以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付している。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1の機能構成および暖房モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。冷凍サイクル装置1の運転モードは、暖房モード、冷房モードを含む。図1に示されるように、冷凍サイクル装置1は、室外に配置されている室外機10と、室内に配置されている室内機20とを備える。室外機は、圧縮機110と、切替弁である六方弁120と、熱交換器130と、膨張弁140と、制御装置170とを収容する。室内機20は、流路切替部160と、熱交換器150と、室内ファン180とを収容する。室外機10と室内機20とは、配管PP11および配管PP12によって接続されている。
暖房モードにおいて冷媒は、圧縮機110、六方弁120、配管PP12、流路切替部160、熱交換器150、流路切替部160、配管PP11、膨張弁140、六方弁120、熱交換器130、六方弁120の順に循環する。暖房モードにおいては、配管PP11を液体の冷媒(液冷媒)が通過し、配管PP12を、気体の冷媒(ガス冷媒)が通過する。
圧縮機110は、低圧のガス冷媒を断熱圧縮し、高圧のガス冷媒を吐出する。
暖房モードにおいて六方弁120は、圧縮機110の吐出口と配管PP12とを接続する。六方弁120は、膨張弁140と熱交換器130とを接続する。六方弁120は、熱交換器130と圧縮機110の吸入口とを接続する。六方弁120は、差圧駆動式の切替弁でもよいが、差圧駆動式の切替弁は冷媒の流れを瞬時に切替えるため、冷媒が配管に衝突するウォータハンマー現象等が生じ易い。そのため、後に説明する流路切替部160の切替弁40のように、六方弁120も制御装置170によって電子制御されるモータ駆動式の切替弁であることが望ましい。六方弁120は、四方弁と、4つ逆止弁(または4つの開閉弁)を組み合わせたローレンツサイクルとを組み合わせた構成としてもよい。
熱交換器150は、ポートP151とP152とを含む。ポートP151およびP152の各々は、流路切替部160に接続されている。熱交換器150は、暖房モードにおいては凝縮器として機能する。圧縮機110からのガス冷媒は、熱交換器150において凝縮熱を放出して凝縮し、液冷媒となる。
室内ファン180は、熱交換器150と熱交換する空気の流れ方向AD1を形成している。室内ファン180は、本発明の流体移動部に対応する。
流路切替部160は、膨張弁140と熱交換器150との間に接続されている。流路切替部160は、熱交換器150と圧縮機110との間に接続されている。流路切替部160は、制御装置170によって制御されて、冷媒が熱交換器150を通過する方向を、ポートP151からP152へ向かう方向とポートP152からP151へ向かう方向との間で切り替える。ポートP151からP152へ向かう方向は、空気の流れ方向AD1と対向する方向(対向流)である。ポートP152からP151へ向かう方向は、空気の流れ方向AD1に沿う方向(並行流)である。
流路切替部160は、切替弁40と、逆止弁100とを含む。図2は、切替弁40の概略構成図である。図2に示されるように、切替弁40は、複数の弁ポートP41~P44と、弁体VB45と、モータM40とを含む。弁体VB45は、不図示のねじ機構にかみ合っている。複数の弁ポートP41~P44は、弁体VB45の位置によって、切替弁40内の連通状態が切替わる。モータM40は、弁体VB45の長手方向に延びる中心軸を回転軸として弁体VB45を回転させる。弁体VB45の回転運動は、不図示のねじ機構によって直線運動に変換される。弁体VB45は、図2(a)に示される位置と図2(b)に示される位置との間を移動する。弁体VB45が図2(a)に示される位置にある場合、弁ポートP41とP42とが連通するとともに、弁ポートP43とP44とが連通している。弁体VB45が図2(b)に示される位置にある場合、弁ポートP42とP43とが連通している。
再び図1を参照して、逆止弁100は、ポートP152と配管PP12との間に接続されている。弁ポートP41は、ポートP152に接続されている。弁ポートP42は、膨張弁140と流路切替部160との間の流路である配管PP11に接続されている。弁ポートP43は、ポートP151に接続されている。弁ポートP44は、圧縮機110と流路切替部160との間の流路である配管PP12に接続されている。
暖房モードにおいては、弁ポートP41とP42とが切替弁40内で連通している。弁ポートP43とP44とが切替弁40内で連通している。配管PP12からの冷媒は、弁ポートP44からP43へ向かって切替弁40を通過した後、熱交換器150のポートP151に至る。冷媒は、熱交換器150をポートP151からP152へ向かって通過する。ポートP152からの冷媒は、弁ポートP41からP42へ向かって切替弁40を通過した後、配管PP11を経由して膨張弁140に至る。
膨張弁140は、液冷媒を断熱膨張させて減圧し、気液二相状態の冷媒(湿り蒸気)として流出させる。膨張弁140としては、たとえば電子制御式膨張弁(LEV:Linear Expansion Valve)を用いることができる。
熱交換器130は、ポートP131とP132とを含む。ポートP131とP132とは各々は、六方弁120に接続されている。暖房モードにおいてポートP131は、膨張弁140に接続されている。暖房モードにおいてポートP132は、圧縮機110の吸入口に接続されている。熱交換器130は、暖房モードにおいては蒸発器として機能する。熱交換器130において膨張弁140からの湿り蒸気が、外気からの気化熱を吸収して気化する。
制御装置170は、冷凍サイクル装置1の運転モードを切り替える。制御装置170は、圧縮機110の駆動周波数を制御して圧縮機110が単位時間あたりに吐出する冷媒量を制御する。制御装置170は、六方弁120を制御して、冷媒の循環方向を暖房モードおよび冷房モードの各々に対応した循環方向に切り替える。制御装置170は、膨張弁140の開度を制御する。制御装置170は、室内ファン180の単位時間の送風量を制御する。制御装置170は、熱交換器150の熱交換能力を高めるため、切替弁40のモータM40を制御して、冷媒が熱交換器150を通過する方向を、暖房モードおよび冷房モードのいずれにおいても対向流とする。制御装置170は、室内機20に配置されていてもよいし、室外機10および室内機20以外に配置されてもよい。
図3は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1の機能構成および冷房モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。図3に示されるように、冷房モードにおいて冷媒は、圧縮機110、六方弁120、熱交換器130、六方弁120、膨張弁140、配管PP11、流路切替部160、熱交換器150、流路切替部160、配管PP12、および六方弁120の順に循環する。冷房モードにおいては、配管PP11を湿り蒸気が通過し、配管PP12をガス冷媒が通過する。
冷房モードにおいては、弁ポートP42とP43とが切替弁40内で連通している。配管PP11からの冷媒は、弁ポートP42からP43へ向かって切替弁40を通過した後、熱交換器150のポートP151に至る。冷媒は、熱交換器150をポートP151からP152へ向かって通過する。ポートP152からの冷媒は、逆止弁100を通過した後、配管PP12を経由して六方弁120に至る。
冷凍サイクル装置1において、室外機10に配置されている六方弁120は、冷媒の循環方向を、暖房モードおよび冷房モードの各々に対応した循環方向に切り替える。暖房モードおいては、圧縮機110から吐出された高圧の冷媒および蒸発器として機能する熱交換器130からの低圧の冷媒が六方弁120を通過する。冷房モードおいては、圧縮機110から吐出された高圧の冷媒および蒸発器として機能する熱交換器150からの低圧の冷媒が六方弁120を通過する。すなわち、暖房モードおよび冷房モードのいずれにおいても、圧縮機110から吐出された高圧の冷媒および蒸発器として機能する熱交換器からの低圧の冷媒が六方弁120を通過する。六方弁120においては冷媒の差圧が十分に確保することができる。六方弁120が差圧駆動式の切替弁であっても、六方弁120は、所望のタイミングで冷媒の循環方向を切り替えることができる。
一方、室内機20に配置されている切替弁40に関して、暖房モードでは圧縮機110からの高圧の冷媒および凝縮器として機能する熱交換器150からの高圧の冷媒が切替弁40を通過する。冷房モードでは、膨張弁140からの低圧の冷媒および蒸発器として機能する熱交換器150からの低圧の冷媒が切替弁40を通過する。切替弁40において確保することができる冷媒の差圧は、冷媒が熱交換器150等を通過したときに生じる圧力損失程度である。切替弁40が差圧駆動式の切替弁である場合、切替弁が動作するのに必要な差圧に当該圧力損失が達するまで、切替弁40は動作することができない。そのため、差動駆動式の切替弁によると、冷媒が熱交換器150を通過する方向を所望のタイミングで切り替えることができない可能性がある。
そこで、実施の形態1においては、モータ駆動式の切替弁40が用いられる。再び図2を参照しながら、切替弁40においては、モータM40によって弁体VB45が移動される。弁体VB45に位置によって、複数の弁ポートP41~P44の切替弁40内の連通状態が切り替えられる。切替弁40は、複数の弁ポートP41~P44の連通状態を切り替えるのに、冷媒の差圧を必要としない。そのため、冷凍サイクル装置1によれば、所望のタイミングで冷媒が熱交換器150を通過する方向を切り替えることができ、熱交換器150の熱交換能力を向上させることができる。その結果、冷凍サイクル装置1の性能を向上させることができる。冷凍サイクル装置1の性能としては、たとえば成績係数(COP:Coefficient Of Performance)を挙げることができる。
図1および図3を参照して、配管PP11を通過する冷媒は、暖房モードにおいては液冷媒であり、冷房モードにおいては湿り蒸気である。一方、配管PP12を通過する冷媒は、暖房モードおよび冷房モードのいずれにおいてもガス冷媒である。ガス冷媒は、冷媒の密度が液冷媒よりも小さいため、配管を通過する時の圧力損失が大きくなり易い。ガス冷媒が配管PP11のPP12のいずれも通過する場合、圧力損失を低減するためには、配管PP11およびPP12の双方の径を大きくする必要がある。しかし、配管PP11およびPP12を大径化すると、冷凍サイクル装置1を循環する冷媒量が増加する。そのため、ガス冷媒が配管PP11のPP12のいずれも通過する場合、冷凍サイクル装置1の製造コストおよび冷凍サイクル装置の運転に要するコスト(運用コスト)が増加してしまう。冷凍サイクル装置1においては、ガス冷媒が通過するのは配管PP12であるため、配管PP11を大径化する必要はなく、配管PP12を大径化すれば圧力損失を低減することができる。冷凍サイクル装置1によれば、圧力損失の低減に伴う配管コストの増加、冷媒量の増加を抑制することができる。その結果、冷凍サイクル装置1の製造コストおよび運用コストを抑制することができる。
以上、実施の形態1によれば、モータ駆動式の切替弁を用いることにより、所望のタイミングで冷媒が熱交換器を通過する方向を切り替えることができ、熱交換器の熱交換能力を向上させることができる。その結果、冷凍サイクル装置の性能を向上させることができる。
実施の形態2.
