JP3637650B2 - 車載用ナビゲーション装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鳥瞰図方式の道路地図を表示する車載用ナビゲーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
鳥瞰図方式の道路地図上に目的地までの経路と車両の現在地を表示して乗員を誘導する車両用経路誘導装置が知られている(特開平1−263688号公報、特開平2−244188号公報、特開平3−225391号公報参照)。
【0003】
図8は鳥瞰図道路地図の表示原理を説明する図、図9は図8のXZ平面図、図10は鳥瞰図道路地図の表示領域を示す図である。これらの図により、鳥瞰図の描画方法を説明する。
鳥瞰図方式の道路地図は、車両Vから距離b(例えば1km)だけ後方の地点Oの高さh(例えば350m)の上空に視点Eを設定し、その視点Eから車両Vの方向を見下ろし角α(例えば16度)の視線EFに沿って見下ろした場合に、XY平面上に展開された平面道路地図の表示領域Aを、視線EFに垂直に設定された仮想画面Sに透視変換するものである。平面図道路地図の表示領域A内の任意の地点Pは、Pと視点Eとを結ぶ直線が仮想画面Sと交わる点P’に透視変換される。
表示領域Aは、図10(a)に示すように例えば手前の幅が約500m、奥の幅が約7km、奥行が約7kmの台形上の領域であり、その表示領域A内の平面道路地図が(b)に示すように仮想画面S上に透視変換されて表示される。つまり、手前の領域では道路地図が拡大されて詳細な道路地図を見ることができ、遠方に行くに従って連続的に縮尺が高くなり、広い範囲の道路地図を見ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の車載用ナビゲーション装置では、上述したように平面図方式の道路地図データを透視変換して鳥瞰図道路地図を描画している。ところが、従来の平面図方式の道路地図データには、高架や立体交差などの道路どうしの重なりに関する情報が記録されておらず、道路を三次元的に表示する鳥瞰図に変換しても道路の重なり状態が表示されないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、高架や立体交差などの道路の重なり状態を鳥瞰図表示する車載用ナビゲーション装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、交差点と屈曲点を含むノードと、ノード間を直線近似したリンクとにより道路を表わすとともに、ノードの高さ情報を付加した平面図道路地図データを記憶する記憶手段と、記憶手段から平面図道路地図データを読み出し、ノードの高さが低いリンクから順にデータテーブルに格納するデータ整列手段と、データテーブルの先頭のリンクデータから順に鳥瞰図道路地図データに変換する変換手段と、変換手段により変換処理がなされたデータテーブルの先頭から順に鳥瞰図道路地図データを読み出し、表示手段に描画する描画手段とを備え、データ整列手段は、リンクの両端のノードの内の高さが低い方を始点ノードとするとともに他方を終点ノードとし、始点ノードの高さが低い順にリンクデータを整列し、始点ノードの高さが同一のリンクどうしでは終点ノードの高さが低い順にリンクデータを整列し、ノードの高さが低いリンクデータから順にデータテーブルに格納する。
請求項2の車載用ナビゲーション装置の高さ情報は、任意のノードを基準高さレベル0とし、その基準高さレベルのノードから1段上がるたびに高さレベルを1つ加算し、基準高さレベルのノードから1段下がるたびに高さレベルを1つ減算したものである。
請求項3の車載ナビゲーション装置は、変換手段によって、高さレベル1当たり所定の高さを設定して鳥瞰図道路地図データに変換するようにしたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は一実施形態の構成を示すブロック図である。
コントローラ1はマイクロコンピュータとその周辺部品から構成され、後述する制御プログラムを実行して平面図道路地図データを用いて鳥瞰図に透視変換し、鳥瞰図道路地図を描画する。
