JP3639052B2 - カラー画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はカラー複写機、カラープリンタ、カラーファクシミリ等のカラー画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラー画像形成装置はカラー複写機、カラープリンタ、カラーファクシミリ等があり、図27はカラープリンタの一例を示す。図27において、1は可撓性のベルト状感光体からなるベルト状像担持体であり、このベルト状感光体1は回動ローラ2,3の間に架設されていて回動ローラ2により駆動されて副走査方向(時計方向)に回転する。
【0003】
4は帯電手段としての帯電ローラからなる帯電部材、5は像露光手段としてのレーザ書き込み系ユニット、6〜9は回転型現像ユニットにおける互いに異なる特定色の現像剤をそれぞれ収容した複数の現像手段としての現像ユニットである。レーザ書き込み系ユニット5は上面にスリット状の露光用開口部を設けた保持筐体に納めて装置本体に組み込まれる。帯電手段としての帯電部材4及び像露光手段としてのレーザ書き込み系ユニット5は感光体1に画像形成信号に対応する静電潜像を順次に形成する潜像形成手段を構成する。
【0004】
レーザ書き込み系ユニット5には図示の光学系のものの他に、発光部と収束性光伝送体を一体とした光学系等も使用される。帯電部材4、レーザ書き込み系ユニット5のレーザ書き込み光5Dをベルト状感光体1に照射する部分、感光体用クリーニング装置15はベルト状感光体1を架設している複数本のローラ2,3のうちの1本のローラ2の付近に設けられている。
【0005】
各現像ユニット6、7、8、9は、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、黒色の各トナーを有する現像剤をそれぞれ収容したものであって、所定の位置でベルト状感光体1と近接あるいは接触する現像スリーブからなる現像剤担持部材を備え、感光体ベルト1上の静電潜像を非接触現像法あるいは接触現像法により顕像化する機能を有している。10は転写像担持体としての中間転写体であり、この中間転写体10は回動ローラ11、12の間に架設されていてその一方の回動ローラにより駆動されて反時計回りに回転する中間転写ベルトからなる。
【0006】
ベルト状感光体1と中間転写ベルト10は回動ローラ3の所で接触しており、中間転写ベルト10の内側に接触しているバイアスローラ13に高圧電源から転写バイアスが印加されてベルト状感光体1上の第一回目に形成された1つの色版の単色画像が中間転写ベルト10上に転写される。同様にベルト状感光体1上に第二回目乃至第四回目に形成された他の各色版の単色画像が中間転写ベルト10上に第一回目に形成された1つの色版の単色画像と重ねられて位置ズレを生じないように転写される。
【0007】
転写手段を構成する転写ローラ14は接離機構により中間転写ベルト10に対して接離するように設けられている。15はベルト状感光体1をクリーニングする感光体用クリーニング装置、16は中間転写ベルト10をクリーニングする中間転写ベルト用クリーニング装置であり、このクリーニング装置16のブレード16Aは接離機構により画像形成中には中間転写ベルト10の表面より離間した位置に保たれて画像転写後のクリーニング時のみ図示のごとく中間転写ベルト10の表面に圧接される。
【0008】
このカラープリンタによるカラー画像形成のプロセスは次のように行われる。まず本カラープリンタによる多色像の形成は、次のように遂行される。即ち、本カラープリンタとは別体の画像読み取り装置は、オリジナル画像を走査して撮像素子で読み取り、その読み取りカラー画像データを画像データ処理部で演算処理して各色の画像データ、つまり、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の画像データを作成し、これを一旦画像メモリに格納する。
【0009】
次いで、各色の画像データがその画像メモリから記録時にとり出されて本カラープリンタにおけるレーザ書き込み系ユニット5に各色の画像形成信号として入力される。すなわち、本カラープリンタとは別体の画像読み取り装置から出力される各色の画像データが画像データ処理部を介して順次にレーザ書き込み系ユニット5に入力される。
【0010】
レーザ書き込み系ユニット5においては、ポリゴンモータからなる回転多面鏡駆動装置5Aにより回転多面鏡5Bが回転駆動され、半導体レーザは画像読み取り装置から画像データ処理部を介して順次に入力される各色の画像データにより半導体レーザ駆動回路で変調駆動されて各色の画像データに対応して強度が変化するレーザビームを発生する。このレーザビームは、回転多面鏡5Bにより偏向走査され、fθレンズ5Cを経てミラー5Gにより光路が曲げられてベルト状感光体1の周面上に照射される。
【0011】
ベルト状感光体1は、除電ランプ21により除電されて帯電ローラ4によって一様に帯電された後にミラー5Gからのレーザビーム5Dで露光されて各色の画像信号に対応した静電潜像が順次に形成される。ここで、帯電ローラ4は高圧電源からバイアスが印加されてベルト状感光体1を一様に帯電し、レーザ書き込み系ユニット5によりベルト状感光体1に露光する画像パターンは所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン、黒に色分解したときの単色の画像パターンである。
【0012】
ベルト状感光体1上に順次に形成された各色の画像信号に対応した静電潜像はそれぞれ回転型現像ユニットにおけるイエロー、マゼンタ、シアン、黒の現像ユニット6〜9による現像で顕色化されて各色の単色化された単色画像となる。現像ユニット6はベルト状感光体1上にイエローの画像信号に対応した静電潜像が形成された時に回転により現像位置に移動してその静電潜像を現像してイエローの単色画像とし、同様に他の現像ユニット7〜9はベルト状感光体1上にマゼンタ、シアン、黒の各画像信号に対応した静電潜像が形成された時にそれぞれ回転により現像位置に移動してそのマゼンタ、シアン、黒の静電潜像をそれぞれ現像してマゼンタ、シアン、黒の各単色画像とする。
【0013】
中間転写ベルト10は高圧電源からバイアスローラ13を介して転写バイアスが印加され、ベルト状感光体1上に順次に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各単色画像はベルト状感光体1に接触しながら反時計回りに回転する中間転写ベルト10上に順次に重ね合わせて転写される。中間転写ベルト10上にイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各単色画像が重ね合わせて転写されることによりフルカラーの画像が形成され、給紙台17から給紙ローラ18により給紙されてレジストローラ19を経て転写部へ搬送されて来た転写紙は中間転写ベルト10上に形成されたフルカラーの画像が転写ローラ14により転写される。
【0014】
この転写紙は、定着装置20により画像が定着されてフルカラー画像が完成し、トレイ23へ排出される。中間転写ベルト10及びベルト状感光体1はシームレスである。ベルト状感光体1はイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各単色画像が中間転写ベルト10へ転写された後に感光体用クリーニング装置15によりクリーニングされ、中間転写ベルト10は転写紙へ画像を転写した後に中間転写ベルト用クリーニング装置16によりクリーニングされる。
【0015】
図28は本カラープリンタの一部を拡大して示す図である。
中間転写ベルト10の端部には6個のマーク41A〜41Fが所定の間隔で設けられており、マーク検知センサからなるマーク検出手段40は中間転写ベルト10上のマーク41A〜41Fを回動ローラ12より中間転写ベルト10回転方向下流側で検出する。このマーク検知センサ40は反射型フォトインタラプトからなる反射型フォトセンサにより構成されている。
【0016】
マーク検知センサ40が6個のマーク41A〜41Fのうちの任意のマーク、例えばマーク41Aを検出することによりレーザ書き込み系ユニット5がベルト状感光体1に対する1色目の画像の書き込み(イエローの画像信号に対応したレーザビームによる露光)を開始し、マーク41Aが一周して再度マーク検知センサ40がマーク41Aを検出したときに2色目の画像の書き込み(マゼンタの画像信号に対応したレーザビームによる露光)を開始する。
【0017】
この時、マーク検知センサ40のマーク41B〜41Fに対する検出信号はマーク検知センサ40で検出されたマークの個数管理により画像の書き込みタイミングとして使用できないようにマスクがかけられる。Pセンサからなる濃度検出手段22は、感光体ベルト1上の中間転写ベルト10と接する部分より感光体ベルト1回転方向上流側位置に対向して設置され、感光体ベルト1上のトナー量を光学的に検出する。