実施の形態1においては、暖房モードおよび冷房モードのいずれにおいても室内機に収容されている熱交換器を冷媒が通過する方向を対向流とする場合について説明した。冷媒が非共沸混合冷媒である場合、対向流とすることで、却って熱交換器の熱交換能力が低下する場合がある。実施の形態2においては、熱交換器の熱交換器能力が低下する場合に、冷媒が熱交換器を通過する方向を対向流と並行流との間で切り替える場合について説明する。なお、実施の形態2においては温度センサを実施の形態1の図1等において図示していた室内ファン180付近に図示する。熱交換器において冷媒と熱交換する空気の流れを形成する室内ファン180等のファンは、図を見易くするため実施の形態2においては図示していない。実施の形態3以降においても同様である。
実施の形態2と実施の形態1との違いは、冷房モードにおいて冷媒が熱交換器を通過する方向を対向流と並行流との間で切り替える制御を行なう点である。それ以外の構成については同様であるため説明を繰り返さない。
図4は、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置2の機能構成および冷房モードにおいて熱交換器150を通過する冷媒の通過方向が対向流である場合の冷媒の流れを併せて示す図である。冷凍サイクル装置2を循環する冷媒は、非共沸混合冷媒である。非共沸混合冷媒としては、たとえば低沸点冷媒としてR32を含み、他の冷媒としてR1234yfを含む。冷凍サイクル装置1で用いられる非共沸混合冷媒は、地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)を下げるためR1123あるいはR1234zeを含んでいてもよい。冷凍サイクル装置1で用いられる非共沸混合冷媒は、3種類以上の冷媒を含んでいてもよい。
図4に示されるように、冷凍サイクル装置2は、冷凍サイクル装置1の構成に加えて、温度センサTS11,TS12,TS21,TS22をさらに含む。冷凍サイクル装置2においては、冷凍サイクル装置1の制御装置170が制御装置172に置き換えられている。冷凍サイクル装置2においては、冷凍サイクル装置1の流路切替部160が流路切替部162に置き換えられている。流路切替部162においては、流路切替部160の逆止弁100が開閉弁200に置き換えられている。図4において開閉弁200は、開放されている。
開閉弁200は、冷媒の差圧を十分に確保することができない室内器22内で動作する必要があるため、切替弁40と同様にモータおよびネジ機構によって弁体を移動させる開閉弁であることが望ましい。開閉弁200として、たとえば電磁石(ソレノイド)によって鉄片(プランジャ)を動かすことによって弁体を移動させるソレノイド弁を使用することができる。
温度センサTS11は、ポートP151付近の配管に配置されている。温度センサTS11は、ポートP151を通過する冷媒の温度を測定して、制御装置172に出力する。温度センサTS12は、ポートP152付近の配管に配置されている。温度センサTS12は、ポートP152を通過する冷媒の温度を測定して、当該温度を制御装置172に出力する。
温度センサTS21は、ポートP152付近に配置されている。温度センサTS21は、ポートP152を通過する冷媒と熱交換する空気の温度を測定して、当該温度を制御装置172に出力する。温度センサTS22は、ポートP151付近に配置されている。温度センサTS22は、ポートP151を通過する冷媒と熱交換する空気の温度を測定して、当該温度を制御装置172に出力する。
制御装置172は、温度センサTS11,TS12,TS21,TS22から温度を受けて、冷媒が熱交換器150を通過する方向を対向流と並行流との間で切り替える。制御装置172において行なわれる処理については、後に図11を用いて詳細に説明する。
冷房モードにおいて熱交換器150を通過する冷媒の通過方向が対向流である場合、弁ポートP42とP43とが切替弁40内で連通している。配管PP11からの冷媒は、弁ポートP42からP43へ向かって切替弁40を通過した後、熱交換器150のポートP151に至る。冷媒は、熱交換器150をポートP151からP152へ向かって通過する。ポートP152からの冷媒は、開閉弁200を通過した後、配管PP12を経由して六方弁120に至る。
以下では、図5~図10を用いて、冷房モードにおいて対向流と並行流とを切り替える理由について説明する。図5は、図4の冷凍サイクル装置2における非共沸混合冷媒の圧力とエンタルピとの関係を示すP-h線図である。図5において、曲線LC1は、飽和液線である。曲線GC1は、飽和蒸気線である。点CP1は、臨界点である。曲線IS1,IS2,IS3は、それぞれ温度T1,T2,T3(T1<T2<T3)の等温線である。
臨界点CP1は、液冷媒とガス冷媒との間で相変化が生じ得る範囲の限界を示す点である。臨界点は、飽和液線LC1と飽和蒸気線GC1との交点となる。臨界点CP1の圧力より冷媒の圧力が高くなると液冷媒とガス冷媒との間で相変化が生じなくなる。飽和液線LC1よりエンタルピが低い領域においては、冷媒は液体である。飽和液線LC1と飽和蒸気線GC1とで挟まれた領域においては、冷媒は湿り蒸気である。飽和蒸気線GC1よりもエンタルピが高い領域においては冷媒は気体である。
図5において、冷凍サイクル装置2における冷媒の循環は、状態R11Aから、状態R12、R13、およびR14を経て状態R11Aへ戻るサイクルとして表される。状態R11AからR12への状態変化は、圧縮機110による冷媒の圧縮過程を表す。状態R12からR13への状態変化は、熱交換器130による冷媒の凝縮過程を表す。状態R13から状態R14への状態変化は、膨張弁140による冷媒の断熱膨張過程を表す。状態R14からR11Aへの状態変化は、熱交換器150による冷媒の蒸発過程を表す。状態R14は、図4の熱交換器150のポートP151を通過する冷媒の状態に対応する。状態R11Aは、ポートP152を通過する冷媒の状態に対応する。
図5の等温線IS1~IS3が示すように、非共沸混合冷媒の湿り蒸気の圧力は、温度が一定である場合、エンタルピの増加に伴い低下する。また、状態R14からR11Aまでの凝縮過程においては熱交換器150における圧力損失が発生する。そのため、状態R11Aにおける冷媒の圧力は、状態R14における冷媒の圧力よりも小さい。
状態R14が等温線IS2上にあり、状態R11Aが等温線IS3上にあるとする。状態R14の冷媒の温度は温度T2であり、状態R11Aの冷媒の温度は温度T3(>T2)である。
図6は、図5に示される蒸発過程において、蒸発器として機能する熱交換器150を通過する冷媒の方向が対向流である場合の冷媒の温度変化および空気の温度変化を併せて示す図である。図6において、曲線CA1は、空気の流れ方向AD1に沿った、温度センサTS21からの距離と当該距離における空気の温度との関係を表す。曲線CR1は、空気の流れ方向AD1に沿った、温度センサTS12からの距離と冷媒の温度との関係を表す。温度差LMTD10は、対数平均温度差(LMTD:Logarithmic Mean Temperature Difference)を表す。対数平均温度差LMTD10は、距離が0の位置において熱交換を行なう空気の温度(点PA11の温度)と冷媒の温度(点PR12の温度)との差、および距離がL1の位置において熱交換を行なう空気の温度(点PA12の温度)と冷媒の温度(点PR11の温度)との差から算出される。
図4~図6を参照しながら、点PA11は、温度センサTS21によって温度が測定される空気の位置および温度を表す。すなわち、点PA11の温度は、ポートP152を通過する冷媒と熱交換する、ポートP152付近の空気の位置および温度を表す。点PA12は、温度センサTS22によって温度が測定される空気の位置および温度を表す。すなわち、点PA12は、ポートP151を通過する冷媒と熱交換する、ポートP151付近の空気の位置および温度を表す。
点PR11は、温度センサTS11によって温度が測定される冷媒の位置および温度を表す。すなわち、点PR11は、ポートP151を通過する冷媒の位置および温度を表し、図5の状態R14に対応する冷媒の位置および温度を表す。図6の点PR12は、温度センサTS12によって温度が測定される冷媒の位置および温度を表す。すなわち、点PR12は、ポートP152を通過する冷媒の位置および温度を表し、図5の状態R11Aに対応する冷媒の位置および温度を表す。
図7は、図5に示される蒸発過程において、蒸発器として機能する熱交換器150を通過する冷媒の方向が並行流である場合の冷媒の温度変化および空気の温度変化を併せて示す図である。図7において、曲線CA2,CR2は、図6の曲線CA1,CR1にそれぞれ対応する。点PA21,PA22,PR21,PR22は、図6の点PA11,PA12,PR11,PR12にそれぞれ対応する。温度差LMTD20は、対数平均温度差を表す。対数平均温度差LMTD20は、距離が0の位置において熱交換を行なう空気の温度(点PA21の温度)と冷媒の温度(点PR22の温度)との差、および距離がL1の位置において熱交換を行なう空気の温度(点PA22の温度)と冷媒の温度(点PR21の温度)との差から算出される。
図5~図7を参照しながら、蒸発過程の開始温度T2(状態R14の温度)は、蒸発過程の終了温度T3(状態R11Aの温度)よりも小さい。このように、蒸発過程の開始温度が終了温度よりも小さい場合、対向流の対数平均温度差LMTD10は、並行流の対数平均温度差LMTD20よりも大きい。対数平均温度差が大きいほど、熱交換器150の熱交換能力は大きくなる。したがって、蒸発過程の開始温度が終了温度よりも小さい場合、蒸発器として機能する熱交換器150の熱交換能力は、冷媒の通過方向が対向流であるときの方が並行流であるときよりも大きい。
図8は、図5のP-h線図の蒸発過程における圧力損失が、圧縮機110の駆動周波数の増加等により図5に示される場合よりも大きくなった場合のP-h線図である。図8においては、蒸発過程の圧力損失が図5に示される場合よりも大きくなったことにより、蒸発過程の終了状態である状態R11Bが、状態R11Aよりも圧力の小さい状態となっている。状態R11Bは、等温線IS1上にあるとする。状態R11Bの温度は、温度T1(<T2)である。
図9は、図8に示される蒸発過程において、蒸発器として機能する熱交換器150を通過する冷媒の方向が対向流である場合の冷媒の温度変化および空気の温度変化を併せて示す図である。図9において、曲線CA3,CR3は、図6の曲線CA1,CR1にそれぞれ対応する。点PA31,PA32,PR31,PR32は、図6の点PA11,PA12,PR11,PR12にそれぞれ対応する。温度差LMTD30は、対数平均温度差を表す。対数平均温度差LMTD30は、距離が0の位置において熱交換を行なう空気の温度(点PA31の温度)と冷媒の温度(点PR32の温度)との差、および距離がL1の位置において熱交換を行なう空気の温度(点PA32の温度)と冷媒の温度(点PR31の温度)との差から算出される。
図10は、図8に示される蒸発過程において、蒸発器として機能する熱交換器150を通過する冷媒の方向が並行流である場合の冷媒の温度変化および空気の温度変化を併せて示す図である。図10において、曲線CA4,CR4は、図6の曲線CA1,CR1にそれぞれ対応する。点PA41,PA42,PR41,PR42は、図6の点PA11,PA12,PR11,PR12にそれぞれ対応する。温度差LMTD40は、対数平均温度差を表す。対数平均温度差LMTD40は、距離が0の位置において熱交換を行なう空気の温度(点PA41の温度)と冷媒の温度(点PR42の温度)との差、および距離がL1の位置において熱交換を行なう空気の温度(点PA42の温度)と冷媒の温度(点PR41の温度)との差から算出される。
