JP3643997B2 - コーティングキャリア用フェライトコア、現像剤用コーティングキャリア、二成分現像剤及び画像形成方法 - Google Patents

コーティングキャリア用フェライトコア、現像剤用コーティングキャリア、二成分現像剤及び画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等における静電潜像の現像に用いられる二成分現像剤用キャリアコア、コーティングキャリア、現像剤及び画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、静電潜像の現像方式としては着色粒子であるトナーとキャリアとから構成されるいわゆる二成分現像剤を用い、磁気ブラシを形成させてこれにより静電潜像の現像を行う、二成分現像方式が知られている。
【0003】
この様な二成分現像方式に使用されるキャリアとしては、一般に鉄粉やフェライトからなるコアの表面に樹脂被覆層を形成してなる樹脂被覆キャリア(樹脂コーティングキャリア)がよく用いられている。
【0004】
この被覆樹脂は好適な帯電性を発揮させることができるとともにトナーの一部がキャリア粒子の表面に融着する、いわゆるトナースペント現象による画像劣化の程度を比較的有効に防止し、結果として高い耐久性能を発揮するという特徴がある。
【0005】
しかしながら樹脂被覆キャリアは電荷保持能が高いため、現像スリーブ(現像剤担持体)上において、現像後にキャリアに残存する現像されたトナーのカウンターチャージが、直ちに現像スリーブに逃げえない傾向がある。その場合カウンターチャージとスリーブとの鏡像力によりキャリアがスリーブから離れにくくなる現象が発生する。
【0006】
そのためスリーブ上の現像剤の交換が不十分で、同一の現像剤が再び現像領域に搬送されるため、現像領域の実質的なトナー濃度は一枚の画像を出力する間にも低下し、これがいわゆる「先後端濃度差」と呼ばれる画像問題となる。
【0007】
この画像問題は特にカラー画像形成方法で用いられる非接触現像法等の現像力のやや小さい現像系で顕著になる。
【0008】
この問題に対しては特開昭58−200245号、同57−40267号、同58−108549号、同55−163544号、同59−223452号、同54−7343号等に示されるようにキャリアの表面被覆層(コーティング層)中に導電性の材料を添加する手段が考えられている。
【0009】
しかしながら、表面被覆層中への添加だけでは導電性材料を高濃度に添加せねばならず結果的にキャリアの基本性能である帯電性能を悪化させる。
【0010】
また、実機中での長期使用等によりキャリア被覆層の摩耗が生じるとその効果は低減する。
【0011】
一方、近年における画像形成装置の小型化に伴う現像器の小型化に対応して、現像剤は、トナーが現像器に補給されてから現像スリーブ上で現像領域に達するまでの時間が極めて短くなってきている。従って、短時間のうちに充分な帯電状態とされ得る帯電立ち上がりの早いものが必要となってきている。
【0012】
従来においてはトナーの帯電立ち上がり特性を向上させるために、通常トナー側に例えば負帯電性の荷電制御剤を含有させることが行われている。しかし、上記のごとく小型の現像器に用いる場合には性能面で十分とはいえなかった。特にフルカラーの画像形成装置で用いられるカラートナーについては、有色の荷電制御剤を用いることができないため、選択枝が狭まり、所望の帯電量を得ることができないというのが現状がある。
【0013】
また、他の手段としてキャリア側の被覆樹脂の改良や被覆樹脂中に例えば正帯電性の荷電制御剤を含有させることも行われている。
【0014】
しかし、その様な帯電能の付与を被覆層だけに与えた場合、上記した被覆層の摩耗、もしくは被覆層へのトナースペント等、による被覆層の劣化に伴い現像剤としての特性劣化が著しく、帯電能の低下による飛散・カブリが発生する。
【0015】
以上のごとく、キャリアの低抵抗化、帯電性能付与と言った機能をキャリア表面だけに持たせると、実機中のキャリアの表面劣化による影響を受け易くなる問題点があった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決する為になされた。
