JP3641464B2 - 半導体基板ホルダおよびこれを備えた半導体基板の研磨装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的に、半導体基板の表面を研磨し、平坦化するための半導体基板の化学機械的研磨(CMP)のための研磨装置に関するものであり、特に、本発明は、前記請求項1に従って、上記基板が保持され、該保持された基板が研磨パッドに対して圧力をかけられるところの、研磨される基板を保持するための半導体基板ホルダおよびこれを備えた半導体基板の研磨装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
集積化された半導体ウエハと集積回路の処理においては、たくさんの処理段階で、半導体の局所的な構造の基板の平板化あるいは平坦化が必要とされる。それゆえ、高い平滑度を得るための、半導体基板の表面の研磨及び平坦化の方法及び装置を提供することは、非常に重要である。
【0003】
超高密度集積回路を生産するために必要とされる平滑性、厚さの均一性の範囲を達成するために、化学機械的研磨処理が用いられる。これらの化学機械的平坦化あるいは研磨(CMP)処理は、一般的に、研磨材料を含んでいたり、化学的に反応が早い研磨剤泥状物で濡れている移動研磨表面に対して、半導体ウエハを押し込むことを含んでいる。スラリーは、塩基性あるいは酸性の何れかであり、アルミナ、シリカやその他の研磨剤微粒子であってもよい。典型的には、研磨表面は、ポリウレタンフォームや非ウォブン構造のような、軟らかい、多孔性の材料からなる平面パッドである。
【0004】
高い平滑度および研磨された層表面の高い厚さ均一度の実現のために主要な障害は、研磨される層の下の半導体基板か研磨パッドの何れかが、ワーピングやウエハや研磨パッドの波打ちにより、厚さや表面がばらつくかもしれないということである。これらのばらつきは、一般的に、研磨中に半導体基板に与えられ、そして研磨度の部分的なばらつきに圧力がかかった状態で、対応する部分的なばらつきとなる。この半導体基板ホルダの構造は、それゆえ、これらの不均一性を補償することを許す容易さを与える。
【0005】
基板ホルダのシンプルなデザインは、研磨パッドに対して、半導体基板をプレスするための堅い金属プレートを含んでいる。この標準的な構造は、しかしながら、基板厚さや研磨パッドの厚さの不均一性のための補強手段を考慮していない。
【0006】
米国特許6012964号では、ハウジング、キャリアベース、リテイナーリング、シートサポータ、ハードシートおよびソフトバッキングシートにより、形成された半導体基板ホルダ(キャリア)が開示されている。シートサポータは、キャリアベース、フレキシブルダイアフラム、外部リングの空気の出入口と通信する空間をもつサポーター本体部分により形成されている。ウエハは、圧力チャンバにおける空気圧によって不均一にプレスされ、リテイナーリングの装着に起因するウエハの外部周辺のリムに対する圧力変動は、ダイアフラムにより計算される。この書類では、研磨度を部分的に増やすための付加的なバックプレッシャーを供給することができるようになるウエハ中央の領域に、穴がハードシートソフトバッキングシートおよび内に形成されている実施形態も表されている。しかしながら、これらの実施形態は、特に既知の半導体基板および/または研磨パッドの厚さばらつきの場合にだけ、適用可能である。
【0007】
米国特許US5,791,973号、米国特許US6,074,289号では、ロータリーシャフト、ロータリーシャフトの下部のエッジと一体で与えられたディスクの形状の基板保持ヘッド、弾性材料からなり、基板保持ヘッドの下部の表面の周辺部分に固定されたリングの形状のシーリング部材、シーリング部材の外側に配置されるように基板保持ヘッドの後ろ側表面に固定されたリング形状のガイド部材を備えた基板保持装置が示されている。圧力下の流体、好ましくは空気が、基板の一方の側に空気のクッションを形成し、研磨パッドに対して基板をプレスするように、その一端からロータリーシャフト内に形成され、その他端から空間を与えられた流体流路に導入されている。研磨パッドおよび/または半導体装置の表面に従って、半導体基板が変形されたという事実によれば、半導体基板は、局所的に一定の接触圧力をもって研磨パッド上にプレスされることができ、その結果、研磨度がウエハ全体に渡って局所的に一定となる。しかしながら、この構成では、圧力の局所的なバリエーションにより特別な局所的研磨の性質を導入し、研磨度を大きくすることは不可能である。これを解決する唯一の方法は、複雑すぎると思われる変化する圧力の流体を供給されるための複数のチャンバの混合であろう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した米国特許US5,791,973号の導入部分では、弾性研磨パッドが、テーブルの頂上表面に接着されている半導体基板ホルダの別の構成が、図16にさらに述べられている。