図8~図10を参照しながら、蒸発過程の開始温度T2(状態R14の温度)は、蒸発過程の終了温度T1(状態R11Aの温度)よりも大きい。このように蒸発過程の開始温度が終了温度よりも大きい場合、対向流の対数平均温度差LMTD30は、並行流の対数平均温度差LMTD40よりも小さい。したがって、蒸発過程の開始温度が終了温度よりも大きい場合、蒸発器として機能する熱交換器150の熱交換能力は、冷媒の通過方向が並行流であるときの方が対向流であるときよりも大きい。
以上をまとめると、蒸発過程の開始温度が終了温度よりも小さい場合、蒸発器として機能する熱交換器150の熱交換能力は、熱交換器150を通過する冷媒の方向が、並行流であるときよりも対向流であるときの方が大きい。一方、蒸発過程の開始温度が終了温度よりも大きい場合、熱交換器150の熱交換能力は、熱交換器150を通過する冷媒の方向が、対向流であるときよりも並行流であるときの方が大きい。そこで、実施の形態2においては、冷房モードにおいて、蒸発過程の開始温度が終了温度より小さい場合、熱交換器150を通過する冷媒の通過方向を対向流とし、蒸発過程の開始温度が終了温度以上である場合、当該通過方向を並行流とする。
図11は、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置2の機能構成および冷房モードにおいて熱交換器150を通過する冷媒の通過方向が並行流である場合の冷媒の流れを併せて示す図である。図11に示されるように、冷房モードにおいて熱交換器150を通過する冷媒の通過方向が並行流である場合、開閉弁200は、閉止されている。弁ポートP41とP42とが切替弁40内で連通している。弁ポートP43とP44とが切替弁40内で連通している。配管PP12からの冷媒は、弁ポートP42からP41へ向かって切替弁40を通過した後、熱交換器150のポートP152に至る。冷媒は、熱交換器150をポートP152からP151へ向かって通過する。ポートP151からの冷媒は、弁ポートP43からP44へ向かって切替弁40内を通過した後、配管PP12を経由して六方弁120に至る。
図12は、冷房モードにおいて蒸発器として機能する熱交換器150を通過する冷媒の通過方向を切り替えるために、図4の制御装置172によって行なわれる処理の一例を示すフローチャートである。図12に示される処理は、ユーザからの運転モードの入力があった場合に、不図示のメインルーチンによって呼び出される。以下ではステップを単にSと記載する。
図12に示されるように、制御装置172は、S101においてユーザからの運転モードの入力を受け付けて、処理をS102に進める。制御装置172は、S102において初期設定を行なう。具体的には、制御装置172は、S102において、目標温度Tgoalの設定、運転開始時の室温の取得、室内機の熱交換器150を通過する冷媒の通過方向の設定、圧縮機110の駆動周波数の設定、および膨張弁140の開度の設定等を行なう。熱交換器150を通過する冷媒の通過方向は、冷房モードおよび暖房モードのいずれにおいても、運転開始時においては対向流に設定される。温度センサTS21から取得される温度T21が室温とされる。温度センサTS22から取得される温度T22が室温とされてもよい。
制御装置172は、S102において初期設定を行なった後、処理をS103に進める。制御装置172は、S103において目標温度Tgoalと温度T21(室温)との差の絶対値が閾値以下であるか否かを判定する。目標温度Tgoalと温度T21との差の絶対値が閾値よりも大きい場合(S103においてNO)、制御装置172は、室温を目標温度Tgoalに近づけるためS104において圧縮機110の駆動周波数および膨張弁140の開度を変更する。具体的には、目標温度Tgoalが温度T21より大きい場合、制御装置172は駆動周波数を一定数増加させる。目標温度Tgoalが温度T21より小さい場合、制御装置172は駆動周波数を一定数減少させる。また、熱交換器150と圧縮機110との間を流れる冷媒の温度(たとえば熱交換器150から流出する冷媒の温度、あるいは圧縮機110に吸入される冷媒の温度)が飽和ガス温度よりも低い場合、膨張弁140の開度を絞り、熱交換器150と圧縮機110との間を流れる冷媒の温度が飽和ガス温度よりも高い場合、膨張弁140の開度を開くことで、熱交換器150と圧縮機110との間を流れる冷媒の温度が飽和ガス温度に近づくように膨張弁140を制御する。なお、飽和ガス温度は理想的な状態におけるガス冷媒の温度である。実際の機器制御・要求運転状態においては、湿り蒸気の場合、湿り蒸気の乾き度Xが0.85<X<1.00の範囲で事前に設定された目標値となるように制御される。ガス冷媒の場合、ガス冷媒の過熱度SHが0<SH<20degの範囲で事前に設定された目標値となるよう制御される。また、膨張弁140は、圧縮機110に吸入される冷媒の乾き度または過熱度だけではなく、圧縮機110から吐出された冷媒の温度、あるいは熱交換器から流出する冷媒の過冷却度SCを制御してもよい。制御装置172は、S104の後、処理をS103に戻す。目標温度Tgoalと温度T21との差の絶対値が閾値以下である場合(S103においてYES)、制御装置172は、室温がほぼ目標温度に達したとして、処理をS105に進める。
制御装置172は、S105において運転モードが冷房モードであり、かつ温度センサTS11から取得される温度T11が、温度センサTS12から取得される温度T12以上であるか否かを判定する。運転モードが暖房モードである場合、あるいは温度T11が温度T12より小さい場合(S105においてNO)、制御装置172は、熱交換器150を通過する冷媒の通過方向を対向流に維持したまま処理をメインルーチンに返す。運転モードが冷房モードであり、かつ温度T11が温度T12以上である場合(S105においてYES)、熱交換器150の圧力損失により熱交換器150の熱交換能力が低下しているとして、処理をS106に進める。
制御装置172は、S106において以下の式(1)~(3)から対数平均温度差LMTDを計算する。S106において算出される対数平均温度差をLMTD1とする。
制御装置172は、S106において対数平均温度差LMTD1を算出した後、処理をS107に進める。制御装置172は、S107において圧縮機110の基準値以下に低減する。S107において、圧縮機110は停止されてもよい。また、膨張弁140の開度が目標値(たとえば過熱度、吐出温度、および過冷却度等)となるように制御してもよい。制御装置172は、S107の後、処理をS108に進める。
制御装置172は、S108において流路切替部162の切替弁40を駆動して、処理をS109に進める。制御装置172は、S109において切替弁40の弁ポートP41~P44の切替弁40内の連通状態が切替わるまで待機した後、処理をS110に進める。
制御装置172は、S110において目標温度Tgoalと温度T21との差の絶対値が閾値以下であるか否かを判定する。目標温度Tgoalと温度T21との差の絶対値が閾値よりも大きい場合(S110においてNO)、制御装置172は、室温を目標温度Tgoalに近づけるため、S111において圧縮機110の駆動周波数および膨張弁140の開度を変更した後、処理をS110に戻す。目標温度Tgoalと温度T21との差の絶対値が閾値以下である場合(S110においてYES)、制御装置172は、室温がほぼ目標温度に達したとして、処理をS112に進める。
制御装置172は、S112において上記の式(1)~(3)から対数平均温度差LMTD2を算出し、処理をS113に進める。制御装置172は、S113において、対数平均温度差LMTD2がLMTD1以上であるか否かを判定する。対数平均温度差LMTD2がLMTD1以上である場合(S113においてYES)、制御装置172は、処理をメインルーチンに戻す。対数平均温度差LMTD2がLMTD1より小さい場合(S113においてNO)、処理をS107に戻す。
図13は、図4の制御装置172によって行なわれる処理の他の例を示すフローチャートである。図12に示される処理において制御装置172は、室内機20の熱交換器150を通過する冷媒の通過方向が対向流である場合の対数平均温度差と並行流である場合の対数平均温度差をそれぞれ算出して、対数平均温度差の大きい方の通過方向を選択する。しかし、必ずしも対数平均温度差を計算する必要はなく、熱交換器150のポートP151を通過する冷媒の温度T11およびポートP152を通過する冷媒の温度T12の大小関係によって、熱交換器150を通過する冷媒の通過方向を切り替えても良い。対数平均温度差を用いない処理においては、熱交換器150の熱交換能力の低下が検出される精度が低下するものの、対数平均温度差を算出しないため、対向流と並行流との切替処理を高速化することができる。また、室温を検出する温度センサが1つで済むため、冷凍サイクル装置2の製造コストを低減することができる。
図13に示されるように、制御装置172は、S101~S105においては図12に示される処理と同様の処理を行なう。制御装置172は、S105の後、S107~S111において図12に示される処理と同様の処理を行なう。
図14は、図4の圧縮機110の駆動周波数の変化を示すタイムチャートである。図14において、時刻tm0は、図4の冷凍サイクル装置2の運転が開始された時刻である。図14に示されるように、制御装置172は、圧縮機110の駆動周波数を、時刻tm0から時刻tm1まで増加させ、時刻tm1からtm2まで駆動周波数f2に維持する。制御装置172は、熱交換器150を通過する冷媒の通過方向を切り替えるため、時刻tm2から圧縮機110の駆動周波数を減少させて、時刻tm3において図12のS107の基準値である駆動周波数f1(<f2)とする。圧縮機110の駆動周波数を駆動周波数f1よりも小さくしてもよく、圧縮機を停止させてもよい。駆動周波数f1は0であってもよい。制御装置172は、時刻tm2以降に切替弁40の駆動を開始する。制御装置172は、切替弁40の切替が完了した以降の時刻tm4から圧縮機110の駆動周波数を増加させる。このように、熱交換器150を通過する冷媒の通過方向を切り替える場合に圧縮機110の駆動周波数を低下させることにより、切替弁40の動作中に冷媒の流れが不安定となることを抑制することができる。その結果、切替弁40の動作中の冷媒の流動音の発生を抑制することができる。切替弁40は、圧縮機110の周波数が基準値以下となり、冷媒の流れがある程度緩やかとなる時刻tm3以降に動作させるのが望ましい。
図15は、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置2の機能構成および暖房モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。図15に示されるように、暖房モードにおいては開閉弁200は閉止されている。弁ポートP41とP42とが切替弁40内で連通している。弁ポートP43とP44とが切替弁40内で連通している。配管PP12からの冷媒は、弁ポートP44からP43へ向かって切替弁40を通過した後、熱交換器150のポートP151に至る。冷媒は、熱交換器150をポートP151からP152へ向かって通過する。ポートP152からの冷媒は、弁ポートP41からP42へ向かって切替弁40内を通過した後、配管PP12を経由して膨張弁140に至る。
冷凍サイクル装置2の暖房モードにおいては熱交換器150を通過する冷媒の通過方向は対向流に設定される。冷房モードとは異なり、熱交換器150が凝縮器として機能する暖房モードにおいては、当該通過方向は、対向流と並行流との間で切り替えられない。
凝縮過程において、冷媒は、気体(ガス冷媒)、気液二相状態(湿り蒸気)、および液体(液冷媒)の順に状態が変化する。凝縮器として機能する熱交換器150の圧力損失によらず、冷媒が気体である凝縮過程の開始状態の温度は、冷媒が液体となる凝縮過程の終了状態の温度よりも高い。凝縮過程においては、蒸発過程とは異なり、開始温度と終了温度との大小関係が変化することがほとんどない。暖房モードにおいては、熱交換器150を通過する冷媒の通過方向を対向流とした方が、熱交換器150の熱交換能力を向上させることができる。
実施の形態2の変形例1および2.