【0017】
すなわち、長期にわたって良好な画像を安定して得ることのできる静電潜像現像用のコーティングキャリア用フェライトコア、現像剤用コーティングキャリア、二成分現像剤及び画像形成方法の提供にある。
【0018】
より具体的にはキャリアのカウンターチャージリーク特性が良好で先後端濃度差が長期に渡って発生しない、帯電立ち上がりが良好でカブリやトナー飛散が発生しないキャリア用フェライトコア、現像剤用コーティングキャリア、二成分現像剤、及びそれらを用いた画像形成方法の提供にある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の目的に対してはキャリアの被覆層中だけに機能を付与させる添加剤を加えるのではなく、キャリアコア内部に目的とする機能を付加させた材料を存在させることにより達成できることを見いだし本発明に至った。
【0020】
本発明の目的は、下記構成の何れかを採ることによって達成される。
【0021】
(1) 金属化合物と結着樹脂からなる原料を用い、粉砕、造粒、焼成工程を経てフェライト化させた二成分現像剤のコーティングキャリア用フェライトコアにおいて、焼結後のコアの粉末X線回折スペクトルの5(゜)≧2θ(゜)≧95(゜)の範囲に、前記の原料となる金属化合物の主ピークが存在し、焼結後のコアのX線回折スペクトルデータ中最も高いピーク強度の値▲2▼(counts)と、このデータ中の、原料となる金属化合物の主ピーク位置の強度値▲3▼(counts)が、下式の範囲であることを特徴とするコーティングキャリア用フェライトコア。
【0022】
100%≧▲3▼/▲2▼×100≧0.1%
(2) (1)記載のコーティングキャリア用フェライトコアに樹脂コーティングしたことを特徴とする二成分現像剤用コーティングキャリア。
【0023】
(3) (2)記載の二成分現像剤用コーティングキャリアと、少なくとも樹脂と着色剤を含有するトナーよりなることをを特徴とする二成分現像剤。
【0024】
(4) 静電潜像を(3)記載の二成分現像剤を用いて現像することを特徴とする画像形成方法。
【0025】
尚、上記のピーク強度の値は、後述するごとくいずれも各のバックグラウンド強度を差し引いた実質的なピーク強度である。
【0026】
コアの内部に意図的に原料を存在させ、キャリアに原料特有の物性の機能を持たせることをねらっており、これによりコーティング層だけに機能をもたせるよりも、キャリアとしての物性制御の幅が広がり、コーティング層の変化しやすい実機内でも安定した機能を得ることができる。
【0027】
特に、先後端濃度差問題についてはコア内部に例えばフェライト化していないCu化合物を存在させることにより、低抵抗化を行うことによって長期にわたって低減できる。
【0028】
また、帯電立ち上がり特性の向上についてはコア内部に例えばフェライト化していないMg化合物を存在させることにより、高帯電能化を達成でき、帯電立ち上がり特性が良好で飛散・カブリのない良好な画像を長期にわたって得ることができる。
【0029】
以下、本発明の具体的内容につき説明する。
【0030】
コアの製造
コアの製造については、原料に対し例えば以下のような工程を踏むことで作製できる。
【0031】
スラリー作製工程
↓原料の粉砕及びスラリー化
造粒工程
↓スラリーの造粒
焼成工程
↓フェライト化
解砕・分級工程
↓形状、粒度分布の制御
磁選工程
↓磁気特性の制御
製品(コア)
本特許の達成手段である「コア中に機能性の材料を存在させる」ためには、種々の方法がある。しかし、結果として本願発明の請求項に示したコアが作製可能ならばよく、作製手段は本願明細書で挙げるものに限定されない。
【0032】
たとえば、本発明達成手段として
▲1▼フェライト化しない機能性材料を選択し原料として添加する方法
▲2▼フェライト化する機能性材料を製造法の制御によりフェライト化させず原料のまま残す方法がある。
【0033】
ここでは上記▲2▼の作製法を示す。
【0034】
▲2▼の作製方法についての一つの方法は、「造粒工程」で作られるスラリーの乾燥粒子中の原料粒径を小さくし、結着樹脂との接触面積を広げることである。それにより、焼結の際、結着樹脂の存在が原料金属化合物同士の焼結を阻害するため、原料のまま残すことが可能である。
