JP3642009B2 - 連続鋳造鋳片の直送圧延方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、連続鋳造機により鋳造された高温の鋳片を直接熱間圧延するか、あるいは鋳片のコーナー部を加熱・昇温した後に熱間圧延するか、又は、高温の鋳片を加熱炉に装入して表面温度を中心温度と同じにする程度の加熱を行った後に熱間圧延して鋼板を製造するか、何れかの方法(本発明ではこれらをまとめて「直送圧延」と定義する)で鋼板を製造する直送圧延方法に関し、詳しくは、スケール性欠陥を防止して、表面性状の優れた鋼板を製造することができる直送圧延方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的な鋼板の製造方法は、溶鋼を連続鋳造機にて鋳造し、連続鋳造機出口において所定長さの鋳片(スラブともいう)に切断し、この鋳片を何らかの手段により熱補償した後、鋳片表面に生成したスケールを高圧水等により除去しながら熱間圧延する方法により製造される。この鋳片表面に生成したスケールを除去する工程は、表面欠陥がなく、表面性状の優れた鋼板を得るための必要不可欠の工程である。
【0003】
鋳片表面のスケールを除去する方法としては、通常、高圧水を鋳片に噴射してスケールを鋳片から剥離させる技術や、鋳片を幅方向に圧下してスケールに塑性変形を加え、スケールを細かくして除去する技術が実施されている。
【0004】
鋳造した鋳片を一旦室温程度まで冷却した後、加熱炉で加熱・昇温して熱間圧延するCCR(Cold Charge Rolling)プロセスや、500℃前後まで冷えた鋳片を加熱炉で所定温度まで加熱・昇温して熱間圧延するHCR(Hot Charge Rolling)プロセスの場合には、鋳片の加熱炉内の在炉時間が90〜150分と長いため、比較的厚みのあるスケールが生成される。そのため、上記のスケール除去方法により容易にスケールが剥離し、スケール性の表面欠陥を防止することができる。
【0005】
しかし、直送圧延の場合には、加熱したとしても在炉時間が短く、生成されるスケールは薄く、上記のスケール除去方法では完全には除去されない場合が発生する。又、スケールを除去するために多量の高圧水を使用すると、鋳片の温度が低下して、本来の目的である直送圧延に必要な高温の鋳片が得られないという問題が生ずる。
【0006】
直送圧延におけるこれらの問題を解決するために、特開平2−263550号公報が提案されている。同号公報によれば、所定の物性値を満たすモールドパウダーを使用して鋳造すると共に、連続鋳造機内の鋳片表面温度履歴を所定の範囲に制御して直送圧延用鋳片を鋳造するので、鋳片表面に生成されるスケールと鋳片表面との間の熱膨張差が大きくなり、スケールと鋳片表面との間に多数の亀裂が発生し、僅かな衝撃力でスケールを剥離させることができるとしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平2−263550号公報に開示された方法は、スケールをモールドパウダーと共に鋳片表面から除去することを目的としたもので、鋳片表面に付着したモールドパウダーの大部分は、実際には連続鋳造機の二次冷却スプレー水により鋳型直下で容易に剥離してしまい、その後の鋳造中や連続鋳造機から熱間圧延機への搬送中、若しくはエッジヒーター等での加熱中に生成されるスケールに対しては全く効果を発揮しない。そのため、熱間圧延機ではスケールを除去するために従来と同等量の高圧水が必要となり、鋳片温度の低下に伴って熱間圧延機への負荷が増大すると同時に鋳片の温度低下に起因する欠陥が発生するという問題は、依然として解決されずに存在する。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、連続鋳造鋳片を直送圧延して鋼板を製造する際に、スケール性欠陥を防止して、表面性状の優れた鋼板を製造することができる直送圧延方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねるなかで、鋳片表面粗さとスケール剥離性との関連を調査した。図1は、表面粗さが0.32mmの鋳片にスケールを生成させ、高圧水によってスケール除去を実施したときのスケール残存量と高圧水圧力との関係を調査した結果を示す図である。図1で明らかなように、高圧水の圧力増加に伴い、スケールは除去されることが分かった。因みに表面粗さが0.32mmの場合には、高圧水の圧力を180kg/cm2 とすることでスケールはほぼ完全に除去される。
