JP3640367B2 - 液晶ビデオプロジェクタ - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、光源からの光を3原色光に分離し、これら各原色光を液晶表示パネルに導き映像信号を用いて輝度変調せしめた後、ダイクロイックプリズムにより合成し、この合成光を所定のスクリーン上に拡大投射する液晶ビデオプロジェクタに関し、詳しくは、3原色光の各系を疑似的に等光路長とした液晶ビデオプロジェクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、色分離された3原色光を液晶表示パネルを用い所定の映像信号により変調し、この変調光をダイクロイックプリズムにより合成した後、所定のスクリーン上に拡大投射する液晶ビデオプロジェクタが広く知られている。
このような液晶ビデオプロジェクタは、光源からの光を3原色光に分離し、各々の原色光を対応する液晶表示パネルに導くために2つのダイクロイックミラーと複数枚の反射ミラーからなる色分離光学系を備えている。
【0003】
ところで、このような色分離光学系では光源から各液晶表示パネルまでの各原色光の光路長が全て等しくなるように設定されていないと、スクリーン上で各原色光の強度分布が一致しなくなるため、投影画像に色むらが生じてしまい、投影画像の画質の劣化を招く原因となる。
【0004】
このような事情から、近年、各原色光の光路長を全て等しく設定するために図2に示すような色分離光学系を備えた液晶ビデオプロジェクタが開示されている(特開平5-107658号公報)。
【0005】
すなわち、この従来技術を図2により説明すると、まず、光源1からの光は第1のダイクロイックミラー2で第1の原色光Rとその余の原色光に分離される。なお、第1の原色光Rはこの第1のダイクロイックミラー2で直角に反射され、この後第1の反射ミラー13、第2の反射ミラー14および第3の反射ミラー15で順次直角反射され第1の液晶表示パネル4に入射する。
【0006】
一方、上記その余の原色光は第4の反射ミラー16で直角反射された後、第2のダイクロイックミラー6で第2の原色光Gと第3の原色光Bに分離される。なお、第2の原色光Gはこの第2のダイクロイックミラー6で直角に反射される。この第2の原色光Gは上記第1の反射ミラー13の裏面に配置された第5の反射ミラー17で直角反射され第2の液晶表示パネル7に入射する。また、第3の原色光Bは第6の反射ミラー18で直角反射され第3の液晶表示パネル10に入射する。この後、各液晶表示パネル4,7,10を透過した原色光はダイクロイックプリズム5で合成され、この合成された原色光は投影レンズ11によりスクリーン上に拡大投射される。
【0007】
この従来技術においては、2枚のダイクロイックミラー2,6と6枚の反射ミラー13,14,15,16,17,18を上記の如く配設して、光源1から各液晶表示パネル4,7,10までの各原色光R,G,Bの光路長を互いに等しく設定しているので、前述した色むらの発生を回避することができる一方で、各原色光の光路長を互いに等しく設定するために2枚のダイクロイックミラーの他に6枚の反射ミラーを用いているため反射ミラーに要するコストが増加するとともに組立工数も増加し、結局製造コストが増加してしまう。
【0008】
そこで、近年リレーレンズを用いて疑似等光路長を達成した光学系を採用することが考えられている。
すなわち、この疑似等光路長とは、無理に実際の光路長を等長とすることなく、光路長の長いチャネル中にリレーレンズを配することにより光源から各液晶表示パネルまでの各光路長を実質的に等長とするようにしたものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように光路中にリレーレンズを配するとこのリレーレンズによって光像の上下左右が反転してしまう。上下左右が反転した光像によって照明された色光と、反転していない光像によって照明された色光とではスクリーン上での強度分布が一致せず、結局、投影画像に色むらが生じてしまうことになり、せっかく各光路長を等長としても投影画像の画質の劣化を防止することが困難となってしまう。