JP3653189B2 - 手摺部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋内の廊下、階段および浴室等、または屋外の階段、ベランダ、柵、高欄および東屋等に設置される手摺に用いられる手摺部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来手摺部材としては、鋼管等の金属管の外周やアルミニウム合金等の金属製型材上に合成樹脂からなる被覆体を被せたものがある。かかる手摺部材の被覆体としては、成形性および柔軟性を考慮して軟質ポリ塩化ビニル樹脂により形成されたものが一般に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら軟質ポリ塩化ビニル樹脂は耐候性が劣るために、この軟質ポリ塩化ビニル樹脂で被覆体を形成したものは屋外で使用すると劣化し、変色やクラックが発生する等、耐久性に問題があり、また軟質ポリ塩化ビニル樹脂は燃えると有害なガスを発生することから、廃棄処理や火災時においては安全性に問題がある。
【0004】
そこで上記の如き問題を解消し、屋外で使用しても耐久性に優れ、また廃棄処理や火災時においても安全性に優れた手摺部材を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明請求項1記載の手摺部材は、芯材と、その芯材に被せられる筒状の被覆体とからなり、芯材は下方に向けて開口する係止溝が長手方向に形成され、前記被覆体はポリオレフイン系軟質合成樹脂から作製され、内壁に複数の溝が形成され、長手方向に開口部が形成されると共に開口縁が内方にほぼ直角に折り返されて前記係止溝内面に係止される係止部が形成され、前記被覆体の内壁に形成された複数の溝は、被覆体の中心より開口縁よりに形成され且つその形状は三角形状であって、溝が形成された部分における被覆体の肉厚は溝が形成された分だけ薄肉となされ、被覆体の開口部が芯材に押圧されて、被覆体が芯材に被せられる際に、溝が形成された部分における薄肉により、開口部が開きやすくなされていることを特徴とするもので、ポリオレフイン系軟質合成樹脂は軟質ポリ塩化ビニル樹脂に較べて、耐候性に優れ、また燃えても有毒なガスを発生しない。従って屋外で使用しても変色やクラック等の劣化が抑えられるので、耐久性が向上し、また燃えても有害なガスを発生しないことから、廃棄処理や火災時においても安全性に優れる。又、被覆体の内壁に複数の溝が形成されているので、曲線部分の施工の際、手摺部材を容易に曲げることができる。
【0006】
又本発明の手摺部材は、被覆体の内壁の溝が中心より開口縁よりに形成されたもので、芯材に被覆体が被せられる際に被覆体の開口部が開き被覆体を被せやすい。又、被覆体の奥側に変形が少なく芯材に被覆体がなじみやすい。
【0007】
本発明請求項2記載の手摺部材は、被覆体内壁に形成された溝深さが被覆体肉厚の30〜60%となされたもので、芯材に被覆体が被せやすく、被せた被覆体が外れにくい。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
図1は本発明の実施の一形態を示す断面図である。
【0009】
まず図1において、1は芯材であり、手摺に必要な剛性を有するもので曲げ加工が可能であれば、材質および形状は特に限定されるものではないが、一般にはアルミニウム合金等からなる金属製の型材が好適に用いられる。
【0010】
2は芯材1に被せられた被覆体であり、開口部21が芯材1に押圧されて芯材1に被せられている。被覆体2はポリオレフイン系軟質合成樹脂から作製され内壁に複数の溝23が形成され、長手方向に開口部21が形成されると共に開口縁が内方にほぼ直角に折り返されて前記係止溝内面に係止される係止部22が形成されている。
【0011】
芯材1には下方に向けて開口する係止溝11を長手方向に亘って形成し、また被覆体2には前記係止溝11に対応して長手方向に開口部21を形成すると共にその開口縁を内方にほぼ直角に折り返して前記係止溝11内面に係止される係止部22が形成するのが好ましい。かようになされていれば、芯材1と被覆体2とが接着されていなくても係止部22により係止されて芯材1より外れにくくなる。
【0012】
また被覆体2の内壁に形成される溝23は、中心より開口縁よりに形成されており、被覆体2の上部が変形しにくく、芯材1の形状に被覆体2がなじみやすい。又、被覆体2の開口部21が芯材1に押圧されて、被覆体2が芯材1に嵌合される際に、開口部21が開きやすく容易に嵌合される。被覆体2の内壁に形成される溝23の形状は三角形状とし、溝23の深さは被覆体2肉厚の30〜60%となされれば好適である。溝23の深さが被覆体2肉厚の30%以下では被覆体2の変形が少なく被覆体2が芯材1に被せられる際に入れにくく、60%以上では芯材1に被せられた被覆体2が外れやすい。
