JP3645535B2 - ディスク記憶装置及びライト制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的にはディスク媒体上にデータを磁気的に記録するディスク記憶装置に関し、特に、低温環境下での代替処理の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、磁気ディスク装置又は光磁気ディスク装置などのディスク記憶装置(以下ディスクドライブと表記する場合がある)は、記録媒体であるディスク上にデータを磁気的に記録し、またディスク上から磁気的記録データを元のデータに復元するように構成されている。
【0003】
ところで、ディスクドライブは、従来のようなパーソナルコンピュータの記憶装置だけでなく、ディジタルテレビや、自動車に搭載される各種のディジタル機器のデータ保存装置として使用されるなど、用途が広がっている。このため、ディジタル機器の設置に伴なうディスクドライブの動作環境において、特に温度環境に対する技術上の対策が要求されている。
【0004】
通常では、一定の信頼性を確保するために、ディスクドライブが正常に動作可能な温度範囲は、予め製品仕様として設定されている。ディスクドライブでは、ディスク上にデータを磁気的に記録するため、特に低温時での記録特性(ライト動作特性)が重要である。一般的に、磁気記録技術の分野では、温度の低下に伴なって、ディスクの保磁力が大きくなる。このため、極端に低温になると、ライトヘッドによる磁気記録能力を超えて、ディスク上での磁化反転による磁気記録が困難になることが確認されている。従って、製品仕様としての温度範囲では、ライト動作に関係する記録特性に基づいて、低温側の動作限界の温度値が規定されている。なお、ディスク上からデータを読出すリード動作では、ライト動作と比較して、低温側の動作可能な許容範囲が広い。また、高温側の動作限界の温度値は、リード/ライト動作特性と共に、ディスクドライブの構成部品の動作特性にも依存して決定されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ディスクドライブでは、特に低温時の磁気記録特性に基づいて、リード/ライト動作に関係する温度仕様が設定されている。温度仕様の許容範囲を超える低温環境下では、特にディスク上にデータを記録するライト動作が実行された場合に、記録データに対する十分な信頼性を確保できない可能性が高くなる。このため、従来では、ドライブ内部の温度を温度センサにより監視し、許容範囲を超える低温の変化が発生した場合には、ライト動作を禁止する技術が開発又は提案されている(例えば特開平7−6560号公報または米国特許公報USP5,461,603を参照)。このような先行技術により、低温限界以下の温度変動が発生した場合でも、ディスク上に信頼性の低いユーザデータを記録するような事態を回避できる。
【0006】
しかしながら、ディスクドライブでは、通常のライト動作以外に、ホストシステムが関与しない(ライト命令の発行とは無関係な)ライト動作モードがある。具体的には、代替処理またはリアサイン(re-assignment)処理と呼ばれる。代替処理は、ディスク上で正常にデータを記録できない領域を特定し、当該記録領域を代替領域に変更する処理である。代替処理では、通常のユーザデータのライト動作以外に、代替処理用情報を書き換えるためのライト動作も含まれる。この代替処理用情報とは、ディスク上の所定位置(例えば最外周トラック)に記録されているファイル・アロケーション・テーブル等のアドレス管理用テーブル情報に相当する。ここで、ライト動作時に実行する代替処理をライトリアサイン処理と呼び、リード動作時に実行する代替処理をリードリアサイン処理と呼ぶ場合がある。
【0007】
