JP3635825B2 - 頭部装着型表示装置及びそのバックライト駆動方法 - Google Patents

頭部装着型表示装置及びそのバックライト駆動方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像表示素子で形成した画像を虚像拡大して視認する頭部装着型表示装置及びバックライト駆動方法に関し、視認性に富み、広範囲にわたるバックライト輝度の調光を実現するための駆動を実現する。
【0002】
【従来の技術】
近年、映像及びデータディスプレイの携帯性を高めるという要請に応えるため、頭部装着型表示装置が提案されている。ディスプレイには、主に透過型液晶パネルを使用するため、後方からバックライトによりパネルを照射する必要がある。そこで、バックライトの駆動方法としては、(1)特開平6−70268号公報、(2)特開平6−335007号公報が挙げられる。
【0003】
図1と図2は、一般的な頭部装着型表示装置に関して説明するものであり、図1が装着状態の側面図、図2が虚像形成光学系の断面図を説明する図であり、(a)がクローズ型、(b)がシースルー型を表す図である。
【0004】
1において、装置本体(60)は、使用者(61)の眼前に虚像形成光学系(62)を有し、ヒンジ部(63)を介して額パッド(64)、スライダ(65)、アーム(66)、耳パッド(67)より構成される装着手段(68)と結合され、該装着手段(68)を使用者(61)の頭部に装着することによって装置本体(60)すなわち虚像形成光学系(62)を使用者(61)の眼前に保持する。
【0005】
図2の(a)において、虚像形成光学系(62)は、少なくとも液晶パネル(70)とその後方から液晶パネル(70)を照射するためのバックライト(12)から成る画像表示素子(71)と、反射ミラー(72)、拡大光学手段であるレンズ(73)から構成される。画像表示素子(71)より出射された画像光は、反射ミラー(72)によって光路が変更され、レンズ(73)によって眼内で画像光が結像され、使用者(61)は視線前方に拡大虚像(74)を視認することができる。
【0006】
(b)は、装置本体(60)を掛けたまま外景情報が視認できるシースルー対応の機構であり、拡大光学手段である凹面鏡(80)とハーフミラー(81)を使用したシースルー光学系である。画像表示素子(71)から出射された画像光は、ハーフミラー(81)によって一旦光路が変更され、凹面鏡(80)で拡大反射された後、ハーフミラー(81)を透過して眼内に結像される。
【0007】
どちらの場合も、虚像形成光学系(62)の前方に配置したバイザー(82)は、画像光のコントラストを確保して視認性を上げる為に配置されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような頭部装着型表示装置(HMD)において、虚像形成光学系(62)と眼の間及び周辺が開いているため、野外や明るい室内のように周辺照度が高い所で使用すると回り込み光及びシースルーで直接入射する光量の増加等によりコントラストが低下してしまっていた。上記従来例ではそれを解決するために周囲のの光量を測定するセンサーを持ち、その測定結果を元にバックライトの輝度や映像信号の明るさを調整する装置である。
【0009】
しかし、周辺照度に応じてバックライト輝度を制御するか、もしくは映像信号の明るさを調整するだけであり、映像信号自身の特性つまり表示画面の状態は全く考慮されていない。つまり、周辺照度が明るければバックライトやブライトを上げて単に明るくしてしまうため、表示がポジ表示の時には眼に入射する刺激がより強くなり、使用者は疲労を感じることになる。
【0010】
さらに、HMDを掛けたまま外景情報が視認できるシースルー機構にした場合、
使用環境によって表示の見え方に差が出るにも関わらず、調整要素のパラメータは周辺照度、特に眼に入射する光軸方向の照度のみで決まっている。また、シースルー機構で最もよく使われている構造において、パネル出射時のコントラストに比べて眼に入射するそれは1/4に低下している上、周辺照度が高い場合のコントラストはより低下するため、上記のような調整方法だけでは視認性に優れたHMDは実現できない。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的とするところは、第一に使用者の眼に入力する画像刺激を一定に保ち疲労を防止して視認性に富んだ拡大虚像画面を提供する事、第二に低パワーで広範囲な調光が可能な頭部装着型表示装置のバックライト駆動方法を簡単な構成で実現することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、
