JP3637140B2 - 排ガスの脱硫方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガスの脱硫方法及び脱硫装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、多数の透孔を有する水平隔板によってその内部が2つ又は3つの室に区画された密閉槽と、その水平隔板に配設された多数の透孔に垂設された多数のガス分散管を備えた多管式排ガス脱硫装置は知られている(特公平3−70532号、特開平3−72913号、特開平3−262510号等)。
【0003】
このような従来の排ガス脱硫装置においては、その密閉槽としては、その水平断面が円形のものが用いられているが、該密閉槽を大型化するに伴い、吸収液を収容する排ガス脱硫室における槽径に対する液深の比が小さくなる。この比が小さくなるに従い、撹拌機吐出量に対する槽内上下の液循環量の比が低下し、排ガスの円滑な脱硫に必要な液循環が得られなくなる。この傾向への対処として、該密閉槽に複数の撹拌機を設置するとともに、その周壁に複数のバッフル板を配設している。しかしながら、このような対処では、構内構造が複雑化し、装置コストが高くなるとともに、撹拌機周囲の液上昇流速分布の不均一性が拡大し、排ガス脱硫室内に全体として十分な上下方向の液循環量を与えても局部的には不足するところが出てくる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、撹拌機吐出量に対する槽内上下の液循環量の比を大きくすると共に撹拌機周囲の液上昇流速分布の不均一性が小さいく、かつ構内構造が簡単な大容量排ガス用の脱硫方法及び装置を提供することをその課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、排ガスを、密閉槽内に形成された排ガス脱硫室内に収容されている吸収液中に吹込む工程を有する排ガスの脱硫方法において、(i)該密閉槽としてその水平断面が四辺形であって槽内が大気圧より低い圧力に保持された密閉槽を用いること、(ii)その四辺形の横方向の辺の長さaと縦方向の辺の長さbとの比a/bが、0.7〜1.4の範囲にあること、(iii)該密閉槽内に形成された水平断面が四辺形の排ガス脱硫室のその四辺形の中心部又はほぼ中心部に相当する位置に水平方向に回転する撹拌羽根を有する撹拌機を1つ配設すること、(iv)排ガス脱硫室の水平断面積と同じ水平断面積の円の直径(等面積直径)Deに対する吸収液の静止液面の高さHの比H/Deが0.2以上であること、を特徴とする排ガスの脱硫方法が提供される。また、本発明によれば、排ガスを、密閉槽内に形成された排ガス脱硫室内に収容されている吸収液中に吹込む機構を有する排ガスの脱硫装置において、(i)該密閉槽の水平断面が四辺形であって槽内が大気圧より低い圧力に保持されていること、(ii)その四辺形の横方向の辺の長さaと縦方向の辺の長さbとの比a/bが、0.7〜1.4の範囲にあること、(iii)該密閉槽内に形成された水平断面が四辺形の排ガス脱硫室のその四辺形の中心部又はほぼ中心部に相当する位置に水平方向に回転する撹拌羽根を有する撹拌機を1つ有すること、(iv)排ガス脱硫室の水平断面積と同じ水平断面積の円の直径(等面積直径)Deに対する吸収液の静止液面の高さHの比H/Deが0.2以上であること、を特徴とする排ガスの脱硫装置が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において用いる密閉槽は、その水平断面が四辺形(正方形又は長方形)を示すものである。本発明では、その密閉構内に形成された水平断面が四辺形の排ガス脱硫室の中心部又はほぼ中心部に相当する位置に、水平方向に回転する撹拌羽根を有する撹拌機を配設する。図1に密閉槽又は密閉槽内に形成された排ガス脱硫室の水平断面図を示す。
