JP3640138B2 - レーザ穴あけ用プリプレグ及びその保管法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリプレグの段階でレーザ照射により微小な穴あけ加工を施されるアラミド繊維不織布基材プリプレグに関する。このプリプレグは、各種電子機器に用いられるプリント回路板、殊に多層プリント回路板の製造に適したものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型軽量化、高密度化に伴い、プリント回路板に表面実装方式により電子部品を搭載することが主流となってきた。プリント回路板の絶縁基板(あるいは絶縁層、以下同様)としては、ガラス繊維織布基材にエポキシ樹脂を含浸したものがほとんどを占めている。プリント回路板に電子部品を半田付けで実装する場合、電子部品と絶縁基板の熱膨張係数をできるだけマッチングさせる必要があるが、ガラス繊維織布基材にエポキシ樹脂を含浸した絶縁基板は、実装した電子部品との熱膨張係数の差が大きく、冷熱サイクルにより、電子部品の半田接続部にクラックを生じる場合がある。このような観点から、プリント回路板の絶縁基板として、負の熱膨張係数を有するアラミド繊維の不織布基材に熱硬化性樹脂を含浸した構成が注目されている。
【0003】
また、近年の電子機器や電子部品の小型化、それに伴う回路パターンの細線化により、プリント回路板の回路形成工程において、スルーホールやビアホールの穴径が小さくなり、従来のドリル加工による穴あけが困難になり、レーザ照射による穴あけが注目されている。特に、ビルドアップ法により多層プリント回路板を製造する場合には、プリプレグの段階でその所定箇所にレーザ照射による微小な穴をあけを行なう工法を採用するようになってきた。当該穴に導電性樹脂を充填し、このようなプリプレグを、回路を積み上げるための絶縁層として用い、内層の回路とその上に絶縁層を介して配置した回路とを、前記導電性樹脂で接続するのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、プリプレグの段階でレーザ照射により微小な穴あけを行なうと、プリプレグに高エネルギがかかるため、プリプレグ表面の温度が上昇して樹脂流れが容易に発生し、あけた穴が極端に細ったり、穴が塞がる現象が発生する。
本発明が解決しようとする課題は、アラミド繊維不織布基材プリプレグにおいて、プリプレグの段階でレーザ照射による微小な穴あけを良好に実施できるレーザ穴あけ用プリプレグを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、アラミド繊維不織布基材プリプレグに含まれる揮発分(水分を含む、以下同様)を制限する。
すなわち、プリプレグに含まれる揮発分(水分を含む)を1.5重量%以下にし、且つ、プリプレグに含まれる水分を0.6重量%以下したことを特徴とする。
【0006】
プリプレグは、アラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂を含浸乾燥し、熱硬化性樹脂の硬化をBステージまで進めたものである。プリプレグに含まれる揮発分が1.5重量%を越えていると、前記Bステージまで進める硬化が不十分で樹脂の未反応分が多い状態にあり、レーザ照射により穴あけをしたときにその高エネルギで溶融した樹脂の流れが大きくなってしまう。プリプレグに含まれる揮発分を1.5重量%以下にすることにより、初めて良好なレーザ照射による穴あけが可能になる。
熱硬化性樹脂のBステージ化が十分であっても、プリプレグに含まれる水分は、レーザ照射のエネルギで熱硬化性樹脂が溶融したときに樹脂粘度を低下させる作用をする。従って、揮発分を1.5重量%の以下にし、且つ、プリプレグに含まれる水分を0.6重量%以下にすることにより、レーザ照射による微小な穴あけを一層良好に行なうことができる。
【0007】
上記のようなプリプレグ、殊にプリプレグに含まれる水分を0.6重量%以下に制限したプリプレグは、温度25℃以下で且つ湿度50%以下の雰囲気で保管することにより、その状態を良好に維持することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において使用するアラミド繊維不織布は、例えば、パラ系アラミド繊維とメタ系アラミド繊維を混合して抄造し熱硬化性樹脂バインダ(例えば、水溶性エポキシ樹脂バインダ)で繊維同士を結着し、さらに、熱圧縮によりメタ系アラミド繊維をパラ系アラミド繊維に熱融着した構成である。熱硬化性樹脂バインダならびにメタ系アラミド繊維の熱融着は、繊維同士の結着を強固にし、不織布強度を大きくしている。メタ系アラミド繊維は吸湿しやすいので、不織布強度を大きくするためにメタ系アラミド繊維を混抄したアラミド繊維不織布を使用する場合に、本発明の構成を採用することは好ましいことである。