基板保持ヘッドの底部分は、基板の奥まった部分を持って形成されている。基板は、基板の奥まった部分で弾性的に変形されることができる板状弾性部材によって、堅固に支持されている。基板支持ヘッド、弾性部材および上記基板は、制御された圧力以下のガスが、ガス供給路を通じて導入されている密封してシールされたスペースを定義する。密封してシールされたスペースに導入された圧力以下のガスは、研磨パッドに対して、弾性部材により堅固に支持された基板をプレスし、その結果、基板の上部表面における圧力は、均等な研磨を実現する。この実施形態の不都合は、どちらかといえば、弾性部材に対する基板の取り付けおよび取り外しの複雑化された機構である。
【0009】
それゆえ、本発明の課題は、半導体基板ホルダが表面領域全体に渡って卓越した均一性を備えた半導体表面の研磨を許容し、特別に好まれた研磨特性にも対応可能な半導体基板ホルダおよびこれを備えた半導体基板の研磨装置を提供することにある。
【0010】
この課題は、請求項1によって特定された部材によって実現される。模範的で有利な実施形態が、従属した請求項の中に示されている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体基板ホルダは、上記の課題を解決するために、ベースプレートとリング状高台とを備え、対応する所定の位置において半導体基板を保持するための本体と、上記リング状高台の内側からその下にある研磨パッドに対して、上記半導体基板を加圧するための加圧手段とを備えた、化学機械的研磨(CMP)により研磨される半導体基板を保持するための半導体基板ホルダにおいて、上記加圧手段は、リング状高台の内側に与えられた移動式プレートを備え、上記移動式プレートは、上記本体に取り付けられ、上記半導体基板に向かう方向および上記半導体基板から離れていく方向に移動可能であり、半導体基板を保持するための保持表面を備えている支持部材が、上記リング状高台の内側の壁の一部に与えられていることを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、半導体基板表面全体に渡って、化学機械的研磨を用いて均一に半導体基板を研磨することができる。すなわち、半導体基板の予め選択された部分に圧力を与えることによって、半導体基板全体に渡って、所定の研磨特性を得ることができる。
【0013】
第1流体供給路が、上記移動式プレートと半導体基板との間の第3チャンバに流体を供給するために与えられていることがより好ましい。
【0014】
これにより、第1流体供給路を介して、本体22の壁の部分で下向きの方向に移動式プレートを加圧するために、第1チャンバへ空気等の流体を供給することができる。よって、上方向に移動式プレートを吸引するために、第1チャンバの内側の圧力を気圧よりも低くすることで、第1チャンバを退避させることもできる。
【0015】
上記第2流体供給路は、上記移動式プレートまで通じていることがより好ましい。
【0016】
これにより、第2流体供給路の反対側にある半導体基板の位置へ圧力を与えることにより、圧力、研磨度の半径方向における変化度を調整することができる。
【0017】
すなわち、この圧力により、半導体基板を変形させることができるため、半導体基板の半径方向における研磨度の差をなくすことができる。
【0018】
上記第2流体供給路は、上記移動式プレートの内側で形成された第2チャンバと、上記移動式プレートと上記半導体基板との間に上記第2チャンバから第3チャンバへつづく複数の穴を含んでいることがより好ましい。
【0019】
これにより、第2流体供給路および上記複数の穴と反対側にある半導体基板の位置へ圧力を与えることにより、半導体基板の半径方向における圧力、研磨度の変化度を調整することができる。
【0020】
上記移動式プレートが、第1末端位置および第2末端位置の間で移動可能であり、上記第1末端位置において、上記移動式プレートのメイン表面は、上記半導体基板の裏側と接触し、上記第2末端位置において、上記移動式プレートのメイン表面が、上記半導体基板の裏側と接触していないことがより好ましい。
【0021】
これにより、移動式プレートの所定の末端位置によって特定される第1・第2処理モードを決定することができる。
【0022】
上記リング状高台の内側の壁の部分に、上記2つの末端位置に対応する2つの隣接表面を備えた隣接部材を備え、上記移動式プレートは、上記隣接部材と組み合わせて動作する拡張部を備えていることがより好ましい。
【0023】
これにより、隣接部材が移動式プレートの末端位置を明確にすることができ、移動式プレートは、拡張部がかみ合って、奥まった部分の上部・下部端部表面の間で移動することができる。
