JP3640234B2 - 表面が木目調の手摺部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋内の廊下、階段および浴室等、または屋外の階段、ベランダ、柵、高欄および東屋等に設置される手摺に用いられる表面が木目調の手摺部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、表面に木目調の模様を有する手摺部材としては、鋼管等の金属管の外周やアルミニウム合金等の金属製型材上に、木粉を混入した合成樹脂材料を成形することにより表面に木目調の模様を表出させた被覆体を被せたものがある。かかる被覆体に用いられる合成樹脂材料としては、成形性および手で持った場合に滑りにくくするためにポリ塩化ビニル樹脂が一般に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらポリ塩化ビニル樹脂は耐候性が劣るために、このポリ塩化ビニル樹脂で被覆体を形成したものは屋外で使用すると劣化し、変色やクラックが発生する等、耐久性に問題があり、またポリ塩化ビニル樹脂は燃えると有害なガスを発生することから、廃棄処理や火災時においては安全性に問題がある。
【0004】
また合成樹脂材料に混入した木粉により、表面に木目調の模様を表出させているが、木粉に水分が含まれているとその水分により成形時に不必要に発泡し、又木粉の大きさを均一にしないと表面の美観に影響を与えること等から、木粉の管理が面倒であり、又成形が容易でなく、さらに木粉を混入することにより表面が硬くなり、柔軟性を損ない、やや滑りやすくなると言った問題点がある。
【0005】
そこで上記の如き問題を解消し、屋外で使用しても耐久性に優れ、また廃棄処理や火災時においても安全性に優れ、且つ手で持った場合に滑りにくく、成形の容易な表面が木目調の手摺部材を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究した結果、被覆体を、異なる色調を含む複数の合成樹脂が混合された合成樹脂材料を成形することにより形成すれば、複数の合成樹脂は完全に分散せずに色調の相異によって生じる色の濃淡が木目調の模様として表面に表出されること、また予め着色された着色オレフイン系エラストマーを使用すれば、オレフイン系エラストマーは成型時の分散性が悪いために、前記色の濃淡が顕著に表出されること、さらにオレフイン系エラストマーは、耐候性に優れ、また燃えても有毒なガスを発生しないので、屋外で使用しても変色やクラック等の劣化が抑えられ、耐久性が向上し、また燃えても有害なガスを発生しないことから、廃棄処理や火災時においても安全性に優れること、さらにオレフイン系エラストマーの有する柔軟性により、手で持った場合に滑りにくくなること等を知得し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわちこの発明に係る表面が木目調の手摺部材は、芯材と、その芯材に被せられる表面に木目調の模様が表出された筒状の被覆体とからなり、前記被覆体は、異なる色調を含む複数の合成樹脂が混合された合成樹脂材料を成形することにより形成され、異なる色調を含む複数の合成樹脂は、予め異なる色調にそれぞれ着色された複数の着色オレフイン系エラストマーであることを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、表面に木目調の模様が表出された被覆体は、異なる色調を含む複数の合成樹脂が混合され、その合成樹脂が予め着色された着色オレフイン系エラストマーである合成樹脂材料を成形することにより形成され、表面の木目調の模様は、従来の如く木粉によらず、色調の相異によって成型時に生じる色の濃淡により表出させているので、面倒な木粉の管理が不要で、成形が容易であり、又オレフイン系エラストマーを使用しているので、耐候性に優れ、また燃えても有毒なガスを発生しない。従って屋外で使用しても色落ち等の変 色やクラック等の劣化が抑えられ、耐久性が向上し、また燃えても有害なガスを発生しないことから、廃棄処理や火災時においても安全性に優れ、且つオレフイン系エラストマーの有する柔軟性により滑りにくい。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照し、具体的に説明する。図1は本発明の実施の一形態を示す断面図、図2は実施の他の形態の断面図である。
【0010】
まず図1〜2において、1は芯材であり、手摺に必要な剛性を有するもので曲げ加工が可能であれば、材質および形状は特に限定されるものではないが、一般にはアルミニウム合金等からなる金属製の型材が好適に用いられる。なお図1に示された芯材1は円管形状となされ、図2に示された芯材1は、下方に向けて係止溝11を長手方向に開口した形状となされている。
【0011】
2は芯材1に被せられた表面に木目調の模様が表出された筒状の被覆体であり、被覆体2は、異なる色調を含む複数の合成樹脂が混合された合成樹脂材料を成形することにより形成されている。被覆体2を形成する成形方法は、一般的には連続で成形でき且つ長手方向に筋状に木目調の模様が生じやすい押出成形が好ましいが、射出成形であってもよい。
【0012】
