。
【0009】
図示の実施例は、磁石2a,bのN極とS極の下部間に、ワイヤロープaのガイド孔5d,15d及び検出センサー6を備えたプローブ5,15を装着したワイヤロープ電磁探傷装置において、プローブ5,15の両側面5e,15eの両端後近くに、それぞれ近接したワイヤロープaを滑らかにガイドするガイド凸部11を設けたワイヤロープ電磁探傷装置の防振プローブになつている。
【0010】
また、前記のワイヤロープ電磁探傷装置の防振プローブにおいて、ガイド凸部11は、プローブ5,15の端面から小間隔cをおき突設するとともに、ワイヤロープaの複数の表面凹凸を同時にガイドする滑らかなガイド面11aを形成したことを特徴とするワイヤロープ電磁探傷装置の防振プローブになつている。
【0011】
さらにまた、前記のワイヤロープ電磁探傷装置の防振プローブにおいて、ガイド凸部11は、プローブ5,15の両側面の両端部近くにそれぞれ突設したスペーサ12と、プローブ5,15の両側面のほぼ全長にわたり張設した滑らかな非磁性材の薄板13によつて形成したことを特徴とするワイヤロープ電磁探傷装置の防振プローブになつている。
【0012】
さらに詳述すると、把手1は、合成樹脂や金属等でコ字形状に形成し、この両脚部1aに磁石2a,bの強磁性板2aの両端部を適宜の手段で取り付けて、電磁探傷装置のプローブ5,15を動索のワイヤロープaに嵌装してハンドリングして使用する構造になつている。
【0013】
また、磁石2a,bは、短冊状の鉄板で形成した強磁性板2aの両端下側に永久磁石2bを装着し、この両永久磁石2bをそれぞれ非磁性(アルミ板等)のマグネットケース内に配置して、両永久磁石2bをN極とS極の極性に構成している。この永久磁石2bは、好ましくは強磁力が得られる希土類永久磁石、例えばネオジウム系Nd−Fe−B焼結磁石を適用して、全体として磁束密度1.2T(12000ガウス)程度の磁化器として組み立て作業性が得られるように、起磁力が適宜の大きさに分離された複数個(3個程度)の永久磁石を積層状に形成し、把手1の両脚部1aに強磁性板2aの両端部を適宜の手段で付設して、この両永久磁石2bの下側にプローブ5(第1実施例)又は15(第2実施例)がバネ3a付き着脱金具3で着脱可能に装着される。
【0014】
第1実施例のプローブ5は、図1A及び図2Aのように一対の分割ガイド部5aの前後部に設けた両分割立上部5bをヒンジ連結5cし、両分割ガイド部5aを例えばバネ付勢(図示省略)等に抗し拡開可能に形成して、全体的に側視倒立コ字状に形成するとともに、両分割ガイド部5aの内面に設けた半円弧状溝によつて、バネ付勢(矢示Y方向)等でワイヤロープaに嵌装するとワイヤロープaが接触状で導通するガイド孔5dに形成し、さらに、ガイド孔5dの中央部の内面部に適宜の間隔をおいて好ましくは一対の検出センサー6を埋設している。さらに、両分割立上部5bの端面にフツク5fを設け、磁石2a,bの両端部(N極とS極)の下部間にプローブ5をバネ3a付き着脱金具3をフツク5fに掛け止めして着脱可能に装着すると、プローブ5の両端部が永久磁石2bでN極とS極に磁化されて、導通するワイヤロープaを所定の長さにわたり強力に磁化する構造になつている(図3参照)。図中6aは検出センサー6に連結した検出信号線である。
【0015】
また、プローブ15の第2実施例は、図2Bのようにガイド部15aの両端部上に両立上部15bを設けて、全体的に側視倒立コ字状に形成するとともに、ガイド部15aを下側から切り欠いでワイヤロープaを接触状で導通するガイド孔15dを設け、ガイド孔15dの中央部の内面部に好ましくは適宜の間隔をおき一対の検出センサー6を埋設して、磁石2a,bの両端部(N極とS極)の下部間にプローブ15をバネ付き着脱金具3と受止爪5fで掛け止めして着脱可能に装着すると、プローブ15の両端部が両永久磁石2bでN極とS極に磁化され、導通するワイヤロープaを所定の長さにわたり強力に磁化する構造になつている(図3参照)。