【0010】
図2は、鋳型の振動条件や鋳片支持ロールの押し付け圧力を変更して表面粗さの異なる鋳片を鋳造し、これらの鋳片を圧力が100kg/cm2 の一定に制御された高圧水によりスケール除去を実施したときのスケール残存量と表面粗さとの関係を調査した結果を示す図である。図2で明らかなように、鋳片の表面粗さが0.2mm以下になると、生成したスケールのほとんどは除去されることが分かった。即ち、鋳片の表面粗さを0.2mm以下とすれば、生成したスケールをほぼ完全に除去できるとの知見を得た。
【0011】
一般的に、鋳型振動波形は下記の(1)式に示す正弦波形が用いられている。但し、(1)式において、yは鋳型の変位(mm)、aは振幅(mm)、fは振動数(サイクル/min)、tは時間(min)である。鋳片の表面粗さは鋳型振動条件により変化し、鋳型振動が正弦波形の場合、振幅aと振動数fとの積が一定の条件では、振動数fを増加して振幅aを減少することで表面粗さは小さくなることが知られている。
y=a×sin(2πft)……(1)
【0012】
本発明者等は、振幅a及び振動数fが一定の条件でも、更に鋳片の表面粗さを小さくする鋳型振動条件を探求した。その結果、鋳型を偏倚正弦波形で振動させることで、振幅a及び振動数fが一定の条件でも表面粗さを更に小さくすることが可能であることが分かった。図3は、本発明で用いた偏倚正弦波形と従来の正弦波形とで、鋳型の変位と鋳型の振動速度とを比較して示す図であり、図3においてAで示す波形が正弦波形であり、Bで示す波形が偏倚正弦波形である。本発明で用いた偏倚正弦波形では、正弦波形に比較して鋳型の上昇速度が遅くなり、逆に、鋳型の下降速度が速くなるという特徴がある。尚、図3におけるVcは鋳造速度である。
【0013】
図3に示すように、本発明で用いた偏倚正弦波形では鋳型振動の1サイクル中で鋳型が上昇した時の最大変位をとる時間が正弦波形の場合よりも後半にずれ、鋳型が下降した時の最大変位をとる時間が正弦波形の場合よりも前半にずれた波形となっており、本発明では、正弦波形と比較してどれだけずれているかを表す指標として、下記の(2)式に示す値を波形歪率と定義した。但し、(2)式において、λは波形歪率(0<λ<1)、Tnon-sinは偏倚正弦波形における1サイクル中で鋳型が上昇した時の最大変位をとる時間、Tsin は正弦波形における1サイクル中で鋳型が上昇した時の最大変位をとる時間である。
λ=(Tnon-sin −Tsin )/Tsin ……(2)
【0014】
図4は、振幅a及び振動数fを一定として波形歪率λを最大0.4まで変更したときの鋳片表面粗さと波形歪率λとの関係を調査した結果を示す図である。図4で明らかなように、波形歪率λの増加に伴って表面粗さが小さくなることが分かった。即ち、鋳型振動波形に上記の偏倚正弦波形を用いることで、鋳片の表面粗さを小さくすることができるとの知見を得た。尚、図4において波形歪率λ=0は正弦波形を示している。
【0015】
図5は、鋳片を引き抜くためのピンチロールの押し付け圧力を変更して、連続鋳造機内における鋳片の圧下量を変化させたときの鋳片表面粗さと連続鋳造機内での総圧下量との関係を調査した結果を示す図である。図5で明らかなように、総圧下量に比例して鋳片表面粗さは小さくなることが分かった。即ち、鋳造中の鋳片を、ピンチロールを含む鋳片支持ロールで圧下することにより、鋳片の表面粗さを小さくすることができるとの知見を得た。
