JP3638111B2 - 温度/液面センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度及び液面を検出することの可能な温度/液面センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
温度センサとしては、従来より、感温スイッチと称されるタイプのものが知られている。先行技術文献としては、実公平4ー31721号公報、実公平4ー49801号公報等がある。これらの公知文献に記載されているように、感温スイッチを用いた感温スイッチは、感温磁性体と、マグネットと、リードスイッチとを含んでいる。感温磁性体、マグネット及びリードスイッチは、マグネットから生じた磁束が感温磁性体及びリードスイッチを通るように配置される。
【0003】
温度が感温磁性体のキュリー温度よりも低い場合、感温磁性体は、磁性体としての特性を示し、リードスイッチを通る磁束量が多くなる。これに対応して、リードスイッチの接点が、例えば、オンになる。
【0004】
次に、温度が感温磁性体のキュリー温度近傍まで上昇すると、感温磁性体は、磁性体としての特性を失い、磁気特性(透磁率)が著しく低下する。この結果、リードスイッチを通る磁束量が減少し、リードスイッチの接点が、例えば、オフになるので、温度を検出することができる。
【0005】
感温スイッチを用いた感温スイッチは、信頼性が高いこと、耐環境性に優れていること、雑音電圧の発生が少ないこと、取り扱いが簡単であること等の優れた利点を有しており、従来より、温水洗浄便座、炊飯ジャー、自動車、エアコンまたは複写機等の各種の機器において、温度制御または加熱監視の手段として用いられてきた。
【0006】
上述した各種用途のうち、温水洗浄便座への適用においては、貯湯タンク内の貯湯温度を検出するとともに、貯湯液面のレベルを検出しなければならない。従来は、感温スイッチによる温度センサと共に、フロートによる液面センサとを用い、温度及び液面を検出していた。液面センサとしては、各種のタイプのものが知られている。液面センサの公知文献としては、例えば、特開平7ー14481号公報、実公平5ー47388号公報、実用新案登録番号第2600176号公報、特開平2ー116718号公報等がある。
【0007】
ところが、温水洗浄便座においては、低価格化及び省スペース化が進展しており、その部品である感温スイッチ及びフロートについても、低価格、小型化、高応答性及び高信頼性等の要求が高まっている。感温スイッチと共に、これとは別のフロートを用いる従来技術では、このような要求に応えることができない。
【0008】
特開平9ー250944号公報は、液温及び液面検出用センサを開示しているが、互いに独立する温度センサ及び液面センサを用いるものであり、上述した要求に応えることができない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、低価格で、小型の温度/液面センサを提供することである。
【0010】
本発明のもう一つの課題は、信頼性が高く、耐環境性に優れ、雑音電圧が少なく、取り扱いが簡単な温度/液面センサを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明に係る温度/液面センサは、感温スイッチと、フロートとを含む。前記感温スイッチは、感温磁性体と、マグネットと、リードスイッチとを含み、前記マグネットから生じた磁束が前記感温磁性体及びリードスイッチを通る磁路を構成する。
【0012】
前記フロートは、磁性体またはマグネットを含み、前記感温スイッチに対する相対的な位置が可変であって、前記位置に応じて、前記リードスイッチを通る磁束量を制御する。
【0013】
本発明に係る温度/液面センサは、液体の温度制御及び加熱防止とともに、液面のレベル検出に、広く適用できる。例えば、温水洗浄便座への適用においては、感温スイッチが貯湯タンク内の貯湯内に位置し、フロートが貯湯の液面に従って、昇降するように配置される。この配置状態において、貯湯の温度及び液面が検出される。まず、温度検出動作について説明する。
【0014】
貯湯温度が感温磁性体のキュリー温度よりも低い場合、感温磁性体は、磁性体としての特性を示し、リードスイッチを通る磁束量が多くなる。これに対応して、リードスイッチの接点が、例えば、オンになる。
【0015】
貯湯温度が感温磁性体のキュリー温度近傍まで上昇すると、感温磁性体は、磁性体としての特性を失い、磁気特性(透磁率)が著しく低下する。この結果、リードスイッチを通る磁束量が減少し、リードスイッチの接点が、例えば、オフになるので、貯湯温度を検出することができる。
