JP3637385B2 - 新規アクリルアミド系ポリマー、その製造方法及び二次非線形光学材料 - Google Patents

新規アクリルアミド系ポリマー、その製造方法及び二次非線形光学材料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二次非線形光学特性を示す新規なアクリルアミド系ポリマー、その製造方法及びそれを用いた有機二次非線形光学材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これからの高度情報化社会においては、大容量かつ精密な情報を高速、高密度、高効率で伝達処理することが必要になってくる。そして、光は、並列、空間処理性、多量操作性、高密度性などの特性を有することから電子技術と相補ってこの分野で重要な役割を果たすことが予測されている。ところで、この光を利用するために必要な材料の1つとして、最近有機非線形光学材料が注目されている。
【0003】
これまで知られている無機材料による非線形効果は格子振動吸収により発現するものであるのに対し、有機材料による非線形効果は、非局在のπ電子系が置換基によって歪むために生じる双極子モーメントによるものであって、基本的に格子振動を伴わないためより高速の応答が可能になる。
【0004】
ところで、二次の非線形効果を生じさせるためには、誘起した双極子モーメントを同一方向に配向させることが必要で、これには有機結晶によるアプローチ、LB膜や液晶によるアプローチ、電場配向すなわちポーリングによるアプローチなどが知られているが、ポーリングによるアプローチは他の方法に比べ簡単なプロセスで配向構造を得ることができ、分子設計において比較的制約がないため、いろいろな分子について配向させて二次の非線形効果を生じさせることができるという利点がある。
【0005】
しかしながら、このようにして得られる二次の非線形光学効果は、それを生じる分子中の活性基が、分子の熱運動や電気的反発により緩和するため経時的に減少するという傾向がある。
このような二次の非線形光学効果の経時的減少を抑制する方法として、これまで高分子の場合、ガラス転移温度付近で十分に熱処理しながらポーリングを行うこと、ガラス転移温度の高い材料を用いることなどが提案されているが、必ずしも満足できる結果が得られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高温における配向構造の緩和が抑制された、熱安定性の良好な二次の非線形光学特性を有する新規な高分子物質を提供することを目的としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、二次の非線形光学特性を有する高分子物質を開発するために鋭意研究を重ねた結果、アクリルアミド又はメタクリルアミドの単独重合体に側鎖として非線形光学活性基をペンダントさせることにより、高いガラス転移点で、かつ二次の非線形光学特性を有する高分子物質が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、(A)一般式
【化6】
Figure 0003637385
(式中のR1は水素原子又はメチル基、R2は水素原子又は4‐位以外に結合したメチル基)
で表わされる構成単位、及び(B)一般式
【化7】
Figure 0003637385
(式中のR1及びR2は前記と同じ意味をもつ)
で表わされる構成単位からなり、重量平均分子量50,000〜300,000を有するアクリルアミド系ポリマー及びこのポリマーから成る二次非線形光学材料を提供するものである。
【0009】
このアクリルアミド系ポリマーは、例えば一般式
【化8】
Figure 0003637385
(式中のR1及びR2は前記と同じ意味をもつ)
で表わされるアニリン誘導体をラジカル重合させ、次いで得られたポリマーにニトロアニリンをジアゾカップリングさせることにより製造することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
前記一般式(I)の構成単位と一般式(II)の構成単位からなるポリマーは、以下の反応式で示されるように、前記一般式(III)のN‐(N‐フェニル‐N‐メチル)‐アミノエチルアクリル(又はメタクリル)アミドをラジカル重合させ、前記一般式(I)の構成単位からなるホモポリマーを得る第一工程と、このホモポリマーにニトロアニリンをジアゾカップリングさせる第二工程によって製造される。
【0011】
【化9】
Figure 0003637385
(式中のR1とR2は前記と同じ意味をもち、l、m及びnはそれぞれ重合度を示す整数である)
【0012】
前記の一般式(III)で表わされるN‐(フェニル‐N‐メチル)‐アミノエチルアクリル(又はメタクリル)アミドは、例えば以下の反応式に従い、N‐メチル‐N‐フタルイミドエチルアニリン(IV)とヒドラジン‐水和物とを加熱して錯化合物(V)を形成させたのち酸処理することによりN‐(2‐アミノエチル)‐N‐メチルアニリンを製造し、これに無水アクリル酸又は無水メタクリル酸を反応させることにより製造することができる。
【0013】
【化10】
Figure 0003637385
(式中のR1及びR2は前記と同じ意味をもつ)
【0014】
上記のN‐メチル‐N‐フタルイミドエチルアニリンとヒドラジン‐水和物との反応は、アルコール、エーテル、ハロゲン化炭化水素のような不活性溶媒中、50〜100℃の温度で1〜10時間かきまぜたのち、酸例えば濃塩酸によりpH6以下に調節し、1〜20時間かきまぜることにより行われる。
