JP3640205B2 - 無線通信機器の通信範囲制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線通信システム、例えば、無線LANに用いる無線通信機器の通信範囲制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、オフィスビルのOA化に伴い、LANその他の通信回線を使った情報通信処理システムが構築されるが、システムが大規模化することにより通信回線の確保が課題になる。通信情報の増大と共にケーブルの配線が複雑に錯綜すると、部屋や装置の配置替えの際に、配線変更の作業量が増大する。そこで、無線LANの利用周波数拡大による通信速度の高速化や低価格化等により無線LANを導入しようとする企業が増加している。しかしながら、これらの無線通信機器は、台数が多くなると輻輳や電波干渉等により通信環境が悪化し、所望の通信速度が確保できない、等の問題が生じている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、IEEE802.11bに準拠した11Mbps無線LANに関しては、割り当てられている電波(チャンネル数)は14チャンネルあり、著しい通信速度低下なく無線LANを使用するためには、1チャンネルあたりの最大接続台数を15台以下に抑える必要があると言われている。中継局であるアクセスポイントの一台あたりの通信可能範囲は100〜200mであるが、アクセスポイント1台あたりの接続台数は15台以下にすることが望ましいため、通信トラフィックの多いエリアでは1台のアクセスポイントの設置で対応できなくなる。そのような場合は、同一通信エリアに複数のアクセスポイントが設置される。
【0004】
そして、図4に示すように、同一通信エリアでは近接のチャンネルを使用すると電波干渉の恐れがあるため、制御装置CN−1〜CN−nで4チャンネルおきのチャンネルを使用するように切り換えて制御を行わなければならない。このような制御を行うとすると、11Mbps無線LANでは、同一通信エリアで使用できるチャンネルは最大4チャンネルであり、1チャンネルあたりの接続台数を15台以下に抑える必要があるため、
4チャンネル×15台=60台
が、同一通信エリアで著しい通信速度低下なく無線LANを使用できる台数となる。
【0005】
一方で、通常、設計時のオフィスの一人当たりの占有面積は、5.0〜7.5m2で設計するため、60台の端末を導入するビルの床面積は、
60台×5.0m2=300m2
となり、このように、300m2を越える床面積のオフィスビルでは、無線LANを全面的に導入すると同一通信エリアにおけるトラフィック量が処理能力を超えてしまうという問題が生じる。すなわち、20m×15mで300m2を越えるので、通常の中規模のオフィスビルでも1フロアで既にこの床面積を超えてしまい、中規模以上のオフィスビルになると無線LANを効率良く使用することができなくなる。
【0006】
本発明は、上記従来の問題および課題を解決するものであって、無線通信機器を使用するビルにおいて、通信トラフィック量に応じてビル内空間の通信電波のゾーニングを行い、周波数を繰り返し利用することにより、無線通信システムを電波干渉を防ぎ高密度で効率良く利用することができる無線通信機器の通信範囲制御方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の無線通信機器の通信範囲制御方法は、フロアの下部または天井の上部に無線通信機器の中継局を設置するビルにおいて、前記フロアの下部または天井の上部に金属プレートを介して前記中継局のアンテナを設置して、前記アンテナに対向する直上または直下のフロアまたは天井を非金属製パネルで構成し、該非金属製パネルの少なくとも両側に金属製パネルを配設すると共に、前記金属プレートと前記金属製パネルとの間に導電性充填材を充填することを特徴とし、
請求項2記載の発明は、請求項1において、前記非金属製パネルの四方周囲を金属製パネルで構成することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本発明は、無線LAN等の無線通信機器を使用するオフィスビル等において、通信トラフィック量に応じてビル内空間の通信電波のゾーニングを行い、周波数を繰り返し利用することにより、無線LANの電波干渉を防ぎ高密度で効率良く利用できるようにするものである。
【0009】
すなわち、1フロアが300m2以上で、上下階の仕切り(天井や床)、周囲の仕切り(仕切り壁や外壁、窓ガラス、扉等)に電磁遮蔽材を用いて電磁遮蔽性能を持たせた独立した電磁遮蔽空間を構築し、そのフロアのみを同一通信エリアとしたオフィスビルに、無線LANを導入した場合、一つのゾーンが、前述の如く、300m2以上で大きすぎる(前述の如く無線LANでは300m2以下のゾーニングを行うことが望ましい)ため、同一通信エリアにおけるトラフィック量が処理能力を超えてしまい、無線LANを効率良く使用することができなくなる。そこで、本発明においては、無線LANのアクセスポイント(中継局)をOAフロア(二重床)の下部に設置することにより、アクセスポイントからの通信電波の到達距離を抑制し、無線LANの通信電波のゾーニングを行う。
【0010】
図1は、本発明に係わる無線LANのアクセスポイントの設置例を示し、図1(A)は平面図、図1(B)は図1(A)のB−B線に沿う拡大断面図である。
【0011】
