JP3641133B2 - 多室型空気調和装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1台の室外ユニットで複数の部屋の空調を行う多室型の空気調和装置であり、主に一般家庭で使用される住宅用多室型空気調和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
1台の室外ユニットで複数の部屋の空調を行う多室型空気調和装置においては、空気調和を行う空調空間の温度を適切に調節するとともに圧縮機保護のために圧縮機に吸入される冷媒の過熱度の制御を行う必要がある。それに加えて、室内側熱交換器から吐出される冷媒の過冷却度あるいは過熱度の制御を行えば、冷媒を各室内ユニットに適切に分配し効率よく運転することができる。
【0003】
従来、主に住宅用に用いられる多室型空気調和装置の膨張弁の制御方法は、図9に示すようなテーブルを用いた制御方式が一般的であった。図に示すように従来の住宅用の多室型空気調和装置の制御方法は、膨張弁全開時の開度を100%とした場合、各々の空調空間の温度と目標温度との差の大小と室内ユニットの定格能力により場合分けし、各々に対応した膨張弁開度を絶対値で与えるというものであった。
【0004】
また、主にビル用途に用いられる多室型空気調和装置の暖房運転時の制御方法としてファジィ論理を用いて行う方法が特開平4−203854号公報に示されている。以下その多室型空気調和装置の構成について図10を参照しながら説明する。図に示すように圧縮機101、蒸発器102、蒸発器側膨張弁103等からなる室外ユニット104と、複数の室内ユニット105a、105b、105cで構成されている。室内ユニット105aは、凝縮器106a、凝縮器側膨張弁107a等から構成され、室内ユニット105bは、凝縮器106b、凝縮器側膨張弁107b等から構成され、室内ユニット105cは、凝縮器106c、凝縮器側膨張弁107c等から各々構成されている。圧縮機101により圧縮されたガス冷媒は、各室内ユニット105a、105b、105cに送られ、各凝縮器106a、106b、106cによって室内へ熱を放出し液化された後、各凝縮器用膨張弁107a、107b、107cおよび蒸発器側膨張弁103を経由することにより、断熱膨張をして、温度低下する。温度低下した冷媒は、蒸発器102により室外の熱を奪い、気化する。気化した冷媒は再び圧縮機101に送られる。ここで制御装置(図示せず)は、蒸発器入口温度センサ108により検出した温度と、圧縮機吸入口温度センサ109により検出した温度を用いて、圧縮機101に吸入される冷媒の過熱度を算出し、過熱度が設定値に一致するように、蒸発器用膨張弁103を操作する。また、各室の室温を室温センサ110a、110b、110cにより検出し、各凝縮器側膨張弁107a、107b、107cの開度を操作することにより、各部屋の熱負荷に応じて冷媒を分配する。さらに、圧力センサ111により検出した圧力より、吐出側飽和蒸気温度を算出し、各凝縮器出口温度センサ112a、112b、112cにより検出した各凝縮器出口の温度とを用いて、各室内ユニット105a、105b、105cの過冷却度を算出する。各室内ユニットの過冷却度が設定幅よりも小さい場合あるいは大きい場合は、各凝縮器側膨張弁107a、107b、107cの開度を各室内ユニットの過冷却度が、設定幅の内の値になるように操作する。このように各凝縮器側膨張弁107a、107b、107cは、室温制御と過冷却度制御との2つの制御モードで操作される。この2つの制御モードはファジィ論理によって切り換えていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来のテーブルを用いた制御方式では、膨張弁で圧縮機に吸入される冷媒の状態を制御することが困難であり、圧縮機保護に対して膨張弁を有効に動作させることができず、また、空調負荷に応じて段階的に膨張弁開度を切り換えるのできめ細かな空調制御の実現が困難であり、さらに、室内側熱交換器から吐出される冷媒の過冷却度あるいは過熱度の制御を行っていないので、効率の悪い運転が行われていても、その状態を回避できないという課題があった。
【0006】
また、主にビル用途の多室型空気調和装置に用いられている制御方法は、室外ユニットに設けた蒸発器側膨張弁で吸入過熱度を制御するとともに、各々の室内ユニットに設けた凝縮器側膨張弁で空調空間の温度と室内熱交換器の出口部の冷媒の過冷却度を制御することにより、高信頼性、高効率化を図りながら空調空間の温度制御を行っているが、主に住宅に用いられる多室型空気調和装置では、冷媒通過音等の問題から膨張弁は室外ユニット内に設けるのが一般的であり、また、室外ユニットの小型軽量化、低コスト化の観点から接続される室内ユニットと等しい数の膨張弁を凝縮、蒸発兼用として室外ユニット内に付設する構成が主流となっているので、従来の主にビル用途の多室型空気調和装置に用いられている制御方法では住宅用の多室型空気調和装置の構成には対応できないという課題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するものであり、接続される室内機と等しい数の膨張弁で暖房運転および冷房運転において高信頼性、高効率化を図りつつ良好な空調制御を行える多室型空気調和装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の多室型空気調和装置は上記目的を達成するために、圧縮機の吐出部の冷媒の過熱度である圧縮機吐出過熱度を検出する圧縮機吐出過熱度検出器と、室内熱交換器の吐出部の冷媒の過冷却度である室内熱交換器出口過冷却度を検出する室内熱交換器出口過冷却度検出器と、室内ユニットを設置した空気調和すべき空間である空調空間の目標温度を設定する目標温度設定器と、空調空間の温度を検出する空間温度検出器とを設け、圧縮機吐出過熱度検出器により検出される圧縮機吐出過熱度、圧縮機吐出過熱度の目標値、連続する制御サイクルにおける前回の制御時の膨張弁の開いている度合を示す膨張弁開度を入力として、圧縮機吐出過熱度が圧縮機吐出過熱度の目標値に一致するように膨張弁開度を決定する第1開度決定器と、圧縮機吐出過熱度の4つのしきい値F1d、F2d、F3d、F4dが不等式F1d≦F2d≦F3d≦F4dに示す関係を有する場合に、圧縮機吐出過熱度が第2のしきい値F2dより大きく、かつ、第3のしきい値F3dより小さい場合には、現在の膨張弁開度を維持し、圧縮機吐出過熱度が第1のしきい値F1dより小さい場合、あるいは第4のしきい値F4dより大きい場合には、膨張弁開度を第1開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、圧縮機吐出過熱度が第1のしきい値F1d以上、かつ、第2のしきい値F2d以下の場合、もしくは、第3のしきい値F3d以上、かつ、第4のしきい値F4d以下の場合には、膨張弁開度を第1開度決定器が決定した膨張弁開度と、現在の膨張弁開度とから、圧縮機吐出過熱度を変数とするファジィメンバーシップ関数により求められた膨張弁開度に決定する第2開度決定器と、室内熱交換器出口過冷却度検出器により検出される室内熱交換器出口過冷却度、室内熱交換器出口過冷却度の目標値、および第2開度決定器が決定した膨張弁開度を入力として、室内熱交換器出口過冷却度が室内熱交換器出口過冷却度の目標値に一致するように膨張弁の開度を決定する第3開度決定器と、空調空間の温度、目標温度、および第2開度決定器が決定した膨張弁開度を入力として、空調空間の温度が目標温度に一致するように、膨張弁開度を決定する第4開度決定器と、室内熱交換器出口過冷却度の4つのしきい値F1c、F2c、F3c、F4cが不等式F1c≦F2c≦F3c≦F4cに示す関係を有する場合に、室内熱交換器出口過冷却度が第1のしきい値F1cより小さいか、もしくは、第4のしきい値F4cより大きい場合には、膨張弁開度を第3開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、室内熱交換器出口過冷却度が第2のしきい値F2cより大きく、かつ、第3のしきい値F3cより小さい場合には、膨張弁開度を第4開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、室内熱交換器出口過冷却度が第1のしきい値F1c以上、かつ第2のしきい値F2c以下の場合、もしくは第3のしきい値F3c以上、かつ、第4のしきい値F4c以下の場合には、膨張弁開度を第3開度決定器が決定した膨張弁開度と、第4開度決定器が決定した膨張弁開度とから室内熱交換器出口過冷却度を変数とするファジィメンバーシップ関数により求められた膨張弁開度に決定する第5開度決定器とからなる膨張弁制御装置を設けた構成としたものである。
【0009】
本発明によれば、第1開度決定器で、圧縮機吐出過熱度が目標値に一致するように膨張弁開度を決定し、第2開度決定器が、圧縮機吐出過熱度が第2のしきい値F2dより大きく、かつ、第3のしきい値F3dより小さい場合に現在の膨張弁開度を維持し、圧縮機吐出過熱度が第1のしきい値F1dより小さい場合、あるいは第4のしきい値F4dより大きい場合に膨張弁の開度を第1開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、圧縮機吐出過熱度が第1のしきい値F1d以上、かつ、第2のしきい値F2d以下の場合、もしくは、第3のしきい値F3d以上、かつ、第4のしきい値F4d以下の場合に膨張弁の開度を第1開度決定器が決定した膨張弁開度と、現在の膨張弁開度とから、圧縮機吐出過熱度を変数とするファジィメンバーシップ関数により求められた膨張弁開度に決定する。また、第3開度決定器で、室内熱交換器出口過冷却度が目標値に一致するように膨張弁開度を決定し、第4開度決定器で空調空間の温度が目標温度に一致するように、膨張弁開度を決定し、第5開度決定器が、室内熱交換器出口過冷却度が第1のしきい値F1cより小さいか、もしくは、第4のしきい値F4cより大きい場合に、膨張弁の開度を第3開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、室内熱交換器出口過冷却度が第2のしきい値F2cより大きく、かつ、第3のしきい値F3cより小さい場合に膨張弁の開度を第4開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、室内熱交換器出口過冷却度が第1のしきい値F1c以上、かつ第2のしきい値F2c以下の場合、もしくは第3のしきい値F3c以上、かつ、第4のしきい値F4c以下の場合に膨張弁の開度を第3開度決定器が決定した膨張弁開度と、第4開度決定器が決定した膨張弁開度とから室内熱交換器出口過冷却度を変数とするファジィメンバーシップ関数により求められた膨張弁開度に決定するので、暖房運転において、接続される室内ユニットと等しい数の膨張弁で、高信頼性、高効率化を図りつつ良好な空調制御を行うことができる多室型空気調和装置が得られる。
【0010】
