JP3643985B2 - 半透膜によって材料を乾燥および/または材料を乾燥に保つ方法 - Google Patents
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Description
本発明は、抽出分離技術、特に生産物を規定した湿潤化溶媒の含量に関して規定した乾燥状態にもたらしおよび/または保つことよりなる乾燥技術に関する。本発明は特に、医薬品、化学、化粧品および農業食品工業において、生産物を濃縮するため、生産物を乾燥するためおよび生産物を乾燥に保つための既存の装置の代替として、固体/液体または液体/液体分離のための新規な膜技術を提供する。
【0002】
本発明をその好適な状況において規定し、記載するため、明白化のため特定の乾燥ケース、すなわち避けなければならないいわゆる湿潤状態に責任ある溶媒の抽出を含む方法に焦点を絞ることがしばしば有用であろう。構造水とは独立に存在する水を取除くことによって生産物を乾燥するための最も安価なそして最も普通の工業的プロセスは、多分攪拌されるオーブンのような、そしてドラム乾燥機またはブレード乾燥機のような熱が供給されるおよび/または真空が適用される容器である。水を昇華させる凍結乾燥システムまたは真空マイクロウェーブシステムのような他のもっと高価な装置も生産物を乾燥するために使用できる。低い融点を持っている生産物の場合、流動床上でそれらを乾燥できる装置が工業で一般的に使用される。
【0003】
しかしながらこれらの装置は長期に亘って過負荷され得る。これは乾燥すべき生産物を装置外部に一定時間放置しなければならないことを意味し、その間溶剤の無意義でない量が環境へ放出される。加えて、これらの装置は保守、クリーニングおよび点検の多数の手段を必要とする。また先立つ作業に比較して実行性、コストおよび遅れに関して最大の問題を引起こす乾燥工程は、乾燥形が生産物が輸送され、販売される主要な形であるため、生産物の製造の終りにおいて必須である。
【0004】
さらに、最も効率的に産業の要求を満たすために、本発明の主題は溶媒による湿潤に感受性の材料を乾燥する方法であり、この方法はエネルギー特に化石エネルギーの供給の必要なしに使用することができ、そして研究室および工業的生産現場の両方において使用することができる利益を特に持っている。
【0005】
この乾燥方法は、有利には前記材料へ接着しない壁領域を有し、そして液状にある前記溶媒の存在下、除去すべき前記材料を湿潤する溶媒の蒸気に対し選択的に透過性のポリマー材料で作られた膜から本質的に構成される覆い中に前記材料を密封することによって前記材料を前記溶媒が存在する周囲の雰囲気から分離することから主に成り、前記膜の選択的透過性は、前記膜の両側間の浸透圧差の結果、前記ポリマー材料中の分子内空間の運動性による、前記ポリマー材料内の前記溶媒の気体分子の泳動によるものであることを特徴とする。
【0006】
実際において、本発明に従う方法はそれ故、連続的で、孔がなくそして非多孔質であるため一体と呼ぶことができるが、それにも拘らず蒸気化されない液体のばらばらにされていない分子と異なって気体状にある分子のように個々の分子を通過させるように設計された半透膜を使用する。そのような膜は、好ましくは本出願と同日に提出され、同じ発明者の名前のフランス特許出願99/10850に関する同日の優先権の利益を有する国際特許出願に記載されたタイプのものである。
【0007】
それ故本発明による方法は、好ましくは該国際出願の内容に従い、半透膜を形成するために使用されるポリマー組成物に関する種々の二次的特徴を含んでいる。特に、有利には連続的で孔も多孔度も持たない膜は、好ましくは前記膜へ機械的強度を与えるハードブロックと、そして前記溶媒の気体分子の場合空白部位の運動性によってそして前記溶媒の分子に対し優先的な親和性を示すことによって膜へ選択的透過性を与えるエラストマーオリゴマー系のソフトブロックから形成された共重合体からつくられる。
【0008】
上記において半透膜が乾燥すべき材料へ接着しない時、これはそれらのそれぞれの表面間に広いスペースを維持すべきことを全く意味しない。一般的には、固体状のブロックまたは粉末形の材料と膜の間には十分な自然のスペースが存在し、そしてペースト状または液状の材料でさえも本発明方法によって処理することができる。
【0009】
本発明が意図する、溶媒による湿潤化に感受性の材料は、乾燥した純粋な材料を得るために除去すべき溶媒を含有する材料か、または既に乾燥状態であるが、しかしもしそれらが感受性である溶媒が存在する周囲の雰囲気から分離しなければ容易に水分を吸収する材料のいずれかに相当する。湿潤化溶媒は必ずしも性質上水性である必要はなく、それ故問題の湿度は水以外の任意の溶媒によってもよいことを指摘しなければならない。