【0018】
図29はレーザ書き込み系ユニット5からマーク検知センサ40までの概略構成を示す。
本カラープリンタとは別体の画像読み取り装置から出力される色信号が画像データ処理部を介してレーザ書き込み系ユニット5に入力されると、レーザ書き込み系ユニット5においては半導体レーザ5Eがその色信号により半導体レーザ駆動回路で変調駆動されてその色信号に対応した強度を有するレーザビームを発生する。このレーザビームは、ポリゴンモータ5Aからなる回転多面鏡駆動装置によって回転される回転多面鏡(以下ポリゴンミラーと呼ぶ)5Bにより主走査方向に回転走査され、fθレンズ5Cを経てミラー5Gにより光路が曲げられてベルト状感光体1上に照射される。
【0019】
このとき、ポリゴンミラー5Bによって主走査方向に走査されたレーザビームは、1回の主走査内で感光体1上に照射される前に画像書き込み領域外にて同期検知センサ5Fによって検出され、この同期検知センサ5Fの出力信号が画像書き込みの主走査方向の同期信号として用いられる。ポリゴンモータ5Aはモータ同期信号に同期して回転し、このモータ同期信号の位相とポリゴンモータ5Aの回転位相は同期している。ポリゴンミラー5Bの鏡面数は8面であり、モータ同期信号はポリゴンミラー5Bの1回転に付き2パルスである。
【0020】
図30は本カラープリンタの一部を示す。
位相整合回路50は、マーク検知センサ40からのマーク検出信号及び発振器51からのクロックが入力され、発振器51からのクロックを源信号としてこれを分周してモータ同期信号として出力する。ポリゴンモータ5Aは、モータ制御回路にて位相整合回路50からのモータ同期信号により回転速度,回転位相が同期制御される。
【0021】
本カラープリンタにおいては発振器51からのクロックを64分周した信号がモータ同期信号になっている。つまり、発振器51のクロック周期をtcとすると、モータ同期信号の周期tpはtp=64*tcである。位相整合回路50は、マーク検知センサ40からのマーク検出信号の立ち上がりを回転同期トリガとし、ポリゴンモータ5Aの回転位相を再設定すべくモータ同期信号の位相を変化させる。
【0022】
図31は本カラープリンタのタイミングチャートを示す。
図31において、定常期間は通常の画像露光を行っている期間であり、カウント期間は前の色版の画像形成に用いられた前版モータ同期信号の位相(ポリゴンモータ5Aの回転位相)とマーク検知センサ40からのマーク検出信号の位相との位相差をカウントする期間であり、位相整合期間はカウント期間のカウント値によりモータ同期信号の位相を定常期間の位相に移行させる期間である。
【0023】
カウント期間は、マーク検出信号の立ち上がりエッジaから前版モータ同期信号の最初の立ち上がりエッジbまでであり、カウンタによりそのカウント期間に発振器51からのクロックをカウントする。カウンタのカウント期間における最後のカウント値CNTはカウント期間を時間tとすると、CNT=t/tcとなる。モータ同期信号は位相整合期間にはタイミングbで発振を開始する位相同期化パルス信号に切り替わる。この位相同期化パルス信号の周期tdは、td=tp−tcの関係にある。
【0024】
位相整合期間はモータ同期信号がカウント期間のカウント値CNTだけ出たタイミングcまでであり、位相整合期間の経過後には位相同期化パルス信号の位相は次の色版の画像形成に用いられる次版モータ同期信号の位相と同期する。位相同期化パルス信号の周期tdはtd<tpの関係にあり、位相整合期間にはモータ同期信号は位相が目標の位相(マーク検知センサ40のマーク41A検出タイミングに同期したモータ同期信号の一定位相状態)を追いかける方向で制御されることになる。タイミングcにおいて、モータ同期信号は次版モータ同期信号に切り替わり、定常期間に入る。
【0025】
以上のようにモータ同期信号の切り換えが行われ、ポリゴンモータ5Aはモータ同期信号によりポリゴンモータ制御回路で駆動制御される。マーク検出信号の立ち上がりエッジaからマーク検知センサ40の検出したマークの個数がカウントされてそのカウント値が設定値nに達することにより書き出し開始信号が立ち上げられ、この書き出し開始信号の立ち上がりに同期してレーザ書き込み系ユニット5により次の色版の画像データによる画像露光が開始される。位相整合期間はマーク検知センサ40の検出したマークの個数を設定値nまでカウントする期間内に終了していることは言うまでもない。
【0026】
図25は本カラープリンタの一部を示す。位相整合回路50は、発振器51から出力されるクロック信号に同期して動作しているデジタル同期回路であり、上述のようにマーク検知センサ40からのマーク検知信号によりマーク検知センサ40のマーク検知タイミングに応じてモータ制御回路52へのモータ同期信号PLSの位相を可変する。この時、位相整合回路50は、モータ同期信号PLSの位相を一気に可変すると、モータ制御回路52の位相同期が外れてしまうため、モータ同期信号PLSの位相を徐々に遅らせたり進めたりすることによって、モータ同期信号PLSの位相を可変する。モータ制御回路52は、位相整合回路50からのモータ同期信号PLSに追従するようにポリゴンモータ5Aを制御する。
【0027】
モータ制御回路52においては、位相整合回路50からのモータ同期信号PLSとセンサ5Hの出力信号の位相を比較し、その位相差が所望の値になるようにポリゴンモータ5Aを制御するフェイズロックループ(PLL)回路である。センサ5Hは、ポリゴンモータ5Aの周囲に配置され、ポリゴンモータ5Aの回転位相を検出してポリゴンモータ5Aの回転位相を示す出力信号を出力するエンコーダからなる検出手段である。増幅及び波形整形器63は、センサ5Hの出力信号を増幅して2値に波形整形してパルス状の信号とし、この信号をポリゴンモータ5Aの回転位相を示すエンコーダ信号ENCとして位相比較器60へ出力する。
【0028】
位相比較器60は位相整合回路50からのモータ同期信号PLSと増幅及び波形整形器63の出力信号の位相を比較し、その位相比較の結果はローパスフィルタ(LPF)61により平滑化されて増幅器62に入力される。増幅器62は、LPF61の出力信号に応じてポリゴンモータ5Aに電流を流し、ポリゴンモータ5Aの回転駆動を行う。
【0029】
このように、モータ制御回路52は、閉ループで構成されたPLL回路であり、位相整合回路50からのモータ同期信号PLSに対してポリゴンモータ5Aの回転位相を追従させるようにポリゴンモータ5Aを制御する。ポリゴンモータ5Aにはポリゴンミラー5Bが取り付けられているので、ポリゴンモータ5Aの回転位相を制御することはポリゴンミラー5Bの回転位相を制御することになる。
【0030】
図26は、位相整合回路50で行われる信号処理の様子を示すタイミングチャートである。位相整合回路50は、最初にモータ同期信号(前の色版のもの)PLS1を出力している。位相整合回路50は、タイミングaでマーク検知センサ40からマーク検知信号MARKが入力されると、このマーク検知信号MARKの立ち上がりでモータ同期信号(後の色版のもの)PLS2を発生する。前の色版のモータ同期信号PLS1からいきなり後の色版のモータ同期信号PLS2へとモータ同期信号PLSの位相を可変すると、PLL回路52が同期外れを生じてしまう。
【0031】
そこで、位相整合回路50は、位相整合期間を設けてモータ同期信号PLSの位相を徐々にずらすことによって、PLL回路52が同期外れを生じないようにしている。位相整合回路50は、図26では、マーク検知信号MARKの検出タイミングaとモータ同期信号PLS1の立ち上がりタイミングbとのズレ時間tに応じて通常のモータ同期信号の周期より短いパルス信号(位相同期化パルス信号)PLS3をPLL回路52へ出力することによって、モータ同期信号の位相整合を行っている。
【0032】
PLL回路52は、位相整合期間が終了したタイミングc以降はモータ同期信号PLS2に追従するように動作することになる。最終的に位相整合回路50よりPLL回路52へ出力される信号はモータ同期信号PLSのようになる。タイミングdはレーザ書き込み系ユニット5により感光体1に対する画像書き込みを開始するタイミングであり、マーク検知信号MARKが位相整合回路50で検出されてから特定の時間が経過した後にレーザ書き込み系ユニット5により感光体1に対する画像書き込みが開始される。
【0033】
このようにポリゴンモータ5Aの回転位相を制御することによって、マーク検知センサ40によるマーク検知に対するポリゴンモータ5A及びポリゴンミラー5Bの回転位相を常に一定に保つことができる。これは、各色の画像の書き込みについて行われるため、副走査方向の露光位置ズレが無い高精度な各色画像の重ね合わせが可能となり、色ズレのないカラー画像が得られることになる。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】