実施の形態1および実施の形態2においては、切替弁が4つの弁ポートを有する場合について説明した。切替弁が有する弁ポート数は4つに限定されない。切替弁はモータによって移動される弁体によって複数の弁ポートの連通状態が切り替えられるものであればどのようなものでもよい。以下では、変形例1において切替弁が6つの弁ポートを有する場合について説明し、変形例2において切替弁が5つの弁ポートを有する場合について説明する。
変形例1.
図16は、実施の形態2の変形例1に係る冷凍サイクル装置2Aの機能構成および冷房モードにおいて熱交換器150を通過する冷媒の通過方向が対向流である場合の冷媒の流れを併せて示す図である。図16に示されるように、冷凍サイクル装置2Aにおいては、図4の流路切替部162が流路切替部162Aに置き換えられている。流路切替部162Aは、切替弁60を含む。
切替弁60は、弁ポートP61~P66を有する。切替弁60は、図2の切替弁40と同様に、モータによって弁体が駆動させるモータ駆動式の切替弁である。図16を参照しながら、弁ポートP61およびP66は、ポートP151に接続されている。弁ポートP62は、配管PP11に接続されている。弁ポートP63およびP64は、ポートP152に接続されている。弁ポートP65は、配管PP12に接続されている。
冷房モードにおいて熱交換器150を通過する冷媒の方向が対向流である場合、弁ポートP61とP62とが切替弁60内で連通している。弁ポートP64とP65とが切替弁60内で連通している。配管PP11からの冷媒は、弁ポートP62からP61へ向かって切替弁60を通過した後、熱交換器150のポートP151に至る。冷媒は、熱交換器150をポートP151からP152へ向かって通過する。ポートP152からの冷媒は、弁ポートP64からP65へ向かって切替弁60を通過した後、配管PP12を経由して六方弁120に至る。
図17は、実施の形態2の変形例1に係る冷凍サイクル装置2Aの機能構成および冷房モードにおいて熱交換器150を通過する冷媒の方向が並行流である場合の冷媒の流れを併せて示す図である。冷房モードにおいて熱交換器150を通過する冷媒の方向が並行流である場合、弁ポートP62とP63とが切替弁60内で連通している。弁ポートP65とP66とが切替弁60内で連通している。配管PP11からの冷媒は、弁ポートP62からP63へ向かって切替弁60を通過した後、熱交換器150のポートP152に至る。冷媒は、熱交換器150をポートP152からP151へ向かって通過する。ポートP151からの冷媒は、弁ポートP66からP65へ向かって切替弁60を通過した後、配管PP12を経由して六方弁120に至る。
図18は、実施の形態2の変形例1に係る冷凍サイクル装置2Aの機能構成および暖房モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。暖房モードの場合、弁ポートP62とP63とが切替弁60内で連通している。弁ポートP65とP66とが切替弁60内で連通している。配管PP12からの冷媒は、弁ポートP65からP66へ向かって切替弁60を通過した後、熱交換器150のポートP151に至る。冷媒は、熱交換器150をポートP151からP152へ向かって通過する。ポートP152からの冷媒は、弁ポートP63からP62へ向かって切替弁60を通過した後、配管PP11を経由して膨張弁140に至る。
変形例2.
図19は、実施の形態2の変形例2に係る冷凍サイクル装置2Bの機能構成および冷房モードにおいて熱交換器150を通過する冷媒の方向が対向流である場合の冷媒の流れを併せて示す図である。図19に示されるように、冷凍サイクル装置2Bにおいては、図4の流路切替部162が流路切替部361に置き換えられている。流路切替部361は、切替弁50を含む。
切替弁50は、弁ポートP51~P55を有する。切替弁50は、図2の切替弁40と同様に、モータによって弁体が駆動させるモータ駆動式の切替弁である。図19を参照しながら、弁ポートP51およびP55は、ポートP151に接続されている。弁ポートP52は、配管PP11に接続されている。弁ポートP53は、ポートP152に接続されている。弁ポートP54は、配管PP12に接続されている。
冷房モードにおいて熱交換器150を通過する冷媒の方向が対向流である場合、弁ポートP51とP52とが切替弁50内で連通している。弁ポートP53とP54とが切替弁50内で連通している。配管PP11からの冷媒は、弁ポートP52からP51へ向かって切替弁50を通過した後、熱交換器150のポートP151に至る。冷媒は、熱交換器150をポートP151からP152へ向かって通過する。ポートP152からの冷媒は、弁ポートP53からP54へ向かって切替弁50を通過した後、配管PP12を経由して六方弁120に至る。
図20は、実施の形態2の変形例2に係る冷凍サイクル装置2Bの機能構成および冷房モードにおいて熱交換器150を通過する冷媒の方向が並行流である場合の冷媒の流れを併せて示す図である。冷房モードにおいて熱交換器150を通過する冷媒の方向が並行流である場合、弁ポートP52とP53とが切替弁50内で連通している。弁ポートP54とP55とが切替弁50内で連通している。配管PP11からの冷媒は、弁ポートP52からP53へ向かって切替弁50を通過した後、熱交換器150のポートP152に至る。冷媒は、熱交換器150をポートP152からP151へ向かって通過する。ポートP151からの冷媒は、弁ポートP55からP54へ向かって切替弁50を通過した後、配管PP12を経由して六方弁120に至る。
図21は、実施の形態2の変形例2に係る冷凍サイクル装置2Bの機能構成および暖房モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。暖房モードの場合、弁ポートP52とP53とが切替弁50内で連通している。弁ポートP54とP55とが切替弁50内で連通している。配管PP12からの冷媒は、弁ポートP54からP55へ向かって切替弁50を通過した後、熱交換器150のポートP151に至る。冷媒は、熱交換器150をポートP151からP152へ向かって通過する。ポートP152からの冷媒は、弁ポートP53からP52へ向かって切替弁50を通過した後、配管PP12を経由して膨張弁140に至る。
以上、実施の形態2、変形例1、および変形例2に係る冷凍サイクル装置によれば、実施の形態1と同様に、熱交換器の熱交換能力を向上させることができ、冷凍サイクル装置の性能を向上させることができる。
また、実施の形態2、変形例1、および変形例2に係る冷凍サイクル装置によれば、冷房モードにおいて蒸発器として機能する熱交換器を通過する冷媒の通過方向を対向流と並行流との間で適宜切り替えることにより、当該熱交換器の熱交換能力を向上せることができ、冷凍サイクル装置の性能をさらに向上させることができる。
さらに、実施の形態2、変形例1、および変形例2に係る冷凍サイクル装置によれば、熱交換器150を通過する冷媒の通過方向を切り替える場合に圧縮機110の駆動周波数を低下させることにより、当該通過方向を切り替える場合に生じる冷媒の流動音を抑制することができる。
実施の形態3.