【0016】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、第1の発明による連続鋳造鋳片の直送圧延方法は、連続鋳造機で鋳造された鋳片から直送圧延により鋼板を製造する連続鋳造鋳片の直送圧延方法において、連続鋳造機で鋳造される鋳片の長辺面幅方向中央部の表面粗さを0.2mm以下として直送圧延によって製造される鋼板のスケール性の欠陥を防止することを特徴とするものである。又、第2の発明による連続鋳造鋳片の直送圧延方法は、第1の発明において、連続鋳造機の鋳型振動に偏倚正弦波形を用いることを特徴とするものである。更に、第3の発明による連続鋳造鋳片の直送圧延方法は、第1の発明又は第2の発明において、連続鋳造機の鋳片支持ロールにより鋳造中の鋳片を圧下することを特徴とするものである。
【0017】
尚、本発明における鋳片の表面粗さとは、鋳片の長辺面幅方向中央部を鋳造方向に30cmの範囲を対象として表面粗さを測定し、JIS−B0601に示す中心線平均粗さにより表示したものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。図6は本発明で用いる連続鋳造機の1例の側面概略図、図7は本発明で用いる熱間圧延機の1例の概略図である。
【0019】
図6に示すように、連続鋳造機1には、溶鋼を注入して凝固させるための鋳型5が設置されており、この鋳型5の下方には、対向する一対のロールを1組として、それぞれ複数組のサポートロール13、ガイドロール14、及びピンチロール15からなる、鋳片2を支持するための鋳片支持ロールが設置され、これらの鋳片支持ロールの下流側には、複数本の搬送ロール17と、搬送ロール17の上方に位置して鋳片2の引き抜き速度と同調するガス切断機16とが設置されている。又、これらの鋳片支持ロールには、鋳型5の直下から下流側に向かって、第1冷却ゾーン7a、7b、第2冷却ゾーン8a、8b、第3冷却ゾーン9a、9b、第4冷却ゾーン10a、10b、第5冷却ゾーン11a、11b、及び、第6冷却ゾーン12a、12bの合計12に分割された冷却ゾーンからなる二次冷却帯6が設置されている。
【0020】
二次冷却帯6の各冷却ゾーンには、エアーミストスプレー用又は水スプレー用の複数個のスプレーノズル(図示せず)が設置されており、スプレーノズルから鋳片2の表面に二次冷却水が噴霧される。尚、各冷却ゾーンにおいて、連続鋳造機1の反基準面側(上面側)の冷却ゾーンをaで表示し、基準面側(下面側)の冷却ゾーンをbで表示している。又、冷却ゾーンの設置数は図6では合計12であるが、連続鋳造機1の長さ等に応じて幾つに分割しても良い。
【0021】
図7に示すように、熱間圧延機18には、鋳片2をその幅方向に圧延するための粗圧延機20と、粗圧延機20の下流側にあって、鋳片2に高圧水を噴射して鋳片2のスケールを除去するための高圧水噴射装置21と、高圧水噴射装置21の下流側にあって、鋳片2を厚み方向に圧延するための粗圧延機22及び仕上圧延機23とが設置されている。
【0022】
又、連続鋳造機1と熱間圧延機18との間には、鋳片2を熱間圧延する際の鋳片温度を補償するための加熱手段として、加熱装置(図示せず)が設置されている。この加熱装置としては、鋳片2の両コーナー部を主に加熱するためのエッジヒーターや、鋳片2の全体を加熱するための加熱炉を用いることとする。
【0023】
このような構成の連続鋳造機1と加熱装置と熱間圧延機18とを備えた製造工程における本発明による直送圧延方法を以下に説明する。
【0024】
浸漬ノズル(図示せず)を介して鋳型5内に溶鋼を鋳造する。鋳型5内に鋳造された溶鋼は鋳型5内で冷却されて凝固殻3を形成し、内部に未凝固層4を有する鋳片2として、ピンチロール15の駆動力により鋳片支持ロールに支持されつつ下方に連続的に引き抜かれる。鋳片2はこれらの鋳片支持ロールを通過する間、二次冷却帯6で冷却され、凝固殻3の厚みを増大して、やがて中心部までの凝固を完了する。凝固完了した鋳片2をガス切断機16で所定長さに切断し、熱間圧延用の鋳片2として供する。
【0025】
鋳造の際、鋳片2の長辺面の表面粗さが0.2mm以下になるようにする。鋳片2の表面粗さは、主に鋳型振動によって生じるオシレーションマークに起因するので、オシレーションマークが浅くなるような鋳型振動条件で鋳造する。このオシレーションマーク深さは、鋳型5内に添加するモールドパウダー(図示せず)の物性値にも影響される。従って、使用するモールドパウダーの銘柄毎に種々の鋳型振動条件及び種々の鋳造速度で鋳造し、表面粗さが0.2mm以下となる鋳型振動条件を鋳造速度毎に予め定めておき、その鋳型振動条件で鋳造することとする。鋳型振動条件を設定する際に、正弦波形で鋳型5を振動させる場合には、振幅aと振動数fとの積が一定の条件では、振動数fを増加して振幅aを減少させるようにする。又、前述したように、オシレーションマーク深さを浅くし、表面粗さの軽減効果の大きい、図3に示す偏倚正弦波形で鋳型5を振動させることが好ましい。