床コンクリート4上には、支柱5を介してOAフロア(二重床)6が敷設され、OAフロア6の下部には、床コンクリート4上に床下金属プレート7を介してアクセスポイント9が設置されている。OAフロア6は、アクセスポイント9のアンテナ9aに対向する部分を非金属製床パネル6a(白部分)とし、非金属製床パネル6aの四方周囲を囲むように金属製床パネル6b(ハッチング部分)とし、金属製床パネル6bの外周全面を非金属製床パネル6a(白部分)としている。そして、金属製床パネル6bと床下金属プレート7の間に、アクセスポイント9を囲むように導電性充填材10を充填し、金属製の床パネル6b、床下金属プレート7を電気的に接続している。
【0012】
アクセスポイント9の側部および下部は、床下金属プレート7、導電性充填材10、金属製床パネル6bからなる導電性部材で囲まれるため、アクセスポイント9からの電波は、直上の非金属製床パネル6aからのみ送受信されることになる。図1(A)に示すように、OAフロア6を全て非金属製床パネル6aとした場合は、通信電波の到達距離Dは半径100〜200mの円形となるが、アクセスポイント9の側部および底部を導電性部材で囲んだ場合には、通信電波の到達距離D′を短くすることができる。なお、直上の非金属製床パネル6aの大きさを変えることにより、通信電波の到達距離を任意に制御することができる。
【0013】
図2は、本発明に係わる無線LANのアクセスポイントの他の設置例を示す平面図である。本例においては、アクセスポイント9の両側2方向のみを金属製床パネル6bにすることにより、楕円形の通信電波の到達距離D″にすることができる。
【0014】
上記構成により、事務室などの通信量の高密度使用の空間では、図1および図2のD′、D″に示すように、通信電波の到達距離を抑制して小さなゾーンを形成し、通信量の少ない共用空間(会議室や食堂、ホール、エントランスホール、駐車場等など)は、図1のDに示すように、通信電波の到達距離が長い大きなゾーン形成することができる。従って、前述したように、事務室として5m2に1人1台の端末という密度を想定した場合には、通信電波の到達距離が、300m2以内となるように床下にアクセスポイントを設置し通信電波のゾーニングを行うことができる。なお、無線LANの通信電波のゾーニングを行う事務室空間の単位とする300m2の床面積は、勿論、固定的なものではなく、種々の条件や環境の変化に応じて変わるものであることはいうまでもない。
【0015】
なお、上記実施形態においては、無線LANのアクセスポイントをOAフロア(二重床)の下部に設置しているが、天井スラブ側に設置するようにしてもよく、この場合、アクセスポイントのアンテナに対向する部分を非金属製の天井パネルとしその周囲を金属製の天井パネル、導電性充填材で覆うようにすればよい。
【0016】
図3は、本発明に係わる無線LANのアクセスポイントの他の設置例を示し、図3(A)は断面図、図3(B)はアクセスポイントの指向性を説明するための図である。本例におけるOAフロア6は、通常の非金属製の床パネル6aからなり、床パネル6aの下部にアクセスポイント9を設置し、アクセスポイント9を覆うように電波反射板11を設置する。
【0017】
図3(B)に示すように、電波反射板11は、直交する反射面を有しこの反射面がアンテナ9aの軸に平行に配置されており、アンテナ利得S(θ)は、主方向(上方向)に対して横方向の利得が少ない指向性を有している。なお、電波反射板11としてバラボラアンテナ等の反射装置を用いてもよい。
【0018】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、無線LANを採用しているが、PHS(Personal Handy-phone System:簡易型携帯電話システム)等の移動体通信を採用してもよい。
【0019】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、無線通信機器を使用するオフィスビル等において、通信トラフィック量に応じてビル内空間の通信電波のゾーニングを行い、周波数を繰り返し利用することにより、無線通信を電波干渉を防ぎ高密度で効率良く利用することができる。また、アクセスポイントをOAフロアの下部に設置した場合には、通常、アクセスポイントまでは有線で通信を行うため、これらの配線を目立たせることなく簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる無線LANのアクセスポイントの設置例を示し、図2(A)は平面図、図2(B)は、図2(A)のB−B線に沿う拡大断面図である。
【図2】本発明に係わる無線LANのアクセスポイントの他の設置例を示す平面図である。
【図3】本発明に係わる無線LANのアクセスポイントの他の設置例を示し、図3(A)は断面図、図3(B)はアクセスポイントの指向性を説明するための図である。
【図4】従来の無線LANを説明するための図である。
【符号の説明】
6…OAフロア
6a…非金属製床パネル
6b…金属製床パネル
9…アクセスポイント(中継局)
9a…アンテナ
11…電波反射板

Claims (2)

  1. フロアの下部または天井の上部に無線通信機器の中継局を設置するビルにおいて、前記フロアの下部または天井の上部に金属プレートを介して前記中継局のアンテナを設置して、前記アンテナに対向する直上または直下のフロアまたは天井を非金属製パネルで構成し、該非金属製パネルの少なくとも両側に金属製パネルを配設すると共に、前記金属プレートと前記金属製パネルとの間に導電性充填材を充填することを特徴とする無線通信機器の通信範囲制御方法。
  2. 前記非金属製パネルの四方周囲を金属製パネルで構成することを特徴とする請求項1記載の無線通信機器の通信範囲制御方法。
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