実施の形態1および実施の形態2においては、冷凍サイクル装置が備える2つの熱交換器のうち、一方の熱交換器を通過する冷媒の通過方向を切り替え可能とする場合について説明した。実施の形態3においては、冷凍サイクル装置が備える2つの熱交換器の各々を通過する冷媒の通過方向を切り替え可能とする場合について説明する。
図22は、実施の形態3に係る冷凍サイクル装置3の機能構成および暖房モードにおいて蒸発器として機能する熱交換器130を通過する冷媒の通過方向が対向流である場合の冷媒の流れを併せて示す図である。図22に示されるように、冷凍サイクル装置3は、室外機13と、室内機23とを備える。室内機23は、図21の室内機23と同様である。室外機13においては、図21の六方弁120および制御装置172が四方弁124および制御装置173にそれぞれ置き換えられているとともに、熱交換器130のための流路切替部362、温度センサTS13,TS14,TS23,TS24とが加えられている。
暖房モードにおいて冷媒は、圧縮機110、四方弁124、配管PP12、流路切替部361、熱交換器150、流路切替部361、配管PP11、膨張弁140、流路切替部362、熱交換器130、流路切替部362、四方弁124の順に循環する。
温度センサTS13は、ポートP131付近の配管に配置されている。温度センサTS13は、ポートP131を通過する冷媒の温度を測定して、制御装置173に出力する。温度センサTS14は、ポートP132付近の配管に配置されている。温度センサTS14は、ポートP132を通過する冷媒の温度を測定して、当該温度を制御装置173に出力する。
温度センサTS23は、ポートP132付近に配置されている。温度センサTS23は、ポートP132を通過する冷媒と熱交換する空気の温度を測定して、当該温度を制御装置173に出力する。温度センサTS24は、ポートP131付近に配置されている。温度センサTS24は、ポートP131を通過する冷媒と熱交換する空気の温度を測定して、当該温度を制御装置173に出力する。
流路切替部362は、切替弁52を含む。切替弁52は、切替弁51と同様にモータ駆動式の切替弁である。切替弁52は、弁ポートP521~P525を有する。弁ポートP521およびP525は、熱交換器130のポートP131に接続されている。弁ポートP522は、膨張弁140に接続されている。弁ポートP523は、熱交換器130のポートP132に接続されている。弁ポートP524は、四方弁124に接続されている。
暖房モードにおいて蒸発器として機能する熱交換器130を通過する冷媒の方向が対向流である場合、弁ポートP521とP522とが切替弁52内で連通している。弁ポートP523とP524とが切替弁52内で連通している。膨張弁140からの冷媒は、弁ポートP522からP521へ向かって切替弁52を通過し、熱交換器130のポートP131に至る。ポートP131からの冷媒は、ポートP131からP132へ向かって熱交換器130を通過する。ポートP132からの冷媒は、弁ポートP523からP524へ向かって切替弁50を通過し、四方弁124に至る。
制御装置173は、冷凍サイクル装置3の運転モードを切り替える。制御装置173は、圧縮機110の駆動周波数を制御して圧縮機110が単位時間あたりに吐出する冷媒量を制御する。制御装置173は、四方弁124を制御して、冷媒の循環方向を暖房モードおよび冷房モードの各々に対応した循環方向に切り替える。制御装置173は、膨張弁140の開度を制御する。制御装置173は、流路切替部361,362を制御する。
制御装置173は、熱交換器130の熱交換能力を高めるため、流路切替部362を制御して、暖房モードにおいて蒸発器として機能する熱交換器130を通過する冷媒の通過方向を対向流と並行流との間で切り替える。制御装置173は、温度センサTS13,TS14,TS23,TS24からの各温度を受けて、冷媒が熱交換器130を通過する方向を対向流と並行流との間で切り替える。熱交換器130を通過する冷媒の通過方向を切り替えるために、制御装置173において行なわれる処理については、後に図24を用いて詳細に説明する。
図23は、図22の冷凍サイクル装置3の機能構成および暖房モードにおいて蒸発器として機能する熱交換器130を通過する冷媒の通過方向が並行流である場合の冷媒の流れを併せて示す図である。図23に示されるように、暖房モードにおいて蒸発器として機能する熱交換器130を通過する冷媒の方向が並行流である場合、弁ポートP522とP523とが切替弁52内で連通している。弁ポートP524とP525とが切替弁52内で連通している。膨張弁140からの冷媒は、弁ポートP522からP523へ向かって切替弁52を通過し、熱交換器130のポートP132に至る。ポートP132からの冷媒は、ポートP132からP131へ向かって熱交換器130を通過する。ポートP131からの冷媒は、弁ポートP525からP524へ向かって切替弁50を通過し、四方弁124に至る。
図24は、暖房モードにおいて蒸発器として機能する熱交換器130を通過する冷媒の通過方向を切り替えるために、図22の制御装置173によって行なわれる処理の流れの一例を示すフローチャートである。図24に示される処理は、ユーザからの運転モードの入力があった場合に、不図示のメインルーチンによって呼び出される。
図24に示されるように、制御装置173は、S301で、ユーザからの運転モードの入力を受け付けて、処理をS302に進める。制御装置173は、S302において初期設定を行なう。具体的には、制御装置173は、S302において、目標温度Tgoalの設定、運転開始時の室温T21の取得、室外機13の熱交換器130を通過する冷媒の通過方向の設定、圧縮機110の駆動周波数の設定等を行なう。熱交換器130を通過する冷媒の通過方向は、冷房モードおよび暖房モードのいずれにおいても、運転開始時においては対向流に設定される。
制御装置173は、S302において初期設定を行なった後、処理をS303に進める。制御装置173は、S303において目標温度Tgoalと温度T21(室温)との差の絶対値が閾値以下であるか否かを判定する。目標温度Tgoalと温度T21との差の絶対値が閾値よりも大きい場合(S303においてNO)、制御装置173は、室温を目標温度Tgoalに近づけるためS304において圧縮機110の駆動周波数を変更する。具体的には、目標温度Tgoalが温度T21より大きい場合、制御装置173は駆動周波数を一定数増加させる。目標温度Tgoalが温度T21より小さい場合、制御装置173は駆動周波数を一定数減少させる。また、熱交換器150と圧縮機110との間を流れる冷媒の温度(たとえば熱交換器150から流出する冷媒の温度、あるいは圧縮機110に吸入される冷媒の温度)が飽和ガス温度よりも低い場合、膨張弁140の開度を絞り、熱交換器150と圧縮機110との間を流れる冷媒の温度が飽和ガス温度よりも高い場合、膨張弁140の開度を開くことで、熱交換器150と圧縮機110との間を流れる冷媒の温度が飽和ガス温度に近づくように膨張弁140を制御する。なお、飽和ガス温度は理想的な状態におけるガス冷媒の温度である。実際の機器制御・要求運転状態においては、湿り蒸気の場合、湿り蒸気の乾き度Xが0.85<X<1.00の範囲で事前に設定された目標値となるように制御される。ガス冷媒の場合、ガス冷媒の過熱度SHが0<SH<20degの範囲で事前に設定された目標値となるよう制御される。また、膨張弁140は、圧縮機110に吸入される冷媒の乾き度または過熱度だけではなく、圧縮機110から吐出された冷媒の温度、あるいは熱交換器から流出する冷媒の過冷却度SCを制御してもよい。制御装置173は、S304の後、処理をS303に戻す。目標温度Tgoalと温度T21との差の絶対値が閾値以下である場合(S303においてYES)、制御装置173は、室温がほぼ目標温度に達したとして、処理をS305に進める。
制御装置173は、S305において運転モードが暖房モードであり、かつ温度センサTS13から取得される温度T13が、温度センサTS14から取得される温度T14以上であるか否かを判定する。運転モードが冷房モードである場合、あるいは温度T13が温度T14より小さい場合(S305においてNO)、制御装置173は、熱交換器130を通過する冷媒の通過方向を対向流に維持したまま処理をメインルーチンに返す。運転モードが暖房モードであり、かつ温度T13が温度T14以上である場合(S305においてYES)、熱交換器130の圧力損失により、熱交換器130の熱交換能力が低下しているとして、処理をS306に進める。
制御装置173は、S306において以下の式(4)~(6)から対数平均温度差LMTDを計算する。S306において算出される対数平均温度差をLMTD3とする。
制御装置173は、S306において対数平均温度差LMTD3を算出した後、処理をS307に進める。制御装置173は、S307において圧縮機110の基準値以下に低減する。S307において、圧縮機110は停止されてもよい。また、膨張弁140の開度が目標値(たとえば過熱度、吐出温度、および過冷却度等)となるように制御してもよい。制御装置173は、S307の後、処理をS308に進める。
制御装置173は、S308において流路切替部362の切替弁52を駆動して、処理をS309に進める。制御装置173は、S309においてポートP521~P525の切替弁52内の連通状態が切替わるまで待機した後、処理をS310に進める。
制御装置173は、S310において目標温度Tgoalと温度T21との差の絶対値が閾値以下であるか否かを判定する。目標温度Tgoalと温度T21との差の絶対値が閾値よりも大きい場合(S310においてNO)、制御装置173は、室温を目標温度Tgoalに近づけるため、S311において圧縮機110の駆動周波数および膨張弁140の開度を変更した後、処理をS310に戻す。目標温度Tgoalと温度T23との差の絶対値が閾値以下である場合(S310においてYES)、制御装置173は、室温がほぼ目標温度に達したとして、処理をS312に進める。
制御装置173は、S312において上記の式(4)~(6)から対数平均温度差LMTD4を算出し、処理をS313に進める。制御装置173は、S313において、対数平均温度差LMTD4がLMTD3以上であるか否かを判定する。対数平均温度差LMTD4がLMTD3以上である場合(S313においてYES)、制御装置173は、処理をメインルーチンに戻す。対数平均温度差LMTD4がLMTD3より小さい場合(S313においてNO)、処理をS307に戻す。
暖房モードにおいて蒸発器として機能する熱交換器130を通過する冷媒の通過方向を切り替えるために制御装置173において行なわれる処理は、図13に示される処理のように対数平均温度を算出せずに、熱交換器130のポートP131を通過する冷媒の温度T13およびポートP132を通過する冷媒の温度T14の大小関係によって、熱交換器130を通過する冷媒の通過方向を切り替える処理でも良い。
図25は、図22の冷凍サイクル装置3の機能構成および冷房モードにおいて蒸発器として機能する熱交換器150を通過する冷媒の通過方向が対向流である場合の冷媒の流れを併せて示す図である。図26は、図22の冷凍サイクル装置3の機能構成および冷房モードにおいて蒸発器として機能する熱交換器150を通過する冷媒の通過方向が並行流である場合の冷媒の流れを併せて示す図である。冷房モードにおいては、熱交換器130は凝縮器として機能するため、制御装置173は、熱交換器130を通過する冷媒の通過方向を対向流とする。図25に示される室内機23における冷媒の流れは、図19に示される室内機23における冷媒の流れと同様であるため説明を繰り返さない。また、図26に示される室内機23における冷媒の流れは図20に示される冷媒の流れと同様であるため、説明を繰り返さない。
図25および図26に示されるように、冷房モードにおいては弁ポートP522とP523とが切替弁52内で連通している。弁ポートP524とP525とが切替弁52内で連通している。圧縮機110からの冷媒は、弁ポートP524からP525へ向かって切替弁52を通過し、熱交換器130のポートP131に至る。ポートP131からの冷媒は、ポートP131からP132へ向かって熱交換器130を通過する。ポートP132からの冷媒は、弁ポートP523からP522へ向かって切替弁50内を通過し、膨張弁140に至る。
以上、実施の形態3に係る冷凍サイクル装置によれば、実施の形態1と同様に、熱交換器の熱交換能力を向上させることができ、冷凍サイクル装置の性能を向上させることができる。また、実施の形態3に係る冷凍サイクル装置によれば、冷凍サイクル装置が備える2つの熱交換器の各々を通過する冷媒の通過方向を切り替え可能とすることにより、各熱交換器の熱交換能力を向上せることができ、冷凍サイクル装置の性能をさらに向上させることができる。
実施の形態4.
