JP3645090B2 - リング状ディスク・クランプ、それを作成する方法およびディスク・ドライブ・システム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも1つの回転記憶ディスクを有するディスク・ドライブに関する。より詳細には、本発明は、1つまたは複数の回転記憶ディスクをスピンドル・モータのハブに固定してディスク・スタックを構成するために使用されるクランプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のディスク・ドライブは、通常、ハブ上の積み重ねられた1つまたは複数のディスクを有する。各ディスク間にはスペーサが入れられる。ディスクとスペーサは、一般に、ディスク・スタックと呼ばれる。ディスク・スタックという用語は、1枚のディスクだけを有しスペーサのないディスク・ドライブにも適用される。ディスク・クランプは、ディスクを適切な場所に保持するためにディスク・スタックに圧縮荷重を提供する。圧縮荷重は、ディスク・スタックのディスク内径に作用し、ハブの軸と平行な方向である。この圧縮荷重は、軸の方向に作用するため、軸方向荷重と呼ばれることがある。
【0003】
従来のディスク・クランプは、様々な構成で利用することができる。既知のディスク・クランプの1つのタイプは、円形プレートを介してハブ内のねじ穴を通るねじを利用して軸方向荷重を提供する。残念ながら、円形プレートとねじは、ディスク・スタックの高さを大きくし、小さくて薄いディスク・ドライブを作成するのに望ましくないことがある。さらに、個々のねじが局部的な歪みを作りだし、ディスクの内径を歪ませる作用を持つ。ディスクは、実際に内径が波状になることがある。この現象は、ディスクの形がポテトチップスの形に似ているため、「ポテトチップ現象」と呼ばれることがある。通常、ディスクのそれぞれのねじは、ディスク表面のローブを不均一なまたは歪んだディスク表面にする。このようにディスク表面が曲げられると、ヘッド・アセンブリがディスク表面を横切って移動するとときに、変換器(すなわち、読み取り/書き込み変換器)の飛行高度を一定に維持するのがきわめて難しい。したがって、ポテトチップ現象が発生すると、飛行高度が変化し、変換器からの信号の変動を補償するためにしばしばデータ・チャネルが使用される。
【0004】
第2の既知のタイプのディスク・クランプは、ばねとして働くベル形部品を含む。通常、ねじが、ベル形部品の中心にある穴を介してハブのねじ穴に通る。残念ながら、ハブにねじ穴用の十分な材料を提供するには高さが必要である。さらに、ハブの中心にねじを取り付けると、ベル形部品が、ねじを締めるにつれて平らになる。締め付けている間にディスクと接触するベル形部品の縁は、ディスク表面を半径方向外側に横切って移動する。ディスクに対するディスク・クランプの動きによって歪みが生じ、ディスクの形が円錐形になり、ディスクの半径方向に荷重が生じる。この現象は、ディスク・ドロッピングと呼ばれることがある。
【0005】
既知の第3のタイプのディスク・クランプは、ねじを使用せずにハブの上部に取り付けられる熱収縮リングである。このタイプのディスク・クランプは、焼きばめディスク・クランプと呼ばれることもある。リングの内径がハブの外径よりも大きくなるようにリングが加熱される。次に、工具を使って加熱したリングをディスク・スタックの上部に移動し、加熱したリングに締付け力を加える。リングが冷えると締付け力がリング上に持続される。既知の焼きばめディスク・クランプは、ディスク表面の歪みを最小限に抑え、ディスク・クランプを収容するために必要な高さを最小にするように設計することができるが、このような焼きばめディスク・クランプは、ねじによって固定しないためハブから滑ることがありえる。この滑りは、一般に、ディスク・クランプとハブの間の摩擦力が、ディスク・クランプに加わる軸方向荷重(またはクランプによって加えられる残留スタック負荷)よりも小さい場合に起こる。これにより、焼きばめディスク・クランプを使用するときは、ハブとクランプの間の摩擦係数が、滑りを防ぐことができるほど十分に大きくなければならない。さらに、滑りは、ディスク・スタックの質量が大きくなるほどまたスピンドル・モータにかかる衝撃荷重が大きくなるほど起きやすくなる。
【0006】
図1または図2は、従来のN形焼きばめディスク・クランプ1の2つの図である。図1は、リング状のディスク・クランプ1の示すディスク・クランプ1の平面図である。ディスク・クランプ1は、内径部分または内側脚6、外径部分または外側脚8、および適合部分またはクロス部材7を含む。クロス部材7は、内側脚6と外側脚8に接続され、N形のディスク・クランプ1を構成する。図2は、ディスク・クランプ1の断面図である。内径部分は、ハブ・グリップ部2を有する。外径部分または外側脚8は、ディスク接触部分4と自由端5とを有する。クロス部材または適合部分7は、外側脚8のディスク接触部分4の近くの部分からの内側脚6まで斜めに延びる。ディスク・クランプ1のハブ・グリップ部分2は、プレロードと冷却中のディスク・クランプ1の収縮の結果、ハブ3と接触する。内側脚6は、ディスクと接触しない。ディスク・クランプ1の外側脚8のディスク接触部分4は、ディスクと接触する。クロス部材7の厚さと、クロス部材7と内側脚6(または外側脚8)の間の角度9は、軸方向荷重がディスクの歪みを最小にするようにクロス部材7のコンプライアンス(または堅さ)を変更するように変化させることができる。
【0007】
前述のように、ハブ3とディスク・クランプ1のハブ・グリップ部分2の間の摩擦係数は、ディスク・クランプ1がハブ3から滑らないように十分に大きくなければならない。アルミニウム合金からなり113.5kg(250ポンド)の締付け力を提供する従来のディスク・クランプ1は、やはりアルミニウム合金からなるハブ3から滑るのを防ぐために、摩擦係数が0.4よりも大きくなくてはならい場合もある。ディスク・クランプ1とハブ3の間に十分大きな摩擦係数を提供するために、ディスク・クランプ1を故意に酸化し(たとえば、5,000〜10,000Å)、ディスク・クランプ1上に酸化アルミニウムの表面被覆を形成した。ディスク・クランプ1を酸化するとディスク・クランプ1とハブ3の間の摩擦係数が大きくなり滑る確率が最小になるが、ディスク・クランプ1の酸化によって、ディスク表面が汚染され、ディスク・ドライブの性能に悪影響を及ぼすことがある。より具体的には、ディスク・クランプ1からの酸化粒子が、ディスク表面に落ちる。これは、ディスク・ドライブに記憶されたデータの損失を招くことがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主たる目的は、スピンドル・モータのハブに局部的なグリップ力を提供するディスク・クランプを提供することにある。
【0009】
また、本発明の別の目的は、ディスク・クランプとハブの間の摩擦係数が小さいときに大きなグリップ力を提供するディスク・クランプを提供することにある。
【0010】
さらに、本発明のもう1つの目的は、ディスク・クランプとハブの間の摩擦係数を大きくするために故意の酸化を必要としないディスク・クランプを提供することにある。
【0011】
【発明を解決するための手段】
少なくとも1つのディスクをスピンドル・モータのハブに固定するためのリング状ディスク・クランプについて説明する。このディスク・クランプは、中立曲げ軸と、内周領域と、外周領域とを含む。内周領域は、上面と内周面とを含む。上面と中立曲げ軸の間の内周面には、ハブ接触領域がある。このハブ接触領域は、局部的なグリップ力をハブに提供するように位置決めされる。外周領域は、ディスク接触領域を有する。
【0012】
