JP3638275B2 - 眼科画像処理システム - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、眼科画像の指定された部分を転送可能な眼科画像処理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
眼底カメラ等の眼科装置においては、エリアCCD等の固体撮像素子を用いて眼科像を電子撮影し、このエリアCCDからの画像データを演算制御回路によりスチルビデオ装置やフロッピー(登録商標)ディスク装置,光ディスク装置等の記録装置に転送して、この転送した画像データをスチルビデオディスク,フロッピーディスク,光ディスク等の記録媒体に記録するようにしたものが考えられている。
【0003】
この眼底カメラでは、撮影された眼底像が左右眼のいずれのものであるかを区別するために、図(a)に示した様に、円形孔a及びその周縁部の特定位置に切欠マークbを設けたマスクMが撮影光学系の途中に配置されている。
【0004】
そして、このマスクMを用いて撮像した眼底画像Gは、図(b)に示した様に、エリアCCD60の中央に円形に結像される。しかも、このマスクMを介して撮影された眼底像Gは、演算制御回路(図示せず)によりモニターテレビの画面の中央に円形に映し出されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エリアCCD60からの画像データには、図(b)に示した様な円形の眼底像Gのデータ及びその周囲の余白部Hのデータが含まれている。これらのデータのうち記録・再生に必要なものは眼底像Gのデータである。
【0006】
そこで、この発明は、蛍光による眼底血管像の必要なデータを記録してデータ検索に用いることができる眼科画像処理システムを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、請求項1の発明は、眼底像が含まれるディジタル化された画像データを入力する画像入力手段と、前記画像入力手段からの画像データを処理して転送する画像データ転送手段と、前記画像データ転送手段から転送される前記画像データを画像処理する画像処理手段と、前記画像処理手段からの画像を出力する画像出力手段を有する眼科画像処理システムにおいて、前記眼底像の眼底血管から発する蛍光がある部分或いは前記眼底血管からの洩れがあって蛍光を発する部分のアドレスデータ及び光量を求める演算制御回路と、前記演算制御回路により求めた前記蛍光がある部分或いは前記蛍光を発する部分のアドレスデータ及び光量をデータ検索のために記録させる情報記録・再生装置を備えることを眼科画像処理システムとしたことを特徴とする。
【0008】
【実施例
1は眼底カメラ(撮影装置)の光学系を示したものである。この図1において、1は眼底カメラの照明光学系、2は眼底カメラの観察・撮影光学系、3は被検眼である。
[照明光学系]
照明光学系1は、観察照明光学系と撮影照明光学系を有する。
【0009】
この撮影照明光学系は、キセノンランプ6,コンデンサレンズ7,小径遮光板8,リング状絞り9,小径遮光板10,リレーレンズ11,反射ミラー12,リレーレンズ13,黒点板14,リレーレンズ15,孔空きミラー16,対物レンズ17等の光学部品をこの順に有する。そして、キセノンランプ6からの撮影照明光は、コンデンサーレンズ7から対物レンズ17までの光学部品を介して被検眼3の眼底Efに投影される。しかも、キセノンランプ6とコンデンサレンズ7との間には、可視蛍光用のエキサイタフィルターE1と赤外蛍光用のE2が挿脱可能に設けられている。
【0010】
また、観察照明光学系は、観察用光源としてのハロゲンランプ4,コンデンサレンズ5,コンデンサレンズ7から対物レンズ17までの光学部品を有する。そして、ハロゲンランプ4からの観察照明光はコンデンサレンズ7から対物レンズ17までの光学部品を介して眼底Efに投影される。
【0011】
なお、小径遮光板8は角膜25と共役であり、リングスリット9は瞳孔28と共役であり、小径遮光板10は水晶体26の後面26aと共役、黒点板14は対物レンズ17の表面での反射光が孔空きミラー16の孔部16aを通過しないための遮光物である。
[観察・撮影光学系]
