JP3636149B2 - 4輪駆動車の駆動力制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主駆動輪の加速スリップ量に応じて従駆動輪を駆動して4輪駆動状態となる4輪駆動車の駆動力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、従来の4輪駆動車の駆動力制御装置としては、例えば特開平7−172204号公報に記載されているものがある。
この制御装置では、前輪と後輪への駆動力の配分を調整可能なトランスファ装置を備え、通常は、主駆動輪である後輪による2輪駆動状態とし、前後車輪速差が生じたとき、つまり後輪が加速スリップすると、従駆動輪である前輪も駆動して4輪駆動状態とする。なお、前輪と後輪の駆動力の配分は、前後車輪速差(の変化率)に応じて調整する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、前輪と後輪との車輪速差が生じたときに、前輪にも駆動力を配分して4輪駆動状態となる。
ここで、滑りやすい低μ路面で発進する場合、加速性を確保するのに加速スリップの有無に関係なく、最初から4輪駆動状態で走行することが望ましい。しかしながら、上記従来例の制御装置では、前輪に加速スリップが発生してから4輪駆動状態に移行するので、発進の当初から4輪駆動状態で発進することができない。
【0004】
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、低μ路での発進であっても所要の加速性を確保することが可能な4輪駆動車の駆動力制御装置を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、2輪駆動状態では主駆動輪に駆動力が供給され、4輪駆動状態では主駆動輪及び従駆動輪にそれぞれ駆動力が供給され、上記従駆動輪に供給される駆動力を、主駆動輪の加速スリップ量に応じた値に可変制御する4輪駆動車の駆動力制御装置において、
制動中の路面と車輪との間の摩擦状態を検出する摩擦状態検出手段と、
該摩擦状態検出手段によって検出された摩擦状態を記憶する記憶手段と、
該記憶検出手段に予め記憶された摩擦状態のうちの最新の摩擦状態に基づき低μ路と判定すると、従駆動輪に対し駆動力を供給状態とし、その駆動力を、上記最新の摩擦状態が低いほど大きな値に制御する先行駆動制御手段を備えることを特徴とするものである。
【0006】
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、運転者の操作による制動操作状態を検出する制動操作状態検出手段を備え、
上記先行駆動制御手段は、上記制動操作状態検出手段の検出に基づき、制動が小さくなる方向への制動操作が行われたと判定すると従駆動輪に対し駆動力を供給状態とすることを特徴とするものである。
【0007】
次に、請求項4に記載した発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載した構成に対し、車体速を検出する車体速検出手段を備え、
上記先行駆動制御手段は、車体速度に応じて駆動力の増加速度を制御し、車体速度が大きいほど上記増加速度を小さくすることを特徴とするものである。
次に、請求項5に記載した発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載した構成に対し、車両の旋回状態を検出する旋回状態検出手段を備え、
上記先行駆動制御手段は、車両の旋回状態に応じて駆動力の増加速度を制御し、旋回度合いが大きいほど上記増加速度を小さくすることを特徴とするものである。
【0008】
次に、請求項6に記載した発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載した構成に対し、主駆動輪と従駆動輪とが同一の駆動源で駆動されることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の効果】
請求項1に係る発明は、主駆動輪に加速スリップが生じる前であっても、低μ路と判定すると4輪駆動状態となって、低μ路での発進当初であっても所要の加速性能を確保できる。
特に、路面と車輪との摩擦状態が低いほど従駆動輪に供給する駆動力を大きく設定することで、摩擦状態に応じた加速性能を確保することができる。
