JP3642138B2 - サーマルプリンタ - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、レシート発行機等の携帯用電子機器に用いられる小型のラインサーマルプリンタに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、レシート発行機等の携帯用電子機器においては、小型のラインサーマルプリンタが広く用いられている。
【０００３】
この種のサーマルプリンタの場合、持ち運びが容易である必要があることから、小型かつ軽量のものが望まれている。
【０００４】
このため、従来、本体フレームは、薄板鋼板等の金属から形成されてはいるが、記録紙をプラテンローラとサーマルヘッドとの印字部へ案内するためのプラスチック材料からなる紙案内部が装着されている（例えば、特開平４−１４０１７５号公報参照）。
【０００５】
このようなサーマルプリンタ１０１においては、例えば、図６に示すように、プラスチック材料からなる本体フレーム１０２にプラテンローラ１０４とヘッド支持部１０３が設けられ、このヘッド支持部１０３のプラテンローラ１０４側にサーマルヘッド１３０を装着して感熱記録紙１００を挟むとともに、ねじりコイルばね１０７によってヘッド支持部１０３のサーマルヘッド１３０をプラテンローラ１０４に押圧することにより、感熱記録紙１００に所定の印字を行うようにしている。
【０００６】
他の従来技術として、本体フレームと紙案内部とを例えばポリカーボネート等のプラスチック材料を用いて一体に構成するものであった。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のサーマルプリンタにおいては、次のような問題があった。
【０００８】
すなわち、従来のサーマルプリンタの場合、プラスチック材料を用いて紙案内部１２１を構成しているため感熱記録紙が帯電した場合に放電できなく、スパーク等によってサーマルヘッドが破壊される場合がある。
【０００９】
更には、その紙案内部１２１にも帯電されるため、サーマルヘッドの近傍まで記録紙を案内することができなく、記録紙の挿入性が悪いという問題がある。
【００１０】
また、プラテン１０４は、それを駆動する歯車等からプリンタの底部から離れて配置されるために本体フレーム１０２から紙案内部１２１を形成することができなく、よって、紙案内部を別部材で形成するので、部品点数が増えてコストアップの原因となる。
【００１１】
たとえ、本体フレームから紙案内部を形成したとしても、プラテンローラにおける感熱記録紙の巻付角を大きくすることが困難で、紙送り能力があまり良くないという問題もある。
【００１２】
さらにまた、他の従来例のように本体フレームもプラスチック材料である場合、剛性を大きくするためにはフレームの厚みを厚くしなければならず、その結果、小型化を十分に図ることができなかった。
【００１３】
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、静電気を発生させることなく、しかも、プラテンローラに対する感熱記録紙の巻付角を大きくしうるサーマルプリンタを提供することにある。
【００１４】
また、本発明の他の目的は、部品点数が少なく、小型かつ軽量のサーマルプリンタを提供することにある。
【００１５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明のサーマルプリンタは、印字位置において記録紙を挟持するサーマルヘッドとプラテンローラの少なくとも一方を支持する金属製の本体フレームと、前記記録紙を前記印字位置に案内する紙案内部とを備えたサーマルプリンタにおいて、少なくとも前記印字位置近傍部分の紙案内部を前記プラテンローラ側に湾曲させて前記プラテンローラの形状に沿った導入部を形成すると共に、前記本体フレームと一体に形成されたことを特徴とする。
【００１６】
上記構成によれば、記録紙を印字位置へ案内する紙案内部を金属からなる本体フレームと一体に形成したので、記録紙が帯電した場合であってもこれを介して静電気が逃がされ、紙案内部は帯電することはない。その結果、紙案内部の印字位置近傍とサーマルヘッドとの間に火花は発生せず、これを印字位置の近傍に配置することができるようになる。
【００１７】
しかも、本発明の場合は、紙案内部の材料にプラスチック材料を用いていないので、その厚みを薄く構成できるとともに、紙案内部が本体フレームに一体的に形成されていることから、部品点数を削減することができる。
【００１８】