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、光学部品点数の増加を最小限に押さえつつ、投影画像上での色むらの発生を確実に防止しうる液晶ビデオプロジェクタを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶ビデオプロジェクタは、光源からの光を3つの原色光に分離して各原色光に対応する液晶表示パネルに照射し、これら各液晶表示パネルにおいて前記各原色光をその原色光に対応する映像信号により輝度変調し、これら変調された各原色光をダイクロイックプリズムにより合成し、合成された3つの原色光を所定のスクリーン上に拡大投射する液晶ビデオプロジェクタにおいて、前記分離された3つの原色光の光路中に配された各液晶表示パネルに形成される前記光源の光像が互いにそのサイズおよび上下左右の方向を略同一としうるように、前記3つの原色光の光路のうち他の光路に比して長い少なくとも1つの光路中に2つのリレーレンズを備え、これら2つのリレーレンズのうちの一方により前記光像を該2つのリレーレンズの間に一旦反転結像し、他方により再度反転させて前記液晶表示パネル上に結像させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
また、前記2つのリレーレンズよりも光源側に視野レンズを配設したり、前記2つのリレーレンズの間の光路中に少なくとも1つの視野レンズを配設することが周辺光量の損失を防止するために有効である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施形態に係る液晶ビデオプロジェクタを示す概略図である。この液晶ビデオプロジェクタは、光源101と、3原色光を分離する第1および第2のダイクロイックミラー102,106と、第1,第2および第3の全反射ミラー114,115,118と、3つの液晶表示パネル104(赤色光用),107(緑色光用),110(青色光用)と、3原色光を合成するダイクロイックプリズム105と、投影レンズ111とを備えている。
【0014】
上記光源101 はハロゲンランプ、あるいはメタルハライドランプ等の高輝度白色光源である。
なお、通常、この光源101 の光射出側には紫外光および赤外光をカットするUV/IRカットフィルタが配され、また光源101 およびその近傍を空冷等により冷却するための冷却手段が設けられている。
【0015】
第2のダイクロイックミラー106 は緑色光/赤色光反射ミラーであり、また第1のダイクロイックミラー102 は緑色光反射ミラーであって、各々ガラス基板上に所定の原色光をミラーとして反射する分光特性を有する誘電体多層膜からなるダイクロイック膜が施されて形成されている。
また、3つの液晶表示パネル104 ,107 ,110 は各々ツイステッド・ネマティック(TN)型液晶表示素子からなり、図示されない液晶ドライバからの対応する映像信号に応じて映像を表示し、入射された各原色光を輝度変調する。
【0016】
さらに、ダイクロイックプリズム105 は、4個の直角プリズムを接合してなり、その直交する2つの接合面には、各々赤色光反射ミラーおよび青色光反射ミラーとしての分光特性を有する誘電体多層膜からなるダイクロイック膜が施されて形成されており、赤,緑, 青の3原色光を白色光の1本の光束に合成することが可能である。
【0017】
また、投影レンズ111 は、合成された3原色光を所定の距離に配されたスクリーン上に投射し、このスクリーン上にフルカラー画像を拡大投影することができるように構成されている。
また、本実施例の液晶ビデオプロジェクタでは、図1に示す如く各光学部材が一平面上に配設されるような構成となっている。
【0018】
また、赤色光用の系中には2つのリレーレンズ121,122 が配されており、第1のリレーレンズ121 の前段と第2のリレーレンズ122 の後段には各々1つのフィールドレンズ123,124 が、また各リレーレンズ121,122 の間には2つのフィールドレンズ125,126 が配されている。
さらに、第1のダイクロックミラー102 と緑色光用液晶表示パネル107 および第3の全反射ミラー118 と青色光用液晶表示パネル110 の間には各々フィールドレンズ127,128 が配されている。
【0019】
