JP2007023979A - 車両駆動スリップ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動輪の差動を効率よく防止することができる車両駆動スリップ制御装置を提供する。
【解決手段】左右駆動輪1RL,1RRの回転速度差ΔVwがブレーキLSD制御開始閾値Aを超えたとき、スリップ輪に対して回転速度差ΔVwに応じた制動力を付与するブレーキLSD制御を行う。このとき、ブレーキLSD制御により制動力を付与したにもかかわらず車両が発進しない場合には、ブレーキLSD制御開始閾値Aを大きくすることで、次回のブレーキLSD制御時に、ブレーキLSD制御の作動初期に駆動輪に伝達される初期駆動トルクを、今回の制御作動時の初期駆動トルクと比して大きくする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、スリップ輪に対して制動力を付与する車両駆動スリップ制御を行う車両駆動スリップ制御装置に関するものである。
従来の車両駆動スリップ制御装置としては、コンベンショナルなデファレンシャルを備え、左右の駆動輪の回転速度差に応じてスリップ輪側へブレーキを付与することで、非スリップ輪の駆動トルクを作用させるというものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この従来装置では、左右の回転速度差に応じてブレーキ制御量を決定し、回転速度差が予め固定された所定値に達するとすぐにスリップ輪に対してブレーキを付与する。これにより、回転速度差発生、スリップ輪へブレーキ付与、非スリップ輪の駆動トルク発生を繰り返しながら、徐々に(リニアに)非スリップ輪へ駆動トルクが発揮される。
特開2000−345876号公報
しかしながら、上記従来の車両駆動スリップ制御装置にあっては、左右の駆動輪の回転速度差に応じて、非スリップ輪に作用する駆動トルクは徐々に増加していくため、大きな駆動トルクを作用させるためには、かなりアクセルを踏み増しして大きな回転速度差を生じさせなければならない。
したがって、例えば、非スリップ輪が凹状の路面にはまって停止しており、脱出するために大きな駆動トルクが必要である場合など、初期の回転速度差が出たところでその差を無くすようにブレーキ制御されてしまうので、なかなか大きな回転差(駆動トルク)が生じないため、かなりアクセルを踏み増ししなければならず、運転者の感覚に合った駆動トルクをなかなか発生できないという未解決の課題がある。また、脱出するまでに長時間ブレーキ制御が作動するので、駆動系の部品に負荷がかかるという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、駆動輪の差動を効率よく防止することができる車両駆動スリップ制御装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る車両駆動スリップ制御装置は、2つの駆動輪の回転速度差を許容するデファレンシャルと、運転者による制動操作と独立して各輪に制動力を発生させる制動制御手段と、各輪の回転速度を検出する回転速度検出手段と、該回転速度検出手段で検出された2つの駆動輪の回転速度差が制御開始閾値以上であるとき、前記制動制御手段を制御して回転速度の速い方の駆動輪に制動力を付与することで路面に駆動トルクを伝達する車両駆動スリップ制御を行うブレーキLSD制御手段とを備える。そして、発進検知手段で、前記車両駆動スリップ制御が作動したにもかかわらず車両が発進しないことを検知したとき、初期駆動トルク制御手段で、次回の車両駆動スリップ制御作動時に、前記車両駆動スリップ制御の作動初期に伝達される駆動トルクである初期駆動トルクを、今回の車両駆動スリップ制御作動時の初期駆動トルクと比して大きくする。
本発明によれば、車両駆動スリップ制御を作動したにもかかわらず車両が発進しない場合には、次回の車両駆動スリップ制御での初期駆動トルクを大きくするので、例えば、非スリップ輪が凹状の路面にはまって停止しており、脱出するために大きな駆動トルクが必要な場合であっても、比較的容易に脱出成功することができ、運転者の感覚に合ったブレーキ制御を行うことができると共に、駆動輪の差動を効率よく防止することができる。また、脱出するまでに長時間を要しないため、駆動系の部品に負荷がかかることを抑制することができるという効果が得られる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態を示す概略構成図である。この車両は、コンベンショナルなデファレンシャルを備える後輪駆動車両である。