上記カラープリンタでは、マーク検知信号MARKの立ち上がりで前の色版のモータ同期信号PLS1からいきなり後の色版のモータ同期信号PLS2へとモータ同期信号PLSの位相を可変すると、PLL回路52が同期外れを生じてしまうために、位相整合回路50にて位相整合期間を設けてモータ同期信号PLSの位相を徐々にずらすようにしているので、回転多面鏡の位相可変に長い時間を要する。
本発明は、回転多面鏡の位相可変に要する時間を短縮でき、回転多面鏡の位相可変をスムーズに行うことができるカラー画像形成装置を提供することを目的とする。
【0035】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、感光体と、画像形成信号に対応した露光ビームを回転多面鏡で偏向して前記感光体に照射し複数の画像形成信号に対応する静電潜像を前記感光体に順次に形成する潜像形成手段と、前記感光体上の潜像を顕像化する複数の現像手段と、前記感光体上の顕像が転写される中間転写体と、この中間転写体上のマークを検出するマーク検出手段と、クロック信号に基づいて前記回転多面鏡の回転を制御し同期外れ検知を行う閉ループ制御手段とを有し、前記マーク検出手段のマーク検出タイミングにより前記潜像形成手段に静電潜像の形成を開始させ、前記クロック信号の位相を前記マーク検出手段のマーク検出タイミングに応じて可変するカラー画像形成装置において、前記クロック信号の位相を可変する時に前記閉ループ制御手段で同期外れ検知を行わせない、若しくは同期外れ検知の能力を弱くする第2の手段を備えたものであり、前記クロック信号の位相を急激に可変したときに閉ループ制御手段の位相同期外れを検知しない、若しくは同期外れ検知の能力を弱くすることにより、位相同期外れ後の異常処理を行う必要がなく、位相同期外れを検知する必要がなく、若しくは同期外れ検知を強い能力で行う必要がなく、回転多面鏡の位相可変に要する時間を短縮することが可能となる。
【0036】
請求項2記載の発明は、感光体と、画像形成信号に対応した露光ビームを回転多面鏡で偏向して前記感光体に照射し複数の画像形成信号に対応する静電潜像を前記感光体に順次に形成する潜像形成手段と、前記感光体上の潜像を顕像化する複数の現像手段と、前記感光体上の顕像が転写される中間転写体と、この中間転写体上のマークを検出するマーク検出手段と、クロック信号に基づいて前記回転多面鏡の回転を制御する閉ループ制御手段とを有し、前記マーク検出手段のマーク検出タイミングにより前記潜像形成手段に静電潜像の形成を開始させ、前記クロック信号の位相を前記マーク検出手段のマーク検出タイミングに応じて可変するカラー画像形成装置において、前記クロック信号の位相を可変する時に前記閉ループ制御手段のループを一旦開状態にする第3の手段を備え、前記第3の手段は前記閉ループ制御手段のループを開状態にする時間を前記マーク検出手段のマーク検出タイミングに応じて決めるものであり、回転多面鏡の回転位相が適当な回転位相までずれた時に閉ループ制御手段のループを閉状態にして回転多面鏡の回転制御を再開することができ、回転多面鏡のスムーズな位相可変が可能となる。
【0043】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1実施形態の一部を示す。この第1実施形態は、前述したカラープリンタからなるカラー画像形成装置において、図1に示すような位相可変回路70及びモータ制御回路71を用いるようにしたものである。なお、図1において、図25と同じ部分には同じ符号が付してある。閉ループに構成されたモータ制御回路71は、前述のモータ制御回路52において、増幅器62の代りに、増幅率(ゲイン)の切り換えができる増幅器72を用いている。
【0044】
この第1実施形態では、前述したカラープリンタのようにポリゴンモータ5Aの回転位相を徐々にずらす方式をとっておらず、ポリゴンモータ5Aの回転位相を一気に可変する。この時、モータ制御回路71に位相同期外れが生じてしまう可能性があるので、モータ制御回路71に積極的に対策を施すことによって位相同期外れが生じないようにポリゴンモータ5Aの回転位相を可変する。
【0045】
図2は第1実施形態の動作タイミングを示すタイミングチャートである。位相可変回路70は、マーク検知センサ40からのマーク検知信号MARK及び発振器51からのクロック信号が入力され、発振器51からのクロック信号を源信号としてこれを分周してモータ同期信号として出力する。位相可変回路70は、最初にモータ同期信号(前の色版のもの)PLS1を出力している。
【0046】
位相可変回路70は、タイミングaでマーク検知センサ40からマーク検知信号MARKが入力されると、このマーク検知信号MARKの立ち上がりでモータ同期信号(後の色版のもの)PLS2を発生し、位相調整期間を設けることなく、マーク検知信号MARKの立ち上がりで直ぐにモータ同期信号PLSを切り換えてしまう。従って、図2に示すように位相可変回路70から出力されるモータ同期信号PLSは、急に位相変化を起こす信号となってしまう。
【0047】
また、位相可変回路70は増幅器72に対してゲイン切替のための切替信号GAを出力する。この切替信号GAは、所定の期間(タイミングaからタイミングeまでの期間)T、増幅器72のゲインを下げるように出力される信号であり、増幅器72は位相可変回路70からの切替信号GAによりゲインが下げられる。ここに、増幅器72のゲインを下げる(切替信号GAが低レベルとなる)所定の期間Tは実験的、経験的に予め決めておく。増幅器72のゲインを下げるということは、位相比較器60、LPF61、増幅器72、ポリゴンモータ5A、センサ5B、増幅及び波形整形器63で構成されるモータ制御回路(PLL回路)71の閉ループ制御ゲインを下げることになる。閉ループ制御ゲインが下がったモータ制御回路71は、位相可変回路70からのモータ同期信号PLSの急激な位相変化に対する追従能力は遅くなる代りに位相同期外れが生じにくくなる。
【0048】
ここに、モータ制御回路71で一旦位相同期外れが生ずると、ポリゴンモータ5Aの回転速度がずれてしまい、モータ制御回路71で再度PLL制御を行うために同期引き込み等を行う必要があり、再度モータ制御回路71を位相可変回路70からのモータ同期信号PLSの位相に追従させてポリゴンモータ5Aを定速回転させるのにかなりの時間を要することになる。本実施形態では、位相可変回路70にてモータ同期信号PLSの位相を急激に可変しても、モータ制御回路71の閉ループ制御ゲインを下げることによって位相同期外れが生じなくなるので、位相可変回路70にてモータ同期信号PLSの位相をスムーズに可変することが可能となる。また、従来技術のように徐々にモータ同期信号PLSの位相をずらす方式に比べてモータ同期信号PLSの位相を速く可変することができるという効果がある。
【0049】
図3(a)は上記位相可変回路70の具体的な構成を示す。位相可変回路70は、位相可変ブロック70Aと、カウンタ(又はタイマ)70Bとで構成される。位相可変ブロック70Aは、発振器51からのクロック信号を源信号としてこれを分周して作成したモータ同期信号PLSの位相をマーク検知センサ40からのマーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングに合わせて変化させる。カウンタ70Bはマーク検知センサ40からのマーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングより所定の時間Tを計測し、その時間Tだけ低レベルとなる切替信号GAを出力する。図3(b)は位相可変ブロック70Aとカウンタ70Bの動作を示している。
【0050】
図4はモータ制御回路71内のゲイン切り替え可能な増幅器72の具体的な構成を示す。増幅器72は、ゲインAの増幅器72Aと、ゲインBの増幅器72Bと、スイッチ72Cとを有し、スイッチ72Cがカウンタ70Bからの切替信号GAにより切り替えられる。LPF61からの入力信号は増幅器72A、72Bにより増幅され、カウンタ70Bからの切替信号GAが高レベルである時はスイッチ72Cが増幅器72Bの出力側▲2▼を選択することにより増幅器72のゲインがA×Bとなる。カウンタ70Bからの切替信号GAが低レベルである時はスイッチ72Cが増幅器72Aの出力側▲1▼を選択することにより増幅器72のゲインがAとなる。このように増幅器72は内部のスイッチ72Cの動作によってゲインを切り替える。
【0051】
図5は本発明の第2実施形態の一部を示す。この第2実施形態は、上記第1実施形態において、位相可変回路70の代りに位相可変回路90を用いたものである。上記第1実施形態ではモータ制御回路(PLL回路)71の閉ループ制御ゲインを下げる時間Tを実験的、経験的に決めていたのに対し、第2実施形態では増幅及び波形整形器63からのエンコーダ信号ENCをフィードバックさせてモータ同期信号PLSとエンコーダ信号ENCが一致した時点でモータ制御回路(PLL回路)71の閉ループ制御ゲインを元に戻す。
【0052】
