JP3635602B2 - 昇降機の落下防止装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、送電鉄塔等の構築物にほぼ垂直に支持されたレールに沿ってエンジン駆動のケージを昇降させるように設けられた昇降機に関し、特に、何らかの原因で、ケージが予め設定された上限位置を超えて上昇動作を継続する場合に、ケージがレールから脱落するのを防止するための落下防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、送電鉄塔の建設工事においては、鉄塔の組み上げの進行に従って、昇降機のレールを上方へ次々に継ぎ足していく。そして、レールの上端には、ケージが上方へ脱落するのを阻止するための上限ストッパを継ぎ足しのたびにボルトで固定することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の方法による場合には、上限ストッパの取付け忘れによる事故を招来するおそれがある。
従って、本発明は、レールが予め具備している横桟をストッパとしてそのまま利用することで確実に脱落事故を防止することができる昇降機の落下防止装置を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明においては、レール2の最上部付近にほぼ水平にストッパ用横桟5を固定し、ケージ3にストッパアーム15を枢支し、その上部をレール2に対して接近、離反する方向に転倒、復元自在とし、上部にはレール2上を転動するローラ18を設けると共に、レール2側に転倒したときに横桟5に係合してケージ3の上昇を阻止する係合部19を設け、常時ローラ18をレール2上に圧接させるように、ばね17にて転倒方向に回転付勢し、ケージ3が過剰に上昇して、ローラ18がレール2の上端を超えたときに、ストッパアーム15が転倒して係合部19がストッパ用横桟5に係合するようにして昇降機の落下防止装置14を構成した。ストッパ用横桟5は、レール2に予め付設されているものであるから、レール2上へのストッパの取付け忘れによる事故は完全に防止することができる。
請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載された発明を前提に、レール2に、平行一対の縦杆4と、この縦杆4に上下に所要間隔をおいて梯子状に固定された複数の横桟5と、この横桟5の中央部を縦方向に横断するように横桟5に固定されたラックレール6とを具備させ、ケージ3には、ラックレール6に噛み合ってケージ3を昇降させるためのエンジン駆動のスプロケット12と、縦杆4に係合して転動するガイドローラ13とを具備させ、ストッパアーム15のローラ18は、レールの縦杆4上を転動するように設け、係合部19は、ストッパアーム15の転倒時にレール2の最上部の横桟5に係合可能に設けた。この場合、ラックレール6を支持する横桟5のうち最上部のものをストッパ用横桟として利用し、特別の構成を省略した。
請求項3に記載の発明においては、請求項1に記載された発明を前提に、ストッパアーム15上に、ローラ18がレール2の上端を超える前にレール2の上端を検知してエンジン10の停止信号を発する検知スイッチ21を設た。この場合、検知スイッチ21によるエンジン停止と、ストッパアーム15による機械的停止との二重の落下防止が図れる。
請求項4に記載の発明においては、請求項1に記載された発明を前提に、ストッパアーム15上のレールの上端検知スイッチ21に加え、ケージ3に、ストッパアーム15の転倒動作を検知してエンジン10の停止信号を発する転倒検知スイッチ23を設けた。この場合、検知スイッチ21によるエンジン停止、転倒検知スイッチ23によるエンジン停止及びストッパアーム15による機械的停止の三重の落下防止が図れる。
【0005】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は昇降機の概略的斜視図、図2は昇降機の正面図、図3は昇降機の側面図、図4は落下防止装置の正面図、図5は落下防止装置の側面図である。
【0006】
図1ないし図3において、昇降機1は、構築物にほぼ垂直に支持されたレール2に沿ってケージ3を昇降させ、資材や人員を搬送するものである。
【0007】
レール2は、平行一対の縦杆4と、この縦杆4に上下に所要間隔をおいて梯子状に固定された複数の横桟5と、この横桟5の中央部を縦方向に横断するように横桟5に固定されたラックレール6とを具備する。例えば建設途上の鉄塔に据え付けられるレール2は、上方へ順次継ぎ足して延長できるように上端が解放している。従って、ケージ3が過剰上昇するとレール2から離脱して落下するおそれがある。そこで、レール2の上端部には、上限ストッパ7(図2、図3)が取り付けられる。上限ストッパ7は、水平方向に延出する旗8を備えており、ボルトでラックレール6の上端部に固定される。レール2を延長する場合には、上限ストッパ7を取り外して、新たな上端部に固定し直す。