また、紙案内部は、記録紙が挿入される位置に本体フレームと一体に形成されたものであって略紙幅に渡り上方へ折り曲げられ記録紙が摺接する曲げ起こし部を備えていることを特徴とする。
【００１９】
この場合、記録紙と接触する曲げ起こし部をフレームと一体に形成すれば、記録紙に生じた静電気がこの曲げ起こし部を介して逃がされるため、記録紙の帯電を防止することができる。
【００２０】
また、この曲げ起こし部によってプラテンローラに対する記録紙の巻付角を大きくすることができ、しかも、この曲げ起こし部により紙案内部と記録紙との接触面積が小さい状態にあるため、記録紙が湿気を帯びた場合等であっても、走行負荷が増大することはない。
【００２１】
更には、紙案内部は、記録紙の幅方向の両端において、本体フレームの底部に対してプラテンローラに接近するように段差を設けて形成されていることを特徴とする。
【００２２】
上記構成によれば、紙案内部を大きく加工することなく、容易にプラテンローラに沿った形状が得られるとともに、所望の高さを有する曲げ起こし部が得られる。
【００２３】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るサーマルプリンタの好ましい実施の形態を図１〜図５を参照して詳細に説明する。
【００２４】
図１は、本実施の形態のサーマルプリンタの全体構成を示す平面図であり、図２は、印字部分の構成を示す側面図で、レバー部材を倒してサーマルヘッドがプラテンローラを押圧した状態を示すもの、図３は、印字部分の構成を示す側面図で、レバー部材を引き起こしてサーマルヘッドがプラテンローラから離間した状態を示すもの、図４は、駆動部分の構成を示す側面図、図５はレバー部材の近傍を示す側面図、図６は、従来のサーマルプリンタの構成を示す側面図である。
【００２５】
図１に示すように、本実施の形態のサーマルプリンタ１は、例えば、ステンレス等の金属からなる本体フレーム２を有し、この本体フレーム２に、印字部３、プラテンローラ４及びプラテンローラ４を駆動するための駆動モータ５が取り付けられる。
【００２６】
本体フレーム２は、底部２ｃと一対の側壁部２ａ、２ｂとが板金加工により折り曲げられて形成されている。そして、本体フレーム２の後部側に後述する紙案内部２１が形成されている。
【００２７】
印字部３は、サーマルヘッド３０と固定板３１とから構成される。サーマルヘッド３０の表面には所定の電極が形成され、この電極は図示しない回路基板に接続されている。そして、サーマルヘッド３０は、例えば、軟鉄板等の金属からなる長尺の平板状の固定板３１に固定されている。
【００２８】
固定板３１は、その両端部に腕部３１ａ、３１ｂが本体フレーム２の内側の幅とほぼ等しい幅で折り曲げられて形成されている。そして、これらの腕部３１ａ、３１ｂは、本体フレーム２の両側部にプラテンローラ４と平行に掛け渡された支軸６に回動自在に取り付けられる。さらに、この支軸６には、サーマルヘッド３０がプラテンローラ４を押圧するためのねじりコイルばね７が装着される。この場合、図１に示すように、ねじりコイルばね７には、中間部に略コ字状の係合部７ａの両側にばね部７ｂ、７ｃが形成されている。そして、支軸６がねじりコイルばね７を突き抜けるように構成され、その腕部７ｄ、７ｅが固定板３１に付勢されるとともに、係合部７ａが、本体フレーム２の底部２ｃに設けた支持部２ｄに付勢係止される。これにより、サーマルヘッド３０が上方から底部２ｃに向ってプラテンローラ４に押圧される構成となっている。
【００２９】
また、固定板３１のレバー部材８側の端部には、レバー部材８のガイド部８０と係合して固定板３１を引き起こすための突出部３１ｃが一体的に形成されている。この突出部３１ｃは、本体フレーム２の一方の側壁部２ｂから突出するように舌片状の部分が形成され、この舌片状の部分が、サーマルヘッド３０の固定側と反対側に折り曲げられて形成される。
【００３０】
一方、プラテンローラ４は、プラテン軸受４１ａ、４１ｂを介して本体フレーム２の両側壁部２ａ、２ｂに回動自在に取り付けられる。そして、図１及び図４に示すように、プラテンローラ４のプラテン軸４０の一方の端部に固定した歯車９に対し、歯車１０、１１、１２を介して駆動モータ５の回転軸５０のトルクが伝達されるように構成される。なお、駆動モータ５は、リード線５１及びコネクタ５２を介して図示しない回路基板に接続されている。
【００３１】