また、このようにして製造したN‐(2‐アミノエチル)‐N‐メチルアニリンと無水アクリル酸又は無水メタクリル酸との反応は、前記と同じ不活性溶媒中、第三アミン例えばトリアルキルアミンやピリジンの存在下で5〜30時間かきまぜることにより行うことができる。
【0015】
次に、このようにして得た前記一般式(III)の単量体化合物を重合させる第一工程は、重合溶媒中、ラジカル重合開始剤の存在下で加熱することにより行われる。この重合反応は、溶液重合、乳化重合、懸濁重合のいずれでもよいが、溶媒又は無溶媒での溶液重合が好ましい。溶媒を用いる場合には、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどが好適である。そのほか、ベンゼン、ニトロベンゼンなどの炭化水素類、第三ブチルアルコールのようなアルコール類も用いることができる。
【0016】
また、ラジカル重合開始剤としては、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化tertジブチルのような過酸化物系重合開始剤や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩のようなアゾ系重合開始剤が用いられる。このラジカル重合開始剤の使用量は、通常、単量体全重量に基づき0.05〜5.0重量%の範囲内で選ばれる。
【0017】
この重合反応の温度としては、50〜100℃、好ましくは60〜80℃の範囲内で選ばれる。これよりも低い温度では、反応速度が遅く実用的でないし、またこれよりも高い温度では、副反応が起り、最終的に得られるポリマーの品質低下の原因になる。この温度における重合時間は通常10〜50時間である。
このようにして、重量平均分子量42,000〜270,000を有する一般式(I)のN‐(N‐フェニル‐N‐メチル)‐アミノエチルアクリル(メタクリル)アミドのホモポリマーが白色固体として得られる。
【0018】
次に、第二工程においては、このようにして得られたホモポリマーに、ニトロアニリン例えばp‐ニトロアニリンをジアゾカップリングさせる。このジアゾカップリングの方法については特に制限はなく、通常のジアゾ色素を製造する際に用いられている方法、例えばp‐ニトロアニリンを塩酸水溶液中に溶解又は懸濁させたのち、これに亜硝酸ナトリウムを、p‐ニトロアニリンに対して実質上等モルの割合で添加し、さらに適当な溶媒に溶解させたホモポリマーを加えることによって行うことができる。
このジアゾカップリングによるアゾ基導入率は少なくとも20モル%、好ましくは25〜95モル%の範囲内で選ばれる。
【0019】
このようにしてアクリル酸(又はメタクリル酸)アミドのホモポリマー中に導入される基すなわち一般式
【化11】
Figure 0003637385
(式中のR2は前記と同じ意味をもつ)
で表わされるアゾ色素残基は、二次非線形光学活性基としてよく知られている置換基である。
【0020】
このようにして得られる前記一般式(I)及び(II)で表わされる構成単位からなる、重量平均分子量50,000〜300,000のポリマーは、最適ポーリング温度150〜170℃の赤色固体である。
このものは、80℃におけるd33値の初期値は200×10-9esu以上という高い非線形性を示し、この値はポーリング後、5時間で約40%程度緩和するが、その後はこの値は60時間経過しても不変であった。
【0021】
【実施例】
次に実施例によりさらに詳細に説明する。
【0022】
参考例1[N‐(2‐アミノエチル)‐N‐メチルアニリンの製造]
N‐メチル‐N‐フタルイミドエチルアニリン4.28g(0.015モル)とヒドラジン‐水和物1.00ml(0.02モル)をエチルアルコール80mlに溶解し、スリーワンモーターで90℃において還流させながら2時間かきまぜた。反応終了後、自然冷却させ、次いで濃塩酸を加えpH4に調整した。この処理生成物を、ろ過し、ろ液の体積を1/8になるまで濃縮したのち、水100mlを加え、析出した固体をさらにろ去した。このろ液を減圧留去して得た塩酸塩を40%か性ソーダ水溶液100mlを加えて中和することにより、N‐(2‐アミノエチル)‐N‐メチルアニリン1.92gが黒色油状物質として得られた。この際の収率は85%であった。この生成物について400MHzでの1H−NMRスペクトルを図1に示す。
【0023】
参考例2[N‐(2‐メタクリルアミドエチル)‐N‐メチルアニリンの製造]
N‐(2‐アミノエチル)‐N‐メチルアニリン1.92g(0.0128モル)とトリエチルアミン1.94g(0.0192モル)を塩化メチレン15ml中に溶解し、ピリジン数滴を添加し、さらに無水メタクリル酸2.96g(0.0192モル)を滴下した。この混合物を24時間かきまぜて反応させたのち、水酸化カリウムの3%塩化メチレンで3回、塩化メチレン水溶液で2回抽出し、クロロホルムとアセトンの混合溶媒(10:1)を展開溶媒としてカラムクロマトグラフィーを行い精製した。
【0024】
このようにしてN‐(2‐メタクリルアミドエチル)‐N‐メチルアニリン1.06gが茶褐色の粘稠液体として得られた。この際の収率は38.0%であった。この生成物について400MHzでの1H−NMRスペクトルを図2に示す。
【0025】
実施例1