【0010】
次に、ブレーキペダルが戻されるなど、制動が小さくなる方向に制動操作が行われた場合には、アクセルペダルなどが踏まれて車両加速に移行し、もって低μ路で加速スリップが発生する可能性、つまり4輪駆動状態に移行する可能性が大きい。
これに対し、請求項2に係る発明では、制動が小さくなる方向に制動操作が行われたと判定することで2輪駆動状態と判定することで、低μ路で加速に移行して主駆動輪が加速スリップする前に4輪駆動状態に移行可能となって、低μ路面でも所要の加速性が確保される。
【0011】
次に、アンチスキッド制御中における減速度は、車両近辺の路面摩擦係数など、路面と車輪との間の摩擦状態に比例する。したがって、請求項3に係る発明によると、路面と車輪との間の摩擦状態を検出するための複雑な装置を使用することなく、加速に移行する前や発進に移行する前の路面と車輪との間の摩擦状態を検出(推定)することが可能となる。
ここで、通常の制動時でも減速度で路面と車輪との間の摩擦状態を推定可能であるが、アンチスキッド制御中に行うことで精度良く路面と車輪との間の摩擦状態を推定することができる。
【0012】
次に、高速走行になるほど、主駆動輪と従駆動輪との駆動力の比が急に変化することは、車両挙動の面で好ましくないが、請求項4に係る発明では、車速が大きいほど従駆動輪の駆動力変化をゆっくり行うことによって、車両挙動への影響を小さくすることができる。
次に、主駆動輪と従駆動輪との駆動力の比が急に変化させると、直進走行時に比べ、旋回走行など横方向運動を伴う走行中の方が車両挙動への悪影響が大きい。特に、旋回度合い(横方向運動)が大きいほどその影響が大きい。これに対し、請求項5に係る発明では、旋回度合いが大きいほど従駆動輪の駆動力変化をゆっくり行うことで、車両挙動への影響を小さくすることができる。
【0013】
次に、請求項6に係る発明では、主駆動輪と従駆動輪の駆動力配分をトランスファ装置などで調整可能な車両であっても、上述の効果を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る4輪駆動車の駆動力制御装置を説明するための図である。本実施の形態は、通常は、主駆動輪である後輪10RL、10RRだけを駆動する2輪駆動状態を基本とし、従駆動輪である前輪10FL、10FRにも駆動力を分配することで4輪駆動可能な車両を例に説明する。
【0015】
駆動源であるエンジン1の出力は、トランスミッション2及び駆動力配分制御アクチュエータ3によって、フロントプロペラシャフト4及びリヤプロペラシャフト5にそれぞれ伝達可能となっていて、上記駆動力配分制御アクチュエータ3で前後輪の駆動力配分が調整される。
フロントプロペラシャフト4に伝達された駆動力は、フロントデフ6と前軸7とを介して右前輪10FR,左前輪10FLに伝達される。同様に、リヤプロペラシャフト5に伝達された駆動力は、リヤデフ8と後軸9とを介して右後輪10RR,左後輪10RLに伝達される。
また、駆動力配分制御アクチュエータ3は、トランスミッション2とフロントプロペラシャフト4との間に介装される油圧クラッチを備え、駆動力配分制御コントローラ11からの指令に基づいた値に上記クラッチの締結量を調整することによって、前後輪の駆動力配分が可変調整される。クラッチは、油圧クラッチに限定されず、電磁クラッチであっても構わない。
【0016】
車両の各車輪10FR,10FL,1 0RR,10RLにはそれぞれ車輪速度センサ12FR,12FL,12RR,12RLが備えられ、それぞれの検出値を駆動力配分制御コントローラ11や制動コントローラ21などに出力される。
また、車体の旋回度合いを検出する横Gセンサ13と、運転者が制動量を指示するブレーキペダル(不図示)のストローク量を検出するブレーキストロークセンサ14と、運転者の駆動力要求量を指示するアクセルペダル(不図示)の踏み込み量に応じたアクセル開度を検出するアクセル開度センサ15とを備え、各センサ13,14,15は、それぞれの検出値を駆動力配分制御コントローラ11へ出力する。上記ブレーキストロークセンサ14は制動操作状態検出手段を構成する。
【0017】
また、各車輪10FR,10FL,1 0RR,10RLには、それぞれディスクブレーキ装置などの制動装置20FR,20FL,20RR,20RLが設けられ、各制動装置20FR,20FL,20RR,20RLは、制動コントローラ21からの指令に応じた制動力を車輪に付与する。