【0016】
上述した感温スイッチは、信頼性が高く、耐環境性に優れ、雑音電圧の発生が少なく、取り扱いが簡単である。
【0017】
次に、貯湯の液面検出について述べる。フロートは、磁性体またはマグネットを含み、感温スイッチのマグネットに対する相対的な位置が可変であって、位置に応じて、リードスイッチを通る磁束量を制御する。貯湯の液面が設定レベル以上にある場合、リードスイッチを通る磁束量に対するフロートの影響は小さい。感温スイッチのリードスイッチを通る磁束は、感温スイッチ自体の磁気特性によって定まる。貯湯の温度が感温磁性体のキュリー温度よりも低ければ、リードスイッチはオンである。
【0018】
次に、貯湯の液面が設定レベルまで低下すると、感温スイッチのマグネットから生じる磁束が、フロートに含まれる磁性体またはマグネットの影響を受け、リードスイッチを通る磁束量が減少し、リードスイッチが、オンからオフに変化する。これにより、貯湯の液面が設定レベルまで低下したことが検知される。
【0019】
上述のように、本発明においては、感温スイッチを構成するリードスイッチを、液面検出のために兼用するものであり、温度検出及び液面検出のための構成が一体的に融合される。従って、低価格で、小型の温度/液面センサを実現することができる。
【0020】
具体的な態様では、非磁性材料でなる筒体を有する。筒体は一端が閉じられている。リードスイッチは筒体の内部に配置される。感温スイッチの感温磁性体及びマグネットは、リードスイッチに対応する筒体の外部に固定して配置される。フロートは、筒体の外側に配置され筒体の軸方向に移動可能であるように組み合わされる。
【0021】
フロートが磁性体またはマグネットを含むことは、前述した通りである。フロートがマグネットを含む場合、フロートのマグネットにより、感温スイッチのマグネットの一部を構成することもできる。
【0022】
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。図面は、単なる例示に過ぎない。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る温度/液面センサの部分断面図である。図示された温度/液面センサは、感温スイッチ1と、フロート2とを含む。感温スイッチ1は、感温磁性体11と、第1及び第2のマグネット12、13と、リードスイッチ14とを含み、第1及び第2のマグネット12、13から生じた磁束が感温磁性体11及びリードスイッチ14を通る磁路を構成する。
【0024】
図示された温度/液面センサは、非磁性材料でなる筒体15を有する。筒体15は一端が閉じられている。リードスイッチ14は筒体15の内部に配置される。リードスイッチ14の内部構造は周知であるので、説明は省略する。リードスイッチ14のリード端子の一方は、リード線144の一端に接続されており、リード端子の他方はリード線143の一端に、例えば、圧着145等の手段によって接続されている。リード線143、144は耐熱性の高い絶縁被覆を有する。
【0025】
感温スイッチ1に備えられた感温磁性体11、並びに、第1及び第2のマグネット12、13は、リードスイッチ14に対応する筒体15の外部に固定して配置される。感温磁性体11は、例えば、感温フェライトにより構成され、短筒状の形状を有する。第1及び第2のマグネット12、13はリング状に形成され、感温磁性体11の両端部に密着して結合されている。第1及び第2のマグネット12、13は、例えば、フェライト磁性体を用いて、リング状もしくは短筒状に形成し、軸方向の両端にS極及びN極が生じるように着磁する。第1及び第2のマグネット12、13は、それぞれの異極が、感温磁性体11を介して向き合うように配置されている。
【0026】
上述した感温スイッチ1は、信頼性が高く、耐環境性に優れ、雑音電圧の発生が少なく、取り扱いが簡単である。
【0027】
フロート2は、マグネット21を含む。更に詳しくは、浮体22の下面に、接着、圧着または機械的結合手段によってリング状のマグネット21を取り付けた構造となっている。フロート2は、感温スイッチ1の第1のマグネット12に対する相対的な位置が可変であって、位置に応じて、リードスイッチ14を通る磁束φ1の量を制御する。フロート2は、筒体15の外側に配置され、筒体15の軸方向に移動可能であるように組み合わされる。マグネット21は、例えばフェライト磁性体で構成し、感温磁性体11、第1及び第2のマグネット12、13の外径よりも、少し大きい内径を有するリング状に形成する。マグネット21は、軸方向の両側に磁極N、Sが生じるように着磁されている。マグネット21の着磁の方向は、軸方向で見て、対向関係にある第1のマグネット12とは逆になるように着磁する。具体的には、第1のマグネット12が、上端側でS極、下端側でN極となるように着磁されている場合、フロート21は上端側でN極、下端側でS極となるように着磁する。