【0010】
本発明による乾燥方法の使用は、湿った材料、すなわち取除かなければならない溶媒によって湿潤化された材料の場合において後で説明される。この方法は少しも実質的な修飾なしに、そして同じ膜の実例の助けにより、任意の溶媒、非水性であるが極性の溶媒にさえも適用されるが、溶媒は水であると想定する。これはそのような溶媒も水蒸気分子と同じタイプの物理化学的親和性のポリマー材料の部分から利益を受けるからである。そのような親和性は、親水性化合物から良く知られているように、ファン・デル・ワールス力を含む極性結合によって得られる。
【0011】
本発明の乾燥方法は浸透に似た現象に基づいている。本発明は、除去すべき湿潤化溶媒の分圧の上昇による浸透タイプの過圧が湿った材料を収容する封筒の内側に形成される事実を利用する。そのような条件下では熱力学の法則が封筒壁両側の蒸気圧が平衡させる。本発明によりそして封筒の内部環境と外部環境の間のこの圧力平衡のため、封筒内側の乾燥すべき材料の上部の溶媒の蒸発と、そして次に封筒の壁を通る湿潤化溶媒の蒸気の拡散および移動によって乾燥が次第に生起する。液体溶液の形の生産物にとっては、密閉シール膜による乾燥は、前記溶媒と接触している膜の内面の直近において溶媒の部分的蒸発が生起し、そして溶媒は多量に存在するため、全体の乾燥速度が相当に改善されることを意味する。
【0012】
湿潤化溶媒の気体分子は膜の厚みを通過する一方向泳動によって拡散すること、すなわち気体分子は熱力学平衡が確立されるまで膜の内側から外側へ向かってのみ泳動することが明らかである。また、封筒内に保持された材料に含まれている溶媒の蒸発は、材料から除去すべき溶媒が外部の温度、圧力および相対湿度条件下で有意な飽和蒸気圧を持つ状態を取らしめることも明らかである。
【0013】
溶媒が蒸発し続けそして溶媒の気体分子が封筒を通って拡散するにつれ、材料は液体溶媒が欠乏し、その結果乾燥する。浸透タイプの過圧は、材料が湿っている限り封筒内側に維持される。熱力学的平衡、すなわち膜の両側において除去すべき溶媒の分圧の平衡に達した時、乾燥は停止する。熱力学的見地から、同じ温度における純粋な溶媒の蒸気の分圧に対する、乾燥すべき生産物上部の問題の溶媒の分圧の比に等しいと定義される除去すべき溶媒の活性は、過圧と共に減少し、次に圧力平衡が確立される時コンスタントであり続ける。
【0014】
上述したところから、封筒内に密封シールされた湿った材料の乾燥は、効果が組合わされた二つの熱力学的現象、すなわち一方では有利には少なくとも固体状態にある時の湿った材料から離れた壁区域の近くにおける乾燥すべき生産物から抽出される溶媒の蒸発と、他方では膜の厚みを通って泳動させる膜内の溶媒蒸気の拡散によって支配されることが明らかである。含まれる現象のため、乾燥は封筒内の溶媒の蒸発速度が膜の厚みを通る拡散速度より速い時はいつでも生起する。しかしながら、拡散速度は乾燥が効果的であるようにあまり遅くないことが望ましい。気体分子は通過すべき膜の厚みが小さければ小さい程速いことはいうまでもない。それ故、この場合封筒の膜層の厚みを変えることによって湿った材料の乾燥速度を制御する方法がある。
【0015】
前述した特許出願から明らかなように、乾燥に使用する半透膜は好ましくは透明であり、または少なくとも半透明であり、そして可視光線またはもっと一般的には太陽光に対して透明性が本発明の二次的特徴に従って本発明の最も多くの実際の適用において有利である。このことは半透膜を有する膜が外側においてそのような光線へ曝露されることを意味する。この見地から一般には、本発明は少なくともその活性部分において半透膜が波長が特に10nmから0.1mまで変動する電磁波、換言すれば紫外線からマイクロウェーブまでの範囲の線に対して透明である半透膜を通って乾燥が行われることを規定する。
【0016】
これは膜を通過した外部光線の閉じ込めにより、膜の内側で乾燥すべき材料を収容する雰囲気を加熱する。
【0017】
これは、活性膜が密封シールされそして光源へ曝露される時、容器内側の温度は通常温室効果と呼ばれるものに似た光線閉じ込め現象によって上昇するからである。入射した電磁線は膜を通過する時そのエネルギーの一部を失い、そのためスペクトルがそれによって変化する。フィルムの内側においては、光線は他の方向に膜を通過することができ、それ故外部へ再発射され、そして膜から反射されることができる光線が内側に閉じ込められて残る。
【0018】