制動コントローラ21は、ブレーキストロークセンサ14や車輪速度センサ12FR,12FL,12RR,12RLからの信号を入力し、ブレーキストロークセンサ14からの信号に基づき運転者の意思に応じた制動力、及び後輪の加速スリップ量等に応じて公知のABS制御(アンチスキッド制御)のための各輪に付与する制動力を演算し、その演算値に応じた指令を各車輪の制動装置に出力する。また、制動コントローラ21は、ABS制御中の有無を駆動力配分制御コントローラ11に出力する。
【0018】
上記駆動力配分制御コントローラ11は、配分制御演算部11Aと、先行駆動制御部11Bと、駆動力配分制御アクチュエータ指令部11Cとを備える。
配分制御演算部11Aでは、通常は、前後輪の駆動力配分比率が前輪0%:後輪100%の状態となるように目標クラッチ締結指令値を設定し、一方、前後輪回転速差が所定値以上たとえばゼロ以外となると、前後輪回転速度差に応じて目標クラッチ締結力指令値T1を算出し、駆動力配分制御コントローラ11にその値T1を出力する。
【0019】
すなわち、図3に示すように、まず、ステップS10で、各車輪速度センサからの信号が入力され、続いてステップS20にて、後輪回転速度と前輪回転速度との回転速度差を演算してステップS30に移行する。
ΔN =Nr −Nf
ステップS30では、上記回転速度差が「0」か否かを判定し、「0」と判定した場合には、ステップS40に移行して、目標クラッチ締結力T1に「0」を代入して復帰する。一方、回転速度差が「0」でなければ、ステップS50に移行する。
【0020】
ステップS50では、上記回転速度差に応じた目標クラッチ締結力T1を演算して復帰する。
T1 =f(ΔN)
次に、先行駆動制御部の処理を、図4を参照しつつ説明する。
この先行駆動制御部は、所定サンプリング時間単位に次のような処理を行う。
まずステップS110にて、路面μに対応したクラッチ締結制御を実行しているときに「1」となるフラグFLGBが「0」か否か判断し、「0」の場合はステップ120に移行する。一方、「0」でない場合にはステップS300に移行する。このフラグFLGBは、初期値では「0」となっている。
【0021】
ステップS120では、ABS制御が作動しているか否かを判断する。ABS制御作動中と判断した場合にはステップS130に移行し、ABS制御作動中でないと判定した場合には、ステップS160に移行する。
ステップS130では、その時の車体減速度Gを算出し、ステップ140で、算出した車体減速度Gを記憶する。なお、車体減速度Gの算出は、車輪速度を基に推定する車体速度の単位時間当たりの変化量から算出する。
【0022】
続いて、ステップS150にて、車体減速度Gを記憶したことを示すフラグFLGAを「1」として、復帰する。ABS制御作動中は、上記ステップS110〜ステップS150の処理が繰り返し行われ、ABS作動が終了したときは、ステップS160に移行する。ステップS120〜S10が摩擦状態検出手段を、ステップS140が記憶手段を構成する。
ステップS160では、フラグFLGAが「1」か否かを判断する。ここでは、車両を起動してから一度もABS作動していない通常の場合にもステップ160へ移行してくるため、フラグFLGAを見てその後の処理を分けている。すなわち、FLGAが「0」であれば路面μが判らない状態なので、処理を終了して復帰する。一方、フラグFLGAが「1」であれば路面μが判かる状態なので、ステップS170に移行する。
【0023】
ステップS170では、踏まれていたブレーキペダルが緩められたかどうか(制動が小さくなる方向に操作されたと判断できるかどうか)を判定し、緩められたと判定した場合にはステップS180に移行し、緩められていないと判定した場合には、処理を終了して復帰する。
本実施形態では、ブレーキペダルが緩められたか否かを、ストロークの絶対値が所定ストローク(10%)より小さいか否かで判断している。もっとも、これに限定されるわけではなく、例えば、ストロークの変化量からストロークの変化量から減少傾向に移ったことを判断するようにしても構わない。また、ブレーキOFFか否かで判断してもかまわない。
【0024】