【0028】
浮体22は、例えば、ポリプロピレン(PP)等を用いた成形体によって構成することができる。浮体22は、マグネット21を収納する凹部222と、筒体15を通す孔221を有する。筒体15に対するフロート2の位置は不定である。図1では、単に、説明の都合上、特定された位置にフロート2を配置してある。
【0029】
図2は、図1に示した温度/液面センサを、温水洗浄便座へ適用した例を示している。図2において、温度/液面センサは、感温スイッチ1が貯湯タンク3内の貯湯31中に位置し、フロート2が貯湯31の液面LEに従って、昇降するように配置されている。筒部15に連なる取り付け部16は、貯湯タンク3に取り付け固定する。この配置状態において、貯湯31の温度及び液面LEの検出動作が行われる。まず、温度検出動作について説明する。
【0030】
貯湯31の温度が感温磁性体11のキュリー温度よりも低い場合、感温磁性体11は、磁性体としての特性を示し、リードスイッチ14を通る磁束φ1の量が多くなる。これに対応して、リードスイッチ14の接点(図示しない)が、例えば、オンになる。
【0031】
次に、貯湯31の温度が感温磁性体11のキュリー温度近傍まで上昇すると、感温磁性体11は、磁性体としての特性を失い、磁気特性(透磁率)が著しく低下する。この結果、リードスイッチ14を通る磁束φ1の量が減少し、リードスイッチ14の接点が、例えば、オフになるので、貯湯31の温度を検出することができる。リードスイッチ14の接点の開閉は、上記とは逆になってもよい。
【0032】
次に、液面LEの検出動作について述べる。貯湯31の液面LEが、図2に示すように、設定レベル以上にある場合、フロート2のマグネット21は感温スイッチ1の第1のマグネット12に対して相対的に離れた位置にある。従って、リードスイッチ14を通る磁束φの量に対するフロート2のマグネット21の影響は小さい。感温スイッチ1のリードスイッチ14を通る磁束は、専ら、感温スイッチ1自体の磁気特性によって定まる。貯湯31の温度が感温磁性体11のキュリー温度よりも低ければ、リードスイッチ14はオンである。
【0033】
次に、図3は貯湯31の液面LEのレベルが低下した例を示している。貯湯31の液面LEが低下するにつれて、フロート2のマグネット21が、感温スイッチ1の第1のマグネット12に近づく。そして、貯湯31の液面LEが設定レベルまで低下すると、感温スイッチ1の第1のマグネット12から生じる磁束φ2が、フロート2に含まれるマグネット21を通って流れる(吸収される)ようになる。このため、リードスイッチ14を通る磁束の量が減少し、リードスイッチ14が、オンからオフに変化する。これにより、貯湯31の液面LEが設定レベルまで低下したことが検知される。
【0034】
上述のように、本発明においては、感温スイッチ1を構成するリードスイッチ14を、液面LEの検出のために兼用するものであり、温度検出及び液面LEの検出のための構成が一体的に融合されている。従って、低価格で、小型の温度/液面センサを実現することができる。
【0035】
図1〜3ではフロート2にマグネット21を備える場合を示したが、マグネット21の代わりに磁性体を用いてもよい。この場合も、マグネット21を用いた場合と同様の作用効果を奏する。
【0036】
図4は本発明に係る温度/液面センサの別の実施例を示す部分断面図である。図1〜3に表示された構成部分と同一の構成部分については、同一の参照符号を付してある。フロート2はマグネット23を含んでおり、マグネット23が感温スイッチ1のマグネット13の一部を構成している。フロート2は、浮体22の上面側にマグネット23を取り付けた構造になっている。マグネット23は、図1において、第2のマグネット13に対応する。マグネット23は、フロート2の一部であり、フロート2と共に、筒体15の軸方向に沿って、昇降する。
【0037】
図5は図4に示した温度/液面センサを、温水洗浄便座へ適用した例を示している。図5において、温度/液面センサは、感温スイッチ1が貯湯タンク3内の貯湯31中に位置し、フロート2が貯湯31の液面LEに従って、昇降するように配置されている。この配置状態において、貯湯31の温度及び液面LEの検出動作が行われる。まず、温度検出動作について説明する。