このように閉じ込められた光線は膜によってシールされた雰囲気内の温度を有意に上昇させる。加えて膜自体も暖められる。本発明に従えば、フィルムの組成物へ種々の分子の添加により、フィルムの使用の間そのような閉込め効果を改善することができる成分を添加することが有利である。このため本発明の主題を形成する膜の好ましい具体例によれば、微小シリカ粒子(例えば1nmのオーダー)の添加は、有利にはそれを含むポリマー組成物の2ないし20重量%を含み、膜内側の温度が実質的に上昇し、その結果溶媒の分圧の上昇によって膜を通る拡散によって乾燥速度が実質的に上昇することを許容する。シリカは当業者に既知の慣用方法を使用してポリマーへ添加される。
【0019】
これらの条件下で、本発明は容易に得られ、そして如何なるエネルギー、特に化石エネルギーの排出に対して非汚染的な太陽光の天然エネルギーを使用することによる、乾燥を実施するための安価な手段を提供する。光線閉込め効果の補足的効果は、膜の内部温度の上昇に関連しており、これはマクロ分子鎖の運動性およびそれ故膜を通る気体分子の拡散を増強するからである。
【0020】
すべての場合、溶媒の蒸発および蒸気相にある溶媒分子の泳動は、乾燥すべき生産物の上部の膜内側の雰囲気内に存在する単位体積あたりの質量で表した溶媒の量が、膜外側の単位体積あたりの溶媒の量よりも大であり続け、膜を通って分子を泳動させる熱力学的再平衡を起こさせ続ける限り継続する。ここでは膜内側の温度が高ければ高い程、乾燥すべき生産物の上の溶媒が一層多く蒸発する傾向にあり、それ故膜を通る分子の泳動が一層速くなることが明瞭に理解されるであろう。
【0021】
問題の現象の実際を制限するつもりはないが、膜の作動および蒸気に対するその選択的透過性は、共重合した材料のマクロ分子鎖の本来の構造により膜層を直接通過するこれら蒸気の排他的移動によって説明することができる。蒸気の移動は後で説明するように詳細に解析することができる作動モードに従って、膜の厚みを通る蒸気分子の泳動によって行われる。
【0022】
気体分子の泳動による移動は、実際の共重合材料中に顕微鏡的スケールで全体で自由体積と呼ばれるものを構成する分子内空間または空いた部位の存在によって可能とされる。これは、ポリマー材料中でポリマーによって占められる全体積は、もしポリマーが凝縮したならばポリマーが占める体積に相当する第1の体積と、そしてポリマーによって占領されていない空間に相当しそして自由体積として知られる第2の体積とからなるためである。
【0023】
本発明に従えば、ポリマー材料の厚みを通る気体分子の選択的泳動を許容するが、しかし液状の同じ溶媒を排除する空白部位の能力は、好ましくはソフトブロックにより、有利には小さくそしてそのため材料中の空白部位を通って自由に泳動することができる溶媒の気体分子に対して選択的な化学的親和性を示すように膜のポリマーをつくることによって実現される。
【0024】
それ故本発明に従った方法を最適に使用するためには、半透膜が前記分子と物理化学的な相互作用を確立することができ、そして利用できる自由体積の十分な量を持つことを要し、この目的のため空白部位は蒸気分子を受入れ、そしてそれを膜の全体厚みを通って駆動するに十分に大きくそして運動性であることを要する。
【0025】
この空白部位のサイズは有利には1オングストーム(10-10 m)のオーダーであり、それによって解離した分子のみが数十ミクロンのオーダーの厚みの膜の厚みを通って泳動によって移動することを可能にするサイズであることを指摘しなければならない。個別化されていない液体分子は空白部位を介して膜を通過することができない。
【0026】
本発明の好ましい実施態様において、ポリマー材料は材料に機械的強度を与えるむしろ結晶性のハードブロックと、空白部位の運動性により溶媒蒸気へ透過性を与えるソフトブロックから形成される共重合体である。ソフトブロックの化学的性格は、ソフトブロックが材料の他の成分と相互作用する可能性なしに、溶媒気体分子に対し選択的透過性を示すように選定される。
【0027】
本発明方法によって乾燥すべき材料を収容するのに適した半透膜フィルムを製造するため、ポリマー膜は、有利には形成されたフィルムの中間層の形の接着剤を使用しまたは使用することなく接着によって膜と一体化された機械的補強支持層と複合化することができる。この支持層は特に織物材料または類似物製、特に不織繊維製であることができ、これらの性格は膜の性質を妨害しないように選択される。そのような不織布は例えばポリプロピレン樹脂またはポリエステル樹脂の繊維を基にしている。
【0028】