また、リング状ディスク・クランプを作成する方法を説明する。上面、下面および内周面を有するリングが提供される。リングの中立曲げ軸を決定する。ハブ上に局部的なグリップ力を提供するために、中立曲げ軸とリングの上面の間の内周面にハブ接触領域を形成する。ディスク接触領域がリングの下面に形成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の様々な実施形態は、ディスク・ドライブまたはダイレクト・アクセス記憶装置(「DASD」)の様々な機械的構成で使用することができる。図3は、ディスク・ドライブ10の分解図である。回転式アクチュエータが示されているが、本明細書で説明する発明は、線形アクチュエータを備えたディスク・ドライブにも適用できることに注意されたい。ディスク・ドライブ10は、ハウジング12と、組立後にフレーム16内に取り付けられるハウジング・カバー14とを含む。アクチュエータ・シャフト18上のハウジング12には、アクチュエータ・アーム・アセンブリ20が回転式に取り付けられる。アクチュエータ・アーム・アセンブリ20の一端は、複数のアーム23を有するE字形ブロックまたはくし状構造物22を含む。それぞれのロード・スプリング24の端部には、磁気変換器(図示せず)を支持するスライダ26が取り付けられる。アクチュエータ・アーム・アセンブリ20、対向するロード・スプリング24およびスライダ26の他端には、ボイス・コイル28がある。
【0014】
ハウジング12内には、一対の磁石30が取り付けられる。一対の磁石30とボイス・コイル28が、アクチュエータ・シャフト20のまわりで回転するようにアクチュエータ・アセンブリ20に力を加えるボイス・コイル・モータを構成する。また、ハウジング12内には、スピンドル・シャフト32が取り付けられる。スピンドル・シャフト32には、ハブ33が取り付けられる。ハブ33にはいくつかのディスク40が取り付けられる。図2に示したように、ハブ33には8枚のディスクが離間した位置関係で取り付けられる。本明細書で説明するクランプは、任意の数のディスク40を有するディスク・スタック38に利用できることに留意されたい。また、図3には、アクチュエータ・アーム・アセンブリ20との間で電気信号を伝えるフレキシブル・ケーブル36を示す。
【0015】
図4は、ディスク・スタック38の分解図である。ハブ33は、第1のディスク40を配置するハブ33のフランジ34を有する。次に、第1のディスク40上にスペーサ・リング42が配置される。ディスク・スタック38は、必要な数のディスクがディスク・スタック38を構成するまで、ディスク40とスペーサ・リング42を交互に配置することにより構成される。スペーサ・リング42は、ディスク・スタック38のディスク40間のスペースを維持する。図4は、3枚のディスク40を備えたディスク・スタックを示す。ディスク・スタック38の最後のディスク40上で、ハブ33のフランジ34とリング・クランプ44の間にディスク40とスペーサ・リング42を固定するためにディスク・クランプ44が使用される。ディスク40を1枚しかもたないディスク・スタック38にはスペーサ・リング42がなく、1つのディスク・スタックのハブ33は短くなることに注意されたい。
【0016】
図5ないし図7は、ディスク・クランプ400の1つの実施形態を示す。図5に、ディスク・クランプ400の平面図を示し、図6にディスク・クランプ400の断面図を示し、図7にディスク・クランプ400の拡大断面図を示す。ディスク・クランプ400は、ほぼリング状であり、内周領域408と外周領域409とを有する。内周領域408は、ハブ33の外周表面を掴むためのハブ接触領域406を有し、外周領域409は、ディスク接触領域407を有する。
【0017】
ハブ接触領域406の位置は、ディスク・クランプ400のハブからの滑りに影響し、通常、ディスク・クランプ400の上面411とディスク・クランプ400の中立曲げ軸の間に配置される。さらに、ハブ接触領域406は、ハブ33上に局部的なグリップ力を提供できるような小ささである。ディスク・クランプ400が提供するグリップ力を適切な場所に局在化することにより、ディスク・クランプ400の全体的な締付け力を大きくすることができる。したがって、ディスク・クランプ400は、従来技術のディスク・クランプ1(図1および図2参照)よりも小さな摩擦係数でも滑ることがほとんどない。本明細書において「中立曲げ軸」とは、軸方向外部荷重がディスク・クランプ400の上面403に加わるときに半径方向の動きが最小になるようなディスク・クランプ400の中立軸のことを指す。中立曲げ軸は、ディスク・クランプ400の幾何学形状に依存する。図7で中立曲げ軸を参照番号499で示す。
【0018】
ハブ接触領域406の最適位置(すなわち、滑ることなく最高の残留スタック荷重を与える位置)は、通常、ディスク・クランプ400の中立曲げ軸よりも少し上の位置である。ハブ接触領域406の最適位置に影響する要因には、ディスク・クランプ400のハブ接触領域406との摩擦係数と、ディスク・クランプ400の回転剛性があり、これは、ディスク・クランプ400の幾何学形状にも依存する。通常、ディスク・クランプ400とハブの間の摩擦係数が大きくなるほど、ハブ接触領域406の最適位置は、中立曲げ軸から上方に移動する。一般に、ハブ接触領域406が、上面411の近くに位置決めされると、より小さな摩擦係数で中立曲げ軸の位置またはその近くに位置決めされたときよりも摩擦係数が大きくても、ディスク・クランプ400が滑ることがあり得る。リング・クランプ400のさらに詳しい作用のしかたは後で考察する。
【0019】
1つの実施形態では、ハブ接触領域406が、Al−2024からなるアルミニウム合金ハブ33と、Al−7075からなるアルミニウム合金ディスク・クランプ400との摩擦係数に最適化された。代替の実施形態では、ディスク・クランプを酸化させることにより、アルミニウム・ハブ33とディスク・クランプ400の摩擦係数を大きくすることができ、その結果、ハブ接触領域406の最適位置が上面411の近くに移動する。一般に、ハブ接触領域406が上面411に近づくほど、ハブ接触領域406が半径方向内側に移動するため、ディスク・クランプ400の回転による半径方向の締付け力が大きくなる。この半径方向の力は、焼きばめによる力に加わり、ディスク・クランプ400の全体のグリップ力を高める。他の実施形態では、ハブ33とディスク・クランプ400が、アルミニウム合金に代用できる鋼などのアルミニウム合金以外の材料で作成することもできる。
【0020】
外周領域409は、ディスク接触領域407を含む。図7に示した実施形態では、ディスク接触領域407が、ディスク・クランプ400の下面410に配置され、他の状況ではほぼ平坦かまたは平面の底面410上の段状領域を形成する。段状領域のサイズは変化してもよい。従来技術の図1および図2に示したN型ディスク・クランプ1と違い、ディスク・クランプ400は、下面410にリング状の溝を含む。図7に示した実施形態では、リング状の溝が、ディスク・クランプ400の剛性を高めるように充填される。
【0021】
1つの実施形態では、ディスク・クランプ400の上面411が、環状のテーパ面405、環状の上面403、環状の溝402、環状の上面401、および環状のテーパ面404を有する。テーパ面405、上面403および環状の溝402は、内周領域408上に形成され、上面401とテーパ面404は、外周領域409上で形成される。
【0022】
図8および図9は、ディスク・クランプ400が機能する様子をより詳細に示す。ディスク・クランプ400は、一般に、焼きばめディスク・クランプと呼ばれる。ハブ33上にディスク40とスペーサ・リング42を積み重ねることによりディスク・スタック38を構成した後で、ディスク・クランプ400を使用してディスク・スタック38を完成させる。ディスク・クランプ400をディスク・スタック38に差し込む前、ディスク・クランプ400は、図8に示したように、ディスク・クランプ400の内径がハブ33の外径よりも大きくなるように加熱される。次に、図9に示したように、加熱されたディスク・クランプ400が、ディスク・スタック38内の最も上のディスク40の上面に配置される。また、軸方向外部荷重とも呼ばれるクランプ荷重を、荷重機構(図示せず)によってディスク・クランプ400の点415に加える。ディスク・クランプ400は、ハブ33とディスク40を含むディスク・スタック38よりも質量が小さい。その結果、ディスク・クランプ400の熱をハブ33とディスク40を介して放散することにより、ディスク・クランプ400は迅速に冷却する。ディスク・クランプ400の冷却と415に加えられる軸方向外部荷重によって、ディスク・クランプ400がハブ33に焼きばめされる(すなわち接触する)。より具体的には、ハブ接触領域406におけるグリップ力(すなわち、軸方向荷重が除去されディスク・クランプ400が焼きばめされた後でハブ33に加わる力)が、ハブ接触領域406においてハブ33に加えられる。