【0035】
具体的には「スラリー作製工程」において原料の粉砕粒径を数平均粒径で0.001〜1μmに制御することと、適正な性能の結着樹脂を選択する事である。
【0036】
粉砕粒径は0.001μm末端では単位体積当たりの表面積が過大となり、結着樹脂との接触面積が過大となるため、フェライト化ができなくなり、強度、磁気特性に大きな影響を与えてしまう。また1μmを越えると容易にフェライト化してしまう。
【0037】
原料粒径は、例えばスラリー作製工程で湿式ボールミルを用いる場合、粉砕メディアの物性、混合時間、添加量制御、原料濃度制御により調整できる。
【0038】
また、結着樹脂の性質の制御は種類、添加量によって制御でき、場合によっては界面活性剤を用いて調整しても良い。
【0039】
本願発明については上記の様な制御をコアの原料全てに行ってスプレードライ前の原料としても良いし、この制御を行ったコア原料と通常のコア原料とを混合しそれをスプレードライ前の原料としても良い。
【0040】
また、▲2▼に関するもう一つの方法は、焼結のために加える熱エネルギー量を完全焼結にかかる量より少なくすることである。フェライトの構成原料により適正な焼結温度は変化するが、500〜1200℃の炉で2〜50時間焼結させることで作製することが可能である。
【0041】
数平均粒径の測定は、透過型電子顕微鏡JEM−2000FX(日本電子社製)で観察した後、画像解析装置SPICA(日本アビオニクス社製)により求めた。
【0042】
コア原料
コア原料としては、従来から用いられる金属、及び金属化合物が使用できるが、キャリアの物性として得たい物性をもつものを含まなければならない。
【0043】
これらの原料としては、Fe化合物、Ni化合物、Bi化合物、Li化合物等の原料のほか、特に帯電特性を制御するためにはMg化合物、Zn化合物、Mn化合物が挙げられる。その中でも、特に抵抗値を制御させるためにはCu化合物、Zn化合物が挙げられる。
【0044】
これらの化合物の具体例としては、例えば、Fe,FeO,Fe23,Fe34,NiO,Bi23,LiO,MgO,Mg(OH)2,MgCO3,Zn,ZnO,Cu,CuO,MnO2,Mn34,MnCO3,CoO,BaCO3,SrCO3,Y23,CaO,CaCO3,Al23,V25,In23,Ta25,ZrO2,B23,MoO3,Na2O,SnO2,TiO2,Cr23等が挙げられる。
【0045】
また形状制御をさせるためにリン酸塩化合物を0.01〜5.0wt%添加してもよい。リン酸塩としては、例えばリン酸カルシウム、リン酸マンガン、リン酸亜鉛、リン酸マグネシウム、又はリン酸二水塩等を用いることができる。
【0046】
結着樹脂としては特に限定されないが、コアの製造の容易性からPVA(ポリビニルアルコール)系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマー等の水溶性高分子材料を好ましく用いることができる。
【0047】
焼成後のコア
焼成後のコアに原材料の金属もしくは金属化合物が存在しているかどうかの確認はX線回折装置(粉末法)により以下の手段で行う。
【0048】
原料単体のX線回折スペクトルデータを5(゜)≧2θ(゜)≧95(゜)の範囲でそれぞれとる。
【0049】
各原料データの主ピークの存在する2θ゜を読みとり▲1▼(゜)とする。
【0050】
ここで言う「主ピーク」とは最も強度の強いものから5本目までに含まれるピークのことである。
【0051】
焼結後のフェライトコアのX線回折スペクトルデータをとる。
【0052】
A.このフェライトコアのX線回折スペクトルデータの中で最も強度の強いピークの強度から、バックグラウンドの強度を差し引いた値を算出し▲2▼(counts)とする。
【0053】
B.このフェライトコアX線回折スペクトルデータの中で、上記▲1▼の2θ゜のそれぞれの位置の強度からバックグラウンドの強度を差し引いた値を算出し▲3▼(counts)とする。
【0054】
ここで言う「バックグラウンドの強度」とは、ピークを挟む2つの強度の極小値の平均値である。