ステップ170でブレーキが緩められたと判断した場合は、ステップS180に移行して、過去の複数の演算周期のステップ140で記憶した車体減速度Gの中から最新のものを選択してステップS190に移行する。これは、移動中の車両データの中からなるべく加速・発進時に近い所の車体減速度G(すなわち路面摩擦係数)を取得して、加速・発進時の路面摩擦係数に近似させたいがためである。
【0025】
ここで、ステップS180とステップS190との間で、減速度Gが所定値(0.4)より大きい場合には、つまり低μ路でない場合には、例えばステップS330に移行しても構わない。
ステップS190では、路面μに対応したクラッチ締結力(目標クラッチ締結力T2)を、予め設定されたマップと車体減速度Gとから算出してステップS200に移行する。
【0026】
ここで、車体減速度Gは、路面と車輪との間の摩擦係数に対応し、このステップS190では、車体減速度Gが0.4を越える大きさの摩擦係数の場合には、目標クラッチ締結力T2を「0」とし、また、車体減速度Gが0.4以下の低μ路面に対応する摩擦係数の場合には、車体減速度が小さくなるほど目標クラッチ締結力T2が大きくなるように設定する(図4のステップS190参照)。このように設定することで、低μ路のときにのみ従駆動輪である前輪10FL、10FRを先行駆動する。
【0027】
ステップS200では、車体速度Vを算出し、続いてステップS210にて、車体速度Vに応じた、クラッチ締結力の単位時間当たりの変化量の第1制限値△T2を、予め設定されたマップと車体速度Vとから算出し、ステップS220に移行する。
この第1制限値ΔT2は、車体速が速くなるほど小さくなるように設定してある。
【0028】
ステップS220では、車体の旋回度合い(タイヤの横方向グリップ力の大きさ)として横Gを入力し、続いて、ステップS230にて、横Gに応じた、クラッチ締結力の単位時間当たりの変化量の第2制限値△T2′を、予め設定されたマップと横Gとから算出し、ステップS240に移行する。
このΔT2′のマップは、横Gが小さくなるほど目標クラッチ締結力T2が大きくなるように設定する(図4のステップS230参照)。
【0029】
ステップS240では、上記第1制限値ΔT2と第2制限値ΔT2′とを比較して値の小さい方を選択(セレクトロー)し、最終的なクラッチ締結力の車位時間当たりの変化量の制限値△T2″とし、ステップS250に移行する。
ステップS250では、目標クラッチ締結力T2と現在のクラッチ締結力T0の偏差が、変化量の制限値△T2″より大きいか否かを判断する。すなわち、偏差が制限値△T2″より大きい場合は、ステップ260でいきなり目標クラッチ線結力T2を指令しないように、制限値△T2″に基づいた最終的な目標クラッチ締結力指令値T2″に制限をし、偏差が制限値△T2″以下の場合はステップS270で目標クラッチ締結力T2をそのまま最続的な目標クラッチ締結力指令値T2″とする。
【0030】
ステップ280では、最続的な目標クラッチ締結力指令値T2″を駆動力配分制御アクチュエーター指令部11Cに出力し、続いてステップS290でフラグFLGBを「1」とし、復帰する。
また、ステップS110で上記FLGBが「1」と判定されれば、ステップS300に移行する、ステップS300では、運転者の駆動力要求量(アクセル開度)が所定値より大きいか否か(要求量が低下してきたか否か)を判断する。運転者の駆動力要求量(アクセル開度)が所定値以下の場合は、ステップS330に移行して、路面μに対応したクラッチ締結制御を終了する。これによって、発進・加速後にアクセル開度が少なくなってきた場合にそのタイミングで不要に4輪駆動状態を継続することを防止するものである。
【0031】
また、ステップS300で、運転者の駆動力要求量(アクセル開度)が所定値より大きいと判断した場合には、ステップ310で前後輪回転速度差に応じて算出される目標クラッチ締結力指令値T1を読み込み、ステップS320に移行する。
ステップ320では、T1がT2″より大きいか否かを判断する。目標クラッチ締結力指令値T1の方が小さい場合は、路面μに対応したクラッチ締結制御を継続するようにステップS180に移行する。一方、目標クラッチ締結力指令値T1の方が大きいと判断した場合は、前後輪回転速度差に対応したクラッチ締結制御に切り替えるように、ステップS330で、T2″を「0」にしてステップS340に移行する。
【0032】