図1において、線A(1)、A(2)、B(1)及びB(2)はいずれも密閉槽の周壁(側板)を示し、これらの線を辺とする四辺形は、密閉槽又は排ガス脱硫室の水平断面形状を示す。a及びbはその四辺形(正方形又は長方形)の横方向の長さと縦方向の長さを示す。Xはその四辺形Rの中心部又はほぼ中心部を示し、Xはその左辺からc、右辺からd、上辺からe、下辺からfの位置にある。
図1に示した四辺形Rにおいて、その横方向の上辺(A(1))と下辺(A(2))の長さはaで、その縦方向の両側辺(B(1)、B(2))の長さはbで、その面積はa×bである。この四辺形Rにおいて、a/bは0.7〜1.4、望ましくは0.95〜1.05とするのが好ましい。a/bの比が前記範囲を逸脱すると排ガスの脱硫処理を効率よく行うことが困難になる。また、四辺形Rにおけるc:d及びe:fは0.9〜1.1、望ましくは0.98〜1.02とする。c/d及びe/fの比が前記範囲を逸脱すると、排ガスの脱硫処理を効率よく行うことが困難になる。
【0007】
図2に、図1に示した四辺形状の水平断面を有する排ガス脱硫室内に撹拌機を配設したときの状態説明図を示す。
この図において、撹拌機Sは、四辺形Rの中心部又はほぼ中心部Xに対応する位置に配設されている。即ち、四辺形Rの中心部又はほぼ中心部Xの位置に、水平方向に回転する撹拌羽根を有する撹拌機の垂直回転軸を位置させる。
【0008】
本発明で用いる撹拌機Sとしては、水平方向に回転して、吸収液を下方向に流動させるように形成された撹拌羽根を有するものが用いられる。このような撹拌羽根の回転により、密閉槽内に収容された吸収液は、撹拌羽根の上方から撹拌羽根の下方向に流動され、密閉槽の底面に衝突してその流れを反転して、上方向に拡がりをもって上昇する。また、吸収液は、この撹拌羽根の回転方向と同じ方向へも回動する。
この撹拌機の回転方向と同じ方向に流動する吸収液の回動流は、密閉槽の周壁に接触するが、この場合、密閉槽はその水平断面が従来のように円形状ではなく、四辺形状に形成されていることから、その吸収液の回動流はその四辺形の各辺を形成する側板〔A(1)、A(2)、B(1)、B(2)〕面に衝突するようになる。そして、この吸収液回動流の側板面に対する衝突により、その回動流は大きく乱され、これにより、上方向へ拡がりをもって流動する上昇流がさらに生ずる。このようにして、撹拌機周囲には、流速分布の均一性がよい上方向へ拡がりをもって流動する十分な量の上昇流が形成される。その結果、効率のよい排ガスの脱硫が達成される。
本発明で用いる撹拌機の大きさは、その消費する電力で表わして、吸収液10m3当り、0.4kw以上、好ましくは0.8〜1.2kwである。
【0009】
本発明の場合には、前記したように、水平断面が円形状の従来の排ガス脱硫室に必要とされたバッフル板や複数の撹拌の配設を要することなく、1つの撹拌機の使用により、排ガス脱硫室内には、吸収液の均一な上昇流を生じさせることができ、効率の良い脱硫を行うことができる。もちろん、本発明の場合でも、必要に応じバッフル板を用いることができるが、バッフル板を用いなくても、前記のように均一な上昇液流が形成されるので、通常の場合はその設置は特に必要とされない。
【0010】
次に本発明を図面を参照して説明する。
図3は3室構造の排ガス脱硫装置の1例についての模式図を示す。この図において、1は脱硫装置、2は密閉槽、3は第1隔板、4は第1室、5は第2室、6は第3室、7は排ガス導入口、8は排ガス排出口、9は排ガス分散管、10は排ガス噴出孔、11は攪拌羽根、12は攪拌軸、13は吸収剤供給管、14は酸化用空気供給管、15は吸収液抜出管、16は第2隔板、17は排ガス上昇筒、18は洗浄液供給管、19は洗浄液排出管、20は天板、Lは吸収液、Wは吸収液の静止液面、Aは気液混合相(フロス層)、Bは固液体分離空間を各々示す。
図4に、四辺形R内に排ガス分散管、撹拌機及び排ガス上昇筒を配設したときの1例についての説明図を示す。図4において、9は排ガス分散管、12は撹拌軸、17は排ガス上昇筒を示す。