また他の手段は、圧縮機の吸入部の冷媒の過熱度である圧縮機吸入過熱度を検出する圧縮機吸入過熱度検出器と、室内熱交換器の吐出部の冷媒の過熱度である室内熱交換器出口過熱度を検出する室内熱交換器出口過熱度検出器と、室内ユニットを設置した空気調和すべき空間である空調空間の目標温度を設定する目標温度設定器と、空調空間の温度を検出する空間温度検出器とを設け、圧縮機吸入過熱度検出器により検出される圧縮機吸入過熱度、圧縮機吸入過熱度の目標値、連続する制御サイクルにおける前回の制御時の膨張弁の開いている度合を示す膨張弁開度を入力として、圧縮機吸入過熱度が圧縮機吸入過熱度の目標値に一致するように膨張弁開度を決定する第6開度決定器と、圧縮機吸入過熱度の4つのしきい値F1s、F2s、F3s、F4sが不等式F1s≦F2s≦F3s≦F4sに示す関係を有する場合に、圧縮機吸入過熱度が第2のしきい値F2sより大きく、かつ、第3のしきい値F3sより小さい場合には、現在の膨張弁開度を維持し、圧縮機吸入過熱度が第1のしきい値F1sより小さい場合、あるいは第4のしきい値F4sより大きい場合には、膨張弁開度を第6開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、圧縮機吸入過熱度が第1のしきい値F1s以上、かつ、第2のしきい値F2s以下の場合、もしくは、第3のしきい値F3s以上、かつ、第4のしきい値F4s以下の場合には、膨張弁開度を第6開度決定器が決定した膨張弁開度と、現在の膨張弁開度とから、圧縮機吸入過熱度を変数とするファジィメンバーシップ関数により求められた膨張弁開度に決定する第7開度決定器と、室内熱交換器出口過熱度検出器により検出される室内熱交換器出口過熱度、室内熱交換器出口過熱度の目標値、および第7開度決定器が決定した膨張弁開度を入力として、室内熱交換器出口過熱度が室内熱交換器出口過熱度の目標値に一致するように膨張弁の開度を決定する第8開度決定器と、空調空間の温度、目標温度、および第7開度決定器が決定した膨張弁開度を入力として、空調空間の温度が目標温度に一致するように、膨張弁開度を決定する第9開度決定器と、室内熱交換器出口過熱度の4つのしきい値F1h、F2h、F3h、F4hが不等式F1h≦F2h≦F3h≦F4hに示す関係を有する場合に、室内熱交換器出口過熱度が第1のしきい値F1hより小さいか、もしくは、第4のしきい値F4hより大きい場合には、膨張弁開度を第8開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、室内熱交換器出口過熱度が第2のしきい値F2hより大きく、かつ、第3のしきい値F3hより小さい場合には、膨張弁開度を第9開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、室内熱交換器出口過熱度が第1のしきい値F1h以上、かつ第2のしきい値F2h以下の場合、もしくは第3のしきい値F3h以上、かつ、第4のしきい値F4h以下の場合には、膨張弁開度を第8開度決定器が決定した膨張弁開度と、第9開度決定器が決定した膨張弁開度とから室内熱交換器出口過熱度を変数とするファジィメンバーシップ関数により求められた膨張弁開度に決定する第10開度決定器とからなる膨張弁制御装置を設けた構成としたものである。
【0011】
そして本発明によれば、第6開度決定器で、圧縮機吸入過熱度が目標値に一致するように膨張弁開度を決定し、第7開度決定器が、圧縮機吸入過熱度が第2のしきい値F2sより大きく、かつ、第3のしきい値F3sより小さい場合に現在の膨張弁開度を維持し、圧縮機吸入過熱度が第1のしきい値F1sより小さい場合、あるいは第4のしきい値F4sより大きい場合に膨張弁の開度を第6開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、圧縮機吸入過熱度が第1のしきい値F1s以上、かつ、第2のしきい値F2s以下の場合、もしくは、第3のしきい値F3s以上、かつ、第4のしきい値F4s以下の場合に膨張弁の開度を第6開度決定器が決定した膨張弁開度と、現在の膨張弁開度とから、圧縮機吐出過熱度を変数とするファジィメンバーシップ関数により求められた膨張弁開度に決定する。また、第8開度決定器で、室内熱交換器出口過熱度が目標値に一致するように膨張弁開度を決定し、第9開度決定器で空調空間の温度が目標温度に一致するように、膨張弁開度を決定し、第10開度決定器が、室内熱交換器出口過熱度が第1のしきい値F1hより小さいか、もしくは、第4のしきい値F4hより大きい場合に、膨張弁の開度を第8開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、室内熱交換器出口過熱度が第2のしきい値F2hより大きく、かつ、第3のしきい値F3hより小さい場合に膨張弁の開度を第9開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、室内熱交換器出口過熱度が第1のしきい値F1h以上、かつ第2のしきい値F2h以下の場合、もしくは第3のしきい値F3h以上、かつ、第4のしきい値F4h以下の場合に膨張弁の開度を第8開度決定器が決定した膨張弁開度と、第9開度決定器が決定した膨張弁開度とから室内熱交換器出口過熱度を変数とするファジィメンバーシップ関数により求められた膨張弁開度に決定するので、冷房運転において、接続される室内ユニットと等しい数の膨張弁で、高信頼性、高効率化を図りつつ良好な空調制御を行うことができる多室型空気調和装置が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、冷媒を圧縮する圧縮機と、この圧縮機から吐出された冷媒の流路を切り替える四方弁と、この四方弁の一端と接続され外気との熱交換を行う室外熱交換器と、この室外熱交換器と分岐接続され冷媒流量の調整を行う複数の膨張弁等からなる室外ユニットと、室内空気と熱交換を行う室内熱交換器等からなる複数台の室内ユニットと、前記室外ユニットと前記複数の室内ユニットとをガス状冷媒が流れるガス側配管および液状冷媒が流れる液側配管を介して接続した複数の室内の空調を行う多室型空気調和装置において、前記圧縮機の吐出部の冷媒の過熱度である圧縮機吐出過熱度を検出する圧縮機吐出過熱度検出器と、前記室内熱交換器の吐出部の冷媒の過冷却度である室内熱交換器出口過冷却度を検出する室内熱交換器出口過冷却度検出器と、前記室内ユニットを設置した空気調和すべき空間である空調空間の目標温度を設定する目標温度設定器と、前記空調空間の温度を検出する空間温度検出器とを設け、前記圧縮機吐出過熱度検出器により検出される圧縮機吐出過熱度、圧縮機吐出過熱度の目標値、連続する制御サイクルにおける前回の制御時の膨張弁の開いている度合を示す膨張弁開度を入力として、前記圧縮機吐出過熱度が前記圧縮機吐出過熱度の目標値に一致するように前記膨張弁開度を決定する第1開度決定器と、圧縮機吐出過熱度の4つのしきい値F1d、F2d、F3d、F4dが不等式F1d≦F2d≦F3d≦F4dに示す関係を有する場合に、前記圧縮機吐出過熱度が第2のしきい値F2dより大きく、かつ、第3のしきい値F3dより小さい場合には、現在の膨張弁開度を維持し、前記圧縮機吐出過熱度が第1のしきい値F1dより小さい場合、あるいは第4のしきい値F4dより大きい場合には、前記膨張弁開度を前記第1開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、前記圧縮機吐出過熱度が第1のしきい値F1d以上、かつ、第2のしきい値F2d以下の場合、もしくは、第3のしきい値F3d以上、かつ、第4のしきい値F4d以下の場合には、前記膨張弁開度を前記第1開度決定器が決定した膨張弁開度と、現在の膨張弁開度とから、圧縮機吐出過熱度を変数とするファジィメンバーシップ関数により求められた膨張弁開度に決定する第2開度決定器と、前記室内熱交換器出口過冷却度検出器により検出される室内熱交換器出口過冷却度、室内熱交換器出口過冷却度の目標値、および前記第2開度決定器が決定した膨張弁開度を入力として、前記室内熱交換器出口過冷却度が前記室内熱交換器出口過冷却度の目標値に一致するように膨張弁の開度を決定する第3開度決定器と、前記空調空間の温度、前記目標温度、および前記第2開度決定器が決定した膨張弁開度を入力として、前記空調空間の温度が前記目標温度に一致するように、前記膨張弁開度を決定する第4開度決定器と、室内熱交換器出口過冷却度の4つのしきい値F1c、F2c、F3c、F4cが不等式F1c≦F2c≦F3c≦F4cに示す関係を有する場合に、前記室内熱交換器出口過冷却度が第1のしきい値F1cより小さいか、もしくは、第4のしきい値F4cより大きい場合には、前記膨張弁開度を前記第3開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、前記室内熱交換器出口過冷却度が第2のしきい値F2cより大きく、かつ、第3のしきい値F3cより小さい場合には、前記膨張弁開度を前記第4開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、前記室内熱交換器出口過冷却度が第1のしきい値F1c以上、かつ第2のしきい値F2c以下の場合、もしくは第3のしきい値F3c以上、かつ、第4のしきい値F4c以下の場合には、前記膨張弁開度を前記第3開度決定器が決定した膨張弁開度と、前記第4開度決定器が決定した膨張弁開度とから室内熱交換器出口過冷却度を変数とするファジィメンバーシップ関数により求められた膨張弁開度に決定する第5開度決定器とからなる膨張弁制御装置を設けた構成としたものであり、暖房運転時に膨張弁で圧縮機吐出過熱度を制御することにより、吐出温度の上昇や圧縮機へ湿り状態の冷媒が吸入される液バックを抑制し、また、ファジィ推論を用いるので膨張弁が吐出過熱度を制御するため頻繁に動作せず安定したサイクル状態を維持でき、更に空調空間の温度制御と室内熱交換器から吐出した冷媒の過冷却度の制御をファジィ推論を用いて切換、融合するので室内熱交換器において室内空気と冷媒の熱交換を効率良く行いつつ空調空間の温度を良好に制御できるという作用を有する。
【0013】
また、冷媒を圧縮する圧縮機と、この圧縮機から吐出された冷媒の流路を切り替える四方弁と、この四方弁の一端と接続され外気との熱交換を行う室外熱交換器と、この室外熱交換器と分岐接続され冷媒流量の調整を行う複数の膨張弁等からなる室外ユニットと、室内空気と熱交換を行う室内熱交換器等からなる複数台の室内ユニットと、前記室外ユニットと前記複数の室内ユニットとをガス状冷媒が流れるガス側配管および液状冷媒が流れる液側配管を介して接続した複数の室内の空調を行う多室型空気調和装置において、前記圧縮機の吸入部の冷媒の過熱度である圧縮機吸入過熱度を検出する圧縮機吸入過熱度検出器と、前記室内熱交換器の吐出部の冷媒の過熱度である室内熱交換器出口過熱度を検出する室内熱交換器出口過熱度検出器と、前記室内ユニットを設置した空気調和すべき空間である空調空間の目標温度を設定する目標温度設定器と、前記空調空間の温度を検出する空間温度検出器とを設け、前記圧縮機吸入過熱度検出器により検出される圧縮機吸入過熱度、圧縮機吸入過熱度の目標値、連続する制御サイクルにおける前回の制御時の膨張弁の開いている度合を示す膨張弁開度を入力として、前記圧縮機吸入過熱度が前記圧縮機吸入過熱度の目標値に一致するように前記膨張弁開度を決定する第6開度決定器と、圧縮機吸入過熱度の4つのしきい値F1s、F2s、F3s、F4sが不等式F1s≦F2s≦F3s≦F4sに示す関係を有する場合に、前記圧縮機吸入過熱度が第2のしきい値F2sより大きく、かつ、第3のしきい値F3sより小さい場合には、現在の膨張弁開度を維持し、前記圧縮機吸入過熱度が第1のしきい値F1sより小さい場合、あるいは第4のしきい値F4sより大きい場合には、前記膨張弁開度を前記第6開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、前記圧縮機吸入過熱度が第1のしきい値F1s以上、かつ、第2のしきい値F2s以下の場合、もしくは、第3のしきい値F3s以上、かつ、第4のしきい値F4s以下の場合には、前記膨張弁開度を前記第6開度決定器が決定した膨張弁開度と、現在の膨張弁開度とから、圧縮機吸入過熱度を変数とするファジィメンバーシップ関数により求められた膨張弁開度に決定する第7開度決定器と、前記室内熱交換器出口過熱度検出器により検出される室内熱交換器出口過熱度、室内熱交換器出口過熱度の目標値、および前記第7開度決定器が決定した膨張弁開度を入力として、前記室内熱交換器出口過熱度が前記室内熱交換器出口過熱度の目標値に一致するように膨張弁の開度を決定する第8開度決定器と、前記空調空間の温