【0016】
さらに、プローブ5,15の両側面に設けたガイド凸部11は、プローブの両側面5e,15eの両端部(4隅部)近くに非磁性材(ステンレス製等)のスペーサ12を適宜の手段で固着して、プローブの両側面5e,15eのほぼ全面にわたり非磁性材(オーステナイト系ステンレス製等,例えばSUS304,厚さ0.3mm)で滑らかに形成した薄板13をビス13a等で張設して、各スペーサ12と薄板13でプローブの両側面の両端部近くにそれぞれガイド凸部11を形成し、ガイド凸部11に近接したワイヤロープaを接触させて滑らかにガイドするガイド面11aを形成している。
【0017】
前記のガイド凸部11は、プローブ5,15の両側面に近接したワイヤケーブルaとの距離に対応した高さbに設定するとともに、このガイド面11aは、近接したワイヤロープaにおける複数の表面凹凸を同時に接触させて滑らかにガイドする適度の長さdに、さらに、プローブ5又は15の端面とガイド面11aとの小距離cを確保して、図1B,Cのように近接したワイヤロープaで挟まれた状態で、プローブが少し傾いても薄板13の前後端部がプローブとともに近接ワイヤロープに当接しないように適度に傾斜させた配置にしている。例えば、ワイヤロープaの直径が12mmの場合、小距離cを10mmとし、ガイド凸部11の高さbを少なくとも、b=傾斜1/50×10=0.2mmに確保することにより、近接ワイヤロープaがガイド凸部11のガイド面11aで滑らかにガイドされて、近接ワイヤロープによる起振が効果的に防止される。また、ガイド凸部11間の薄板13は、止め金具13a等で図示のように凹ませた配置とし、プローブ5又は15の両側面の中間部を被覆して防護する構造になつている。
【0018】
前記のワイヤロープ電磁探傷装置は、図1のようにプローブ5又は15を所要のワイヤロープ(動索)aに嵌装して把手1でハンリングし、プローブのガイド孔5d,15d内を接触状で導通するワイヤロープの探傷を連続して検出することができる。即ち、図3に示すようにワイヤロープaが所定の長さ範囲にわたり強力に磁化されて、ワイヤロープaの長さ方向に磁束gが通りその断線や磨耗等の損傷部では漏洩磁束fが発生するため、プローブのガイド孔5d,15dの中間部に配置した検出センサー6は、ワイヤロープに対し適度の近接位置でその漏洩磁束f等を効果的に連続して検出し、この検出信号(電圧の信号波形)は、図示省略した増幅器に入力され、帯域フイルタや全波整流器等を介しノイズカツトされるなどの処理後に記録計に連続波形として記録される。また、レベルメータに表示したり、比較器を介し異常な検出の際にブザー等で警報を発することができるなど、基本的に高精度及び高能率の優れた探傷性能が得られる。
【0019】
また、本発明のワイヤロープ電磁探傷装置のプローブ5,15は、前記のよううに近接したワイヤロープa群の探傷に使用すると、その両側面の両端部近くに設けたガイド凸部11のガイド面11aで、図1B,Cのように近接したワイヤロープが滑らかにガイドされて、近接ワイヤロープによるプローブの起振が効果的に防止され、検出センサー6による検出信号に格別なノイズが生じないなど、優れた検出性能及び信頼性が得られる。
【0020】
実施例のワイヤロープ電磁探傷装置は、図示のように著しく小型、軽量化されてハンドリングが可能でありしかも高能率で探傷できるなどの利点を有する。好ましくは前記のような永久磁石を適用する。また、電磁磁石を適用した探傷装置においても、本発明の防振プローブは同様に効果的に機能する。
【0021】