不織布は補強材または支持層として作用し、特に重量によるソフトブロックの高い割合のため非常に機械的に弱い膜からフィルムが本質的になる時、封筒の機械的強度を増強する。半透過性活性膜をそれを挟むいくつかの補強層と組合せることを排除するものではない。
【0029】
不織布の透過性に基づく同様な支持層は、紙のような他の材料からつくることができる。特に食品包装を意図した材料が選ばれ、これらは有利には50,000ないし100,000g/m2 /24hrの水透過性と、26g/m2 ないし100g/m2 の坪量を有する。これらは乾燥速度を増加させる温室効果を維持するため可視光に対して透明である。
【0030】
特定の用途に対して特異的な状況に応じて、単層の唯一の成分をなすのに十分に厚くそして強いポリマー膜を選ぶことが好ましく、この場合には使用時点で例えば微小多孔シートの上に膜を支持させることができる。勿論、どの時でも膜の半透過性を低下させない支持層を選ぶことが必要である。これを行うため、前記支持層を構成する材料は開放ネットワーク構造を持つことが有利である。また、支持層へ膜を固着する前に、支持層の材料の化学的組成が膜の組成と適合性であり、膜と支持層の間の接着が容易化されることを確かにすることが必要である。本発明の乾燥方法を実施するに適した多層フィルムは、有利には膜の厚みが制御される適切なポリマーの熱カレンダー掛けによって製造される。
【0031】
ハードブロックとソフトブロックから形成した共重合体の膜に関し、ポリマー材料の中の鎖単位の各自の割合が膜の透過性を決定する。膜を通る気体分子泳動の実現性について上で述べたところより、性格上本来的に親水性なポリマー材料、すなわちソフトブロックが親水性オリゴマーでありそしてハードブロックに比して官能的に支配的割合にあるポリマー材料が本質的に水蒸気の移動を許容することが理解されるであろう。しかしながら親水性は極性基の存在の直接の結果であるから、前記親水性オリゴマーは極性有機溶媒とも極性タイプの相互作用を確立することができ、そして本発明方法は水、または有機合成にしばしば採用されるメタノール、エタノールおよびアセトンのような挙動が似ている他の極性溶媒によって湿潤化された材料の乾燥も可能にする。
【0032】
これらの条件下ポリ(エーテル−ブロック−アミド)タイプのポリマーが本発明に従った乾燥方法を実施するのに特に適していることがわかった。ポリ(エーテル−ブロック−アミド)は、そのマクロ分子鎖がソフトブロックを代表するポリエーテルブロックと、次々に一体に連結されたハードブロックを代表するポリアミドブロックよりなるブロックコポリマーである。そのようなコポリマーはジカルボキシル鎖末端を有するポリアミドオリゴマー鎖と、ポリエーテルジオールオリゴマー鎖との重縮合から得られる。一つの特定のポリ(エーテル−ブロック−アミド)は、単一タイプのポリアミドブロックと、単一タイプのポリエーテルブロックを含む。特に本発明の環境において、有利にはPA−12と呼ばれるナイロン12(−(CH2 )11−CO−NH)n −)と、そしてPEGと呼ばれるポリエチレングリコール(−(O−(CH2 )2 −)n −)、またはPTMGと呼ばれるポリテトラメチレングリコール(−(−O−(CH2 )4 −)n −)のどちらから形成されたポリエーテルブロックが使用される。
【0033】
このようにポリ(エーテル−ブロック−アミド)系の膜である特定の場合に焦点をあて、水、水性溶媒または同様な極性挙動を有する有機溶媒に関する膜の選択透過性の非限定的な機能的説明を以下に提供する。
【0034】
ポリ(エーテル−ブロック−アミド)のPA−12ブロックは結晶性でそしてむしろ疎水性である。本質的にそれらは極性溶媒に対し反発効果を持っている。一方それらはら膜が意図する工業的使用に耐えられるのに必要な機械的性質を与える。対照的に、ポリエーテルブロックは無定形でむしろ親水性である。それ故それらは気相にある分子に対して選択的に透過性である膜内において、マクロ分子鎖との特異的物理化学的相互作用に極性吸引力によってそれ自身を提供する分子に対する選択的親和性を持つ。それ故拡散する極性分子とのそれらの親和性のため利用できる空間部位を介して水蒸気および極性溶媒の蒸気の移動を許容するのはポリエーテルブロックである。
【0035】
ポリ(エーテル−ブロック−アミド)の特定の場合においては、ポリエーテルブロックのエーテル官能基は膜のマクロ分子鎖へ酸素原子のまわりの追加的回転を与える。ポリエーテルブロックの酸素原子によって提供されるこの鎖の運動性は利用可能な自由体積の大きい量、従って膜のより大きい透過性をつくり出す。
【0036】