コントローラ1には、方位センサ2、距離センサ3、GPS受信機4、記憶装置5、入力装置6が接続される。方位センサ2は車両の進行方位を検出し、距離センサ3は車両の走行距離を検出する。GPS受信機4は衛星からのGPS信号を受信して車両の現在地、進行方向、走行速度などを検出する。また、記憶装置5は平面図方式の道路地図データを記憶するCD−ROMなどの装置であり、入力装置6は目的地などを設定する装置である。コントローラ1にはまた、道路地図や文字情報を表示するディスプレイ7と、音声による誘導を行なうためのスピーカー8などが接続される。
【0008】
ここで、平面図道路地図から鳥瞰図道路地図への透視変換について説明する。
今、図8に示すように、平面図道路地図をXY平面に展開し、視点E(座標VX,VY,VZ)の高さhをZ軸方向にとり、視線EFのXY平面における方向をφとする。また、仮想画面SにおけるX座標をSX、Y座標をSYとし、表示倍率を決定する定数をDSとする。さらに、始点E(VX,VY,VZ)を原点とし視線EFを−Z軸とするEXEYEZ座標系を考え、その座標を(EX,EY,EZ)とする。
数式1により、平面図道路地図上の座標(MX,MY,MZ)にあるノードPは、仮想画面S上の座標(SX,SY)にあるP’に変換される。なお、この実施形態では、道路上の交差点と屈曲点を含むノードと、ノード間を直線近似したリンクとにより道路を表わすとともに、ノードの高さ情報を付加した平面図道路地図データを用いる。
【数1】
従来の車載用ナビゲーション装置では、数式1におけるノードPのZ座標MZに0を設定して演算していたが、この実施形態ではノードPの高さ情報に基づいてMZを設定し、ノードの高さを考慮して、すなわち道路の高さを考慮して平面図道路地図を鳥瞰図道路地図に変換する。
【0009】
平面図道路地図上のすべてのノードに対して高さ情報を設定するには、すべてのノードの標高を測量しなければならないので、現実的ではない。そこでこの実施形態では、平面図道路地図データの中の、他の道路の上にある高架道路のノードに対してオーバーパス情報を付加し、他の道路の下にある道路のノードに対してアンダーパス情報を付加する。この方法によれば、各ノードの測量を必要としないので平面道路地図データに簡単に高さ情報を付加することができる。
【0010】
具体的には、任意のノードを基準高さレベル0とし、その基準高さレベルのノードから1段上がるたびに高さレベルを1つ加算し、基準高さレベルのノードから1段下がるたびに高さレベルを1つ減算して、ノードデータに高さ情報を付加する。
例えば、図2に示すようなノード1からノード13に向って高さが上がっていく道路の場合には、ノード1を基準高さレベル0とすると、ノード1〜6の高さレベルは基準高さレベルのノードと同一高さであるから0である。ノード6から7へ進む時にノード2〜3のリンクをオーバーパスするので、7以降のノードの高さレベルに1が加算される。また、ノード9から10へ進む時にノード4〜5のリンクをオーバーパスするので、10以降のノードの高さレベルにさらに1が加算されて+2となる。さらに、ノード11から12へ進む時にもオーバーパスがあるのでノード12の高さレベルが上がり、+3になる。
ところで、ノード13でこの道路は終点になるが、ノード13の高さレベルは規定しない。つまり、この高さ情報は各ノードの絶対的な高さを表わすのが目的ではなく、ノードどうしの相対的な高さ関係を表わすのが目的であるから、図2に示す道路に接続する道路の、ノード13に隣接するノードと高さレベルが1以上離れていても問題はない。
【0011】
また、図3に示すように、ノード1からノード5へ向う時にノード4〜6のリンクをオーバーパスする場合には、ノード1を基準高さレベル0とすると、ノード5のみが高さレベル+1となり、その他のノードは高さレベル0である。
さらに、図4に示すように、ノード1からノード5へ向う時にノード4〜6のリンクをアンダーパスする場合には、ノード1を基準高さレベル0とすると、ノード5のみが高さレベル−1となり、その他のノードは高さレベル0である。
【0012】