【0023】
図10は、ハブ33に焼きばめする前のディスク・クランプ400の拡大図を示し、図11は、ハブ33に焼きばめした後のディスク・クランプ400の拡大図を示す。加熱したディスク・クランプ400を、ディスク40とハブ33を含むディスク・スタック38に適用するとき、ディスク・クランプ400の内周面413の直径は、ハブ33の外径(外側円筒面)414よりも大きい。ディスク・クランプ400を加熱したときのディスク・クランプ400とハブ33の間の空間のために、ディスク・クランプ400は、ハブ33にじゃまされることなくディスク40の上面に容易に挿入される。上面401および403が、ディスク40の上面と実質上共面または平行であることに注意されたい。
【0024】
ディスク・クランプ400が冷却し、軸方向外部荷重がディスク・クランプ400に加わると、ディスク・クランプ400は、図11に回転角度417で示したように回転する。ディスク・クランプ400が、冷却によって収縮するにつれて、ハブ接触領域406はハブ33と接触するようになる。415に加えられた外部荷重は、収縮力とあいまって、ディスク・クランプ400を半径方向内側に回転させ(回転角度417で示したように)、上面401と上面403をずらし(距離416で示したように)、ディスク・クランプ400が、ハブ接触領域406においてハブ33にグリップ力を加える。ディスク・クランプ400を挿入した後で、415に外部から加えていた荷重を除去する。一般に、ディスク・クランプ400は、ハブ33とディスク・クランプ400の間の摩擦が残留スタック荷重により提供される力よりも大きい場合に、ハブ33を適切に掴みすべてのディスク40を固定してディスク・スタック38を構成するが、そうでない場合は、ディスク・クランプがハブ33から滑ることがある。残留スタック荷重により提供される力は、外部から加えた荷重を除去した後でディスク・スタック38に残る力のことを指す。摩擦力は、通常、ハブ接触領域406であらゆる半径方向に加わる力の他に、ハブ33とディスク・クランプ400の間の摩擦係数に依存する。ハブ接触領域406を最適な位置の近くに局在化させることによって、ディスク・クランプ400は、ハブ33とディスク・クランプ400の間に大きな摩擦係数を必要としなくなり、ディスク・クランプがハブ33から滑って外れる可能性が低下するとともに、ディスク・スタック38により強い締付け力を生成する強いグリップ力を提供することができる。さらに、ハブ33とディスク・クランプ400の間の摩擦係数を大きくするためにディスク・クランプ400を酸化しない場合は、アルミニウムの酸化に関連した欠点がディスク・ドライブの性能に影響を及ぼすことはなく、すなわち、ディスク・クランプ400から落ちる酸化粒子によってディスク40が汚染されることがない。
【0025】
前述のように、ハブ接触領域406は、大きな残留スタック荷重を提供し同時に滑りを防ぐように最適化される。通常、ディスク・スタック38の質量が大きくなるとき(たとえば、ディスク・スタック38が多数のディスクを備えるとき)に、より高い残留スタック荷重が必要となる。ハブ接触領域406は、一般に、ハブ33に加わるグリップ力を最適位置のまわりに局在化することができる小さな領域である。前述のように、ハブ接触領域406の最適位置は、通常、ディスク・クランプ400の中立曲げ軸よりも少し上に配置され、摩擦係数とディスク・クランプ400の回転剛性の両方に依存する。より小さなハブ接触領域406を提供することによって、ディスク・クランプ400によってハブ33に加えられるグリップ力が最適位置に近くに局在化するように設計することができる(すなわち、中立曲げ軸の近くにおいて、ハブ33とディスク・クランプ400の間の摩擦係数とディスク・クランプ400の回転剛性を考慮する)。1つの実施形態では、中立曲げ軸とハブ接触領域406の最適位置は、有限要素モデリングを利用したソフトウェアを通じてコンピュータによってシミュレートされる。
【0026】
1つの実施形態では、ディスク・クランプ400は、約24.2mmの内径と、約32mmの外径と、約1、91mmの高さを持つ。さらに、上面401と403の間に形成された溝は、約57°の角度を有し、約1.15mmの深さである。この実施形態では、ハブ接触領域406は、上面401よりも約0.45mm下に配置され、約590kg(約1300lbs)のグリップ力を提供する。中立曲げ軸は、上面401よりも約1.0mm下でもよい。Al−2024からなるハブ33とAl−7075からなるディスク・クランプ400の場合、摩擦係数は約0.25である。
【0027】
ハブ接触領域406を形成するディスク・クランプ400の内周面413は、小さなハブ接触領域406を作成する様々な多くの形状をもつことができる。図11は、テーパ領域419と比較的平坦な領域420の間のディスク・クランプ400の内周面413に形成されたハブ接触領域406を示す。テーパ領域421は、平坦領域420よりも下に形成される。
【0028】
図12は、ディスク・クランプ700の内周面713に形成された段状領域723を示す。段状領域723は、段領域720と段領域721の間にある。ハブ接触領域706は、段状領域723の上部の角に配置される。テーパ領域719は、段状領域720よりも上に配置され、テーパ領域722は、段状領域720よりも下に配置される。
【0029】
図13は、ディスク・クランプ800の内周面813に形成された半円形領域822によって形成されたハブ接触領域825を示す。半円形領域822は、比較的平坦な領域821と823の間にある。平坦領域821の上にはテーパ領域819が配置され、平坦領域823の下にはテーパ領域824が配置される。図14は、ディスク・クランプ900の内周面913に形成されたハブ接触領域914を示す。ハブ接触領域914は、上側のテーパ領域919と下側のテーパ領域920によって形成される。
【0030】
図15は、ディスク・クランプ1000の内周面1013上のテーパ領域1019と1020の間で形成されたハブ接触領域1014を示す。テーパ領域1020の下には、比較的平坦な領域1021ともう1つのテーパ領域1022がある。
【0031】
図16は、内周面1113の比較的平坦な領域1120と1121の間に形成されたハブ接触領域1106を示す。平坦領域1120の上には、テーパ領域1119が配置され、平坦領域1121の下には、テーパ領域1122が配置される。
【0032】
図10ないし図16に示した実施形態は、ハブ接触領域がディスク・クランプとハブの間に比較的小さな接触領域を提供することを示す。図10ないし図16に示したハブ接触領域は、通常、ディスク・クランプの中立曲げ軸とディスク・クランプの上面の間で形成されることに注意されたい。通常、ハブ接触領域の最適な位置は、ディスク・クランプの中立曲げ軸よりも少し上にある。ディスク・クランプの内周面に比較的小さなハブ接触領域を形成することによって、ハブに加わるグリップ力が局在化される。その結果、本発明のディスク・クランプは、ディスク・スタックにより強い締付け力を提供することができる。ある一定の状況で、衝撃荷重を受けた(たとえば、落下した)ときに、ディスク・スタック内のディスクが、ディスク・スタックの中心軸からずれる(すなわち、ディスク・スタックの中心軸から半径方向内側または外側に移動する)のを防ぐように、締付け力はさらに強くすることが望ましい。
【0033】
以上の説明において、本発明を特定の実施例に関して説明した。
【0034】
まとめとして、本発明の構成に関して以下の事項を開示する。
【0035】