ポリエーテルブロックおよびPA−12ブロックの数平均分子量は、膜の透過能力を最適にするためにあまり高くないように選定される。これは分子量が減少する時利用できる自由体積の量が増加するからである。PA−12ブロックの数平均分子量は有利には1,500ないし5,000であり、ポリエーテルブロックのそれは650ないし2,000である。
【0037】
ポリアミドおよびポリエーテルブロック各自の割合は、性質上本質的に親水性である材料が得られるように選定される。有利には、この方法の実施に使用されるポリ(エーテル−ブロック−アミド)はポリエーテルブロック30ないし60重量%と、ポリアミドブロック70ないし40重量%を含む。
【0038】
もっと一般的にいえば、本発明に従い、膜の材料のポリマー組成物はそれらが持つ親水性親和力を持つ部位によって特徴付けられる支配的なソフトオリゴマーブロックと、その特異的挙動はむしろ疎水性であるハードオリゴマーブロックの少割合量よりなることが好ましいとここではいうことができる。
【0039】
ここで読者に、ポリエーテルブロックの量が多くなればなる程乾燥速度が速くなることを再び思い出させることは不必要である。さらに、それらの4個のCH2 基のためPTMGはPEGより極性が低く、それ故水または極性溶媒で湿潤した材料の乾燥速度は、ポリ(エーテル−ブロック−アミド)のポリエーテルブロックがPTMGである時はより遅い。溶媒の残留量を残さなければならない生産物に対しては、それ故ポリエーテルブロックとしてPTMGを使用するのが好ましい。しかしながらこれは本発明の主題を形成する方法の実施方法を少しも制限するものではない。
【0040】
例示のため直前に記載した膜は水または同様な挙動を示す極性溶媒を含んでいる材料の乾燥に最も特に適しているが、もし材料が非極性種類の湿潤溶媒を含んでいても本発明方法の範囲外ではないことを強調すべきである。この場合、代りに非極性溶媒の気体分子と選択的親和性を示すように、疎水性種類の膜、例えばポリオレフィンよりなる膜を提供することが必要であろう。
【0041】
本発明による方法を実施するために使用する膜の化学的組成がどのようであれ、膜は連続的であるように選ばれる。すなわちそれは微細孔を持たず、それ故バクテリアおよび微生物に対して非透過性である。任意にそれは滅菌される。滅菌はオートクレーブ滅菌(120℃)、β線もしくはα線により、またはエチレンオキサイドによるような標準的滅菌技術によって実施することができる。前滅菌した膜の使用は材料を無菌環境に保つことを許容する。勿論膜は除去すべき溶媒に対し化学的に不活性である。その性質はまた少なくとも80℃までの温度において数時間耐えることを許容し、任意に材料を収容した封筒をオーブンに入れることを許容する。オーブンによって供給される熱は乾燥作業をスピードアップする。この場合オーブンを清浄にし、二つの乾燥作業の間に空にする必要はない。
【0042】
膜の厚みは、蒸気の泳動があまり遅くないように選ばれる。実際には、フィルムが一般に可撓性でそして巻取ることができるように、厚みは2μmより大きいがしかし1,000μmより小さい。好ましくは半透膜の実際の厚みは10ないし100μm,有利には10ないし60μmである。
【0043】
有利には、膜は水蒸気透過度7,000ないし20,000g/m2 /24h(38℃および50%RHにおいてASTM E 36 B標準による)、酸素透過度6,500ないし18,500cm2 /m2 /24h/barおよび二酸化炭素透過度72,000ないし177,000cm2 /m2 /24h/barを有する。膜は1.02ないし1.07g/cm3 の密度と、25ないし75のショアD硬度を有する。破断延びは約365%であり、破断荷重は3.9daN/mm2 に近い。
【0044】
本発明方法の有利な特徴に従えば、一旦乾燥した材料はもしそれを密閉シールした封筒の内側に保存すれば水分を吸収しない。これは上で説明したように、一旦熱力学的平衡に達すればさらなる蒸気移動がポリマー膜の厚みを通って起こることができないからである。膜は液体にも不透過性であるから、生産物が水分を吸収することができない。このことはそれ故材料が乾燥であり続けることを確実にする。もし乾燥しているがしかし空気中の水分に対して特に感受性の材料が上に記載した特徴を有する膜からなる密閉シールした封筒に入れられるならば、材料は乾燥であり続ける。それ故乾燥しているがしかし湿潤に感受性の材料を前記封筒に入れることは湿潤を防止する処理を構成することが明らかである。
【0045】