不織布中の熱硬化性樹脂バインダの含有量は、好ましくは5〜15重量%である。熱圧縮は、例えば、不織布を、温度280〜350℃,線圧力150〜250kgf/cmに設定した熱ロールの間に通すことにより行ない、メタ系アラミド繊維を加熱溶融ないしは軟化させ、パラ系アラミド繊維に熱融着することにより繊維同士の絡み合いを達成する。不織布中のメタ系アラミド繊維の含有量は、耐熱性の観点から、好ましくは5〜30重量%である。
【0009】
本発明においては、他のアラミド繊維不織布も同様に使用することができる。例えば、アラミド繊維を抄造し熱硬化性樹脂樹脂バインダ(例えば、水溶性エポキシ樹脂)で繊維同士を結着した不織布である。また、アラミド繊維としてパラ系とメタ系のアラミド繊維を混合して不織布を抄造し、メタ系アラミド繊維を加熱溶融ないしは軟化させてパラ系アラミド繊維に熱融着した不織布である。
【0010】
このような不織布にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸し、加熱乾燥して樹脂の硬化をBステージまで進めたプリプレグとする。そして、レーザ照射によりプリプレグに微小な穴あけを行なうときに、プリプレグに含まれる揮発分を上記のように制限しておくのである。
【0011】
【実施例】
実施例1〜6,比較例1〜3
パラ系アラミド繊維とメタ系アラミド繊維を混合して抄造し水溶性エポキシ樹脂バインダで繊維同士を結着し、さらに、熱圧縮によりメタ系アラミド繊維をパラ系アラミド繊維に熱融着したアラミド繊維不織布(重量60g/m2,厚み100μm)を用意した。組成は、パラ系アラミド繊維77重量%、メタ系アラミド繊維15重量%、エポキシ樹脂バインダ8重量%である。
臭素化エポキシ樹脂27重量部、3管能エポキシ樹脂46重量部、硬化剤としてフェノールノボラック樹脂27重量部、硬化促進剤2−エチル4−メチルイミダゾ−ル0.2重量部、溶剤としてメチルエチルケトン50重量部を配合した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、樹脂含有量が50重量%になるように上記のアラミド繊維不織布に含浸した。
そして、加熱乾燥時間を変えて、表1に示す揮発分ならびに水分を含むように調整したプリプレグを得た。プリプレグに含まれる揮発分ならびに水分は、次のように測定したものである。
揮発分:100×100mmの試料を160℃で15分間乾燥し、その前後の重量変化より算出
水分:100×100mmの試料を細分化し、160℃のカールフィッシャー水分計に15分間入れ水分量を測定
以上の実施例及び比較例のプリプレグに、CO2レーザ(パルス周期2.0ms、パルス幅15〜20μs)で、1000穴の穴明け(穴径0.2mm)を行ない、100穴毎の穴の状態を光学顕微鏡により表面及び断面から観察した。その評価結果を表1に併せて示す。評価基準は次のとおりである。
○:良好,△:若干穴細り,×:穴塞がり
【0012】
【表1】
【0013】
実施例7
実施例3のプリプレグを、温度20℃、湿度45%の雰囲気に1週間保管した。そのときのプリプレグに含まれる揮発分と水分を表2に示す。また、レーザ照射による穴あけの評価を併せて示す。
【0014】
比較例4
実施例3のプリプレグを、温度30℃、湿度60%の雰囲気に1週間保管した。そのときのプリプレグに含まれる揮発分と水分を表2に示す。また、レーザ照射による穴あけの評価を併せて示す。
【0015】
【表2】
【0016】
【発明の効果】
上述したように、本発明に係るプリプレグは、プリプレグに含まれる揮発分を1.5重量%以下にしたことにより、プリプレグの段階でレーザ照射による微細な穴あけを良好に実施することができる。特に、プリプレグに含まれる水分を0.6重量%以下にすることにより良好な穴あけを実施することができる。このようなプリプレグは、温度25℃以下で且つ湿度50%以下の雰囲気に保管することにより、レーザ穴あけに適した良好な状態を維持することができる。
Claims (2)
- プリプレグの段階でレーザ照射により微小な穴あけ加工を施されるアラミド繊維不織布基材プリプレグであって、プリプレグに含まれる揮発分(水分を含む)が1.5重量%以下であり、且つ、プリプレグに含まれる水分が、0.6重量%以下であることを特徴とするレーザ穴あけ用プリプレグ。
- プリプレグの段階でレーザ照射により微小な穴あけ加工を施される請求項1記載のアラミド繊維不織布基材プリプレグの保管法であって、温度25℃以下で且つ湿度50%以下の雰囲気に維持することを特徴とするレーザ穴あけ用プリプレグの保管法。
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JP6024398A JP3640138B2 (ja) | 1998-03-12 | 1998-03-12 | レーザ穴あけ用プリプレグ及びその保管法 |
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