【0024】
第2流体供給路は、上記移動式プレートを加圧し、それにより、上記移動式プレートの移動に影響を与えるための上記移動式プレートと上記ベースプレートとの間のスペースに流体を供給するために設けられていることがより好ましい。
【0025】
これにより、第2流体供給路および穴と反対側にある半導体基板の位置へ圧力を与えることにより、圧力、研磨度の半径方向における変化度を調整することができる。
【0026】
上記移動式プレートは、フレキシブル接続部材と、上記ベースプレートに接続されていることがより好ましい。
【0027】
これにより、フレキシブル接続部材は、移動式プレートがその上部の端部位置にあるときは静止状態となり、移動式プレートがその下部の端部位置にあるときは伸張した状態となる。よって、移動式プレートを上部位置へ持ってくる際には、フレキシブル接続部材の弾性力を利用することができる。
【0028】
上記フレキシブル接続部材は、不透性のシーリング薄膜であり、上記ベースプレート、上記移動式プレートおよび上記シーリング薄膜によって、第1チャンバが形成されていることがより好ましい。
【0029】
これにより、移動式プレートを上部位置へ持ってくる際には、シーリング薄膜の弾性力を利用することができる。
【0030】
上記フレキシブル接続部材は、バネ状部材であり、該バネ状部材は、上記移動式プレートの上記2つの末端位置の一方において、上記バネ状部材がその静止位置にあるように、上記移動式プレートおよび上記ベースプレートと接続されていることがより好ましい。
【0031】
これにより、移動式プレートが下部位置へ移動する際には、空気圧により移動させ、上部位置へ移動する際には、バネ状部材の弾性力を用いて移動させることができる。
【0032】
上記支持部材は、上記隣接部材の一部であるか、あるいは上記隣接部材に直接接続されているか、あるいは隣接部材と一体に形成されているかの何れかであることがより好ましい。
【0033】
これにより、簡易かつ安価な構成で、半導体基板を均一に研磨することができる。
【0034】
第3および/または第4流体供給路は、第3チャンバの外側の領域に流体を供給するために設けられていることがより好ましい。
【0035】
これにより、第3および/または第4流体供給路を介して、チャンバからの空気の出し入れを行うことができ、半導体基板に対する圧力を調整できる。
【0036】
本発明の半導体基板ホルダを備えた半導体基板研磨装置は、上記の課題を解決するために、上記半導体基板ホルダと、研磨パッドとを備えていることを特徴としている。
【0037】
上記の構成によれば、半導体基板表面全体に渡って、化学機械的研磨を用いて均一に半導体基板を研磨することができる半導体基板の研磨装置を得ることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
図1は、堅固な材料からなる平坦な表面を持つ回転可能なテーブル10と、上記テーブル10の頂上表面に接着された弾性研磨パッド11とを示された本発明の第1の実施形態にかかる研磨された半導体基板ホルダの断面図である。
【0039】
テーブル10上には、半導体基板12を保持するための半導体基板ホルダが与えられている。半導体基板ホルダ20は、図示しない回転駆動手段により回転されるロータリーシャフト21、ロータリーシャフト21の下部のエッジ上に与えられたディスクの形状の本体22とを含んでいる。本体22は、その上に、ベースプレート22.1およびリング状高台22.2を備えている。下向きに垂直な力は、ロータリーシャフト21上に力を及ぼし、この図では図示していない装置によって、本体22へ伝達されることができる。
【0040】
リング状高台22.2の内側では、ディスク状の移動式プレート23が、弾性シーリング薄膜(フレキシブル接続部材)24によって、本体22、例えば、リング状高台22.2に相当する本体22の一部に添えられる。移動式プレート23と本体22との間では、チャンバ(第1チャンバ)25が形成されており、チャンバ25の壁は、移動式プレート23の内側の壁の部分、本体22、および弾性シーリング薄膜24によって形成されている。このチャンバ25は、本体22の壁の部分で、下向きの方向に移動式プレート23を加圧するために、気圧よりも高いチャンバ25の内側の圧力P1を生成するために形成された第1流体供給路25.1を介して、空気等の流体を供給されることができる。それによって上方向に移動式プレート23を吸引するために、チャンバ25の内側の圧力を気圧よりも低くすることで、流体供給路を介して、チャンバ25を退避させることもできる。
【0041】
別の方法として、チャンバ25と第1流体供給路25.1とを省略し、機械的手段により、ただ移動式プレート23上に力を及ぼすだけにすることもできる。