実施の形態4では、冷媒と空気とが、水あるいはブライン(塩水)等の熱媒体を介して熱交換を行なうカスケード式の冷凍サイクル装置について説明する。
図27は、実施の形態4に係る冷凍サイクル装置4の機能構成を示す図である。図27に示される冷凍サイクル装置4の構成は、図19に示される冷凍サイクル装置2Bの熱交換器150、制御装置172、温度センサTS21、およびTS22が、カスケード熱交換器400、制御装置174、温度センサTS41、およびTS42にそれぞれ置き換えられているとともに、ポンプ410および熱交換器420が追加されている。
図27に示されるように、熱交換器420は、ポートP421,P422を含む。カスケード熱交換器400は、ポートP451~P454を含む。ポートP451,P452の各々は、冷媒が通過するポートである。ポートP451とP452とは、図19に示される冷凍サイクル装置2Bの熱交換器150のポートP151およびP152にそれぞれ対応する。ポートP451は、切替弁50の弁ポートP51およびP55に接続されている。ポートP452は、切替弁50の弁ポートP53に接続されている。
ポートP453,P454の各々は、熱媒体が通過するポートである。ポートP453,P454を通過する熱媒体は、ポートP452,P451をそれぞれ通過する冷媒と熱交換する。ポートP453,P454の各々は、ポートP452,P451の付近にそれぞれ配置されている。ポートP453は、熱交換器420のポートP422に接続されている。ポートP454は、ポンプ410に接続されている。
カスケード熱交換器400は、二重管を有する熱交換器であってもよいし、複数の板状のプレートを積層したプレート式熱交換器であってもよい。
ポンプ410は、ポートP454と熱交換器420のポートP421との間に接続されている。ポンプ410は、制御装置174に制御されて、熱媒体を熱交換器400と熱交換器420との間で循環させる。ポンプ410は、本発明の流体移動部に対応する。
温度センサTS11は、ポートP451付近の配管に配置されている。温度センサTS11は、ポートP451を通過する冷媒の温度を測定して、制御装置174に出力する。温度センサTS12は、ポートP452付近の配管に配置されている。温度センサTS12は、ポートP452を通過する冷媒の温度を測定して、当該温度を制御装置174に出力する。
温度センサTS41は、ポートP453付近の配管に配置されている。温度センサTS41は、ポートP453を通過する熱媒体の温度を測定して、制御装置174に出力する。温度センサTS42は、ポートP454付近の配管に配置されている。温度センサTS42は、ポートP454を通過する熱媒体の温度を測定して、当該温度を制御装置174に出力する。
制御装置174は、冷凍サイクル装置3の運転モードを切り替える。制御装置174は、圧縮機110の駆動周波数を制御して圧縮機110が単位時間あたりに吐出する冷媒量を制御する。制御装置174は、六方弁120を制御して、冷媒の循環方向を暖房モードおよび冷房モードの各々に対応した循環方向に切り替える。制御装置174は、膨張弁140の開度を制御する。制御装置174は、温度センサTS11,TS12,TS41,TS42の各々から温度を受けて、流路切替部361を制御することにより、冷媒がカスケード熱交換器400を通過する方向を対向流と並行流との間で切り替える。
実施の形態4の変形例1.
実施の形態4では、カスケード熱交換器400および流路切替部361が室内機24に収容されている場合について説明した。カスケード熱交換器400および流路切替部361は、図28に示される冷凍サイクル装置4Bのように、室外機14Aに収容されていてもよい。このような構成とすることにより、冷媒は室外機14A内を循環することになり、室外機14Aと室内機24Aとをつなぐ配管を通過することがなくなる。室外機14Aと室内機24Aとをつなぐ配管(延長配管)は両者が離れている場合に他の配管よりも長くなることがある。そのため、当該配管を通過させないことにより、冷凍サイクル装置4Aに必要な冷媒量を削減することができる。その結果、冷凍サイクル装置4Aの運用コストを削減することができる。
実施の形態4の変形例2.
実施の形態4においては、熱媒体が通過する熱交換器が1つである場合について説明した。実施の形態4の変形例2においては、熱媒体が通過する熱交換器が複数である場合について説明する。
図29は、実施の形態4の変形例2に係る冷凍サイクル装置4Bの機能構成を示す図である。図29に示される冷凍サイクル装置4Bにおいては、図27に示される冷凍サイクル装置4の熱交換器420に替えて、熱交換器421~423および流調弁431~434が備えられている。また、図27に示される冷凍サイクル装置4の制御装置174が、制御装置174Bに置き換えられている。
図29に示されるように、熱交換器421と流調弁431とは、ポンプ410とカスケード熱交換器400との間で直列に接続されている。熱交換器422と流調弁432とは、ポンプ410とカスケード熱交換器400との間で直列に接続されている。熱交換器423と流調弁433とは、ポンプ410とカスケード熱交換器400との間で直列に接続されている。
直列に接続された熱交換器421および流調弁431、直列に接続された熱交換器422および流調弁432、直列に接続された熱交換器423および流調弁433、並びに流調弁434は、ポンプ410とカスケード熱交換器400との間で並列に接続されている。
制御装置174Bは、流調弁431~434の開度を制御する。制御装置174Bは、ポンプ410が単位時間当たりに一定量の熱媒体を吐出するようにポンプ410を制御する。冷凍サイクル装置4Bにおいては、ポンプ410が単位時間当たりに吐出する熱媒体の量は一定量であるため、ポンプ410から吐出された熱媒体の全てが熱交換器421~423を通過することができない事態が想定される。そのような場合に、熱交換器421~423を通過することができなかった熱媒体が循環を継続することができるように、冷凍サイクル装置4Bにおいては流調弁434を経由するバイパス流路が設けられている。
実施の形態4の変形例3.
実施の形態4の変形例2においては、ポンプ410が単位時間当たりに吐出する熱媒体の量が一定である場合について説明した。インバータによる制御により、ポンプ410が単位時間当たりに吐出する熱媒体の量をリアルタイムに変更可能である場合には、図30に示される冷凍サイクル装置4Cのように、バイパス流路を設けなくてもよい。
実施の形態4の変形例4.
実施の形態4においては、室外機が1つである場合について説明した。実施の形態4の変形例4においては、室外機が複数である場合について説明する。
図31は、実施の形態4の変形例4に係る冷凍サイクル装置4Dの機能構成を示す図である。図31に示される冷凍サイクル装置4Dの構成は、図28に示される冷凍サイクル装置4Aの制御装置174が制御装置174Dに置き換えられているとともに、冷凍サイクル装置4Aの構成に室外機14Dが加えられた構成である。
図31に示されるように、室外機14Dは、圧縮機112、六方弁122、熱交換器132、および膨張弁142を収容する。圧縮機112、六方弁122、熱交換器132、および膨張弁142は、室外機14Aの圧縮機110、六方弁120、熱交換器130、膨張弁140にそれぞれ対応している。膨張弁142は、切替弁50の弁ポートP52に接続されている。六方弁122は、切替弁50の弁ポートP53に接続されている。
以上、実施の形態4および変形例1~4に係る冷凍サイクル装置によれば、実施の形態1と同様に、熱交換器の熱交換能力を向上させることができ、冷凍サイクル装置の性能を向上させることができる。さらに、実施の形態4および変形例1~4に係る冷凍サイクル装置においては、空気と冷媒とが熱媒体を介して熱交換を行うため、冷凍サイクル装置に必要な冷媒量を削減することができる。熱媒体として冷媒よりもコストの低い熱媒体(たとえば水あるいはブライン)を用いることにより、冷凍サイクル装置の運用コストを削減することができる。
実施の形態5.
実施の形態5においては、室内機に複数の熱交換器と、各熱交換器に対応する膨張弁とが設けられる場合について説明する。
図32は、実施の形態5に係る冷凍サイクル装置5の機能構成および冷房モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。図32に示されるように、冷凍サイクル装置5は、室外機15と室内機25とを備える。室外機15の構成は、図19に示される室外機10の制御装置172が制御装置175に置き換えられているともに、室外機10の構成から膨張弁140が除かれた構成である。室内機25は、膨張弁141,142と、流路切替部561,562と、熱交換器151,152とを収容する。流路切替部561,562は、切替弁51,52をそれぞれ含む。
図32に示されるように、膨張弁141は、配管PP11と切替弁51の弁ポートP512の間に接続されている。弁ポートP511,P515は、熱交換器151の一方のポートに接続されている。弁ポートP513は、熱交換器151の他方のポートに接続されている。弁ポートP514は、配管PP12に接続されている。
膨張弁142は、配管PP11と切替弁52の弁ポートP522の間に接続されている。弁ポートP521,P525は、熱交換器152の一方のポートに接続されている。弁ポートP523は、熱交換器152の他方のポートに接続されている。弁ポートP524は、配管PP12に接続されている。膨張弁141と142とは、配管PP11とPP12との間で並列に接続されている。
制御装置175は、切替弁51を制御することにより熱交換器151を通過する冷媒の方向を切り替える。制御装置175は、切替弁52を制御することにより熱交換器152を通過する冷媒の方向を切り替える。制御装置175は、熱交換器151の状態に合わせて膨張弁141の開度を適当な値に制御する。制御装置175は、熱交換器152の状態に合わせて膨張弁142の開度を適当な値に制御する。
冷房モードにおいて冷媒は、圧縮機110、六方弁120、熱交換器130、六方弁120、膨張弁141、流路切替部561、熱交換器151、流路切替部561、および六方弁120の順に循環する。また、冷媒は、圧縮機110、六方弁120、熱交換器130、六方弁120、膨張弁142、流路切替部562、熱交換器152、流路切替部562、および六方弁120の順に循環する。
図33は、実施の形態5に係る冷凍サイクル装置5の機能構成および暖房モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。図33に示されるように、暖房モードにおいて冷媒は、圧縮機110、流路切替部561、熱交換器151、流路切替部561、膨張弁141、六方弁120、熱交換器130、六方弁120の順に循環する。また、冷媒は、圧縮機110、流路切替部562、熱交換器152、流路切替部562、膨張弁141、六方弁120、熱交換器130、六方弁120の順に循環する。
図34は、実施の形態5の変形例に係る冷凍サイクル装置5Aの機能構成を示す図である。冷凍サイクル装置5Aは、カスケード式の冷凍サイクル装置である。冷凍サイクル装置5Aの構成は、図32に示される冷凍サイクル装置5の制御装置175および熱交換器151,152が制御装置175Aおよびカスケード熱交換器401,402にそれぞれ置換されているとともに、ポンプ411,412、および熱交換器421,422が加えられている。
制御装置175Aは、流路切替部561を制御して、カスケード熱交換器401を通過する冷媒の通過方向を切り替える。制御装置175Aは、流路切替部562を制御して、カスケード熱交換器402を通過する冷媒の通過方向を切り替える。制御装置175Aは、ポンプ411を制御して、熱媒体をカスケード熱交換器401と熱交換器421との間で循環させる。制御装置175Aは、ポンプ412を制御して、熱媒体をカスケード熱交換器402と熱交換器422との間で循環させる。
以上、実施の形態5および変形例に係る冷凍サイクル装置によれば、実施の形態1と同様に、熱交換器の熱交換能力を向上させることができ、冷凍サイクル装置の性能を向上させることができる。さらに、実施の形態5および変形例に係る冷凍サイクル装置においては、室内機に設けられた複数の熱交換器の各々に対応する膨張弁を個別に制御することにより、1つの膨張弁が室外機に設けられている場合よりも、各熱交換器の熱交換能力を向上させることができる。
実施の形態6.