図中符号1FL、1FR、1RL及び1RRは夫々左前輪、右前輪、左後輪及び右後輪であり、後輪1RL及び1RRは、エンジン2の駆動力が自動変速機3、プロペラシャフト4、差動機構5及び車軸6を順に介して伝達される駆動輪、前輪1FL及び1FRは従動輪である。
差動機構5は、左右駆動輪1RL,1RRの差動を許容するコンベンショナルなデファレンシャルであり、エンジン2の駆動力は、左右駆動輪1RL,1RRに等配分されて伝達される。
また、前輪1FL,1FR及び後輪1RL,1RRには、夫々制動力を発生する例えばディスクブレーキで構成されるブレーキアクチュエータ11が設けられていると共に、これらブレーキアクチュエータ11の制動油圧が制動制御装置12によって制御される。
ここで、制動制御装置12は、運転者による図示しないブレーキペダルの踏込みに応じて制動油圧を発生すると共に、運転者によるブレーキ操作と独立して後述するコントローラ20からの制動圧指令値PBRに応じて制動油圧を発生し、これをブレーキアクチュエータ11に出力するように構成されている。このブレーキアクチュエータ11及び制動制御装置12が制動制御手段に対応している。
また、各車輪1FL〜1RRには、車輪の回転速度に応じた周波数の車輪速VwFL〜VwRRを出力する回転速度検出手段としての車輪速センサ13FL〜13RRが配設されている。さらに、車両には、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ14が備えられている。
これら各車輪速センサ13FL〜13RRで検出する車輪速VwFL〜VwRRと、アクセル開度センサ14で検出されるアクセル開度Accとが、例えばマイクロコンピュータで構成されるコントロールユニット20に入力される。
また、図中符号15はスロットル制御装置であり、運転者のアクセル操作量に応じてスロットル開度を制御するようになっている。ここで、アクセル操作量に対するスロットル開度ゲインGは、初期値が“1”に設定されており、後述するコントロールユニット20からの制御指令に応じて変更可能となっている。
コントロールユニット20では、図2のブレーキLSD制御処理を実行することで、駆動輪である後輪1RL,1RRに駆動スリップ等による回転速度差が発生したときに、スリップ輪に対してブレーキを付与するための制動圧指令値PBRを前記ブレーキアクチュエータ11に対して出力するブレーキLSD制御(車両駆動スリップ制御)を行うようになっている。
すなわち、ブレーキLSD制御を実行することにより、スリップしている車輪に対してブレーキを付与することで、その反力としてスリップ輪に駆動トルクを発生させると共に、スリップしていない車輪にも駆動トルクを発生させ、結果として左右輪の回転速度差を抑制する。
ところで、従来、左右輪の回転速度差が所定の閾値(例えば、2.5km/h)以上となったとき、その回転速度差に応じてブレーキ制御量を決定し、スリップ輪に対して当該ブレーキ制御量でブレーキLSD制御を実行するというものが知られている。
左右輪の回転速度差が生じるシーンとして、非スリップ輪が凹路の路面にはまって停止し、スリップ輪が空転する場面が考えられる。このような場合、車両が脱出するためには、車両を持ち上げながら発進する必要があり大きな駆動トルクが必要となる。
しかしながら、上記従来装置では、左右輪の回転速度差が予め固定された閾値以上となるとすぐにブレーキLSD制御が介入する。そのため、後右輪が停止し、後左輪が空転している場合、図5のタイムチャートに示すように、運転者がアクセルを踏み込んで左右輪速度差(=|VwRR−VwRL|)が閾値(例えば、2.5km/h)を超えるとすぐに、この左右輪速度差がなくなるように後左輪に対してブレーキが付与され、左右輪速度差がなくなる方向へ収束する。そして、左右輪速度差が零となるとブレーキ付与が解除されるので、再度、後左輪に空転が発生し、左右輪速度差が閾値を超える。すると、再度、後左輪に対してブレーキが付与される。