プラテンローラ４の他方の端部には、プラテンローラ４に対するサーマルヘッド３０の押圧又は解除を切り換えるためのレバー部材８が回動自在に取り付けられている。このレバー部材８は、例えばポリカーボネート等の樹脂からなり、その回動中心の近傍にガイド部８０が形成されている。このガイド部８０は、略円弧形状にであって、レバー部材８の把持部８１に向ってその回動中心から徐々に離れるような径のガイド面を有している。そして、図５に示すように、レバー部材８を倒した状態において、ガイド部８０のガイド面８０ａと固定板３１の突出部３１ｃとの間に若干の隙間が形成されるように構成される。さらに、ガイド部８０の把持部８１側の端部には、固定板３１の突出部３１ｃと係合する凹部８０ｂが形成されている。
【００３２】
本体フレーム２の底部２ｃの後部側には、感熱記録紙が円筒状に巻かれたロール紙Ｓをサーマルヘッド３０とプラテンローラ４との当接位置へに導くための紙案内部２１が底部２ｃの一部分を湾曲させて形成されている。
【００３３】
紙案内部２１をプラテンローラ４側に湾曲させることによってプラテンローラ４の形状に沿った導入部２１ａが形成されている。この場合、導入部２１ａの端部２１ｃがサーマルヘッド３０とプラテンローラ４との当接部、すなわち、印字位置近傍まで入り込むように構成されている。
【００３４】
一方、図１に示すように、紙案内部２１の後方側の端部には、その両側部分に溝部２４、２５が形成され、これらの溝部２４、２５によって挟まれた部分に、プラテンローラ４側に突出するように曲げ起こし部２１ｂが形成されている。この曲げ起こし部２１ｂは、プラテンローラ４とほぼ平行、すなわち、ロール紙Ｓの幅方向に延びるとともに、例えば曲げ加工によって横断面が略山形状に形成され、フレーム側壁部２ａ、２ｂの幅はロール紙Ｓの幅より若干大きい寸法を有している。
【００３５】
さらに、これらの導入部２１ａ及び２１ｂを有する紙案内部２１は、例えば、絞り加工によって若干底上げがなされている。すなわち、紙案内部２１は、プラテンローラ４側に接近するように底部２ｃに対して段差を設けて形成されている。
【００３６】
また、図２に示すように、曲げ起こし部２１ｂの頂部はプラテンローラ４の下部に対してほぼ同じ高さを有するように形成されている。
【００３７】
このような構成を有する本実施の形態において、ロール紙Ｓを装填する場合には、レバー部材８の把持部８１を指で掴んでこれを引き起こす。その結果、レバー部材８のガイド部８０のガイド面８０ａと固定板３１の突出部３１ｃとが当接し、レバー部材８の回動に伴って固定板３１が引き起こされ、サーマルヘッド３０のプラテンローラ４に対する押圧が解除される。そして、更にレバー部材８を引き起こすと、固定板３１の突出部３１ｃがレバー部材８のガイド部８０の凹部８０ｂに係合し、図３に示すように、本体フレーム２の底部２ｃに対してレバー部材８の把持部８１が起立した状態でレバー部材８が係止される。そして、この状態において、プラテンローラ４と紙案内部２１の導入部２１ａとの間にロール紙Ｓの先端部を紙案内部２１の後方側から挿入する。
【００３８】
一方、ロール紙Ｓに印字を行う場合には、レバー部材８の把持部８１を掴んでこれを後方側へ倒す。その結果、固定板３１の突出部３１ｃとレバー部材８のガイド部８０の凹部８０ｂとの係合が解除され、図２に示すように、ねじりコイルばね７の付勢力によって固定板３１がプラテンローラ４上のロール紙Ｓに押圧される。そして、この状態において、サーマルヘッド３０を駆動するとともに、プラテンローラ４を回転させてロール紙Ｓを搬送し、このロール紙Ｓに所定の印字を行う。
【００３９】
以上の構成を有する本実施の形態によれば、ロール紙Ｓをプラテンローラ４に巻き付ける方向に導くための導入部２１ａを有する紙案内部２１が金属製の本体フレーム２と一体に形成されていることから、ロール紙Ｓが帯電した場合であっても本体フレームを介して放電等により静電気が逃がされ、紙案内部２１は帯電することはない。その結果、導入部２１ａの先端部２１ｃとサーマルヘッド３０との間にスパークは発生せず、これをプラテンローラ４のごく近傍に配置することができるため、ロール紙Ｓの挿入を容易かつ円滑に行うことができる。
【００４０】
また、本実施の形態の場合は、ロール紙Ｓへの印字の際に、ロール紙Ｓと紙案内部２１の曲げ起こし部２１ｂとが常に接触しているため、ロール紙Ｓに生じた静電気が曲げ起こし部２１ｂを介して逃がされ、ロール紙Ｓが帯電することはない。その結果、上述した静電気によるサーマルヘッド３０への悪影響を防止することができる。
【００４１】
さらに、ロール紙Ｓと紙案内部２１との接触面積は、曲げ起こし部２１ｂとの接触のみ少ないので、ロール紙Ｓが湿気を帯びた場合に、走行負荷の増加量を少なくすることができる。しかも、この曲げ起こし部２１ｂによってプラテンローラ４へのロール紙Ｓの巻付角を大きくなって紙送り能力が向上するので、ロール紙Ｓの円滑な走行による品質の高い印字を行うことができる。