次に、図5に示すような、屈曲点ノードn1〜n4で区分されたサブリンクを有する交差点ノードN1〜N2のリンクL1を例に上げて、平面図道路地図データへのノードの高さ情報の記録方法を説明する。なお、この実施形態では、交差点ノードで区分されるものをリンクとし、屈曲点ノードにより区分されるものをサブリンクとして扱うが、両者を区別せずに交差点ノードおよび屈曲点ノードで区分されるものをすべてリンクとしてもよい。
このリンクL1では、表1に示すように、リンクL1の補間点数(屈曲点ノード数)などの情報とともに、リンクL1を構成する各ノードN1,n1〜n4,N2の情報が記録され、各ノード情報には高さレベル0のノードを基準とした高さレベルが含まれる。
【0013】
【表1】
【0014】
ここで、ノードの高さを考慮して鳥瞰図に変換する場合には、次の点に留意しなければならない。
今、図6に示すように、レベル+1の高架道路1と基準高さレベル0の道路2が並行しているとする。従来の鳥瞰図表示では、高架道路1が平面上に描画されるので、道路1と道路2が重なることはない。ところが、道路の高さを考慮した鳥瞰図の描画方法では、図6に示すように高架道路1の影に道路2があると、見掛け上道路2の上に道路1が重なる。この場合、先に描画した道路は後から描画した道路に消されて見えなくなる。
そこで、この実施形態では道路の高さに応じて描画順序を決定する。具体的には、数式1による鳥瞰図への座標変換を行なう前に、次のような処理を行なう。まず、記憶装置5からノードの高さ情報を有する平面図道路地図データを読み込み、サブリンクごとにRAM上のテーブルに格納する。この時、サブリンクの両端のノードの内の高さレベルが低い方を始点とし、始点の高さレベルが低い順にサブリンクをテーブルに格納する。始点の高さレベルが同一の場合には、終点の高さレベルの低い順にサブリンクをテーブルに格納する。
このような手順でサブリンクデータをテーブルに格納すると、表2に示すように、ノードの高さレベルが低い順にテーブルの先頭からサブリンクデータが格納される。
【0015】
【表2】
【0016】
サブリンクのデータテーブルが完成したら、各サブリンクに対して数式1により座標変換を行なう。この時、データテーブルに格納されている高さレベルに、1段当たり所定値(例えば10m)を乗じてZ軸座標値MZとする。座標変換が完了したらデータテーブルの先頭のサブリンク、すなわち高さレベルの低いサブリンクから描画する。その結果、高さレベルの高いサブリンクが最後に描画されるので、図6に示すように鳥瞰図表示で道路どうしが見掛け上重なるような場合でも、高架道路が優先的に描画され、視点Eから見た状態の道路地図を描画することができる。
【0017】
図7は一実施形態の地図描画処理を示すフローチャートである。
入力装置6のメインスイッチが投入されると、コントローラ1はこの地図描画処理を開始する。ステップ1において入力装置6により設定された目的地を読み込み、続くステップ2で方位センサ2、距離センサ3およびGPS受信機4により車両の現在地と進行方位を検出する。ステップ3で、記憶装置5の平面図道路地図データを参照して現在地から目的地までの最適経路を演算する。ステップ4において、平面図を鳥瞰図とするための視点Eと視線EFを決定する。この時、車両の現在地がディスプレイ7の中央よりやや下の位置に表示されるように視点Eと視線EFを決定する。視線EFの方向φは、例えば最適経路がディスプレイ7に最も長く表示されるような方向としてもよいし、単に車両の進行方向としてもよい。ステップ5で、決定した視点Eと視線EFに基づいて平面図道路地図上の表示領域を演算し、続くステップ6で、記憶装置5から表示領域を含む平面図道路地図データを読み込む。
ステップ7において、読み込んだ平面図道路地図データを検索し、上述したようにデータテーブルに高さレベルの低いサブリンクの順に並べる。ステップ8で、作成したデータテーブルの先頭のサブリンクデータから順に数式1により鳥瞰図データに変換し、すべてのサブリンクデータの変換が完了したら、ステップ9へ進む。ステップ9では、データテーブルの先頭のサブリンク、つまり、高さレベルの低いサブリンクからディスプレイ7に描画する。この時、GPS航法あるいは自立航法により検出した車両の現在地に、現在地マークを描画する。ステップ10で、車両が移動または回転したか否かを確認し、車両の移動または回転があればステップ4へ戻って上記処理を繰り返す。