図6(a)は上記位相可変回路90の具体的な構成を示す。位相可変回路90は、位相可変ブロック90Aと、位相比較回路90Bと、信号発生回路90Cとで構成されている。位相可変ブロック90Aは、発振器51からのクロック信号を源信号としてこれを分周して作成したモータ同期信号PLSの位相をマーク検知センサ40からのマーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングに合わせて変化させる。
【0053】
位相比較回路90Bは、位相可変ブロック90Aからのモータ同期信号PLSと増幅及び波形整形器63からのエンコーダ信号ENCが入力されてこれらの2つのパルス信号の位相が一致した時にその一致を示す信号EQを出力する。信号発生回路90Cは、マーク検知センサ40からのマーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングで低レベルとなり、位相比較回路90Bからの位相一致信号EQで高レベルとなる切替信号GAを出力する。
【0054】
このような動作によって、マーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングからエンコーダ信号ENCの位相がモータ同期信号PLSの位相と一致するまでモータ制御回路(PLL回路)71の閉ループ制御ゲインが下げられる。図6(b)は位相可変ブロック90A、位相比較回路90B、信号発生回路90Cの動作を示している。
【0055】
なお、上記実施形態では、モータ同期信号PLSの位相を一気に可変する方式であるが、従来技術のように徐々にモータ同期信号PLSの位相をずらす方式において位相可変回路70、90からの切替信号GAにより増幅器72のゲインを下げてモータ制御回路71の閉ループ制御ゲインを下げるようにしてもよい。この場合、モータ制御回路71での位相同期外れが生じにくくなるので、従来技術よりもかなり速くモータ同期信号PLSの位相をずらすことが可能となる。
【0056】
このように、第1実施形態及び第2実施形態は、感光体1と、画像形成信号に対応した露光ビームを回転多面鏡5Bで偏向して感光体1に照射し複数の画像形成信号に対応する静電潜像を感光体1に順次に形成する潜像形成手段としての帯電部材4及びレーザ書き込み系ユニット5と、感光体1上の潜像を顕像化する複数の現像手段としての現像ユニット6〜9と、感光体1上の顕像が転写される中間転写ベルトからなる中間転写体10と、この中間転写体10上のマークを検出するマーク検出手段としてのマーク検知センサ40と、クロック信号に基づいて回転多面鏡5Bの回転を制御する閉ループ制御手段としてのモータ制御回路71とを有し、マーク検出手段40のマーク検出タイミングにより潜像形成手段4、5に静電潜像の形成を開始させ、前記クロック信号の位相をマーク検出手段40のマーク検出タイミングに応じて可変するカラー画像形成装置において、前記クロック信号の位相を可変する時に閉ループ制御手段71のループゲインを小さくする第1の手段としての位相可変回路70、90を備えたので、閉ループ制御手段71の位相同期外れが生じにくくなって位相可変回路70、90にて前記クロック信号の位相を急激に可変でき、回転多面鏡の位相可変に要する時間を短縮することが可能になる。
【0057】
図7は本発明の第3実施形態の一部を示す。この第3実施形態は、請求項に係る発明の一実施形態であり、前述したカラープリンタからなるカラー画像形成装置において、図7に示すような位相可変回路73及びモータ制御回路74を用いるようにしたものである。なお、図7において、図25と同じ部分には同じ符号が付してある。モータ制御回路74は、前述のモータ制御回路52において、位相比較器60の代りに、位相比較器75を用いている。
【0058】
この位相比較器75は、位相可変回路73からのモータ同期信号PLSと増幅及び波形整形器63の出力信号の位相を比較してその比較結果をLPF61へ出力するばかりでなく、上記比較結果が所定の値以下であることを検知している。つまり、位相比較器75は、位相可変回路73からのモータ同期信号PLSと増幅及び波形整形器63の出力信号との位相を比較してその位相差が所定のしきい値以上であれば、モータ制御回路74で位相同期外れが生じているとみなしてこれを異常として検知するという異常検知機能を有する。この異常検知機能によりモータ制御回路74の位相同期外れが異常として検知されると、同期引き込み等の処理が行われる。
【0059】
位相可変回路73は、マーク検知センサ40からのマーク検知信号MARK及び発振器51からのクロック信号が入力され、発振器51からのクロック信号を源信号としてこれを分周してモータ同期信号として出力する。位相可変回路73は、最初にモータ同期信号(前の色版のもの)PLS1を出力している。位相可変回路73は、タイミングaでマーク検知センサ40からマーク検知信号MARKが入力されると、このマーク検知信号MARKの立ち上がりでモータ同期信号(後の色版のもの)PLS2を発生し、位相調整期間を設けることなく、マーク検知信号MARKの立ち上がりで直ぐにモータ同期信号PLSを切り換えてしまう。
【0060】
従って、図8に示すように位相可変回路73から出力されるモータ同期信号PLSは、急に位相変化を起こす信号となってしまう。位相可変回路73がマーク検知信号MARKの立ち上がりでモータ同期信号PLSの位相を急激に可変した場合、位相比較器75が異常検知機能によりモータ制御回路74の位相同期外れを異常として検知すると、同期引き込み等を行う処理に時間がかかってしまうことになる。
【0061】
そこで、位相可変回路73は、位相比較器75に対して同期外れ検知を行わせない(若しくは同期外れ検知の能力を弱くする)ための切替信号PCを出力する。この切替信号PCは、所定の期間(タイミングaからタイミングfまでの期間)T、位相比較器75に対して同期外れ検知を行わせない(若しくは同期外れ検知の能力を弱くする)ように出力される信号であり、位相比較器75は位相可変回路73からの切替信号PCにより同期外れ検知を行わなくなる(若しくは同期外れ検知の能力が弱くなる)。所定の期間Tは実験的、経験的に予め決めておく。
【0062】
また、位相比較器75は異常検知機能によりモータ制御回路74の位相同期外れを全く検知しなくなることに問題があれば、その期間だけ位相可変回路73からのモータ同期信号PLSと増幅及び波形整形器63の出力信号との位相差が所定のしきい値より大きいことを検知する異常検知機能の上記しきい値を広く設定することで、同期外れ検知の能力を弱くする。
【0063】
このように、位相可変回路73でモータ同期信号PLSの位相を急激に可変する際に、位相比較器75の異常検知機能にモータ制御回路74の位相同期外れを検知させなかったり異常検知能力を弱く設定したりすることは、むやみに位相同期検知を行うことを無くすことができ、位相可変回路73にてモータ同期信号PLSの位相をスムーズに可変することが可能となる。
【0064】
図9は上記位相可変回路73の具体的な構成を示す。位相可変回路73は、位相可変ブロック73Aと、カウンタ(又はタイマ)73Bとで構成される。位相可変ブロック73Aは、発振器51からのクロック信号を源信号としてこれを分周して作成したモータ同期信号PLSの位相をマーク検知センサ40からのマーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングに合わせて変化させる。カウンタ73Bはマーク検知センサ40からのマーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングより所定の時間Tを計測し、その時間Tだけ低レベルとなる切替信号PCを出力する。図9(b)は位相可変ブロック73Aとカウンタ73Bの動作を示している。
【0065】
図10はモータ制御回路74内の位相比較器75の具体的な構成を示す。位相比較器75は、位相比較ブロック75Aと、異常検知回路75Bとで構成されている。位相比較ブロック75Aは、位相可変回路73からのモータ同期信号PLSと増幅及び波形整形器63からのエンコーダ信号ENCとが入力されてこれらの2つのパルス信号の位相を比較し、比較結果を出力信号OUTとしてLPF61へ出力する。また、異常検知回路75Bは、位相比較ブロック75Aの位相比較結果がしきい値範囲を越えた場合に異常信号ERRを出力する。
【0066】
位相可変回路73にてマーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングでモータ同期信号PLSの位相をシフトさせる場合、モータ同期信号PLSとエンコーダ信号ENCとの間には必ず位相差が生ずる。この時、異常検知回路75Bはその位相差を異常として検知しないように位相可変回路73からの切替信号PCによってしきい値範囲が上げられる。図10(b)は、このような動作を概念的に示したものである。
【0067】