なお本発明においては、被覆成形することにより、芯材1に被覆体2が一体的に被せられていてもよいし、芯材1と被覆体2とを別体で作製し、その後に被覆体2を芯材1に嵌合または挿入させて被せられていてもよい。
【0013】
なお芯材1および被覆体2の形状は特に限定されるものではないが、特に芯材1と被覆体2とを別体で作製し、その後に被覆体2を芯材1に被せるものについては、図2の如く、芯材1には下方に向けて開口する係止溝11を長手方向に形成し、また被覆体2には前記係止溝11に対応して長手方向に開口部21を形成すると共にその開口縁を内方にほぼ直角に折り返えして前記係止溝11内面に係止される回り止め部22を形成するのが好ましい。かようになされていれば、芯材1と被覆体2とが接着されていなくても回り止め部22により被覆体2の周方向の動きが固定され、また回り止め部22により係止されて芯材1より外れにくくなる。
【0014】
またかかる形状においては、被覆体2の開口部21を芯材1の側面より押し込んで嵌合させることにより被覆体2を芯材1に被せてもよいし、被覆体2内に芯材1を長手方向から挿入することにより、被覆体2を芯材1に被せてもよい。
【0015】
本発明においては、前記被覆体2は、異なる色調を含む複数の合成樹脂が混合された合成樹脂材料を成形することにより形成される。
【0016】
【0017】
【0018】
異なる色調を含む複数の合成樹脂は全て、予め異なる色調にそれぞれ着色された複数の着色オレフイン系エラストマーであってもよい。この場合は、それぞれ異なる色調に着色された複数の着色オレフイン系エラストマーにより、成形時に、色の濃淡を生じ、木目調の模様が表面に表出される。前記着色オレフイン系エラストマーは、カラーマスターバッチにより成形時に着色されるものではなく、予め着色されているものであり、その理由は、オレフイン系エラストマーをカラーマスターバッチにより着色するのは困難であるためである。
【0019】
また、異なる色調を含む複数の合成樹脂は、予め異なる色調に着色された複数の着色オレフイン系エラストマーと、前記着色オレフイン系エラストマーと相溶可能な無着色の合成樹脂とであってもよい。この場合も前記と同様に、それぞれ異なる色調に着色された複数の着色オレフイン系エラストマーにより、成形時に、色の濃淡を生じ、木目調の模様が表面に表出される。
【0020】
また、異なる色調を含む複数の合成樹脂は、予め異なる色調に着色された複数の着色オレフイン系エラストマーと、前記着色オレフイン系エラストマーと同じ及び/又は異なる色調に着色され、且つ前記着色オレフイン系エラストマーと相溶可能な合成樹脂とであってもよい。この場合は、それぞれ異なる色調に着色された複数の着色オレフイン系エラストマーと、同じ色及び/又は異なる色調に着色される相溶可能な合成樹脂とにより、成形時に、色の濃淡を生じ、木目調の模様が表面に表出される。なお前記異なる色調を含む複数の合成樹脂に、無着色の相溶可能な合成樹脂がさらに混合されていてもよい。
【0021】
また、異なる色調を含む複数の合成樹脂は、予め異なる色調に着色された複数の着色オレフイン系エラストマーと、成形時にカラーマスターバッチにより前記着色オレフイン系エラストマーと同じ及び/又は異なる色調に着色され且つ前記着色オレフイン系エラストマーと相溶可能な無着色の合成樹脂とであってもよい。この場合は、それぞれ異なる色調に着色された複数の着色オレフイン系エラストマーと、成形時にカラーマスターバッチにより同じ色及び/又は異なる色調に着色される相溶可能な合成樹脂とにより、成形時に、色の濃淡を生じ、木目調の模様が表面に表出される。なお前記異なる色調を含む複数の合成樹脂に、無着色の相溶可能な合成樹脂がさらに混合されていてもよい。
【0022】
なお前記において、色調が異なる複数の着色オレフイン系エラストマーを混合する場合は、それぞれ硬度が異なるようにしておけば、硬度の相異による各着色オレフイン系エラストマーの成形時の流動性の相異により、木目調の模様がより鮮明に表出される。
【0023】
なお着色オレフイン系エラストマーと混合される相溶可能な合成樹脂は、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンαオレフイン共重合体等のオレフイン系樹脂が好ましい。オレフイン系樹脂を混合することにより成形性を良くすることができる。又スチレン系エラストマーにおいても、相溶可能で柔軟性を有するエラストマーであればよい。
【0024】
また被覆体2は、図1〜2に示された例では1層となされているが、表面に木目調の模様を表出させた表面層と内層との2層又は3層以上から形成されていてもよい。
【0025】
【実施例】
次に本発明における実施例を示す。
(実施例1)予めベージュに着色されたオレフイン系エラストマー(ショア硬さ50)80重量部、予めホワイトに着色されたオレフイン系エラストマー(ショア硬さ50)10重量部及び予めブラウンに着色されたオレフイン系エラストマー(ショア硬さ50)10重量部を混合した合成樹脂材料を成形することにより、本発明に係る図2に示される如き実施例1の被覆体2を形成した。
【0026】
(実施例2)前記実施例1の配合の合成樹脂材料に、さらにオレフイン系エラストマーに相溶可能な無着色のエチレンαオレフイン共重合体(ショア硬さ50)25重量部を混合した合成樹脂材料を成形することにより、本発明に係る実施例2の被覆体2を形成した。
【0027】
【0028】