【0008】
ケージ3の底部には、昇降駆動部9が設けられている。昇降駆動部9には、エンジン10と減速機11とスプロケット12とを具備している。エンジン10の回転は、減速機11を介してスプロケット12に伝えられる。スプロケット12は、ラックレール6に噛み合っており、その正逆回転によりケージ3を昇降させる。エンジン10の始動、停止、上昇、下降の切り換え等の駆動部9の動作の制御はケージ3内の操作盤を操作して行う。ケージ3の4隅には、夫々レールの縦杆4を抱持するガイドローラ13が設けられている。ケージ3は、ガイドローラ13により、レール2に昇降自在に支持されている。
【0009】
ケージ3の上部には、落下防止装置14が設けられている。落下防止装置14は、ストッパアーム15を具備している。ストッパアーム15は、下部においてケージ3のフレーム16に枢着され、フレーム16から上方へ延出しており、上部がレール2に対して接近、離反する方向に転倒、復元自在であり、ばね17により常時転倒方向に回転付勢されている。
【0010】
図4、図5に示すように、ストッパアーム15は、ローラ18、係合部19、センサ取付け片20を具備している。ローラ18は、レール2の縦杆4上を転動できるようにストッパアーム15の上部に軸支されており、ケージ3が過剰に上昇して、ローラ18が縦杆4の上端を超えたときに、ストッパアーム15が支持を失って転倒するようになっている。係合部19は、ストッパアーム15の上部が、レール2に接近する方向に転倒したときに、横桟5に係合してケージの上昇を阻止することができるように、ローラ18より下部に設けられている。センサ取付け片20は、ローラ18より上方へ延出している。センサ取付け片20には、ローラ18の直上においてレール2の縦杆4の有無を検知するように縦杆検知スイッチ21が設けられ、またその側方において上限ストッパ7との接触を検知するストッパ検知スイッチ22が設けられている。縦杆検知スイッチ21は、レール2の縦杆4から外れたときに、またストッパ検知スイッチ22は、上限ストッパ7と接触したときに、夫々動作し、制御装置を介してエンジン10を停止させる。フレーム16には、アーム15の転倒検知スイッチ23が取り付けられており、アーム15が転倒したときに動作し、制御装置を介してエンジン10を停止させる。
【0011】
しかして、ケージ3が上限付近まで上昇すると、まずストッパ検知スイッチ22が上限ストッパ7に接触してエンジン10を停止させる。上限ストッパ7は取り付いておらず、あるいはストッパ検知スイッチ22に電気的、機械的不具合があって、エンジン10が停止しない場合には、次に縦杆検知スイッチ21が、レール2の縦杆4から外れてエンジン10を停止させる。縦杆検知スイッチ21に異常があって、エンジン10が停止しない場合には、ローラ18が縦杆4の上端を超え、ストッパアーム15が支持を失って転倒し、係合部19がストッパ用横桟である最上部の横桟5に係合してケージ3の上昇を機械的に阻止する。これとほぼ同時に、転倒検知スイッチ23がアーム15の転倒を検知してエンジン10を停止させる。
【0012】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明においては、レール2の最上部付近にほぼ水平にストッパ用横桟5を固定し、ケージ3の上部にストッパアーム15を枢支し、その上部をレール2に対して接近、離反する方向に転倒、復元自在とし、上部にはレール2上を転動するローラ18を設けると共に、レール2側に転倒したときに横桟5に係合してケージ3の上昇を阻止する係合部19を設け、常時ローラ18をレール2上に圧接させるように、ばね17にて転倒方向に回転付勢し、ケージ3が過剰に上昇して、ローラ18がレール2の上端を超えたときに、ストッパアーム15が転倒して係合部19がストッパ用横桟5に係合するようにして昇降機の落下防止装置14を構成したため、ケージ3の過剰上昇時に、レール2に予め付設されているストッパ用横桟5にストッパアーム15が係合して非常停止させることができ、レール2上へのストッパの取付け忘れによる事故を完全に防止することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明においては、レール2に、平行一対の縦杆4と、この縦杆4に上下に所要間隔をおいて梯子状に固定された複数の横桟5と、この横桟5の中央部を縦方向に横断するように横桟5に固定されたラックレール6とを具備させ、ケージ3には、ラックレール6に噛み合ってケージ3を昇降させるためのエンジン駆動のスプロケット12と、縦杆4に係合して転動するガイドローラ13とを具備させ、ストッパアーム15のローラ18は、レールの縦杆4上を転動するように設け、係合部19は、ストッパアーム15の転倒時にレール2の最上部の横桟5に係合可能に設けたため、ラックレール6を支持する横桟5のうち最上部のものをストッパ用横桟として利用し、特別の構成を省略することができるという効果を有する。