図11は本発明の第4実施形態の一部を示す。この第4実施形態は、請求項に係る発明の他の実施形態であり、上記第3実施形態において、位相可変回路73の代りに位相可変回路91を用いたものである。上記第3実施形態では、異常検知回路75Bのしきい値範囲を上げる時間Tを実験的、経験的に決めていたのに対し、第4実施形態では増幅及び波形整形器63からのエンコーダ信号ENCをフィードバックさせてモータ同期信号PLSとエンコーダ信号ENCが一致した時点で異常検知回路75Bのしきい値範囲を元に戻す。
【0068】
図12(a)は上記位相可変回路91の具体的な構成を示す。位相可変回路91は、位相可変ブロック91Aと、位相比較回路91Bと、信号発生回路91Cとで構成されている。位相可変ブロック91Aは、発振器51からのクロック信号を源信号としてこれを分周して作成したモータ同期信号PLSの位相をマーク検知センサ40からのマーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングに合わせて変化させる。
【0069】
位相比較回路91Bは、位相可変ブロック91Aからのモータ同期信号PLSと増幅及び波形整形器63からのエンコーダ信号ENCが入力されてこれらの2つのパルス信号の位相が一致した時にその一致を示す信号EQを出力する。信号発生回路91Cは、マーク検知センサ40からのマーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングで低レベルとなり、位相比較回路91Bからの位相一致信号EQで高レベルとなる切替信号PCを出力する。
【0070】
このような動作によって、マーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングからエンコーダ信号ENCの位相がモータ同期信号PLSの位相と一致するまでモータ制御回路(PLL回路)74の閉ループ制御ゲインが下げられる。図12(b)は位相可変ブロック91A、位相比較回路91B、信号発生回路91Cの動作を示している。
【0071】
また、請求項に係る発明は、上記第1実施形態や第2実施形態において、第3実施形態や第4実施形態と同様に実施してより一層の効果が得られるようにしてもよく、さらに、後述する各実施形態において、それぞれ第3実施形態や第4実施形態と同様に実施してより一層の効果が得られるようにしてもよい。なお、第3実施形態及び第4実施形態ではモータ同期信号PLSの位相を一気に可変する方式であるが、従来技術のように徐々にモータ同期信号PLSの位相をずらす方式において請求項に係る発明を第3実施形態や第4実施形態と同様に実施してもよい。
【0072】
このように、上記第3実施形態及び第4実施形態は、請求項に係る発明の実施形態であって、感光体1と、画像形成信号に対応した露光ビームを回転多面鏡5Bで偏向して感光体1に照射し複数の画像形成信号に対応する静電潜像を感光体1に順次に形成する潜像形成手段としての帯電部材4及びレーザ書き込み系ユニット5と、感光体1上の潜像を顕像化する複数の現像手段としての現像ユニット6〜9と、感光体1上の顕像が転写される中間転写ベルトからなる中間転写体10と、この中間転写体10上のマークを検出するマーク検出手段としてのマーク検知センサ40と、クロック信号に基づいて回転多面鏡5Bの回転を制御し同期外れ検知を行う閉ループ制御手段としてのモータ制御回路74とを有し、マーク検出手段40のマーク検出タイミングにより潜像形成手段4、5に静電潜像の形成を開始させ、前記クロック信号の位相をマーク検出手段40のマーク検出タイミングに応じて可変するカラー画像形成装置において、前記クロック信号の位相を可変する時に閉ループ制御手段74で同期外れ検知を行わせない、若しくは同期外れ検知の能力を弱くする第2の手段としての位相可変回路73、91を備えたので、前記クロック信号の位相を急激に可変したときに閉ループ制御手段74の位相同期外れを検知しない、若しくは同期外れ検知の能力を弱くすることにより、位相同期外れ後の異常処理を行う必要がなく、位相同期外れを検知する必要がない、若しくは同期外れ検知を強い能力で行う必要がなく、回転多面鏡の位相可変に要する時間を短縮することが可能となる。
【0073】
図13は本発明の第5実施形態の一部を示す。この第5実施形態は、請求項に係る発明の一実施形態であり、前述したカラープリンタからなるカラー画像形成装置において、図13に示すような位相可変回路76及びモータ制御回路77を用いるようにしたものである。なお、図13において、図25と同じ部分には同じ符号が付してある。モータ制御回路77は、前述のモータ制御回路52において、増幅器62の前に、スイッチ78を挿入している。このスイッチ78は、位相可変回路76からの切替信号SWに応じて増幅器62の入力側をLPF61の出力側1に接続してモータ制御回路77を閉ループとするか、増幅器62の入力側をアース側2に接続して増幅器62の入力電圧をゼロとするかを選択する。
【0074】
図14は第5実施形態の動作を示すタイミミングチャートである。位相可変回路76は、マーク検知センサ40からのマーク検知信号MARK及び発振器51からのクロック信号が入力され、発振器51からのクロック信号を源信号としてこれを分周してモータ同期信号として出力する。位相可変回路76は、最初にモータ同期信号(前の色版のもの)PLS1を出力している。位相可変回路76は、タイミングaでマーク検知センサ40からマーク検知信号MARKが入力されると、このマーク検知信号MARKの立ち上がりでモータ同期信号(後の色版のもの)PLS2を発生し、位相調整期間を設けることなく、マーク検知信号MARKの立ち上がりで直ぐにモータ同期信号PLSを切り換えてしまう。
【0075】
従って、図14に示すように位相可変回路76から出力されるモータ同期信号PLSは、急に位相変化を起こす信号となってしまう。位相可変回路76は、マーク検知信号MARKの立ち上がりでモータ同期信号PLSの位相を急激に可変した場合、スイッチ78への切替信号SWを高レベルにする。この切替信号SWは、所定の期間(タイミングaからタイミングgまでの期間)T、高レベルになる信号であり、スイッチ78は位相可変回路76からの切替信号SWが高レベルになることにより、増幅器62の入力側をアース側▲2▼に接続して増幅器62の入力電圧をゼロとする。この所定の期間Tは実験的、経験的に予め決めておく。
【0076】
このため、増幅器62がポリゴンモータ5Aに流す電流はゼロになる。それまで定速回転していたポリゴンモータ5Aは、増幅器62により供給される電流がゼロになることにより、慣性力だけで回転することになる。この時、ポリゴンモータ5Aは、回転時の摩擦抵抗等によって回転速度が徐々に落ち行き、回転位相も定速回転時に対して徐々にずれて行く。更に、このように回転速度が降下して行くポリゴンモータ5Aの回転位相が適当な位相になった時にスイッチ78が元に戻って増幅器62の入力側をLPF61の出力側▲1▼に接続する。
【0077】
図14に示すように最初、ポリゴンモータ5Aは位相可変回路76からのモータ同期信号PLS1に追従して回転している。増幅及び波形整形器63からのエンコーダ信号ENCはポリゴンモータ5Aの回転位相を示しているので、最初は位相可変回路76からのモータ同期信号PLS1と増幅及び波形整形器63からのエンコーダ信号ENCとが同じ位相となっている。タイミングaでスイッチ78が増幅器62の入力側をアース側▲2▼に接続して閉ループのモータ制御回路77が開状態になると、ポリゴンモータ5Aの回転速度が徐々に落ちて行く。
【0078】
このことは、増幅及び波形整形器63からのエンコーダ信号ENCのパルス周期が長くなっていくことを示しており、モータ同期信号PLS1の位相に対してエンコーダ信号ENCの位相がずれていく。タイミングaでは、位相可変回路76からのモータ同期信号PLSはモータ同期信号(後の色版のもの)PLS2に切替わる。徐々に位相がずれて行くエンコーダ信号ENCがモータ同期信号PLS2に近い位相になった時点でスイッチ78が元に戻って増幅器62の入力側をLPF61の出力側▲1▼に接続する(タイミングg)。
【0079】
このように、モータ制御回路77の閉ループを一旦開状態にする方式は、モータ同期信号PLSの急激な位相変化に対してポリゴンモータ5Aの回転位相を強引にモータ同期信号PLSの位相を合わせる必要が無く、ポリゴンモータ5Aの回転位相をスムーズにモータ同期信号PLSの位相を合わせることができ、モータ制御回路77の位相同期外れも生じにくい。
【0080】
この第5実施形態において、スイッチ78を増幅器62の入力側がアース側▲2▼に接続されるように切り替える時間T(topen)は、次のように決める。マーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングaとモータ同期信号PLS1の立ち上がりタイミングbとのズレ時間tはモータ同期信号PLSの位相をどのくらいずらせる必要があるかを示唆する時間である。位相可変回路76は、その時間tと、モータ制御回路77の閉ループを開状態にした時のポリゴンモータ5Aの回転位相がずれて行く度合とによって時間topenを決める。