(実施例3)予めブラウンに着色されたオレフイン系エラストマー(ショア硬さ50)95重量部、予めブラックに着色されたオレフイン系エラストマー(ショア硬さ80)5重量部及びオレフイン系エラストマーに相溶可能な無着色のエチレンαオレフイン共重合体25重量部を混合した合成樹脂材料を成形することにより、本発明に係る実施例3の被覆体2を形成した。
【0029】
前記実施例1〜3からなる被覆体2は、いずれも表面に木目調の模様が表出され、且つオレフイン系エラストマーの有する柔軟性により、滑りにくいものであった。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、表面に木目調の模様が表出された被覆体は、異なる色調を含む複数の合成樹脂が混合され、その合成樹脂が予め着色された着色オレフイン系エラストマーである合成樹脂材料を成形することにより形成され、表面の木目調の模様は、従来の如く木粉によらず、色調の相異によって成型時に生じる色の濃淡により表出させているので、面倒な木粉の管理が不要で、成形が容易であり、又オレフイン系エラストマーを使用しているので、耐候性に優れ、また燃えても有毒なガスを発生しない。従って屋外で使用しても色落ち等の変色やクラック等の劣化が抑えられ、耐久性が向上し、また燃えても有害なガスを発生しないことから、廃棄処理や火災時においても安全性に優れ、且つオレフイン系エラストマーの有する柔軟性により滑りにくく、老人や子供等の握力の弱い人達にとっても握りやすい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の一形態を示す断面図である。
【図2】 本発明の実施の他の形態における断面図である。
【符号の説明】
1 芯材
11 係止溝
2 被覆体
21 開口部
22 回り止め部
Claims (7)
- 芯材と、その芯材に被せられる表面に木目調の模様が表出された筒状の被覆体とからなり、前記被覆体は、異なる色調を含む複数の合成樹脂が混合された合成樹脂材料を成形することにより形成され、異なる色調を含む複数の合成樹脂は、予め異なる色調にそれぞれ着色された複数の着色オレフイン系エラストマーであることを特徴とする表面が木目調の手摺部材。
- 芯材と、その芯材に被せられる表面に木目調の模様が表出された筒状の被覆体とからなり、前記被覆体は、異なる色調を含む複数の合成樹脂が混合された合成樹脂材料を成形することにより形成され、異なる色調を含む複数の合成樹脂は、予め異なる色調に着色された複数の着色オレフイン系エラストマーと、前記着色オレフイン系エラストマーと相溶可能な無着色の合成樹脂とが含まれていることを特徴とする表面が木目調の手摺部材。
- 芯材と、その芯材に被せられる表面に木目調の模様が表出された筒状の被覆体とからなり、前記被覆体は、異なる色調を含む複数の合成樹脂が混合された合成樹脂材料を成形することにより形成され、異なる色調を含む複数の合成樹脂は、予め異なる色調に着色された複数の着色オレフイン系エラストマーと、前記着色オレフイン系エラストマーと同じ色調及び/又は異なる色調に着色され、且つ前記着色オレフイン系エラストマーと相溶可能な合成樹脂とが含まれていることを特徴とする表面が木目調の手摺部材。
- 芯材と、その芯材に被せられる表面に木目調の模様が表出された筒状の被覆体とからなり、前記被覆体は、異なる色調を含む複数の合成樹脂が混合された合成樹脂材料を成形することにより形成され、異なる色調を含む複数の合成樹脂は、予め異なる色調に着色された複数の着色オレフイン系エラストマーと、成形時にカラーマスターバッチにより前記着色オレフイン系エラストマーと同じ色調及び/又は異なる色調に着色され且つ前記着色オレフイン系エラストマーと相溶可能な無着色の合成樹脂とが含まれていることを特徴とする表面が木目調の手摺部材。
- 色調が異なる複数の着色オレフイン系エラストマーは、それぞれ硬度が異なることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の表面が木目調の手摺部材。
- 着色オレフイン系エラストマーと相溶可能な合成樹脂は、オレフイン系樹脂又はスチレン系エラストマーであることを特徴とする請求項2、3又は4記載の表面が木目調の手摺部材。
- 芯材は下方に向けて開口する係止溝が長手方向に形成され、被覆体は長手方向に開口部が形成されると共に開口縁が内方にほぼ直角に折り返されて前記係止溝内面に係止される回り止め部が形成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面が木目調の手摺部材。
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JP14791198A Expired - Fee Related JP3640234B2 (ja) | 1998-05-28 | 1998-05-28 | 表面が木目調の手摺部材 |
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- 1998-05-28 JP JP14791198A patent/JP3640234B2/ja not_active Expired - Fee Related
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