【0055】
以上の手法から得られた数値を基に、本願発明では、少なくとも一つの原料成分の▲3▼が、
100%≧▲3▼/▲2▼×100≧0.1%
を満足しなければならない。
【0056】
この式での強度比が100%より大きい場合、原料成分が過多となり、フェライト粒子としての性能を保てなくなる。また、0.1%未満では本特許の効果が得られない。
【0057】
X線回折装置としてはJDX−8200型回転対陰極X線回折装置(日本電子(株)製)を用いた。
【0058】
被測定サンプルは、試料100重量部とグリス(協同油化社製)30重量部を充分混合したものをガラス製サンプルホルダーに2mmの層厚で調整することにより作成した。
【0059】
X線の条件は管球Cu、電圧40kV、電流100mAであり、焼結コア、原料の測定とも同一条件で測定した。
【0060】
キャリアの製造法
本発明においてコア粒子の表面にコーティング樹脂層を形成する方法は特に限定されるものではなく、一般的な浸漬塗布法、スプレー塗布法、流動化ベッド塗布法、などを利用してもよいが、特に、被覆樹脂層の材料として樹脂微粒子を用い、機械的な衝撃力によってコア粒子表面に付着させて成膜する乾式機械的衝撃法によるものが好ましい。
【0061】
この乾式機械的衝撃法によれば、コーティング中、被覆樹脂中へコアの原料成分が均一に分散し目的とする効果をより顕著に得ることができる。
【0062】
そのほか、被覆樹脂層のコア粒子に対する接着力が強く、耐久性に優れたキャリアを得ることができる。
【0063】
被覆樹脂
被覆する樹脂としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、ロジン変成樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、その他を用いることができる。これらは組み合わせて使用しても良い。
【0064】
コーティング膜厚は、0.1〜5μm程度の膜厚が好ましい。0.1μm未満では極薄となるためコア粒子表面の一部が露出した状態となり安定した帯電量を得ることができず、また5μmを越えると膜厚が過大となってコアに対する接着力が弱くなり被覆樹脂層が剥離する現象が生じ易くなる。
【0065】
トナー
従来から公知のトナーを用いることができるが、結着樹脂と着色剤を含有した着色粒子に、外添剤として無機微粉末を添加混合したものが好ましい。平均粒径は体積平均粒径で通常、1〜30μm、好ましくは5〜20μmである。
【0066】
着色粒子(トナー)を構成する結着樹脂としては特に限定されず、従来公知の種々の樹脂が用いられる。例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。着色粒子(トナー)を構成する着色剤としては特に限定されず、従来公知の種々の材料が使用される。
【0067】
例えば着色剤としてはカーボンブラック、磁性体、染料、顔料等が使用でき、カーボンブラックとしてはチャネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用される。
【0068】
染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同93、同94、同138、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60等を用いる事ができ、これらの混合物も用いる事ができる。数平均一次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましい。
【0069】
また必要に応じて離型剤を添加することもできる。
【0070】
離型剤としては数平均分子量(該数平均分子量は高温GPCでのポリスチレン分子量換算値を示す)が1500〜5000の低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体等のポリオレフィンワックス、またはマイクロワックス、フィッシャートロプシュワックス等の高融点パラフィンワックス、または脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸高級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル等のエステル系ワックス、アミド系ワックス等を単独または併用して用いることができる。