【0011】
図3に示す排ガス脱硫装置は、その水平断面形状が四辺形の密閉槽2の内部を第1隔板3及び第2隔板16によって区画して、第1室4、第2室5及び第3室6の3室構造に形成されている。第1隔板3及び第2隔板16は、水平板、階段状板、傾斜板等のいずれでもよい。第1室4はその内部に吸収液Lを収容し、排ガス脱硫室を形成する。第2室5には排ガス導入口7が配設され、ここから導入された排ガスは、排ガス分散管9を通じて排ガス噴出孔10から吸収液Lの静止液面Wより下の部分に吹き込まれる。排ガス噴出孔10より上方には、気液混合相Aが形成され、ここで排ガス中の亜硫酸ガスが吸収される。吸収液Lとしては、カルシウム化合物又はカルシウム化合物含有物、例えば石灰石及び/又は消石灰を吸収剤として含む石こうスラリー等が用いられる。
【0012】
第1室4内の気液混合相Aの上方に放散された浄化排ガスは、第1室4の上部空間B(固液体分離空間)を上昇しながらかつ水平方向に移動する。このようにして浄化排ガスが流動する間に、排ガス中のミスト及び固体粒子は固液体分離空間Bにおいて重力沈降により及び排ガス分散管9との衝突によりその大部分は浄化排ガスから分離される。固液体の分離された浄化排ガスは、排ガス上昇筒17を上昇し、第3室6に導入される。第3室6において、浄化排ガスは上昇流から略水平流に方向転換し、浄化排ガスに同伴されるミスト及び固体粒子が分離された後に排ガス排出口8から排出される。
【0013】
第3室6の底面(第2隔板16)上に堆積した固体粒子は、洗浄液、例えば石こう含有スラリー、石こうを分離した吸収液、水、海水などの液体を間欠的又は連続的に洗浄液供給管18から供給して第2隔板16の表面から剥離させ、洗浄液とともに1箇所以上の洗浄液排出口19から排出させる。
排ガス上昇筒17から第3室6に導入された浄化排ガスは、第3室6の天板に衝突した後、略水平流に方向転換するため、排ガスに同伴されるミスト及び固体粒子がその衝突により及び重力沈降により浄化排ガスから分離される。なお、排ガス排出口8は、必ずしも側壁に配設する必要はなく、天板に配設することもできる。
【0014】
排ガス分散管9は、円形、三角形、四角形、六角形などの多角形若しくはトラフなどの任意の断面形状のものとすることができる。また、排ガス分散管9の周壁には、水平面から一定の高さの位置に複数の排ガス噴出孔10が開いており、その排ガス噴出孔の形状は円形、三角、四角、六角、星型など任意の形状とすることができるし、スリット状にすることも可能である。この排ガス噴出孔10は、排ガス分散管9に対し、高さ一定の一列に配列してもよいし、高さの異なる二列又は三列以上に配列してもよい。
さらに、排ガス分散管9は、その先端をノズル構造にし、その先端ノズルから排ガスを下方向に噴出させることもできる。
排ガス分散管9の相当内直径は、一般的には、25〜300mm、好ましくは50〜300mmである。排ガス噴出孔10の相当直径は3〜100mm、好ましくは5〜50mmである。3mm未満では、閉塞の問題がある。
なお、排ガス分散管の相当内直径及び排ガス噴出孔の相当直径は次式で示される。
A:排ガス分散管の排ガス噴出孔の配設位置における内部空間の水平断面積
B:排ガス分散管の排ガス噴出孔の配設位置における内部空間の水平断面を囲む周辺の長さ
C:排ガス噴出孔の面積
D:排ガス噴出孔の周辺の長さ
排ガス分散管9の下端開口部の形状は、単純な水平端面をもつもの、任意の傾斜端面をもつもの、鋸の刃状または複数のノッチを切った形状をもつものなどいずれでもよい。
排ガス分散管9としては、内径25〜300mmの円筒管からなり、その側壁のほぼ一定の高さに一定間隔で開口した直径5〜100mmの円形孔を形成したものの使用が好ましい。このような排ガス分散管は、市販の低廉なプラスチック円筒管を使用して容易に作製することができる。
【0015】