【0014】
請求項3に記載の発明においては、さらに、ストッパアーム15上に、ローラ18がレール2の上端を超える前にレール2の上端を検知してエンジン10の停止信号を発する検知スイッチ21を設たため、検知スイッチ21によるエンジン停止と、ストッパアーム15による機械的停止との二重の落下防止が図れるという効果を有する。
【0015】
請求項4に記載の発明においては、さらに、ケージ10に、ストッパアーム15の転倒動作を検知してエンジン10の停止信号を発する転倒検知スイッチ23を設けたため、検知スイッチ21によるエンジン停止、転倒検知スイッチ23によるエンジン停止及びストッパアーム15による機械的停止の三重の落下防止が図れるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】昇降機の概略的斜視図である。
【図2】昇降機の正面図である。
【図3】昇降機の側面図である。
【図4】落下防止装置の正面図である。
【図5】落下防止装置の側面図である。
【符号の説明】
1 昇降機
2 レール
3 ケージ
4 縦杆
5 横桟
6 ラックレール
10 エンジン
12 スプロケット
13 ガイドローラ
14 落下防止装置
15 ストッパアーム
17 ばね
18 ローラ
19 係合部
Claims (3)
- 構築物にほぼ垂直に支持されたレールに沿ってエンジン駆動のケージを昇降させる昇降機の落下防止装置であって、
前記レールの最上部付近にほぼ水平に固定されたストッパ用横桟と、
上部が前記レールに対して接近、離反する方向に転倒、復元自在に前記ケージに枢支され、上部に前記レール上を転動するローラを備えると共に、上部がレールに接近する方向に転倒したときに前記横桟に係合してケージの上昇を阻止する係合部を備え、常時ローラをレール上に圧接させるように、ばねにて転倒方向に回転付勢されたストッパアームと、
前記ローラが前記レールの上端を超える前の所定の上限位置を検知して前記エンジンの停止信号を発する検知スイッチとを具備し、
前記ケージが過剰に上昇しても、前記ローラが前記レールの上端を超える前に上限位置を検知して前記エンジンを停止し、さらに前記ローラが前記レールの上端を超えたときに、前記ストッパアームが転倒して前記係合部が前記ストッパ用横桟に係合するように構成されていることを特徴とする昇降機の落下防止装置。 - 前記レールは、平行一対の縦杆と、この縦杆に上下に所要間隔をおいて梯子状に固定された複数の横桟と、この横桟の中央部を縦方向に横断するように横桟に固定されたラックレールとを具備し、
前記ケージは、前記ラックレールに噛み合ってケージを昇降させるためのエンジン駆動のスプロケットと、前記縦杆に係合して転動するガイドローラとを具備し、
前記ストッパアームのローラは、前記レールの縦杆上を転動するように設けられ、
前記係合部は、ストッパアームの転倒時にレールの最上部の前記横桟に係合可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の昇降機の落下防止装置。 - 前記ストッパアーム上には、前記レールの上端を検知して前記エンジンの停止信号を発する前記検知スイッチが設けられ、かつ前記ケージには、前記ストッパアームの転倒動作を検知して前記エンジンの停止信号を発する転倒検知スイッチが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の昇降機の落下防止装置。
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JP33445096A JP3635602B2 (ja) | 1996-11-29 | 1996-11-29 | 昇降機の落下防止装置 |
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JP33445096A Expired - Lifetime JP3635602B2 (ja) | 1996-11-29 | 1996-11-29 | 昇降機の落下防止装置 |
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1996
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