観察・撮影光学系2は、被検眼3に臨む対物レンズ17,合焦レンズ19,結像レンズ20,ミラー21,眼底Efと共役なフィールドレンズ22,反射ミラー23,リレーレンズ24等を有する。しかも、孔空きミラー16と合焦レンズ19との間には、可視蛍光用のバリヤフィルターB1と赤外蛍光用のバリヤフィルターB2が挿脱可能に配設されている。
【0012】
そして、被検眼3の眼底Efからの反射光による眼底像が、対物レンズ17から結像レンズ20までの光学部品、及び、ミラー21,眼底Efと共役なフィールドレンズ22,反射ミラー23,リレーレンズ24,マスク36を介してテレビカメラ30のエリアCCD30a(画像入力手段,撮像手段)に結像される。このマスク36には、図5(a)に示すように中央に位置させた円形孔36a及び円形孔36aの周縁に位置させた切欠マーク36bが形成されている。
【0013】
エリアCCD30aからの画像信号は、通常、後述するカメラ制御回路40の演算制御回路41,切換スイッチ41aの接点a,D/A変換器41bを介して画像出力手段としてのモニターテレビ31(画像表示手段)に入力されて、モニターテレビ31に眼底像がリアルタイムで映し出される(図2参照)。尚、この切換スイッチ41a,D/A変換器41bに相当する回路を内蔵するタイプのモニターテレビをモニターテレビ31に代えて使用することもできる。
[固視目標光学系]
固視目標光学系Aは、結像レンズ20とミラー21との間に挿脱自在に配設されたハーフミラー32,固視目標としての小孔33aを有し且つ眼底Efと共役に配置された固視目標用のマスク33,小孔33aに臨ませて配設された発光ダイオード等の固視目標用光源34を有する。尚、マスク33及び固視目標用光源34は、パルスモータ等で電動駆動制御されるXーYテーブル(図示略)等の固視目標駆動装置35に装着されていて、撮影される被検眼が左眼であるか、右眼であるかを装置の位置を左右眼検知手段35´にて検知して、図2に示した様に、乳頭71と黄斑部72が画面中心Oから略等距離の位置に位置するように移動される。
[カメラ制御回路40]
カメラ制御回路40は、図4に示した様に演算制御回路41を画像データ転送手段として有する。この演算制御回路41には、撮影スイッチ42からのON信号,キーボード等の撮影条件入力装置43からの撮影条件情報信号,マウスやキーボード或はライトペン等の撮影位置入力装置(撮影範囲指定手段)44からの撮影位置信号等が入力されるようになっている。尚、撮影スイッチ42には、一段押し(半押し)操作でONして制御信号を出力すると共に、二段押し(全押し)操作で撮影開始信号を出力するものを用いる。
【0014】
また、演算制御回路41には、フレームメモリ45,画像処理手段としての画像処理回路46,合焦レンズ駆動モータ47´,上記光学系を有するカメラ本体の左右の位置から観察・撮影される被検眼の左右の別を検出する左右眼検知手段35´,発光制御回路49が接続されている。
【0015】
更に、演算制御回路41には、ハーフミラー32を撮影光路に対して挿脱するソレノイド等のミラー駆動手段51,観察・撮影モード時のモード設定スイッチ52,RAM等のメモリ53,ROM等のメモリ54,光ディスク装置やフロッピーディスク装置等の情報記録・再生装置55(画像入力手段)等が接続されていると共に、エリアCCD30aおよびモニターテレビ31が接続されている。
【0016】
しかも、演算制御回路41は、撮像手段であるエリアCCD30aで撮影された眼底画像(医用電子画像)を情報記録・再生装置55を介して光ディスクやフロッピーディスク等の記録媒体に記録させると共に、この医用電子画像をモニターテレビ31(電子画像表示装置)の画面31A(表示画面)に映し出させるようになっている。
【0017】
次に、この演算制御回路41の撮影・記録・再生等におけるデータ転送機能について説明する。
(1)新規撮影・記録及びその再生[観察]
装置の図示しない電源をONさせると、演算制御回路41はハロゲンランプ4を点灯させる。この状態で、被検眼眼底Efに対するアライメント作業と合焦作業を行い、この作業が完了すると、ハロゲンランプ4からの照明光は照明光学系1を介して被検眼3の眼底Efに投影されて反射する。
【0018】