【0042】
本体22の外側表面、例えば、リング状の高台22.2上においては、本体22と一体で形成されることができる支えリング26が与えられている。リング状の高台22.2の内側の壁部分においては、半導体基板12の裏表面を受け止めるための対応するリング状保持表面を含んでいるリング状の支持部材27が与えられている。リング状の支持部材27と保持表面のそれとの半径の幅は、2〜10mmの範囲であることが好ましい。支持部材27は、保持表面と支えリング26の表面との間の高さの差が、半導体基板12の高さよりもわずかに小さくなるように与えられている。
【0043】
移動式プレート23の下部表面と、支持部材27の支持表面とは、軟質支持フィルム28で覆われている。
【0044】
支持部材27は、本体22と一体で形成されることもできる。
【0045】
支持部材27は、移動式プレート23の末端位置を明確にするために、隣接部材としての役割も果たす。この目的のために、隣接部材(支持部材)27は、内側の壁に奥まった部分27.1を含んでおり、移動式プレート23の拡張部23.1がかみ合って、奥まった部分27.1の上部・下部端部表面の間に移動可能となる。別の方法では、支持部材27と一体で形成されていない隣接部材を与えられることもできる。弾性バネのような弾性シーリング薄膜24は、本体22と移動式プレート23との間に取り付けられており、移動式プレート23がその上部(第2)の端部位置にあるときは静止状態となり、移動式プレート23がその下部(第1)の端部位置にあるときは伸張した状態となる。移動式プレート23を下部位置へ持ってくる際には、空気がチャンバ25に供給され、移動式プレート23が、弾性バネのような弾性シーリング薄膜24の力に対して、下方向へ加圧される。
【0046】
図1では、半導体基板ホルダ20が下方向(第1)の位置で示されており、図2では、半導体基板ホルダ20が上方向(第2)の位置で示されている。
【0047】
図1に示した第1処理モードは、従来技術として知られているような、標準的なキャリア構成と一致する。この処理モードでは、半導体基板12の予め選択された部分に圧力を与えることによって、ウエハ全体に渡って、所定の研磨特性を得ることができる。この目的のために、本体22の壁の中の穴から伸びているチューブを含む第2流体供給路25.2が与えられている。内部チャンバ(第2チャンバ)23.3から、接続路は、内部チャンバ23.3を、移動式プレート23と支持フィルム28の後部表面で形成された穴23.2に接続するように形成されている。今回のケースでは、2つの穴23.2が、移動式プレート23の中心に関して左右対称に形成されている。
【0048】
第2流体供給路25.2および穴23.2と反対側にある半導体基板12の位置へ圧力P2を与えることにより、半導体基板12の半径方向における圧力、研磨度の変化度を調整することができる。圧力P2により、半導体基板12は、穴23.2の低部で変形される。第2流体供給路25.2へ供給される圧力P2は、穴23.2の領域でより高い研磨度を生成するために、ロータリーシャフト21へ供給された垂直方向の力によって、半導体基板12の裏側に力を及ぼす気圧よりも高くなるように選択される。別の方法としては、例えば、第2流体供給路25.2を通じて内部チャンバ23.3を退避させることによって、圧力P2を得ることができる。穴23.2の領域において、低い研磨度を生成するために、圧力P2は、半導体基板12の裏表面において、移動式プレート23の気圧よりも低くなっている。
【0049】
図2に示されている移動式プレート23の第2処理モードでは、半導体基板12の領域全体の均一の加圧と、それゆえ均一の研磨特性とを生成することができる。このモードでは、第2流体供給路25.2は、半導体基板12、移動式プレート23および支持部材27によって取り囲まれたチャンバ(第3チャンバ)29内に空気のクッションを設けるのに役立つ。この場合では、穴23.2が、チャンバ29の範囲内で第2流体供給路25.2を介して空気を分配するための穴を分配するのに役立つ。
【0050】
圧力P2は、クリアランスが半導体基板12と支持部材27との間で形成されるように高く設定されており、このクリアランスを通じて、加圧された空気の一部をチャンバ29の外へ逃がすことができる。別の方法では、本体22の壁における貫通穴や、支持部材27における貫通穴からチャンバ29へ伸びる第3流体供給路25.3を得ることができる。本体22の外側にある第3流体供給路25.3の一部では、図示しない適合値が、チャンバ29の外へ空気を抜くことの制御を達成することにより実現することができる。
【0051】
