JP3638863B2 - 自立型チェーン及び該自立型チェーンを用いた直線作動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チェーン自体で垂直方向又は水平方向の荷重を支持することが可能な自立型チェーン及び該自立型チェーンを用いた直線作動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のチェーンはいずれも紐又は縄のように折れ曲がりが可能になっていて、引張り状態で動力伝達を行なうものである。したがって、チェーン自体で垂直方向又は水平方向の荷重を支持して上下移動又は横移動させることができなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、チェーン自体で垂直方向又は水平方向の荷重を支持することが可能な自立型チェーンを提供し、該自立型チェーンを用いることによって、昇降機、テーブルリフター等の上下移動装置を単純な機構で製作することを可能としたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明による自立型チェーンは、定間隔を隔てて相対する一対のチェーンリンクがそれぞれ内リンク片と外リンク片とから成るオフセットタイプに形成され、前記両内リンク片の端部を結合するピンの前記両内リンク片の間に受動ローラが取り付けられており、前記両外リンク片には、隣接するチェーンリンクの前記ピンが遊嵌する長孔が長手方向へ延びて設けられており、また、前記外リンク片の内側壁に、隣接するチェーンリンクの前記内リンク片が係合して保持される受容凹部が前記長孔の下半分を囲むように設けられており、さらに、前記外リンク片の下端に形成された段部が前記隣接するチェーンリンクの外リンク片の上端面に係合して支持されるようになっており、複数組の前記チェーンリンクが互いに離間した状態で折れ曲がり可能で、かつ、前記チェーンリンクが垂直方向又は水平方向に互いに重なり合った状態で折れ曲がらない棒状体を形成することを特徴とする。
【0005】
前記ピンの両端が前記外リンク片より外側方まで延び、該ピンの両端部にガイドローラが取り付けられていることが望ましい。
【0006】
本発明の自立型チェーンを用いた直線作動装置は、自立型チェーンを駆動するスプロケットが、隣接する前記チェーンリンクを互いに離間させた状態で前記受動ローラを歯底に係合して動力伝達が行なわれる歯形を有し、前記自立型チェーンは、前記スプロケットに掛けて水平方向から垂直方向へ作動せしめられ、垂直方向へ作動した前記チェーンリンクが互いに重なり合って折れ曲がらない棒状体を形成し、該棒状体により垂直方向の荷重を支持し、上下移動させるように構成されている。
【0007】
上記の直線作動装置は、垂直方向へ作動した前記チェーンリンクが互いに重なり合って形成される前記棒状体に横方向からの負荷が作用するのを防ぐガイド機構を備えていることが望ましい。
【0008】
本発明による自立型チェーンは、基本的には、垂直方向の荷重を支持し上下動させる直線作動装置に用いられるものであるが、水平方向の荷重を受けて押動させることも可能である。しかし、水平方向へ引張る場合は、隣接するチェーンリンクが互いに離間した状態になった後に引張力が伝達されることになる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1及び図2は、本発明による自立型チェーンのチェーン単体を示している。定間隔を隔てて相対する一対のチェーンリンク1,1はそれぞれ、内リンク片2と外リンク片3とかな成るオフセットタイプに形成されている。両内リンク片2,2を結合するピン4は両内リンク片2,2の端部を貫通して外側方へ延び、両内リンク片2,2の間においてピン4に受動ローラ5が回転自在に嵌装され、該受動ローラ5によって両内リンク片2,2の間が定間隔に保たれている。両内リンク片2,2の下端部は受動ローラ5の半径とほぼ等しい半円形に形成されている。また、両外側方へ延びたピン4の両端部にガイドローラ6,6が取り付けられている。該ガイドローラ6,6は、後述するように隣接するチェーンリンク1,1の両外リンク片3,3をピン4に嵌合して連結したのち、ピン4の両端部に取り付けられるものである。
【0011】
両外リンク片3,3は、内リンク片2,2に連続する壁部7,7を有し、該壁部7,7と一体をなしその外側にオフセットして設けられており、隣接するチェーンリンク1,1のピン4が摺動自在に遊嵌する長孔8,8が設けられている。長孔8,8は長手方向へ延びている。そして、壁部7,7には、隣接するチェーンリンク1,1の両内リンク片2,2が係合して密接状態に保持される受容凹部9,9が長孔8,8の内側下半分を囲むように設けられている。また、外リンク片3,3の下端に形成される段部10,10が上端面11,11と平行をなす平坦面に形成されていて、隣接するチェーンリンク1,1の両外リンク片3,3の上端面11,11に両段部10,10が係合して支持される構造になっている(図3及び図4参照)。さらに、両外リンク片3,3は連結板12で互いに連結され、定間隔に保たれている。
【0012】
図3ないし図5は、上記のような構造を有するチェーン単体を連結して構成した自立型チェーン15を用いた本発明による直線作動装置30を示している。
【0013】