有利には、乾燥すべき材料を収容する封筒は、標準的貯蔵または製造現場においてシールシステムに閉じ込める平坦フィルムの形か、または研究室で生産物を乾燥するために特に適した密閉シールしたバッグの形である。バッグはヒートシーリング、超音波シーリングまたは接着剤手段のようなそれ自体既知の手段によって密閉シールされる。他の場合においては、ロールから展開することができる平坦フィルムの形の封筒が屋外の植物をカバーするトンネルとして配置される。乾燥すべき材料は膜の内側の囲まれた空間のベースをなす不透過性または透過性フィルム上のトンネル内に配置することができる。それらは前記フィルムの上に横たえられる格子または野菜用の小さいゲージ上に置くこともできる。全体のアセンブリは任意に支持層と複合化された膜でカバーされる。膜を土の中へ押し込むことによって膜の縁に沿った十分のシールが実施される。
【0046】
乾燥の速度および程度を増強するため、乾燥すべき材料は格子の上に横たえることによって膜の活性表面を増加させることができる。同じ理由で乾燥すべき材料は有利には小さい結晶または粒子の形に砕いた形にある。数mmより大きい寸法を有するブロックの形の固体材料に対しては、それらを封筒に包装する前に粉砕するのが有利である。
【0047】
本発明は、固体生産物、ペースト状または粉末状生産物および液状生産物の乾燥に適している。本発明によって意図されるペースト状または粉末状生産物は、医薬品粉末、チキソトロピー性物質のような特定の固体化学薬品、および農業、動物または植物起源の生物学的材料である。本発明方法によって乾燥および乾燥に保つことができる固体生産物は、例えば機械的および電子的物体、法律的手続において確証を得るために使用される物品、および衣類または家庭洗濯物のような織物を挙げることができる。液体溶液を構成する生産物に関し、この乾燥処理は、湿った材料が主として固体として留まる生産物と同様な態様で溶液の濃度の上昇をもたらす。血液、フルーツジュース、ワイン、ミルク、または農場汚物廃棄物のような液状廃棄物のような液体を本発明方法によって濃縮することができる。
【0048】
本発明の変法に従えば、この方法は固体/液体分離のみでなく、液体/液体分離にも使用される。その時は化学的性格の異なる少なくとも2種の液体から形成された液体混合物に含まれる液体を選択的に分離する問題である。この分離は固体/液体分離と同じ、すなわち液体溶媒の蒸発と続いて除去すべき前記溶媒に対して選択的親和性を示す膜を通る対応する蒸気の拡散を基にしている。混合物の液体の一方は膜の化学的組成物と適合性であり、それ故ここで考慮される好ましい実施例の場合は性格上親水性であるが、他方は該組成物と相対的に不適合性であり、それ故同じ条件下で性格上疎水性である。膜は、膜の厚みを通って蒸気化した分子の泳動を容易化する化学的相互作用を膜が確立する適合性溶媒の蒸気に対し選択的に透過性である。膜のポリマーと相互作用しないいわゆる不適合性溶媒は適合性溶媒から次第に取除かれ、そのためそれが純粋になるまで高濃縮される。
【0049】
本発明の第1の利益は、ポリマー膜がそれに収容される生産物を外部環境からの攻撃を保護する事実にある。特に、膜は発生する交差汚染のリスクを防止し、そして微生物が封筒へ侵入することを防止することによって非常に安価な無菌乾燥を許容する。
【0050】
本発明の他の一利益は、壊れ易い生産物の乾燥または乾燥困難な製品の乾燥が最適であるという事実にある。これは、40℃以下の融点を有する化学薬品、および蛋白質または天然物質およびエキスのような高温に感受性の生産物の場合、この乾燥方法は変性を避けるからである。
【0051】
他の一利益は、本発明方法は他の技術によって部分的に乾燥した生産物を単に環境温度および圧力に放置された密閉シールしたバッグに包装することにより、完全に乾燥することを可能にする事実にある。
【0052】
他の一利益は、本発明方法によって乾燥した生産物は吸湿性生産物であっても、本質的に親水性の材料でつくられた封筒にそれらを密閉シールする時、環境温度および圧力において水分を吸収しない事実にある。
【0053】
本発明の他の一利益は、オペレーターに対して毒性の危険を排除する事実にある。これは、乾燥すべき生産物が密閉シールした封筒に入れられるから、オペレーターはもはや毒性のまたは潜在的に毒性の物質と接触しないためである。
【0054】
最後に本発明の他の一利益は、空気清浄化した閉鎖チャンバー内で生産物を冷時乾燥し、気体排出物が大気へ放出されるときのような溶媒による環境汚染を回避する可能性である。
【0055】
本発明は、この方法の実施および適用の特定の実施例の状況において記載されるであろう。
【0056】
実施例1