さらに、この第3流体供給路25.3は、チャンバ29に空気を供給することにより、あるいはそこから空気を漏らすことによる何れかによって、チャンバ29内の空気のクッションにおける圧力の変化度および対応する研磨度の不均一性を生成するために用いられる。
【0052】
図3は、第3流体供給路25.3について前述されたような同様の機能を果たすべき第4流体供給路25.4が与えられた、半導体基板ホルダ20の別の実施形態を示している。第4流体供給路25.4は、本体22の壁の中の穴から移動式プレート23の内部チャンバ23.3の外側領域までのチューブ拡張を含んでいる。この外側領域は、同軸のシーリングリング30によって内部領域から分離されている。穴23.4は、外側領域からチャンバ29へ伸びている。
【0053】
第4流体供給路25.4あるいは第3流体供給路25.3は、半導体基板ホルダ20の内側表面を泥状物のかすからきれいにするために、水のようなクリーニング媒体を供給するためにも用いられる。
【0054】
第4流体供給路25.4は、第3流体供給路25.3の替わりに用いられてもよいし、第3流体供給路25.3に加えて用いられてもよい。第3および/または第4流体供給路を通じて十分な圧力を供給することとともに、第2流体供給路25.2内の減らされた圧力P2を調整することによって、半導体基板12の変形が生じ、その結果、半導体基板12のエッジでの研磨度が高くなり、半導体基板12の中央における研磨度が低くなる。
【0055】
研磨工程では、2つの処理モード間の時間分配は、第1処理モードが適用される研磨時間の一部分および第2処理モードが実行される研磨時間の他の部分において使用される。
【0056】
より好ましい実施形態では、研磨パッド上におけるウエハの接触および離間は、研磨工程のこれらの期間の間、外側のウエハエッジにおける高い研磨度を防止するために、下部位置において移動式プレートで実行される。
【0057】
もう一つの好ましい実施形態では、両方の処理モードにおいて、ウエハエッジにおける研磨度に影響を与えるために、支持部材27の支持表面に対応して、支えリングを移動させることができる。
【0058】
本発明に関する半導体基板ホルダにより、研磨処理は、移動式プレートの2つの異なる垂直な位置に対応する2つの基本的なモードで行われることができる。
【0059】
第1処理モードでは、移動式プレート、好ましくはその間に軟らかい支持フィルムが半導体基板を持つ直接的な機械的な接触の中における下部位置にある。
【0060】
第1処理モードは、それゆえ、標準的なキャリア構成に対応する。第1処理モードにおいては、所定の方法、例えば、半導体基板の所定の領域に所定の圧力を与えることにより、研磨の性質を変化させることが可能である。これは、移動式プレートを通じて形成された第1液体供給路、移動式プレートの下部位置の表面で形成された出口穴、および出口穴が第1液体供給路と接続されている支持フィルムによって完成させることができる。移動式プレートは、半導体基板と直接機械的に接続されているので、圧力は、流体が出口穴に与えられるときに、移動式プレートの出口穴の反対に位置するその基板部分にだけ力を及ぼす。
【0061】
第2処理モードでは、移動式プレートが、半導体基板と直接機械的に接続されていない上部位置にある。この位置では、チャンバが移動式プレートと半導体基板との間で形成される。第1流体供給路および移動式プレートで形成された出口穴によって、流体、好ましくは空気が、基板の一方の側に空気のクッションを形成し、研磨パッドに対して基板をプレスするように、チャンバへ供給されることができる。この処理モードは、移動式プレートの均一な加圧を許容し、上記従来技術の説明から知られているような「クッションモード」と対応している。
【0062】
好ましい実施形態では、第1・第2処理モードは、移動式プレートの所定の末端位置によって特定される。第1処理モードに対応する第1末端位置では、移動式プレートの下部位置の表面が上記半導体基板の裏側と接続されており、第2処理モ−ドに対応する第2末端位置では、移動式プレートの下部位置の表面が半導体基板の裏側と接触していない。移動式プレートの末端位置は、リング状の高台の内側部分に供給されることができる隣接部材によって、定義されることができる。上記隣接部材は、上記2つの末端位置に対応する2つの隣接表面を含んでいてもよいし、移動式プレートは、上記隣接部材と組み合わせて、拡張動作を含んでいてもよい。
【0063】
リング状の高台の内側部分では、半導体基板を支持するための支持表面を含んでいる支持部材が形成されている。支持表面は、その第1末端位置で、移動式プレートの表面の多くを保持している。好ましい実施形態では、上記の隣接部材が、支持部材と一体に形成されている。
【0064】