実施の形態6においては、複数の室内機を備え、暖房と冷房とを同時に行なうことができる冷凍サイクル装置について説明する。以下では、全ての室内機において暖房が行なわれる運転モードを全暖モードと呼び、全ての室内機において冷房が行なわれる運転モードを全冷モードと呼ぶ。室外機の熱交換器を蒸発器として機能させながら、暖房と冷房とが同時に行なわれる運転モードを暖主モードと呼ぶ。室外機の熱交換器を凝縮器として機能させながら、暖房と冷房とが同時に行なわれる運転モードを冷主モードと呼ぶ。
図35は、実施の形態6に係る冷凍サイクル装置6の機能構成および全暖モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。図35に示されるように、冷凍サイクル装置6は、室外機16と、分流器36と、室内機261,262とを備える。なお、室外機16内の六方弁120は、四方弁と、逆止弁または電磁弁等とを組合せたローレンツサイクルとして構成してもよい。
室外機16の構成は、図19の室外機10から膨張弁140が除かれるとともに、図19の制御装置172が制御装置176に置き換えられた構成である。室外機16は、配管PP11およびPP12によって分流器36に接続されている。冷凍サイクル装置6は、二管式の冷凍サイクル装置である。
分流器36は、制御装置176に制御されて、室外機16からの冷媒を室内機261,262に分配する。分流器36は、開閉弁181~184と、膨張弁141,642と、気液分離器500とを含む。気液分離器500は、配管PP12に接続されている。開閉弁181および182は、気液分離器500と、室内機262との間に接続されている。開閉弁183および184は、気液分離器500と室内機261との間に接続されている。膨張弁142は、室内機261と配管PP11との間に接続されているとともに、室内機262と配管PP11との間に接続されている。膨張弁141は、室内機261と気液分離器500との間に接続されているとともに、室内機262と気液分離器500との間に接続されている。
室内機261は、切替弁51を有する流路切替部561と、膨張弁141と、熱交換器151とを含む。切替弁51の弁ポートP511およびP515は、熱交換器151の一方のポートに接続されている。弁ポートP512は、開閉弁183,184に接続されている。弁ポートP513は、熱交換器151の他方のポートに接続されている。弁ポートP514は、膨張弁141に接続されている。膨張弁141は、膨張弁641および642に接続されている。
室内機262は、切替弁52を有する流路切替部562と、膨張弁142と、熱交換器152とを含む。切替弁52の弁ポートP521およびP525は、熱交換器152の一方のポートに接続されている。弁ポートP522は、開閉弁181,182に接続されている。弁ポートP523は、熱交換器152の他方のポートに接続されている。弁ポートP524は、膨張弁142に接続されている。弁ポートP525は、熱交換器152の一方のポートに接続されている。膨張弁142は、膨張弁641および642に接続されている。
制御装置176は、圧縮機110および六方弁120を制御する。制御装置176は、開閉弁181~184を制御する。制御装置176は、膨張弁141,142,641、642を制御する。制御装置176は、切替弁51,52を制御する。
全暖モードにおいて制御装置176は、開閉弁181,183を開放するとともに、開閉弁182,184を閉止する。制御装置176は、膨張弁641を閉止するとともに膨張弁642を開放する。冷媒は、圧縮機110、六方弁120、配管PP12、気液分離器500、開閉弁183、流路切替部561、熱交換器151、流路切替部561、膨張弁141、膨張弁642、配管PP11、六方弁120、熱交換器130、六方弁120の順に循環する。また、冷媒は、圧縮機110、六方弁120、配管PP12、気液分離器500、開閉弁181、流路切替部562、熱交換器152、流路切替部562、膨張弁142、膨張弁642、配管PP11、六方弁120、熱交換器130、六方弁120の順に循環する。
図36は、実施の形態6に係る冷凍サイクル装置6の機能構成および全冷モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。全冷モードにおいて制御装置176は、開閉弁181,183を閉止するとともに、開閉弁182,184を開放する。制御装置176は、膨張弁641を開放するとともに膨張弁642を閉止する。冷媒は、圧縮機110、六方弁120、熱交換器130、六方弁120、配管PP12、気液分離器500、膨張弁641、膨張弁141、流路切替部561、熱交換器151、流路切替部561、開閉弁184、配管PP11、六方弁120の順に循環する。また、冷媒は、圧縮機110、六方弁120、熱交換器130、六方弁120、配管PP12、気液分離器500、膨張弁641、膨張弁142、流路切替部562、熱交換器152、流路切替部562、開閉弁182、配管PP11、六方弁120の順に循環する。なお、膨張弁642は、冷凍サイクル装置6の運転状態によっては開かれて、配管PP12からの冷媒を配管PP11へバイパスしてもよい。たとえば、図29に示される冷凍サイクル装置4Bのように、室内に冷媒を分配する必要がない冷凍サイクル装置においては、配管PP12からの冷媒が配管PP11へバイパスされてもよい。また、冷凍サイクル装置6の運転状態により、熱交換器130の出口での冷媒の状態は、液体または気液二相状態のどちらであってもよい。そのため、配管PP12を流れる冷媒は、冷凍サイクル装置6の運転状態により液冷媒または湿り蒸気となる。配管PP12を流れる冷媒を液冷媒より密度の小さい湿り蒸気とすることで、配管PP12内の冷媒量を削減することができる。
図37は、実施の形態6に係る冷凍サイクル装置6の機能構成および暖主モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。暖主モードにおいて制御装置176は、開閉弁181,184を閉止するとともに、開閉弁182,183を開放する。制御装置176は、膨張弁641を閉止するとともに膨張弁642を開放する。冷媒は、圧縮機110、六方弁120、配管PP12、気液分離器500、開閉弁183、流路切替部561、熱交換器151、流路切替部561、膨張弁141、膨張弁642、配管PP11、六方弁120、熱交換器130、六方弁120の順に循環する。暖主モードにおいては、室内機261において暖房が行なわれる。また、冷媒は、圧縮機110、六方弁120、配管PP12、気液分離器500、開閉弁183、流路切替部561、熱交換器151、流路切替部561、膨張弁141、膨張弁142、流路切替部562、熱交換器152、流路切替部562、開閉弁182、配管PP11、六方弁120、熱交換器130、六方弁120の順に循環する。暖主モードにおいては、室内機262において冷房が行なわれる。
図38は、実施の形態6に係る冷凍サイクル装置6の機能構成および冷主モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。冷主モードにおいて制御装置176は、開閉弁181,184を閉止するとともに、開閉弁182,183を開放する。制御装置176は、膨張弁642を閉止する。冷媒は、圧縮機110、六方弁120、熱交換器130、六方弁120、配管PP12、および気液分離器500の順に流れ、気液分離器500において、液冷媒とガス冷媒とに分離される。気液分離器500からのガス冷媒は、開閉弁183、流路切替部561、熱交換器151、流路切替部561、膨張弁141の順に流れる。気液分離器500からの液冷媒は、膨張弁641を通過した後、膨張弁141からの湿り蒸気と合流し、膨張弁142、流路切替部562、熱交換器152、流路切替部562、開閉弁182、配管PP11、六方弁120の順に流れる。冷主モードにおいては、室内機261において暖房が行なわれ、室内機262において冷房が行なわれる。なお、膨張弁642は、冷凍サイクル装置6の運転状態によっては開かれて、配管PP12からの冷媒を配管PP11へバイパスしてもよい。また、冷凍サイクル装置6の運転状態により、熱交換器130の出口での冷媒の状態は、液体または気液二相状態のどちらであってもよい。そのため、配管PP12を流れる冷媒は、冷凍サイクル装置6の運転状態により液冷媒または湿り蒸気となる。
図39は、実施の形態6の変形例1に係る冷凍サイクル装置6Aの機能構成を示す図である。図39に示される冷凍サイクル装置6Aの構成は、図35に示される分流器36の開閉弁181,182が分流器36Aの三方弁191に置き換えられているとともに、開閉弁183,184が三方弁192に置き換えられている。
図39に示されるように、三方弁191は、配管PP11と流路切替部562との間に接続されているとともに、気液分離器500と流路切替部562との間に接続されている。三方弁192は、配管PP11と流路切替部561との間に接続されているとともに、気液分離器500と流路切替部561との間に接続されている。制御装置176Aは、三方弁191,192を制御する。
図35に示される分流器36は、4つの開閉弁181~184を含む。一方、図39に示される分流器36Aは、2つの三方弁191,192を含む。開閉弁に替えて三方弁を用いることにより、冷凍サイクル装置に必要な部品点数を削減することができる。
図40は、実施の形態6の変形例2に係る冷凍サイクル装置6Bの機能構成を示す図である。図40に示される室内機261Bの構成は、図35に示される室内機261の熱交換器151がカスケード熱交換器401に置き換えられているともに、室内機261の構成にポンプ411、および熱交換器421が加えられた構成である。また、図40に示される室内機262Bの構成は、図35に示される室内機262の熱交換器152がカスケード熱交換器402に置き換えられているともに、室内機262の構成にポンプ412、および熱交換器422が加えられた構成である。冷凍サイクル装置6Bは、二管式かつカスケード式の冷凍サイクル装置である。制御装置176Bは、ポンプ411を制御してカスケード熱交換器401と熱交換器421との間で熱媒体を循環させる。制御装置176Bは、ポンプ412を制御してカスケード熱交換器402と熱交換器422との間で熱媒体を循環させる。
図35に示される室外機16に収容されている六方弁120を替えて、図41および図42に示される室外機16Cのように、八方弁を用いることができる。図41は全暖モード,暖主モードにおける冷媒の流れを示し、図42は全冷モード,冷主モードにおける冷媒の流れを示している。図41および図42に示されるように、八方弁128を用いることにより、運転モードによらず、熱交換器130を通過する冷媒の向きを対向流あるいは並行流に維持することができる。
図43は、実施の形態6の変形例4に係る冷凍サイクル装置6Dの機能構成および全冷モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。図43に示される冷凍サイクル装置4Dの構成は、図36に示される冷凍サイクル装置6の制御装置176が制御装置176Dに置き換えられているとともに、内部熱交換器600が加えられた構成である。内部熱交換器600は、膨張弁641と膨張弁641との間に接続されているとともに、膨張弁642と配管PP11との間に接続されている。制御装置176Dは、全冷モードにおいて膨張弁642を開放する。
膨張弁641からの冷媒の一部は、膨張弁642に向かう。冷媒は、膨張弁642を通過するとき断熱膨張し、低温低圧の冷媒となる。内部熱交換器600においては、膨張弁641からの冷媒が膨張弁642からの冷媒によって冷却される。室内機261,262に流入する冷媒の過冷却度が増加する。その結果、熱交換器151,152の熱交換効率を向上させることができる。
以上、実施の形態6および変形例に係る冷凍サイクル装置によれば、実施の形態1と同様に、熱交換器の熱交換能力を向上させることができ、冷凍サイクル装置の性能を向上させることができる。
実施の形態7.