【００４２】
さらにまた、本実施の形態の場合は、紙案内部２１が、本体フレーム２の底部２ｃに対してプラテンローラ４との隙間が小さくなるように段差を設けて形成されていることから、紙案内部２１を大きく加工することなく、容易にプラテンローラ４に沿った形状の導入部２１ａと、所望の高さを有する曲げ起こし部２１ｂが得られ、これにより剛性及び精度の高い紙案内部２１を得ることができる。
【００４３】
その上、本実施の形態の場合は、紙案内部２１の材料にプラスチック材料を用いていないので、その厚みを薄く構成でき、装置の小型化を図ることができる。
【００４４】
また、紙案内部２１が本体フレーム２に一体的に形成されているため、部品点数を削減してコストダウンを達成することができる。
【００４５】
加えて、本実施の形態においては、レバー部材８を引き起こすことによって、サーマルヘッド３０をプラテンローラ４から離すように構成していることから、サーマルヘッド３０とプラテンローラ４との間隙を大きく取ることができ、プラテンローラ４のクリーニングを容易に行うことができるという効果もある。
【００４６】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
【００４７】
例えば、紙案内部に形成する導入部及び曲げ起こし部の形状、厚み等については、上述の実施の形態に限られず、本発明の範囲内であれば、設計変更を行うことができ、また、本体フレームの形状、材質等についても、適宜変更しうるものである。
【００４８】
【発明の効果】
以上述べたように請求項１記載の発明によれば、紙案内部を金属の本体フレームから形成することにより、紙案内部の帯電を防止することができるので、紙案内部の導入部の先端部とサーマルヘッドとの間の火花の発生を防止でき、その結果、紙案内部の導入部をプラテンローラのごく近傍に配置することができ、感熱記録紙の挿入を容易かつ円滑に行うことができる。
【００４９】
しかも、本発明の場合は、紙案内部の材料にプラスチック材料を用いていないので、その厚みを薄く構成できるとともに、紙案内部が本体フレームに一体的に形成されていることから、部品点数を削減することができる。その結果、小型かつ軽量で安価なサーマルプリンタを得ることができる。
【００５０】
この場合、請求項２記載の構成にすれば、搬送中の記録紙の帯電を防止することができ、静電気によるサーマルヘッドへの悪影響を防止することができる。
【００５１】
また、この曲げ起こし部によってプラテンローラに対する記録紙の巻付角を大きくすることができ、しかも、この曲げ起こし部により紙案内部と記録紙との接触面積が小さい状態にあるため、記録紙が湿気を帯びた場合等であっても、走行負荷が増大することはないので、記録紙の円滑な走行を行って品質の高い印字を行うことができる。
【００５２】
また、請求項３記載の構成により、紙案内部を大きく加工することなく、容易にプラテンローラに沿った形状の導入部が得られるとともに、所望の高さを有する曲げ起こし部が得られ、これにより剛性及び精度の高い紙案内部を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の全体構成を示す平面図である。
【図２】同実施の形態における印字部分の構成を示す側面図で、レバー部材を倒した状態を示すものである。
【図３】同実施の形態における印字部分の構成を示す側面図で、レバー部材を引き起こした状態を示すものである。
【図４】同実施の形態における駆動部分の構成を示す側面図である。
【図５】同実施の形態におけるレバー部材の近傍を示す側面図である。
【図６】従来のサーマルプリンタの構成を示す側面図である。
【符号の説明】
１ サーマルプリンタ
２ 本体フレーム
２ａ、２ｂ 側壁部
２ｃ 底部
２１ 紙案内部
２１ａ 導入部
２１ｂ 曲げ起こし部
２１ｃ 先端部
３ 印字部
３０ サーマルヘッド
３１ 固定板
４ プラテンローラ
５ 駆動モータ
７ ねじりコイルばね
８ レバー部材
Ｓ ロール紙
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、レシート発行機等の携帯用電子機器に用いられる小型のラインサーマルプリンタに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、レシート発行機等の携帯用電子機器においては、小型のラインサーマルプリンタが広く用いられている。
【０００３】