度、前記目標温度、および前記第7開度決定器が決定した膨張弁開度を入力として、前記空調空間の温度が前記目標温度に一致するように、前記膨張弁開度を決定する第9開度決定器と、室内熱交換器出口過熱度の4つのしきい値F1h、F2h、F3h、F4hが不等式F1h≦F2h≦F3h≦F4hに示す関係を有する場合に、前記室内熱交換器出口過熱度が第1のしきい値F1hより小さいか、もしくは、第4のしきい値F4hより大きい場合には、前記膨張弁開度を前記第8開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、前記室内熱交換器出口過熱度が第2のしきい値F2hより大きく、かつ、第3のしきい値F3hより小さい場合には、前記膨張弁開度を前記第9開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、前記室内熱交換器出口過熱度が第1のしきい値F1h以上、かつ第2のしきい値F2h以下の場合、もしくは第3のしきい値F3h以上、かつ、第4のしきい値F4h以下の場合には、前記膨張弁開度を前記第8開度決定器が決定した膨張弁開度と、前記第9開度決定器が決定した膨張弁開度とから室内熱交換器出口過熱度を変数とするファジィメンバーシップ関数により求められた膨張弁開度に決定する第10開度決定器とからなる膨張弁制御装置を設けた構成としたものであり、冷房運転時に膨張弁で圧縮機吸入過熱度を制御することにより、吐出温度の上昇や圧縮機へ湿り状態の冷媒が吸入される液バックを抑制し、また、ファジィ推論を用いるので膨張弁が吸入過熱度を制御するため頻繁に動作せず安定したサイクル状態を維持でき、更に空調空間の温度制御と室内熱交換器から吐出した冷媒の過熱度の制御をファジィ推論を用いて切換、融合するので室内熱交換器において室内空気と冷媒の熱交換を効率良く行いつつ空調空間の温度を良好に制御できるという作用を有する。
【0014】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0015】
【実施例】
(実施例1)
図1は、多室型空気調和装置の暖房運転時の全体構成図を示している。
【0016】
図1に示すように、冷媒を圧縮する圧縮機1、圧縮機1から吐出された冷媒の流路を切り替える四方弁2、室外熱交換器3、室外熱交換器3に外気を送風する室外ファン4、室外熱交換器3と分岐接続される膨張弁5a、5b、5cとから構成される室外ユニット6と、室内熱交換器7a、7b、7c、室内熱交換器7a、7b、7cに各々室内空気を送風する室内ファン8a、8b、8c等から構成される室内ユニット9a、9b、9cとをガス側配管10a、10b、10cおよび液側配管11a、11b、11cを介して接続した構成となっている。室内ユニット9a、9b、9cは、各々が空調を行う3つの空間A、B、Cに配置されている。また、室外ユニット6には、圧縮機1の吐出部の冷媒温度を検出する吐出温度センサ12、暖房サイクルにおいて高圧部分となる配管に設けられた圧力センサ13、圧縮機吐出過熱度演算器14、圧縮機吐出過熱度目標設定器15、室内熱交換器出口過冷却度演算器16、室内熱交換器出口過冷却度目標設定器17が設けられている。また、室内ユニット9a、9b、9cには、各々の空調空間A、B、Cの温度を検出する空調空間温度センサ18a、18b、18c、空調空間の温度を設定する空調温度設定器19a、19b、19c、室内熱交換器7a、7b、7cの出口側の冷媒温度を検出する室内熱交換器出口冷媒温度センサ20a、20b、20cを設けている。さらに膨張弁5a、5b、5cの開度の制御を行う膨張弁制御装置21が室外ユニット6内に設けられた構成となっている。
【0017】
上記構成において、暖房運転を行う際の運転動作について図1を参照しながら説明する。圧縮機1で圧縮され吐出した冷媒は、四方弁2によって実線に示す方向に流れ、膨張弁5a、5b、5cの開度に応じて室内ユニット9a、9b、9cに分流され、ガス側配管10a、10b、10cを通って室内熱交換器7a、7b、7cに各々流入する。室内熱交換器7a、7b、7c内で冷媒は室内ファン8a、8b、8cにより室内空気と熱交換がなされ凝縮液化する。凝縮液化した冷媒は、液側配管11a、11b、11cを通って室外ユニット6に戻り、膨張弁5a、5b、5cのそれぞれの開度に応じて減圧された後、室外熱交換器3に流入する。室外熱交換器3内で冷媒は室外ファン4により、外気と熱交換がなされ蒸発気化する。蒸発気化した冷媒は再び四方弁2を通って圧縮機1に吸入されることになる。
【0018】
次に制御動作について説明する。制御動作は一定の周期で繰り返され、各周期毎に温度と圧力が検出され、それに基づいて制御出力が出力される。図2に暖房運転時の膨張弁制御系の制御ブロック図を示す。
【0019】
図2に示す暖房運転時の膨張弁5a、5b、5cの開度制御系は、吐出温度センサ12、圧力センサ13、圧縮機吐出過熱度演算器14、圧縮機吐出過熱度目標設定器15、室内熱交換器出口過冷却度演算器16、室内熱交換器出口過冷却度目標設定器17、空調空間温度センサ18a、18b、18c、空調温度設定器19a、19b、19c、室内熱交換器出口冷媒温度センサ20a、20b、20c、膨張弁制御装置21から構成されている。
【0020】
吐出温度センサ12は、圧縮機1の吐出側の配管に取り付けられており、圧縮機1から吐出した冷媒の温度を検出する。圧力センサ13は、暖房サイクルにおいて高圧部分となる配管に設けられ、高圧冷媒の圧力を検出する。圧縮機吐出過熱度演算器14は、圧力センサ13により検出された冷媒圧力から冷媒圧力と1対1の関係にある冷媒飽和温度を求め、その冷媒温度を吐出温度センサ12により検出された冷媒温度から減じて圧縮機吐出過熱度SHdを算出する。圧縮機吐出過熱度SHdと、圧縮機1の吸入口付近における冷媒の過熱度および乾き度とは実験的および経験的にそれぞれの対応関係が知られているので、圧縮機吐出過熱度SHdを算出することにより、間接的に、圧縮機吸入過熱度または乾き度を検出することができる。
【0021】
圧縮機吐出過熱度目標設定器15は、ヒートポンプサイクルの動作の安定性を考慮して、最も適していると思われる圧縮機吸入過熱度と対応付けられる圧縮機吐出過熱度SHdの目標値を設定するためのものであり、既知の設定器から構成される。なお、設定値には、後述する圧縮機吐出過熱度SHdの適正範囲内のある値が用いられる。
【0022】
室内熱交換器出口過冷却度演算器16は、圧力センサ13で検出される高圧側の冷媒圧力と1対1の関係にある冷媒飽和温度を求め、その冷媒飽和温度から室内熱交換器出口冷媒温度センサ20a、20b、20cにより検出される室内熱交換器7a、7b、7cの吐出部分の冷媒温度を各々減じて室内熱交換器7a、7b、7cの吐出部分での冷媒の過冷却度である室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCb、SCcを算出する装置である。
【0023】
室内熱交換器出口過冷却度目標設定器17は、室内熱交換器7a、7b、7cの効率とヒートポンプの制御サイクルにおける動作安定性を考慮して、最適と思われる室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCb、SCcの目標値を設定するためのものであり、既知の設定器が使用される。なお、設定値には、後述する室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCb、SCcの適正範囲内のある値が用いられる。
【0024】
空調空間温度センサ18a、18b、18cは室内ファン8a、8b、8cの空気吸入口における空気温度を測定する。
【0025】
空調温度設定器19a、19b、19cは、本装置の使用者が、所望する空調空間の目標温度を設定するためのものであり、既知の温度設定器が使用される。
【0026】
膨張弁制御装置21は、圧縮機吐出過熱度演算器14で算出される圧縮機吐出過熱度SHdと、圧縮機吐出過熱度目標設定器15で設定される圧縮機吐出過熱度目標値と、室内熱交換器出口過冷却度演算器16で算出される室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCb、SCcと、室内熱交換器出口過冷却度目標設定器17で設定される室内熱交換器出口過冷却度目標値と、空調空間温度センサ18a、18b、18cで検出される空調空間温度と、空調温度設定器19a、19b、19cで設定されている目標温度とから膨張弁5a、5b、5cの開度の制御を行う装置である。膨張弁制御装置21は、以下に説明する前回値記憶器22、第1開度決定器23、第2開度決定器24、第3開度決定器25、第4開度決定器26、第5開度決定器27とから構成されている。
【0027】
前回値記憶器22は、膨張弁5a、5b、5cの開度の制御をする度にその開度ULa、ULb、ULcを記憶しておく装置である。なお、利用側膨張弁5a、5b、5cは、0パルス(全閉)〜500パルス(全開)の動作範囲を有する。
【0028】
第1開度決定器23においては、圧縮機吐出過熱度SHdが後述する圧縮機吐出過熱度のしきい値F2d、F3dに対して
式(1) SHd≦F2d、F3d≧SHd
に示す関係にある時、圧縮機吐出過熱度演算器14によって演算される圧縮機吐出過熱度SHdを圧縮機吐出過熱度目標設定器15で設定されている圧縮機吐出過熱度目標値に一致させるように、膨張弁5a、5b、5cの各々の開度の変化量が演算される。その演算結果が前回値記憶器22に記憶されている前回制御時の膨張弁開度ULa、ULb、ULcに各々加算されることにより、膨張弁5a、5b、5cの次回の制御サイクルにおける開度U1a、U1b、U1cが決定される。第1開度決定器23には既知の速度型I−P制御装置が使用される。
【0029】
第2開度決定器24は、前回値記憶器22により記憶されている開度ULa、ULb、ULcと第1開度決定器23で決定された開度U1a、U1b、U1cとから図3に示す、圧縮機吐出過熱度SHdを変数とするファジィメンバーシップ関数に基づき、膨張弁5a、5b、5cの開度U2a、U2b、U2cを決定する装置である。第2開度決定器24で行われるファジィ演算には、マイクロプロセッサ等から構成される既知の演算装置が使用される。ファジィメンバーシップ関数としては、式(2)で与えられる前回値記憶器22で記憶される開度による制御のファジィメンバーシップ関数ψ1dと、式(3)で与えられる圧縮機吐出過熱度SHdの制御のファジィメンバーシップ関数ψ2dとが用いられる。式(2)において、4つのしきい値F1d、F2d、F3d、F4dと圧縮機吐出過熱度SHdが括弧[ ]内に示す関係にあるとき、ファジィメンバーシップ関数ψ1dの値は、それぞれの右側に示す値となる。
【0030】
式(2)
[SHd<F1d]→0
[F1d≦SHd≦F2d]→(SHd−F1d)/(F2d−F1d)
[F2d<SHd<F3d]→1
式(3)
[F3d≦SHd≦F4d]→(SHd−F4d)/(F3d−F4d)
[F4d<SHd]→0
ψ2d=1−ψ1d
上記関数ψ1d及びψ2dを用いることにより、膨張弁開度U2i(iはa、b、c)は、式(4)により算出される。
【0031】
式(4)
U2i=ψ1d×ULi+ψ2d×U2i(i=a、b、c)
また、圧縮機吐出過熱度SHdのしきい値F1d、F2d、F3d、F4dは、制御サイクル動作の安定性を考慮して適していると思われる圧縮機吸入過熱度と対応付けられる圧縮機吐出過熱度SHdから、
F1d=15、F2d=20、F3d=50、F4d=60
と設定し、しきい値F1dからF4dの間を圧縮機吐出過熱度SHdの許容範囲とし、しきい値F2dからF3dの間を圧縮機吐出過熱度SHdの適正範囲とする。なお、圧縮機吐出過熱度目標設定器15で設定される圧縮機吐出過熱度目標値には、適正範囲内のある値、例えばF2dとF3dの中心値である35が用いられる。