このようにすることで、前後輪回転速度差に対応したクラッチ締結制御(配分制御演算部11A)で算出する目標クラッチ締結力指令値T1の方が大きければ、それを実際のクラッチ締結量として選択し、かつ、そこで前後輪回転速度差に対応したクラッチ締結制御に切り替えても、発進・加速当初に4輪駆動状態にしておくことが達成されているので、それをもって制御を切り替えることで、発進・加速後に不要に4輪駆動状態を継続することを防止している。
【0033】
ステップS340では、フラグFLGA及びFLGBを「0」にクリアし処理を終了する。
また、駆動力配分制御アクチュエーター指令部11Cでは、所定サンプリング時間毎に作動して、前後輪回転速度差に応じて算出される目標クラッチ締結力指令値T1と、路面μに応じて算出される目標クラッチ締結指令値T2″とを比較し、値の大きい目標クラッチ締結指令値(=max(T1,T2″))を駆動力配分制御アクチュエーターに出力する。
【0034】
次に、上記構成の装置における動作や作用効果について説明する。
上記構成の駆動制御装置を装備した車両では、前後輪回転速度差が所定値以上(例えば0以上)となって主駆動輪である後輪10RL、10RRに加速スリップが生じると、駆動力の一部が従駆動輪である前輪10FL、10FRにも分配されて、4輪駆動状態となって所定の発進特性及び加速特性が確保される。
また、低μ路と判定されれば、後輪10RL、10RRが加速スリップする前に路面と車輪との間の摩擦係数に応じた駆動力が前輪10FL、10FRにも分配される結果、滑りやすい低μ路での走行時及び発進時に、早期に4輪駆動状態となって、加速当初及び発進当初の加速性能及び発進性能が向上する。
【0035】
特に、路面と車輪との摩擦状態が低いほど従駆動輪に供給する駆動力を大きく設定することで、摩擦状態に応じた加速性能を確保することができる。
また、ブレーキペダルが戻されて、制動が小さくなる方向に制動操作が行われた場合には、すぐにアクセルペダルなどが踏まれて車両加速に移行し、もって低μ路では加速スリップが発生する可能性が高いが、本実施形態では、制動が小さくなる方向に制動操作が行われることで、低μ路で加速に移行して後輪が加速スリップする直前に4輪駆動状態に移行することで、加速スリップに応じた4輪駆動状態となりやすい場合にだけ先行して4輪駆動状態となって、不必要に前輪10FL、10FRに駆動力を分配することを防止している。
【0036】
また、アンチスキッド制御中における減速度で路面と車輪との間の摩擦状態を検出(推定)することで、複雑な装置を使用することなく、しかも精度良く路面と車輪との間の摩擦状態を検出(推定)することが可能となる。
また、車速が大きいほど前輪10FL、10FRでの駆動力変化をゆっくり行うことで、車両挙動への影響を小さくすることができる。
さらに、旋回度合いが大きいほど従駆動輪の駆動力変化をゆっくり行うことで、車両挙動への影響を小さくすることができる。
【0037】
ここで、図5〜図7にタイムチャートの例を示す。
図5は、ABS制御による制動で停止、再度発進した場合の例である。なお、路面が低μ路の場合である(図6,図7でも同様である)。低μ路であれば、後輪が加速スリップする前に4輪駆動状態が確保されることがわかる。
図6は、ABS制御による制動で停止し、再度発進し加速途中で主駆動輪である後輪に加速スリップが生じた場合の例である。目標クラッチトルクT2″よりも一時的に目標クラッチトルクT1が大きくなると、それに応じたクラッチ締結力が確保されることが分かる。
【0038】
図7は、ABS制御で停止まで至らず、再度加速した場合の例示である。
ここで、上記実施形態では、アクセル開度の絶対値が所定値より大きいか否かで判断しているが、アクセル開度の変化量から減少傾向に移ったことを判断するようにしてもかまわないし、アクセルOFFか否かで判断してもかまわない。
また、実施形態では車体の旋回度合いを検出する横Gセンサ13と、ブレーキが緩められるのを検出するためのブレーキストロークセンサ14とを用いたが、例えば、横Gセンサ13の替わりに操舵角度、または左右輪速差を検出し車体の旋回度合いを検出してもよいし、ブレーキストロークセンサ14の替わりに制動装置に供給されるブレーキ液圧を検出しその変化からブレーキが緩められるのを検出するようにしてもよい。
【0039】