実施の形態6では、複数の室内機を備え、暖房と冷房とを同時に行なうことができる二管式の冷凍サイクル装置について説明した。実施の形態7では、暖房と冷房とを同時に行なうことができる三管式の冷凍サイクル装置について説明する。
図44は、実施の形態7に係る冷凍サイクル装置7の機能構成および全暖モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。図44に示されるように、冷凍サイクル装置7は、室外機17と、分流器37と、室内機261~263と、制御装置177とを備える。
室外機17は、圧縮機110と、四方弁124と、熱交換器130と、膨張弁741,742と、内部熱交換器700とを収容する。室外機17は、配管PP71~PP73によって分流器37に接続されている。圧縮機110の吐出口および四方弁124は、配管PP71に接続されている。圧縮機110の吸入口、四方弁124、および内部熱交換器600は、配管PP72に接続されている。膨張弁741,742は、配管PP73に接続されている。圧縮機110の吸入口は、四方弁124および内部熱交換器700に接続されている。熱交換器130は、四方弁124と膨張弁742との間に接続されている。内部熱交換器700は、膨張弁741と圧縮機110の吸入口との間に接続されているとともに、膨張弁742と配管PP73の間に接続されている。
分流器37は、制御装置177に制御されて、室外機17からの冷媒を室内機261~263に分配する。分流器37は、開閉弁781~789と、膨張弁743と、気液分離器500とを含む。
開閉弁781は、配管PP71と室内機263との間に接続されている。開閉弁782は、配管PP71と室内機262との間に接続されている。開閉弁783は、配管PP71と室内機261との間に接続されている。
開閉弁784は、配管PP72と室内機263との間に接続されている。開閉弁785は、配管PP72と室内機262との間に接続されている。開閉弁786は、配管PP72と室内機261との間に接続されている。
気液分離器500は、配管PP73に接続されている。開閉弁787は、気液分離器500と室内機261との間に接続されている。開閉弁788は、気液分離器500と室内機262との間に接続されている。開閉弁789は、気液分離器500と室内機263との間に接続されている。膨張弁743は、配管PP72と気液分離器500との間に接続されている。
室内機261において、切替弁51の弁ポートP511およびP515は、熱交換器151の一方のポートに接続されている。弁ポートP512は、開閉弁783,786に接続されている。弁ポートP513は、熱交換器151の他方のポートに接続されている。弁ポートP514は、膨張弁141に接続されている。膨張弁141は、開閉弁787に接続されている。
室内機262において、切替弁52の弁ポートP521およびP525は、熱交換器152の一方のポートに接続されている。弁ポートP522は、開閉弁782,785に接続されている。弁ポートP523は、熱交換器151の他方のポートに接続されている。弁ポートP524は、膨張弁142に接続されている。膨張弁142は、開閉弁788に接続されている。
室内機263は、切替弁53を有する流路切替部563と、膨張弁143と、熱交換器153とを含む。切替弁53の弁ポートP531およびP535は、熱交換器153の一方のポートに接続されている。弁ポートP532は、開閉弁781,784に接続されている。弁ポートP533は、熱交換器153の他方のポートに接続されている。弁ポートP534は、膨張弁143に接続されている。膨張弁143は、開閉弁789に接続されている。
制御装置177は、圧縮機110および四方弁124を制御する。制御装置177は、開閉弁781~789を制御する。制御装置177は、膨張弁141~143,741~743を制御する。制御装置176は、切替弁51~53を制御する。
全暖モードにおいて制御装置177は、開閉弁781~783,787~789を開放するとともに、開閉弁784~786を閉止する。制御装置177は、膨張弁743を閉止する。
冷媒は、圧縮機110、配管PP71、開閉弁781、切替弁53の弁ポートP532、弁ポートP533、熱交換器153、弁ポートP535、弁ポートP534、膨張弁143、開閉弁789、気液分離器500、配管PP73、膨張弁742、熱交換器130、四方弁124の順に循環する。
冷媒は、圧縮機110、配管PP71、開閉弁782、切替弁52の弁ポートP522、弁ポートP523、熱交換器152、弁ポートP525、弁ポートP524、膨張弁142、開閉弁788、気液分離器500、配管PP73、膨張弁742、熱交換器130、四方弁124の順に循環する。
冷媒は、圧縮機110、配管PP71、開閉弁783、切替弁51の弁ポートP512、弁ポートP513、熱交換器151、弁ポートP515、弁ポートP514、膨張弁141、開閉弁787、気液分離器500、配管PP73、膨張弁742、熱交換器130、四方弁124の順に循環する。
気液分離器500において分離されたガス冷媒は、膨張弁743および配管PP72を経由して圧縮機110の吸入口に至る。
図45は、実施の形態7に係る冷凍サイクル装置7の機能構成および全冷モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。全冷モードにおいて制御装置177は、開閉弁781~783を閉止するとともに,開閉弁785~786,787~789を開放する。制御装置177は、膨張弁743を閉止する。なお、膨張弁743は、冷凍サイクル装置7の運転状態によっては開かれて、配管PP73からの冷媒を配管PP72にバイパスしてもよい。
冷媒は、圧縮機110、四方弁124、熱交換器130、膨張弁742、配管PP73、気液分離器500、開閉弁787、膨張弁141、切替弁51の弁ポートP514、弁ポートP513、熱交換器151、弁ポートP511、弁ポートP512、開閉弁786、配管PP72の順に循環する。
冷媒は、圧縮機110、四方弁124、熱交換器130、膨張弁742、配管PP73、気液分離器500、開閉弁788、膨張弁142、切替弁52の弁ポートP524、弁ポートP523、熱交換器152、弁ポートP521、弁ポートP522、開閉弁785、配管PP72の順に循環する。
冷媒は、圧縮機110、四方弁124、熱交換器130、膨張弁742、配管PP73、気液分離器500、開閉弁789、膨張弁143、切替弁53の弁ポートP534、弁ポートP533、熱交換器153、弁ポートP531、弁ポートP532、開閉弁784、配管PP72の順に循環する。
図46は、実施の形態7に係る冷凍サイクル装置7の機能構成および暖主モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。暖主モードにおいて制御装置177は、開閉弁781,782,786~789を開放するとともに,開閉弁783~785を閉止する。制御装置177は、膨張弁743を開放する。
冷媒は、圧縮機110、配管PP71、開閉弁781、切替弁53の弁ポートP532、弁ポートP533、熱交換器153、弁ポートP535、弁ポートP534、膨張弁143、開閉弁789、気液分離器500、配管PP73、膨張弁742、熱交換器130、四方弁124の順に循環する。暖主モードにおいては、室内機263で暖房が行なわれる。
冷媒は、圧縮機110、配管PP71、開閉弁782、切替弁52の弁ポートP522、弁ポートP523、熱交換器152、弁ポートP525、弁ポートP524、膨張弁142、開閉弁788、気液分離器500、配管PP73、膨張弁742、熱交換器130、四方弁124の順に循環する。暖主モードにおいては、室内機262で暖房が行なわれる。
冷媒は、圧縮機110、配管PP71、開閉弁781、切替弁53の弁ポートP532、弁ポートP533、熱交換器153、弁ポートP535、弁ポートP534、膨張弁143、開閉弁789、開閉弁787、膨張弁141、切替弁51の弁ポートP514、弁ポートP513、熱交換器151、弁ポートP511、弁ポートP512、開閉弁786、および配管PP72の順に循環する。また、冷媒は、圧縮機110、配管PP71、開閉弁782、切替弁52の弁ポートP522、弁ポートP523、熱交換器152、弁ポートP525、弁ポートP524、膨張弁142、開閉弁788、開閉弁787、膨張弁141、切替弁51の弁ポートP514、弁ポートP513、熱交換器151、弁ポートP511、弁ポートP512、開閉弁786、および配管PP72の順に循環する。暖主モードにおいては、室内機261で冷房が行なわれる。
気液分離器500において分離されたガス冷媒は、膨張弁743および配管PP72を経由して圧縮機110の吸入口に至る。
図47は、実施の形態7に係る冷凍サイクル装置7の機能構成および冷主モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。冷主モードにおいて制御装置177は、開閉弁781,785~789を開放するとともに,開閉弁782~784を閉止する。制御装置177は、膨張弁743を開放する。
冷媒は、圧縮機110、四方弁124、熱交換器130、膨張弁742、配管PP73、気液分離器500、開閉弁787、膨張弁141、切替弁51の弁ポートP514、弁ポートP513、熱交換器151、弁ポートP511、弁ポートP512、開閉弁786、および配管PP72の順に循環する。冷主モードにおいては、室内機261で冷房が行なわれる。
冷媒は、圧縮機110、四方弁124、熱交換器130、膨張弁742、配管PP73、気液分離器500、開閉弁788、膨張弁142、切替弁52の弁ポートP524、弁ポートP523、熱交換器152、弁ポートP521、弁ポートP522、開閉弁785、および配管PP72の順に循環する。冷主モードにおいては、室内機262で冷房が行なわれる。
冷媒は、圧縮機110、配管PP71、開閉弁781、切替弁53の弁ポートP532、弁ポートP533、熱交換器153、弁ポートP535、弁ポートP534、膨張弁143、開閉弁789、気液分離器500、膨張弁743、および配管PP72の順に循環する。冷主モードにおいては、室内機263で暖房が行なわれる。
室外機17に収容される内部熱交換器700は、必須の構成ではない。たとえば図48に示される室外機17Aのように、内部熱交換器600が配置されていなくてもよい。また、室外機17に収容されている四方弁124は、図49に示される室外機17Bおよび図50に示される室外機17Cのように、六方弁120に置き換えることができる。図49は、室外機17Bが内部熱交換器700を収容している場合を示し、図50は室外機17Cが内部熱交換器を収容していない場合を示す。
以上、実施の形態7および変形例に係る冷凍サイクル装置によれば、実施の形態1と同様に、熱交換器の熱交換能力を向上させることができ、冷凍サイクル装置の性能を向上させることができる。
今回開示された各実施の形態は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて実施することも予定されている。今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。