この種のサーマルプリンタの場合、持ち運びが容易である必要があることから、小型かつ軽量のものが望まれている。
【０００４】
このため、従来、本体フレームは、薄板鋼板等の金属から形成されてはいるが、記録紙をプラテンローラとサーマルヘッドとの印字部へ案内するためのプラスチック材料からなる紙案内部が装着されている（例えば、特開平４−１４０１７５号公報参照）。
【０００５】
このようなサーマルプリンタ１０１においては、例えば、図６に示すように、プラスチック材料からなる本体フレーム１０２にプラテンローラ１０４とヘッド支持部１０３が設けられ、このヘッド支持部１０３のプラテンローラ１０４側にサーマルヘッド１３０を装着して感熱記録紙１００を挟むとともに、ねじりコイルばね１０７によってヘッド支持部１０３のサーマルヘッド１３０をプラテンローラ１０４に押圧することにより、感熱記録紙１００に所定の印字を行うようにしている。
【０００６】
他の従来技術として、本体フレームと紙案内部とを例えばポリカーボネート等のプラスチック材料を用いて一体に構成するものであった。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のサーマルプリンタにおいては、次のような問題があった。
【０００８】
すなわち、従来のサーマルプリンタの場合、プラスチック材料を用いて紙案内部１２１を構成しているため感熱記録紙が帯電した場合に放電できなく、スパーク等によってサーマルヘッドが破壊される場合がある。
【０００９】
更には、その紙案内部１２１にも帯電されるため、サーマルヘッドの近傍まで記録紙を案内することができなく、記録紙の挿入性が悪いという問題がある。
【００１０】
また、プラテン１０４は、それを駆動する歯車等からプリンタの底部から離れて配置されるために本体フレーム１０２から紙案内部１２１を形成することができなく、よって、紙案内部を別部材で形成するので、部品点数が増えてコストアップの原因となる。
【００１１】
たとえ、本体フレームから紙案内部を形成したとしても、プラテンローラにおける感熱記録紙の巻付角を大きくすることが困難で、紙送り能力があまり良くないという問題もある。
【００１２】
さらにまた、他の従来例のように本体フレームもプラスチック材料である場合、剛性を大きくするためにはフレームの厚みを厚くしなければならず、その結果、小型化を十分に図ることができなかった。
【００１３】
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、静電気を発生させることなく、しかも、プラテンローラに対する感熱記録紙の巻付角を大きくしうるサーマルプリンタを提供することにある。
【００１４】
また、本発明の他の目的は、部品点数が少なく、小型かつ軽量のサーマルプリンタを提供することにある。
【００１５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明のサーマルプリンタは、印字位置において記録紙を挟持するサーマルヘッドとプラテンローラの少なくとも一方を支持する金属製の本体フレームと、前記記録紙を前記印字位置に案内する紙案内部とを備えたサーマルプリンタにおいて、少なくとも前記印字位置近傍部分の紙案内部を前記プラテンローラ側に湾曲させて前記プラテンローラの形状に沿った導入部を形成すると共に、前記本体フレームと一体に形成されたことを特徴とする。
【００１６】
上記構成によれば、記録紙を印字位置へ案内する紙案内部を金属からなる本体フレームと一体に形成したので、記録紙が帯電した場合であってもこれを介して静電気が逃がされ、紙案内部は帯電することはない。その結果、紙案内部の印字位置近傍とサーマルヘッドとの間に火花は発生せず、これを印字位置の近傍に配置することができるようになる。
【００１７】
しかも、本発明の場合は、紙案内部の材料にプラスチック材料を用いていないので、その厚みを薄く構成できるとともに、紙案内部が本体フレームに一体的に形成されていることから、部品点数を削減することができる。
【００１８】
また、紙案内部は、記録紙が挿入される位置に本体フレームと一体に形成されたものであって略紙幅に渡り上方へ折り曲げられ記録紙が摺接する曲げ起こし部を備えていることを特徴とする。
【００１９】
この場合、記録紙と接触する曲げ起こし部をフレームと一体に形成すれば、記録紙に生じた静電気がこの曲げ起こし部を介して逃がされるため、記録紙の帯電を防止することができる。
【００２０】
また、この曲げ起こし部によってプラテンローラに対する記録紙の巻付角を大きくすることができ、しかも、この曲げ起こし部により紙案内部と記録紙との接触面積が小さい状態にあるため、記録紙が湿気を帯びた場合等であっても、走行負荷が増大することはない。