好ましい実施形態では、移動式プレートは、一方の側で流体圧力の供給により動作される。移動式プレートは、薄膜のような不浸透性のシーリング材によって本体に取り付けられることができ、その結果、チャンバは、移動式プレートの内側の壁と、本体と、薄膜とによって形成される。第2流体供給路は、移動式ベースプレートを加圧するためのこのチャンバに流体を供給するために与えられることができ、それゆえ、移動式ベースプレートの移動に影響を与える。シーリング材が、バネのような弾性特性を与えられていることが好ましく、バネの静止位置が、上記移動式プレートの第1あるいは第2末端位置に対応する。
【0065】
本発明の半導体基板ホルダの以下の特有の実施形態では、添付図面に関して、異なる処理モードが示されている。
【0066】
【発明の効果】
本発明の半導体基板ホルダは、加圧手段は、リング状高台の内側に与えられた移動式プレートを備え、上記移動式プレートは、上記本体に取り付けられ、上記半導体基板に向かう方向および上記半導体基板から離れていく方向に移動可能であり、半導体基板を保持するための保持表面を備えている支持部材が、上記リング状高台の内側の壁の一部に与えられている構成である。
【0067】
それゆえ、半導体基板表面全体に渡って、化学機械的研磨を用いて均一に半導体基板を研磨することができる。すなわち、半導体基板の予め選択された部分に圧力を与えることによって、半導体基板全体に渡って、所定の研磨特性を得ることができるという効果を奏する。
【0068】
第1流体供給路が、上記移動式プレートと半導体基板との間の第3チャンバに流体を供給するために与えられていることがより好ましい。
【0069】
それゆえ、第1流体供給路を介して、本体22の壁の部分で下向きの方向に移動式プレートを加圧するために、第1チャンバへ空気等の流体を供給することができる。よって、上方向に移動式プレートを吸引するために、第1チャンバの内側の圧力を気圧よりも低くすることで、第1チャンバを退避させることもできるという効果を奏する。
【0070】
上記第2流体供給路は、上記移動式プレートまで通じていることがより好ましい。
【0071】
それゆえ、第2流体供給路の反対側にある半導体基板の位置へ圧力を与えることにより、圧力、研磨度の半径方向における変化度を調整することができるという効果を奏する。
【0072】
すなわち、この圧力により、半導体基板を変形させることができるため、半導体基板の半径方向における研磨度の差をなくすことができる。
【0073】
上記第2流体供給路は、上記移動式プレートの内側で形成された第2チャンバと、上記移動式プレートと上記半導体基板との間に上記第2チャンバから第3チャンバへつづく複数の穴を含んでいることがより好ましい。
【0074】
それゆえ、第2流体供給路および上記複数の穴と反対側にある半導体基板の位置へ圧力を与えることにより、半導体基板の半径方向における圧力、研磨度の変化度を調整することができるという効果を奏する。
【0075】
上記移動式プレートが、第1末端位置および第2末端位置の間で移動可能であり、上記第1末端位置において、上記移動式プレートのメイン表面は、上記半導体基板の裏側と接触し、上記第2末端位置において、上記移動式プレートのメイン表面が、上記半導体基板の裏側と接触していないことがより好ましい。
【0076】
それゆえ、移動式プレートの所定の末端位置によって特定される第1・第2処理モードを決定することができるという効果を奏する。
【0077】
上記リング状高台の内側の壁の部分に、上記2つの末端位置に対応する2つの隣接表面を備えた隣接部材を備え、上記移動式プレートは、上記隣接部材と組み合わせて動作する拡張部を備えていることがより好ましい。
【0078】
それゆえ、隣接部材が移動式プレートの末端位置を明確にすることができ、移動式プレートは、拡張部がかみ合って、奥まった部分の上部・下部端部表面の間で移動することができるという効果を奏する。
【0079】
第2流体供給路は、上記移動式プレートを加圧し、それにより、上記移動式プレートの移動に影響を与えるための上記移動式プレートと上記ベースプレートとの間のスペースに流体を供給するために設けられていることがより好ましい。
【0080】
それゆえ、第2流体供給路および穴と反対側にある半導体基板の位置へ圧力を与えることにより、圧力、研磨度の半径方向における変化度を調整することができるという効果を奏する。
【0081】
上記移動式プレートは、フレキシブル接続部材と、上記ベースプレートに接続されていることがより好ましい。
【0082】
それゆえ、フレキシブル接続部材は、移動式プレートがその上部の端部位置にあるときは静止状態となり、移動式プレートがその下部の端部位置にあるときは伸張した状態となる。よって、移動式プレートを上部位置へ持ってくる際には、フレキシブル接続部材の弾性力を利用することができるという効果を奏する。
【0083】