代替処理は、ホストシステムからの命令ではなく、ディスクドライブが自動的に実行するモードである。即ち、通常のリード/ライト動作とは異なり、ホストシステムが関与していない状況で、ドライブは自動的に代替処理を実行し、これに伴なう代替処理用情報のライト動作を実行する。このため、低温限界以下の温度変動が発生した場合でも、ホストシステムが制御できないため、ライトヘッドの磁気記録能力が低下している状態で、代替処理が実行されることになる。従って、代替処理に伴なう代替処理用情報は、十分な信頼性を確保できない状態でディスク上に記録される可能性が高くなる。最悪の場合には、代替処理用情報の消失を招く事態となる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、低温の温度環境下では、信頼性の低い代替処理を禁止し、代替処理用情報の信頼性の低下を回避できるディスク記憶装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の観点は、低温の温度環境下では、代替処理の実行を禁止する制御機能を有するディスク記憶装置に関する。
【0010】
本発明の観点に従ったディスク記憶装置は、ヘッドを使用して、ディスク媒体に対してデータのリード動作またはライト動作を実行するリード/ライト手段を有するディスク記憶装置において、前記ディスク記憶装置の内部温度を検出する温度センサと、ホストシステムからのライト命令に応じて前記ディスク媒体上にデータをライトするライト動作の実行時に、前記温度センサにより検出された温度が規定値より低温のときには、リードリアサイン処理を禁止する第1の制御手段と、前記ライト動作により前記ディスク媒体上に記録されたデータをリードしてチェックするベリファイ処理を実行し、前記ライト動作により正常記録が確認された場合には前記ホストシステムに前記ライト動作が正常に終了したことを通知し、当該正常記録が確認できない場合には前記ホストシステムに前記ライト命令を正常に実行できないことを通知する第2の制御手段とを備えた構成である。
【0011】
このような構成のディスク記憶装置であれば、例えばライトリアサイン処理時に、ドライブの周囲温度または内部温度が規定値より低温であるときには、当該リアサイン処理を禁止できる。従って、低温時の信頼性の低下したライト動作により、信頼性の低い代替用情報をディスク上に記録するような事態を未然に回避できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0013】
(ディスクドライブの構成)
図1は、本実施形態に関するディスクドライブの要部を示すブロック図である。
【0014】
本ディスクドライブは、磁気記録媒体としてディスク1を使用するハードディスクドライブ(HDD)を想定している。本ドライブは、ディスク1に対してデータのリード/ライト動作を行なうための磁気ヘッド2を有する。ディスク1は、スピンドルモータ(SPM)3に固定されて、高速回転される。磁気ヘッド2は、ボイスコイルモータ(VCM)5により駆動されるアクチュエータ4に搭載されている。VCM5は、モータドライバIC6に含まれるVCMドライバ60により駆動電流が供給される。モータドライバIC6は、VCMドライバ60と共にSPMドライバ61を含み、CPU10により制御される。
【0015】
ここで、磁気ヘッド2は、リード動作を実行するためのリードヘッドと、ライト動作を実行するライトヘッドとがスライダ上に実装された構造である。アクチュエータ4は、CPU10をメイン要素とするサーボシステムにより駆動制御されて、磁気ヘッド2をディスク1上の目標位置に位置決めする。
【0016】
このようなヘッド・ディスクアセンブリ以外に、ディスクドライブは、プリアンプ回路7と、R/Wチャネル8と、ディスクコントローラ(HDC)9と、CPU10と、メモリ11とを有する回路系を備えている。
【0017】
プリアンプ回路7は、リードヘッドから出力されるリード信号を増幅するリードアンプ及びライトアンプを有する。ライトアンプは、R/Wチャネル8から出力されるライトデータ信号をライト電流信号に変換して、ライトヘッドに送出する。R/Wチャネル8は、リード/ライトデータ信号(サーボデータ信号を含む)を処理する信号処理用ICである。
【0018】
HDC9は、ドライブとホストシステム20(例えばパーソナルコンピュータやディジタル機器)とのインターフェース機能を有する。具体的には、HDC9は、バッファメモリ90を管理して、ディスク1とホストシステム20間のリード/ライトデータの転送制御を実行する。バッファメモリ90は、リード/ライトデータを一時的に格納するDRAMである。HDC9は、バッファメモリ90を使用して、ライトデータをキャッシュするライトキャッシュ機能や、リードデータをキャッシュするリードキャッシュ機能を実現している。