【0032】
第3開度決定器25においては、室内熱交換器出口過冷却度SCi(i=a、b、c)が後述する室内熱交換器出口過冷却度のしきい値F2c、F3cに対して、
式(5)
SCi≦F2c、F3c≦SCi(i=a、b、c)
に示す関係にある時、室内熱交換器出口過冷却度演算器16によって演算される各々の室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCb、SCcが室内熱交換器出口過冷却度目標設定器17で設定されている室内熱交換器出口過冷却度の目標値に一致させるように、膨張弁5a、5b、5cの開度の変化量が各々演算される。その演算結果が第2開度決定器24で決定された膨張弁開度U2a、U2b、U2cに各々加算されることにより膨張弁5a、5b、5cの次回の制御サイクルにおける各々の開度U3a、U3b、U3cが決定される。第3開度決定器25には既知の速度型I−P制御装置が使用される。
【0033】
第4開度決定器26においては、空調空間温度センサ18a、18b、18cによって検出される各々の空調空間の温度を空調温度設定器19a、19b、19cで設定されている各々の目標温度に一致させるように、現在の膨張弁開度5a、5b、5cからの必要な変化量が各々演算される。その演算結果を第2開度決定器24で決定された膨張弁開度U2a、U2b、U2cに各々加算することにより、第4開度決定器26において膨張弁5a、5b、5cの次回の制御サイクルにおける各々の開度U4a、U4b、U4cが決定される。第4開度決定器26には既知の速度型I−P制御装置が使用される。
【0034】
第5開度決定器27は、第3開度決定器25で決定された開度U3a、U3b、U3cと第4開度決定器26で決定された開度U4a、U4b、U4cとから図4に示す、室内熱交換器出口過冷却度SCi(i=a、b、c)を変数とするファジィメンバーシップ関数に基づき、膨張弁5a、5b、5cを操作する開度を決定する。この第5開度決定器27で行われるファジィ演算には、マイクロプロセッサ等から構成される既知の演算装置が使用される。ファジィメンバーシップ関数としては、次式(6)で与えられる室内熱交換器出口過冷却度SCiの制御のファジィメンバーシップ関数ψ1iと、式(7)で与えられる空調空間温度制御のファジィメンバーシップ関数ψ2iとが用いられる。式(6)において、あらかじめ定められた室内熱交換器出口過冷却度のしきい値F1c、F2c、F3c、F4cと室内熱交換器出口過冷却度SCi(i=a、b、c)が括弧[ ]内に示す関係にあるとき、ファジィメンバーシップ関数ψ1iの値は、それぞれ右側に示す値となる。
【0035】
式(6)
[SCi<F1c]→1
[F1c≦SCi≦F2c]→(F2c−SCi)/(F2c−F1c)
[F2c<SCi<F3c]→0
式(7)
[F3c≦SCi≦F4c]→(F3c−SCi)/(F3c−F4c)
[F4c<SCi]→1
ψ2i=1−ψ1i
上記のファジィメンバーシップ関数ψ1i、ψ2iを用いることにより、実際の制御における膨張弁5a、5b、5cの開度U5a、U5b、U5cは、式(8)により算出される。
【0036】
式(8)
U5i=ψ1i×U3i+ψ2i×U4i (i=a、b、c)
また、室内熱交換器出口過冷却度のしきい値F1c、F2c、F3c、F4cは、室内熱交換器7a、7b、7cの効率と室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCb、SCcとの関係、および、ヒートポンプサイクルの動作安定性などを考慮して、F1c=5、F2c=7、F3c=17、F4c=20と設定する。
【0037】
そしてしきい値F1cからF4cの間を室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCb、SCcの許容範囲とし、しきい値F2cからF3cの間を室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCb、SCcの適正範囲とする。また、室内熱交換器出口過冷却度目標設定器17で設定される室内熱交換器出口過冷却度目標値には、適正範囲内のある値、例えばF2cとF3cの中心値である12が用いられる。なお、制御動作を起動する時には、第5開度決定器27は、膨張弁開度U5a、U5b、U5cが全開時の40%の開度200パルスであることを示す信号を出力するように設定されている。
【0038】
以上の構成からなる膨張弁開度制御系の制御について、具体的な数値例を挙げながら説明する。
【0039】
まず、本装置の起動時は、第5開度決定器27の開度U5a、U5b、U5cは全開時の40%の開度を示す信号を出力するので、膨張弁5a、5b、5cの初期開度は、圧縮機吐出過熱度SHd、室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCb、SCc、室温等に関わらず全て200パルスとなる。
【0040】
そして、起動後の第1回の制御サイクルにおいて、前回値記憶器22には、前回の膨張弁開度である初期開度200パルスが記憶される。すなわち、
ULa=U5a=200
ULb=U5b=200
ULc=U5c=200となる。
【0041】
第1開度決定器23では、圧縮機吐出過熱度SHdを目標値まで増加させるため膨張弁5a、5b、5cの開度変化量として、現在の開度から各々20%減少するように演算されると仮定すると、第1開度決定器23で決定される膨張弁開度U1a、U1b、U1cは、
U1a=ULa−ULa×0.2=200−200×0.2=160(パルス)
U1b=ULb−ULb×0.2=200−200×0.2=160(パルス)
U1c=ULc−ULc×0.2=200−200×0.2=160(パルス)となる。
【0042】
その時の圧縮機吐出過熱度SHdが10Kであったとすると、式(2)、式(3)より、ファジィメンバーシップ関数ψ1dとψ2dの値はそれぞれ、ψ1d=0、ψ2d=1となる。従って第2開度決定器24でファジィ演算により決定される膨張弁開度U2a、U2b、U2cは、
U2a=ψ1d×ULa+ψ2d×U1a=0×200+1×160=160(パルス)
U2b=ψ1d×ULb+ψ2d×U1b=0×200+1×160=160(パルス)
U2c=ψ1d×ULc+ψ2d×U1c=0×200+1×160=160(パルス)となり、初期開度から40パルス閉められる。
【0043】
第2開度決定器24で演算された膨張弁開度U2a、U2b、U2cは、第3開度決定器25および第4開度決定器26に出力される。その時の室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCb、SCcが全て2Kであり、第3開度決定器25において、室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCb、SCcを目標値まで増加させるために膨張弁開度の変化量として、各々10パルス減少するように演算されると仮定すると、第3開度決定器25で決定される膨張弁開度U3a、U3b、U3cは、
U3a=U2a−10=160−10=150(パルス)
U3b=U2b−10=160−10=150(パルス)
U3c=U2c−10=160−10=150(パルス)となる。
【0044】
一方、各々の空調空間A、B、Cの温度をそれぞれ上げるために、第4開度決定器26において、膨張弁開度の変化量として、各々40パルス増加するように演算されると仮定すると、第4開度決定器26で決定される膨張弁開度U4a、U4b、U4cは、
U4a=U2a+40=160+40=200(パルス)
U4b=U2b+40=160+40=200(パルス)
U4c=U2c+40=160+40=200(パルス)となる。
【0045】
ここで室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCb、SCcは全て2Kであるので、式(6)、式(7)より、ファジィメンバーシップ関数ψ1iとψ2iの値はそれぞれ、
ψ1a=1、ψ2a=0
ψ1b=1、ψ2b=0
ψ1c=1、ψ2c=0となる。
【0046】
従って第5開度決定器27でファジィ演算により得られる膨張弁開度U5a、U5b、U5cは、
U5a=ψ1a×U3a+ψ2a×U4a=1×150+0×200=150(パルス)
U5b=ψ1b×U3b+ψ2b×U4b=1×150+0×200=150(パルス)
U5c=ψ1c×U3c+ψ2c×U4c=1×150+0×200=150(パルス)となり、初期開度200パルスから50パルス閉められることになる。
【0047】
つまり装置起動時のように冷凍サイクルの挙動が不安定であり、圧縮機吐出過熱度SHdや室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCb、SCcが確保できない運転状態のときには、適正なサイクル状態となるように膨張弁5a、5b、5cは操作される。また、この時点で前回値記憶器22には、第5開度決定器27で決定した膨張弁開度開度U5a、U5b、U5cが記憶される。すなわち、
ULa=U5a=150
ULb=U5b=150
ULc=U5c=150となる。
【0048】
次に第2回目の制御サイクルにおいて、膨張弁5a、5b、5cの開度が各々200パルスから150パルスに減少したことにより、圧縮機吐出過熱度SHdが10Kから17.5Kに、室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCb、SCcが各々2Kから6Kに上昇したとする。
【0049】
第1開度決定器23では、圧縮機吐出過熱度SHdを目標値まで増加させるため膨張弁5a、5b、5cの開度変化量として、現在の開度から各々16%減少するように演算されると仮定すると、第1開度決定器23で決定される膨張弁開度U1a、U1b、U1cは、
U1a=ULa−ULa×0.16=150−150×0.16=126(パルス)
U1b=ULb−ULb×0.16=150−150×0.16=126(パルス)
U1c=ULc−ULc×0.16=150−150×0.16=126(パルス)となる。
【0050】
その時の圧縮機吐出過熱度SHdは17.5Kであるので、式(2)、式(3)より、ファジィメンバーシップ関数ψ1dとψ2dの値はそれぞれ、
ψ1d=0.5、ψ2d=0.5となる。
【0051】
従って第2開度決定器24でファジィ演算により決定される膨張弁開度U2a、U2b、U2cは、
U2a=ψ1d×ULa+ψ2d×U1a=0.5×150+0.5×126=138(パルス)
U2b=ψ1d×ULb+ψ2d×U1b=0.5×150+0.5×126=138(パルス)
U2c=ψ1d×ULc+ψ2d×U1c=0.5×150+0.5×126=138(パルス)となる。
【0052】
第3開度決定器25において、室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCb、SCcを目標値まで増加させるために膨張弁開度の変化量として、各々8パルス減少するように演算されると仮定すると、第3開度決定器25で決定される膨張弁開度U3a、U3b、U3cは、
U3a=U2a−8=138−8=130(パルス)
U3b=U2b−8=138−8=130(パルス)
U3c=U2c−8=138−8=130(パルス)となる。
【0053】
一方、第4開度決定器26において空調空間Aの温度を上げるため、膨張弁5aの開度の変化量として12パルス増加するように演算され、空調空間B、Cは、空調空間Aよりも空調負荷が大きく膨張弁5b、5cの開度の変化量として各々32パルス増加するように演算されると仮定すると、第4開度決定器26で決定される膨張弁開度U4a、U4b、U4cは、
U4a=U2a+12=138+12=150(パルス)