(手段1)液晶パネルと該液晶パネルを後方から照射するためのバックライトとを備えた画像表示素子と、該画像表示素子によって形成した画像を拡大するための拡大光学手段とを装置本体に収納した頭部装着型表示装置のバックライト駆動方法において、
前記バックライトを駆動するバックライト駆動回路は、前記画像表示素子に表示すべき画像信号の実効電圧(またはブライト電圧)に応じて前記バックライトの輝度を変更することを特徴とする。
【0014】
上記方法によれば、表示する画像信号の実効電圧またはブライト電圧に応じてバックライトの輝度を変更することができる。
【0015】
(手段2) 液晶パネルと該液晶パネルを後方から照射するためのバックライトとを備えた画像表示素子と、該画像表示素子によって形成した画像を拡大するための拡大光学手段とを装置本体に収納した頭部装着型表示装置のバックライト駆動方法において、
前記バックライトを駆動するバックライト駆動回路は、周囲の照度を検出する照度検出手段の出力と第1の基準電圧とを比較した第1の比較結果と、前記画像表示素子に表示すべき画像信号の実効電圧(またはブライト電圧)と第2の基準電圧とを比較した第2の比較結果とを基準にして前記バックライトの輝度を決定することを特徴とする。
【0016】
上記方法によれば、周囲環境の明るさにより決定されるバックライトの輝度と、画像信号の実効電圧またはブライト電圧により決定されるバックライト輝度とを比較し、両者を考慮したバックライトの輝度を設定することができる。
【0017】
(手段3)手段1か2に加え、前記バックライト駆動回路は、前記画像信号の実効電圧またはブライト電圧を検出するための電圧検出手段と、基準電圧と前記電圧検出手段の出力とを比較する比較手段とを備え、前記実効電圧(または前記ブライト電圧)が該基準電圧よりも高い時よりも、前記実効電圧(または前記ブライト電圧)が該基準電圧よりも低い時には前記バックライトの輝度を上げることを特徴とする。
【0018】
上記方法によれば、画像信号の実効電圧レベルが高い、つまり表示画面の内容が白がメインである場合、バックライトの輝度が高いと使用者の眼への刺激が強すぎて使用者は視認眼の疲労を訴えやすい。また、実効電圧レベルが低く、表示画面が黒がメインである場合、バックライトの輝度が明るくないと視認性が悪くなり、こちらも使用者に疲労をもたらす原因となる。そこで、画面の実効電圧レベルの状態に応じてバックライトの輝度を最適なレベルに変える事で、眼に入力する刺激を一定に保ち、眼にかかる負担を極小化して、視認性に富んだ表示を提供できる。
【0019】
(手段4)手段1から3の方法でさらに前記実効電圧(または前記ブライト電圧)の検出期間を前記画像信号の1フィールド期間と一致させたことを特徴とする。
【0020】
上記方法によれば、例えば動画を表示した際にもバックライトの輝度を調節することができる。
【0021】
(手段5)手段1から3の方法でさらに前記実効電圧(または前記ブライト電圧)の検出期間を前記画像信号の1フレーム期間と一致させたるとを特徴とする。
【0022】
上記方法によれば、例えば静止画を表示する場合に手段4に比べ簡易にバックライトの輝度を調節することができる。
【0023】
(手段6)手段1から5の方法で、前記基準電圧は複数の電圧であることを特徴とする。
【0024】
上記方法によれば、調節を細かくすることができる。
【0025】
(手段7)手段2の方法において、前記第1および第2の基準電圧はそれぞれ複数の電圧であることを特徴とする。
【0026】
上記方法によれば、調節を細かくすることができる。
【0036】
(手段)手段6に加えさらに、電圧検出手段の非動作時にその比較手段などへの電源供給を制限するような手段を設けることにより、低消費電力化を図ることも可能である。
【0037】
(手段)液晶パネルと該液晶パネルを後方から照射するためのバックライトとを備えた画像表示素子と、該画像表示素子によって形成した画像を拡大するための拡大光学手段とを装置本体に収納した頭部装着型表示装置において、
前記バックライトを駆動するバックライト駆動回路は、前記画像表示素子に表示すべき画像信号の実効電圧(またはブライト電圧)に応じて前記バックライトの輝度を変更することを特徴とする。