【0071】
その他の添加剤としては例えばサリチル酸誘導体・アゾ系金属錯体等の荷電制御剤等が挙げられる。
【0072】
また、外添剤としての無機微粒子としてはシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等の数平均一次粒子径が5〜1000nmのものが使用され、これらは疎水化されていてもよい。さらに、トナーにはクリーニング助剤として数平均一次粒子径が0.1〜2.0μmのスチレン−アクリル樹脂微粒子やステアリン酸亜鉛の様な高級脂肪酸金属塩を添加してもよい。
【0073】
無機微粒子の添加量としては着色粒子に対して0.1〜10.0wt%添加するとよい。また、クリーニング助剤は着色粒子に対して0.01〜5.0wt%程度がよい。
【0074】
現像方法
上記のトナーとキャリアとにより構成される二成分現像剤で現像される静電潜像はいずれの媒体に形成されたものであっても良い。通常、静電潜像の形成には、セレン感光体、アモルファスシリコン感光体、有機半導体感光体等が広く用いられている。
【0075】
また現像方法については通常用いられる、接触現像方法、非接触現像方法どちらでも使用することができる。
【0076】
特に本願発明の現像剤は、先後端濃度差問題の発生し易い非接触現像系に対して特に良好な結果を示す。また、特に基本色を重ね合わせ、2次色を表現するカラーの重ね合わせ画像形成方法で色味の変化が少なく色彩の安定性が優れる。
【0077】
接触方式の現像としては、本発明のトナーを有する現像剤の層厚は現像領域に於いて0.1〜8mm、特に、0.4〜5mmであることが好ましい。また、感光体と現像剤担持体との間隙は、0.15〜7mm、特に、0.2〜4mmであることが好ましい。
【0078】
また、非接触系現像方式としては、現像剤担持体上に形成された現像剤層と感光体とが接触しないものであり、この現像方式を構成するために現像剤層は薄層で形成されることが好ましい。この方法は現像剤担持体表面の現像領域で20〜500μmの現像剤層を形成させ、感光体と現像剤担持体との間隙が該現像剤層よりも大きい間隙を有するものである。
【0079】
この薄層形成は磁気の力を使用する磁性ブレードや現像剤担持体表面に現像剤層規制棒を押圧する方式等で形成される。さらに、ウレタンブレードや燐青銅板等を現像剤担持体表面に接触させ現像剤層を規制する方法もある。押圧規制部材の押圧力としては1〜15gf/mmが好適である。押圧力が小さい場合には規制力が不足するために搬送が不安定になりやすく、一方、押圧力が大きい場合には現像剤に対するストレスが大きくなるため、現像剤の耐久性が低下しやすい。好ましい範囲は3〜10gf/mmである。
【0080】
現像剤担持体と感光体表面の間隙は現像剤層よりも大きいことが必要である。さらに、現像に際して現像バイアスを付加する場合、直流成分のみ付与する方式でも良いし、交流バイアスを印加する方式のいずれでも良い。
【0081】
現像剤担持体の大きさとしては直径が10〜40mmのものが好適である。直径が小さい場合には現像剤の混合が不足し、トナーに対して充分な帯電付与を行うに充分な混合を確保することが困難となり、直径が大きい場合には現像剤に対する遠心力が大きくなり、トナーの飛散の問題を発生しやすい。
【0082】
以下、非接触現像方式の一例を図1を用いて説明する。
【0083】
図1は、本発明の画像形成方法に好適に使用できる非接触現像方式の現像部の概略図であり、1は感光体、2は現像剤担持体、3は本発明のトナーを含有する二成分現像剤、4は現像剤層規制部材、5は現像領域、6は現像剤層、7は交番電界を形成するための電源である。
【0084】
本発明のトナーを含有する二成分現像剤はその内部に磁石2Bを有する現像剤担持体2上に磁気力により担持され、現像スリーブ2Aの移動により現像領域5に搬送される。この搬送に際して、現像剤層6は現像剤層規制部材4により、現像領域5に於いて、感光体1と接触することがないようにその厚さの層に規制される。
