JP3638856B2 - エアゾール容器用噴射部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、押し下げ操作される噴射ボタンと、その両側を包囲し、かつその高さと同一もしくはより高く延びて互いに対向する両側一対の側壁部とエアゾール容器上端部に装着される基部とを有する本体と、噴射を押し下げ操作位置にロックして残留内容物を噴射させる機構を有するキャップとからなるエアゾール容器用噴射部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平11−301756号公報によれば、噴射ボタンにボ−ルを内蔵させ、使用後にエアゾ−ル容器を倒立させて噴射ボタンを押すと、自重で落下したボ−ルで噴射ボタンが押し下げ操作位置にロックされることにより、残留した噴射剤或は原液を排出させるガス抜き機能を備えた噴射ボタンが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これにより、道具無しで残留した内容物を排出できるが、噴射ボタンで押し下げ操作されるエアゾ−ル容器に内蔵のバルブが正倒立式でないと、ガスのみ排出されて原液の排出は不可能となる。また、使用中にエアゾ−ル容器を倒立させた状態で、噴射ボタンが押されると排出状態にロックされる恐れもある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みて、噴射ボタンから残留内容物を非倒立状態でも排出させ得る別体のキャップが付属したエアゾール容器用噴射部材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この目的を達成するために、押し下げ操作される噴射ボタンと、その両側を包囲し、かつその高さと同一もしくはより高く延びて互いに対向する両側一対の側壁部とエアゾール容器上端部に装着される基部とを有する本体と、噴射ボタンを押し下げ操作位置にロックして残留内容物を噴射させる機構を有するキャップとからなるエアゾール容器用噴射部材あって、噴射ボタンと本体の側壁部とが切断可能な連結部で隙間を置いて連結された状態で一体成形されており、キャップは、側壁部の外周面に着脱自在に嵌合する周壁を備えると共に、その高さ方向の中間位置に周壁に対して直交方向へ中間壁が形成され、この中間壁の一方の面に、噴射ボタンを押し下げ操作する操作突起と、両側一対の側壁部の内周面にそれぞれ形成された係入溝に係止される爪を曲げ弾性を呈する脚部の先端に備える両側一対の係止爪と、周壁の側壁部に対する回転位置を規制するように、対向する内周面にそれぞれ沿って上方から挿入される両側一対の位置決め壁とを有し、爪が内周面の上縁に上方から当接して両側の脚部を互いに接近する方向へ撓ませた状態で係入溝に係入するように、爪の先端面が内周面へ向けて上昇する傾斜面として形成され、操作突起の先端が、爪が係入溝に係止された状態で噴射ボタンを押し下げ操作し得る高さに位置設定されていることを特徴としている。
【0006】
連結部は、噴射ボタンをエアゾール容器へ装着する際に押し下げ操作可能にするように切断される。エアゾール容器の使用後に、位置決め壁を側壁部の両側の内周面にそれぞれ沿って挿入させることにより回転位置を決めて、キャップを下方へ押すと、係止爪の爪が内周面の上縁に当たって脚部を撓ませて内周面を滑動して係入溝に係入する。この周壁の側壁部の外周面への嵌合過程で、操作突起が噴射ボタンを押し下げ操作して噴射位置にロックする。これにより、噴射剤としての圧縮ガス又は液化ガスが、残留する原液を噴射ボタンから噴射させる。噴射剤が余分に残留する場合でもガス状態で噴射ボタンから噴射される。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1乃至図4を基に本発明の実施の形態による殺虫剤が充填されたエアゾール容器用噴射部材を説明する。この噴射部材は、押し下げ操作される噴射ボタン20と、エアゾール容器1の上端部に装着されるマウンティングキャップ2に嵌着されたキャップ状の基部11及びこの基部から上方へ延びて噴射ボタン20の両側を包囲する両側一対の側壁部12とを有する本体10と、噴射ボタン20を押し下げ操作位置にロックして残留内容物を噴射させる機構を有するキャップ30とより構成される。
【0008】
図2に示すように、両側の側壁部12の外周面14は同一円上の対向する円弧状であり、噴射ボタン20よりも僅かに高く延びている。この噴射ボタンは、ステム3に連通する流路23aを介して内容物の噴射を行う横向きのノズル23を備えると共に、その噴射口21の周囲に拡散制限面24が凹状に形成されている。また、この噴射ボタンは、両側の側壁部12の基端部にそれぞれ隙間16を置いて四方の連結部25で連結された状態に合成樹脂により一体成形され、エアゾール容器1への装着時に連結部25は切断される。これにより、噴射ボタン20が押し下げ操作されると、ステム3のステム孔が開放され、対向する側壁部12間の隙間18から噴射が行われると共に、押し下げ操作が解除されると、ステム3に付属の復帰ばねにより通常位置に上動する。
【0009】
このような本体10及び噴射ボタン20の構成は基本的には周知であるが、側壁部12の対向する両側の内周面13には、以下に説明するキャップ30用の係入溝29が形成されている。
【0010】