(1)少なくとも1つのディスクをスピンドル・モータのハブに固定するためのリング状ディスク・クランプであって、
中立曲げ軸と、
上面と内周面を有し、中立曲げ軸と上面の間でハブに局部的なグリップ力を提供するように位置決めされたハブ接触領域を配置した内周領域と、
ディスク接触領域を有する外周領域と
を含むリング状ディスク・クランプ。
(2)ハブ接触領域の位置が、ハブとリング状ディスク・クランプの間の摩擦係数とリング状ディスク・クランプの回転剛性とに基づいて、ハブからのリング状ディスク・クランプの滑りを減少させるように最適化される上記(1)に記載のリング状ディスク・クランプ。
(3)中立曲げ軸が、コンピュータ・シミュレート有限要素モデリングによって決定される上記(1)に記載のリング状ディスク・クランプ。
(4)内周面が、ハブ接触領域を構成する少なくとも1つのテーパ面と少なくとも1つの平坦面を有する上記(1)に記載のリング状ディスク・クランプ。
(5)内周面が、ハブ接触領域を構成する少なくとも2つのテーパ面を含む上記(1)に記載のリング状ディスク・クランプ。
(6)内周面が、ハブ接触領域を形成する少なくとも1つの段状面と少なくとも1つの平坦面とを含む上記(1)に記載のリング状ディスク・クランプ。
(7)内周面が、ハブ接触領域を構成する少なくとも2つの段状面を含み、ハブ接触領域が、段状領域の上側部分によって形成されている上記(1)に記載のリング状ディスク・クランプ。
(8)内周面が、ハブ接触領域を形成する半円形面を含む上記(1)に記載のリング状ディスク・クランプ。
(9)外周領域が、さらに上面を含み、外周領域の上面が、溝により内周領域の上面から離されている上記(1)に記載のリング状ディスク・クランプ。
(10)ディスク接触領域が、段状領域によって形成される上記(1)に記載のリング状ディスク・クランプ。
(11)スピンドル・シャフトに取り付けられ、外側円筒面を有するハブを含むスピンドル・モータと、
ハブの外側円筒面に取り付けられた内径を有する少なくとも1つのディスクと、
リング状ディスク・クランプとを含み、
リング状ディスク・クランプが、
中立曲げ軸と
上面と内周面を有し、中立曲げ軸と上面の間でハブに局部的なグリップ力を提供するように位置決めされたハブ接触領域を有する内周領域と、
ディスク接触領域を有する外周領域と
を含むディスク・ドライブ・システム。
(12)ハブ接触領域の位置が、ハブとリング状ディスク・クランプ間の摩擦係数とリング状ディスク・クランプの回転剛性とに基づき、リング状ディスク・クランプのハブからの滑りを減少させるように最適化された上記(11)に記載のディスク・ドライブ・システム。
(13)中立曲げ軸が、コンピュータ・シミュレート有限要素モデリングによって決定される上記(11)に記載のディスク・ドライブ・システム。
(14)内周表面が、ハブ接触領域を構成する少なくとも1つのテーパ面と少なくとも1つの平坦面を有する上記(11)に記載のディスク・ドライブ・システム。
(15)内周面が、ハブ接触領域を構成する少なくとも2つのテーパ面を含む上記(11)に記載のディスク・ドライブ・システム。
(16)内周面が、ハブ接触領域を形成する少なくとも1つの段状面と少なくとも1つの平坦面とを含む上記(11)に記載のディスク・ドライブ・システム。
(17)内周面が、ハブ接触領域を構成する少なくとも2つの段状面を含み、ハブ接触領域が、段状領域の上側部によって形成された上記(11)に記載のディスク・ドライブ・システム。
(18)内周面が、ハブ接触領域を形成する半円形面を含む上記(11)に記載のディスク・ドライブ・システム。
(19)外周領域が、さらに、溝によって内周領域の上面から分離された上面を含む上記(11)に記載のディスク・ドライブ・システム。
(20)ディスク接触領域が、段状領域によって形成された上記(11)に記載のディスク・ドライブ・システム。
(21)ディスク・スタックをスピンドル・モータのハブに固定するリング状ディスク・クランプを作成する方法であって、
(a)上面、下面および内周面を有するリングを提供する段階と、
(b)リングの中立曲げ軸を決定する段階と、
(c)中立曲げ軸と上面との間の内周面にハブ接触領域を形成して、ハブに局部的なグリップ力を提供する段階と、
(d)下面にディスク接触領域を形成する段階と
を含む方法。
(22)上面に溝を形成する段階をさらに含む上記(21)に記載の方法。
(23)段階(c)が、ハブとリング状ディスク・クランプ間の摩擦係数とリング状ディスク・クランプの回転剛性とに基づき、リング状ディスク・クランプのハブからの滑りを減少させようにハブ接触領域の位置を最適化する段階を含む上記(21)に記載の方法。
(24)段階(b)が、有限要素モデリングを実行する段階を含む上記(21)に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のディスク・クランプの平面図である。
【図2】従来のディスク・クランプの拡大断面図である。
【図3】ディスク・クランプの1つの実施形態を実現するディスク・ドライブの分解図である。
【図4】ディスク・クランプの1つの実施形態を実現するディスク・スタックの分解図である。
【図5】ディスク・クランプの1つの実施形態の平面図である。
【図6】ディスク・クランプの1つの実施形態の断面図である。
【図7】ディスク・クランプの1つの実施形態の拡大断面図である。
【図8】ディスク・スタックのハブに差し込まれた膨張したディスク・クランプの1つの実施形態の断面図である。
【図9】ディスク・スタック上に完全に組み立てた後のディスク・クランプの1つの実施形態の断面図である。
【図10】ディスク・スタック上に差し込まれた膨張したディスク・クランプの1つの実施形態の拡大断面図である。
【図11】ディスク・スタック上に完全に組み立てた後のディスク・クランプの1つの実施形態の拡大断面図である。
【図12】ディスク・スタック上に組み立てた後のディスク・クランプの実施形態の拡大断面図である。
【図13】ディスク・スタック上に組み立てた後のディスク・クランプの実施形態の拡大断面図である。
【図14】ディスク・スタック上に組み立てた後のディスク・クランプの実施形態の拡大断面図である。
【図15】ディスク・スタック上に組み立てた後のディスク・クランプの実施形態の拡大断面図である。
【図16】ディスク・スタック上に組み立てた後のディスク・クランプの実施形態の拡大断面図である。
【符号の説明】
10 ディスク・ドライブ
32 スピンドル・シャフト
33 ハブ
40 ディスク
400 ディスク・クランプ
401 上面
402 溝
403 上面
404 テーパ面
405 テーパ面
406 ハブ接触領域
407 ディスク接触領域
408 内周領域
409 外周領域
410 下面
411 上面
413 内周面
414 ハブの外径(ハブの外側円筒面)
419 テーパ領域
420 平坦領域
421 テーパ領域
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも1つの回転記憶ディスクを有するディスク・ドライブに関する。より詳細には、本発明は、1つまたは複数の回転記憶ディスクをスピンドル・モータのハブに固定してディスク・スタックを構成するために使用されるクランプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のディスク・ドライブは、通常、ハブ上の積み重ねられた1つまたは複数のディスクを有する。各ディスク間にはスペーサが入れられる。ディスクとスペーサは、一般に、ディスク・スタックと呼ばれる。ディスク・スタックという用語は、1枚のディスクだけを有しスペーサのないディスク・ドライブにも適用される。ディスク・クランプは、ディスクを適切な場所に保持するためにディスク・スタックに圧縮荷重を提供する。圧縮荷重は、ディスク・スタックのディスク内径に作用し、ハブの軸と平行な方向である。この圧縮荷重は、軸の方向に作用するため、軸方向荷重と呼ばれることがある。
【0003】