また、左右眼検知手段35´からは現在観察している眼底が左右のいずれであるかを識別するための信号が出力され、演算制御回路41はこの識別信号から左右の識別データがメモリ53に記憶される。
【0019】
一方、被検眼3の眼底Efからの反射光は、観察・撮影光学系2の対物レンズ17から結像レンズ20までの光学部品、及び、ミラー21,眼底Efと共役なマスク36とフィールドレンズ22,反射ミラー23,リレーレンズ24等を介してテレビカメラ30のエリアCCD30a(撮像手段)に案内される。
【0020】
これにより、眼底Efの像(眼底像)37が図5(b)の如くエリアCCD30aに結像される。この眼底像37は、図5(a)に示したマスク36の円形孔36aに対応する円形部分37aと、切欠マーク36bに対応する部分37bを有する。しかも、エリアCCD30aの眼底像37の周囲にはマスク36による余白部38が生じる。
【0021】
そして、演算制御回路41は、左右眼検知手段35´からの左右眼識別のための信号が入力されると、最初の1フレーム分の画像データを構築する際に、エリアCCD30aの全体を走査して、眼底像37及び余白部38を含む画像データを1フレーム分だけ読み取り、この画像データをフレームメモリ45に記憶させる。
【0022】
この際、演算制御回路41は、エリアCCD30aの各画素のアドレスと光量データ、又は、フレームメモリ45のデータから眼底像37と余白部38との境界線39のアドレスデータを光量差から演算により求め、この境界線39のアドレスデータを上記左右眼の識別データに対応させてメモリ53に記憶させる。このようにして境界線39を求めることにより、転送すべき眼科画像すなわち眼底像データの存在する範囲が境界線39の内側であると決定される。
【0023】
この境界線39を求める作業は観察時の最初の画像の取り込みの際に一度行われるだけで、次からはこの境界線39のデータが画像の転送に際して用いられる。尚、この境界線39のデータは、予め情報記録・再生装置55により光ディスク,フロッピーディスク,スチルビデオディスク等の記録媒体に記録しておいて、このデータを利用するようにすることもできる。
【0024】
そして、演算制御回路41は、余白部36の内側の眼底像データのみをフレームメモリ45から画像処理回路46に転送して、眼底像37を画像処理回路46を介してモニターテレビ31に映し出させる。
【0025】
この後、演算制御回路41は、エリアCCD30aの画像データを読み取ってフレームメモリ45に転送し、1フレーム分の画像をフレームメモリ45に構築する。そして、演算制御回路41は、フレームメモリ45の眼底像データのみ、即ち境界線39内の眼底像データ(眼科画像データ)のみを画像処理回路46に転送して、眼底像37を図2の如く画像処理回路46を介してモニターテレビ31に映し出させる。
【0026】
尚、マスク36により撮影された画像の上記境界線39のアドレスデータが分かっている場合には、このデータを予めROM等に記憶させておくことで、最初の1フレームの画像読み取りも、眼底像37のみでよい。この場合、マスク36の切欠は左右眼で異なるので、左右眼に対応する境界線39のデータをROMに予め左右眼検知手段35´からの識別信号に対応させて記憶させておく。
【0027】
この様な観察時には、切換スイッチ41aが接点a側になっている。そして、エリアCCD30aからのデジタル信号は、演算制御回路41,切換スイッチ41aを介してD/A変換器41bに入力されてアナログ信号に変換された後、モニターテレビ31に入力される。これにより、眼底像がリアルタイムでモニターテレビ31に映し出される。
[可視カラー撮影]
また、この様な観察後、切換スイッチ41aを接点b側に切換える一方、各光学系に図示しない各種フィルターを配設した後、キセノンランプ6を発行制御させ、このキセノンランプ6からの撮影光を照明光学系1を介して眼底Efに案内させると共に、この眼底Efからの反射光を観察・撮影光学系2を介してエリアCCD30aに案内することで、眼底撮影が行われる。
【0028】
そして、このエリアCCD30aのディジタル画像信号は、制御回路41,切換スイッチ41aを介してモニターテレビ31に入力され、モニターテレビ31にディジタル眼底像が映し出される。この眼底撮影時も画像の転送は上記と同様に、境界線39内の眼底像のみとなる。