U4b=U2b+32=138+32=170(パルス)
U4c=U2c+32=138+32=170(パルス)となる。
【0054】
ここで室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCb、SCcは全て6Kであるので、式(6)、式(7)より、ファジィメンバーシップ関数ψ1iとψ2iの値はそれぞれ、
ψ1a=0.5、ψ2a=0.5
ψ1b=0.5、ψ2b=0.5
ψ1c=0.5、ψ2c=0.5となる。
【0055】
従って第5開度決定器27でファジィ演算により得られる膨張弁開度U5a、U5b、U5cは、
U5a=ψ1a×U3a+ψ2a×U4a=0.5×130+0.5×150=140(パルス)
U5b=ψ1b×U3b+ψ2b×U4b=0.5×130+0.5×170=150(パルス)
U5c=ψ1c×U3c+ψ2c×U4c=0.5×130+0.5×170=150(パルス)となり、膨張弁5aは10パルス閉まり、膨張弁5b、5cは現在開度を維持することになる。
【0056】
このように圧縮機吐出過熱度SHd、室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCb、SCcが確保され出し、適正なサイクル運転状態に近づいた際には、効率の良い運転を行うため更にサイクル状態の適正化を図るとともに、空調空間A、B、Cの各々の空調負荷に対応するように膨張弁5a、5b、5cは操作される。また、この時点で前回値記憶器22には、第5開度決定器27で決定した膨張弁開度開度U5a、U5b、U5cが記憶される。すなわち、
ULa=U5a=140
ULb=U5b=150
ULc=U5c=150となる。
【0057】
次に第3回目の制御サイクルにおいて、圧縮機吐出過熱度SHdが適正範囲内の25Kに、室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCbが6Kから適正範囲内の8Kに上昇し、SCcは6Kを維持したとする。
【0058】
第1開度決定器23では、圧縮機吐出過熱度SHdを目標値まで増加させるため膨張弁5a、5b、5cの開度変化量として、現在の開度から各々10%減少するように演算されると仮定すると、第1開度決定器23で決定される膨張弁開度U1a、U1b、U1cは、
U1a=ULa−ULa×0.1=140−140×0.1=126(パルス)
U1b=ULb−ULb×0.1=150−150×0.1=135(パルス)
U1c=ULc−ULc×0.1=150−150×0.1=135(パルス)となる。
【0059】
その時の圧縮機吐出過熱度SHdは25Kであるので、式(2)、式(3)より、ファジィメンバーシップ関数ψ1dとψ2dの値はそれぞれ、ψ1d=1、ψ2d=0となる。
【0060】
従って第2開度決定器24でファジィ演算により決定される膨張弁開度U2a、U2b、U2cは、
U2a=ψ1d×ULa+ψ2d×U1a=1×140+0×126=140(パルス)
U2b=ψ1d×ULb+ψ2d×U1b=1×150+0×135=150(パルス)
U2c=ψ1d×ULc+ψ2d×U1c=1×150+0×135=150(パルス)となる。
【0061】
第3開度決定器25において、室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCb、SCcを目標値まで増加させるために膨張弁5a、5bの開度の変化量として6パルス減少するように演算され、膨張弁5cの開度の変化量として、8パルス減少するように演算されると仮定すると、第3開度決定器25で決定される膨張弁開度U3a、U3b、U3cは、
U3a=U2a−6=140−6=134(パルス)
U3b=U2b−6=150−6=144(パルス)
U3c=U2c−8=150−8=142(パルス)となる。
【0062】
一方、第4開度決定器26において空調空間Aの温度を上げるため、膨張弁5aの開度の変化量として10パルス増加するように演算され、空調空間B、Cは、空調空間Aよりも空調負荷が大きく膨張弁5b、5cの開度の変化量として各々16パルス増加するように演算されると仮定すると、第4開度決定器26で決定される膨張弁開度U4a、U4b、U4cは、
U4a=U2a+10=140+10=150(パルス)
U4b=U2b+16=150+16=166(パルス)
U4c=U2c+16=150+16=166(パルス)となる。
【0063】
ここで室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCbは8Kであり、SCcは6Kであるので、式(6)、式(7)より、ファジィメンバーシップ関数ψ1iとψ2iの値はそれぞれ、
ψ1a=0、ψ2a=1
ψ1b=0、ψ2b=1
ψ1c=0.5、ψ2c=0.5となる。
【0064】
従って第5開度決定器27でファジィ演算により得られる膨張弁開度U5a、U5b、U5cは、
U5a=ψ1a×U3a+ψ2a×U4a=0×134+1×150=150(パルス)
U5b=ψ1b×U3b+ψ2b×U4b=0×144+1×166=166(パルス)
U5c=ψ1c×U3c+ψ2c×U4c=0.5×142+0.5×166=154(パルス)となり、膨張弁5aは10パルス開き、膨張弁5bは、16パルス開き、膨張弁5cは4パルス開くことになる。
【0065】
このように圧縮機吐出過熱度SHdが完全に確保され、室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCbが適正な範囲まで上昇した際には、膨張弁5a、5bは、各々の空調空間A、Bの空調負荷に対応するように操作され、室内熱交換器出口過冷却度SCcは、十分には確保されていないので、膨張弁5cは、室内熱交換器7cでの効率を高めるように室内熱交換器出口過冷却度SCcを上昇させるとともに、空調空間Cの空調負荷に対応するように操作される。
【0066】
以上のように、全ての膨張弁5a、5b、5cで圧縮機吐出過熱度SHdを適正な範囲に制御するとともに、膨張弁5aは、室内熱交換器出口過冷却度SCaを適正な範囲に制御するとともに空調空間Aの温度を目標温度に一致させるように制御し、膨張弁5bは、室内熱交換器出口過冷却度SCbを適正な範囲に制御するとともに空調空間Bの温度を目標温度に一致させるように制御し、膨張弁5cは、室内熱交換器出口過冷却度SCcを適正な範囲に制御するとともに空調空間Cの温度を目標温度に一致させるように制御するので、暖房運転において圧縮機1への液バックや圧縮機1から吐出される冷媒の温度上昇を防ぐとともに、室内熱交換器7a、7b、7cで効率の良い運転を行いつつ、各々の空調空間A、B、Cにおいて良好な空調制御を行うことができる。
【0067】
なお、本実施例では、室内ユニット9a、9b、9cの台数を3台としたが、3台というのは、単なる一例であり、室内ユニットの数は、1台以上であれば数に制限はない。
【0068】
また、圧縮機吐出過熱度SHdおよび室内熱交換器出口過冷却度SCa、SCb、SCcの各しきい値および目標値は、室内熱交換器7a、7b、7c、圧縮機1等の仕様により、適宜変更することが可能である。
【0069】
また、制御動作を起動する時の第5開度決定器27が出力する膨張弁開度U5a、U5b、U5cを全開時の40%の開度200パルスとしたが、室内ユニット9a、9b、9cの能力ランク、空調空間温度と目標温度の差等により各々変更することが可能であり、能力ランク、空調空間温度と目標温度の差が大きければ膨張弁開度を大きく設定し、能力ランク、空調空間温度と目標温度の差が小さければ膨張弁開度を小さく設定することが望ましい。
【0070】
そして、使用する冷媒は、単一組成体、共沸混合体、擬似共沸混合体、非共沸混合体のいずれの種類のものであっても構わない。
【0071】
(実施例2)
図5は、多室型空気調和装置の冷房運転時の全体構成図を示している。
【0072】
図5に示すように、冷媒を圧縮する圧縮機1、圧縮機1から吐出された冷媒の流路を切り替える四方弁2、室外熱交換器3、室外熱交換器3に外気を送風する室外ファン4、室外熱交換器3と分岐接続される膨張弁5a、5b、5cとから構成される室外ユニット6と、室内熱交換器7a、7b、7cに各々室内空気を送風する室内ファン8a、8b、8c等から構成される室内ユニット9a、9b、9cとをガス側配管10a、10b、10cおよび液側配管11a、11b、11cを介して接続した構成となっている。
【0073】
室内ユニット9a、9b、9cは、各々が空調を行う3つの空間A、B、Cに配置されている。また、室外ユニット6には、圧縮機1の吸入部の冷媒温度を検出する吸入温度センサ28、冷房サイクルにおいて低圧部分となる配管に設けられた圧力センサ13、圧縮機吸入過熱度演算器29、圧縮機吸入過熱度目標設定器30、冷房サイクルにおいて室内熱交換器7a、7b、7cから戻ってきた各々の冷媒温度を検出する分岐管温度センサ31a、31b、31c、室内熱交換器出口過熱度演算器32、室内熱交換器出口過熱度目標設定器33が設けられている。
【0074】
また、室内機ユニット9a、9b、9cには、各々の空調空間A、B、Cの温度を検出する空調空間温度センサ18a、18b、18c、空調空間の温度を設定する空調温度設定器19a、19b、19cを設けている。さらに膨張弁5a、5b、5cの開度の制御を行う膨張弁制御装置34が室外ユニット6内に設けられた構成となっている。
【0075】
上記構成において、冷房運転を行う際の運転動作について図5を参照しながら説明する。圧縮機1で圧縮され吐出した冷媒は、四方弁2によって実線に示す方向に流れ、室外熱交換器3に流入する。室外熱交換器3内で冷媒は室外ファン4により、外気と熱交換がなされ凝縮液化する。凝縮液化した冷媒は、膨張弁5a、5b、5cのそれぞれの開度に応じて減圧されるとともに室内ユニット9a、9b、9cに分流され、液側配管11a、11b、11cを通って室内熱交換器7a、7b、7cに各々流入する。室内熱交換器7a、7b、7c内で冷媒は室内ファン8a、8b、8cにより室内空気と熱交換がなされ蒸発気化する。蒸発気化した冷媒は、ガス側配管10a、10b、10cを通って室外ユニット6に戻り、再び四方弁2を通って圧縮機1に吸入されることになる。
【0076】
次に制御動作について説明する。制御動作は一定の周期で繰り返され、各周期毎に温度と圧力が検出され、それに基づいて制御出力が出力される。図6に冷房運転時の膨張弁制御系の制御ブロック図を示す。
【0077】
図6に示す冷房運転時の膨張弁5a、5b、5cの開度制御系は、吸入温度センサ28、圧力センサ13、圧縮機吸入過熱度演算器29、圧縮機吸入過熱度目標設定器30、分岐管温度センサ31a、31b、31c、室内熱交換器出口過熱度演算器32、室内熱交換器出口過熱度目標設定器33、空調空間温度センサ18a、18b、18c、空調温度設定器19a、19b、19c、膨張弁制御装置34から構成されている。
【0078】
吸入温度センサ28は、圧縮機1の吸入側の配管に取り付けられており、圧縮機1に吸入される冷媒の温度を検出する。圧力センサ13は、冷房サイクルにおいて低圧部分となる配管に設けられ、低圧冷媒の圧力を検出する。圧縮機吸入過熱度演算器29は、圧力センサ13により検出された冷媒圧力から冷媒圧力と1対1の関係にある冷媒飽和温度を求め、その冷媒温度を吸入温度センサ28により検出された冷媒温度から減じて圧縮機吸入過熱度SHsを算出する。
【0079】
圧縮機吸入過熱度目標設定器30は、ヒートポンプサイクルの動作の安定性を考慮して、最も適していると思われる圧縮機吸入過熱度SHsの目標値を設定するためのものであり、既知の設定器から構成される。なお、設定値には、後述する圧縮機吸入過熱度SHsの適正範囲内のある値が用いられる。分岐管温度センサ31a、31b、31cは、室外ユニット6内で室内熱交換器7a、7b、7cと各々接続するため分岐された配管であり、かつ冷房運転時に低圧となる配管に取り付けられており、冷房運転において、室内熱交換器7a、7b、7cから吐出しガス側配管10a、10b、10cを通って室外ユニット6内に戻ってきた各々の冷媒温度を検出する。