【0019】
CPU10は、ドライブのメイン制御装置であり、サーボシステムの制御動作、通常のリード/ライト動作制御、及び本実施形態に関係する代替処理(リアサイン処理)の制御を実行する。メモリ11は、不揮発性メモリであるフラッシュメモリ(EEPROM)110以外に、RAM及びROMなどを含み、CPU10の制御に必要な各種データ及びプログラムを保存する。
【0020】
更に、本ドライブは、ドライブ内の温度を検出するための温度センサ12を有する。温度センサ12は、一定のサンプリング間隔で温度を検出し、当該温度値をCPU10に出力する。CPU10は、温度センサ12からの温度検出に従って温度変動を監視する。ここで、温度センサ12の温度検出値を「K」とし、また通常のリード/ライト動作を正常に実行可能な低温限界値を規定値Tとして表記する。CPU10は、ドライブの周囲温度(K)が規定値T以上であれば、正常な温度環境であると判定する。通常では、温度センサ12は、ディスクドライブに設けられている回路基板上に実装されている。
【0021】
なお、ホストシステム20は、独自の温度センサを有し、自身及びドライブの周囲温度の変化を監視し、温度検出値KをHDC9を介してCPU10に通知する構成でもよい。また、ホストシステム20は、所定のコマンドを発行することにより、ディスクドライブから温度センサ12により検出された温度値Kを取得することが可能である。
【0022】
(第1の本実施形態及び代替処理)
以下図1と共に、図2のフローチャートを参照して、第1の実施形態及び代替処理について説明する。
【0023】
ここでは、ディスクドライブは、ホストシステム20からライト命令を受けた場合を想定する。ライト命令を受けると、CPU10は、ディスク1上の指定領域にヘッド2を位置決めし、ホストシステム20から送信されるデータをライトするライト動作を実行する(ステップS1)。
【0024】
このライト動作時に、CPU10は、ディスク1上の指定領域に対するヘッド2の位置決め精度を確認する。CPU10は、当該位置決め精度が十分な精度であるときには、正常なライト動作の実行が可能であると判定し、データの書き込みを実行する(ライトOK,ステップS2のYES)。ヘッド2の位置決め精度は、ディスク1上に予め記録されたサーボ情報の状態や、ドライブに印加される外乱(加速度)の影響などにより変動する。CPU10は、ディスク1上に正常なライト動作が可能であることを確認したときには、ライト動作を実行して正常に終了したことをホストシステム20に通知する(ステップS2のYES)。
【0025】
一方、CPU10は、十分なヘッド位置決め精度を確認できないとき、即ち正常なライト動作が可能であることを確認できないときには、所定の回数(N)以内で、ライトリトライ動作を繰り返す(ステップS2のNO,S3〜S5)。このライトリトライ動作により、ライトOKを確認できたときには、CPU10は、正常なライト動作を正常に終了したことをホストシステム20に通知する(ステップS4のYES)。
【0026】
一方、ライトリトライが所定の回数を越えても、前記の条件が確保できず、正常なライト動作(実際には十分なヘッド位置決め精度)を確認できない場合には、CPU10は、ライト動作を停止する(ステップS5のYES)。
【0027】
この状態で、CPU10は、温度センサ12からの温度検出値Kと規定値Tとの比較結果に基づいて、ドライブの温度(周囲温度又は内部温度)が規定値T未満の低温状態であるか否かを判定する(ステップS6)。ドライブの温度が規定値T以上の正常であれば、CPU10は代替処理に移行する(ステップS6のYES,S7)。
【0028】
代替処理では、CPU10は、ライト動作の不可能な指定領域(ライト対象領域)を無効にして、ディスク1上の所定の代替領域を設定して、当該指定領域を変更する。この代替領域は、トラック単位であれば代替トラックであり、データセクタ単位であれば代替セクタである。ここで、CPU10は、代替処理用情報として、ディスク1上の例えば最外周トラック100に記録しているアドレス管理テーブル情報(またはFAT:file allocation table)を書換える(更新する)処理を実行する。この代替処理により、CPU10は、代替領域に対してデータを記録するライト動作を実行し、正常に終了したことをホストシステム20に通知する。