【0038】
上記方法によれば、表示する画像信号の実効電圧またはブライト電圧に応じてバックライトの輝度を変更することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照にして詳述する。
【0040】
(第一の形態)
図3から図6は、本発明の第一の実施形態における頭部装着型表示装置のバックライト駆動方法を表し、図3がバックライトパルス作成手段を説明する図、図4が画像信号の実効電圧でバックライト輝度を調光する方法を説明する図、図5が周辺照度により輝度調光する図、図6がバックライト駆動回路のブロック図である。上述の実施形態と同様に、同様な部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
図3は、バックライトパルス作成手段(1)でBLP(102)を作成される様子を表すブロック図と、そのタイミングチャートである。
図3において、バックライトパルス作成手段 (1) は、同期分離回路 (20) から切り替えSW (23) までである。
【0042】
まず第一に、画像情報源がパソコンや携帯端末装置等のCPUを持つインテリジェント装置とTVやビデオ等のNTSC方式準拠の映像装置とでは、HSYNC(101)の周波数が異なる。以下の実施の形態では、インテリジェント装置から入力された水平同期信号(HSYNC)(101)を使用してバックライトパルス(BLP)(102)を作成する。インテリジェント装置は、ノンインターレース駆動により画面を表示しているが、NTSC方式の映像装置ではインターレース駆動しているため、インテリジェント装置のHSYNC(101)の周波数はNTSC方式の映像装置(14)のHSYNC(112)の周波数の約2倍になる。
【0043】
画像情報源であるインテリジェント装置 (15)から入力されたHSYNC(101)は、カウンタ(21)に入力される。該カウンタ(21)は、HSYNC(101)の2倍・4倍・8倍周期に同期したQ1・Q2・Q3をそれぞれ出力し、マルチバイブレータ(MB)(22)でHSYNC(101)の同期期間と略一致したパルス幅、もしくは任意のパルス幅に設定し、かつQ1〜Q3に同期したHSYNC(101)の1/n周期のパルス(M1,M2,M3)を作成する。上述したMB(22)の3出力と元のHSYNC(101)を合わせた4信号を切り替えSW(23)によって任意に選択しBLP(102)として出力する。また、NTSC方式の映像装置(14)から入力されたHSYNC(112)の場合は、入力段で同期分離回路(20)でコンポジットビデオ信号から同期信号を分離処理した後、全く同様なバックライトパルス作成処理を行う。
【0044】
図4は、画像信号(103)の実効電圧レベル(Vrms)に応じて輝度を調光する回路を説明するための図であり、Vrmsが高い(つまり、表示画面全体が白色がメインで明るい画面)の場合、画像表示素子(71)から出射する絶対光量が多く、使用者の眼に入射する光刺激が強くなり疲労の原因となる為、バックライト(12)の輝度を下げる。ただしあまり輝度を下げるとコントラストが低下し画像の視認性が落ちるので、コントラストをある範囲内に設定するのが望ましい。発明者らの実験によれば、コントラストは20:1〜25:1程度ならば、頭部装着型表示装置の使用者の疲労感が少ないことが判明している。
【0045】
画像情報源であるインテリジェント装置 (15)から入力された画像信号(103)のVrms(またはブライト電圧:Vb)を電圧検出手段(2)で検出後、そのVrmsと基準電圧源(3)で所望の値に設定したVref1〜3との電圧レベルを比較手 (4)で比較する。
【0046】
Vrmsの検出期間は、期間選択手段(32)で1フィールド,1フレーム,任意期間のいずれにも設定可能である。また、期間選択手段(32)の任意期間を選択する場合、カウンタもしくはタイマーにより任意に期間を設定することができる。静止画の場合、画面状態の変化が殆ど無いため、1フレーム(以上)毎に1回ずつ検出すれば十分である。動画の場合には、1フィールド毎に検出すれば常に画面の状態が検出できる。
【0047】
さらに、期間選択手段(32)から出力された期間選択信号(106)は、電源電圧制御手段(33)に入力され、該電源電圧制御手段の出力を基準電圧源A(3)と比較手 (4)と演算処理手段(10)に入力すれば、非選択期間内の間にわたり電源電圧の供給を制御する事ができるため、消費電力削減につながる。