本発明は、前記のような構成からなりプローブの両側面の両端部近くに小間隔をおき突設するとともにワイヤロープの複数の表面凹凸を同時にガイドする滑らかなガイド面11aによってワイヤロープaが滑らかにガイドされて所定の長さにわたり動通されて強力に磁化され、ロープ損傷等で生じる漏洩磁束がロープに近接された検出センサーで検出されて探傷性能が著しく高められるとともに、前記のガイド凸部11、11に近接されたワイヤロープが滑らかにガイドされ、かつ非磁性材の滑らかな薄板13により、近接ワイヤロープによる起振に基づくノイズ発生が効果的に低減されて防止され、検出信号のノイズ発生による検出信号の検出誤差が効果的に低減されるなど、手探傷性能、信頼性が著しく高められている。
【0022】
また、前記のワイヤロープ電磁探傷装置の防振プローブにおいて、前記のガイド凸部11の滑らかなガイド面11aによってワイヤロープaかガイドされて探傷され、前記のワイヤロープaに対し近接したワイヤロープaを前記の非磁性材の薄板13を介し滑らかに分離されて近接ワイヤロープの起振に基づくノイズ発生による探傷信号の誤差を防止したことにより、探傷するワイヤロープに対し近接されたワイヤロープが前記の薄板13を介在により近接位置にあっても、その起振によるノイズ発生による探傷性能の低減が効果的に防止されるなど、探傷の信頼性が格段に高められている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁探傷装置の一実施例を示す斜視図(A)とそのプローブ部の断面図(B)及びそのX部の拡大断面図(C)
【図2】プローブの第1実施例を示すその端面図(A)及び第2実施例を示すその端面図(B)
【図3】探傷装置の側視断面図である。
【符号の説明】
2a,b 磁石
5,15 プローブ
5d,15d ガイド孔
6 検出センサー
11 ガイド凸部
11a ガイド面(ガイド凸部)
12 スペーサ
13 薄板
a ワイヤロープ
c 小間隔

Claims (2)

  1. 磁石のN極とS極の下部間に、ワイヤロープ(a)のガイド孔(5a 15b とともに検出センサー( 6 を備えたプローブ 5 15 を装着したワイヤロープ電磁探傷装置において、
    プローブ 5 15 の両側面の両端部の近くに小間隔をおき突設して探傷対象のワイヤロープ a の複数の表面凹凸を同時にガイドする滑らかなガイド面 11a を形成したガイド凸部 11 11 を設けるとともに、プローブの両側面のほぼ全長にわたり非磁性材の滑らかな薄板(13)を張設したことを特徴とするワイヤロープ電磁探傷装置の防振プローブ。
  2. 磁石のN極とS極の下部間に、ワイヤロープ( a )のガイド孔( 5a 15b )とともに検出センサー( 6 )を備えたプローブ( 5 15 )を装着して、プローブ( 5 15 )の両側面の両端部の近くに小間隔をおき突設して探傷対象のワイヤロープ( a )の複数の表面凹凸を同時にガイドする滑らかなガイド面( 11a )を形成したガイド凸部( 11 11 )を設けるとともに、プローブの両側面のほぼ全長にわたりガイド凸部( 11 )の滑らかなガイド面( 11a )によって非磁性材の滑らかな薄板( 13 )を張設して、前記の滑らかなガイド面(11a)によって探傷対象のワイヤロープ(a)をガイドして探傷するとともに、前記のワイヤロープ(a)に対し近接した近接ワイヤロープを前記の非磁性材の滑らかな薄板(13)を介して近接位置に分離せしめて、近接ワイヤロープの起振に基づくノイズ発生による探傷信号の誤差を防止することを特徴とする防振プローブによるワイヤロープ防振探傷方法。
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