【0026】
又、鋳造中の鋳片2をガイドロール14やピンチロール15により圧下することで、オシレーションマークが浅くなり、表面粗さが軽減されるので、ガイドロール14やピンチロール15により鋳片2を圧下することが好ましい。この場合、圧下速度は1分間当たり1.5mm以下とし、総圧下量が4mm以上となるようにすることが好ましい。圧下速度が1分間当たり1.5mmを越えると、鋳片2の内部に割れ等が発生して鋳片2の品質が低下することがあり、又、総圧下量が4mm未満では圧下の効果が十分に発揮されないことがある。圧下の時期は、鋳片2の凝固完了前であっても、凝固完了後であっても、又、凝固完了前から凝固完了後に渡る範囲であっても、何れでも良い。
【0027】
又、ガス切断機16で切断後の熱間状態の鋳片2を表面手入れしてから熱間圧延する場合もあり、この場合には、表面手入れにより鋳片2の表面に凹凸が発生する。表面手入れによる凹凸もスケールの剥離性に影響を及ぼすので、手入れ後の表面粗さが0.2mm以下となるように表面手入れを実施する。
【0028】
尚、鋳片2の表面粗さの測定は、鋳片2を酸洗してスケールを除去してから行うことが望ましいが、鋳片2に付着したスケールの厚みはほぼ一様であるので、スケールが表面に付着した状態で、表面粗さ計を直接接触させて表面粗さを測定しても、非接触式のレーザー変位計等を用いて表面粗さを測定しても良い。又、当然ではあるが、鋳片2から測定用試片を切り出し、その断面を観察して表面粗さを測定しても良い。
【0029】
このようにして鋳造した鋳片2を熱間圧延機18で熱間圧延して鋼板19を製造する。その際に、切断した鋳片2を、鋳片温度を補償するための加熱装置で加熱せず、そのまま熱間圧延機18に直送して熱間圧延しても良いし、加熱装置にて鋳片2のコーナー部を加熱した後に熱間圧延しても良いし、又、加熱装置にて1200℃前後で90分前後加熱してから熱間圧延しても良い。又、鋳片2を加熱装置に装入前に熱間状態で表面手入れを施しても良い。これら全てが本発明の直送圧延に含まれるものとする。
【0030】
熱間圧延機18では、鋳片2の表面に付着したスケールを除去する。このスケール除去は、粗圧延機20により鋳片2に幅圧下を加えてスケールに塑性変形を加え、スケールを細かくして除去しても良いし、高圧水噴射装置21から高圧水を鋳片2に噴射して除去しても良いし、又、粗圧延機20による幅圧下と高圧水噴射装置21による高圧水の噴射とを組み合わせても良い。
【0031】
スケールを除去した鋳片2を粗圧延機22で圧延し、更に、この鋳片2を仕上圧延機23で所定の厚みまで圧延して、鋼板19を製造する。製造された鋼板19は、そのまま熱延鋼板として出荷されたり、冷間圧延や鍍金等の次工程を経て、冷延鋼板や表面処理鋼板として出荷される。
【0032】
このような直送圧延方法により、連続鋳造機1で鋳造された鋳片2から鋼板19を製造することにより、鋳片2に付着したスケールは効率よく除去され、スケール性欠陥がなく、表面性状の優れた鋼板19を安定して製造することが可能となる。
【0033】
【実施例】
図6に示す連続鋳造機と、鋳片温度を補償するための加熱手段として設置したエッジヒーターと、図7に示す熱間圧延機とを備えた製造工程における直送圧延の際に、鋳型振動条件及び鋳造速度を種々変更して鋳片の表面粗さを変化させ、このようにして変化させた鋳片表面粗さと、スケール除去処理後のスケール残存量との関係を調査した。
【0034】
連続鋳造機では、鋳型振動波形を正弦波形と図3に示す偏倚正弦波形の2種類の波形で振動させた。偏倚正弦波形の波形歪率λは0.4の一定とした。又、鋳造速度は2.0m/minと2.4m/minの2水準とした。そして、炭素含有量を約0.03mass%に調整した溶鋼を、鋳片幅1200mm、鋳片厚み250mmの鋳片に鋳造した。鋳片支持ロールは鋳片の凝固収縮と同程度の勾配で狭くし、実質的には鋳片を圧下しないで鋳造した。鋳片の表面粗さは、連続鋳造機出側のガス切断機にて切断後の鋳片の幅方向中央部において非接触式のレーザー変位計を用いて測定した。