このように、左右輪速度差発生→後左輪へブレーキ付与→後右輪に駆動トルク発生を繰り返し、後右輪に伝達される駆動トルク(≒ブレーキ力)が脱出(車両移動)可能な駆動トルク以上となる左右輪速度差が発生する状態(アクセル操作時間とアクセル開度と路面抵抗とが関係)になるまでの間、ハンチング状態を起こしながら徐々に(段階的に)後右輪に伝達される駆動トルクが増加していく。
このハンチング状態の間、一瞬、ブレーキ解除する状態が断続的に発生するが、全体的(実質的)には、ブレーキ力の強弱はあるものの、ブレーキ力を引きずりながら段階的に後右輪に伝達される駆動トルクが増加していくことになり、後左輪が溝から脱出するまで即ち後右輪に伝達される駆動トルクを脱出可能な駆動トルクへ増加させるまでにかなりの時間を要するため、ブレーキの負荷を積分値で見ると、駆動系の部品に不要に負荷をかけていることになる。
また、左右の速度差がなくなるように、左右輪速度差に応じてリニアにブレーキ付与されるので、アクセルを踏み増ししてもブレーキ付与により左右輪速度差を抑えこまれてしまい、エンジンからの供給可能なトルクは増していっても、ブレーキ(停止輪へ伝達されるトルク)が左右輪速度差に依存しているため、実際のアクセル操作に応じて停止輪への駆動トルクが発生することにはならない。その結果、運転者に違和感を与えるという問題がある。
なお、この図5では、運転者がアクセルを一度も戻さずに段階的に踏み増しする場合を示しているが、途中でアクセルを戻して再度アクセルを踏んで脱出を試みる場合であっても、上記のことが繰り返されるだけで同様の問題が生じる。
そこで、本実施形態では、ブレーキLSD制御が作動したにもかかわらず、車両が発進しない場合には、車両発進のために大きな駆動トルクが必要であると判断して、次回のブレーキLSD制御作動時に、ブレーキLSD制御の作動初期に伝達される駆動トルクである初期駆動トルクを、今回の制御作動時の初期駆動トルクより大きくする。
次に、コントロールユニット20で実行するブレーキLSD制御処理を図2のフローチャートに従って説明する。このブレーキLSD制御処理は、所定時間毎のタイマ割込み処理として実行され、先ず、ステップS1では、アクセル操作の有無を判定する。そして、アクセル操作ありと判断されたときにはステップS2に移行し、アクセル操作なしと判断されたときには、後述するステップS13に移行する。
ステップS2では、ブレーキLSD作動判定フラグF1が、ブレーキLSD制御が作動中であることを示す“1”にセットされているか否かを判定し、F1=1であるときにはステップS3に移行し、F1=0であるときには後述するステップS10に移行する。
ステップS3では、左右駆動輪としての後左右輪1RL,1RRの車輪速度差ΔVw(=|VwRR−VwRL|)がLSD制御開始閾値Aより大きいか否かを判定し、ΔVw>AであるときにはステップS4に移行し、ΔVw≦Aであるときにはそのままタイマ割込み処理を終了する。ここで、LSD制御開始閾値Aは、初期値2.5km/hに設定するものとする。
ステップS4では、後左右輪1RL,1RRのうち車輪速の速い方の車輪へブレーキ付与するブレーキLSD制御を作動する。具体的には、後左右輪1RL,1RRの車輪速度差ΔVwに予め設定された定数Kを乗じることでブレーキ制御量を算出し、このブレーキ制御量を実現するような制動圧指令値PBRを制動制御装置12に対して出力する。
次いで、ステップS5に移行して、ブレーキLSD作動判定フラグF1を、ブレーキLSD制御が作動中であることを示す“1”にセットしてステップS6に移行し、車両移動距離の計測を行う。
そして、ステップS7で、車両が移動(脱出)したか否かを判定する。この判定は、車両速度を積分した値が零より大きいか否かによって行う。なお、車両速度を積分した値がタイヤ1回転分の値に達したか否かによって判定してもよく、さらにはナビゲーションシステムや路車間通信などで車両移動を検出したことをもって判定してもよい。
前記ステップS7で車両が移動していない(脱出に失敗した)と判断されたときにはステップS8に移行し、脱出判定フラグF2を脱出に失敗したことを示す“1”にセットしてからタイマ割込み処理を終了する。一方、前記ステップS7で車両が移動したと判断されたときには、ステップS9に移行して脱出判定フラグF2、及び脱出失敗回数をカウントするためのカウント値Cを“0”にリセットすると共に、LSD制御開始閾値A及びアクセル操作量に対するスロットル開度のゲインであるスロットル開度ゲインGを初期化(A=2.5km/h、G=1)してからタイマ割込み処理を終了する。