【００２１】
更には、紙案内部は、記録紙の幅方向の両端において、本体フレームの底部に対してプラテンローラに接近するように段差を設けて形成されていることを特徴とする。
【００２２】
上記構成によれば、紙案内部を大きく加工することなく、容易にプラテンローラに沿った形状が得られるとともに、所望の高さを有する曲げ起こし部が得られる。
【００２３】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るサーマルプリンタの好ましい実施の形態を図１〜図５を参照して詳細に説明する。
【００２４】
図１は、本実施の形態のサーマルプリンタの全体構成を示す平面図であり、図２は、印字部分の構成を示す側面図で、レバー部材を倒してサーマルヘッドがプラテンローラを押圧した状態を示すもの、図３は、印字部分の構成を示す側面図で、レバー部材を引き起こしてサーマルヘッドがプラテンローラから離間した状態を示すもの、図４は、駆動部分の構成を示す側面図、図５はレバー部材の近傍を示す側面図、図６は、従来のサーマルプリンタの構成を示す側面図である。
【００２５】
図１に示すように、本実施の形態のサーマルプリンタ１は、例えば、ステンレス等の金属からなる本体フレーム２を有し、この本体フレーム２に、印字部３、プラテンローラ４及びプラテンローラ４を駆動するための駆動モータ５が取り付けられる。
【００２６】
本体フレーム２は、底部２ｃと一対の側壁部２ａ、２ｂとが板金加工により折り曲げられて形成されている。そして、本体フレーム２の後部側に後述する紙案内部２１が形成されている。
【００２７】
印字部３は、サーマルヘッド３０と固定板３１とから構成される。サーマルヘッド３０の表面には所定の電極が形成され、この電極は図示しない回路基板に接続されている。そして、サーマルヘッド３０は、例えば、軟鉄板等の金属からなる長尺の平板状の固定板３１に固定されている。
【００２８】
固定板３１は、その両端部に腕部３１ａ、３１ｂが本体フレーム２の内側の幅とほぼ等しい幅で折り曲げられて形成されている。そして、これらの腕部３１ａ、３１ｂは、本体フレーム２の両側部にプラテンローラ４と平行に掛け渡された支軸６に回動自在に取り付けられる。さらに、この支軸６には、サーマルヘッド３０がプラテンローラ４を押圧するためのねじりコイルばね７が装着される。この場合、図１に示すように、ねじりコイルばね７には、中間部に略コ字状の係合部７ａの両側にばね部７ｂ、７ｃが形成されている。そして、支軸６がねじりコイルばね７を突き抜けるように構成され、その腕部７ｄ、７ｅが固定板３１に付勢されるとともに、係合部７ａが、本体フレーム２の底部２ｃに設けた支持部２ｄに付勢係止される。これにより、サーマルヘッド３０が上方から底部２ｃに向ってプラテンローラ４に押圧される構成となっている。
【００２９】
また、固定板３１のレバー部材８側の端部には、レバー部材８のガイド部８０と係合して固定板３１を引き起こすための突出部３１ｃが一体的に形成されている。この突出部３１ｃは、本体フレーム２の一方の側壁部２ｂから突出するように舌片状の部分が形成され、この舌片状の部分が、サーマルヘッド３０の固定側と反対側に折り曲げられて形成される。
【００３０】
一方、プラテンローラ４は、プラテン軸受４１ａ、４１ｂを介して本体フレーム２の両側壁部２ａ、２ｂに回動自在に取り付けられる。そして、図１及び図４に示すように、プラテンローラ４のプラテン軸４０の一方の端部に固定した歯車９に対し、歯車１０、１１、１２を介して駆動モータ５の回転軸５０のトルクが伝達されるように構成される。なお、駆動モータ５は、リード線５１及びコネクタ５２を介して図示しない回路基板に接続されている。
【００３１】
プラテンローラ４の他方の端部には、プラテンローラ４に対するサーマルヘッド３０の押圧又は解除を切り換えるためのレバー部材８が回動自在に取り付けられている。このレバー部材８は、例えばポリカーボネート等の樹脂からなり、その回動中心の近傍にガイド部８０が形成されている。このガイド部８０は、略円弧形状にであって、レバー部材８の把持部８１に向ってその回動中心から徐々に離れるような径のガイド面を有している。そして、図５に示すように、レバー部材８を倒した状態において、ガイド部８０のガイド面８０ａと固定板３１の突出部３１ｃとの間に若干の隙間が形成されるように構成される。さらに、ガイド部８０の把持部８１側の端部には、固定板３１の突出部３１ｃと係合する凹部８０ｂが形成されている。
【００３２】