【0035】
表面粗さを測定した後、鋳片を表面無手入れのままエッジヒーターに装入し、鋳片の両コーナー部を鋳片幅方向中央部と同等温度まで加熱した。加熱した鋳片を熱間圧延機に搬送し、粗圧延機による幅圧下と高圧水噴射装置からの高圧水の噴射とを併用してスケール除去処理を実施した。高圧水の圧力は100kg/cm2 の一定とした。スケール除去処理を施した鋳片をシャーにて切断して全幅試片を採取し、鋳片表面のスケール残存量を調査した。試片採取後の鋳片は粗圧延機及び仕上圧延機により板厚2mmの薄鋼板に圧延した。薄鋼板においてはスケール性の表面欠陥を調査した。
【0036】
表1に各試験における試験条件と試験結果とをまとめて示す。表1に示すように、鋳片の表面粗さが0.20mmを越えた試験No.1、2、4では、鋳片にスケールが残留しており、薄鋼板においてスケール性欠陥が発生した。それに対して鋳片の表面粗さが0.20mm以下の試験No.3、5、6、7、8、9では、スケール残存率は試験No.3の1.4mg/cm2 を最大として極めて低く、ほとんどのスケールは除去されており、薄鋼板においてスケール性欠陥が全く発生しなかった。
【0037】
【表1】
【0038】
このように、鋳型振動条件を適宜選択して、鋳片の表面粗さを0.20mm以下とすることで、鋳片に付着したスケールを容易に除去することができ、スケール性欠陥のない鋼板を製造できることが分かった。尚、表1の備考欄には、表面粗さが本発明の範囲内の試験には実施例と表示し、本発明の範囲外の試験には従来例と表示した。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、連続鋳造鋳片の直送圧延方法において、連続鋳造機で鋳造される鋳片の長辺面幅方向中央部の表面粗さを0.2mm以下とするので、鋳片表面に生成したスケールを容易に除去することができ、その結果、スケール性欠陥がなく、表面性状の優れた鋼板を安定して製造することが可能となり、歩留まりの向上や製造コストの削減等、その効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】スケール残存量と高圧水圧力との関係を調査した結果を示す図である。
【図2】スケール残存量と表面粗さとの関係を調査した結果を示す図である。
【図3】本発明で用いた偏倚正弦波形と従来の正弦波形とで、鋳型の変位と鋳型の振動速度とを比較して示す図である。
【図4】鋳片の表面粗さと波形歪率λとの関係を調査した結果を示す図である。
【図5】鋳片の表面粗さと連続鋳造機内での総圧下量との関係を調査した結果を示す図である。
【図6】本発明で用いる連続鋳造機の1例の側面概略図である。
【図7】本発明で用いる熱間圧延機の1例の概略図である。
【符号の説明】
1 連続鋳造機
2 鋳片
5 鋳型
6 二次冷却帯
13 サポートロール
14 ガイドロール
15 ピンチロール
18 熱間圧延機
19 鋼板
20 粗圧延機
21 高圧水噴射装置
22 粗圧延機
23 仕上圧延機
Claims (3)
- 連続鋳造機で鋳造された鋳片から直送圧延により鋼板を製造する連続鋳造鋳片の直送圧延方法において、連続鋳造機で鋳造される鋳片の長辺面幅方向中央部の表面粗さを0.2mm以下として直送圧延によって製造される鋼板のスケール性の欠陥を防止することを特徴とする連続鋳造鋳片の直送圧延方法。
- 連続鋳造機の鋳型振動に偏倚正弦波形を用いることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造鋳片の直送圧延方法。
- 連続鋳造機の鋳片支持ロールにより鋳造中の鋳片を圧下することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の連続鋳造鋳片の直送圧延方法。
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