【0081】
つまり、位相可変回路76は、ズレ時間tが大きい時に時間topenが大きくなるように時間topenを決める。ここに、モータ制御回路77の閉ループを開状態にした時のポリゴンモータ5Aの回転位相がずれて行く度合は、ポリゴンモータ5Aの特性値から計算して求めてもよいし、実験的、経験的に求めてもよい。
【0082】
図15(a)は上記位相可変回路76の具体的な構成を示す。この位相可変回路76は、位相可変ブロック76Aと、カウンタ(又はタイマ)76Bとで構成される。位相可変ブロック76Aは、発振器51からのクロック信号を源信号としてこれを分周して作成したモータ同期信号PLSの位相をマーク検知センサ40からのマーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングに合わせて変化させる。カウンタ76Bはマーク検知センサ40からのマーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングより所定の時間Tを計測し、その時間Tの期間だけ高レベルとなる切替信号SWを出力する。図15(b)は位相可変ブロック76Aとカウンタ76Bの動作を示している。
【0083】
なお、本実施形態ではモータ同期信号PLSの位相を一気に可変する方式であるが、従来技術のように徐々にモータ同期信号PLSの位相をずらす方式において請求項2に係る発明を第5実施形態と同様に実施してもよい。
【0084】
このように、第5実施形態は、感光体1と、画像形成信号に対応した露光ビームを回転多面鏡5Bで偏向して感光体1に照射し複数の画像形成信号に対応する静電潜像を感光体1に順次に形成する潜像形成手段としての帯電部材4及びレーザ書き込み系ユニット5と、感光体1上の潜像を顕像化する複数の現像手段としての現像ユニット6〜9と、感光体1上の顕像が転写される中間転写ベルトからなる中間転写体10と、この中間転写体10上のマークを検出するマーク検出手段としてのマーク検知センサ40と、クロック信号に基づいて回転多面鏡5Bの回転を制御する閉ループ制御手段としてのモータ制御回路77とを有し、マーク検出手段40のマーク検出タイミングにより潜像形成手段4、5に静電潜像の形成を開始させ、前記クロック信号の位相をマーク検出手段40のマーク検出タイミングに応じて可変するカラー画像形成装置において、前記クロック信号の位相を可変する時に閉ループ制御手段77のループを一旦開状態にする第3の手段としての位相可変回路76を備えたので、閉ループ制御手段77のループを一旦開状態にしてポリゴンモータ5Aをそれまでの慣性力で回転させることによって回転多面鏡5Bの回転位相を所望の回転位相にずらせることができ、前記クロック信号の位相を可変する時に回転多面鏡5Bの回転位相を強引にクロック信号の位相に合わせる必要がなくスムーズな位相可変が可能となる。
【0085】
また、第5実施形態は、請求項に係る発明の実施形態であって、上記第3の手段76は閉ループ制御手段77のループを開状態にする時間をマーク検出手段40のマーク検出タイミングに応じて決めるので、ポリゴンミラー5Bの回転位相が適当な回転位相までずれた時に閉ループ制御手段77のループを閉状態にしてポリゴンミラー5Bの回転制御を再開することができ、ポリゴンミラー5Bのスムーズな位相可変が可能となる。
【0086】
図16は本発明の第6実施形態の一部を示す。この第6実施形態は、上記第5実施形態において、位相可変回路76の代りに位相可変回路79を用いるようにしたものである。この位相可変回路79は増幅及び波形整形器63からのエンコーダ信号ENCが入力される。
【0087】
この第6実施形態は上記第5実施形態とほぼ同じ動作をするが、第6実施形態と第5実施形態とが異なる点としては、第5実施形態では切替信号SWを高レベルにしてモータ制御回路77のループを閉状態にする時間T(topen)を、ズレ時間tと、モータ制御回路77の閉ループを開状態にした時のポリゴンモータ5Aの回転位相がずれて行く度合とによって決めるに対して、第6実施形態では増幅及び波形整形器63からのエンコーダ信号ENCの位相状態を観測して時間topenを決める。つまり、第6実施形態ではエンコーダ信号ENCの位相がモータ同期信号PLS2の位相と一致した時に切替信号SWを低レベルにしてモータ制御回路77のループを閉状態にする。
【0088】
図17は位相可変回路79の処理フローの一部を示す。位相可変回路79は、マーク検知センサ40からのマーク検知信号MARKの立ち上がりaでスイッチ78への切替信号SWを低レベルから高レベルにし、モータ同期信号(後の色版のもの)PLS2を発生し、位相調整期間を設けることなく、マーク検知信号MARKの立ち上がりで直ぐにモータ同期信号PLSをモータ同期信号PLS2に切替える。次に、位相可変回路79は、増幅及び波形整形器63からのエンコーダ信号ENCの位相をモータ同期信号PLS2の位相と比較してエンコーダ信号ENCの位相がモータ同期信号PLS2の位相と一致した時に切替信号SWを低レベルにしてモータ制御回路77のループを閉状態にする。
【0089】
第5実施形態のようにモータ制御回路77の閉ループを開状態にした時のポリゴンモータ5Aの回転位相がずれて行く度合とズレ時間tとによって時間topenを推測して決めると、ポリゴンモータ5Aの特性値のバラツキやポリゴンモータ5Aの使用環境の変化によって推測時間topenに誤差が生じてしまうが、第6実施形態では、実際のポリゴンモータ5Aの回転位相を観測しているので、ポリゴンモータ5Aの特性値のバラツキやポリゴンモータ5Aの使用環境の変化によって時間topenに誤差が生ずることはなく、正確にモータ制御回路77のループを閉状態にすることができる。
【0090】
図18(a)は上記位相可変回路79の具体的な構成を示す。位相可変回路79は、位相可変ブロック79Aと、位相比較回路79Bと、信号発生回路79Cとで構成されている。位相可変ブロック79Aは、発振器51からのクロック信号を源信号としてこれを分周して作成したモータ同期信号PLSの位相をマーク検知センサ40からのマーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングに合わせて変化させる。
【0091】
位相比較回路79Bは、位相可変ブロック79Aからのモータ同期信号PLSと増幅及び波形整形器63からのエンコーダ信号ENCが入力されてこれらの2つのパルス信号の位相が一致した時にその一致を示す信号EQを出力する。信号発生回路79Cは、マーク検知センサ40からのマーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングで高レベルとなり、位相比較回路79Bからの位相一致信号EQで低レベルとなる切替信号SWを出力する。
【0092】
このような動作によって、マーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングからエンコーダ信号ENCの位相がモータ同期信号PLSの位相と一致するまでモータ制御回路(PLL回路)77の閉ループが開状態とされる。図18(b)は位相可変ブロック79A、位相比較回路79B、信号発生回路79Cの動作を示している。
【0093】
このように、第6実施形態は、回転多面鏡5Bの回転を検出する検出手段としてのセンサ5Hを備え、第3の手段としての位相可変回路79は回転多面鏡5Bの回転位相を示す検出手段5Hの出力信号が所定の位相になった時に閉ループ制御手段としてのモータ制御回路77のループを再度閉状態にするので、検出手段5Hの出力信号が位相可変後のクロック信号と同じ位相になった時にモータ制御回路77のループを閉状態にすることができ、ポリゴンミラー5Bのスムーズな位相可変が可能となる。
【0094】
図19は本発明の第7実施形態の一部を示す。この第7実施形態は、前述したカラープリンタからなるカラー画像形成装置において、位相可変回路80及びモータ制御回路81を用いるようにしたものである。なお、図19において、図25と同じ部分には同じ符号が付してある。モータ制御回路81は、前述のモータ制御回路52において、増幅器62の前段に加算器82を挿入したものである。上記第5実施形態及び第6実施形態では、モータ制御回路77のループを開状態にしてポリゴンモータ5Aの回転位相が徐々にシフトして行くのを待ったが、第7実施形態では積極的にポリゴンモータ5Aを回転させてその回転位相をシフトさせる。
【0095】
位相可変回路80は、発振器51からのクロック信号を源信号としてこれを分周してモータ同期信号として出力する。位相可変回路80は、最初にモータ同期信号(前の色版のもの)PLS1を出力している。位相可変回路80は、タイミングaでマーク検知センサ40からマーク検知信号MARKが入力されると、このマーク検知信号MARKの立ち上がりでモータ同期信号(後の色版のもの)PLS2を発生し、位相調整期間を設けることなく、マーク検知信号MARKの立ち上がりで直ぐにモータ同期信号PLSをモータ同期信号LS2に切り換えてしまう。