自立型チェーン15は、各チェーン単体の両内リンク片2,2を隣接するチェーンリンク1,1の両外リンク片3,3の受容凹部9,9に係合させた状態で、両内リンク片2,2を結合するピン4を両外リンク片3,3の長孔8,8に貫通し、その両端突出部にガイドローラ6,6を取り付けて、隣接するチェーン単体がピン4を介して互いに連結されている。そして、隣接するチェーン単体のチェーンリンク1,1が互いに離間した状態で折れ曲がり可能で、かつ、隣接する各チェーン単体のチェーンリンク1,1が垂直方向又は水平方向に互いに密接して重なり合った状態で折れ曲がらない棒状体を形成するようになっている。
【0014】
自立型チェーン15に動力を伝達するスプロケット20は、図3に示すような歯形21を有し、各チェーン単体の受動ローラ5が係合する歯底22から歯先23まで滑らかな曲面で形成されている。スプロケット20の回転軸24は、図5に示すように、軸受25,25を介してケーシング26に軸支され、図示しない回転駆動装置に連動連結して、スプロケット20を正逆方向へ回転させるようになっている。スプロケット20に掛けた自立型チェーン15は、図3に示すように、水平方向から垂直方向へ90度方向転換して上下移動せしめられ、垂直方向に延びる自立型チェーン15の最前端に位置するチェーン単体の上端面11,11に荷重を受ける支持板16が取り付けられている。
【0015】
そして、スプロケット20に掛けた自立型チェーン15のうち水平方向に配設された部分は荷重を受ける役割は果さず、隣接するチェーン単体のチェーンリンク1,1が互いに離間した折れ曲がり可能な状態でその受動ローラ5が歯形21の歯底22に係合して動力が伝達され、水平方向から垂直方向へ方向転換される。この水平方向から垂直方向へ方向転換される過程で隣接する各チェーン単体のチェーンリンク1,1が徐々に接近し、垂直方向に方向転換されると、隣接するチェーン単体のチェーンリンク1,1に密接して重なり合った状態となり、曲がらない棒状体15Aが形成される。そして、該棒状体15A上端の支持板16で垂直荷重を支持して上下移動させることが可能となる。
【0016】
上記した自立型チェーン15により形成される棒状体15Aは垂直方向の荷重を受ける機構であって、横方向からの外力を受けることができないので、具体的な実施の形態では横方向から作用する外力を防ぐガイド機構を備えることが望ましい。
【0017】
図6及び図7は、上述した本発明の直線作動装置30をテーブルリフター31の駆動装置に採用した実施例を示している。
【0018】
基台32に対して平行に配置された昇降テーブル33は、中央部分が交叉してピン36により結合された同長のリンク34,35を2組用いて、基台32に上下方向へ平行移動自在に支持されている。リンク34,35の一端はそれぞれ枢支ピン37,38を介して基台32と昇降テーブル33に枢着連結され、他端に枢着したローラ39,40がそれぞれ基台32及び昇降テーブル33に固定した案内レール41及び42の案内溝41a及び42aに沿って摺動自在に連結されている。
【0019】
直線作動装置30は基台32に設置され、自立型チェーン15の支持板16が昇降テーブル33の下面に固定されている。また、回転軸24が基台32に塔載した回転駆動装置43に連動連結され、正逆回転せしめられるようになっている。図中、44は自立型チェーン15の水平方向へ延びる部分を案内支持する案内レールであって、基台32に固定されている。
【0020】
回転駆動装置43によりスプロケット20を正逆回転させ、該スプロケット20により、垂直方向へ移動せしめられた自立型チェーン15の各チェーン単体が互いに密接状態に重なり合って形成される折れ曲がらない棒状体15Aを伸縮させると、昇降テーブル33が図6の実線で示す上昇位置から仮想線で示す下降位置の間を上下移動する。このとき、昇降テーブル33が基台32に対して平行リンク機構34〜42を介して支持されているので、自立型チェーン15の棒状体15Aに横方向からの荷重が作用することはない。
【0021】
図8ないし図11は、昇降舞台50の昇降手段として4台の直線作動装置30を用いた実施例を示している。4台の直線作動装置30は、図9に示されているように、昇降舞台50の下方四隅に設置され、4つの支持板16で昇降舞台50を支持するようになっている。また、各直線作動装置30の自立型チェーン15の水平方向へ延びる部分を案内支持する案内レール44が平行に配設されている。各直線作動装置30の回転軸24は、1台の電動モータ51により、ベベルギヤボックス52、中間伝動軸53,53、該中間伝動軸53,53が連動連結されたウォーム減速機54,54及びウォーム減速機54,54の出力軸に連動連結された4本の伝動軸55により同期回転せしめられるようになっている。また、昇降舞台50の底部四隅に案内体56が設けられている。各案内体56は四隅に立設した支柱57に沿って上下方向へ案内支持され、昇降舞台50に横方向からの荷重が作用するのを防止している。
【0022】