【0013】
前記被覆体2を形成するポリオレフイン系軟質合成樹脂は、特に限定されるものではないが、成形性および柔軟性を考慮すると、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンまたはオレフイン系エラストマーを用いるのが好ましく、被覆体2の硬度はshore D 60以下となされれば、被覆体2を芯材1に被せる場合においても、被覆体2が柔軟に撓んで被せやすくなる。
【0014】
【実施例】
次に本発明において被覆体外径が34mmとなされたときの、被覆体の断面形状と原料硬度による実施例を示す。
【0015】
(実施例1)
被覆体2が、図2の形状にオレフィン系エラストマー(硬度JIS A 50)から製せられた手摺部材。
【0016】
(実施例2)
被覆体2が、図3の形状にオレフィン系エラストマー(硬度JIS A 50)から製せられた手摺部材。
【0017】
(実施例3)
被覆体2が、図2の形状にオレフィン系エラストマー(硬度JIS A 50)50重量部と低密度ポリエチレン(硬度 Shore D 50)50重量部からなる合成樹脂から製せられた手摺部材。
【0018】
(実施例4)
被覆体2が、図3の形状にオレフィン系エラストマー(硬度JIS A 50)50重量部と低密度ポリエチレン(硬度 Shore D 50)50重量部からなる合成樹脂から製せられた手摺部材。
【0019】
上記実施例1〜4について、水平許容曲げ半径のテストを行い、その結果を表1に示した。
【表1】
Figure 0003653189
【0020】
【発明の効果】
本発明請求項1記載の手摺部材は、芯材と、その芯材に被せられる筒状の被覆体とからなり、芯材は下方に向けて開口する係止溝が長手方向に形成され、前記被覆体はポリオレフイン系軟質合成樹脂から作製され、内壁に複数の溝が形成され、長手方向に開口部が形成されると共に開口縁が内方にほぼ直角に折り返されて前記係止溝内面に係止される係止部が形成され、前記被覆体の内壁に形成された複数の溝は、被覆体の中心より開口縁よりに形成され且つその形状は三角形状であって、溝が形成された部分における被覆体の肉厚は溝が形成された分だけ薄肉となされ、被覆体の開口部が芯材に押圧されて、被覆体が芯材に被せられる際に、溝が形成された部分における薄肉により、開口部が開きやすくなされていることを特徴とするもので、ポリオレフイン系軟質合成樹脂は軟質ポリ塩化ビニル樹脂に較べて、耐候性に優れ、また燃えても有毒なガスを発生しない。従って屋外で使用しても変色やクラック等の劣化が抑えられるので、耐久性が向上し、また燃えても有害なガスを発生しないことから、廃棄処理や火災時においても安全性に優れる。又、被覆体の内壁に複数の溝が形成されているので、曲線部分の施工の際、手摺部材を容易に曲げることができる。
【0021】
又本発明の手摺部材は、被覆体の内壁の溝が中心より開口縁よりに形成されたもので、芯材に被覆体が被せられる際に被覆体の開口部が開き被覆体を被せやすい。又、被覆体の奥側に変形が少なく芯材に被覆体がなじみやすい。
【0022】
本発明請求項2記載の手摺部材は、被覆体内壁に形成された溝深さが被覆体肉厚の30〜60%となされたもので、芯材に被覆体が被せやすく、被せた被覆体が外れにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明手摺部材の実施の一形態を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の他の形態における被覆体を示す断面図である。
【図3】本発明に対する比較例を示す被覆体の断面図である。
【符号の説明】
1 芯材
11 係止溝
2 被覆体
21 開口部
22 係止部
23 溝

Claims (2)

  1. 芯材と、その芯材に被せられる筒状の被覆体とからなり、芯材は下方に向けて開口する係止溝が長手方向に形成され、前記被覆体はポリオレフイン系軟質合成樹脂から作製され、内壁に複数の溝が形成され、長手方向に開口部が形成されると共に開口縁が内方にほぼ直角に折り返されて前記係止溝内面に係止される係止部が形成され、前記被覆体の内壁に形成された複数の溝は、被覆体の中心より開口縁よりに形成され且つその形状は三角形状であって、溝が形成された部分における被覆体の肉厚は溝が形成された分だけ薄肉となされ、被覆体の開口部が芯材に押圧されて、被覆体が芯材に被せられる際に、溝が形成された部分における薄肉により、開口部が開きやすくなされていることを特徴とする手摺部材。
  2. 被覆体内壁に形成された溝深さが被覆体肉厚の30〜60%となされたことを特徴とする請求項1記載の手摺部材。
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