JP3639639B2 - カーテンの芯地基材 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、目崩れが生じないカーテンの芯地を製造するために用いるカーテンの芯地基材に関するものである。又、縦方向(長さ方向)にしなやかさを有し且つ目崩れも生じないカーテンの芯地を製造するために用いるカーテンの芯地基材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来におけるカーテンの芯地は、図9に示すごとく、それを構成する縦糸a、横糸bが共に300〜400デニール程度の太いモノフィラメントを用いてテープ状に製織されていた。
【0003】
そしてカーテンは、かかる構成を有する芯地cを、図10に示すように、カーテン生地dの上端を下向きに折返して形成した挿入部eに、その縦糸の方向をカーテンの長さ方向に合わせて挿入して後、該芯地挿入部分に、カーテン長さ方向に所要間隔で縫いひだfを形成してなるものであった。
【0004】
しかし、縦糸及び横糸としてモノフィラメントを用いてなる前記芯地にあっては、縦糸と横糸との交差点g(図9)が確実な固定状態になく目崩れが生ずる恐れがあった。目崩れすると、芯地の品質感が落ちて商品価値が下落することになる。又このような芯地をカーテンに組み込んだ場合、カーテン生地が薄手のものであると、目崩れ状態が透けて見えることになり、カーテンの美観を損なうことになる。加えて、例えば図11に示すように、横糸bが傾いて組織目が平行四辺形状に変形した目崩れ状態になると、この目崩れ部分において芯地の幅が減少するため、カーテンの丈が部分的に変わることになる。更に、目崩れによって芯地の補強機能が劣ることにもなる。
【0005】
このような目崩れは、芯地に樹脂被覆を施して縦糸と横糸との交差点を固定状態とすることにより、防止できると考えられる。しかしそのためには、芯地を樹脂液に浸した後これを引き揚げて乾燥させる工程を要し、製造能率が悪いという問題がある。
【0006】
さらに前記芯地にあっては、カーテンの長さ方向f(図9)に延びる縦糸がモノフィラメントであるために、縦糸と横糸との交差点を固定状態としたか否かにかかわらず、芯地長さ方向のしなやかさが得られない欠点があった。そのため、かかる芯地が上縁部分に組み込まれたカーテンにあっては、芯地長さ方向の大きな弾性反発作用により、図12に示すように、縫いひだ間の部分hが幅広U字状を呈する状態に広がることとなる。それ故、カーテンiの開き状態が中途半端なものとなり易い。又カーテンを閉めた場合には、図13に示すように縫いひだfが大きく膨れた状態となり、カーテン面に形成される隣り合うウエーブjが干渉して、ウエーブが見栄え良く現れないという問題があった。
【0007】
そこで本発明者は、製造コスト上の不利益(後述する樹脂被覆による製造能率面の不利益)に目をつぶり、前記問題点の解決を主眼として、実開平4−21582号で次のような芯地を提案した。該芯地は、縦糸としてマルチフィラメントを用い且つ横糸としてモノフィラメントを用いてテープ状に製織すると共に、得られた芯地基材の表面部及び裏面部に、布目の崩れを防止して芯地の形状安定性を確保するために樹脂被覆を施してなるものである。
【0008】
この芯地は、縦糸としてマルチフィラメントを用いていることから、その縦方向(長さ方向)に関してしなやかさを有している。従って該芯地を、前記と同様にして、カーテン生地の上端を下向きに折り返して形成した挿入部に、その縦糸の方向をカーテンの長さ方向に合わせて挿入して後、該芯地挿入部分に、カーテン長さ方向に所要間隔で縫いひだを形成してカーテンを構成した場合、カーテン上縁部分は、その長さ方向にはしなやかとなる。
【0009】
このようなことから、カーテンを開けた際には、図6の符号kに示すように、縫いひだ間の部分が湾曲の小さい幅狭U字状に折り曲げられた状態となるため、カーテンは、より全開に近い状態に見栄え良く開けられることとなる。
【0010】
又縫いひだlが図7に示すように、より密着状態に小さく形成されるため、カーテンを閉めた際には、図8に示すように、カーテン面のウエーブmが夫々独立したものとして優美に現れる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしかかる芯地は、布目の崩れ防止のために樹脂被覆を施す構成を採用していたため、樹脂被覆に伴う製造能率低下の問題があったことに加え、用いる樹脂液の濃度設定に注意を要した。即ち、