即ち、キャップ30は、図3に示すように、噴射ボタン20が装着されたエアゾール容器1の付属品として形成され、側壁部12の外周面14に円形の内周面で着脱自在に嵌合する周壁31を備えると共に、その高さ方向の中間位置には周壁31に対して中間壁32が隔壁として形成されている。この中間壁の一方の面には、噴射ボタン20を中心部で押し下げ操作するパイプ状の操作突起33と、係入溝29に係止されるように、切欠き部34dを周囲に備えた両側一対の係止爪34と、側壁部12に対する周壁31の回転位置を規制するように、側壁部12の凹状の両側の内周面13の互いに最も接近した前端縁13aにそれぞれ沿って上方から隙間18に挿入される平行な両側一対の位置決め壁35とが形成されている。
【0011】
係止爪34は、位置決め壁35の外側方において凹状内周面13の前後方向の中間位置に沿った位置を占めている。また、係止爪34は爪34aを曲げ弾性を呈する脚部34bの先端に備えると共に、爪34aの先端面34cは内周面13の上縁に当接して両側の脚部34bを互いの接近方向へ撓ませるように、内周面13へ向けて上昇する傾斜面として形成されている。これにより、キャップ30が側壁部12の外周面14に嵌合される過程で、爪34aは内周面13を滑動して係入溝29に係止される。さらに、操作突起33の先端は、爪34aが係入溝29に係止された状態で噴射ボタン20を押し下げ操作させ得る高さに位置設定されている。
【0012】
中間壁32の他方の面には、「ガス抜き済み」の文字が表示されると共に、外周面14に形成されている筋目状ローレットに沿って係合するための筋状の突起39が分散して形成されている。
【0013】
使用前の状態では、キャップ30は、図4に示すように、操作突起33が上方へ向けられてローレット付き外周面14に突起39が係合して側壁部12に嵌合され、さらにシュリンク包装が行われている。使用時にはキャップ30を噴射ボタン20から外して保管しておく。この噴射ボタンを押し下げ操作すると、ステム3から内容物が放出され、ノズル23から噴射される。
【0014】
使用が繰返されて噴射圧又は噴射量が低下した時点で、或はエアゾールの使用が不必要になった時点で、キャップ30を保管場所から持ってきて、図1に示すように、その位置決め壁35を側壁部12間の隙間18に沿って挿入させて回転位置を決めて下方へ押すと、係止爪34の爪34aが脚部34bを撓ませて内周面13を滑動して係入溝29に係入する。この過程で、操作突起33が噴射ボタン20を押し下げ操作し、押し下げ操作位置にロックする。
【0015】
これにより、残留する原液が噴射剤で噴射される。残留する大部分が圧縮ガス又は液化ガスの噴射剤であってもガス状に噴射され、エアゾール容器1の内容物は空状態になる。このような操作を行える状態でのキャップ30の表面には、「ガス抜き済み」が表示されていることにより、第三者でも空であることが確認される。
【0016】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、ガス抜き用のキャップが別途に保管可能に別体として付属することにより、使用中の誤操作による排出が回避される。エアゾール容器の非倒立状態でキャップを噴射ボタンに嵌合させて押し下げるだけの簡単な操作で残留内容物が排出される。請求項2の発明によれば、キャップ面を利用してガス抜き済みである旨を明示可能であり、第三者であっても使用済み容器を安心して処理できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による噴射部材のガス抜き状態を示すもので、同図Aはその一部断面にした正面図、同図Bは断面図である。
【図2】同噴射部材の噴射ボタンを示すもので、同図Aは平面図、同図Bは断面図である。
【図3】同噴射部材のキャップを示すもので、同図Aは平面図、同図Bは断面図である。
【図4】同噴射部材の使用前の状態の一部断面にした正面図である。
【符号の説明】
1 エアゾ−ル容器
2 マウンティングキャップ
3 ステム
10 本体
12 側壁部
20 噴射ボタン
13 側壁部の内周面
14 側壁部の外周面
30 キャップ
29 係入溝
31 周壁
32 中間壁
33 操作突起
34 係止爪
35 位置決め壁
34a 爪
34b 脚部
34c 爪の先端面

Claims (2)

  1. 押し下げ操作される噴射ボタンと、その両側を包囲し、かつその高さと同一もしくはより高く延びて互いに対向する両側一対の側壁部とエアゾール容器上端部に装着される基部とを有する本体と、前記噴射ボタンを押し下げ操作位置にロックして残留内容物を噴射させる機構を有するキャップとからなるエアゾール容器用噴射部材あって、
    前記噴射ボタンと前記本体の前記側壁部とが切断可能な連結部で隙間を置いて連結された状態で一体成形されており、
    前記キャップは、前記側壁部の外周面に着脱自在に嵌合する周壁を備えると共に、その高さ方向の中間位置に前記周壁に対して直交方向へ中間壁が形成され、
    この中間壁の一方の面に、前記噴射ボタンを押し下げ操作する操作突起と、両側一対の前記側壁部の内周面にそれぞれ形成された係入溝に係止される爪を曲げ弾性を呈する脚部の先端に備える両側一対の係止爪と、前記周壁の前記側壁部に対する回転位置を規制するように、対向する前記内周面にそれぞれ沿って上方から挿入される両側一対の位置決め壁とを有し、
    前記爪が前記内周面の上縁に上方から当接して両側の前記脚部を互いに接近する方向へ撓ませた状態で前記係入溝に係入するように、前記爪の先端面が前記内周面へ向けて上昇する傾斜面として形成され、
    前記操作突起の先端が、前記爪が前記係入溝に係止された状態で前記噴射ボタンを押し下げ操作し得る高さに位置設定されていることを特徴とするエアゾール容器用噴射部材。
  2. 中間壁の他方の面に、ガス抜き済みを意味する文字が表示されていることを特徴とする請求項1記載のエアゾール容器用噴射部材。
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