【0048】
(b)において、例として1水平期間における画像信号(103)の状態を表すが、Vref1〜3に対応した比較結果として、Ha1=Vrms−Vref1<0、Ha2=Vrms−Vref2>0、Ha3=Vrms−Vref3>0となり、Han>0の時にはHigh電圧(Vcc)を、Han<0ならLow電圧(GND)をB/L輝度調光手段(11)に出力する。よって、比較手段(4)の出力Ho=L,H,Hとなる。
【0049】
B/L輝度調光手段(11)に入力されたHoは、B/L輝度調光手段(11)内に設けたデジタルSWに入力される。該デジタルSWの出力(D1)は、後述する第二の実施の形態におけるパルス幅変調でのマルチバイブレータ(22)のパルス幅調整用VRの抵抗値を、また電圧変調では電源電圧間に接続されているVRの設定値を変更する事でBLP(102)を整形し、バックライト制御パルス(BLDOUT)(104)としてバックライト(12)に送る。以上より、断続的ではあるが画像信号(103)の信号内容(画面状態:Vrms)に応じてバックライト(12)の輝度をHoレベルに設定する事ができる。上記のように、複数のVrefと比較する事で、より精度が高い検出が行える。
【0050】
また、画像信号(103)の実効電圧の替わりにブライト電圧(Vb:ペデスタルレベルの電圧)を使って、表示画像の状態をバックライト輝度の調光手段にフィードバックしても良い。この場合、Vbを決定している電圧源から直接フィードバックすれば電圧検出手段(2)が不要となり、回路構成が簡単になるため、消費電力も抑えることができる。さらに、VrmsとVbの両方を使って表示画像の状態をバックライト輝度の調光手段にフィードバックしても良い。
【0051】
図5において、電光セル(5)により測定された周辺環境の照度は、その照度に応じた電圧がバッファアンプ(6)で増幅され、電圧(Vs)として出力される。電光セル(5)は、周辺照度がある所(L点)までは線形性を示すが、L点以上では飽和して一定値を示す。
【0052】
Vsは、基準電圧源B(7)で作成された基準電圧(VrefB)とその電圧レベルを比較手段B(8)において比較され、該比較結果Hb=Vs−VrefB>0の場合にはHigh電圧をB/L輝度調光手段(11)に出力する。該B/L輝度調光手段(11)では、複数のVrefBとの比較結果がデジタルSW2に入力される。上記と同様に、デジタルSW2の出力(D2)によって制御されたBLDOUT(104)は、バックライト(12)に送られ電光セル(5)のVsレベルに応じてバックライト輝度を調光できる。
【0053】
(b)は、上記デジタルSWの出力であるD1とD2によりバックライト(12)の輝度を調光する方法を説明する。これにより、使用者は使用環境・状態に合った最適なバックライト輝度を実現する事ができる。
【0054】
比較手段C(9)では、デジタルSW1とデジタルSW2で決定された抵抗値または電圧値と、第一の実施の形態で示した初期設定値(S)に予め設定された抵抗値または電圧値とをそれぞれ比較する。D1とSとの比較結果をH3(=D1−S)、同様にD2とSとの比較結果H4(=D2−S)をそれぞれ演算処理手段(10)に入力する。演算処理手段(10)では、H3とH4の中間値であるH=(H3+H4)/2となる出力Hoを出力する。H3<0,H4<0の場合は、バックライト輝度を上げる方向でかつH3とH4の中間レベルにSSを設定するため、H3とH4それぞれの調光量に対して過度の変化となる事がない。また、演算処理手段(10)の出力Hは、H3とH4の中間値で無くて、どちらかの出力に重み付けを持たせてた所望の値でも良い。それがVsなら、使用する室内環境により大きく変わるため、重み付けをH4に持たせる方が環境に適する意味で望ましい場合が多い。一方、Vrmsの場合には、静止画の場合には大きく分けてポジ・ネガ表示しか無いと考えると余り重要ではないが、動画の場合には1フィールド毎にVrmsが変化するため、その重み付けは重要になる。
【0055】
演算処理手段(10)から出力されたHoは、B/L輝度調光手段(11)内のデジタルSW3によってバックライト輝度を決定している初期設定値SをSSに補正する方向に抵抗値または電圧値を変更する。上記のように設定値をSからSSに変更した事でBLP(102)が成形され、BLDOUT(104)としてバックライト(12)に送られ、画像信号(103)のVrmsと電光セル(5)のVsに応じたバックライト輝度を設定可能となる。