従来のディスク・クランプは、様々な構成で利用することができる。既知のディスク・クランプの1つのタイプは、円形プレートを介してハブ内のねじ穴を通るねじを利用して軸方向荷重を提供する。残念ながら、円形プレートとねじは、ディスク・スタックの高さを大きくし、小さくて薄いディスク・ドライブを作成するのに望ましくないことがある。さらに、個々のねじが局部的な歪みを作りだし、ディスクの内径を歪ませる作用を持つ。ディスクは、実際に内径が波状になることがある。この現象は、ディスクの形がポテトチップスの形に似ているため、「ポテトチップ現象」と呼ばれることがある。通常、ディスクのそれぞれのねじは、ディスク表面のローブを不均一なまたは歪んだディスク表面にする。このようにディスク表面が曲げられると、ヘッド・アセンブリがディスク表面を横切って移動するとときに、変換器(すなわち、読み取り/書き込み変換器)の飛行高度を一定に維持するのがきわめて難しい。したがって、ポテトチップ現象が発生すると、飛行高度が変化し、変換器からの信号の変動を補償するためにしばしばデータ・チャネルが使用される。
【0004】
第2の既知のタイプのディスク・クランプは、ばねとして働くベル形部品を含む。通常、ねじが、ベル形部品の中心にある穴を介してハブのねじ穴に通る。残念ながら、ハブにねじ穴用の十分な材料を提供するには高さが必要である。さらに、ハブの中心にねじを取り付けると、ベル形部品が、ねじを締めるにつれて平らになる。締め付けている間にディスクと接触するベル形部品の縁は、ディスク表面を半径方向外側に横切って移動する。ディスクに対するディスク・クランプの動きによって歪みが生じ、ディスクの形が円錐形になり、ディスクの半径方向に荷重が生じる。この現象は、ディスク・ドロッピングと呼ばれることがある。
【0005】
既知の第3のタイプのディスク・クランプは、ねじを使用せずにハブの上部に取り付けられる熱収縮リングである。このタイプのディスク・クランプは、焼きばめディスク・クランプと呼ばれることもある。リングの内径がハブの外径よりも大きくなるようにリングが加熱される。次に、工具を使って加熱したリングをディスク・スタックの上部に移動し、加熱したリングに締付け力を加える。リングが冷えると締付け力がリング上に持続される。既知の焼きばめディスク・クランプは、ディスク表面の歪みを最小限に抑え、ディスク・クランプを収容するために必要な高さを最小にするように設計することができるが、このような焼きばめディスク・クランプは、ねじによって固定しないためハブから滑ることがありえる。この滑りは、一般に、ディスク・クランプとハブの間の摩擦力が、ディスク・クランプに加わる軸方向荷重(またはクランプによって加えられる残留スタック負荷)よりも小さい場合に起こる。これにより、焼きばめディスク・クランプを使用するときは、ハブとクランプの間の摩擦係数が、滑りを防ぐことができるほど十分に大きくなければならない。さらに、滑りは、ディスク・スタックの質量が大きくなるほどまたスピンドル・モータにかかる衝撃荷重が大きくなるほど起きやすくなる。
【0006】
図1または図2は、従来のN形焼きばめディスク・クランプ1の2つの図である。図1は、リング状のディスク・クランプ1の示すディスク・クランプ1の平面図である。ディスク・クランプ1は、内径部分または内側脚6、外径部分または外側脚8、および適合部分またはクロス部材7を含む。クロス部材7は、内側脚6と外側脚8に接続され、N形のディスク・クランプ1を構成する。図2は、ディスク・クランプ1の断面図である。内径部分は、ハブ・グリップ部2を有する。外径部分または外側脚8は、ディスク接触部分4と自由端5とを有する。クロス部材または適合部分7は、外側脚8のディスク接触部分4の近くの部分からの内側脚6まで斜めに延びる。ディスク・クランプ1のハブ・グリップ部分2は、プレロードと冷却中のディスク・クランプ1の収縮の結果、ハブ3と接触する。内側脚6は、ディスクと接触しない。ディスク・クランプ1の外側脚8のディスク接触部分4は、ディスクと接触する。クロス部材7の厚さと、クロス部材7と内側脚6(または外側脚8)の間の角度9は、軸方向荷重がディスクの歪みを最小にするようにクロス部材7のコンプライアンス(または堅さ)を変更するように変化させることができる。
【0007】
前述のように、ハブ3とディスク・クランプ1のハブ・グリップ部分2の間の摩擦係数は、ディスク・クランプ1がハブ3から滑らないように十分に大きくなければならない。アルミニウム合金からなり113.5kg(250ポンド)の締付け力を提供する従来のディスク・クランプ1は、やはりアルミニウム合金からなるハブ3から滑るのを防ぐために、摩擦係数が0.4よりも大きくなくてはならい場合もある。ディスク・クランプ1とハブ3の間に十分大きな摩擦係数を提供するために、ディスク・クランプ1を故意に酸化し(たとえば、5,000〜10,000Å)、ディスク・クランプ1上に酸化アルミニウムの表面被覆を形成した。ディスク・クランプ1を酸化するとディスク・クランプ1とハブ3の間の摩擦係数が大きくなり滑る確率が最小になるが、ディスク・クランプ1の酸化によって、ディスク表面が汚染され、ディスク・ドライブの性能に悪影響を及ぼすことがある。より具体的には、ディスク・クランプ1からの酸化粒子が、ディスク表面に落ちる。これは、ディスク・ドライブに記憶されたデータの損失を招くことがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主たる目的は、スピンドル・モータのハブに局部的なグリップ力を提供するディスク・クランプを提供することにある。
【0009】
また、本発明の別の目的は、ディスク・クランプとハブの間の摩擦係数が小さいときに大きなグリップ力を提供するディスク・クランプを提供することにある。
【0010】
さらに、本発明のもう1つの目的は、ディスク・クランプとハブの間の摩擦係数を大きくするために故意の酸化を必要としないディスク・クランプを提供することにある。
【0011】
【発明を解決するための手段】
少なくとも1つのディスクをスピンドル・モータのハブに固定するためのリング状ディスク・クランプについて説明する。このディスク・クランプは、中立曲げ軸と、内周領域と、外周領域とを含む。内周領域は、上面と内周面とを含む。上面と中立曲げ軸の間の内周面には、ハブ接触領域がある。このハブ接触領域は、局部的なグリップ力をハブに提供するように位置決めされる。外周領域は、ディスク接触領域を有する。
【0012】
また、リング状ディスク・クランプを作成する方法を説明する。上面、下面および内周面を有するリングが提供される。リングの中立曲げ軸を決定する。ハブ上に局部的なグリップ力を提供するために、中立曲げ軸とリングの上面の間の内周面にハブ接触領域を形成する。ディスク接触領域がリングの下面に形成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の様々な実施形態は、ディスク・ドライブまたはダイレクト・アクセス記憶装置(「DASD」)の様々な機械的構成で使用することができる。図3は、ディスク・ドライブ10の分解図である。回転式アクチュエータが示されているが、本明細書で説明する発明は、線形アクチュエータを備えたディスク・ドライブにも適用できることに注意されたい。ディスク・ドライブ10は、ハウジング12と、組立後にフレーム16内に取り付けられるハウジング・カバー14とを含む。アクチュエータ・シャフト18上のハウジング12には、アクチュエータ・アーム・アセンブリ20が回転式に取り付けられる。アクチュエータ・アーム・アセンブリ20の一端は、複数のアーム23を有するE字形ブロックまたはくし状構造物22を含む。それぞれのロード・スプリング24の端部には、磁気変換器(図示せず)を支持するスライダ26が取り付けられる。アクチュエータ・アーム・アセンブリ20、対向するロード・スプリング24およびスライダ26の他端には、ボイス・コイル28がある。
【0014】