また、ステップS10では、後左右輪の車輪速VwRRとVwRLとが等しいか否かを判定する。VwRR≠VwRLであるときには、左右輪の車輪速度に差があり、ブレーキLSD制御を継続するものと判断して前記ステップS4に移行し、VwRR=VwRLであるときには、ステップS11に移行して、ブレーキLSD制御を停止するために制動圧指令値PBRを0として制動制御装置12に対して出力する。
次にステップS12に移行して、ブレーキLSD作動判定フラグF1を“0”にリセットし、タイマ割込み処理を終了する。
ステップS13では、脱出判定フラグF2が“1”にセットされているか否かを判定し、F2=1であるときにはステップS14に移行し、F2=0であるときには後述するステップS21に移行する。
ステップS14では、前記ステップS7と同様に車両の移動(脱出)判断を行い、車両が移動したと判断されたときには、ステップS15に移行する。ステップS15では、前記ステップS9と同様に、脱出判定フラグF2、及び脱出失敗回数をカウントするためのカウント値Cを“0”にリセットすると共に、LSD制御開始閾値A及びスロットル開度ゲインGを初期化(A=2.5km/h、G=1)し、後述するステップS22に移行する。
一方、前記ステップS14の判定により、車両が移動していないと判断されたときには、ステップS16に移行してアクセル操作がONからOFFへ変化したか否かを判定する。この判定は、前回のサンプリング処理でアクセル操作があり、今回のサンプリング処理でアクセル操作がない状態となったか否かによって行う。そして、前回はアクセル操作ONで今回アクセル操作OFFとなったと判断されたときにはステップS17に移行し、前回のサンプリング処理でもアクセル操作OFFであった場合には後述するステップS21に移行する。
ステップS17では、脱出失敗回数をカウントするためのカウント値Cを1だけインクリメントしてステップS18に移行する。
そして、ステップS18では、ブレーキLSD制御の作動開始判断に用いるLSD制御開始閾値Aを設定する。このLSD制御開始閾値Aは、予め格納されたマップを参照し、カウント値Cによってステップ的に増加変更されるようになっている。これにより、LSD制御開始閾値Aは、駆動スリップが発生してブレーキLSD制御が作動してから、車両が進行方向に移動して脱出成功と判断されるまで、アクセル操作が無いと判断されるたびに段階的に増加する。
つまり、初期値が2.5km/hに設定されており、C=1で5km/h、C=2で10km/hと増加していく。また、C=5のときは、次回に必ず脱出できるようにそれ以前より増加代を大きく設定し、A=30km/hとする。
なお、本実施形態では、LSD制御開始閾値Aの初期値を2.5km/hに設定しているが、これに限定されるものではなく、2km/h〜7km/hの範囲の何れかに設定してもよい。
次にステップS19に移行して、スロットル開度ゲインGを設定しスロットル制御装置15に出力する。このスロットル開度ゲインGは、予め格納されたマップを参照し、カウント値Cによってステップ的に増加変更されるようになっている。これにより、スロットル開度ゲインGは、駆動スリップが発生してブレーキLSD制御が作動してから、車両が進行方向に移動して脱出成功と判断されるまで、アクセル操作が無いと判断されるたびに段階的に増加する。
つまり、初期値が1に設定されており、C=1で1.1、C=2で1.2と増加していく。また、C=5のときは、次回に必ず脱出できるようにそれ以前より増加代を大きく設定し、G=1.6とする。
なお、本実施形態では、LSD制御開始閾値A及びスロットル開度ゲインGを5段階で設定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、1回でも脱出失敗したらA=30km/h、G=1.6とし、初回を含めて2段階で設定する(1回しか変更しない)ようにしてもよく、2段階以上であれば何段階に設定されていてもよい。
次にステップS20で、ブレーキLSD作動判定フラグF1が“1”にセットされており、ブレーキLSD制御が作動中であるか否かを判定し、F1=1であるときにはステップS21に移行し、F1=0であるときには、そのままタイマ割込み処理を終了する。