【0029】
尚、眼底写し込み時には、マスクで覆われた部分、即ち余白部38に撮影データ110が写し込まれているが、この撮影データ110も上記境界線39内の眼科画像と同様な画像処理で転送するようにしてもよい。
[蛍光撮影]
また、眼底Efの可視蛍光撮影時には、可視蛍光用のフルオレスセンを患者に静注する一方、上述した観察後に切換スイッチ41aを接点b側に切換え、可視蛍光用のエキサイタフィルターE1をキセノンランプ6とコンデンサーレンズ7との間の光路に挿入すると共に、とバリヤフィルターB1を孔空きミラー16と合焦レンズ19との間の光路に挿入する。
【0030】
次に、キセノンランプ6を発行制御させると、キセノンランプ6からの撮影光の内のフルオレスセンを励起する波長の可視励起光が照明光学系1及びエキサイタフィルターE1を介して眼底Efに案内され、眼底Efを照明する。
【0031】
この可視励起光は眼底Efの血管内のフルオレスセンに吸収されてフルオレスセンを励起する。これにより、フルオレスセンからは可視蛍光が発光され、この可視蛍光は観察・撮影光学系2を介してエリアCCD30aに案内される。これにより、エリアCCD30aに可視蛍光による眼底血管像が図3(a)〜(c)の如く結像され、眼底血管の可視蛍光撮影が行われる。
【0032】
この図3において、(a)は蛍光撮影開始から比較的早期の眼底血管像で、(b),(c)になるほど蛍光撮影開始から時間が経過している状態を示す。しかも、図3(a)の線71´で示した内部は乳頭部71の部分であるが、画像的には線71´の周囲よりも暗くなっている。また、図3(b)においては、乳頭部71にも毛細血管からの蛍光剤が達して蛍光を発していて、乳頭部71がその周囲よりも比較的明るくなっている。更に、図3(c)においては、乳頭部71に達する蛍光剤の量が眼底血管像100よりも多くなって、乳頭部71の蛍光量が眼底血管像100の乳頭部71内の部分の蛍光量よりも多くなっている。
【0033】
また、図3中、(a1)は(a)のA−A線に沿う乳頭部付近の蛍光量を示し、(b1)は(b)のB−B線に沿う乳頭部付近の蛍光量を示し、(c1)は(c)のC−C線に沿う乳頭部付近の蛍光量を示し、(b2)は(b)における新生血管部100aの部分の蛍光量を示し、(c2)は(c)におけるレーザー凝固部101の周囲の水泡部102からの蛍光量を示す説明図である。図中、100aは眼底における新生血管からの出血部を示したものである。また、(a)〜(c)の乳頭部71,眼底血管像38,水泡部102,新生血管からの出血部100a等に付した符号V1〜V11は(a1)〜(c1),(b2),(c2)等のV1〜V11に対応する部分を示したものである。
【0034】
また、眼底血管の可視蛍光撮影の際、エリアCCD30aのディジタル画像信号は、制御回路41,切換スイッチ41aを介してモニターテレビ31に入力され、モニターテレビ31に可視蛍光像37´が図2(b)のごとく映し出される。図2(b)中、100は可視蛍光像の眼底血管像である。
【0035】
この眼底血管撮影時も、エリアCCD30aからの画像の転送は、上記と同様に境界線39内の眼底血管像100のみとなる。しかも、境界線39のアドレスは分かっているので、この画像データの転送に際しては境界線39内のみを走査して、エリアCCD30aの画素のうち光量が所定レベルL1以上のアドレスの画素のアドレスデータ及び光量を演算制御回路41に転送する。そして、この演算制御回路41は、転送されたデータをもとにフレームメモリ45に可視蛍光による眼底血管像100を構築させ、この眼底血管像100をモニターテレビ31に映し出させる。
【0036】
ここで、この転送に際しては、エリアCCD30aの画素のうち光量が所定レベルL1以上のアドレスの画素のアドレスデータの値を「1」とすると共に、演算制御回路41に転送して、所定レベルL1未満の部分の値は「0」として、単に「0」,「1」の信号として眼底の蛍光画像を画像処理してもよい。図3ではスライスレベルを乳頭部71からの蛍光を含むレベルL1に設定しているが、乳頭部71からの蛍光を含まないレベルL2に設定することもできる。
【0037】