排ガス上昇筒17の横断面形状は、円形や正方形、長方形等の各種の形状であることができる。この排ガス上昇筒の数は該排ガス上昇筒内の排ガスの上昇速度が6〜20m/s、好ましくは8〜15m/sとなるよう選定すればよい。排ガスの速度を6m/sより小さくすると第1室が大きくなり過ぎるので経済的ではなく、20m/s以上では排ガス中のミスト及び固体粒子が上昇排ガスに巻き込まれるという問題がある。
【0016】
図3に示した第1室4内においては、亜硫酸ガスと吸収剤と酸素との反応が起り、この反応で生成した石こうは、これを吸収液とともにライン15を介して系外へ除去し、一方、その反応で消費した吸収剤に相当する吸収剤をライン13を介して吸収液中へ供給する。
【0017】
気液混合相Aにおいては、以下の反応式で示される亜硫酸ガスと吸収剤と酸素との反応が起り、排ガス中の亜硫酸ガスは石こうとして固定化される。
SO2+CaCO3+1/2O2+H2O
→ CaSO4・2H2O↓+CO2↑
排ガスの脱硫率を向上させるためには、気液混合相Aにおける前記反応を効率よく行わせることが必要となる。1時間当りに吸収液中へ導入される空気中の酸素と亜硫酸ガスとのモル比(O2/SO2)を0.5〜6、好ましくは1〜5の範囲に設定し、これにより、前記反応を効率よく行わせることができる。
【0018】
ライン14を介して吸収液中へ吹込む空気量を多くするにつれて空気を吸収液へ吹込むエネルギー量も増大することから、過剰の空気量の吹込みは好ましいものではない。
従って、経済的な観点からは、空気吹込み量は、前記O2/SO2モル比が特に1〜5の範囲になるように規定するのがよい。
【0019】
本発明においては、排ガス脱硫室4の吸収液の静止液面Wの高さHと等面積直径Deとの比H/Deを0.2以上、好ましくは0.25以上にするのがよい。前記値より小さくなると、撹拌により好ましい吸収液の液流れを形成するのが困難になるので好ましくない。
【0020】
図5は、2室構造の排ガス脱硫装置の1例についての模式図を示す。この図において、図3に示された符号と同一の符号は同一の意味を有する。
図5に示した脱硫装置においては、第1室4内の吸収液と接触して浄化された排ガスは、その平均上昇速度を0.5〜5m/s、好ましくは0.7〜4m/s、平均水平速度を8m/s以下、好ましくは6m/s以下に保持され、第1室4の上部空間Bを上昇しながらかつ水平方向に移動する。このようにして浄化排ガスが流動する間に、排ガス中のミスト及び固体粒子は、固液体分離空間Bにおいて重力沈降により及び排ガス分散管9との衝突分離により排ガス中から分離され、ミスト及び固体の分離された浄化排ガスは排ガス排出口8から排出される。
【0021】
図6は、2室構造の排ガス脱硫装置の他の例についての模式図を示す。
図6に示した装置は、その中央部には、第2室5を貫通し、その下端が第1室4内に開口する排ガス上昇筒31が立設されている。この排ガス上昇筒の横断面形状は四角形や八角形等の方形状や円形状等であることができる。排ガス上昇筒31の配設数は1個又は複数個であることができ、装置規模によって適宜選定する。図6における20は第2室5の天板を示し、33は空気吹き込みノズルを示す。
排ガス排出口8は排ガス上昇筒の上端に配設された密閉板に配設してもよいし、排ガス上昇筒の側壁に配設してもよい。図6の場合、排ガス排出口は側壁に配設されている。
排ガス上昇筒31の上部内部には充填層32が配設され、その上方には吸収液分散手段としてのスプレーノズル37が配設されている。充填層32は、必要に応じ、省略することができる。
充填層32に用いる充填材としては、従来公知の各種のもの、例えば、ラシッヒリング、テラレット、ポールリング、サドル、レッシングリング、木格子等を挙げることができる。充填層32の厚さは特に制約されず、適宜決められるが、通常は0.5〜5mである。充填層は、多孔板上に充填して形成されることができるし、内面に金網を積層した多孔板上に充填して形成させることもできる。