【0080】
室内熱交換器出口過熱度演算器32は、圧力センサ13で検出される低圧側の冷媒圧力と1対1の関係にある冷媒飽和温度を求め、その冷媒飽和温度を分岐管温度センサ31a、31b、31cにより検出される冷媒温度から各々減じて室内熱交換器7a、7b、7cから吐出した冷媒の過熱度である室内熱交換器出口過熱度SHa、SHb、SHcを算出する装置である。
【0081】
室内熱交換器出口過熱度目標設定器33は、室内熱交換器7a、7b、7cの効率とヒートポンプの制御サイクルにおける動作安定性を考慮して、最適と思われる室内熱交換器出口過熱度SHa、SHb、SHcの目標値を設定するためのものであり、既知の設定器が使用される。なお、設定値には、後述する室内熱交換器出口過熱度SHa、SHb、SHcの適正範囲内のある値が用いられる。
【0082】
空調空間温度センサ18a、18b、18cは室内ファン8a、8b、8cの空気吸入口における空気温度を測定する。
【0083】
空調温度設定器19a、19b、19cは、本装置の使用者が、所望する空調空間の目標温度を設定するためのものであり、既知の温度設定器が使用される。
【0084】
膨張弁制御装置34は、圧縮機吸入過熱度演算器29で算出される圧縮機吸入過熱度SHsと、圧縮機吸入過熱度目標設定器30で設定される圧縮機吸入過熱度目標値と、室内熱交換器出口過熱度演算器32で算出される室内熱交換器出口過熱度SHa、SHb、SHcと、室内熱交換器出口過熱度目標設定器33で設定される室内熱交換器出口過熱度目標値と、空調空間温度センサ18a、18b、18cで検出される空調空間温度と、空調温度設定器19a、19b、19cで設定されている目標温度とから膨張弁5a、5b、5cの開度の制御を行う装置である。膨張弁制御装置34は、以下に説明する前回値記憶器22、第6開度決定器35、第7開度決定器36、第8開度決定器37、第9開度決定器38、第10開度決定器39とから構成されている。
【0085】
前回値記憶器22は、膨張弁5a、5b、5cの開度の制御をする度にその開度ULa、ULb、ULcを記憶しておく装置である。なお、利用側膨張弁5a、5b、5cは、0パルス(全閉)〜500パルス(全開)の動作範囲を有する。
【0086】
第6開度決定器35においては、圧縮機吸入過熱度SHsが後述する圧縮機吸入過熱度のしきい値F2s、F3sに対して、
式(9)
SHs≦F2s、F3s≧SHs
に示す関係にある時、圧縮機吸入過熱度演算器29によって演算される圧縮機吸入過熱度SHsを圧縮機吸入過熱度目標設定器30で設定されている圧縮機吸入過熱度目標値に一致させるように、膨張弁5a、5b、5cの各々の開度の変化量が演算される。その演算結果が前回値記憶器22に記憶されている前回制御時の膨張弁開度ULa、ULb、ULcに各々加算されることにより、膨張弁5a、5b、5cの次回の制御サイクルにおける開度U6a、U6b、U6cが決定される。第6開度決定器35には既知の速度型I−P制御装置が使用される。
【0087】
第7開度決定器36は、前回値記憶器22により記憶されている開度ULa、ULb、ULcと第6開度決定器35で決定された開度U6a、U6b、U6cとから図7に示す、圧縮機吸入過熱度SHsを変数とするファジィメンバーシップ関数に基づき、膨張弁5a、5b、5cの開度U7a、U7b、U7cを決定する装置である。第7開度決定器36で行われるファジィ演算には、マイクロプロセッサ等から構成される既知の演算装置が使用される。ファジィメンバーシップ関数としては、式(10)で与えられる前回値記憶器22で記憶される開度による制御のファジィメンバーシップ関数ψ1sと、式(11)で与えられる圧縮機吸入過熱度SHsの制御のファジィメンバーシップ関数ψ2sとが用いられる。式(10)において、4つのしきい値F1s、F2s、F3s、F4sと圧縮機吸入過熱度SHsが括弧[ ]内に示す関係にあるとき、ファジィメンバーシップ関数ψ1sの値は、それぞれの右側に示す値となる。
【0088】
式(10)
[SHs<F1s]→0
[F1s≦SHs≦F2s]→(SHs−F1s)/(F2s−F1s)
[F2s<SHs<F3s]→1
式(11)
[F3s≦SHs≦F4s]→(SHs−F4s)/(F3s−F4s)
[F4s<SHs]→0
ψ2s=1−ψ1s
上記関数ψ1s及びψ2sを用いることにより、膨張弁開度U7i(iはa、b、c)は、式(12)により算出される。
【0089】
式(12)
U7i=ψ1s×ULi+ψ2s×U6i(i=a、b、c)
また、圧縮機吸入過熱度SHsのしきい値F1s、F2s、F3s、F4sは、制御サイクル動作の安定性を考慮して適していると思われる圧縮機吸入過熱度SHs、
F1s=−3、F2s=0、F3s=5、F4s=8
と設定し、しきい値F1sからF4sの間を圧縮機吸入過熱度SHsの許容範囲とし、しきい値F2sからF3sの間を圧縮機吸入過熱度SHsの適正範囲とする。なお、圧縮機吸入過熱度目標設定器30で設定される圧縮機吸入過熱度目標値には、適正範囲内のある値、例えばF2sとF3sの中心値である2.5が用いられる。
【0090】
第8開度決定器37においては、室内熱交換器出口過熱度SHi(i=a、b、c)が後述する室内熱交換器出口過熱度のしきい値F2h、F3hに対して、
式(13)
SHi≦F2h、F3h≦SHi(i=a、b、c)
に示す関係にある時、室内熱交換器出口過熱度演算器32によって演算される各々の室内熱交換器出口過熱度SHa、SHb、SHcが室内熱交換器出口過熱度目標設定器33で設定されている室内熱交換器出口過熱度の目標値に一致させるように、膨張弁5a、5b、5cの開度の変化量が各々演算される。その演算結果が第7開度決定器36で決定された膨張弁開度U7a、U7b、U7cに各々加算されることにより膨張弁5a、5b、5cの次回の制御サイクルにおける各々の開度U8a、U8b、U8cが決定される。第8開度決定器37には既知の速度型I−P制御装置が使用される。
【0091】
第9開度決定器38においては、空調空間温度センサ18a、18b、18cによって検出される各々の空調空間の温度を空調温度設定器19a、19b、19cで設定されている各々の目標温度に一致させるように、現在の膨張弁開度5a、5b、5cからの必要な変化量が各々演算される。その演算結果を第7開度決定器36で決定された膨張弁開度U7a、U7b、U7cに各々加算することにより、第9開度決定器38において膨張弁5a、5b、5cの次回の制御サイクルにおける各々の開度U9a、U9b、U9cが決定される。第9開度決定器38には既知の速度型I−P制御装置が使用される。
【0092】
第10開度決定器39は、第8開度決定器37で決定された開度U8a、U8b、U8cと第9開度決定器38で決定された開度U9a、U9b、U9cとから図8に示す、室内熱交換器出口過熱度SHi(i=a、b、c)を変数とするファジィメンバーシップ関数に基づき、膨張弁5a、5b、5cを操作する開度を決定する。この第10開度決定器39で行われるファジィ演算には、マイクロプロセッサ等から構成される既知の演算装置が使用される。ファジィメンバーシップ関数としては、次式(14)で与えられる室内熱交換器出口過熱度SHiの制御のファジィメンバーシップ関数ψ3iと、式(15)で与えられる空調空間温度制御のファジィメンバーシップ関数ψ4iとが用いられる。式(14)において、あらかじめ定められた室内熱交換器出口過熱度のしきい値F1h、F2h、F3h、F4hと室内熱交換器出口過冷却度SHi(i=a、b、c)が括弧[ ]内に示す関係にあるとき、ファジィメンバーシップ関数ψ3iの値は、それぞれ右側に示す値となる。
【0093】
式(14)
[SHi<F1h]→1
[F1h≦SHi≦F2h]→(F2h−SHi)/(F2h−F1h)
[F2h<SHi<F3h]→0
式(15)
[F3h≦SHi≦F4h]→(F3h−SHi)/(F3h−F4h)
[F4h<SHi]→1
ψ4i=1−ψ3i
上記のファジィメンバーシップ関数ψ3i、ψ4iを用いることにより、実際の制御における膨張弁5a、5b、5cの開度U10a、U10b、U10cは、式(16)により算出される。
【0094】
式(16)
U10i=ψ3i×U8i+ψ4i×U9i (i=a、b、c)
また、室内熱交換器出口過熱度のしきい値F1h、F2h、F3h、F4hは、室内熱交換器7a、7b、7cの効率と室内熱交換器出口過熱度SHa、SHb、SHcとの関係、および、ヒートポンプサイクルの動作安定性などを考慮して、
F1h=0、F2h=3、F3h=15、F4h=20
と設定する。そしてしきい値F1hからF4hの間を室内熱交換器出口過熱度SHa、SHb、SHcの許容範囲とし、しきい値F2hからF3hの間を室内熱交換器出口過熱度SHa、SHb、SHcの適正範囲とする。また、室内熱交換器出口過熱度目標設定器33で設定される室内熱交換器出口過熱度目標値には、適正範囲内のある値、例えばF2hとF3hの中心値である9が用いられる。なお、制御動作を起動する時には、第10開度決定器39は、膨張弁開度U10a、U10b、U10cが全開時の40%の開度200パルスであることを示す信号を出力するように設定されている。
【0095】
以上の構成からなる膨張弁開度制御系の制御について、具体的な数値例を挙げながら説明する。
【0096】
まず、本装置の起動時は、第10開度決定器39の開度U10a、U10b、U10cは全開時の40%の開度を示す信号を出力するので、膨張弁5a、5b、5cの初期開度は、圧縮機吸入過熱度SHs、室内熱交換器出口過熱度SHa、SHb、SHc、室温等に関わらず全て200パルスとなる。
【0097】
そして、起動後の第1回の制御サイクルにおいて、前回値記憶器22には、前回の膨張弁開度である初期開度200パルスが記憶される。すなわち、
ULa=U10a=200
ULb=U10b=200
ULc=U10c=200となる。
【0098】
第6開度決定器35では、圧縮機吸入過熱度SHsを目標値まで増加させるため膨張弁5a、5b、5cの開度変化量として、現在の開度から各々20%減少するように演算されると仮定すると、第6開度決定器35で決定される膨張弁開度U6a、U6b、U6cは、
U6a=ULa−ULa×0.2=200−200×0.2=160(パルス)
U6b=ULb−ULb×0.2=200−200×0.2=160(パルス)
U6c=ULc−ULc×0.2=200−200×0.2=160(パルス)となる。
【0099】
その時の圧縮機吸入過熱度SHsが−5Kであったとすると、式(10)、式(11)より、ファジィメンバーシップ関数ψ1sとψ2sの値はそれぞれ、
ψ1s=0、ψ2s=1となる。
【0100】
従って第7開度決定器36でファジィ演算により決定される膨張弁開度U7a、U7b、U7cは、
U7a=ψ1s×ULa+ψ2s×U6a=0×200+1×160=160(パルス)
U7b=ψ1s×ULb+ψ2s×U6b=0×200+1×160=160(パルス)
U7c=ψ1s×ULc+ψ2s×U6c=0×200+1×160=160(パルス)となり、初期開度から40パルス閉められる。
【0101】
第7開度決定器36で演算された膨張弁開度U7a、U7b、U7cは、第8開度決定器37および第9開度決定器38に出力される。その時の室内熱交換器出口過熱度SHa、SHb、SHcが全て−3Kであり、第8開度決定器37において、室内熱交換器出口過熱度SHa、SHb、SHcを目標値まで増加させるために膨張弁開度の変化量として、各々10パルス減少するように演算されると仮定すると、第8開度決定器37で決定される膨張弁開度U8a、U8b、U8cは、