同様に、眼底Efの赤外蛍光撮影時には、赤外蛍光用のICG(インドシアニングリーン)を患者に静注する一方、上述した観察後に切換スイッチ41aを接点b側に切換え、赤外蛍光用のエキサイタフィルターE2をキセノンランプ6とコンデンサーレンズ7との間の光路に挿入すると共に、とバリヤフィルターB2を孔空きミラー16と合焦レンズ19との間の光路に挿入する。
【0038】
次に、キセノンランプ6を発光制御させると、キセノンランプ6からの撮影光の内のICGを励起する波長の赤外励起光が照明光学系1及びエキサイタフィルターE1を介して眼底Efに案内され、眼底Efを照明する。
【0039】
この赤外励起光は眼底Efの血管内のICGに吸収されてICGを励起する。これにより、ICGからは赤外蛍光が発光され、この赤外蛍光は観察・撮影光学系2を介してエリアCCD30aに案内される。これにより、エリアCCD30aに赤外蛍光による眼底血管像が結像され、眼底血管の赤外蛍光撮影が行われる。
【0040】
この際、このエリアCCD30aのディジタル画像信号は、制御回路41,切換スイッチ41aを介してモニターテレビ31に入力され、モニターテレビ31に赤外蛍光像が映し出される。
【0041】
この眼底血管撮影時も、エリアCCD30aからの画像の転送は、上記と同様に境界線39内の赤外蛍光像の眼底血管像のみとなる。しかも、境界線39のアドレスは分かっているので、この画像データの転送に際しては境界線39内のみを走査して、エリアCCD30aの画素のうち光量が所定レベルL1(スライスレベル)以上のアドレスの画素のアドレスデータ及び光量を演算制御回路41に転送する。そして、この演算制御回路41は、転送されたデータをもとにフレームメモリ45に赤外蛍光による眼底血管像を構築させ、この眼底血管像をモニターテレビ31に映し出させる。
【0042】
ここで、このICGによる赤外蛍光撮影時に、眼底血管像の転送に際しては、エリアCCD30aの画素のうち光量が所定レベルL1以上のアドレスの画素のアドレスデータの値を「1」とすると共に、演算制御回路41に転送して、所定レベルL1未満の部分の値は「0」として、単に「0」,「1」の信号として眼底の蛍光画像を画像処理してもよい。
【0043】
この様な蛍光撮影時の眼科画像データ即ち眼底血管像や新生血管像或は水泡部像等の蛍光像は、それぞれ蛍光像の幅や形状が異なる。即ち、眼底血管像は細長く連続し、眼底出血像は一定幅或は一定径の塊となって広がっており、また、眼底網膜のレーザー凝固部の周囲の水泡部は略一定径のリング状をしている。従って、この様に「0」,「1」の信号として画像処理をすることにより、新生血管部等の疾患部や眼底網膜のレーザー凝固部等を演算制御回路41により自動的に検出判断して記録することができる。
【0044】
尚、実際には、眼底血管からの蛍光は血管の太さによって蛍光輝度(光量)レベルが異なるものであるので、ある経過時間後の状態は例えば図3(b1´)に示した様になる。この図3(b1´)において、P1は比較的太い眼底血管からの蛍光輝度を示し、P2は中くらいの太さの眼底血管からの蛍光輝度を示し、P3は毛細血管からの蛍光輝度を示す。この様に実際には眼底血管の太さにより蛍光輝度がP1〜P3と異なるので、設定スライスレベルをL1,L2,L3(L3>L2>L1)として、輝度P1〜P3の眼底血管がスライスレベルL1〜L3の上下のいずれにまたがってあるかで、太い眼底血管の画像のみ、または、中くらいの眼底血管の画像或は毛細血管の画像のみを選択的に抽出して画像表示し、眼底血管の疾病部の診断を容易にすることができる。尚、この様な画像の抽出及び判断は演算制御回路41によって行われる。特に、蛍光の後期になると出血部分が眼底出血の有無の判断に用いることも可能となる。
[記録・再生]
この様にして撮影された可視カラーの眼底画像データは、境界線39内の眼底像37に関するデータのみが情報記録・再生装置55を介して光ディスク,フロッピーディスク,スチルビデオディスク等の記録媒体に識別データに対応して記録される。
【0045】
一方、蛍光撮影による眼底血管像のデータは、エリアCCD30aの画素のうち光量が所定レベル以上のアドレスの画素のアドレスデータ及び光量のデータのみが情報記録・再生装置55に転送されて記録媒体に記録される。
【0046】