上記フレキシブル接続部材は、不透性のシーリング薄膜であり、上記ベースプレート、上記移動式プレートおよび上記シーリング薄膜によって、第1チャンバが形成されていることがより好ましい。
【0084】
それゆえ、移動式プレートを上部位置へ持ってくる際には、シーリング薄膜の弾性力を利用することができるという効果を奏する。
【0085】
上記フレキシブル接続部材は、バネ状部材であり、該バネ状部材は、上記移動式プレートの上記2つの末端位置の一方において、上記バネ状部材がその静止位置にあるように、上記移動式プレートおよび上記ベースプレートと接続されていることがより好ましい。
【0086】
それゆえ、移動式プレートが下部位置へ移動する際には、空気圧により移動させ、上部位置へ移動する際には、バネ状部材の弾性力を用いて移動させることができるという効果を奏する。
【0087】
上記支持部材は、上記隣接部材の一部であるか、あるいは上記隣接部材に直接接続されているか、あるいは隣接部材と一体に形成されているかの何れかであることがより好ましい。
【0088】
それゆえ、簡易かつ安価な構成で、半導体基板を均一に研磨することができるという効果を奏する。
【0089】
第3および/または第4流体供給路は、第3チャンバの外側の領域に流体を供給するために設けられていることがより好ましい。
【0090】
それゆえ、第3および/または第4流体供給路を介して、チャンバからの空気の出し入れを行うことができ、半導体基板に対する圧力を調整できるという効果を奏する。
【0091】
本発明の半導体基板ホルダを備えた半導体基板研磨装置は、以上のように、上記の課題を解決するために、上記半導体基板ホルダと、研磨パッドとを備えている構成である。
【0092】
それゆえ、半導体基板表面全体に渡って、化学機械的研磨を用いて均一に半導体基板を研磨することができる半導体基板の研磨装置を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1処理モードに関する状態における、研磨パッドと一組の本発明の第1の実施形態にかかる半導体基板ホルダの概略的な断面図である。
【図2】第2処理モードに関する状態における、本発明の第1の実施形態にかかる半導体基板ホルダの概略的な断面図である。
【図3】第2処理モードにかかる状態における、本発明の半導体基板ホルダの第2の実施形態にかかる半導体基板ホルダの概略的な断面図である。
【符号の説明】
10 テーブル
11 弾性研磨用パッド(研磨パッド)
12 半導体基板
21 ロータリーシャフト
22 本体
22.1 ベースプレート
22.2 リング状高台
23 移動式プレート
23.1 拡張部
23.2 穴
23.3 内部チャンバ(第2チャンバ)
24 弾性シーリング部材(フレキシブル接続部材)
25 チャンバ(第1チャンバ)
25.1 第1流体供給路
25.2 第2流体供給路
25.3 第3流体供給路
25.4 第4流体供給路
26 支えリング
27 リング状支持部材
27.1 奥まった部分
28 軟質支持フィルム
29 チャンバ(第3チャンバ)
Claims (13)
- ベースプレート(22.1)とリング状高台(22.2)とを備え、対応する所定の位置において半導体基板(12)を保持するための本体(22)と、
上記リング状高台(22.2)の内側から下にある研磨パッド(11)に対して、上記半導体基板(12)を加圧するための加圧手段とを備えた、化学機械的研磨(CMP)により研磨される半導体基板(12)を保持するための半導体基板ホルダ(20)において、
上記加圧手段は、リング状高台(22.2)の内側に与えられた移動式プレート(23)を備え、
上記移動式プレート(23)は、上記本体(22)に取り付けられ、上記半導体基板(12)に向かう方向および上記半導体基板(12)から離れていく方向に移動可能であり、
上記半導体基板(12)を保持するための保持表面を備えている支持部材(27)が、上記リング状高台(22.2)の内側の壁の一部に設けられており、
上記ベースプレート(22.1)と移動式プレート(23)との間には第1チャンバ(25)が形成されており、
第1流体供給路(25.1)が、上記第1チャンバ(25)に流体を供給するために設けられており、
上記移動式プレート(23)の内部には第2チャンバ(23.3)が形成されており、
第2流体供給路(25.2)が、上記第2チャンバ(23.3)に流体を供給するために設けられており、
上記移動式プレート(23)が、第1末端位置および第2末端位置の間で移動可能であり、
上記第1末端位置において、上記移動式プレート(23)の実質的な表面は、上記半導体基板(12)の裏側と接触し、
上記第2末端位置において、上記移動式プレート(23)の実質的な表面が、上記半導体基板(12)の裏側と接触しないように構成されており、