ステップS21では、前述したステップS10と同様に、後左右輪の車輪速VwRRとVwRLとが等しいか否かを判定し、VwRR≠VwRLであるときには、左右輪の車輪速度に差があり、ブレーキLSD制御を継続するものと判断してステップS22に移行する。ステップS22では、前記ステップS4と同様に、後左右輪1RL,1RRの車輪速度差ΔVwに応じて算出されるブレーキ制御量に相当するブレーキ力を、後左右輪1RL,1RRのうち車輪速の速い方の車輪へ付与するための制動圧指令値PBRを制動制御装置12に対して出力する。
また、前記ステップS21の判定結果が、VwRR=VwRLであるときには、ステップS23に移行して、ブレーキLSD制御を停止するために制動圧指令値PBRを0として制動制御装置12に対して出力する。次に、ステップS24に移行して、ブレーキLSD作動判定フラグF1を“0”にリセットし、タイマ割込み処理を終了する。
この図2の処理において、ステップS1の処理がアクセル操作検出手段に対応し、ステップS3、S4、S10、S11、S21〜S23の処理がブレーキLSD制御手段に対応し、ステップS7及びS14の処理が移動検出手段に対応し、ステップS8、S13及びS26の処理が発進検知手段に対応し、ステップS18の処理が初期駆動トルク制御手段に対応し、ステップS19の処理がスロットルゲイン変更手段に対応している。
次に、本実施形態の動作を図3のタイムチャートをもとに説明する。
今、図4に示すように、自車両MCの後右輪1RRが路面の溝にはまって停止し、後左輪1RLが空転しているものとする。この状態で、図3(a)に示すように時刻t1で運転者がアクセルペダルを踏み込むと、後右輪1RRは停止しているため、図3(b)に示すように後左輪1RLの輪速VwRLのみが徐々に増加することになる。そして、時刻t2で後左右輪1RL,1RRの車輪速度差ΔVwが初期値(2.5km/h)に設定されたLSD制御開始閾値Aに達すると、図2のステップS3からステップS4に移行し、左右車輪速度差ΔVwに応じたブレーキ制御量を実現するための制動圧指令値PBRが制動制御装置12に出力されることで、空転輪である後左輪1RLに対してブレーキ力が付与される(ブレーキLSD作動)。これにより、図3(c)に示すように、後右輪1RRへ駆動トルクαが伝達されることになる。しかし、このときに発生する駆動トルクは車両移動(脱出)に必要な駆動トルクに満たないため、車両の進行方向の移動を検出できず、ステップS7で脱出失敗と判断されて脱出判定フラグF2=1となる。その後、左右車輪速度差ΔVw=0となるまで、左右車輪速度差ΔVwに応じたブレーキ制御量でブレーキLSD制御が継続される。
そして、時刻t3で運転者によるアクセル操作がなくなったものとすると、ステップS1からステップS13に移行し、脱出に失敗しており脱出判定フラグF2=1であるため、ステップS14に移行する。車両は脱出していないことから、ステップS14の判定によりステップS16に移行し、前回の演算処理ではアクセル操作ONであり、今回アクセル操作OFFとなったので、ステップS17に移行して、脱出失敗回数を示すカウント値Cが“1”にインクリメントされる。そして、ステップS18でLSD制御開始閾値Aが初期値より大きい5km/hに設定される。これにより、次回のアクセル操作時には、左右車輪速度差ΔVwが5km/hに達しないとブレーキLSD制御が作動されないことになる。
また、ステップS19では、スロットル開度ゲインGが初期値より大きい1.1に設定される。これにより、次回のアクセル操作時には、今回のアクセル操作時と比べて、同一アクセル開度に対するスロットル開度が大きくなるので、アクセルを少しでも踏めば簡単に左右輪に回転速度差が生じる。つまり、回転速度差が、従来値より大きく設定されたLSD制御開始閾値Aに達するまでの時間は、実質的に従来と変わらない。そのため、アクセルを踏んでから非スリップ輪に発揮される駆動トルクの発生までの時間は従来と比べ遜色はなく、応答性を損なうことを回避することができる。
その後、時刻t4で左右車輪速度差ΔVw>5km/hとなると、ブレーキLSD制御が作動されて、後右輪1RRへ駆動トルクβが伝達される。このとき発生する駆動トルクβは前回のブレーキLSD制御作動開始時に発生した駆動トルクαより大きくなる。