【0029】
一方、CPU10は、ドライブの温度が規定値T未満の低温状態であることを確認すると、代替処理を禁止して所定の異常処理に移行する(ステップS6のNO)。所定の異常処理として、CPU10がライト命令を正常に実行できないことを、ホストシステム20に通知する処理などを含む。
【0030】
以上のように第1の実施形態の方法であれば、ヘッド2の位置決め精度に基づいて正常なライト動作を確認できない場合に、ドライブの温度が許容範囲内であれば、ドライブは自動的に代替処理を実行する。一方、ドライブの温度が規定値T未満の低温時の場合には、代替処理を禁止する。
【0031】
低温状態では、ライトヘッドの書込み能力が相対的に低下し、ライト動作を実行したときのデータ記録の信頼性が低下する。そこで、同実施形態の方法であれば、代替処理を禁止することにより、代替処理に伴なう代替処理用情報の書換え動作(ライト動作)を実行しないため、信頼性の低い代替処理用情報をディスク1上に記録するような事態を未然に回避することができる。ホストシステム20は、ドライブからの通知により、ライト動作ができないことを確認できるため、ライト命令を再発行することが可能である。
【0032】
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態の方法を説明するためのフローチャートである。同実施形態は、テストライトなどのライト動作の実行時に、ドライブの温度が規定値T未満の低温であるときに、ライト動作で記録されたデータをリードしてベリファイすることにより正常記録を確認できた場合には、ライト動作を正常に終了させる。
【0033】
ホストシステム20からのライト命令(例えばテストライト命令)に応じて、CPU10は、ディスク1上の指定領域に対するライト動作を実行する。このとき、CPU10は、ドライブの温度が規定値T以上の正常な場合には、通常のライト動作(通常の代替処理も含む)を実行し、正常に終了したときにはホストシステム20に通知する(ステップS20のYES,S27)。
【0034】
一方、ドライブの温度(検出値K)が規定値T未満の低温状態の場合には、CPU10は、ヘッド2の位置決め精度に基づいてライトOKであるか否かを判断し(ステップS21,S22)、ライト動作の実行が可能と判断された場合には、データの書き込みを実行する(ライトOK,ステップS22のYES)。ここで、ライトOKと判断できない場合には、前述の第1の実施形態と同様に、CPU10は、ライトリトライ処理及び代替処理の制御(禁止も含む)を実行する(ステップS22のNO,S28,S30〜S33)。
【0035】
一方、CPU10は、ライトOKと判断した場合には、ディスク1上からライト動作により記録したデータをリードしてチェックするベリファイを行う(ステップS22のYES,S25)。このベリファイにより、正常記録を確認できた場合には、CPU10は、ライト動作が正常に終了したことをホストシステム20に通知する(ステップS26のYES)。一方、正常記録を確認できない場合には、CPU10がライト命令を正常に実行できないことを、ホストシステム20に通知する処理などの所定の異常処理を実行する(ステップS26のNO)。
【0036】
ここで、CPU10は、ベリファイを実行する前に、ドライブの温度が規定値Tまで上昇したか否かを確認する(ステップS23)。低温状態から変化していない場合には、CPU10は、リードリアサイン処理を禁止する(ステップS23のNO,S24)。リードリアサイン処理は、リード動作に伴なう代替処理である。即ち、リード動作の実行時に、リードエラーが発生すると、所定回数だけリードリトライ処理が繰り返される。このリードリトライ処理により、リードエラーが回復しないときには、リードリアサイン処理が自動的に実行される。
【0037】