従って、画像入力手段としての情報記録・再生装置55を用いて、記録媒体から眼科画像を再生する場合にも、の眼底像に関するデータ又は眼底血管像のみが記録媒体から読み出されることになる。
(2)余白部及び眼科画像を含む旧画像データからの再生画像データには余白部及び眼科画像が含まれる旧画像データもある。しかも、この旧画像データ及びその各画像データに対応する撮影条件情報が光ディスク,フロッピーディスク,スチルビデオディスク等の記録媒体に多数記録したものもある。この撮影条件情報としては、例えば、患者ID番号,氏名,年齢,性別,左右眼の別,撮影光量,撮影時のフィルターの種類等が考えられる。
【0047】
この様な記録媒体に記録された多数の旧画像データにおいては、多数の左の眼科画像に関するマスク形状と大きさ、或は、多数の右の眼科画像に関するマスク形状と大きさが同じであることが考えられる。これは、当然、同じ眼底カメラを用いて撮影していると考えられるからである。
【0048】
従って、この様な記録媒体に記録された旧画像データを再生する場合には、画像データに用いられているマスクにより形成される余白部と眼底像との間の境界線を左右眼について最初の一枚のみを演算制御回路41により求めさせる。
【0049】
この場合、先ず、演算制御回路41により画像入力手段としての情報記録・再生装置55を作動制御させて、記録媒体に記録された旧画像データを情報記録・再生装置55で読み取ってフレームメモリに45に入力させる。
【0050】
この際、演算制御回路41は、上述と同様にしてフレームメモリ45のデータから眼底像37と余白部38との境界線39のアドレスデータを光量差から演算により求めると共に、マスク36の切欠マーク36bに対応する部分から左右眼の別を判別させて、この境界線39のアドレスデータを左右眼の識別データと共にメモリ53に記憶させる。
【0051】
このようにして境界線39を求めることにより、転送すべき眼科画像すなわち眼底像データの存在する範囲が境界線39の内側であると決定される。この境界線39を求める作業は、上述したように最初の旧画像データのフレームメモリ45への取り込みの際に左右眼について一度行われるのみである。
【0052】
そして、演算制御回路41は、余白部36の内側の眼底像データのみをフレームメモリ45から画像処理回路46に転送して、眼底像37を画像処理回路46を介してモニターテレビ31に映し出させる。
【0053】
左右眼の画像データの転送に際しては、上述のようにして求めた境界線39のアドレスデータを基に、境界線39内のデータのみがモニターテレビ31に転送されることになる。
【0054】
<蛍光撮影データの再生・転送>
また、上述した旧画像データには、可視蛍光あるいは赤外蛍光による眼底血管像の撮影データもある。この蛍光撮影データであるか否かは、撮影条件情報のフィルターの種類から判断できる。
【0055】
従って、演算制御回路41により画像入力手段としての情報記録・再生装置55を作動制御させて、記録媒体に記録された旧画像データを情報記録・再生装置55で読み取ってフレームメモリに45に入力させる際、撮影条件情報のフィルターの種類から蛍光撮影であるか否かを演算制御回路41に判断させる。
【0056】
この際、演算制御回路41が蛍光撮影であると判断した場合にも、演算制御回路41は上述と同様にしてフレームメモリ45のデータから眼底像37と余白部38との境界線39のアドレスデータを光量差から演算により求めると共に、演算制御回路441は、マスク36の切欠マーク36bに対応する部分から左右眼の別を判別させて、この境界線39のアドレスデータを左右眼の識別データと共にメモリ53に記憶させる。尚、この境界線39を求める作業は、上述したように最初の旧画像データのフレームメモリ45への取り込みの際に左右眼について一度行われるのみである。
【0057】
一方、演算制御回路41は、この様にして求めた境界線39内のデータの光量が所定レベル以上のアドレスデータ及び光量を求める。即ち、眼底血管から発する蛍光がある部分、或は、眼底血管からの洩れがあって蛍光を発する部分等のアドレスデータ及び光量を求める。
【0058】
また、このようにして求めた境界線39のデータ或は蛍光による眼底血管像等のアドレスデータ及び光量は、情報記録・再生装置55により新たな記録媒体に記録されてデータ検索に用いられることになる。