U8a=U7a−10=160−10=150(パルス)
U8b=U7b−10=160−10=150(パルス)
U8c=U7c−10=160−10=150(パルス)となる。
【0102】
一方、各々の空調空間A、B、Cの温度をそれぞれ下げるために、第9開度決定器38において、膨張弁開度の変化量として、各々40パルス増加するように演算されると仮定すると、第9開度決定器38で決定される膨張弁開度U9a、U9b、U9cは、
U9a=U7a+40=160+40=200(パルス)
U9b=U7b+40=160+40=200(パルス)
U9c=U7c+40=160+40=200(パルス)となる。
【0103】
ここで室内熱交換器出口過熱度SHa、SHb、SHcは全て−3Kであるので、式(14)、式(15)より、ファジィメンバーシップ関数ψ3iとψ4iの値はそれぞれ、
ψ3a=1、ψ4a=0
ψ3b=1、ψ4b=0
ψ3c=1、ψ4c=0となる。
【0104】
従って第10開度決定器39でファジィ演算により得られる膨張弁開度U10a、U10b、U10cは、
U10a=ψ3a×U8a+ψ4a×U9a=1×150+0×200=150(パルス)
U10b=ψ3b×U8b+ψ4b×U9b=1×150+0×200=150(パルス)
U10c=ψ3c×U8c+ψ4c×U9c=1×150+0×200=150(パルス)となり、初期開度200パルスから50パルス閉められることになる。
【0105】
つまり装置起動時のように冷凍サイクルの挙動が不安定であり、圧縮機吸入過熱度SHsや室内熱交換器出口過熱度SHa、SHb、SHcが確保できない運転状態のときには、適正なサイクル状態となるように膨張弁5a、5b、5cは操作される。また、この時点で前回値記憶器22には、第10開度決定器39で決定した膨張弁開度U10a、U10b、U10cが記憶される。すなわち、
ULa=U10a=150
ULb=U10b=150
ULc=U10c=150となる。
【0106】
次に第2回目の制御サイクルにおいて、膨張弁5a、5b、5cの開度が各々200パルスから150パルスに減少したことにより、圧縮機吸入過熱度SHsが−5Kから−1.5Kに、室内熱交換器出口過熱度SHa、SHb、SHcが各々−3Kから1.5Kに上昇したとする。
【0107】
第6開度決定器35では、圧縮機吸入過熱度SHsを目標値まで増加させるため膨張弁5a、5b、5cの開度変化量として、現在の開度から各々16%減少するように演算されると仮定すると、第6開度決定器35で決定される膨張弁開度U6a、U6b、U6cは、
U6a=ULa−ULa×0.16=150−150×0.16=126(パルス)
U6b=ULb−ULb×0.16=150−150×0.16=126(パルス)
U6c=ULc−ULc×0.16=150−150×0.16=126(パルス)となる。
【0108】
その時の圧縮機吸入過熱度SHsは−1.5Kであるので、式(10)、式(11)より、ファジィメンバーシップ関数ψ1sとψ2sの値はそれぞれ、
ψ1s=0.5、ψ2s=0.5となる。
【0109】
従って第7開度決定器36でファジィ演算により決定される膨張弁開度U7a、U7b、U7cは、
U7a=ψ1s×ULa+ψ2s×U6a=0.5×150+0.5×126=138(パルス)
U7b=ψ1s×ULb+ψ2s×U6b=0.5×150+0.5×126=138(パルス)
U7c=ψ1s×ULc+ψ2s×U6c=0.5×150+0.5×126=138(パルス)となる。
【0110】
第8開度決定器37において、室内熱交換器出口過冷却度SHa、SHb、SHcを目標値まで増加させるために膨張弁開度の変化量として、各々8パルス減少するように演算されると仮定すると、第8開度決定器37で決定される膨張弁開度U8a、U8b、U8cは、
U8a=U7a−8=138−8=130(パルス)
U8b=U7b−8=138−8=130(パルス)
U8c=U7c−8=138−8=130(パルス)となる。
【0111】
一方、第9開度決定器38において空調空間Aの温度を下げるため、膨張弁5aの開度の変化量として12パルス増加するように演算され、空調空間B、Cは、空調空間Aよりも空調負荷が大きく膨張弁5b、5cの開度の変化量として各々32パルス増加するように演算されると仮定すると、第9開度決定器38で決定される膨張弁開度U9a、U9b、U9cは、
U9a=U7a+12=138+12=150(パルス)
U9b=U7b+32=138+32=170(パルス)
U9c=U7c+32=138+32=170(パルス)となる。
【0112】
ここで室内熱交換器出口過熱度SHa、SHb、SHcは全て1.5Kであるので、式(14)、式(15)より、ファジィメンバーシップ関数ψ3iとψ4iの値はそれぞれ、
ψ3a=0.5、ψ4a=0.5
ψ3b=0.5、ψ4b=0.5
ψ3c=0.5、ψ4c=0.5となる。
【0113】
従って第10開度決定器39でファジィ演算により得られる膨張弁開度U10a、U10b、U10cは、
U10a=ψ3a×U8a+ψ4a×U9a=0.5×130+0.5×150=140(パルス)
U10b=ψ3b×U8b+ψ4b×U9b=0.5×130+0.5×170=150(パルス)
U10c=ψ3c×U8c+ψ4c×U9c=0.5×130+0.5×170=150(パルス)となり、膨張弁5aは10パルス閉まり、膨張弁5b、5cは現在開度を維持することになる。
【0114】
このように圧縮機吸入過熱度SHs、室内熱交換器出口過熱度SHa、SHb、SHcが確保され出し、適正なサイクル運転状態に近づいた際には、効率の良い運転を行うため更にサイクル状態の適正化を図るとともに、空調空間A、B、Cの各々の空調負荷に対応するように膨張弁5a、5b、5cは操作される。また、この時点で前回値記憶器22には、第10開度決定器39で決定した膨張弁開度開度U10a、U10b、U10cが記憶される。すなわち、
ULa=U10a=140
ULb=U10b=150
ULc=U10c=150となる。
【0115】
次に第3回目の制御サイクルにおいて、圧縮機吸入過熱度SHsが適正範囲内の3Kに、室内熱交換器出口過熱度SHa、SHbが1.5Kから適正範囲内の4Kに上昇し、SHcは1.5Kを維持したとする。
【0116】
第6開度決定器35では、圧縮機吸入過熱度SHsを目標値まで増加させるため膨張弁5a、5b、5cの開度変化量として、現在の開度から各々10%減少するように演算されると仮定すると、第6開度決定器35で決定される膨張弁開度U6a、U6b、U6cは、
U6a=ULa−ULa×0.1=140−140×0.1=126(パルス)
U6b=ULb−ULb×0.1=150−150×0.1=135(パルス)
U6c=ULc−ULc×0.1=150−150×0.1=135(パルス)となる。
【0117】
その時の圧縮機吸入過熱度SHsは3Kであるので、式(10)、式(11)より、ファジィメンバーシップ関数ψ1sとψ2sの値はそれぞれ、
ψ1s=1、ψ2s=0となる。
【0118】
従って第7開度決定器36でファジィ演算により決定される膨張弁開度U7a、U7b、U7cは、
U7a=ψ1s×ULa+ψ2s×U6a=1×140+0×126=140(パルス)
U7b=ψ1s×ULb+ψ2s×U6b=1×150+0×135=150(パルス)
U7c=ψ1s×ULc+ψ2s×U6c=1×150+0×135=150(パルス)となる。
【0119】
第8開度決定器37において、室内熱交換器出口過熱度SHa、SHb、SHcを目標値まで増加させるために膨張弁5a、5bの開度の変化量として6パルス減少するように演算され、膨張弁5cの開度の変化量として、8パルス減少するように演算されると仮定すると、第8開度決定器37で決定される膨張弁開度U8a、U8b、U8cは、
U8a=U7a−6=140−6=134(パルス)
U8b=U7b−6=150−6=144(パルス)
U8c=U7c−8=150−8=142(パルス)となる。
【0120】
一方、第9開度決定器38において空調空間Aの温度を上げるため、膨張弁5aの開度の変化量として10パルス増加するように演算され、空調空間B、Cは、空調空間Aよりも空調負荷が大きく膨張弁5b、5cの開度の変化量として各々16パルス増加するように演算されると仮定すると、第9開度決定器38で決定される膨張弁開度U9a、U9b、U9cは、
U9a=U7a+10=140+10=150(パルス)
U9b=U7b+16=150+16=166(パルス)
U9c=U7c+16=150+16=166(パルス)となる。
【0121】
ここで室内熱交換器出口過熱度SHa、SHbは4Kであり、SHcは1.5Kであるので、式(14)、式(15)より、ファジィメンバーシップ関数ψ3iとψ4iの値はそれぞれ、
ψ3a=0.0、ψ4a=1.0
ψ3b=0.0、ψ4b=1.0
ψ3c=0.5、ψ4c=0.5となる。
【0122】
従って第10開度決定器39でファジィ演算により得られる膨張弁開度U10a、U10b、U10cは、
U10a=ψ3a×U8a+ψ4a×U9a=0.0×134+1.0×150=150(パルス)
U10b=ψ3b×U8b+ψ4b×U9b=0.0×144+1.0×166=166(パルス)
U10c=ψ3c×U8c+ψ4c×U9c=0.5×142+0.5×166=154(パルス)となり、膨張弁5aは10パルス開き、膨張弁5bは、16パルス開き、膨張弁5cは4パルス開くことになる。
【0123】
このように圧縮機吸入過熱度SHsが完全に確保され、室内熱交換器出口過熱度SHa、SHbが適正な範囲まで上昇した際には、膨張弁5a、5bは、各々の空調空間A、Bの空調負荷に対応するように操作され、室内熱交換器出口過熱度SHcは、十分には確保されていないので、膨張弁5cは、室内熱交換器7cでの効率を高めるように室内熱交換器出口過熱度SHcを上昇させるとともに、空調空間Cの空調負荷に対応するように操作される。
【0124】
以上のように、全ての膨張弁5a、5b、5cで圧縮機吸入過熱度SHsを適正な範囲に制御するとともに、膨張弁5aは、室内熱交換器出口過熱度SHaを適正な範囲に制御するとともに空調空間Aの温度を目標温度に一致させるように制御し、膨張弁5bは、室内熱交換器出口過熱度SHbを適正な範囲に制御するとともに空調空間Bの温度を目標温度に一致させるように制御し、膨張弁5cは、室内熱交換器出口過熱度SHcを適正な範囲に制御するとともに空調空間Cの温度を目標温度に一致させるように制御するので、冷房運転において圧縮機1への液バックや圧縮機1から吐出される冷媒の温度上昇を防ぐとともに、室内熱交換器7a、7b、7cで効率の良い運転を行いつつ、各々の空調空間A、B、Cにおいて良好な空調制御を行うことができる。
【0125】
なお、本実施例では、室内ユニット9a、9b、9cの台数を3台としたが、3台というのは、単なる一例であり、室内ユニットの数は、1台以上であれば数に制限はない。
【0126】
また、圧縮機吸入過熱度SHsおよび室内熱交換器出口過熱度SHa、SHb、SHcの各しきい値および目標値は、室内熱交換器7a、7b、7c、圧縮機1等の仕様により、適宜変更することが可能である。
【0127】
また、制御動作を起動する時の第10開度決定器39が出力する膨張弁開度U10a、U10b、U10cを全開時の40%の開度200パルスとしたが、室内ユニット9a、9b、9cの能力ランク、空調空間温度と目標温度の差等により各々変更することが可能であり、能力ランク、空調空間温度と目標温度の差が大きければ膨張弁開度を大きく設定し、能力ランク、空調空間温度と目標温度の差が小さければ膨張弁開度を小さく設定することが望ましい。
【0128】
そして、使用する冷媒は、単一組成体、共沸混合体、擬似共沸混合体、非共沸混合体のいずれの種類のものであっても構わない。