そこで、同実施形態では、ドライブの温度が規定値T未満の低温時の場合には、事前にリードリアサイン処理を禁止することにより、当該代替処理に伴なう代替処理用情報の書換え動作(ライト動作)を禁止できる。従って、信頼性の低い代替処理用情報をディスク1上に記録するような事態を未然に回避することができる。
【0038】
(第3の実施形態)
図4は、第3の実施形態の方法を説明するためのフローチャートである。同実施形態は、ホストシステム20が、ディスクドライブに搭載された温度センサ12またはシステム自身に搭載された温度センサを使用して、ドライブ(又はシステム)の周囲温度を監視する。また、前述の第2の実施形態において、低温時に実行したライト動作を確認するためのベリファイを、ホストシステム20からの命令により実行する方法である。
【0039】
即ち、ホストシステム20は、ライト命令を発行するときに、ドライブ(又はシステム)の周囲温度が規定値T未満の低温状態であるか否かを確認する(ステップS20)。ディスクドライブでは、CPU10は、ドライブの温度センサ12またはホストシステム20からの通知により、ドライブの周囲温度が規定値T未満の低温状態であるか否かを確認する。そして、前述の第2の実施形態と同様に、CPU10は、ホストシステム20からのライト命令に応じて、一連の処理(符号400の範囲)を自動的に実行する(ステップS21〜S24,S27,S28,S30〜S33)。
【0040】
一方、ホストシステム20は、ドライブの周囲温度が規定値T未満の低温状態の場合に、ドライブがライト動作でのライトOKを確認した場合には、ディスク1上からライト動作により記録したデータをリードしてチェックするベリファイを実行させる(ステップS25)。ホストシステム20は、当該ベリファイにより、正常記録を確認できた場合には、CPU10からの通知によりライト動作が正常に終了したことを確認する(ステップS26のYES)。一方、正常記録を確認できない場合には、ホストシステム20は、CPU10からの通知によりライト動作が正常ではなく、異常終了であることを確認する(ステップS26のNO)。
【0041】
(第4の実施形態)
図5は、第4の実施形態の方法を説明するためのフローチャートである。同実施形態は、ホストシステム20が、ディスクドライブに搭載された温度センサ12またはシステム自身に搭載された温度センサを使用して、ドライブ(又はシステム)の周囲温度を監視する(ステップS50)。また、ホストシステム20は、ドライブの周囲温度が規定値T未満の低温状態の場合には、ディスクドライブに対して代替処理の禁止を指示する命令を発行する(ステップS51)。なお。図5の符号500で示す範囲は、ディスクドライブが自動的に実行する処理を示す。
【0042】
ホストシステム20からのライト命令に応じて、CPU10は、ディスク1上の指定領域に対するライト動作を実行する。このとき、CPU10は、ドライブの周囲温度が規定値T以上の正常な場合には、通常のライト動作(通常の代替処理も含む)を実行し、正常に終了したときにはホストシステム20に通知する(ステップS50のYES,S56)。
【0043】
一方、ドライブの周囲温度(検出値K)が規定値T未満の低温状態の場合には、CPU10は、ライト命令と共に、代替処理の禁止を指示する命令も受ける(ステップS51,S52)。CPU10は、ヘッド2の位置決め制度に基づいて、正常なライト動作であることを示すライトOKであるか否かを確認する(ステップS53)。ここで、ライトOKを確認できない場合には、CPU10は、所定の回数(N)だけライトリトライ処理を実行する(ステップS53のNO,S57〜S59)。但し、代替処理の禁止命令を受けているため、CPU10は、ライトリトライ処理が所定回数(N)まで実行したときには、代替処理を実行せずに、所定の異常処理に移行する(ステップS59のYES)。
【0044】
なお、CPU10は、ライトOKを確認した場合には、前述の第3の実施形態と同様に、ホストシステム20からの命令によるベリファイ処理に移行する(ステップS53のYES,S61,S62)。なお、リードリアサインの禁止処理については、CPU10は、自動的に実行する(ステップS54のNO,S55)。
【0045】
(第5の実施形態)
図6は、第5の実施形態の方法を説明するためのフローチャートである。同実施形態は、ドライブの温度が規定値T未満の低温状態の場合には、HDC9がバッファメモリ90を使用して実行するライトキャッシュ機能を停止する方法である。