以下、上記の如く構成された液晶ビデオプロジェクタの作用を説明する。
光源101 から出力された光(白色光)は第2のダイクロイックミラー106により青色光Bとその余の原色光に分離される。この第2のダイクロイックミラー106 は上述したように緑色光Gおよび赤色光Rを反射する分光特性を有するダイクロイックミラーであって、照明光に対して青色光B以外の原色光を左直角方向に反射する。この第2のダイクロイックミラー106 を通過した青色光Bは第3の全反射ミラー118 により直角反射されて青色光用液晶表示パネル110 に導かれる。
【0020】
一方、第2のダイクロイックミラー106 により左方向に直角反射された青色光B以外の原色光は、第1のダイクロイックミラー102 により緑色光Gと赤色光Rに分離される。
この第1のダイクロイックミラー102 は、上述したように緑色光Gを反射する分光特性を有し、また上記青色光B以外の原色光に対してその入射角が45°となるように配されているので、緑色光Gを直角反射し、赤色光Rを透過する。
【0021】
第1のダイクロイックミラー102 により反射された緑色光Gは緑色光用液晶表示パネル107 に導かれる。
また、第1の全反射ミラー114 は第1のダイクロイックミラー102 から透過された赤色光Rを入射角45°で入射せしめて直角方向に反射するように、また、第2の全反射ミラー115 は第1の全反射ミラー114 で反射された赤色光Rを入射角45°で入射せしめて、直角方向である赤色光用液晶表示パネル104 の方向に反射するように配されている。
【0022】
このようにして、対応する液晶表示パネル104 ,107 ,110 に入射した各原色光R,G,Bは、これらの液晶表示パネル104 ,107 ,110 において、各原色光R,G,Bに対応する映像信号により輝度変調され、この後ダイクロイックプリズム105 において1本に合成され、投影レンズ111 により拡大されて所定のスクリーン上に投射される。これにより、各液晶表示パネル104 ,107 ,110 に表示された映像はスクリーン上にフルカラー画像として投影される。
【0023】
ところで、上記実施形態においては、赤色光R用の系内に2つのリレーレンズ121,122 を挿入している。すなわち、光源101 の光像は第1のリレーレンズ121 により、2つのリレーレンズ121,122 の間の位置において一旦結像され、次に第2のリレーレンズ122 により、赤色光用液晶表示パネル104 上に再度結像される。そして、光源101 の光像は第1のリレーレンズ121 によって上下左右が一旦反転されるが、第2のリレーレンズ122 によって上下左右が再度反転されることとなり、元の光像と上下左右の配置が同一の光像が赤色光用液晶表示パネル104 上に形成されることとなる。
【0024】
本来、リレーレンズ121,122 を長い光路(赤色光R用の光路)中に配するのはこの赤色光R用の系の光路長を他の2つの系の光路長と疑似的に等しくするためである。すなわち、スクリーン上で各原色光の強度分布を一致させるためには、3つの系の光路長を等しくする必要があるが、このような液晶ビデオプロジェクタの光学部材の配置上、3原色光の各系を互いに等光路長とすると光学部材の部品点数を減少させることが難しくなる等の問題があり、この問題を解決するためにリレーレンズを用いて3つの系が疑似的に(実質的に)等光路長となるようにしたものである。しかしながら、1つのリレーレンズを用いた場合には、赤色光用表示パネル104 上のみに上下左右が反転した光像が形成されることとなりスクリーン上での画像の色ムラの原因となる。そこで、上記本実施例のものでは2つのリレーレンズ121,122 を用いて上下左右を2回反転するようにし、赤色光用液晶表示パネル104 上には、他の2つの液晶表示パネル107,110 と、強度および上下左右が同一の光像を形成するようにしている。
【0025】
これにより、スクリーン上には、強度分布が同一の各色光によって照明された3つの原色画像が重ね合わされて形成されるからスクリーン上のカラー画像に色ムラが発生するのを防止できる。