50ml容アンプルに、参考例2で得たN‐(2‐メタクリルアミドエチル)‐N‐メチルアニリン5gとアゾビスイソブチロニトリル0.05gとテトラヒドロフラン20mlとを装入し、脱気封管して、60℃において24時間ラジカル重合させた。次いで内容物を取り出し、エチルエーテルにより再沈殿して精製することにより、N‐(2‐メタクリルアミドエチル)‐N‐メチルアニリンのホモポリマー2.96gを白色固体として得た。この際の収率は59%であった。
【0026】
次いで、濃塩酸10mlにp‐ニトロアニリン4.83gを湯浴上で懸濁させ、その後氷浴上にて亜硝酸ナトリウム2.42gを溶解した水溶液を滴下したのち、ジメチルホルムアミド40mlに溶解した前記のホモポリマー2.50gを加えた。この混合物を水酸化ナトリウム及び酢酸ナトリウムでpH3.5に調整し、60時間かきまぜてジアゾカップリング反応させた。
得られた生成物を、酢酸エチルで再沈殿させて精製することにより、式
【化12】
Figure 0003637385
で表わされる構成単位67モル%と、式
【化13】
Figure 0003637385
で表わされる構成単位33モル%とからなるポリマー3.1gを赤色固体として得た。この際の収率は95%であった。このものの1H−NMRスペクトルを図3に示す。
【0027】
次に、このポリマーをガラス基板上にスピンコート法で厚さ約0.3μmのフイルムとし、5kV/cmでコロナポーリングを行い、温度条件を変えてd33値を求めた。このd33値はNd:YAGレーザーによる第二次高調波発生を回転式メーカーフリンジ法で測定する方法で求めた。最適ポーリング温度は160℃で、その時の初期値は260×10-9esu、80℃におけるd33値の経時緩和は、ポーリング後5時間で初期値の60%まで緩和するものの、その後500時間以上にわたって一定値を保っている。これにより水素結合のネットワークに配向緩和の抑制効果があることが示唆された。
【0028】
実施例2
濃塩酸10mlにp‐ニトロアニリン0.2gを湯浴上で懸濁させ、その後氷浴上にて亜硝酸ナトリウム0.11gを溶解した水溶液を滴下したのち、ジメチルホルムアミド20mlに溶解した実施例1のN‐(2‐メタクリルアミドエチル)‐N‐メチルアニリンのホモポリマー0.75gを加えた。この混合物を水酸化ナトリウム及び酢酸ナトリウムでpH3.5に調整し、60時間かきまぜてジアゾカップリング反応させた。
得られた生成物を、酢酸エチルで再沈殿させて精製することにより、式
【化14】
Figure 0003637385
で表わされる構成単位51モル%と、式
【化15】
Figure 0003637385
で表わされる構成単位49モル%とからなるポリマー0.85gを赤色固体として得た。この際の収率は90%であった。
【0029】
次に、このポリマーをガラス基板上にスピンコート法で厚さ約0.2μmのフイルムとし、5kV/cmでコロナポーリングを行い、温度条件を変えてd33値を求めた。このd33値はNd:YAGレーザーによる第二次高調波発生を回転式メーカーフリンジ法で測定する方法で求めた。最適ポーリング温度は160℃で、その時の初期値は290×10-9esu、80℃におけるd33値の経時緩和は、ポーリング後5時間で初期値の70%まで緩和するものの、その後500時間以上にわたって一定値を保っている。これにより水素結合のネットワークに配向緩和の抑制効果があることが示唆された。
【0030】
【発明の効果】
本発明により、二次非線形光学特性をもち、高いガラス転移点の新規高分子物質が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 N‐(2‐アミノエチル)‐N‐メチルアニリンの1H−NMRスペクトル図。
【図2】 N‐(2‐メタクリルアミドエチル)‐N‐メチルアニリンの1H−NMRスペクトル図。
【図3】 実施例のポリマーの1H−NMRスペクトル図。

Claims (3)

  1. (A)一般式
    Figure 0003637385
    (式中のR1は水素原子又はメチル基、R2は水素原子又は4‐位以外に結合したメチル基)
    で表わされる構成単位及び(B)一般式
    Figure 0003637385
    (式中のR1及びR2は前記と同じ意味をもつ)
    で表わされる構成単位から成り、重量平均分子量50,000〜300,000を有するアクリルアミド系ポリマー。
  2. 一般式
    Figure 0003637385
    (式中のR1は水素原子又はメチル基、R2は水素原子又は4‐位以外に結合しているメチル基)
    で表わされるアニリン誘導体をラジカル重合させ、次いで得られたポリマーにニトロアニリンをジアゾカップリングさせることを特徴とする、請求項1記載のアクリルアミド系ポリマーの製造方法。
  3. (A)一般式
    Figure 0003637385
    (式中のR1は水素原子又はメチル基、R2は水素原子又は4‐位以外に結合したメチル基)
    で表わされる構成単位及び(B)一般式
    Figure 0003637385
    (式中のR1及びR2は前記と同じ意味をもつ)
    で表わされる構成単位から成り、重量平均分子量50,000〜300,000を有するアクリルアミド系ポリマーから成る二次非線形光学材料。
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