【0012】
(1)前記樹脂被覆は、芯地基材を樹脂液に浸して行うのが比較的容易であるが、布目の崩れ防止を重視して濃度の高い樹脂液を用いると、横糸ばかりでなく縦糸の全体も樹脂被覆される結果となる。これでは、縦糸としてマルチフィラメントを用いて芯地の長さ方向のしなやかさを発揮させようとしているにもかかわらず、この縦糸が硬くなってしまうため、カーテン上縁部分のしなやかさが減殺されてしまう問題が生ずる。
【0013】
(2)逆に、芯地の縦方向(長さ方向)のしなやかさを重視して濃度の低い樹脂液を用いて樹脂被覆を行ったとすると、縦糸と横糸との交差点の固定が不十分となって布目の崩れを確実に防止できない問題が生ずる。
詰まり、このように樹脂被覆の手段によるときは、芯地の縦方向(長さ方向)のしなやかさと芯地の目崩れ防止の両方の目的を合理的に解決するのが難しかったのである。
【0014】
本発明は、上記した問題点に鑑みて開発されたものであり、樹脂被覆に伴う製造能率上の問題点を解決しうる芯地基材の提供を目的とすると共に、更に進んで、芯地の縦方向(長さ方向)のしなやかさを持たせつつ芯地の布目の崩れをも確実に防止できる芯地基材の提供を目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。
即ち本発明に係るカーテンの芯地基材(以下芯地基材という)は、熱処理が施されることを前提としたカーテンの芯地基材であって、縦糸として複合フィラメントを用い且つ横糸としてモノフィラメントを用いて、前記縦糸がカーテンの長さ方向に向くようにテープ状に製織されており、前記縦糸は、鞘素材が低融点の樹脂成分であり且つ芯素材がそれよりも融点の高い樹脂成分である前記複合フィラメントの複数本からなるマルチフィラメントであり、該複合フィラメントの複数本が、熱処理が施されることによって縦糸として全体がモノフィラメント状に一体化するよう前記横糸の延長方向に並べられていることを特徴とするものである。
【0016】
【作用】
然して、芯地基材を所要温度で熱処理して複合フィラメントの低融点の鞘素材のみを溶融させると、縦糸と横糸との交差点が該溶融物で融着固定され、これによって芯地の布目の崩れが確実に防止されることになる。
【0017】
そして、縦糸が前記芯鞘型複合フィラメントの集合からなるマルチフィラメントを以ってなるため、低融点の糸の融解によって芯素材相互がその溶融物を介して結合され、縦糸全体がモノフィラメント状になるが、このモノフィラメント状物は細い芯素材が集合されてなるため、縦糸としてモノフィラメントを用いた従前の芯地に比べれば、縦方向(長さ方向)にしなやかさを出しやすい。
【0018】
そして、縦方向(長さ方向)にしなやかである前記芯地をカーテン上縁部分に組み込んだ場合には、該上縁部分をその長さ方向にしなやかなものとなし得、カーテンを、より全開に近い状態に見栄え良く開けることができる。又、ウエーブの美しい見栄えの良いカーテン面を形成できることになる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る芯地基材1の一部分を示す拡大図であり、横糸3としてのモノフィラメントを用い且つ縦糸2として、複合フィラメントの複数本からなるマルチフィラメントを用いてテープ状に製織されている。この複合フィラメントは図2に示す構成のものであり、例えば、通常のポリエステル繊維素材を芯素材6とし、且つ融点が130〜210°Cの低融点のポリエステル繊維素材を鞘素材7とし、該鞘素材7で芯素材6の全周を被覆してなる。なおこの芯素材6は、単芯でも多芯でもよく、又、その断面形状にも特別な限定がない。なお、芯素材と鞘素材の融点の差は、低融点の糸だけを容易に溶融させることができるようにするため、例えば30°C以上に設定するのがよい。
【0020】
かかる構成の芯地基材1に、前記と同様の要領で熱処理を施すことによって図3に示す芯地が得られる。この熱処理の温度は、鞘素材の融点よりも高く且つ芯素材の融点以下の温度に設定する。そして、この熱処理により前記鞘素材7が溶融され、図4に模式的に示すように、その溶融物が縦糸2と横糸3との交差点10に介在せしめられ(散点を付して示す)、この交差点が融着固定された状態となる。なお縦糸が、複合フィラメントの複数本からなるマルチフィラメントであるため、この熱処理により、芯素材相互が溶融物を介して結合されて、縦糸全体がモノフィラメント状に一体化する。このように縦糸がモノフィラメント状に一体化しても、それは細い芯素材が集合されてなるため、モノフィラメントを縦糸として用いた場合に比べれば縦方向(長さ方向)にしなやかさを出しやすい。