なお、上記2つのリレーレンズ121,122 間の結像点の位置は必ずしもこれら両レンズ121,122 の略中間位置とする必要はないが、第1のリレーレンズ121 による結像点を光源とした場合に、第2のリレーレンズ122 による結像点が赤色光用液晶表示パネル104 上に位置するように両リレーレンズ121,122 の焦点距離および両リレーレンズ121,122 の配設位置を設定する必要がある。
【0026】
また、上述した各フィールドレンズ123〜128 はレンズ周辺光量の損失を防止するために有効であり、特に、図示するように、2つのリレーレンズ121,122 の間に2つのフィールドレンズ125,126 を設けることにより、上記周辺光量の損失を防止する効果を一層向上させることができる。
【0027】
なお、本発明の液晶ビデオプロジェクタとしては上記実施形態のものに限られるものではなく、種々の態様の変更が可能である。
例えば、リレーレンズの数としては2個に限られず、光源の光像の上下左右方向を元に戻すことができるように偶数個とすればよい。
また、2つの系内に各々偶数個のリレーレンズを挿入することも可能である。
【0028】
また、フィールドレンズの配置および数も適宜変更可能であり、例えば2つのリレーレンズの間のフィールドレンズを1つとすることも可能である。
また、赤,緑, 青各光の光路はダイクロイックミラーの分光特性を変えることにより互いに入れ替え可能である。また、各ミラーの光反射方向は必ずしも直角方向とする必要はなく、その他の種々の角度をとり得る。
【0029】
さらに、上記実施例においては反射ミラーとして全反射ミラーを用いているが、一部の全反射ミラーをハーフミラーに代え、各原色光間の光量調整を行なうことも可能である。
【0030】
【発明の効果】
本発明の液晶ビデオプロジェクタによれば、3原色光の各系を実質的に等光路長とするために、疑似等光路長を形成するリレーレンズを設け、しかもこのリレーレンズを偶数個設けており、第1のリレーレンズにより一旦上下左右反転された光源の光像を、第2のリレーレンズにより再度上下左右反転せしめている。これにより、リレーレンズを用いて各系を疑似等光路長とする場合にも強度分布の一致した光源の光像によって3つの液晶表示パネルを照明することができ、スクリーン上の投影画像に色ムラが発生するのを確実に防止することができる。また、これにより色ムラに伴う投影画像の画質の劣化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶ビデオプロジェクタを示す平面図
【図2】従来の液晶ビデオプロジェクタを示す概略図
【符号の説明】
1,101 光源
2,6,102,106 ダイクロイックミラー
13,14,15,16,17,18,114,115,118 反射ミラー(全反射ミラー)
4,7,10,104,107,110 液晶表示パネル
5,105 ダイクロイックプリズム
11,111 投影レンズ
121, 122 リレーレンズ
123, 124, 125, 126, 127, 128 フィールドレンズ
Claims (3)
- 光源からの光を3つの原色光に分離して各原色光に対応する液晶表示パネルに照射し、これら各液晶表示パネルにおいて前記各原色光をその原色光に対応する映像信号により輝度変調し、これら変調された各原色光をダイクロイックプリズムにより合成し、合成された3つの原色光を所定のスクリーン上に拡大投射する液晶ビデオプロジェクタにおいて、
前記分離された3つの原色光の光路中に配された各液晶表示パネルに形成される前記光源の光像が互いにそのサイズおよび上下左右の方向を略同一としうるように、前記3つの原色光の光路のうち他の光路に比して長い少なくとも1つの光路中に2つのリレーレンズを備え、
これら2つのリレーレンズのうちの一方により前記光像を該2つのリレーレンズの間に一旦反転結像し、他方により再度反転させて前記液晶表示パネル上に結像させるように構成されていることを特徴とする液晶ビデオプロジェクタ。 - 前記2つのリレーレンズよりも光源側に視野レンズを配設してなることを特徴とする請求項1記載の液晶ビデオプロジェクタ。
- 前記2つのリレーレンズの間の光路中に少なくとも1つの視野レンズを配設してなることを特徴とする請求項1または2記載の液晶ビデオプロジェクタ。
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