左右輪の回転速度差が大きいということはエンジン回転が高い状態であり、通常よく使用する領域ではエンジン回転が高いほどトルクも大きい。また、回転速度差が大きいということは、差動しているときのエンジン〜トランスミッション〜プロペラシャフトの駆動系の回転体のイナーシャが増加している分、ブレーキLSD制御介入時に作用するイナーシャトルクも大きい。つまり、純粋にLSD制御開始閾値Aが大きくなったことによるブレーキ力のイニシャルUP分[イ]と、駆動系のイナーシャUP分[ロ]との相乗効果によって、今回発生する駆動トルクβは前回発生した駆動トルクαより大きくなる。
このように、ブレーキLSD制御が作動されて駆動トルクが発生したにもかかわらず車両が発進しないことを検知した場合には、アクセルを戻すごとにLSD制御開始閾値Aを大きく変更して、ブレーキLSD制御の作動初期に伝達される初期駆動トルクを、前回の制御作動時の初期駆動トルクと比して大きく発生する。これを、車両が脱出成功するまで繰り返す。
そして、時刻t5で作動されたブレーキLSD制御による伝達駆動トルクγが、脱出に必要な駆動トルクを超えると、車両が脱出に成功して後右輪1RRが回転し始めるため、ステップS7からステップS9に移行して、LSD制御開始閾値Aが2.5km/hに初期化される。その後、時刻t6で、後右輪1RRの車輪速度VwRRが後左輪1RLの車輪速度VwRLと一致すると、ステップS10からステップS11に移行してブレーキLSD制御が停止される。
このように、非スリップ輪に発揮される駆動トルクの発生タイミングが遅れることなく、その発生されるイニシャルトルクは増加されているため、従来装置と比較して車両が脱出(発進)しやすくなる。
そのため、従来装置のように1回のアクセル操作の中でハンチング状態を繰り返し、ずっとブレーキを引きずりながら段階的に後右輪1RR(停止輪)に伝達される駆動トルクが増加し、車両が脱出するまで即ち後右輪1RRに伝達される駆動トルクを増加させるまでに時間がかかるということがない。その結果、ブレーキの積分的負荷を大幅に低減することができる。
このように、上記実施形態では、ブレーキLSD制御が作動したにもかかわらず車両が発進しない場合には、車両発進に大きな駆動トルクが必要であると判断して、次回のブレーキLSD制御での初期駆動トルクを大きくするので、例えば、片輪が溝にはまって停止し、もう片輪が空転している場合、車両発進に必要な駆動トルクが発生しやすくなって、運転者がアクセルを大幅に踏み増しすることなく溝から脱出することができる。また、左右輪の回転速度差がブレーキLSD制御により押さえ込まれてしまう前に、イニシャルトルクの増加により脱出するので、運転者は実際のアクセル操作量に応じて停止輪への駆動トルクが発生しているように感じ、違和感を抑制することができる。さらに、従来装置と比較してブレーキLSD制御の作動時間を短くすることができ、駆動系にかかる負荷を軽減することができる。
また、ブレーキLSD制御を作動した後にアクセル操作が無くなり、且つブレーキLSD制御が作動されてからそれまでの間に車両の進行方向の移動を検出していない状態であるときに、初期駆動トルクを大きくするので、1回目のブレーキLSD制御で脱出失敗した場合、2回目以降は1回目より大きな初期駆動トルクを非スリップ輪に伝達することができる。その結果、従来装置と比較して脱出しやすくなり、運転者がアクセルをかなり踏み増しするまでに脱出をあきらめてしまうことを抑制することができる。
また、ブレーキLSD制御を作動したにもかかわらず車両発進しない場合には、次回のブレーキLSD制御の作動開始閾値を大きくするので、1回目のブレーキLSD制御で脱出失敗した場合、2回目以降は1回目より大きな回転速度差が生じないとブレーキLSD制御が作動しないようにすることができ、効果的に初期駆動トルクを大きくすることができる。
さらに、ブレーキLSD制御の作動開始閾値は、ブレーキLSD制御が作動してから車両が発進できるまで、アクセル操作が無くなるたびに段階的に大きくするので、はじめから不必要な過大トルクをかけすぎてしまうことを防止することができると共に、1回目より2回目、2回目より3回目に大きな初期駆動トルクを伝達することができるので、ずっと車両が脱出できない事態に陥ることを確実に回避することができる。