水79%を含有する吸湿性顆粒を簡単な粉砕によって粉末へ粉砕した。次のこの粉末100gを全表面積962cm2 の二つの別の封筒に入れた。使用した封筒は、PTMGブロック40重量%とPA−12ブロック60重量%よりなるポリ(エーテル−ブロック−アミド)系のポリマーから形成した半透膜から構成されていた。封筒の壁厚は25μmであった。各封筒をヒートシールし、バッグを得た。空気中へ放置した粉末を収容した平坦な容器を対照として使用した。
【0057】
バッグ中の標本は一方では室温で棚に置き、他方では50℃のオーブン中へ入れた。
【0058】
対照物質と、室温および50℃における封筒に入れた顆粒の乾燥速度を70時間にわたってモニターした。対照標本の重量は変化しなかったことが見られた。対照的に、二つの封筒の各自に収容した生産物の場合、重量損失は有意であった。時間の関数としての重量損失の変化は二つの封筒の各自について実質上同じであったが、乾燥の程度は封筒をオーブンに入れた時に良好であった。
【0059】
二つの封筒の各自について、50時間後生産物の重量は多く変化しなかった。70時間後、オーブンへ入れた封筒へ入れた生産物の重量は20gであったが、室温に放置した封筒へ入れた場合は35gであった。
【0060】
実施例2
リグニン分を殆ど含まない植物を冷たい雨の天候において収穫した。粗大にカットしたこの植物の標本175gを密閉シールした封筒に拡げた。封筒の全表面積は1,500cm2 であった。使用した封筒はPTMGブロック40重量%と、PA−12ブロック60重量%よりなるポリ(エーテル−ブロック−アミド)系ポリマーから形成した半透膜から構成されていた。封筒の壁厚は25μmであった。対照として食品冷凍用のバッグを使用した。
【0061】
封筒および冷凍バッグを機械的換気なしに室へ懸吊した。温度は約19℃に保ち、相対湿度は70%であった。
【0062】
対照バッグの内表面に水滴が早期に形成された。標本上に4日目から褐色の菌が発生し、その後全体を侵略した。テスト終りにバッグを開いた時発酵臭が放出された。対照バッグの重量をテスト期間中規則的に計量し、そして重量変化は観察されなかった。
【0063】
封筒へ入れた標本は異なった挙動を示した。植物は緑色を保ち、そしてテストの間乾燥した植物に特徴的な臭気を与えた。封筒を開いた時、植物は人の指によって細々に砕けた。
【0064】
乾燥速度を測定するため規則的に封筒の重量を測った。水分の損失は植物を封筒に入れてすぐ認められた。4日後、植物標本の重量は90gであった。6日後、重量損失は少なかった。10日後までに、標本の重量は55g以下で、含有する水分は完全になかった。
【0065】
実施例3
40℃近くの融点を有し、水20%を含む化学物質を密閉シールした封筒へ入れた。封筒はPTMGブロック40重量%と、PA−12ブロック60重量%とからなるポリ(エーテル−ブロック−アミド)系のポリマー材料でつくった半透膜で構成されていた。封筒の壁厚は25μmであり、封筒の全表面積は2,184cm2 であった。化学薬品はポリ(エーテル−ブロック−アミド)との物理化学的相互作用を受けなかった。乾燥効率を比較するため、生産物を40℃のオーブン中の開いた平坦容器へも入れた。
【0066】
これらの条件下、生産物は昇華し、乾燥の終りにおいて観察された損失は全質量の15%であった。
【0067】
封筒に入れた生産物の乾燥の場合には、生産物は封筒の内側で昇華したが、その蒸気は乾燥すべき生産物のポリ(エーテル−ブロック−アミド)との化学的不適合性のため膜を通過しなかった。水蒸気分子のみが壁を通って拡散した。この乾燥相の計算効率は99.5%近くであった。
【0068】
実施例4
土の上に直接置いた新鮮なカットした薬用植物をフィルムを形成するポリエステル不織布と組合せた半透膜によってカバーした。膜はPA−12ブロック50重量%とPEGブロック50重量%よりなるポリ(エーテル−ブロック−アミド)系であった。活性膜の厚みは18μmであった。不織布の坪量は30g/m2 であり、その厚みは0.13mmであった。ASTM E 96B標準(38℃および50%RHにおいて)に記載の方法を使用して測定したこのフィルムの水蒸気透過度は24,000g/m2 /24hrであった。
【0069】
土によるフィルムの側部および縁に沿ったシーリングが開放空気中に構築したトンネルを閉閉シールするように実施された。このようにカバーされた植物はエネルギー、特に化石エネルギーを少しも供給することなく乾燥した。植物の品質は熱空気で乾燥した対照標本と同様であった。
【0070】
実施例5