本体フレーム２の底部２ｃの後部側には、感熱記録紙が円筒状に巻かれたロール紙Ｓをサーマルヘッド３０とプラテンローラ４との当接位置へに導くための紙案内部２１が底部２ｃの一部分を湾曲させて形成されている。
【００３３】
紙案内部２１をプラテンローラ４側に湾曲させることによってプラテンローラ４の形状に沿った導入部２１ａが形成されている。この場合、導入部２１ａの端部２１ｃがサーマルヘッド３０とプラテンローラ４との当接部、すなわち、印字位置近傍まで入り込むように構成されている。
【００３４】
一方、図１に示すように、紙案内部２１の後方側の端部には、その両側部分に溝部２４、２５が形成され、これらの溝部２４、２５によって挟まれた部分に、プラテンローラ４側に突出するように曲げ起こし部２１ｂが形成されている。この曲げ起こし部２１ｂは、プラテンローラ４とほぼ平行、すなわち、ロール紙Ｓの幅方向に延びるとともに、例えば曲げ加工によって横断面が略山形状に形成され、フレーム側壁部２ａ、２ｂの幅はロール紙Ｓの幅より若干大きい寸法を有している。
【００３５】
さらに、これらの導入部２１ａ及び２１ｂを有する紙案内部２１は、例えば、絞り加工によって若干底上げがなされている。すなわち、紙案内部２１は、プラテンローラ４側に接近するように底部２ｃに対して段差を設けて形成されている。
【００３６】
また、図２に示すように、曲げ起こし部２１ｂの頂部はプラテンローラ４の下部に対してほぼ同じ高さを有するように形成されている。
【００３７】
このような構成を有する本実施の形態において、ロール紙Ｓを装填する場合には、レバー部材８の把持部８１を指で掴んでこれを引き起こす。その結果、レバー部材８のガイド部８０のガイド面８０ａと固定板３１の突出部３１ｃとが当接し、レバー部材８の回動に伴って固定板３１が引き起こされ、サーマルヘッド３０のプラテンローラ４に対する押圧が解除される。そして、更にレバー部材８を引き起こすと、固定板３１の突出部３１ｃがレバー部材８のガイド部８０の凹部８０ｂに係合し、図３に示すように、本体フレーム２の底部２ｃに対してレバー部材８の把持部８１が起立した状態でレバー部材８が係止される。そして、この状態において、プラテンローラ４と紙案内部２１の導入部２１ａとの間にロール紙Ｓの先端部を紙案内部２１の後方側から挿入する。
【００３８】
一方、ロール紙Ｓに印字を行う場合には、レバー部材８の把持部８１を掴んでこれを後方側へ倒す。その結果、固定板３１の突出部３１ｃとレバー部材８のガイド部８０の凹部８０ｂとの係合が解除され、図２に示すように、ねじりコイルばね７の付勢力によって固定板３１がプラテンローラ４上のロール紙Ｓに押圧される。そして、この状態において、サーマルヘッド３０を駆動するとともに、プラテンローラ４を回転させてロール紙Ｓを搬送し、このロール紙Ｓに所定の印字を行う。
【００３９】
以上の構成を有する本実施の形態によれば、ロール紙Ｓをプラテンローラ４に巻き付ける方向に導くための導入部２１ａを有する紙案内部２１が金属製の本体フレーム２と一体に形成されていることから、ロール紙Ｓが帯電した場合であっても本体フレームを介して放電等により静電気が逃がされ、紙案内部２１は帯電することはない。その結果、導入部２１ａの先端部２１ｃとサーマルヘッド３０との間にスパークは発生せず、これをプラテンローラ４のごく近傍に配置することができるため、ロール紙Ｓの挿入を容易かつ円滑に行うことができる。
【００４０】
また、本実施の形態の場合は、ロール紙Ｓへの印字の際に、ロール紙Ｓと紙案内部２１の曲げ起こし部２１ｂとが常に接触しているため、ロール紙Ｓに生じた静電気が曲げ起こし部２１ｂを介して逃がされ、ロール紙Ｓが帯電することはない。その結果、上述した静電気によるサーマルヘッド３０への悪影響を防止することができる。
【００４１】
さらに、ロール紙Ｓと紙案内部２１との接触面積は、曲げ起こし部２１ｂとの接触のみ少ないので、ロール紙Ｓが湿気を帯びた場合に、走行負荷の増加量を少なくすることができる。しかも、この曲げ起こし部２１ｂによってプラテンローラ４へのロール紙Ｓの巻付角を大きくなって紙送り能力が向上するので、ロール紙Ｓの円滑な走行による品質の高い印字を行うことができる。
【００４２】
さらにまた、本実施の形態の場合は、紙案内部２１が、本体フレーム２の底部２ｃに対してプラテンローラ４との隙間が小さくなるように段差を設けて形成されていることから、紙案内部２１を大きく加工することなく、容易にプラテンローラ４に沿った形状の導入部２１ａと、所望の高さを有する曲げ起こし部２１ｂが得られ、これにより剛性及び精度の高い紙案内部２１を得ることができる。
【００４３】