【0085】
現像領域5の最小間隙(Dsd)はその領域に搬送される現像剤層6の厚さ(好ましくは20〜500μm)より大きく、例えば100〜1000μm程度である。交番電界を形成するための電源7は、周波数1〜10kHz、電圧1〜3kVp−pの交流が好ましい。電源7には必要に応じて直流を交流に直列に加えた構成であってもよい。直流電圧を付加する場合は300〜800Vが好ましい。
【0086】
本発明のトナーをカラー画像形成方式へ適用する場合、感光体上へ単色の画像を形成しつつ逐次画像支持体へ転写する方式(これを逐次転写方式とし、図2に示す。)、或いは感光体上に複数回単色画像を現像しカラー画像を形成した後に一括して画像支持体へ転写する方式(これを一括転写方式とし、図3に示す。)等の方式があげられる。
【0087】
図2、3における画像形成方式について以下に詳述する。
【0088】
本発明に於いて使用される現像剤担持体としては、図1、2、3に示すごとく、担持体内部に磁石2Bを内蔵した現像器が用いられ、現像剤担持体表面を構成するスリーブ2Aとしてはアルミニウムや表面を酸化処理したアルミニウム或いはステンレス製のものが用いられる。
【0089】
以下、図2に示した逐次転写方式の一例について説明する。
【0090】
11は帯電電極である帯電器、12はイェロー、マゼンタ、シアン、黒のトナーを各々に装填する現像器からなる現像ユニットで、4色のトナーに対応する4つの器に分かれている。これら現像器の基本構成は、図1に示した現像部の概略図と同じである。14は感光体ドラム、13はクリーニングユニット、15は感光体ドラム上に形成された単色カラートナー像を一時的に保持し、更にその上に次の単色トナー像を保持し、最終的に所望の多色カラー画像を形成する転写ドラム、16は転写ドラム上のトナー画像が転写される転写材を搬送する搬送ユニット、17は転写ドラム15の内部に設けられ、内部からのコロナ放電し、転写材を該ドラムに静電吸着する吸着電極、18は感光体ドラム14上に形成されたトナー像を逐次転写ドラムに転写させる転写電極、19は転写ドラム15上に静電吸着した転写材を剥離するための剥離電極、20は転写材剥離後、転写ドラムに残留する電荷を除去する除去電極である。
【0091】
感光体ドラム14上に帯電電極11により、一様に電荷を形成し、その後、像様露光(手段図示せず)し、静電潜像を形成する。この静電潜像は、現像ユニット12の一色のトナー(例えば黒トナー)を保有する現像器により現像され、一色のトナー画像が感光体ドラム14上に形成される。一方搬送ユニット16により転写ドラム15上に搬送された転写材料は吸着電極17により転写ドラム上に静電吸着され、転写部に搬送される。
【0092】
この搬送された転写材へは、転写部において、感光体ドラム14上に形成されている上記トナー像を転写する。この転写像を転写後の感光体ドラム14上には、トナーが残留しており、この残留トナーはクリーニングユニット13によりクリーニングされ、次のプロセスに使用される。多色画像を形成する場合、同様なプロセスに従い他の色のトナー画像が現像により形成され、逐一転写ドラム15に転写される。最終的には、所望のトナー画像が転写ドラム15上に吸着されている転写材上に形成される。所望のトナー画像を形成した転写材は、剥離電極19により剥離され、定着部へ搬送され、最終の固定された多色トナー画像が得られる。一方、転写ドラム15は残留している電荷を除去電極20により除去され、次のプロセスに使用される。
【0093】
次に図3を使用し、一括転写方式について説明する。
【0094】
装置の各部は図2の例と同じであるので省略する。但し、21は搬送された転写材を搬送しながら、トナー像を転写する搬送部である。感光体ドラム14上に帯電電極により一様に電荷を形成し、その後潜像形成手段(手段図示せず)により静電潜像を形成する。この静電潜像は、現像ユニット12の一色のトナー(例えば黒トナー)を保有する現像器により現像され、一色のトナー画像が感光体ドラム上に形成される。本図示例においては、このトナー像は転写されることなく、そのままトナー画像を有している感光体ドラム上に再度、帯電電極11により一様に電荷を形成し、更に静電潜像を形成し、上記とは異なる色のトナーを有する現像器により現像され、他の色のトナー像が先のトナー像上に重ね合わせて形成される。この間クリーニングユニット13、転写電極18、搬送部21は作動せず、かつ感光体ドラム14上のトナー像を乱すことがない様に感光体ドラム14から退避させられている。