【0046】
即ち、ホストシステム20からのライト命令(例えばテストライト命令)に応じて、CPU10は、ディスク1上の指定領域に対するライト動作を実行する。このとき、CPU10は、ドライブの温度が規定値T以上の正常な場合には、通常のライト動作(通常の代替処理も含む)を実行し、正常に終了したときにはホストシステム20に通知する(ステップS70のYES,S76)。
【0047】
一方、ドライブの温度(検出値K)が規定値T未満の低温状態の場合には、CPU10は、HDC9のライトキャッシュ機能を停止する(ステップS70のNO,S71)。そして、CPU10は、ヘッド2の位置決め制度に基づいて、正常なライト動作であることを示すライトOKを確認する(ステップS72,S73)。なお、ステップS74,S75,S77,S78,S80〜S84までの処理は、前述の第2の実施形態でのステップS23〜S26,S28,S30〜S33までの処理(図3を参照)と同様のため、説明を省略する。
【0048】
ここで、ディスクドライブのHDC9は、データ転送速度向上のために、ホストシステム20からライトデータが転送されると、当該データをバッファメモリ90に蓄積するライトキャッシュ機能を有する。このライトキャッシュ機能を有するディスクドライブでは、温度が低温状態のときにライト動作を実行した後に、リード命令が発行されると、ベリファイ処理を行うと共に、バッファメモリ90にライトキャッシュしたデータをホストシステム20に転送する。このため、ディスク1上に実際に記録されたデータが、ホストシステム20に転送されない可能性がある。
【0049】
そこで、同実施形態は、ライトキャッシュ機能を有する場合には、ドライブの温度が低温状態のときにライト動作を実行する前に、ライトキャッシュの機能を停止する。又は、CPU10は、HDC9を介して、バッファメモリ90に蓄積されたデータをクリア(フラッシュ)した後に、データのライト動作またはリード動作を実行してもよい。
【0050】
要するに、同実施形態の方法であれば、特にドライブの温度が低温状態のときには、ライトキャッシュ機能を停止しているため、ライト動作により記録された直後のデータをリードする場合に、ライトキャッシュされたデータではなく、ディスク1上に実際に記録されたデータをホストシステム20に転送できる。これにより、ホストシステム20は、ドライブの温度が低温状態のときに、ディスク1上に実際に記録されたデータを確認することが可能となる。
【0051】
(第6の実施形態)
図7は、第6の実施形態の方法を説明するためのフローチャートである。同実施形態は、ドライブの周囲温度が規定値T未満の低温状態の場合には、CPU10は、ライトデータをバッファメモリ90にバッファし、ディスク1上へのライト動作を一時的に禁止する方法である。以下、具体的に説明する。
【0052】
ホストシステム20からのライト命令に応じて、CPU10は、ディスク1上の指定領域に対するライト動作を開始する。このとき、CPU10は、ドライブの温度が規定値T以上の正常な場合には、通常のライト動作(通常の代替処理も含む)を実行し、正常に終了したときにはホストシステム20に通知する(ステップS90のYES,S96)。
【0053】
一方、ドライブの温度が規定値T未満の低温状態の場合には、CPU10は、ホストシステム20から転送されるライトデータをバッファメモリ90に一時的に格納させて、ディスク1上へのライト動作(ディスクライト)を一時的に禁止する(ステップS91〜S93)。
【0054】
そして、所定の時間経過後に、ドライブの温度が規定値Tまで上昇したときには、CPU10は、ディスクライトの禁止を解除し、バッファメモリ90に保持されているデータをディスク1上に記録する(ステップS94のYES,S95)。所定の時間経過後でもドライブの温度が低温状態のままのときには、CPU10は、ライト命令を正常に実行できないことを、ホストシステム20に通知する処理などの所定の異常処理を実行する(ステップS94のNO)。
【0055】