ハウジング12内には、一対の磁石30が取り付けられる。一対の磁石30とボイス・コイル28が、アクチュエータ・シャフト20のまわりで回転するようにアクチュエータ・アセンブリ20に力を加えるボイス・コイル・モータを構成する。また、ハウジング12内には、スピンドル・シャフト32が取り付けられる。スピンドル・シャフト32には、ハブ33が取り付けられる。ハブ33にはいくつかのディスク40が取り付けられる。図2に示したように、ハブ33には8枚のディスクが離間した位置関係で取り付けられる。本明細書で説明するクランプは、任意の数のディスク40を有するディスク・スタック38に利用できることに留意されたい。また、図3には、アクチュエータ・アーム・アセンブリ20との間で電気信号を伝えるフレキシブル・ケーブル36を示す。
【0015】
図4は、ディスク・スタック38の分解図である。ハブ33は、第1のディスク40を配置するハブ33のフランジ34を有する。次に、第1のディスク40上にスペーサ・リング42が配置される。ディスク・スタック38は、必要な数のディスクがディスク・スタック38を構成するまで、ディスク40とスペーサ・リング42を交互に配置することにより構成される。スペーサ・リング42は、ディスク・スタック38のディスク40間のスペースを維持する。図4は、3枚のディスク40を備えたディスク・スタックを示す。ディスク・スタック38の最後のディスク40上で、ハブ33のフランジ34とリング・クランプ44の間にディスク40とスペーサ・リング42を固定するためにディスク・クランプ44が使用される。ディスク40を1枚しかもたないディスク・スタック38にはスペーサ・リング42がなく、1つのディスク・スタックのハブ33は短くなることに注意されたい。
【0016】
図5ないし図7は、ディスク・クランプ400の1つの実施形態を示す。図5に、ディスク・クランプ400の平面図を示し、図6にディスク・クランプ400の断面図を示し、図7にディスク・クランプ400の拡大断面図を示す。ディスク・クランプ400は、ほぼリング状であり、内周領域408と外周領域409とを有する。内周領域408は、ハブ33の外周表面を掴むためのハブ接触領域406を有し、外周領域409は、ディスク接触領域407を有する。
【0017】
ハブ接触領域406の位置は、ディスク・クランプ400のハブからの滑りに影響し、通常、ディスク・クランプ400の上面411とディスク・クランプ400の中立曲げ軸の間に配置される。さらに、ハブ接触領域406は、ハブ33上に局部的なグリップ力を提供できるような小ささである。ディスク・クランプ400が提供するグリップ力を適切な場所に局在化することにより、ディスク・クランプ400の全体的な締付け力を大きくすることができる。したがって、ディスク・クランプ400は、従来技術のディスク・クランプ1(図1および図2参照)よりも小さな摩擦係数でも滑ることがほとんどない。本明細書において「中立曲げ軸」とは、軸方向外部荷重がディスク・クランプ400の上面403に加わるときに半径方向の動きが最小になるようなディスク・クランプ400の中立軸のことを指す。中立曲げ軸は、ディスク・クランプ400の幾何学形状に依存する。図7で中立曲げ軸を参照番号499で示す。
【0018】
ハブ接触領域406の最適位置(すなわち、滑ることなく最高の残留スタック荷重を与える位置)は、通常、ディスク・クランプ400の中立曲げ軸よりも少し上の位置である。ハブ接触領域406の最適位置に影響する要因には、ディスク・クランプ400のハブ接触領域406との摩擦係数と、ディスク・クランプ400の回転剛性があり、これは、ディスク・クランプ400の幾何学形状にも依存する。通常、ディスク・クランプ400とハブの間の摩擦係数が大きくなるほど、ハブ接触領域406の最適位置は、中立曲げ軸から上方に移動する。一般に、ハブ接触領域406が、上面411の近くに位置決めされると、より小さな摩擦係数で中立曲げ軸の位置またはその近くに位置決めされたときよりも摩擦係数が大きくても、ディスク・クランプ400が滑ることがあり得る。リング・クランプ400のさらに詳しい作用のしかたは後で考察する。
【0019】
1つの実施形態では、ハブ接触領域406が、Al−2024からなるアルミニウム合金ハブ33と、Al−7075からなるアルミニウム合金ディスク・クランプ400との摩擦係数に最適化された。代替の実施形態では、ディスク・クランプを酸化させることにより、アルミニウム・ハブ33とディスク・クランプ400の摩擦係数を大きくすることができ、その結果、ハブ接触領域406の最適位置が上面411の近くに移動する。一般に、ハブ接触領域406が上面411に近づくほど、ハブ接触領域406が半径方向内側に移動するため、ディスク・クランプ400の回転による半径方向の締付け力が大きくなる。この半径方向の力は、焼きばめによる力に加わり、ディスク・クランプ400の全体のグリップ力を高める。他の実施形態では、ハブ33とディスク・クランプ400が、アルミニウム合金に代用できる鋼などのアルミニウム合金以外の材料で作成することもできる。
【0020】
外周領域409は、ディスク接触領域407を含む。図7に示した実施形態では、ディスク接触領域407が、ディスク・クランプ400の下面410に配置され、他の状況ではほぼ平坦かまたは平面の底面410上の段状領域を形成する。段状領域のサイズは変化してもよい。従来技術の図1および図2に示したN型ディスク・クランプ1と違い、ディスク・クランプ400は、下面410にリング状の溝を含む。図7に示した実施形態では、リング状の溝が、ディスク・クランプ400の剛性を高めるように充填される。
【0021】
1つの実施形態では、ディスク・クランプ400の上面411が、環状のテーパ面405、環状の上面403、環状の溝402、環状の上面401、および環状のテーパ面404を有する。テーパ面405、上面403および環状の溝402は、内周領域408上に形成され、上面401とテーパ面404は、外周領域409上で形成される。
【0022】
図8および図9は、ディスク・クランプ400が機能する様子をより詳細に示す。ディスク・クランプ400は、一般に、焼きばめディスク・クランプと呼ばれる。ハブ33上にディスク40とスペーサ・リング42を積み重ねることによりディスク・スタック38を構成した後で、ディスク・クランプ400を使用してディスク・スタック38を完成させる。ディスク・クランプ400をディスク・スタック38に差し込む前、ディスク・クランプ400は、図8に示したように、ディスク・クランプ400の内径がハブ33の外径よりも大きくなるように加熱される。次に、図9に示したように、加熱されたディスク・クランプ400が、ディスク・スタック38内の最も上のディスク40の上面に配置される。また、軸方向外部荷重とも呼ばれるクランプ荷重を、荷重機構(図示せず)によってディスク・クランプ400の点415に加える。ディスク・クランプ400は、ハブ33とディスク40を含むディスク・スタック38よりも質量が小さい。その結果、ディスク・クランプ400の熱をハブ33とディスク40を介して放散することにより、ディスク・クランプ400は迅速に冷却する。ディスク・クランプ400の冷却と415に加えられる軸方向外部荷重によって、ディスク・クランプ400がハブ33に焼きばめされる(すなわち接触する)。より具体的には、ハブ接触領域406におけるグリップ力(すなわち、軸方向荷重が除去されディスク・クランプ400が焼きばめされた後でハブ33に加わる力)が、ハブ接触領域406においてハブ33に加えられる。
【0023】
図10は、ハブ33に焼きばめする前のディスク・クランプ400の拡大図を示し、図11は、ハブ33に焼きばめした後のディスク・クランプ400の拡大図を示す。加熱したディスク・クランプ400を、ディスク40とハブ33を含むディスク・スタック38に適用するとき、ディスク・クランプ400の内周面413の直径は、ハブ33の外径(外側円筒面)414よりも大きい。ディスク・クランプ400を加熱したときのディスク・クランプ400とハブ33の間の空間のために、ディスク・クランプ400は、ハブ33にじゃまされることなくディスク40の上面に容易に挿入される。上面401および403が、ディスク40の上面と実質上共面または平行であることに注意されたい。
【0024】