【0095】
所望の画像形成が終了し、多色トナー画像が形成された後、感光体ドラム上のトナー画像は、搬送ユニット16により搬送された転写材に、搬送部21により搬送されながら、転写電極18によりトナー画像は転写される。転写されたトナー画像を担持して転写材は定着部へ搬送され、固定化され、転写材上に最終多色トナー画像が形成される。トナー像を転写した後の感光体ドラム14にはトナーが残留するのでクリーニングユニット13によりクリーニングされ、次のプロセスに使用される。
【0096】
上述した各種方式で感光体上に形成されたトナー像は、転写工程により紙等の転写材に転写される。転写方式としては特に限定されず、いわゆるコロナ転写方式やローラー転写方式等種々の方式を採用することができる。
【0097】
本発明のトナーは転写効率が高く、かつ感光体上に残留するトナーが少ないので例えばブレードクリーニング方式に用いた場合ブレードの感光体への押接力を軽減する等ができ、感光体の長寿命化にも寄与することができる等の効果も有する。
【0098】
トナー像を転写材に転写した後、感光体上に残留したトナーはクリーニングにより除去され、感光体は次のプロセスに繰り返し使用される。
【0099】
本発明に於いてクリーニングする機構に関しては特に限定されず、ブレードクリーニング方式、磁気ブラシクリーニング方式、ファーブラシクリーニング方式などの公知のクリーニング機構を任意に使用することができる。これらクリーニング機構として、好適なものは上述した理由から、いわゆるクリーニングブレードを用いたブレードクリーニング方式である。
【0100】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0101】
コアの作製
表1に示した所定の原料を所定のモル比で調合したフェライト原料成分1700重量部に対し、結着樹脂としてポリビニルアルコール16重量部及び分散媒として水2400重量部とともに湿式ボールミル(メディア粒径10mm、鉄球)により180分間、粉砕、混合し、スラリー状混合物を得た。この混合物中のフェライト原料成分の平均粒径は表1の様になった。
【0102】
この混合溶液を造粒機を用いて造粒した後、非酸化性の雰囲気下で最高到達温度1070℃に設定した焼成炉内に30時間さらし、焼成を行った。得られた焼結体を解砕、分級、磁選することにより体積平均粒径約50μmのコアを得た。
【0103】
表1にはX線回折データとして焼結コアの主ピークに対する原料のピーク強度比▲3▼/▲2▼×100%を示す。
【0104】
比較コア1の作製
上記の作製条件のうち、湿式ボールミルの処理時間を48時間とし、あとは同様な手段で作製した。
【0105】
比較コア2の作製
上記の作製条件のうち、湿式ボールミルの処理時間を15分とし、あとは同様な手段で作製した。
【0106】
【表1】
Figure 0003643997
【0107】
キャリアの作製
各コアを用いスプレーコート法と乾式機械的衝撃法(以下乾式コート法)によりキャリアを作製した。
【0108】
スプレーコート法は、コア粒子98重量部をスプレーコート装置に投入し、St/MMA共重合体(共重合モル比St/MMA=4/6)、2重量部をアセトン100重量部に溶解したコーティング液とし、樹脂コーティングキャリアを得た。なお、Stはスチレンモノマーを、またMMAはメタクリル酸メチルモノマーを表す。
【0109】
乾式コート法は、コア粒子98重量部とSt/MMA共重合体粒子(共重合モル比St/MMA=4/6、一次平均粒径80nm、Tg=103℃)2重量部を高速撹拌混合機に投入し30℃で20分間混合した後、110℃に加熱し40分間撹拌してその後冷却し、樹脂コーティングキャリアを得た。
【0110】
トナーの作製
ポリエステル樹脂(100部)、マゼンタ顔料:C.I.P.R.122(5部)、低分子量ポリプロピレン(3部)を混合、混練、粉砕、分級を行い体積平均粒径11μmの着色粒子を得た。これにシリカ微粒子を0.1wt%添加してトナーを得た。