【0022】
図6に示した装置を用いて排ガスの浄化処理を行うには、排ガスを排ガス導入ダクト7から第2室5内に導入し、ここからガス分散管9を介して第1室4内の吸収液L中に吹込む。吸収液中に吹込まれた排ガスは気泡となって上昇し、その分散管のガス噴出孔より上方には気泡と吸収液との混合相からなる気液混合相Aが形成される。排ガスが吸収液中を気泡として上昇する間に排ガス中に含まれている汚染物質は吸収液と反応し、排ガス中から除去される。
このようにして浄化された排ガスは、気液混合層Aから上部空間に放散され、排ガス上昇筒31開口内に集められ、ここからその筒内を上昇する。排ガス上昇筒内には、吸収液導管36、ポンプ35を通って循環させる吸収液がスプレーノズル37からスプレーされ、充填層32内を流下している。排ガス上昇筒31内を上昇する排ガスは、この充填層32内において流下する吸収液と接触した後、浄化排ガス排出口8を通って排出される。吸収剤は、吸収剤導入管34から吸収液導管33に導入される。また、この吸収剤は、吸収液導入管38を介して吸収液L中に導入することもできる。
【0023】
排ガス上昇筒31の横断面積S1と第1室4の横断面積S2との比S1/S2は、0.1〜0.9、好ましくは0.3〜0.7の範囲に規定するのがよい。S1/S2が前記範囲より大きくなると、排ガス分散管9の必要本数を配設するための隔板3の表面を広くする必要が生じ、装置全体が大きくなる上、少量の吸収液を排ガス上昇筒31内に分散させるときに、その吸収液を安定的に均一に分散させるのが困難になる。
一方、前記範囲より小さくなると、排ガス上昇筒31内を上昇するガス上昇線速度が高速になりすぎて、排ガスの圧力損失が大きくなったり、第1室5の上部空間での排ガスの偏流が大きくなる等の問題が生じるので好ましくない。排ガス上昇筒31の高さは特に制約されないが、隔板3からスプレーノズル37での距離は2m以上、好ましくは4〜7mの範囲に規定するのがよい。
また、排ガス上昇筒31を上昇する排ガスの上昇線速度は、1.0m/秒以上、好ましくは1.5〜3m/秒の範囲に規定するのがよい。排ガスの上昇線速度が前記範囲より小さいと、充分な気液接触効率が確保できない等の不都合を生じるので好ましくない。排ガスの上昇線速度を前記範囲に規定することにより、排ガス上昇筒31内における排ガスからの汚染物質の除去を少ない吸収液の使用量で効率よく除去することができる。
さらに、スプレーノズル37からスプレーさせる吸収液の量は、標準状態に換算された排ガス量1m3/hr当り、通常、0.1〜10kg/hr、好ましくは0.2〜2kg/hrである。このような吸収液量をスプレーさせることにより、排ガス中に残存する極く少量の汚染物質を効果的に除去することができる。
【0024】
図6に示した装置は2室構造のもので、しかも排ガス上昇筒の数も少なく、通常は1個で十分であることから、構造簡単で装置コストが低いという利点が得られる。その上、排ガス上昇筒31を上昇する排ガス流速は、その排ガス上昇筒の横断面積により自由に選定することができ、その断面積を小さくすることにより速くすることができるので、排ガス上昇筒内での排ガスと吸収液との接触を緊密に行うことができ、排ガス上昇筒内での排ガス中からの汚染物質の除去率を高くすることができる。さらに、図6に示す装置の場合には、装置の天板20の高さが低くなるので、水平方向に回転する撹拌機を採用した場合には、撹拌機のシャフト長さが短かくなり、取り付けが容易となる上、図3に示す3室構造の装置に見られる第3室の底板(第2隔板16)上への石膏堆積がなくなる等の利点も得られる。
【0025】