<検索操作の参考例>
以上説明した実施例では、境界線39内の眼底像のデータを全て転送して記録再生するようにした例を示したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、眼底像の一部(病変部等)を指定して、この部分のみを転送して記録・再生するようにしてもよい。ここで、眼底像の一部を指定する方法としては、眼底像を4分割して、左上,左下,右上,右下等の選択メニューをモニターテレビ31に映し出させて、これらの一つをキーボードのカーソルキーやマウス等の転送範囲指定手段で選択する方法をとってもよいし、マウスで任意の範囲を指定するような方法をとってもよい。
【0059】
また、図6に示した様に、上記構成の制御回路40が含まれるシステムをホストコンピュータシステム60として、このホストコンピュータシステム60に入出力回路61及びケーブル62を介して複数の端末装置63を接続し、或は、ホストコンピュータシステム60に電話回線64を介して複数の端末装置65を接続し、上述したようにして記録したホストコンピュータシステム60に蓄積された眼底像を各端末装置63又は65から検索操作したり、ホストコンピュータシステム60に端末装置63又は65から眼底像を記録させたりすることもできる。この場合、上述したように眼底像の部分のみ或は眼底像の一部のみを転送することにより、検索や記録の時間を充分に短縮できる。
【0060】
尚、この様にして使用する場合としては、例えば、ホストコンピュータシステム60を総合病院のコンピュータルーム等に設置し、端末装置63を総合病院の各診察室や担当医のルーム等に設置し、端末装置65を地域の病院等に設置して使用することが考えられる。
【0061】
【効果】
以上説明したように、この発明によれば、蛍光による眼底血管像の必要なデータを記録してデータ検索に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる眼科画像処理システムに用いる眼底カメラの光学系の一例を示す説明図である。
【図2】図1に示したモニターテレビの拡大説明図である。
【図3】(a)〜(c)は蛍光撮影時の眼底血管の経時変化を概略的に示した説明図、(a1)〜(c1)は眼底血管からの蛍光輝度の説明図、(b1´)は実際の眼底血管からの蛍光輝度に対するスライスレベルを増やした場合の説明図、(b2)は新生血管からの蛍光輝度の説明図、(c2)は網膜のレーザー凝固後のレーザー凝固部周囲に生じた水泡部からの蛍光輝度の説明図である。
【図4】図1に示した眼底カメラの制御回路を示す回路図である。
【図5】(a)は図1に示したマスクの説明図、図5(b)は図1に示したエリアCCD上の眼底像の結像状態を示す説明図である。
【図6】図1〜図5に示した眼科画像処理システムを用いた使用説明図である。
【図7】図7 (a)は眼底像撮影に用いる従来のマスクの一例を示した説明図、図 (b)は(a)のマスクを用いたエリアCCD上の眼底像の説明図である。
【符号の説明】
30a…エリアCCD(画像入力手段)
31…モニターテレビ(画像出力手段)
37,38,100…眼底像(眼科画像)
38…余白部
39…境界線
41…演算制御回路(画像データ転送手段)
46…画像処理回路
55…情報記録・再生装置

Claims (1)

  1. 眼底像が含まれるディジタル化された画像データを入力する画像入力手段と、前記画像入力手段からの画像データを処理して転送する画像データ転送手段と、前記画像データ転送手段から転送される前記画像データを画像処理する画像処理手段と、前記画像処理手段からの画像を出力する画像出力手段を有する眼科画像処理システムにおいて、
    前記眼底像の眼底血管から発する蛍光がある部分或いは前記眼底血管からの洩れがあって蛍光を発する部分のアドレスデータ及び光量を求める演算制御回路と、前記演算制御回路により求めた前記蛍光がある部分或いは前記蛍光を発する部分のアドレスデータ及び光量をデータ検索のために記録させる情報記録・再生装置を備えることを特徴とする眼科画像処理システム。
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