ディスク・クランプ400が冷却し、軸方向外部荷重がディスク・クランプ400に加わると、ディスク・クランプ400は、図11に回転角度417で示したように回転する。ディスク・クランプ400が、冷却によって収縮するにつれて、ハブ接触領域406はハブ33と接触するようになる。415に加えられた外部荷重は、収縮力とあいまって、ディスク・クランプ400を半径方向内側に回転させ(回転角度417で示したように)、上面401と上面403をずらし(距離416で示したように)、ディスク・クランプ400が、ハブ接触領域406においてハブ33にグリップ力を加える。ディスク・クランプ400を挿入した後で、415に外部から加えていた荷重を除去する。一般に、ディスク・クランプ400は、ハブ33とディスク・クランプ400の間の摩擦が残留スタック荷重により提供される力よりも大きい場合に、ハブ33を適切に掴みすべてのディスク40を固定してディスク・スタック38を構成するが、そうでない場合は、ディスク・クランプがハブ33から滑ることがある。残留スタック荷重により提供される力は、外部から加えた荷重を除去した後でディスク・スタック38に残る力のことを指す。摩擦力は、通常、ハブ接触領域406であらゆる半径方向に加わる力の他に、ハブ33とディスク・クランプ400の間の摩擦係数に依存する。ハブ接触領域406を最適な位置の近くに局在化させることによって、ディスク・クランプ400は、ハブ33とディスク・クランプ400の間に大きな摩擦係数を必要としなくなり、ディスク・クランプがハブ33から滑って外れる可能性が低下するとともに、ディスク・スタック38により強い締付け力を生成する強いグリップ力を提供することができる。さらに、ハブ33とディスク・クランプ400の間の摩擦係数を大きくするためにディスク・クランプ400を酸化しない場合は、アルミニウムの酸化に関連した欠点がディスク・ドライブの性能に影響を及ぼすことはなく、すなわち、ディスク・クランプ400から落ちる酸化粒子によってディスク40が汚染されることがない。
【0025】
前述のように、ハブ接触領域406は、大きな残留スタック荷重を提供し同時に滑りを防ぐように最適化される。通常、ディスク・スタック38の質量が大きくなるとき(たとえば、ディスク・スタック38が多数のディスクを備えるとき)に、より高い残留スタック荷重が必要となる。ハブ接触領域406は、一般に、ハブ33に加わるグリップ力を最適位置のまわりに局在化することができる小さな領域である。前述のように、ハブ接触領域406の最適位置は、通常、ディスク・クランプ400の中立曲げ軸よりも少し上に配置され、摩擦係数とディスク・クランプ400の回転剛性の両方に依存する。より小さなハブ接触領域406を提供することによって、ディスク・クランプ400によってハブ33に加えられるグリップ力が最適位置に近くに局在化するように設計することができる(すなわち、中立曲げ軸の近くにおいて、ハブ33とディスク・クランプ400の間の摩擦係数とディスク・クランプ400の回転剛性を考慮する)。1つの実施形態では、中立曲げ軸とハブ接触領域406の最適位置は、有限要素モデリングを利用したソフトウェアを通じてコンピュータによってシミュレートされる。
【0026】
1つの実施形態では、ディスク・クランプ400は、約24.2mmの内径と、約32mmの外径と、約1、91mmの高さを持つ。さらに、上面401と403の間に形成された溝は、約57°の角度を有し、約1.15mmの深さである。この実施形態では、ハブ接触領域406は、上面401よりも約0.45mm下に配置され、約590kg(約1300lbs)のグリップ力を提供する。中立曲げ軸は、上面401よりも約1.0mm下でもよい。Al−2024からなるハブ33とAl−7075からなるディスク・クランプ400の場合、摩擦係数は約0.25である。
【0027】
ハブ接触領域406を形成するディスク・クランプ400の内周面413は、小さなハブ接触領域406を作成する様々な多くの形状をもつことができる。図11は、テーパ領域419と比較的平坦な領域420の間のディスク・クランプ400の内周面413に形成されたハブ接触領域406を示す。テーパ領域421は、平坦領域420よりも下に形成される。
【0028】
図12は、ディスク・クランプ700の内周面713に形成された段状領域723を示す。段状領域723は、段領域720と段領域721の間にある。ハブ接触領域706は、段状領域723の上部の角に配置される。テーパ領域719は、段状領域720よりも上に配置され、テーパ領域722は、段状領域720よりも下に配置される。
【0029】
図13は、ディスク・クランプ800の内周面813に形成された半円形領域822によって形成されたハブ接触領域825を示す。半円形領域822は、比較的平坦な領域821と823の間にある。平坦領域821の上にはテーパ領域819が配置され、平坦領域823の下にはテーパ領域824が配置される。図14は、ディスク・クランプ900の内周面913に形成されたハブ接触領域914を示す。ハブ接触領域914は、上側のテーパ領域919と下側のテーパ領域920によって形成される。
【0030】
図15は、ディスク・クランプ1000の内周面1013上のテーパ領域1019と1020の間で形成されたハブ接触領域1014を示す。テーパ領域1020の下には、比較的平坦な領域1021ともう1つのテーパ領域1022がある。
【0031】
図16は、内周面1113の比較的平坦な領域1120と1121の間に形成されたハブ接触領域1106を示す。平坦領域1120の上には、テーパ領域1119が配置され、平坦領域1121の下には、テーパ領域1122が配置される。
【0032】
図10ないし図16に示した実施形態は、ハブ接触領域がディスク・クランプとハブの間に比較的小さな接触領域を提供することを示す。図10ないし図16に示したハブ接触領域は、通常、ディスク・クランプの中立曲げ軸とディスク・クランプの上面の間で形成されることに注意されたい。通常、ハブ接触領域の最適な位置は、ディスク・クランプの中立曲げ軸よりも少し上にある。ディスク・クランプの内周面に比較的小さなハブ接触領域を形成することによって、ハブに加わるグリップ力が局在化される。その結果、本発明のディスク・クランプは、ディスク・スタックにより強い締付け力を提供することができる。ある一定の状況で、衝撃荷重を受けた(たとえば、落下した)ときに、ディスク・スタック内のディスクが、ディスク・スタックの中心軸からずれる(すなわち、ディスク・スタックの中心軸から半径方向内側または外側に移動する)のを防ぐように、締付け力はさらに強くすることが望ましい。
【0033】
以上の説明において、本発明を特定の実施例に関して説明した。
【0034】
まとめとして、本発明の構成に関して以下の事項を開示する。
【0035】
(1)少なくとも1つのディスクをスピンドル・モータのハブに固定するためのリング状ディスク・クランプであって、
中立曲げ軸と、
上面と内周面を有し、中立曲げ軸と上面の間でハブに局部的なグリップ力を提供するように位置決めされたハブ接触領域を配置した内周領域と、
ディスク接触領域を有する外周領域と
を含むリング状ディスク・クランプ。
(2)ハブ接触領域の位置が、ハブとリング状ディスク・クランプの間の摩擦係数とリング状ディスク・クランプの回転剛性とに基づいて、ハブからのリング状ディスク・クランプの滑りを減少させるように最適化される上記(1)に記載のリング状ディスク・クランプ。
(3)中立曲げ軸が、コンピュータ・シミュレート有限要素モデリングによって決定される上記(1)に記載のリング状ディスク・クランプ。
(4)内周面が、ハブ接触領域を構成する少なくとも1つのテーパ面と少なくとも1つの平坦面を有する上記(1)に記載のリング状ディスク・クランプ。
(5)内周面が、ハブ接触領域を構成する少なくとも2つのテーパ面を含む上記(1)に記載のリング状ディスク・クランプ。
(6)内周面が、ハブ接触領域を形成する少なくとも1つの段状面と少なくとも1つの平坦面とを含む上記(1)に記載のリング状ディスク・クランプ。
(7)内周面が、ハブ接触領域を構成する少なくとも2つの段状面を含み、ハブ接触領域が、段状領域の上側部分によって形成されている上記(1)に記載のリング状ディスク・クランプ。