【0056】
図6は、上記(b)の内容を説明するためのブロック図である。
【0057】
本実施の形態によれば、バックライト管の発光効率が最も高いパルス幅を、入力した水平同期信号の同期期間のパルス幅と同じに設定する事で、簡単な回路構成で効率が高く・ロスの少ないバックライトが実現でき、かつ間引きバックライトパルスを任意に選択することで、広範囲にわたって輝度調光が可能となる。
【0058】
また、画像信号の実効電圧レベルや周辺照度レベルに応じてバックライトの輝度を疲労が少ない所望のレベルに変える事で可能なため、眼に入力する刺激・負担を一定に保つことができ、眼にかかる負担を極小化できる。つまり、使用者は使用環境・使用状態に合った最適なバックライト輝度を実現する事ができる。
【0059】
さらに、画像信号の実効電圧に替えてブライト電圧レベルでバックライト輝度を調光しても、上記と同様に使用者の眼への刺激を一定に保てる。また、実効電位の場合に比べて回路が簡単になるため、消費電力を抑えることができる。
【0060】
加えて、実効電圧の検出期間を任意に選択できるため、静止画の場合は画面状態の変化速度が遅いため、1フレーム以上(任意期間)に1回ずつ検出すれば十分であり、動画の場合には1フィールド毎に検出することで、常に画面の状態が検出でき、表示画像の情報に合ったバックライト輝度を設定できる為、使用者は常に一定の画像光を視認することで疲労を極小化できる。さらに、非選択期間での電源電圧の供給を制御する事で、非選択期間における消費電力を削減できる。
【0061】
(第二の形態)
図7は、本発明の第二の実施形態における頭部装着型表示装置のバックライト駆動方法における調光手段を表す図である。上述の実施形態と同様に、同様な部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0062】
ここでは、バックライト(12)の輝度を調光する方法として、BLP(102)のパルス幅を変調するパルス幅変調手段(50)と、バックライト(12)に印加する電圧を変調する電圧変調手段(51)のどちらか一方を切り替え手段(52)によって選択して、バックライト(12)の制御信号であるBLDOUT(104)を出力する方法を説明するためのブロック図である。
【0063】
パルス幅変調手段(50)と電圧変調手段(51)のどちらの方法においても、変調量を検出するための検出手段(パルス幅検出手段(53)・電圧検出手段(54))が設けられているため、バックライト(12)が安定して動作する(b)の領域▲2▼(安定領域)内で調光を行う事ができる。ここで、▲1▼はバックライト管(12)内で電子の放電が十分にできない非点灯領域であり、▲3▼はバックライト管(12)の放電特性が飽和してパワーを浪費する飽和領域を表す。
【0064】
(c)は、パルス幅検出手段(53)の検出方法を説明する図であり、本実施の形態ではバックライト管(12)が安定領域内で動作するためのBLP(102)のパルス幅を10μs〜4μsとし、それぞれの限界点を10μsが基準パルスA、4μsが基準パルスBで定義する。
【0065】
BLP(102)と基準パルスAの反転信号とがAND回路(65)に入力され、BLP(102)の反転信号と基準パルスBがAND回路(66)に入力される。例えば、BLP(102)が10μs以上になった場合、AND回路(65)の出力がHighになり、基準パルスAをオーバーしたと判断できるため、調光方法をパルス幅変調手段(50)から電圧変調手段(51)に切り替える命令を切り替え手段(52)に出力し、該切り替え手段(52)に設けたSWによって調光手段を電圧変調手段(51)に切り替える。
【0066】
本実施の形態によれば、バックライトパルスのパルス幅と印加電圧を、バックライト管の発光効率が常に線形領域で、かつ安定した領域内に設定する事で、無駄なパワーを消費せずに済み、輝度の微調整が可能となる。また、パルス幅によるバックライトの調光が限界の場合にも、印加電圧を調整することでより安定で広範囲にわたり輝度の微調整が自動的に実現できる。
【0067】
(第三の形態)
図8は、本発明の第三の実施形態における頭部装着型表示装置のバックライト駆動方法におけるバックライトパルス作成手段を表す図である。上述の実施形態と同様に、同様な部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0068】