その上、本実施の形態の場合は、紙案内部２１の材料にプラスチック材料を用いていないので、その厚みを薄く構成でき、装置の小型化を図ることができる。
【００４４】
また、紙案内部２１が本体フレーム２に一体的に形成されているため、部品点数を削減してコストダウンを達成することができる。
【００４５】
加えて、本実施の形態においては、レバー部材８を引き起こすことによって、サーマルヘッド３０をプラテンローラ４から離すように構成していることから、サーマルヘッド３０とプラテンローラ４との間隙を大きく取ることができ、プラテンローラ４のクリーニングを容易に行うことができるという効果もある。
【００４６】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
【００４７】
例えば、紙案内部に形成する導入部及び曲げ起こし部の形状、厚み等については、上述の実施の形態に限られず、本発明の範囲内であれば、設計変更を行うことができ、また、本体フレームの形状、材質等についても、適宜変更しうるものである。
【００４８】
【発明の効果】
以上述べたように請求項１記載の発明によれば、紙案内部を金属の本体フレームから形成することにより、紙案内部の帯電を防止することができるので、紙案内部の導入部の先端部とサーマルヘッドとの間の火花の発生を防止でき、その結果、紙案内部の導入部をプラテンローラのごく近傍に配置することができ、感熱記録紙の挿入を容易かつ円滑に行うことができる。
【００４９】
しかも、本発明の場合は、紙案内部の材料にプラスチック材料を用いていないので、その厚みを薄く構成できるとともに、紙案内部が本体フレームに一体的に形成されていることから、部品点数を削減することができる。その結果、小型かつ軽量で安価なサーマルプリンタを得ることができる。
【００５０】
この場合、請求項２記載の構成にすれば、搬送中の記録紙の帯電を防止することができ、静電気によるサーマルヘッドへの悪影響を防止することができる。
【００５１】
また、この曲げ起こし部によってプラテンローラに対する記録紙の巻付角を大きくすることができ、しかも、この曲げ起こし部により紙案内部と記録紙との接触面積が小さい状態にあるため、記録紙が湿気を帯びた場合等であっても、走行負荷が増大することはないので、記録紙の円滑な走行を行って品質の高い印字を行うことができる。
【００５２】
また、請求項３記載の構成により、紙案内部を大きく加工することなく、容易にプラテンローラに沿った形状の導入部が得られるとともに、所望の高さを有する曲げ起こし部が得られ、これにより剛性及び精度の高い紙案内部を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の全体構成を示す平面図である。
【図２】同実施の形態における印字部分の構成を示す側面図で、レバー部材を倒した状態を示すものである。
【図３】同実施の形態における印字部分の構成を示す側面図で、レバー部材を引き起こした状態を示すものである。
【図４】同実施の形態における駆動部分の構成を示す側面図である。
【図５】同実施の形態におけるレバー部材の近傍を示す側面図である。
【図６】従来のサーマルプリンタの構成を示す側面図である。
【符号の説明】
１ サーマルプリンタ
２ 本体フレーム
２ａ、２ｂ 側壁部
２ｃ 底部
２１ 紙案内部
２１ａ 導入部
２１ｂ 曲げ起こし部
２１ｃ 先端部
３ 印字部
３０ サーマルヘッド
３１ 固定板
４ プラテンローラ
５ 駆動モータ
７ ねじりコイルばね
８ レバー部材
Ｓ ロール紙
Claims (3)
- 印字位置において記録紙を挟持するサーマルヘッドとプラテンローラの少なくとも一方を支持する金属製の本体フレームと、前記記録紙を前記印字位置に案内する紙案内部とを備えたサーマルプリンタにおいて、少なくとも前記印字位置近傍部分の紙案内部を前記プラテンローラ側に湾曲させて前記プラテンローラの形状に沿った導入部を形成すると共に、
前記本体フレームと一体に形成されたことを特徴とするサーマルプリンタ。 - 前記紙案内部は、前記記録紙が挿入される位置に前記本体フレームと一体に形成されたものであって略紙幅に渡り上方へ折り曲げられ前記記録紙が摺接する曲げ起こし部を備えていることを特徴とする請求項１記載のサーマルプリンタ。
- 前記紙案内部は、前記記録紙の幅方向の両端において、前記本体フレームの底部に対して前記プラテンローラに接近するように段差を設けて形成されていることを特徴とする請求項１、２記載のサーマルプリンタ。
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