上記移動式プレート(23)が上記第1末端位置に位置しない場合、上記半導体基板(12)、移動式プレート(23)、および支持部材(27)によって囲まれた領域には、第3チャンバ(29)が形成され、
上記第2チャンバ(23.3)と第3チャンバ(29)とを連結する複数の穴(23.2)が設けられていることを特徴とする半導体基板ホルダ。 - 上記第1流体供給路(25.1)が、上記第1チャンバ(25)に流体を供給するために、上記本体(22)の壁を貫通して、上記第1チャンバ(25)と外部とを連結するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体基板ホルダ。
- 上記第2流体供給路(25.2)が、上記第2チャンバ(23.3)に流体を供給するために、上記本体(22)の壁、第1チャンバ(25)、移動式プレート(23)を貫通し、上記第2チャンバ(23.3)と外部とを連結するようにチューブ状に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体基板ホルダ。
- 上記移動式プレート(23)が上記第1末端位置に位置する場合、上記移動式プレート(23)の実質的な表面と半導体基板(12)とが直接機械的に接触することによって半導体基板(12)をプレスし、半導体基板(12)の研磨処理を行う第1処理モードを実行可能であり、
上記移動式プレート(23)が上記第1末端位置に位置しない場合、上記第3チャンバ(29)に形成される流体のクッションによって半導体基板(12)をプレスし、半導体基板(12)の研磨処理を行う第2処理モードを実行可能であることを特徴とする請求項 1〜3のいずれか1項に記載の半導体基板ホルダ。 - 上記リング状高台(22.2)の内側の壁の部分に、上記2つの末端位置に対応する2つの隣接表面を備えた隣接部材を備え、
上記移動式プレート(23)は、上記隣接部材と組み合わせて動作する拡張部(23.1)を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体基板ホルダ。 - 第1流体供給路(25.1)は、上記移動式プレート(23)を加圧し、それにより、上記移動式プレート(23)の移動に影響を与えるための上記移動式プレート(23)と上記ベースプレート(22.1)との間のスペースに流体を供給するために設けられていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の半導体基板ホルダ。
- 上記移動式プレート(23)は、フレキシブル接続部材(24)を介して、上記ベースプレート(22.1)に接続されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の半導体基板ホルダ。
- 上記フレキシブル接続部材(24)は、不透性のシーリング薄膜であり、上記ベースプレート(22.1)、上記移動式プレート(23)および上記シーリング薄膜によって、第1チャンバ(25)が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の半導体基板ホルダ。
- 上記フレキシブル接続部材(24)は、バネ状部材であり、該バネ状部材は、上記移動式プレート(23)の上記2つの末端位置の一方において、上記バネ状部材がその静止状態にあるように、上記移動式プレート(23)および上記ベースプレート(22.1)と接続されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の半導体基板ホルダ。
- 上記支持部材(27)は、上記隣接部材の一部であるか、あるいは上記隣接部材に直接接続されているか、あるいは隣接部材と一体に形成されているかの何れかであることを特徴とする請求項5に記載の半導体基板ホルダ。
- 第3流体供給路(25.3)が、第3チャンバ(29)に流体を供給するために設けられていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体基板ホルダ。
- 第4流体供給路(25.4)が、第3チャンバ(29)に流体を供給するために設けられており、
上記本体(22)の壁から第1チャンバ(25)および移動式プレート(23)を貫通し、第2チャンバ(23.3)と連結するチューブと、第2チャンバ(23.3)と第3チャンバ(29)とを連結する貫通穴(23.4)とから構成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導体基板ホルダ。 - 請求項1〜12の何れか1項に記載の半導体基板ホルダ(20)と、
研磨パッド(11)とを備えていることを特徴とする化学機械的研磨による半導体基板(12)の研磨装置。
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