【0111】
現像剤の調製
上記のトナーとキャリアを用い、トナー35gとキャリア465gとをV型混合機を用い20分間混合し現像剤を作製した。
【0112】
評価
実施例としての評価では、印字率5.0%の原稿を用い実写ランニングテスト各色5万枚を行った。
【0113】
画像形成装置としては、コニカ社製Konica7728機を用いて行った。条件は下記に示す条件である。感光体としては積層型有機感光体を使用した。
【0114】
感光体表面電位=−850V
感光体露光時の電位=−50v
DCバイアス =−750V
ACバイアス =Vp−p:1.7kV
交番電界周波数=8kHz
Dsd =500μm
押圧規制力 =10gf/mm
押圧規制棒 =SUS416(磁性ステンレス製)/直径3mm
現像剤層厚 =150μm
現像スリーブ =20mm
先行端濃度差の評価はベタ黒を複写し排紙先端部と後端部の濃度をマクベス社製RD918型濃度測定機で測定し、(先端部の値)−(後端部の値)の値を評価値とした。従って、値が0に近いほど良好といえる。
【0115】
トナー飛散の評価は目視による飛散の確認を行い、以下の4ランクに分類した。
【0116】
A:飛散が全く見られない
B:現像器のスリーブ付近の上蓋にわずかに発生が見られる
C:現像器の上蓋全面に発生が見られる
D:機内のほとんどに飛散が見られる
結果は表2に示す。
【0117】
【表2】
Figure 0003643997
【0118】
表2から明らかなごとく、キャリア1〜9は先行端濃度差、トナー飛散の特性とも良好であるが、比較キャリア1、2は両特性とも問題があることがわかる。
【0119】
【発明の効果】
本発明により、長期にわたって良好な画像を安定して得ることのできる静電潜像現像用のコーティングキャリア用フェライトコア、現像剤用コーティングキャリア、二成分現像剤及び画像形成方法を提供することができる。
【0120】
より具体的にはキャリアのカウンターチャージリーク特性が良好で、先後端濃度差が長期に渡って発生しない、また帯電立ち上がりが良好でカブリやトナー飛散が発生しないキャリア用フェライトコア、現像剤用コーティングキャリア、二成分現像剤、及びそれらを用いた画像形成方法の提供にある。
【図面の簡単な説明】
【図1】非接触現像方式の一例を示す概略図。
【図2】逐次転写方式の一例を示す概略図。
【図3】一括転写方式の一例を示す概略図。
【符号の説明】
1 感光体
2 現像剤担持体
2A 現像スリーブ
2B 磁石
3 二成分現像剤(本発明のトナー含有)
4 現像剤層規制部材
5 現像領域
6 現像剤層
7 交番電界を形成するための電源
11 帯電器
12 現像ユニット
13 クリーニングユニット
14 感光体ドラム
15 転写ドラム
16 搬送ユニット
17 吸着電極
18 転写電極
19 剥離電極
20 除去電極
21 搬送部

Claims (4)

  1. 金属化合物と結着樹脂からなる原料を用い、粉砕、造粒、焼成工程を経てフェライト化させた二成分現像剤のコーティングキャリア用フェライトコアにおいて、焼結後のコアの粉末X線回折スペクトルの5(゜)≧2θ(゜)≧95(゜)の範囲に、前記の原料となる金属化合物の主ピークが存在し、焼結後のコアのX線回折スペクトルデータ中最も高いピーク強度の値▲2▼(counts)と、このデータ中の、原料となる金属化合物の主ピーク位置の強度値▲3▼(counts)が、下式の範囲であることを特徴とするコーティングキャリア用フェライトコア。
    100%≧▲3▼/▲2▼×100≧0.1%
  2. 請求項1記載のコーティングキャリア用フェライトコアに樹脂コーティングしたことを特徴とする二成分現像剤用コーティングキャリア。
  3. 請求項2記載の二成分現像剤用コーティングキャリアと、少なくとも樹脂と着色剤を含有するトナーよりなることをを特徴とする二成分現像剤。
  4. 静電潜像を請求項3記載の二成分現像剤を用いて現像することを特徴とする画像形成方法。
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