【0096】
従って、位相可変回路80から出力されるモータ同期信号PLSは、急に位相変化を起こす信号となってしまう。そこで、位相可変回路80は加算器82へ加算パルスADDを出力する。つまり、位相可変回路80はマーク検知センサ40からのマーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングaから所定の期間Tだけ加算パルスADDを発生し、加算器82はそれまでの定常的な電圧値(LPF61の出力信号)と位相可変回路80からの加算パルスADDを加算して増幅器62へ出力する。この時、増幅器62からポリゴンモータ5Aに供給される電流はそれまでの定常的な値から加算パルスADDの分だけ増える。所定の期間Tは実験的、経験的に予め決めておく。
【0097】
ポリゴンモータ5Aに供給される電流が増えると、ポリゴンモータ5Aの回転速度が上がる。図20はその様子を示すタイミングチャートである。図20に示すようにタイミングaで加算パルスADDが加算器82に出力される。位相可変回路80は、加算器82に出力する加算パルスADDのパルス幅をモータ同期信号PLS2とマーク検知信号MARKとのズレ時間tに応じて(マーク検知センサ40のマーク検知タイミングaに応じて)決める。
【0098】
加算パルスADDが加算器82で定常的なLPF61の出力信号に加算されると、ポリゴンモータ5Aはそれまでより高速に回転を始める。図20に示す増幅及び波形整形器63からのエンコーダ信号ENCは、そのことを示しており、それまでの周期に比べて加算パルスADDの加算でパルス周期が短くなる。モータ同期信号PLSはマーク検知センサ40のマーク検知タイミングaでモータ同期信号PLS2の位相に変わり、エンコーダ信号ENCの位相がモータ同期信号PLS2の位相に一致した時に加算パルスADDが無くなってモータ制御回路81のループが閉じる。
【0099】
この第7実施形態では、上記第5実施形態及び第6実施形態のようにモータ制御回路77のループを開状態にしてポリゴンモータ5Aの回転位相が慣性力で徐々にシフトして行くのを待つ方式に比べて、積極的にポリゴンモータ5Aを回転させてその回転位相をシフトさせるために短時間でポリゴンミラー5Bの回転位相の可変が可能となる。
【0100】
図21は上記位相可変回路80の具体的な構成を示す。位相可変回路80は、位相可変ブロック80Aと、カウンタ(又はタイマ)80Bと、電圧切替スイッチ回路80Cとで構成される。位相可変ブロック80Aは、発振器51からのクロック信号を源信号としてこれを分周して作成したモータ同期信号PLSの位相をマーク検知センサ40からのマーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングに合わせて変化させる。
【0101】
カウンタ80Bはマーク検知センサ40からのマーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングより所定の時間Tを計測し、その時間Tだけ切替信号を電圧切替スイッチ回路80Cに送る。電圧切替スイッチ回路80Cは、スイッチをカウンタ80Bの出力信号に応じて所定の電圧Vdd側、アース側に切り替え、そのスイッチからカウンタ80Bの出力信号に応じてVdd又は0Vに切り替えた加算パルスADDを出力する。図21(b)は位相可変ブロック80A、カウンタ80B、電圧切替スイッチ回路80Cの動作を示している。
図22は上記モータ制御回路81内の加算器82の具体的な構成を示す。加算器82は、演算増幅器82A及び抵抗82B〜82Dからなる一般的な加算器である。
【0102】
図23は本発明の第8実施形態の一部を示す。この第8実施形態は、上記第7実施形態において、位相可変回路80の代りに位相可変回路92を用いるようにしたものである。上記第7実施形態では、加算パルスADDの印加時間Tを実験的、経験的に決めていたのに対し、第8実施形態では増幅及び波形整形器63からのエンコーダ信号ENCをフィードバックさせてモータ同期信号PLSとエンコーダ信号ENCが一致した時点で加算パルスADDの発生を停止させる。
【0103】
図24(a)は上記位相可変回路92の具体的な構成を示す。位相可変回路92は、位相可変ブロック92Aと、位相比較回路92Bと、信号発生回路92Cと、電圧切替スイッチ回路92Dとで構成されている。位相可変ブロック92Aは、発振器51からのクロック信号を源信号としてこれを分周して作成したモータ同期信号PLSの位相をマーク検知センサ40からのマーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングに合わせて変化させる。
【0104】
位相比較回路92Bは、位相可変ブロック92Aからのモータ同期信号PLSと増幅及び波形整形器63からのエンコーダ信号ENCが入力されてこれらの2つのパルス信号の位相が一致した時にその一致を示す信号EQを出力する。信号発生回路92Cは、マーク検知センサ40からのマーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングで高レベルとなり、位相比較回路92Bからの位相一致信号EQで低レベルとなる切替信号を出力する。電圧切替スイッチ回路80Cは、スイッチを信号発生回路92Cからの切替信号に応じて所定の電圧Vdd側、アース側に切り替え、そのスイッチから信号発生回路92Cからの切替信号に応じてVdd又は0Vに切り替えた加算パルスADDを出力する。
【0105】
このような動作によって、マーク検知信号MARKの立ち上がりタイミングからエンコーダ信号ENCの位相がモータ同期信号PLSの位相と一致するまでモータ制御回路(PLL回路)81の閉ループに加算パルスADDが印加される。図24(b)は位相可変ブロック92A、位相比較回路92B、信号発生回路92C、電圧切替スイッチ回路92Cの動作を示している。
【0106】
このように、第7実施形態及び第8実施形態は、感光体1と、画像形成信号に対応した露光ビームを回転多面鏡5Bで偏向して感光体1に照射し複数の画像形成信号に対応する静電潜像を感光体1に順次に形成する潜像形成手段としての帯電部材4及びレーザ書き込み系ユニット5と、感光体1上の潜像を顕像化する複数の現像手段としての現像ユニット6〜9と、感光体1上の顕像が転写される中間転写ベルトからなる中間転写体10と、この中間転写体10上のマークを検出するマーク検出手段としてのマーク検知センサ40と、クロック信号に基づいて回転多面鏡5Bの回転を制御する閉ループ制御手段としてのモータ制御回路81とを有し、マーク検出手段40のマーク検出タイミングにより潜像形成手段4、5に静電潜像の形成を開始させ、前記クロック信号の位相をマーク検出手段40のマーク検出タイミングに応じて可変するカラー画像形成装置において、前記クロック信号の位相を可変する時に閉ループ制御手段81に所定の信号を印加する第4の手段としての位相可変回路80、92を備えたので、クロック信号の位相を急激に可変する時にポリゴンモータ5Aの回転を積極的に制御してその回転位相をずらせることができて短時間で回転多面鏡5Bの回転位相を可変することができる。
【0107】
また、第7実施形態及び第8実施形態は、上記第4の手段としての位相可変回路80、92は前記所定の信号をパルス状の信号とし、この信号のパルス幅をマーク検出手段40のマーク検出タイミングに応じて決めるので、クロック信号の位相を急激に可変する時に閉ループ制御手段81による回転多面鏡5Bの回転制御を適切に行うことができる。
【0108】
なお、第7実施形態及び第8実施形態において、第4の手段としての位相可変回路80、92は前記所定の信号をパルス状の信号とし、この信号のパルス波高値、もしくはパルス巾及びパルス波高値をマーク検出手段40のマーク検出タイミングに応じて決めるようにしても同様な効果が得られる。
【0109】
また、第8実施形態は、回転多面鏡5Bの回転を検出する検出手段としてのセンサ5Hを備え、第4の手段としての位相可変回路92は回転多面鏡5Bの回転位相を示す検出手段5Hの出力信号が所定の位相になった時に閉ループ制御手段81に対する前記所定の信号の印加を停止するので、回転多面鏡5Bの回転位相の可変をスムーズに行うことができる。
【0110】
上記第7実施形態及び第8実施形態では、加算パルスADDの加算でポリゴンモータ5Aの回転速度を上げたが、逆に位相可変回路80、92で加算パルスADDの代りに減算パルスを同じタイミングで出力し、加算器82の代りに減算器を用いてこの減算器でLPF61の出力信号から減算パルスを減算することで、ポリゴンモータ5Aの回転速度を積極的に下げて同様な効果を得るようにしてもよい。この場合は、モータ制御回路81のループを開状態にして慣性力でポリゴンモータ5Aを回転させる場合に比べて、減算パルスの減算でポリゴンモータ5Aの回転速度を積極的に下げるので、ポリゴンモータ5Aの回転速度を速くずらせることができ、回転多面鏡5Bの回転位相の可変に要する時間を短縮することができる。