【0129】
【発明の効果】
以上の実施例から明らかなように、本発明によれば、暖房運転時に全ての膨張弁で圧縮機吐出過熱度を適正な範囲に制御することで吐出温度の上昇や圧縮機へ湿り状態の冷媒が吸入される液バックを抑制し、信頼性を高めるとともに、各室内ユニットに対応した各膨張弁で、各室内熱交換器出口過冷却度を適正な範囲に制御するとともに各空調空間の温度を目標温度に一致させるように制御するので、各々の室内熱交換器で効率の良い運転を行いつつ、各々の空調空間において良好な空調制御を行うことができるという効果のある多室型空気調和装置を提供できる。
【0130】
また、冷房運転時に全ての膨張弁で圧縮機吸入過熱度を適正な範囲に制御することで吐出温度の上昇や圧縮機へ湿り状態の冷媒が吸入される液バックを抑制し、信頼性を高めるとともに、各室内ユニットに対応した各膨張弁で、各室内熱交換器出口過冷却度を適正な範囲に制御するとともに各空調空間の温度を目標温度に一致させるように制御するので、各々の室内熱交換器で効率の良い運転を行いつつ、各々の空調空間において良好な空調制御を行うことができるという効果のある多室型空気調和装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の多室型空気調和装置の暖房運転時の全体構成図
【図2】同暖房運転時の膨張弁開度制御系を示す制御ブロック図
【図3】同圧縮機吐出過熱度を変数とするファジィメンバーシップ関数の特性図
【図4】同室内熱交換器出口過冷却度を変数とするファジィメンバーシップ関数の特性図
【図5】同実施例2の多室型空気調和装置の冷房運転時の全体構成図
【図6】同冷房運転時の膨張弁開度制御系を示す制御ブロック図
【図7】同圧縮機吸入過熱度を変数とするファジィメンバーシップ関数の特性図
【図8】同室内熱交換器出口過熱度を変数とするファジィメンバーシップ関数の特性図
【図9】従来の多室型空気調和装置の制御方式に用いられる図
【図10】同多室型空気調和装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
1 圧縮機
2 四方弁
3 室外熱交換器
4 室外ファン
5a、5b、5c 膨張弁
6 室外ユニット
7a、7b、7c 室内熱交換器
8a、8b、8c 室内ファン
9a、9b、9c 室内ユニット
10a、10b、10c ガス側配管
11a、11b、11c 液側配管
12 吐出温度センサ
13 圧力センサ
14 圧縮機吐出過熱度演算器
15 圧縮機吐出過熱度目標設定器
16 室内熱交換器出口過冷却度演算器
17 室内熱交換器出口過冷却度目標設定器
18a、18b、18c 空調空間温度センサ
19a、19b、19c 空調温度設定器
20a、20b、20c 室内熱交換器出口冷媒温度センサ
21 膨張弁制御装置
22 前回値記憶器
23 第1開度決定器
24 第2開度決定器
25 第3開度決定器
26 第4開度決定器
27 第5開度決定器
28 吸入温度センサ
29 圧縮機吸入過熱度演算器
30 圧縮機吸入過熱度目標設定器
31a、31b、31c 分岐管温度センサ
32 室内熱交換器出口過熱度演算器
33 室内熱交換器出口過熱度目標設定器
34 膨張弁制御装置
35 第6開度決定器
36 第7開度決定器
37 第8開度決定器
38 第9開度決定器
39 第10開度決定器
101 圧縮機
102 蒸発器
103 蒸発器側膨張弁
104 室外ユニット
105a、105b、105c 室内ユニット
106a、106b、106c 凝縮器
107a、107b、107c 凝縮器側膨張弁
108 蒸発器入口温度センサ
109 圧縮機吸入口温度センサ
110a、110b、110c 室温センサ
111 圧力センサ
112a、112b、112c 凝縮器出口温度センサ

Claims (2)

  1. 冷媒を圧縮する圧縮機と、この圧縮機から吐出された冷媒の流路を切り替える四方弁と、この四方弁の一端と接続され外気との熱交換を行う室外熱交換器と、この室外熱交換器と分岐接続され冷媒流量の調整を行う複数の膨張弁等からなる室外ユニットと、室内空気と熱交換を行う室内熱交換器等からなる複数台の室内ユニットと、前記室外ユニットと前記複数の室内ユニットとをガス状冷媒が流れるガス側配管および液状冷媒が流れる液側配管を介して接続した複数の室内の空調を行う多室型空気調和装置において、前記圧縮機の吐出部の冷媒の過熱度である圧縮機吐出過熱度を検出する圧縮機吐出過熱度検出器と、前記室内熱交換器の吐出部の冷媒の過冷却度である室内熱交換器出口過冷却度を検出する室内熱交換器出口過冷却度検出器と、前記室内ユニットを設置した空気調和すべき空間である空調空間の目標温度を設定する目標温度設定器と、前記空調空間の温度を検出する空間温度検出器とを設け、前記圧縮機吐出過熱度検出器により検出される圧縮機吐出過熱度、圧縮機吐出過熱度の目標値、連続する制御サイクルにおける前回の制御時の膨張弁の開いている度合を示す膨張弁開度を入力として、前記圧縮機吐出過熱度が前記圧縮機吐出過熱度の目標値に一致するように前記膨張弁開度を決定する第1開度決定器と、圧縮機吐出過熱度の4つのしきい値F1d、F2d、F3d、F4dが不等式F1d≦F2d≦F3d≦F4dに示す関係を有する場合に、前記圧縮機吐出過熱度が第2のしきい値F2dより大きく、かつ、第3のしきい値F3dより小さい場合には、現在の膨張弁開度を維持し、前記圧縮機吐出過熱度が第1のしきい値F1dより小さい場合、あるいは第4のしきい値F4dより大きい場合には、前記膨張弁開度を前記第1開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、前記圧縮機吐出過熱度が第1のしきい値F1d以上、かつ、第2のしきい値F2d以下の場合、もしくは、第3のしきい値F3d以上、かつ、第4のしきい値F4d以下の場合には、前記膨張弁開度を前記第1開度決定器が決定した膨張弁開度と、現在の膨張弁開度とから、圧縮機吐出過熱度を変数とするファジィメンバーシップ関数により求められた膨張弁開度に決定する第2開度決定器と、前記室内熱交換器出口過冷却度検出器により検出される室内熱交換器出口過冷却度、室内熱交換器出口過冷却度の目標値、および前記第2開度決定器が決定した膨張弁開度を入力として、前記室内熱交換器出口過冷却度が前記室内熱交換器出口過冷却度の目標値に一致するように膨張弁の開度を決定する第3開度決定器と、前記空調空間の温度、前記目標温度、および前記第2開度決定器が決定した膨張弁開度を入力として、前記空調空間の温度が前記目標温度に一致するように、前記膨張弁開度を決定する第4開度決定器と、室内熱交換器出口過冷却度の4つのしきい値F1c、F2c、F3c、F4cが不等式F1c≦F2c≦F3c≦F4cに示す関係を有する場合に、前記室内熱交換器出口過冷却度が第1のしきい値F1cより小さいか、もしくは、第4のしきい値F4cより大きい場合には、前記膨張弁開度を前記第3開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、前記室内熱交換器出口過冷却度が第2のしきい値F2cより大きく、かつ、第3のしきい値F3cより小さい場合には、前記膨張弁開度を前記第4開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、前記室内熱交換器出口過冷却度が第1のしきい値F1c以上、かつ第2のしきい値F2c以下の場合、もしくは第3のしきい値F3c以上、かつ、第4のしきい値F4c以下の場合には、前記膨張弁開度を前記第3開度決定器が決定した膨張弁開度と、前記第4開度決定器が決定した膨張弁開度とから室内熱交換器出口過冷却度を変数とするファジィメンバーシップ関数により求められた膨張弁開度に決定する第5開度決定器とからなる膨張弁制御装置を設けたことを特徴とする多室型空気調和装置。
  2. 冷媒を圧縮する圧縮機と、この圧縮機から吐出された冷媒の流路を切り替える四方弁と、この四方弁の一端と接続され外気との熱交換を行う室外熱交換器と、この室外熱交換器と分岐接続され冷媒流量の調整を行う複数の膨張弁等からなる室外ユニットと、室内空気と熱交換を行う室内熱交換器等からなる複数台の室内ユニットと、前記室外ユニットと前記複数の室内ユニットとをガス状冷媒が流れるガス側配管および液状冷媒が流れる液側配管を介して接続した複数の室内の空調を行う多室型空気調和装置において、前記圧縮機の吸入部の冷媒の過熱度である圧縮機吸入過熱度を検出する圧縮機吸入過熱度検出器と、前記室内熱交換器の吐出部の冷媒の過熱度である室内熱交換器出口過熱度を検出する室内熱交換器出口過熱度検出器と、前記室内ユニットを設置した空気調和すべき空間である空調空間の目標温度を設定する目標温度設定器と、前記空調空間の温度を検出する空間温度検出器とを設け、前記圧縮機吸入過熱度検出器により検出される圧縮機吸入過熱度、圧縮機吸入過熱度の目標値、連続する制御サイクルにおける前回の制御時の膨張弁の開いている度合を示す膨張弁開度を入力として、前記圧縮機吸入過熱度が前記圧縮機吸入過熱度の目標値に一致するように前記膨張弁開度を決定する第6開度決定器と、圧縮機吸入過熱度の4つのしきい値F1s、F2s、F3s、F4sが不等式F1s≦F2s≦F3s≦F4sに示す関係を有する場合に、前記圧縮機吸入過熱度が第2のしきい値F2sより大きく、かつ、第3のしきい値F3sより小さい場合には、現在の膨張弁開度を維持し、前記圧縮機吸入過熱度が第1のしきい値F1sより小さい場合、あるいは第4のしきい値F4sより大きい場合には、前記膨張弁開度を前記第6開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、前記圧縮機吸入過熱度が第1のしきい値F1s以上、かつ、第2のしきい値F2s以下の場合、もしくは、第3のしきい値F3s以上、かつ、第4のしきい値F4s以下の場合には、前記膨張弁開度を前記第6開度決定器が決定した膨張弁開度と、現在の膨張弁開度とから、圧縮機吸入過熱度を変数とするファジィメンバーシップ関数により求められた膨張弁開度に決定する第7開度決定器と、前記室内熱交換器出口過熱度検出器により検出される室内熱交換器出口過熱度、室内熱交換器出口過熱度の目標値、および前記第7開度決定器が決定した膨張弁開度を入力として、前記室内熱交換器出口過熱度が前記室内熱交換器出口過熱度の目標値に一致するように膨張弁の開度を決定する第8開度決定器と、前記空調空間の温度、前記目標温度、および前記第7開度決定器が決定した膨張弁開度を入力として、前記空調空間の温度が前記目標温度に一致するように、前記膨張弁開度を決定する第9開度決定器と、室内熱交換器出口過熱度の4つのしきい値F1h、F2h、F3h、F4hが不等式F1h≦F2h≦F3h≦F4hに示す関係を有する場合に、前記室内熱交換器出口過熱度が第1のしきい値F1hより小さいか、もしくは、第4のしきい値F4hより大きい場合には、前記膨張弁開度を前記第8開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、前記室内熱交換器出口過熱度が第2のしきい値F2hより大きく、かつ、第3のしきい値F3hより小さい場合には、前記膨張弁開度を前記第9開度決定器が決定した膨張弁開度に決定し、前記室内熱交換器出口過熱度が第1のしきい値F1h以上、かつ第2のしきい値F2h以下の場合、もしくは第3のしきい値F3h以上、かつ、第4のしきい値F4h以下の場合には、前記膨張弁開度を前記第8開度決定器が決定した膨張弁開度と、前記第9開度決定器が決定した膨張弁開度とから室内熱交換器出口過熱度を変数とするファジィメンバーシップ関数により求められた膨張弁開度に決定する第10開度決定器とからなる膨張弁制御装置を設けたことを特徴とする多室型空気調和装置。
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