以上のように同実施形態の方法によれば、ドライブの温度(周囲温度又は内部温度)が低温状態のときには、ディスク1上へのライト動作を一時的に保留し、正常温度状態になるまでライトデータをバッファする。従って、ディスク1上に、信頼性の低いライトデータを記録するような事態を未然に回避できる。
【0056】
ドライブの温度は、電源の投入に応じてドライブの内部で発熱するため、ある程度の時間が経過すると、温度上昇を期待できる。そこで、所定の時間経過までライトデータを一時的にバッファすることにより、ライト動作を無効にする事態を相対的に回避できる。
【0057】
なお、各実施形態において、ドライブでの温度センサ12の取り付け位置と、ディスク1及びヘッド2の位置とが離れている場合には、両者の間に温度差が発生する可能性がある。このような場合には、事前に両者の温度の相関を求めて、これに基づいて規定値Tを決定することが望ましい。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、低温の温度環境下では、信頼性の低い代替処理を禁止することにより、代替処理用情報の信頼性の低下を回避できる。従って、結果としてディスク上の記録データの信頼性を向上できるディスク記憶装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施形態に関するディスクドライブの要部を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態に関するフローチャート。
【図3】第2の実施形態に関するフローチャート。
【図4】第3の実施形態に関するフローチャート。
【図5】第4の実施形態に関するフローチャート。
【図6】第5の実施形態に関するフローチャート。
【図7】第6の実施形態に関するフローチャート。
【符号の説明】
1…ディスク
2…磁気ヘッド
3…スピンドルモータ(SPM)
4…アクチュエータ
5…ボイスコイルモータ(VCM)
6…モータドライバIC
7…プリアンプ回路
8…R/Wチャネル
9…ディスクコントローラ(HDC)
10…CPU
11…メモリ
12…温度センサ
20…ホストシステム
90…バッファメモリ
110…フラッシュメモリ

Claims (2)

  1. ヘッドを使用して、ディスク媒体に対してデータのリード動作またはライト動作を実行するリード/ライト手段を有するディスク記憶装置において、
    前記ディスク記憶装置の内部温度を検出する温度センサと、
    ホストシステムからのライト命令に応じて前記ディスク媒体上にデータをライトするライト動作の実行時に、前記温度センサにより検出された温度が規定値より低温のときには、リードリアサイン処理を禁止する第1の制御手段と、
    前記ライト動作により前記ディスク媒体上に記録されたデータをリードしてチェックするベリファイ処理を実行し、前記ライト動作により正常記録が確認された場合には前記ホストシステムに前記ライト動作が正常に終了したことを通知し、当該正常記録が確認できない場合には前記ホストシステムに前記ライト命令を正常に実行できないことを通知する第2の制御手段と
    を具備したことを特徴とするディスク記憶装置。
  2. ヘッドを使用して、ディスク媒体に対してデータのリード動作またはライト動作を実行するリード/ライト手段を有するディスク記憶装置に適用するライト制御方法であって、
    前記ディスク記憶装置の内部温度を検出するステップと、
    ホストシステムからのライト命令に応じて前記ディスク媒体上にデータをライトするライト動作の実行時に、前記温度センサにより検出された温度が規定値より低温のときには、リードリアサイン処理を禁止するステップと、
    前記ライト動作により前記ディスク媒体上に記録されたデータをリードしてチェックするベリファイ処理を実行するステップと、
    前記ベリファイ処理により、前記ライト動作により正常記録が確認された場合には前記ホストシステムに前記ライト動作が正常に終了したことを通知し、当該正常記録が確認できない場合には前記ホストシステムに前記ライト命令を正常に実行できないことを通知するステップと
    を有する手順を実行することを特徴とするライト制御方法。
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