【0111】
また、ポリゴンモータ5Aの回転速度を上げる加算パルスADDの加算と、ポリゴンモータ5Aの回転速度を下げる減算パルスの減算とを場合によって切替えることで更に回転多面鏡5Bの回転位相の可変に要する時間を短縮することができる。また、第7実施形態及び第8実施形態では、モータ制御回路81の閉ループ中に加算器82を挿入して加算パルスADDを加算したが、加算パルスADDを加算する際にはモータ制御回路81の閉ループを開状態にして加算パルスADDを加算しても同様な効果が得られる。また、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えばカラープリンタ以外のカラー複写機、カラーファクシミリ等のカラー画像形成装置に同様に適用することができる。
【0112】
【発明の効果】
以上のように請求項1に係る発明によれば、感光体と、画像形成信号に対応した露光ビームを回転多面鏡で偏向して前記感光体に照射し複数の画像形成信号に対応する静電潜像を前記感光体に順次に形成する潜像形成手段と、前記感光体上の潜像を顕像化する複数の現像手段と、前記感光体上の顕像が転写される中間転写体と、この中間転写体上のマークを検出するマーク検出手段と、クロック信号に基づいて前記回転多面鏡の回転を制御し同期外れ検知を行う閉ループ制御手段とを有し、前記マーク検出手段のマーク検出タイミングにより前記潜像形成手段に静電潜像の形成を開始させ、前記クロック信号の位相を前記マーク検出手段のマーク検出タイミングに応じて可変するカラー画像形成装置において、前記クロック信号の位相を可変する時に前記閉ループ制御手段で同期外れ検知を行わせない、若しくは同期外れ検知の能力を弱くする第2の手段を備えたので、前記クロック信号の位相を急激に可変したときに閉ループ制御手段の位相同期外れを検知しない、若しくは同期外れ検知の能力を弱くすることにより、位相同期外れ後の異常処理を行う必要がなく、位相同期外れを検知する必要がなく、若しくは同期外れ検知を強い能力で行う必要がなく、回転多面鏡の位相可変に要する時間を短縮することが可能となる。
【0113】
請求項2に係る発明によれば、感光体と、画像形成信号に対応した露光ビームを回転多面鏡で偏向して前記感光体に照射し複数の画像形成信号に対応する静電潜像を前記感光体に順次に形成する潜像形成手段と、前記感光体上の潜像を顕像化する複数の現像手段と、前記感光体上の顕像が転写される中間転写体と、この中間転写体上のマークを検出するマーク検出手段と、クロック信号に基づいて前記回転多面鏡の回転を制御する閉ループ制御手段とを有し、前記マーク検出手段のマーク検出タイミングにより前記潜像形成手段に静電潜像の形成を開始させ、前記クロック信号の位相を前記マーク検出手段のマーク検出タイミングに応じて可変するカラー画像形成装置において、前記クロック信号の位相を可変する時に前記閉ループ制御手段のループを一旦開状態にする第3の手段を備え、前記第3の手段は前記閉ループ制御手段のループを開状態にする時間を前記マーク検出手段のマーク検出タイミングに応じて決めるので、回転多面鏡の回転位相が適当な回転位相までずれた時に閉ループ制御手段のループを閉状態にして回転多面鏡の回転制御を再開することができ、回転多面鏡のスムーズな位相可変が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の一部を示すブロック図である。
【図2】同第1実施形態の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図3】同第1実施形態の位相可変回路の具体的な構成を示すブロック図及びその動作を示すタイミングチャートである。
【図4】同第1実施形態のモータ制御回路内のゲイン切り替え可能な増幅器の具体的な構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2実施形態の一部を示すブロック図である。
【図6】同第2実施形態の位相可変回路の具体的な構成を示すブロック図及びその動作を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の第3実施形態の一部を示すブロック図である。
【図8】同第3実施形態の動作を示すタイミングチャートである。
【図9】同第3実施形態における位相可変回路の具体的な構成を示すブロック図である。
【図10】同第3実施形態におけるモータ制御回路内の位相比較器の具体的な構成を示すブロック図及びその動作を示すタイミングチャートである。
【図11】本発明の第4実施形態の一部を示すブロック図である。
【図12】同第4実施形態における位相可変回路の具体的な構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第5実施形態の一部を示すブロック図である。
【図14】同第5実施形態の動作を示すタイミングチャートである。
【図15】同第5実施形態の位相可変回路の具体的な構成を示すブロック図及びその動作を示すタイミングチャートである。
【図16】本発明の第6実施形態の一部を示すブロック図である。
【図17】同第6実施形態の位相可変回路の処理フローの一部を示すフローチャートである。
【図18】同第6実施形態の位相可変回路の構成を示すブロック図及びその動作を示すタイミングチャートである。
【図19】本発明の第7実施形態の一部を示すブロック図である。
【図20】同第7実施形態の動作を示すタイミングチャートである。
【図21】同第7実施形態の位相可変回路の具体的な構成を示すブロック図及びその動作を示すタイミングチャートである。
【図22】同第7実施形態のモータ制御回路内の加算器の具体的な構成を示すブロック図である。
【図23】本発明の第8実施形態の一部を示すブロック図である。
【図24】同第8実施形態の位相可変回路の具体的な構成を示すブロック図及びその動作を示すタイミングチャートである。
【図25】従来のカラープリンタの一例の一部を示す断面図である。
【図26】同カラープリンタの動作を示すタイミングチャートである。
【図27】同カラープリンタの概略を示す断面図である。
【図28】同カラープリンタの一部を拡大して示す概略図である。
【図29】同カラープリンタの一部を拡大して示す斜視図である。
【図30】同カラープリンタの一部を示すブロック図である。
【図31】同カラープリンタの動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 感光体
4 帯電部材
5 レーザ書き込み系ユニット
5A ポリゴンモータ
5B 回転多面鏡
5H センサ
40 マーク検出手段
70、73、76、79、80、90、91、92 位相可変回路
71、74、77、81 モータ制御回路
78 スイッチ

Claims (2)

  1. 感光体と、画像形成信号に対応した露光ビームを回転多面鏡で偏向して前記感光体に照射し複数の画像形成信号に対応する静電潜像を前記感光体に順次に形成する潜像形成手段と、前記感光体上の潜像を顕像化する複数の現像手段と、前記感光体上の顕像が転写される中間転写体と、この中間転写体上のマークを検出するマーク検出手段と、クロック信号に基づいて前記回転多面鏡の回転を制御し同期外れ検知を行う閉ループ制御手段とを有し、前記マーク検出手段のマーク検出タイミングにより前記潜像形成手段に静電潜像の形成を開始させ、前記クロック信号の位相を前記マーク検出手段のマーク検出タイミングに応じて可変するカラー画像形成装置において、前記クロック信号の位相を可変する時に前記閉ループ制御手段で同期外れ検知を行わせない、若しくは同期外れ検知の能力を弱くする第2の手段を備えたことを特徴とするカラー画像形成装置。
  2. 感光体と、画像形成信号に対応した露光ビームを回転多面鏡で偏向して前記感光体に照射し複数の画像形成信号に対応する静電潜像を前記感光体に順次に形成する潜像形成手段と、前記感光体上の潜像を顕像化する複数の現像手段と、前記感光体上の顕像が転写される中間転写体と、この中間転写体上のマークを検出するマーク検出手段と、クロック信号に基づいて前記回転多面鏡の回転を制御する閉ループ制御手段とを有し、前記マーク検出手段のマーク検出タイミングにより前記潜像形成手段に静電潜像の形成を開始させ、前記クロック信号の位相を前記マーク検出手段のマーク検出タイミングに応じて可変するカラー画像形成装置において、前記クロック信号の位相を可変する時に前記閉ループ制御手段のループを一旦開状態にする第3の手段を備え、前記第3の手段は前記閉ループ制御手段のループを開状態にする時間を前記マーク検出手段のマーク検出タイミングに応じて決めることを特徴とするカラー画像形成装置。
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