(a)において、画像情報源(13)から出力された水平同期信号(101)と垂直同期信号(VSYNC)(111)は、パネル駆動CLK作成手段(90)に入力される。該パネル駆動CLK作成手段(90)は、液晶パネル(70)もしくはLEDアレイディスプレイなどの表示素子を駆動するためのクロックを作成する。特に、液晶パネル(70)における水平方向の画像情報の書き出し位置(タイミング)を決定しているのは、DXCLK(108)という信号であり、該DXCLK(108)の立ち下がりに同期して画像情報が書き出される。
【0069】
パネル駆動CLK作成手段(90)で作成されたDXCLK(108)は、前述の第二の実施の形態で説明した場合と同様に、カウンタ(21)でDXCLK(108)の2倍・4倍・8倍周期に同期したQ1・Q2・Q3をそれぞれ出力される。次に、マルチバイブレータ(MB)(22)において、該Q1〜Q3と元のDXCLK(108)を合わせた4信号の立ち下がり位置と、DXCLK(108)の立ち下がり位置とが同期していて、かつ任意のパルス幅に設定したDXCLK(108)の1/n周期のパルス(M1,M2,M3,M4)を作成する事ができる。MB(22)の出力であるM1〜M4は、切り替えSW(23)で使用者(61)によって任意に選択され、BLPP(105)としてバックライト(12)に送られる。
【0070】
(b)において、DXCLK(108)の2倍の周期の例を示す。
【0071】
画像信号(103)の水平帰線消去期間(K)は、フロントポーチ(FP)とHSYNC(101)とバックポーチ(BP)から構成されている。これに対して、DXCLK(108)は、該DXCLK(108)の立ち下がり位置がBPの期間の最後(表示領域の始まる位置)に重なるような位相関係になっている。このDXCLK(108)の立ち下がりに同期したBLPP(105)は、前述のBLP(104)と比べてBP分だけバックライトパルスのパルス幅を広く取れ、より広い調整範囲の確保が可能である。
【0072】
本実施の形態によれば、パソコンや携帯機器などのCPUを持つインテリジェント装置の水平同期信号に同期したバックライトパルスは、水平同期信号の同期期間(パルス幅)が短いため、バックライト輝度を上げるためにバックライトパルスのパルス幅を長くしすぎると、帰線期間をオーバーして表示領域内までバックライトパルスが掛かり、バックライトパルスの立ち上がりや下がり部分で発生しやすいスパイクノイズの影響を受けやすくなる。
【0073】
そこで、液晶パネルにおける水平方向の表示書き込みを決定しているDXCLKの立ち下がり部分でバックライトパルスの立ち下がりを同期する。該バックライトパルスは、表示領域前後にあるフロント・バックポーチを完全に包括でき、表示領域内にバックライトパルスがオーバーする事を防止できるため、表示画面にスパイクノイズの影響が無く、視認性に富んだ表示が提供できる。さらには、より広範囲にわたり輝度の微調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 頭部装着型表示装置の装着状態を表す側面図。
【図2】 頭部装着型表示装置の虚像形成光学系を表す図であり、(a)はクローズ型の断面図、(b)はシースルー型の断面図。
【図3】 本発明の第一の形態におけるバックライトパルス作成手段を表す図であり、(a)はブロック図、(b)はタイミングチャート。
【図4】 本発明の第一の形態における画像信号の実効電圧によりバックライトを調光する方法を説明する図であり、(a)はブロック図、(b)は実効電圧と基準電圧の関係を説明する図、(c)は実効電圧とバックライト輝度の関係を説明する図。
【図5】 本発明の第一の形態における実効電圧と周辺照度によりバックライト輝度を調光する方法を説明する図であり、(a)は電光セルの出力を表す図、(b)は実効電圧を周辺照度の状態から両者の中間点にバックライト輝度を調光する方法を説明する図。
【図6】 本発明の第一の形態における実効電圧と周辺照度によりバックライト輝度を調光する方法を説明するブロック図。
【図7】 本発明の第二の形態における調光方法を表す図であり、(a)はブロック図、(b)はバックライト管の発光特性を説明する図、(c)はパルス幅検出手段を説明する図。
【図8】 本発明の第三の形態におけるバックライトパルス作成手段を表す図であり、(a)はブロック図、(b)はタイミングチャート。