本発明の脱硫装置において、その密閉槽内の圧力は負圧又は加圧のいずれであってもよいが、好ましくは負圧である。負圧の場合には、大気圧よりも0〜1,000mm水柱程度低い圧力が採用される。密閉槽内を負圧にするには、排ガス排出口を、排煙処理ファンに連結し、その排ガス排出口を介して密閉槽内の排ガスを吸引して排出させる。密閉槽内を加圧するには排煙処理ファンを脱硫装置の入口に設置し、密閉槽内へ排ガスを押し込む。密閉槽内を加圧にする場合と負圧にする場合を比較すると、負圧にする方が排煙処理ファンの動力が小さくなる。水平断面が丸型の脱硫装置では密閉槽内圧力を加圧から負圧に変えた場合、槽形状を保つため構造部材重量が増加するのに対し、水平断面が四辺形の脱硫装置では構造部材重量は変らない。故に水平断面を四辺形にすることにより負圧にすることによる排煙処理ファン動力減少の利点をそのまま享受できる。
【0026】
【発明の効果】
本発明で脱硫反応に用いる密閉槽は、その水平断面が四辺形状を有し、その四辺形の中心部又はほぼ中心部に相当する位置に水平方向に回転する1つの撹拌機を配設した構造を有する。
従って、本発明では、密閉槽を大型化し、そのため、槽の水平断面積に対する液深(静置液面の高さ)の比が小さくなっても、撹拌機吐出量に対する槽内上下の液循環量の比を大きく保持することができるとともに、各撹拌機周囲の液上昇流速分布の不均一性も小さく保持することができ、その結果、排ガスの脱硫処理を効率良くかつ安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる密閉槽又は排ガス脱硫室の水平断面形状を示す。
【図2】図1に示した四辺形状の水平断面を有する排ガス脱硫室内に撹拌機を配設したときの状態説明図を示す。
【図3】3室構造の脱硫装置の1例についての模式図を示す。
【図4】四辺形Rに排ガス分散管、撹拌軸及排ガス上昇筒を配設したときの1例についての説明図を示す。
【図5】2室構造の脱硫装置の1例についての模式図を示す。
【図6】2室構造の脱硫装置の他の例についての模式図を示す。
【符号の説明】
1:脱硫装置
2:密閉槽
3:第1隔板
4:第1室
5:第2室
6:第3室
7:排ガス導入口
8:排ガス排出口
9:排ガス分散管
10:排ガス噴出孔
11:撹拌羽根
12:撹拌軸
13:吸収剤供給管
14:酸化用空気供給管
15:吸収液抜出管
16:第2隔板
17:排ガス上昇筒
18:洗浄液供給管
19:洗浄液排出口
31:排ガス上昇筒
32:充填層
R :四辺形
X :四辺形の中心部又はほぼ中心部
S :撹拌機
Claims (2)
- 排ガスを、密閉槽内に形成された排ガス脱硫室内に収容されている吸収液中に吹込む工程を有する排ガスの脱硫方法において、
(i)該密閉槽としてその水平断面が四辺形であって槽内が大気圧より低い圧力に保持された密閉槽を用いること、
(ii)その四辺形の横方向の辺の長さaと縦方向の辺の長さbとの比a/bが、0.7〜1.4の範囲にあること、
(iii)該密閉槽内に形成された水平断面が四辺形の排ガス脱硫室のその四辺形の中心部又はほぼ中心部に相当する位置に水平方向に回転する撹拌羽根を有する撹拌機を1つ配設すること、
(iv)排ガス脱硫室の水平断面積と同じ水平断面積の円の直径(等面積直径)Deに対する吸収液の静止液面の高さHの比H/Deが0.2以上であること、
を特徴とする排ガスの脱硫方法。 - 排ガスを、密閉槽内に形成された排ガス脱硫室内に収容されている吸収液中に吹込む機構を有する排ガスの脱硫装置において、
(i)該密閉槽の水平断面が四辺形であって槽内が大気圧より低い圧力に保持されていること、
(ii)その四辺形の横方向の辺の長さaと縦方向の辺の長さbとの比a/bが、0.7〜1.4の範囲にあること、
(iii)該密閉槽内に形成された水平断面が四辺形の排ガス脱硫室のその四辺形の中心部又はほぼ中心部に相当する位置に水平方向に回転する撹拌羽根を有する撹拌機を1つ有すること、
(iv)排ガス脱硫室の水平断面積と同じ水平断面積の円の直径(等面積直径)Deに対する吸収液の静止液面の高さHの比H/Deが0.2以上であること、
を特徴とする排ガスの脱硫装置。
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