【0018】
以上の一実施形態の構成において、記憶装置5が記憶手段を、コントローラ1がデータ整列手段、変換手段および描画手段を、ディスプレイ7が表示手段をそれぞれ構成する。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ノードの高さ情報を付加した平面図道路地図データを読み出し、リンクの両端のノードの内の高さが低い方を始点ノードとするとともに他方を終点ノードとし、始点ノードの高さが低い順にリンクデータを整列し、始点ノードの高さが同一のリンクどうしでは終点ノードの高さが低い順にリンクデータを整列し、ノードの高さが低いリンクデータから順にデータテーブルに格納し、データテーブルの先頭のリンクデータから順に鳥瞰図道路地図データに変換して描画するようにしたので、高架や立体交差などの道路の重なり状態を始点から見たままに表示することができる上に、リンクどうしの重なりの状態、すなわち道路の重なり状態を正確に鳥瞰図表示できる。
また、任意のノードを基準高さレベル0とし、その基準高さレベルのノードから1段上がるたびに高さレベルを1つ加算し、基準高さレベルのノードから1段下がるたびに高さレベルを1つ減算したものをノードの高さ情報としたので、各ノードの標高を測量せずに、平面図道路地図データにノードの高さ情報を簡単に付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の構成を示すブロック図。
【図2】ノードの高さレベルの決定方法を説明する図。
【図3】ノードの高さレベルの決定方法を説明する図。
【図4】ノードの高さレベルの決定方法を説明する図。
【図5】複数のサブリンクから構成される道路リンクの一例を示す図。
【図6】鳥瞰図表示における道路の見掛け上の重なりを説明する図。
【図7】一実施形態の鳥瞰図道路地図の描画処理を示すフローチャート。
【図8】鳥瞰図道路地図の表示原理を説明する図。
【図9】図8のXZ平面図。
【図10】鳥瞰図道路地図の表示領域を示す図。
【符号の説明】
1 コントローラ
2 方位センサ
3 距離センサ
4 GPS受信機
5 記憶装置
6 入力装置
7 ディスプレイ
8 スピーカー
Claims (3)
- 交差点と屈曲点を含むノードと、ノード間を直線近似したリンクとにより道路を表わすとともに、ノードの高さ情報を付加した平面図道路地図データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から平面図道路地図データを読み出し、ノードの高さが低いリンクから順にデータテーブルに格納するデータ整列手段と、
前記データテーブルの先頭のリンクデータから順に鳥瞰図道路地図データに変換する変換手段と、
前記変換手段により変換処理がなされた前記データテーブルの先頭から順に鳥瞰図道路地図データを読み出し、表示手段に描画する描画手段とを備え、
前記データ整列手段は、リンクの両端のノードの内の高さが低い方を始点ノードとするとともに他方を終点ノードとし、始点ノードの高さが低い順にリンクデータを整列し、始点ノードの高さが同一のリンクどうしでは終点ノードの高さが低い順にリンクデータを整列し、ノードの高さが低いリンクデータから順にデータテーブルに格納することを特徴とする車載用ナビゲーション装置。 - 請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置において、
前記高さ情報は、任意のノードを基準高さレベル0とし、その基準高さレベルのノードから1段上がるたびに高さレベルを1つ加算し、前記基準高さレベルのノードから1段下がるたびに高さレベルを1つ減算したものであることを特徴とする車載用ナビゲーション装置。 - 請求項1または請求項2に記載の車載用ナビゲーション装置において、
前記変換手段は、高さレベル1当たり所定の高さを設定して鳥瞰図道路地図データに変換することを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
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