【符号の説明】
1 バックライトパルス作成手段
2 電圧検出手段
3 基準電圧源A
4 比較手段A
5 電光セル
6 バッファアンプ
7 基準電圧源B
8 比較手段B
9 比較手段C
10 演算処理手段
11 B/L輝度調光手段
12 バックライト
13 インテリジェント装置の画像情報源
14 NTSC方式の映像装置の画像情報源
20 同期分離回路
21 カウンタ
22 マルチバイブレータ
23 切り替えSW
31 VR
32 期間選択手段
33 電源電圧制御手段
50 パルス幅変調手段
51 電圧変調手段
52 切り替え手段
53 パルス幅検出手段
54 電圧検出手段
55 AND回路
56 AND回路
60 装置本体
61 使用者
62 虚像形成光学系
63 ヒンジ部
64 額パッド
65 アーム
66 スライダ
67 耳パッド
68 装着手段
70 液晶パネル
71 画像表示素子
72 反射ミラー
73 レンズ
74 拡大虚像
80 凹面鏡
81 ハーフミラー
82 バイザー
90 パネル駆動CLK作成手段
101 インテリジェント装置のHSYNC
102 BLP
103 画像信号
104 BLDOUT
105 BLPP
106 期間選択信号
108 DXCLK
111 VSYNC
112 NTSC方式の映像装置のHSYNC

Claims (6)

  1. 液晶パネルと該液晶パネルを後方から照射するためのバックライトとを備えた画像表示素子と、該画像表示素子によって形成した画像を拡大するための拡大光学手段とを装置本体に収納した頭部装着型表示装置のバックライト駆動方法において、
    前記バックライトを駆動するバックライト駆動回路は、前記画像表示素子に表示すべき画像信号の実効電圧またはブライト電圧に応じて前記バックライトの輝度を変更してなり、前記バックライト駆動回路は、前記画像信号の実効電圧またはブライト電圧を検出するための電圧検出手段と、基準電圧と前記電圧検出手段の出力とを比較する比較手段とを備え、前記実効電圧または前記ブライト電圧が前記基準電圧よりも高い時には前記バックライトの輝度を第1の輝度に設定し、前記実効電圧または前記ブライト電圧が前記基準電圧よりも低い時には前記バックライトの輝度を前記第1の輝度よりも高い第2の輝度に設定してなり、
    前記電圧検出手段の非動作時に、基準電圧源および前記比較手段の少なくともどちらか一方に供給される電源電圧を遮断してなることを特徴とする頭部装着型表示装置のバックライト駆動方法。
  2. 液晶パネルと該液晶パネルを後方から照射するためのバックライトとを備えた画像表示素子と、該画像表示素子によって形成した画像を拡大するための拡大光学手段とを装置本体に収納した頭部装着型表示装置のバックライト駆動方法において、
    前記バックライトを駆動するバックライト駆動回路は、周囲の照度を検出する照度検出手段と、前記画像信号の実効電圧またはブライト電圧を検出するための電圧検出手段と、前記照度検出手段の出力と第1の基準電圧とを比較した第1の比較結果を得る第1の比較手段と、前記電圧検出手段の出力と第2の基準電圧とを比較した第2の比較結果を得る第2の比較手段と、前記第1の比較結果と初期設定値および前記第2の比較結果と初期設定値をそれぞれ比較する第3の比較手段と、を備え、前記第3の比較手段での比較結果を基準にして前記バックライトの輝度を決定してなり、
    前記電圧検出手段の非動作時に、基準電圧源および前記比較手段の少なくともどちらか一方に供給される電源電圧を遮断してなることを特徴とする頭部装着型表示装置のバックライト駆動方法。
  3. 前記実効電圧または前記ブライト電圧の検出期間を前記画像信号の1フィールド期間と一致させてなることを特徴とする請求項1または2に記載の頭部装着型表示装置のバックライト駆動方法。
  4. 前記実効電圧または前記ブライト電圧の検出期間を前記画像信号の1フレーム期間と一致させてなることを特徴とする請求項1または2に記載の頭部装着型表示装置のバックライト駆動方法。
  5. 前記基準電圧は複数の電圧であることを特徴とする請求項1に記載の頭部装着型表示装置のバックライト駆動方法。
  6. 前記第1および第2の基準電圧はそれぞれ複数の電圧であることを特徴とする請求項2に記載の頭部装着型表示装置のバックライト駆動方法。
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