また、本実施形態では、1つの駆動源を備え、通常は後輪にのみ駆動力を配分する2輪駆動を基本に、前輪にも駆動力を配分可能な4輪駆動車両について説明したが、これに限定されない。前後輪が各々別の駆動源で駆動され2輪駆動と4輪駆動との可変制御可能な車両であっても本願発明は適応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく実施形態に係る車両の構成を説明する図である。
【図2】本発明に基づく実施形態に係る駆動配分制御コントローラを示す図である。
【図3】本発明に基づく実施形態に係る配分制御演算部の処理を示す図である。
【図4】本発明に基づく実施形態に係る先行駆動制御部の処理を示す図である。
【図5】本発明に基づく実施形態に係る制御によるタイムチャートの例を示す図である。
【図6】本発明に基づく実施形態に係る制御によるタイムチャートの例を示す図である。
【図7】本発明に基づく実施形態に係る制御によるタイムチャートの例を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 トランスミッション
3 駆動力配分制御アクチュエータ
4 フロントプロペラシャフト
5 リヤプロペラシャフト
6 フロントデフ
7 前軸
8 リヤデフ
9 後軸
10FL、10FR 前輪
10RL、10RR 後輪
11 駆動力配分制御コントローラ
11A 配分制御演算部
11B 先行駆動制御部
11C 駆動力配分制御アクチュエータ指令部
12FL、12FR、12RL、12RR車輪速度検出センサ(車体速検出手段)
13 横Gセンサ(旋回状態検出手段)
14 ブレーキストロークセンサ(制動操作状態検出手段)
15 アクセル開度センサ
20FL、20FR、20RL、20RR 制動装置
21 制動コントローラ
T1 前後輪差に基づく目標クラッチトルク
T2″ 先行して生じる目標クラッチトルク

Claims (6)

  1. 2輪駆動状態では主駆動輪に駆動力が供給され、4輪駆動状態では主駆動輪及び従駆動輪にそれぞれ駆動力が供給され、上記従駆動輪に供給される駆動力を、主駆動輪の加速スリップ量に応じた値に可変制御する4輪駆動車の駆動力制御装置において、
    制動中の路面と車輪との間の摩擦状態を検出する摩擦状態検出手段と、
    該摩擦状態検出手段によって検出された摩擦状態を記憶する記憶手段と、
    該記憶検出手段に予め記憶された摩擦状態のうちの最新の摩擦状態に基づき低μ路と判定すると、従駆動輪に対し駆動力を供給状態とし、その駆動力を、上記最新の摩擦状態が低いほど大きな値に制御する先行駆動制御手段を備えることを特徴とする4輪駆動車の駆動力制御装置。
  2. 運転者の操作による制動操作状態を検出する制動操作状態検出手段を備え、
    上記先行駆動制御手段は、上記制動操作状態検出手段の検出に基づき、制動が小さくなる方向への制動操作が行われたと判定すると従駆動輪に対し駆動力を供給状態とすることを特徴とする請求項1に記載した4輪駆動車の駆動力制御装置。
  3. 上記摩擦状態検出手段は、アンチスキッド制御中における制動時の摩擦状態を所定周期毎に検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した4輪駆動車の駆動力制御装置。
  4. 車体速を検出する車体速検出手段を備え、
    上記先行駆動制御手段は、車体速度に応じて駆動力の増加速度を制御し、車体速度が大きいほど上記増加速度を小さくすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載した4輪駆動車の駆動力制御装置。
  5. 車両の旋回状態を検出する旋回状態検出手段を備え、
    上記先行駆動制御手段は、車両の旋回状態に応じて駆動力の増加速度を制御し、旋回度合いが大きいほど上記増加速度を小さくすることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載した4輪駆動車の駆動力制御装置。
  6. 主駆動輪と従駆動輪とが同一の駆動源で駆動されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載した4輪駆動車の駆動力制御装置。
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