【0021】
かかる構成を有する芯地9は、図5に示す如く、カーテン生地12の上端を下向きに折返して形成した挿入部13に挿入状態となされ、且つ該芯地挿入部分には、カーテン長さ方向に所要間隔で縫いひだ14が形成されることによって、カーテン15が構成される。
【0022】
かかる構成のカーテン15の上縁部分16は、芯地9がしなやかであるためにその長さ方向F1にしなやかさを有する。従って、カーテンを開けた際には、縫いひだ間の部分17が図6に示すように、湾曲の小さい幅狭U字状に折り曲げられた形態となり、カーテンは図6に示すように、より全開に近い状態に見栄え良く開けられることとなる。又カーテンを閉めた際には、図7に示すように、縫いひだ14が密着状態となるため、カーテン面のウエーブ19が図8に示すように夫々独立したものとして優美に現れる。
【0023】
【発明の効果】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1)本発明に係る芯地基材は以上のように構成しているため、これを所要温度で熱処理して複合フィラメントの低融点の鞘素材のみを溶融させることにより、縦糸と横糸との交差点を該溶融物で融着固定でき、布目崩れの恐れのない芯地を製造できる。しかも、このような縦糸と横糸との交差点の固定を熱処理だけで容易に行うことができるため、従来のように樹脂被覆を施す場合に比し芯地の製造能率を向上させうる。
【0024】
(2)そして、製造された芯地をカーテンの上縁部分に組み込むことにより、カーテンを、より全開に近い状態に見栄え良く開けることができる。又、ウエーブの美しい見栄えの良いカーテン面を形成できることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の芯地基材の構造を説明する説明図である。
【図2】 複合フィラメントを説明する斜視図である。
【図3】 縦糸と横糸との交差点が融着固定されたカーテンの芯地を示す斜視図である。
【図4】 図1に示す芯地基材を熱処理して、縦糸と横糸との交差点を融着固定した状態を示す説明図である。
【図5】 カーテンの上縁部分に芯地を組み込んだ状態を示す一部欠切斜視図である。
【図6】 本発明のカーテン芯地を組み込んでなるカーテンを開けた状態を示す斜視図である。
【図7】 縫いひだが密着状態に形成されたカーテンの一部分を示す正面図である。
【図8】 カーテン面のウエーブが夫々独立した状態に現れたカーテンの閉じ状態を示す正面図である。
【図9】 従来のカーテンの芯地を説明する平面図である。
【図10】 図10に示す芯地をカーテンの上縁部分に組み込んだ状態を説明する一部欠切斜視図である。
【図11】 縦糸が傾いた目崩れ状態の芯地を説明する平面図である。
【図12】 従来の芯地を組み込んでなるカーテンの開き状態の問題点を説明する斜視図である。
【図13】 縫いひだが大きく膨れた状態の従来のカーテンを説明する正面図である。
【図14】 カーテン面の隣り合うウエーブが干渉状態を呈するカーテンの閉じ状態を示す正面図である。
【符号の説明】
1 芯地基材
2 縦糸
3 横糸
5 複合フィラメント
6 芯素材
7 鞘素材
Claims (1)
- 熱処理が施されることを前提としたカーテンの芯地基材であって、縦糸として複合フィラメントを用い且つ横糸としてモノフィラメントを用いて、前記縦糸がカーテンの長さ方向に向くようにテープ状に製織されており、前記縦糸は、鞘素材が低融点の樹脂成分であり且つ芯素材がそれよりも融点の高い樹脂成分である前記複合フィラメントの複数本からなるマルチフィラメントであり、該複合フィラメントの複数本が、熱処理が施されることによって縦糸として全体がモノフィラメント状に一体化するよう前記横糸の延長方向に並べられていることを特徴とするカーテンの芯地基材。
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JP13268495A Expired - Lifetime JP3639639B2 (ja) | 1995-05-02 | 1995-05-02 | カーテンの芯地基材 |
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