4台の直線作動装置30のスプロケット20を同期的に正逆回転させ、該スプロケット20により、垂直方向へ移動した自立型チェーン15の各チェーン単体が互いに密接状態に重なり合って形成される折れ曲がらない棒状体15Aを伸縮させると、昇降舞台50が図8の実線で示す上昇位置から仮想線で示す下降位置の間を上下移動する。このとき、昇降舞台50の四隅が案内体56を介して支柱57によって支持されているので、自立型チェーン15の棒状体15Aに横方向からの荷重が作用することはない。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による自立型チェーンは、チェーンリンクが互いに垂直方向又は水平方向に重なり合って折れ曲がらない棒状体を形成するので、チェーン自体で垂直方向又は水平方向の荷重を支持することができる。したがって、本発明の自立型チェーンを用いれば昇降機・テーブルリフター等の駆動手段である直線作動装置が製作できる。
【0024】
また、本発明の自立チェーンを用いた請求項3〜5に係る発明の直線作動装置は、従来の直線作動装置に採用されているシリンダ装置やねじジャッキに比べて、ストロークを任意に変更できるという極めてすぐれた利点がある。しかも、構造が単純である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による自立型チェーンのチェーン単体を上方から見た斜視図である。
【図2】本発明による自立型チェーンのチェーン単体を下方から見た斜視図である。
【図3】本発明の自立型チェーンを用いた直線作動装置要部の一部縦断正面図である。
【図4】同上の一部縦断側面図である。
【図5】図3の5−5線に沿う断面図である。
【図6】本発明による直線作動装置を駆動手段に使用したテーブルリフターの正面図である。
【図7】同右側面図である。
【図8】本発明による直線作動装置を駆動手段に使用した昇降舞台装置の上昇位置を示す正面図である。
【図9】同直線作動装置の平面図である。
【図10】同昇降舞台装置の下降位置を示す正面図である。
【図11】同昇降舞台装置の下降位置を示す側面図である。
【符号の説明】
1 チェーンリンク
2 内リンク片
3 外リンク片
4 ピン
5 受動ローラ
6 ガイドローラ
7 壁部
8 長孔
9 受容凹部
10 段部
11 上端面
15 自立型チェーン
15A 棒状体
20 スプロケット
21 歯形
22 歯底
23 歯先
24 回転軸
30 直線作動装置
31 テーブルリフター
43 回転駆動装置
50 昇降舞台

Claims (5)

  1. 定間隔を隔てて相対する一対のチェーンリンクがそれぞれ、内リンク片と外リンク片とから成るオフセットタイプに形成され、
    前記両内リンク片の端部を結合するピンの前記両内リンク片の間に受動ローラが取り付けられており、
    前記両外リンク片には、隣接するチェーンリンクの前記ピンが遊嵌する長孔が長手方向へ延びて設けられており、また、前記外リンク片の内側壁に、隣接するチェーンリンクの前記内リンク片が係合して保持される受容凹部が前記長孔の下半分を囲むように設けられており、さらに、前記外リンク片の下端に形成された段部が前記隣接するチェーンリンクの外リンク片の上端面に係合して支持されるようになっており、
    複数組の前記チェーンリンクが互いに離間した状態で折れ曲がり可能で、かつ、前記チェーンリンクが垂直方向又は水平方向に互いに重なり合った状態で折れ曲がらない棒状体を形成することを特徴とする自立型チェーン。
  2. 前記ピンの両端が前記外リンク片より外側方まで延び、該ピンの両端部にガイドローラが取り付けられている請求項1記載の自立型チェーン。
  3. 定間隔を隔てて相対する一対のチェーンリンクがそれぞれ内リンク片と外リンク片とから成るオフセットタイプに形成され、
    前記両内リンク片の端部を結合するピンの前記両内リンク片の間に受動ローラが取り付けられており、
    前記両外リンク片には、隣接するチェーンリンクの前記ピンが遊嵌する長孔が長手方向へ延びて設けられており、また、前記外リンク片の内側壁に、隣接するチェーンリンクの前記内リンク片が係合して保持される受容凹部が前記長孔の下半分を囲むように設けられており、さらに、前記外リンク片の下端に形成された段部が前記隣接するチェーンリンクの外リンク片の上端面に係合して支持されるようになっており、
    複数組の前記チェーンリンクが互いに離間した状態で折れ曲がり可能で、かつ、前記チェーンリンクが垂直方向又は水平方向に互いに重なり合った状態で折れ曲がらない棒状体を形成することを特徴とする自立型チェーンを駆動するスプロケットが、隣接する前記チェーンリンクを互いに離間させた状態で前記受動ローラを歯底に係合して動力伝達が行なわれる歯形を有し、
    前記自立型チェーンは、前記スプロケットに掛けて水平方向から垂直方向へ作動せしめられ、
    垂直方向へ作動した前記チェーンリンクが互いに重なり合って折れ曲がらない棒状体を形成し、該棒状体により垂直方向の荷重を支持し、上下移動させるように構成されている自立型チェーンを用いた直線作動装置。
  4. 垂直方向へ作動した前記チェーンリンクが互いに重なり合って形成される前記棒状体に横方向からの負荷が作用するのを防ぐガイド機構を備えている請求項3記載の自立型チェーンを用いた直線作動装置。
  5. 前記自立型チェーンとこれを駆動する前記スプロケットが複数組並設され、複数の前記スプロケットが同期的に回転するように構成されている請求項3又は4記載の自立型チェーンを用いた直線作動装置。
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