(8)内周面が、ハブ接触領域を形成する半円形面を含む上記(1)に記載のリング状ディスク・クランプ。
(9)外周領域が、さらに上面を含み、外周領域の上面が、溝により内周領域の上面から離されている上記(1)に記載のリング状ディスク・クランプ。
(10)ディスク接触領域が、段状領域によって形成される上記(1)に記載のリング状ディスク・クランプ。
(11)スピンドル・シャフトに取り付けられ、外側円筒面を有するハブを含むスピンドル・モータと、
ハブの外側円筒面に取り付けられた内径を有する少なくとも1つのディスクと、
リング状ディスク・クランプとを含み、
リング状ディスク・クランプが、
中立曲げ軸と
上面と内周面を有し、中立曲げ軸と上面の間でハブに局部的なグリップ力を提供するように位置決めされたハブ接触領域を有する内周領域と、
ディスク接触領域を有する外周領域と
を含むディスク・ドライブ・システム。
(12)ハブ接触領域の位置が、ハブとリング状ディスク・クランプ間の摩擦係数とリング状ディスク・クランプの回転剛性とに基づき、リング状ディスク・クランプのハブからの滑りを減少させるように最適化された上記(11)に記載のディスク・ドライブ・システム。
(13)中立曲げ軸が、コンピュータ・シミュレート有限要素モデリングによって決定される上記(11)に記載のディスク・ドライブ・システム。
(14)内周表面が、ハブ接触領域を構成する少なくとも1つのテーパ面と少なくとも1つの平坦面を有する上記(11)に記載のディスク・ドライブ・システム。
(15)内周面が、ハブ接触領域を構成する少なくとも2つのテーパ面を含む上記(11)に記載のディスク・ドライブ・システム。
(16)内周面が、ハブ接触領域を形成する少なくとも1つの段状面と少なくとも1つの平坦面とを含む上記(11)に記載のディスク・ドライブ・システム。
(17)内周面が、ハブ接触領域を構成する少なくとも2つの段状面を含み、ハブ接触領域が、段状領域の上側部によって形成された上記(11)に記載のディスク・ドライブ・システム。
(18)内周面が、ハブ接触領域を形成する半円形面を含む上記(11)に記載のディスク・ドライブ・システム。
(19)外周領域が、さらに、溝によって内周領域の上面から分離された上面を含む上記(11)に記載のディスク・ドライブ・システム。
(20)ディスク接触領域が、段状領域によって形成された上記(11)に記載のディスク・ドライブ・システム。
(21)ディスク・スタックをスピンドル・モータのハブに固定するリング状ディスク・クランプを作成する方法であって、
(a)上面、下面および内周面を有するリングを提供する段階と、
(b)リングの中立曲げ軸を決定する段階と、
(c)中立曲げ軸と上面との間の内周面にハブ接触領域を形成して、ハブに局部的なグリップ力を提供する段階と、
(d)下面にディスク接触領域を形成する段階と
を含む方法。
(22)上面に溝を形成する段階をさらに含む上記(21)に記載の方法。
(23)段階(c)が、ハブとリング状ディスク・クランプ間の摩擦係数とリング状ディスク・クランプの回転剛性とに基づき、リング状ディスク・クランプのハブからの滑りを減少させようにハブ接触領域の位置を最適化する段階を含む上記(21)に記載の方法。
(24)段階(b)が、有限要素モデリングを実行する段階を含む上記(21)に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のディスク・クランプの平面図である。
【図2】従来のディスク・クランプの拡大断面図である。
【図3】ディスク・クランプの1つの実施形態を実現するディスク・ドライブの分解図である。
【図4】ディスク・クランプの1つの実施形態を実現するディスク・スタックの分解図である。
【図5】ディスク・クランプの1つの実施形態の平面図である。
【図6】ディスク・クランプの1つの実施形態の断面図である。
【図7】ディスク・クランプの1つの実施形態の拡大断面図である。
【図8】ディスク・スタックのハブに差し込まれた膨張したディスク・クランプの1つの実施形態の断面図である。
【図9】ディスク・スタック上に完全に組み立てた後のディスク・クランプの1つの実施形態の断面図である。
【図10】ディスク・スタック上に差し込まれた膨張したディスク・クランプの1つの実施形態の拡大断面図である。
【図11】ディスク・スタック上に完全に組み立てた後のディスク・クランプの1つの実施形態の拡大断面図である。
【図12】ディスク・スタック上に組み立てた後のディスク・クランプの実施形態の拡大断面図である。
【図13】ディスク・スタック上に組み立てた後のディスク・クランプの実施形態の拡大断面図である。
【図14】ディスク・スタック上に組み立てた後のディスク・クランプの実施形態の拡大断面図である。
【図15】ディスク・スタック上に組み立てた後のディスク・クランプの実施形態の拡大断面図である。
【図16】ディスク・スタック上に組み立てた後のディスク・クランプの実施形態の拡大断面図である。
【符号の説明】
10 ディスク・ドライブ
32 スピンドル・シャフト
33 ハブ
40 ディスク
400 ディスク・クランプ
401 上面
402 溝
403 上面
404 テーパ面
405 テーパ面
406 ハブ接触領域
407 ディスク接触領域
408 内周領域
409 外周領域
410 下面
411 上面
413 内周面
414 ハブの外径(ハブの外側円筒面)
419 テーパ領域
420 平坦領域
421 テーパ領域
Claims (8)
- 少なくとも1つの回転記憶ディスクをスピンドル・モータのハブに固定するためのリング状ディスク・クランプであって、
固定時に上面に外部荷重が加えられたときに、前記回転記憶ディスクの半径方向の動きが最小になる軸である中立曲げ軸と、
前記外部荷重と焼きばめにより前記ハブに局部的なグリップ力を提供するように位置決めされたハブ接触領域を前記中立曲げ軸と前記上面の間の内周面に配置した内周領域と、
この内周領域と前記上面に設けられた溝により分離されたディスク接触領域を有する外周領域とを含むリング状ディスク・クランプ。 - 前記内周面が、前記ハブ接触領域を構成するテーパ面と平坦面を有する請求項1に記載のディスク・ドライブ・システム。
- 前記内周面が、前記ハブ接触領域を構成する2つのテーパ面を含む請求項1に記載のリング状ディスク・クランプ。
- 前記内周面が段差領域を含み、前記ハブ接触領域が前記段差領域の上部の角に配置された請求項1に記載のリング状ディスク・クランプ。
- 前記内周面が、段上に並んだ2つの平坦面を含み、前記ハブ接触領域が前記平坦面のうちの一方面の上部の角に配置された請求項1に記載のリング状ディスク・クランプ。
- 前記内周面が、前記ハブ接触領域を形成する半円形面を含む請求項1に記載のリング状ディスク・クランプ。
- スピンドル・シャフトに取り付けられ、外側円筒面を有するハブを含むスピンドル・モータと、
前記ハブの外側円筒面に適合する内径を有する回転記憶ディスクと、
リング状ディスク・クランプとを含み、
前記リング状ディスク・クランプが請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のディスク・クランプであるディスク・ドライブ・システム。 - 回転記憶ディスクをスピンドル・モータのハブに固定する方法であって、
固定時に上面に外部荷重が加えられたときに、前記回転記憶ディスクの半径方向の動きが最小になる軸である中立曲げ軸と、前記外部荷重と焼きばめにより前記ハブに局部的なグリップ力を提供するように位置決めされたハブ接触領域を前記中立曲げ軸と前記上面との間の内周面に配置した内周領域と、この内周領域と前記上面に設けられた溝により分離されたディスク接触領域を有する外周領域とを含むリング状ディスク・クランプを提供する段階と、
前記ディスク・クランプを加熱する段階と、
前記ディスクを前記ハブに装着する段階と、
前記ディスク・クランプを前記ハブに装着し前記上面に前記外部荷重をかける段階とを有する方法。
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