可撓性の微小孔あけした坪量43g/m2 を持つポリエチレンフィルムへ複合化した半透膜によって形成した封筒内へ古い衣類を入れた。半透膜はPA−12ブロック50重量%とPEGブロック50重量%よりなるポリ(エーテル−ブロック−アミド)系であった。その厚みは25μmであった。ASTM E 96B標準(38℃および50%RHにおいて)に記載の方法を使用して測定したこの複合膜の水蒸気透過度は200g/m2 /24hrであった。
【0071】
衣服は、もしそれらが湿りすぎているかまたは十分に湿っていなくても繊維に損傷的であればカビの生育の出現を避けるために、45ないし55%の水分に維持しなければならなかった。
【0072】
古い衣類は、衣服の保存に対する半透膜の影響を検討するために、18g/m2 /24hrの水蒸気透過度を有する単なるポリエチレンカバー中へも入れられた。
【0073】
衣服を複合化膜によって保護した時、たとえもし外部の相対湿度が100%近くであってもそれらの外観は不変であったが、同じ条件下で単なるポリエチレンカバーで保護した衣類は湿気を吸収し、カビが生育し、次第に劣化されることが観察された。
【0074】
勿論そして既に上の結果から明らかなように、本発明はその好ましい実施態様において例証するために選んだ実施例に関し規定した条件または大きさに制限されない。
Claims (11)
- 溶媒による湿潤化に感受性の材料を乾燥および/または前記材料を乾燥状態に保つ方法であって、液状の前記溶媒の存在下前記材料を湿潤化する該溶媒の蒸気に対し、選択的に透過性のポリマー材料製の半透膜から本質的になる覆いの中に前記材料を密封することによって前記溶媒が存在する周囲の雰囲気から分離することからなり、前記膜の選択的透過性は、前記膜の両側間の浸透圧差の結果、前記ポリマー材料中の分子内空間部位の運動性による、前記ポリマー材料内の前記溶媒の気体分子の泳動によるものであり、前記膜は連続的で非多孔質であり、そして前記膜に機械的強度を与えるハードブロックと、そして前記溶媒の気体分子に対し前記空間部位の運動性と、前記溶媒分子に対する優先的親和性の発揮によって前記膜に選択的透過性を与えるエラストマーオリゴマーのソフトブロックから形成された共重合体からつくられていることを特徴とする乾燥方法。
- 前記ソフトブロックは極性結合の形成によって前記溶媒の気体分子に対する親和性を提供する親水性部位を有し、そして前記ソフトブロックはハードブロックに比較して官能的に支配的比率にあり、そのため前記膜が水蒸気または同様な挙動を示す極性溶媒の蒸気に対し選択的に透過性であるように性質上全体として親水性であることを特徴とする請求項1の乾燥方法。
- 前記膜はその活性領域において2ないし1,000μmの厚みを有することを特徴とする請求項1又は2の乾燥方法。
- 前記膜はその活性領域において10ないし100μmの厚みを有することを特徴とする請求項1又は2の乾燥方法。
- ポリマー膜は機械的に補強する支持層へ固着されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの乾燥方法。
- 前記覆いは固体状態にある前記材料へ接着しない壁区域を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかの乾燥方法。
- 前記覆いは、乾燥速度が温室効果の確立によって改善されるように、外部から曝露される光線に対し透明または少なくとも半透明であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかの乾燥方法。
- 液状にある前記溶媒の溶液の濃縮に適用される請求項1ないし7のいずれかの乾燥方法。
- 前記ポリマー膜を構成する材料は、ポリアミド系ハードブロックと、親水性部位を有するポリエーテル系ソフトブロックを有するポリ(エーテル−ブロック−アミド)共重合体であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかの乾燥方法。
- 乾燥すべき材料は、平たいフィルムで密封システムに覆うか、またはバッグに密閉して包装され、該フィルムおよびバッグは任意に少なくとも一つの支持層に複合化された半透過性ポリマー膜から本質的に形成されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかの乾燥方法。
- 前記材料が固体状にある時、材料は格子の上に置かれるかおよび/または粉砕した形で提供されることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかの乾燥方法。
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