【0038】
貯湯31の液面LEが、図5に示すように、設定レベル以上にある場合、フロート2のマグネット23は感温スイッチ1の感温磁性体11に密着している。貯湯31の温度が感温磁性体11のキュリー温度よりも低い場合、感温磁性体11は、磁性体としての特性を示し、リードスイッチ14を通る磁束φ3の量が多くなる。これに対応して、リードスイッチ14の接点が、例えば、オンになる。
【0039】
次に、貯湯31の温度が感温磁性体11のキュリー温度近傍まで上昇すると、感温磁性体11は、磁性体としての特性を失い、磁気特性(透磁率)が著しく低下する。この結果、リードスイッチ14を通る磁束φの量が減少し、リードスイッチ14の接点が、例えば、オフになるので、貯湯31の温度を検出することができる。
【0040】
次に、貯湯31の液面LEが、図6に示すように、設定レベル以下になった場合、フロート2が貯湯31の液面LEに従って下降する。このため、マグネット23が感温磁性体11から離れる。この結果、リードスイッチ14を通る磁束の量が減少し、リードスイッチ14の接点が、例えば、オフになるので、貯湯31の液面LEのレベルを検出することができる。
【0041】
図4〜6に示した実施例の場合は、感温スイッチ1を構成するリードスイッチ14を、液面LEの検出のために兼用するとともに、感温スイッチ1を構成するマグネットの一部を、液面検出のためのマグネット23として兼用する。このため、温度検出及び液面検出のための構成の一体的融合が更に進み、一層低価格で、小型の温度/液面センサを実現することができるようになる。
【0042】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(a)低価格で、小型の温度/液面センサを提供することができる。
(b)信頼性が高く、耐環境性に優れ、雑音電圧が少なく、取り扱いが簡単な温度/液面センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る温度/液面センサの部分断面図である。
【図2】図1に示した温度/液面センサを、温水洗浄便座へ適用した例を示す部分断面図である。
【図3】図1に示した温度/液面センサを、温水洗浄便座へ適用した例を示す部分断面図であって、液面レベルが低下した場合を示している。
【図4】本発明に係る温度/液面センサの別の実施例を示す部分断面図である。
【図5】図4に示した温度/液面センサを、温水洗浄便座へ適用した例を示す部分断面図である。
【図6】図4に示した温度/液面センサを、温水洗浄便座へ適用した例を示す部分断面図であって、液面レベルが低下した場合を示している。
【符号の説明】
1 感温スイッチ
11 感温磁性体
12、13 第1及び第2のマグネット
15 筒体
2 フロート
21 マグネットまたは磁性体
22 浮体
23 マグネット

Claims (2)

  1. 感温スイッチと、フロートとを含む温度/液面センサであって、
    前記感温スイッチは、感温磁性体と、マグネットと、リードスイッチとを含み、前記マグネットから生じた磁束が前記感温磁性体及びリードスイッチを通る磁路を構成し、
    前記フロートは、マグネットを含み、前記感温スイッチに対する相対的な位置が可変であって、前記位置に応じて、前記リードスイッチを通る磁束量を制御するものであり、
    更に、非磁性材料でなる筒体を有し、前記筒体は先端が閉じられており、
    前記フロートは、前記筒体の外側に配置され前記筒体の軸方向に移動可能であり、
    前記リードスイッチは、前記筒体の内部に配置されており、
    前記感温スイッチの前記感温磁性体及び前記マグネットは、前記リードスイッチに対応する前記筒体の外部に固定して配置されており、
    前記感温磁性体は、短筒状の形状を有しており、
    前記感温スイッチの前記マグネットは、リング状もしくは短筒状に形成され、前記感温磁性体の端部に結合されている、
    温度/液面センサ。
  2. 請求項1に記載された温度/液面センサであって、
    前記フロートの前記マグネットは、前記感温スイッチの前記マグネットを設けた端部と向き合う側に設けられており、前記感温スイッチの前記マグネットの外径よりも、少し大きい内径を有するリング状である、
    温度/液面センサ。
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