また、スロットル開度ゲインを、ブレーキLSD制御が作動してから車両が発進できるまで、アクセル操作が無くなるたびに段階的に大きくするので、同一アクセル開度に対してより早く所定回転速度差に達することができ、応答性を向上することができる。また、駆動系の回転体のイナーシャが更に増加することができる分、さらに脱出性能を向上することができる。
なお、上記実施形態においては、本発明をコンベンショナルなデファレンシャルを備える後輪駆動車に適用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、コンベンショナルなデファレンシャルを備える車両であれば、前輪駆動車や四輪駆動車に適用することもできる。
また、センターデフを備える四輪駆動車において、前後輪の一方が空転した際に空転輪へブレーキをかけるような、前後の関係において適用してもよい。
本発明の実施形態を示す概略構成図である。 図1のコントロールユニットで実行されるブレーキLSD制御処理を示すフローチャートである。 本実施形態の動作を説明するタイムチャートである。 本実施形態の動作を説明する車両状態図である。 従来装置における動作を説明するタイムチャートである。
符号の説明
1FL〜1RR 車輪
2 エンジン
3 自動変速機
4 プロペラシャフト
5 差動機構
6 車軸
9 ステアリングホイール
11 ブレーキアクチュエータ
12 制動制御装置
13FL〜13RR 車輪速センサ
14 アクセル開度センサ
15 スロットル制御装置
20 コントロールユニット

Claims (5)

  1. 2つの駆動輪の回転速度差に基づいて、回転速度の速い方の駆動輪に制動力を付与することで路面に駆動トルクを伝達する車両駆動スリップ制御装置において、
    前記車両駆動スリップ制御が作動したにもかかわらず、車両が発進しないことを検知する発進検知手段と、該発進検知手段で車両が発進しないことを検知したとき、次回の車両駆動スリップ制御作動時に、前記車両駆動スリップ制御の作動初期に伝達される駆動トルクである初期駆動トルクを、今回の車両駆動スリップ制御作動時の初期駆動トルクと比して大きくする初期駆動トルク制御手段とを備えることを特徴とする車両駆動スリップ制御装置。
  2. アクセル操作の有無を検出するアクセル操作検出手段と、車両の移動を検出する移動検出手段とを備え、前記発進検知手段は、前記車両駆動スリップ制御の作動後に、前記アクセル操作検出手段によりアクセル操作が無いと判断し、且つ前記車両駆動スリップ制御を作動開始してからそれまでの間に、前記移動検出手段で車両の進行方向への移動が非検出であるとき、車両が発進しないと判断することを特徴とする請求項1に記載の車両駆動スリップ制御装置。
  3. 前記車両駆動スリップ制御は、2つの駆動輪の回転速度差が制御開始閾値以上であるとき、回転速度の速い方の駆動輪に制動力を付与するものであり、前記初期駆動トルク制御手段は、次回の車両駆動スリップ制御での制御開始閾値を今回の車両駆動スリップ制御での制御開始閾値より大きくすることで、次回の車両駆動スリップ制御作動時の初期駆動トルクを今回の車両駆動スリップ制御作動時の初期駆動トルクと比して大きくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両駆動スリップ制御装置。
  4. 前記発進検知手段で車両が発進しないことを検知したとき、次回のアクセル操作時に、運転者によるアクセル操作量に対するスロットル開度ゲインを、今回のアクセル操作時のスロットル開度ゲインと比して大きくするスロットルゲイン変更手段とを備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両駆動スリップ制御装置。
  5. 前記初期駆動トルク制御手段は、前記車両駆動スリップ制御を作動開始してから車両の進行方向への移動を検出するまで、アクセル操作が無いと判断するたびに、前記制御開始閾値及び前記スロットル開度ゲインの少なくとも一方を段階的に大きくすることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両駆動スリップ制御装置。
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